説明

飲料の包装箱

【課題】飲料の輸送包装時並びに販売時において包装箱を段積みをしたとき、積上げ荷重による側面の凸円弧状の変形(胴膨れ)を抑制するがことができ、または側面の変化量を目立たせないようにすることで美観を維持することができ、かつケーサーでの自動製函適性にも優れた缶飲料やPETボトル入り飲料等の容器入り包装箱を提供するものである。
【解決手段】飲料包装箱11の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は地面との境界部分に、記各側面と天面又は地面とに連続する挟幅の傾斜した平面からなる面取り部18a、18b、19a、19bを形成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶ビールやペット(PET=Polyethylene terephthalateの略)ボトル入り飲料等の容器入り飲料の包装に使用する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶ビールの流通時の包装には、図16(斜視図)に示すような、主に段ボール製ラップラウンド式包装箱(以下、ラップラウンドケース又は単にケースということがある)が使用されている。この段ボール製ケースは、パレットに多数積上げて倉庫等で保管され、またメーカー等から配送出荷されている。そしてスーパーマーケット、その他各種販売店の店頭では段積みして展示販売される場合が多い。
【0003】
出荷及び/又は流通並びに販売時において、段積みされたケースは、特に下方に置かれたケースは積上げ荷重が作用し、ケースの天面と底面の段ボールは段が押し潰される同時に箱長さ方向の側面には円弧状に外側に変形する力が作用して、例えば図15(積上げ作用図)に示すように、箱側面に所謂「胴膨れ」を生じることが多い。なお、ラップラウンドケースでは、通常「胴膨れ」は幅面(妻面)より長さ側面に顕著に表れることが多かった。
段積みされたケースは多様な流通環境(貯蔵・輸送)の下におかれることが多いものである。そこで飲料包装箱の包装設計に際しては、かかる流通環境として、通例、23℃50%RH(常態)から30℃90%RH(高湿)が流通環境条件として想定されている。なお上記流通環境下に置かれたケースは、缶の結露等により包装材である段ボールが水に濡れて段が略完全に潰れて、あたかも缶に食込むように密着することがある。缶に密着すると箱高さ方向の変化量は最大となる。この高さ方向の変化量の大きさが胴膨れ量に影響を与える。「胴膨れ」量が大きいと美観を損ねる結果、店頭で展示販売する際の消費者の購買意欲を低下させるので、販売上問題になっている。
【0004】
ところで缶飲料の缶の形状は、大別すると2種類ある。一つは缶の天部と底部が絞り加工してあるもの。他の一つは、缶形状が所謂ストレートな形状のもの(天部と底部に絞り加工を施さない)である。前者は主にビール等のアルコール飲料、炭酸飲料、発泡性飲料など缶自体に耐内圧性を持たせたもの、後者はコーヒー、紅茶、乳飲料、果汁、スポーツドリンク等の耐内圧性をそれほどもたせる必要のない飲料に多用されている。缶材料は、スチールまたはアルミ等の金属である。しかし、何れを材料とする缶の包装箱であっても、流通時ケースを段積みした場合、下方に置かれたケースに荷重が加わり、ケースの長さ方向の側面には円弧状に外側に変形する力が作用し、前述の「胴膨れ」が生じて、美観を損ねるという問題があったのである。
【0005】
近年、上記缶飲料を凌駕する勢いで、キャップをしめて持ち運びできるPETボトルやボトル缶入りの清涼飲料、スポーツ飲料、ソフトドリンクが若者を中心とする消費者の間で人気を博している(全国清涼飲料工業会2003年度調査)。このPETボトルやボトル缶の流通時の包装には、従来、業界でA式箱と呼ばれる胴貼りされた段ボール箱が主に利用されている。このA式箱は内フラップと外フラップの長さの違いによりA−1形からA−5形に分類され、JIS−Z−1507で規定された外装用段ボール箱の形式では、コード番号0201形から0205形などがある。なかでも、外フラップ突合せの0201形(A−1形)の包装箱が最も多く使用されている。この包装箱は、図18に示すように、通常折り曲げ罫線及び切断線を入れたワンピースのブランクシート(台紙)の状態で供給され、繋ぎ代を接着剤で接合した胴貼りされた形態でケーサー(自動製函機)に供給されている。
前記A式包装箱は、ラップラウンドケースと同様に、パレットに多数積上げて倉庫等で保管され、またメーカー等から配送出荷される。そしてこれらの箱はスーパーや量販店等の販売店の店頭では多段積みして展示販売される場合がある。従って、出荷/流通並びに販売時において、段積みされた包装箱は、特に下方の箱は積上げ荷重が作用して箱の天面と底面の段ボールは段が押し潰される同時に、主に箱長さ方向の側面には円弧状に外側に変形する力が作用し、図15(イ)に示すように、箱側面に「胴膨れ」を生じることが多い。
そこで缶飲料やPETボトル入り飲料等の包装に使用するラップラウンドケースや02
01形の包装箱にあっては、積上げ荷重が作用したときにも胴膨れが生じにくく、美観が維持され、かつケーサーでの製函適性に優れた包装箱が望まれている。
【0006】
ところで、ラップラウンドケースの側面の変形抑制と美観の維持を目的する技術は、特許文献1〜特許文献6により、既に提案されている。
例えば、特許文献1は箱側面の上部側に横方向の溝を連続的に形成し、包装箱の上方から荷重が加わったときに前記溝を境にその近傍を内側に折り曲げて、側板の胴膨れを低減させるようにしたものである。
特許文献2は立面板の隅部から中央側に向かって斜めに延びる折り曲げ罫線からなる座屈誘導線を形成したもの(図17参照)、特許文献3は箱の立面板に切れ目線よりなる開封用引裂き帯を形成させると同時に、折り曲げ罫線による座屈誘導線を引裂き帯から上下に離して入れたものである。
特許文献4は箱の立面板と平面板の両方に、稜線から内側に間隔をおいてコーナーに向かって延びる折り曲げ罫線を入れ、また内フラップにもコーナーに向かって延びる折り曲げ罫線を入れたものである。また、特許文献5は箱の稜部を構成する境界部分に、一本の折り曲げ罫線と、平行にずれた二本の折り曲げ罫線とを、切れ目を挟んで交互に配設し、これらの罫線に沿って2枚の板材を折り曲げるようにしたものである。さらに、特許文献6は箱の立面板と側面板との境界部分に、切れ目を挟んで傾斜した二本の折り曲げ罫線を繰り返して配設したものである。
【0007】
【特許文献1】特開2005−053552号公報
【特許文献2】特開2003−146329号公報
【特許文献3】特開2003−205935号公報
【特許文献4】特開2003−252325号公報
【特許文献5】特開2004−010065号公報
【特許文献6】特開2004−059001号公報
【0008】
しかしながら、特許文献1の包装箱では、積上げ荷重により横方向の溝を境にその近傍が、必ず内側に均一に折り曲がるという保証がない。一部は内側に折り曲がり、他の部分が外側に折り曲がることもある。この場合、箱の外周面が凹凸状になり見栄えが悪くなる。また箱の四側面に、内側に折り曲がる部分と外側に折り曲がる部分が生じると、箱の天面には高低差が生じてしまい、箱を段積みしたときバランスが保ちにくく不安定になり、荷崩れを生じやすいという問題を生ずる。
【0009】
特許文献2及び3、4の包装箱は箱長側面に折れ曲げ罫線による座屈誘導線を入れるものであるが、箱の紙質や折り曲げ罫線の深浅や罫線の紙への刻設の仕方にもよるが、実際には、多くの箱が、罫線通りの均一な変形が起きずに罫線刻設位置以外で変形を生じてしまうという問題があった。
【0010】
また、特許文献5の包装箱はケースの稜部を構成する立面板と側面板との境界部分に、切れ目を挟んで一本の折り曲げ罫線と平行にずれた二本の折り曲げ罫線を交互に配設し、また文献6の包装箱は切れ目を挟んで傾斜した折り曲げ罫線入れたものであるが、この箱では、積上げ荷重が作用したときに折り曲げ罫線の折り曲げ角度は様々に変化する。そのため、側面の変形抑制と美観の維持の効果は充分とはいえなかった。さらにこの箱は、稜部を構成する立面板と側面板との境界部分に精密な加工を施す必要があるので設計が難しいばかりか自動機械による製函作業が容易ではないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて本発明は、従来技術の諸問題に鑑み、缶飲料やPETボトル入り飲料等の容器入り飲料の輸送包装に使用する包装箱として使用することができ、しかも流通時並びに販売時において包装箱を段積みをしたとき、積上げ荷重による側面の凸円弧状の変形(胴膨れ)を抑制するがことができ、または側面の変化量を目立たせないようにすることで美観を維持することができ、かつケーサーでの自動製函適性にも優れた包装箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の諸問題を解決するための手段について、種々考究したところ、前記の流通時並びに販売時において包装箱を段積みをしたとき、積上げ荷重による側面の凸円弧状の変形(胴膨れ)を抑制し、または側面の変化量を目立たせないようにするには、箱の天面及び/または底面と接する長さ方向側面の稜(すなわち地面に対して平行な稜)を面取りすることにより解決することを見出した。すなわち、前述の長さ方向側面の稜部を面取りすることで、胴膨れする側面が凸円弧状に膨れるのではなく、平面形状を保ちながら面として水平方向にスライドさせることによって胴膨れを低減し、あるいは側面の変化量を目立たせないようにできることを見出したものである。前記胴膨れする側面が、平面形状を保ちながら面として水平方向にスライドする運動は、パンダグラフの運動に近似している。
【0013】
かくして、第1に、本発明は、飲料包装箱の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は地面との境界部分に、記各側面と天面又は地面とに連続する挟幅の傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱である。
第2に、本発明は、段ボールシートで被包装品を巻き込み封緘するラップラウンド式飲料包装箱において、箱の4側面のうち、長さ方向側面と天面又は地面との境界部分に、前記側面と天面又は地面とに連続する挟幅の傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱である。
第3に、本発明は、段ボール製のJIS−Z−1507のコード02シリーズの飲料包装箱において、箱の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は地面との境界部分に、前記各側面と天面又は地面とに連続する傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱である。
第4に、本発明は、前記飲料包装箱の飲料は、ビールや炭酸飲料などの缶飲料又は清涼飲料などのペットボトル飲料である請求項1〜3の飲料の包装箱である。
第5に、本発明は、請求項2のラップラウンド式飲料包装箱において、箱の組立前の段ボールブランクのうち、組立時に面取り部と隣合う位置側の内フラップ又は外フラップの一部(側縁部)に、耳状突出部を設け、前記面取り部と内フラップ又は外フラップとの間に隙間が生じないようにしたことを特徴とする飲料の包装箱である。
【0014】
第6に、本発明は、請求項3のJIS−Z−1507のコード02シリーズの飲料包装箱において、箱組立前の段ボールブランクのうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と天面又は地面との間に形成する面取り部の平面形状がほぼ台形状であることを特徴とする飲料の包装箱である。
【0015】
第7に、本発明は、前記面取り部の幅(垂直方向寸法)が5〜40mmに形成されていることを特徴とする請求項1〜6に記載の飲料の包装箱である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、飲料包装箱の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は底面との境界部分に、記各側面と天面又は底面とに夫々連続する挟幅の傾斜した平面からなる面取り部を形成したものであるから、流通時並びに販売時において、包装箱を段積みをしたとき、積上げ荷重による胴膨れする側面が凸状に膨れるのではなく、平面形状を保ちながら面として水平方向にスライドする(図15(ロ)参照)。
したがって、包装箱を段積みした場合、下方に置かれた箱の側面に生じる胴膨れが低減できる。また、側面の変化量を目立たせないようにすることができ、その結果、美観を維持することができた。その上ケーサーでの製函適性にも優れた包装箱を提供することができた。
【0017】
缶飲料又はペットボトル飲料等の重量のある飲料包装箱の天面及び/又は底面に接する稜部に面取りを施した場合、稜部が面取りされているので、ハンドリングの際、手や指に当たる感触は柔らかくなり、角部により怪我することは少なく、持ち運びしやすいという実用上の効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施の形態を共通の類型に分けて、詳しく説明する。
先ず、第1類型について説明する。
第1類型は、段ボールシートで被包装品を巻き込み封緘する請求項2のラップラウンドケース11である。
図1〜図7に示すケース11は、缶Cを巻き込むため、各一対の立面板12、12及び平面板13、13を折り曲げ、繋ぎ代14を反対側の平面板に接合して胴貼りすることで角筒状の本体周壁を形成し、内フラップ15と外フラップ16を閉じることで角筒状本体の両端面を閉止するラップラウンドケースである。立面板12と内フラップ15には、半切れ(ライナーカット)のよる開封用の切り裂き帯17が形成されている。包装する内容物は缶ビール等の缶飲料が好適であるが、PETボトルやボトル缶であってもよい。
【0019】
この実施例のケース11にあっては、図1の組立前のブランクにも示すように、飲料缶のくびれ形状に合わせて、立面板12と隣合う位置の平面板13との境界部分(稜部)に、夫々の立面板と平面板とに連続する面取り部18a、18b、19a、19bが2本の折り曲げ罫線20、20、21、21を挟んで設けられている。面取り部を形成するに際し、罫線のほか、ミシン目、内ライナーカットなどを介することも可能である。
【0020】
箱の内寸法は、収容する商品の大きさ、重量、入り数に応じて選択決定されるが、例えば、500ml缶、缶の高さ167mm、24本入りのビールケースの場合は、長さLを399mm、幅Wを264mm、高さHを167mmとして、天側面取り部の幅H1を21mm、地側面取り部の幅H2を12mmとして設計するのが好ましい。使用する段ボールの材質は、B段両面段ボール、原紙構成:K180×SCP120×K180である。しかし、本発明が適用される箱の原紙構成については上記のものに限定されず、特に制限はない。
【0021】
図1のブランクを使用し、缶Cを包装機で包装すると、立面板12と隣合う位置の平面板13との間の各2本の折り曲げ罫線20、20、21、21から折れて、その各2本の折り曲げ罫線の間の面取り部18a、18b、19a、19bが斜めに曲がり、缶Cがタイトに包装されて図2〜3に示すように、ケース11の外観も多面的(8角形)になる。前述した通り、包装する内容物は缶ビール等の缶飲料に限られず、図4のように例えば「ポカリスエット」のような清涼飲料、スポーツ飲料、ソフトドリンク類のPETボトルやボトル缶Gであってもよい。
【0022】
この実施例のラップラウンドケース11を段積みした場合、積上げ荷重が作用しても立面板12が凸円弧状に胴膨れするのではなく、立面板12の側面は平面形状を保ちながら面として水平方向にスライドすることとなる。そのため、段積みされた下の方の箱側面に生じる胴膨れが低減でき、また、側面の変化量を目立たせないようにすることができるものとなる(図15(ロ)参照)。
【0023】
ラップラウンドケースの場合、内フラップ15と外フラップ16を閉じることで角筒状ケース本体の両端面を閉止するが、面取り部18a、18b、19a、19bとフラップ15、16とが交わる両隅の稜に、図5に示したように、隙間(円で囲んだ個所)が生じやすい。隙間を生ずると箱内に外から塵埃等が侵入することがあり、飲料を包装するケースとして使用した場合は衛生的に好ましくない。また美観も悪化する。
そこで、図1のブランクに示したように、外フラップ16の両側に耳状突出部A(図中斜線を施した個所)を設けるとよい。このようにすると、ケースの組み立て時に、前記面取り部と内フラップとの間に隙間が生じないようにすることが可能である。
なお、本発明の図6のブランクに示すように、外フラップと隣合う内フラップ15の一部に、耳状突出部B(斜線を施した)を設けると、この場合も組み立て時に、図2のように前記面取り部と外フラップとの間に隙間を発生させないようにすることが可能である。
【0024】
なお、図2はケース11の天地両面の長さ方向の各2稜を面取りして面取り部を形成した。ラップラウンドケースでは、通常「胴膨れ」は幅面(妻面)より長さ側面に表れることが多いからである。しかし、図4、図7に示すように、天面側の長さ方向側面のみに面取り部を形成してもよい。また図示省落したが、底面側の長さ方向側面にのみに面取り部を形成してもよい。
【他の実施例】
【0025】
次に第2の類型を説明する。
第2類型はA式箱と呼ばれる胴貼りされた段ボール箱である。
図8〜図12に示すものは、請求項3のJIS−Z−1507のコード02シリーズの内外両フラップにより箱の天地両面が閉止される0201形の段ボール箱の一例を示すものである。包装する内容物GはPETボトルやボトル缶入りの清涼飲料、スポーツ飲料、ソフトドリンク類である(例えばポカリスエットのPETボトルは、概ねボトル高さが209mm、ダカラの場合は218mmである。ボトル胴部形状は面取りされた、ほぼ4面体である。
【0026】
第2類型の代表例として挙げた図8に示す段ボール箱は、各一対の側面板22、22、23、23を角筒状に折り曲げて、その一端を繋ぎ代24により接合して胴貼りすることで周壁を形成し、その周壁の上下開口面を天地の内フラップ25a、25bと外フラップ26a、26bで閉じ、ホットメルト接着剤等を用いて固着するものであり、幅方向の側面板22、22には、ハンドリングのための手かけ穴27が設けられている。
【0027】
この段ボール箱にあっては、図8の組立前のブランクにも示すように、各側面板22、23と天地両位置の内フラップ25a、25bと外フラップ26a、26bとが交わる境界部分(稜)に、各フラップと側面板とに連続するように、平面からみて台形状に面取り部28a、28b、29a、29bが、2本の折り曲げ罫線30a、30b、31a、31bを挟んで形成されている。面取り部を形成するに際し、罫線のほか、ミシン目、内ライナーカットなどを介することも可能である。
【0028】
箱の内寸法は、収容する商品の大きさ、重量、入り数に応じて選択決定されるが、例えば、500mlPETボトル入り飲料、24本入りの段ボール箱は、長さLを350〜360mm、幅Wを233〜240mm、高さHを209〜218mm、天側面取り部の幅H1を24.31mm、地側面取り部の幅H2を8mmとして設計するのが好ましい。また、使用する段ボールの材質は、B段両面段ボール、原紙構成:K180×SCP160×K180である。しかし本発明が適用される箱の原紙構成については上記のものに限定されず、特に制限はない。
【0029】
上記のブランクを組み立て、飲料入りPETボトルGを包装すると、4枚の側面板22、22、23、23と、上下の内フラップ25a、25bと外フラップ26a、26bとの間の各2本の折り曲げ罫線30a、30b、31a、31bから折れて、その各2本の折り曲げ罫線の間の面取り部部28a、28b、29a、29bが斜めに曲がり、図9、図10に示すように、飲料入りPETボトルGがタイトに包装されて図のように、箱の外観も多面的でユニークのものとなる。
【0030】
そして、かかる包装箱を段積みした場合、積上げ荷重が作用しても側面22、23が凸円弧状に胴膨れするのではなく、該側面は平面形状を保ちながら面として水平方向にスライドすることとなる。そのため、段積みされ下方に置かれた箱側面に生じる胴膨れが低減でき、また、側面の変化量を目立たせないようにすることができるのである(図15(ロ)参照)。
【0031】
上記の実施形態では、箱の天地両面の各4稜を面取りして面取り部を形成した。しかし、図11のブランクに示すように、天面側の4稜にのみ面取り部を形成してもよい。また、図12のように、箱の長さ方向側面と天面との境界部分にのみ面取り部を形成してもよい。この場合は、箱側面形状は八角形から六角形の形状になる。
【箱の胴膨れ試験】
【0032】
《試験1》
次に、本発明により作成した箱(ラップラウンドケース)を試料として500ml缶、缶の高さ167mm、24本入りのビール缶を包装し、胴膨れについて評価試験1を行い、箱側面の胴膨れ量を測定した。
箱の内寸法は、試験1の場合、399(L)×264(W)×167(H)mm、段ボールの構成はK180×SCP120×K180、B段両面である。天地の面取りは表1に示す通りとして、実施例1、2、3とした。
【0033】
また、同等の現状缶ビールケース(ラップラウンドケース寸法、原紙構成:K180×SCP120×K180)で面取りを施していないアサヒビール用ケースの胴膨れ量の比較試験を行い、比較例1とした。
【0034】
さらに、特許文献3に相当する側面に座屈誘導線を施しているラップラウンドケースを比較例2とした。
【0035】
試験方法は下記の通りである。
図13に示すように、アルミ製2ピース缶の500ml入り缶ビールを24本包装する試料ケース(試験サンプル)1ケースの上に、256kgの重しを掛け、高温多湿状態での胴膨れ量を図14に示すように直角定規により測定した。
測定条件は、30℃、湿度90%で3日間放置した後に、面取りを施した側面の両側で、図14に示す方法により胴膨れ量を測定した。なお荷重を256kgとしたのは、1パレットが7段積むとして、3パレットを積み上げた場合、1ケース(500mlの缶ビール24本を含む)は12.9kgなので、最下段に掛かる重量は12.9×(7段×3パレット−1段)となり、ほぼ256kgとなるためである。
【0036】
測定結果を表1に示す。
【表1】

【0037】
<実施例1>缶ビールを入れたラップラウンドケースで、天・地の長さ稜を面取り。図2
<実施例2>缶ビールを入れたラップラウンドケースで、天・地の長さ稜を面取り。図2
<実施例3>缶ビールを入れたラップラウンドケースで、地面の長さ稜のみを面取り。
<比較例1>缶ビールを入れたラップラウンドケースで、面取りなし。図16
<比較例2>缶ビールを入れたラップラウンドケースで、座屈誘導線あり。図17
【0038】
《試験2》
次に、本発明により作成した箱(ラップラウンドケース)を試料として500mlペットボトル、ボトルの高さ209mm、24本入りのポカリスエット用ペットボトルを包装し、胴膨れについて評価試験2を行い、箱側面の胴膨れ量を測定した。
面取り、箱の内寸法、原紙構成、試験・荷重条件等及び測定結果を表1に示す。
【0039】
<実施例4>ポカリを入れたラップラウンドケースで、天面の長さ稜のみ面取り。
<比較例3>ポカリを入れたラップラウンドケースで、面取りなし。
【0040】
《試験3》
次に、本発明により作成した箱(0201形ケース)を試料として500mlペットボトル、ボトルの高さ218mm、24本入りのダカラ用ペットボトルを包装し、胴膨れについて評価試験3を行い、箱側面の胴膨れ量を測定した。
面取り、箱の内寸法、原紙構成、試験・荷重条件等及び測定結果を表2に示す。
【0041】
<実施例5>ダカラを入れた0201形ケースで、天・地の各四稜を面取り。図8,9、1

<実施例6>ダカラを入れた0201形ケースで、天面の四稜を面取り。図11
<実施例7>ダカラを入れた0201形ケースで、天面の長さ稜のみを面取り。図12
<比較例4>ダカラを入れた0201形ケースで、面取りなし。図18
【0042】
【表2】

【0043】
表1及び2は試験結果である。
図15(ロ)に示すように上方向からの荷重に対して胴膨れになる側面が、垂直方向と平行にスライドすることにより、高さ方向の圧縮によって生じる胴膨れを大幅に低減することが明らかなった。
特に、0201形ケースの場合には、面取り箇所は可能な限り、数多く施すほど、胴膨れは低減する。このことは試験3の実施例により明らかとなっている。
また、面取り部の幅は包装箱に入れる容器の絞り形状により、最小幅となり、おおむね5mm以上である。また、面取りする最大幅は試験1の実施例にみられるように、21mmで飽和する傾向が見られるため、40mmを超えてもさらなる効果は望めない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、缶ビールやペットボトル入り飲料等の容器入り飲料の包装に使用できる。さらに、積圧に耐えられる剛体容器(缶やペットボトル、瓶)に入った飲料以外の流動体(油、醤油等)の包装にも使用の可能性をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】箱の長さ方向側面と天面又は地面との境界部分に挟幅の傾斜した平面からなる面取り部を形成したラップラウンドケースのブランクを示す図。
【図2】図1のブランクの組み立て斜視図。
【図3】同上、缶の包装状態の一部縦断側面図。
【図4】同上、PETボトルの包装状態の一部縦断側面図。
【図5】面取りした稜部両隅の箇所に隙間を生したラップラウンドケースの斜視図。
【図6】内フラップ15の一部に、耳状突出部Bを設けたラップラウンドケースのブランクを示す図。
【図7】図6のブランクの組み立て斜視図。
【図8】天地両側の長さ方向及び幅方向の側面に面取りを施した0201形ケースのブランクを示す図。
【図9】図8のブランクの組み立て斜視図。
【図10】同上、PETボトルの包装状態の一部縦断側面図。
【図11】箱の天面側の4稜に面取りを施した0201形ケースのブランクを示す図。
【図12】同じく箱の長さ方向側面と天面との境に面取りを施した0201形ケースの他例のブランクを示す図
【図13】箱の胴膨れ試験方法の略図。
【図14】胴膨れ量測定法の略図。
【図15】(イ)は従来のケースに積圧が掛かった時のケース側面を胴膨れの状態を示した説明図、(ロ)は本発明のケースに積圧が掛かった時のケース側面を胴膨れの状態を示した説明図。
【図16】従来のラップラウンドケースの斜視図。
【図17】座屈誘導線を形成した従来のラップラウンドケースの斜視図。
【図18】従来の0201形ケースの展開図と斜視図。
【符号の説明】
【0046】
11 ケース
12 立面板
13 平面板
14 繋ぎ代
15 内フラップ
16 外フラップ
17 切り裂き帯
18a、18b、19a、19b 面取り部
20、21 折り曲げ罫線
22 側面板
23 側面板
24 繋ぎ代
25a,25b 内フラップ
26a、26b 外フラップ
27 手かけ穴
28a、28b、29a、29b 面取り部
30a、30b、31a、31b 折り曲げ罫線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料包装箱の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は地面との境界部分に、前記各側面と天面又は地面に連続する傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱。
【請求項2】
段ボールシートで被包装品を巻き込み封緘するラップラウンド式飲料包装箱において、箱の4側面のうち、長さ方向側面と天面又は地面との境界部分に、前記側面と天面又は地面とに連続する傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱。
【請求項3】
段ボール製のJIS−Z−1507のコード02シリーズの飲料包装箱において、箱の4側面のうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と、天面及び/又は底面との境界部分に、前記各側面と天面又は地面とに連続する傾斜した平面からなる面取り部を形成したことを特徴とする飲料の包装箱。
【請求項4】
前記飲料包装箱の飲料は、ビールや炭酸飲料などの缶飲料又は清涼飲料などのペットボトル飲料である請求項1〜3の飲料の包装箱。
【請求項5】
請求項2のラップラウンド式飲料包装箱において、箱の組立前の段ボールブランクのうち、組立時に面取り部と隣合う位置側の内フラップ又は外フラップの一部に、耳状突出部を設け、前記面取り部と内フラップ又は外フラップとの間に隙間が生じないようにしたことを特徴とする飲料の包装箱。
【請求項6】
請求項3のJIS−Z−1507のコード02シリーズの飲料包装箱において、箱の組立前の段ボールブランクのうち、長さ方向側面及び/又は幅方向側面と天面または地面との間に形成する面取り部の平面形状がほぼ台形状であることを特徴とする飲料の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−229061(P2012−229061A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162278(P2012−162278)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2005−321276(P2005−321276)の分割
【原出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(502356517)王子コンテナー株式会社 (66)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】