説明

飲料ディスペンサ

【課題】飲料ディスペンサにおいて、供給される炭酸ガスの圧力若しくは飲料容器内の発泡飲料の温度が変化しても常に所望量の発泡飲料を自動的に注出する。
【解決手段】この飲料ディスペンサにおいては、注出量設定モードの選択時、注出制御回路は液状態及び泡状態のビールの注出時間T1,T2をそれぞれ設定記憶し、調圧制御回路は同設定記憶時における炭酸ガスの供給圧Psを記憶する。そして、自動注出モードの開始時、調圧制御回路はそのとき圧力センサにより検出した炭酸ガスの供給圧Pxと上記注出量設定モード選択時に記憶した設定時圧力Psとに基づいて補正値α1,α2を算出し、注出制御回路は、同算出された補正値α1,α2により上記注出量設定モード選択時に記憶した注出時間T1,T2を補正して、同補正した注出時間T1’,T2’の間だけ注出コック11を液注出状態及び泡注出状態に保ち液状態及び泡状態のビールを注出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料容器内に貯えた例えばビール等の発泡飲料をガス供給手段により供給した炭酸ガスの圧力によって注出バルブまで圧送し該注出バルブの開状態にて外部に注出し閉状態にて封止するようにした飲料ディスペンサに係り、特に所望量の飲料の自動注出を可能とする飲料ディスペンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、発泡飲料を自動的に注出する自動注出モードと該自動注出モードにて注出する発泡飲料の量を設定するための注出量設定モードとを選択するためのモード選択手段と、該モード選択手段による注出量設定モードの選択中に発泡飲料の注出の開始及び停止を指示するための注出指示手段と、該注出指示手段により発泡飲料の注出の開始が指示されたとき注出バルブを開き発泡飲料の注出の停止が指示されたとき注出バルブを閉じる手動注出制御手段と、注出量設定モードの選択中に手動注出制御手段の制御下にて注出バルブが開かれた時間を計測する計時手段と、該計時手段により計測された時間を自動注出モードにて参照する注出時間として設定し記憶する時間記憶手段と、モード選択手段により自動注出モードが選択されたとき時間記憶手段に記憶されている注出時間を参照して注出バルブを開閉制御し発泡飲料を注出するようにした自動注出制御手段とを備え、自動注出モードの選択時に自動注出制御手段による制御下にて注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を自動的に注出しようとしたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置においては、自動注出制御手段が単に時間記憶手段に記憶されている注出時間の間だけ注出バルブを開いていただけであったため、自動注出モード選択時、ガス供給手段により供給されている炭酸ガスの圧力が注出量設定モード選択時と異なっていた場合には、飲料容器から注出バルブまで発泡飲料が圧送される圧力が異なることになるため、注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出することができなかった。また、飲料容器内の発泡飲料の温度が変化した場合にも、発泡飲料の粘度などが変化して、同量の発泡飲料を注出できなくなっていた。
【0004】
【発明の概要】本発明の目的は、供給される炭酸ガスの圧力若しくは飲料容器内の発泡飲料の温度が変化しても常に所望量の発泡飲料を自動的に注出できる飲料ディスペンサを提供することにある。
【0005】本発明の構成上の特徴は、前記モード選択手段、注出指示手段、手動注出制御手段、計時手段、時間記憶手段、及び自動注出制御手段を備えた飲料ディスペンサにおいて、前記注出量設定モード選択中における注出時間の設定記憶時に注出バルブに対する発泡飲料の供給圧を記憶する圧力記憶手段と、前記モード選択手段による自動注出モードの選択時、該自動注出モード選択時における注出バルブに対する発泡飲料の供給圧と圧力記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧とに基づき時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する補正手段とを設け、自動注出制御手段が、自動注出モードの選択時に注出バルブを補正手段により補正された注出時間の間だけ開くことにより注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出するようにしたことにある。
【0006】上記場合においては、さらに、ガス供給手段が飲料容器内に供給している炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段を設けて、前記圧力記憶手段により記憶して補正手段により参照する注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、若しくは前記補正手段により参照する自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧を、前記圧力検出手段により検出された炭酸ガスの圧力とするとよい。又は、飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された発泡飲料の温度に基づき飲料容器内に供給する炭酸ガスの制御目標圧力を算出する目標圧力算出手段と、ガス供給手段が飲料容器内に供給する炭酸ガスの圧力が目標圧力算出手段により算出された制御目標圧力になるようにガス供給手段に介装された調圧バルブを制御する調圧制御手段とを設けて、前記圧力記憶手段により記憶して補正手段により参照する注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、若しくは前記補正手段により参照する自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧を、前記目標圧力算出手段により算出された炭酸ガスの制御目標圧力とするとよい。
【0007】上記特徴を有する飲料ディスペンサにおいては、注出量設定モードにおける注出時間の設定記憶時、圧力記憶手段が注出バルブに対する発泡飲料の供給圧を記憶し、自動注出モードの選択時、該自動注出モード選択時における注出バルブに対する発泡飲料の供給圧と、圧力記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧とに基づいて、補正手段が時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する。そして、自動注出制御手段が、この補正された注出時間の間だけ注出バルブを開いて発泡飲料を注出させる。したがって、自動注出モードの選択時、ガス供給手段により供給されている炭酸ガスの圧力が注出量設定モード選択時と異なっていて、飲料容器から注出バルブまで発泡飲料が圧送される圧力が異なっていても、その圧力差を加味して注出時間を補正することが可能になるため、注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出することができる。これにより、常に所望量の発泡飲料を自動的に注出することができる。
【0008】本発明の他の構成上の特徴は、前記モード選択手段、注出指示手段、手動注出制御手段、計時手段、時間記憶手段、及び自動注出制御手段を備えた飲料ディスペンサにおいて、飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、前記注出量設定モード選択中における注出時間の設定記憶時に温度検出手段により検出した発泡飲料の温度を記憶する温度記憶手段と、前記モード選択手段による自動注出モードの選択時、温度検出手段により検出した該自動注出モード選択時における発泡飲料の温度と温度記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の温度とに基づき時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する補正手段とを設け、自動注出制御手段が、自動注出モードの選択時に注出バルブを補正手段により補正された注出時間の間だけ開くことにより注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出するようにしたことにある。
【0009】上記特徴を有する飲料ディスペンサにおいては、注出量設定モードにおける注出時間の設定記憶時、温度記憶手段が温度検出手段により検出した飲料容器内の発泡飲料の温度を記憶し、自動注出モードの選択時、温度検出手段により検出した該自動注出モード選択時における発泡飲料の温度と、温度記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の温度とに基づいて、補正手段が時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する。そして、自動注出制御手段が、この補正された注出時間の間だけ注出バルブを開いて発泡飲料を注出させる。したがって、自動注出モードの選択時、飲料容器内の発泡飲料の温度が注出量設定モード選択時と異なっていて発泡飲料の粘度などが変化していても、その変化を加味して注出時間を補正することが可能になるため、注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出することができる。特に、注出バルブに対する発泡飲料の供給圧が一定で発泡飲料の温度のみが異なる場合の微妙な補正が可能になる。これにより、常に所望量の発泡飲料を自動的に注出することができる。
【0010】本発明の他の構成上の特徴は、飲料ディスペンサにおいて、前記同様のモード選択手段、注出指示手段、及び手動注出制御手段と、前記注出量設定モードの選択中に手動注出制御手段の制御下にて注出バルブが開かれて注出された発泡飲料の注出量を注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出する注出量算出手段と、該注出量算出手段により算出された注出量を前記自動注出モードにて参照する注出量として設定し記憶する注出量記憶手段と、モード選択手段により自動注出モードが選択されたとき、注出バルブを開き、以後注出した発泡飲料の注出量を所定時間経過毎に注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出し、該算出した注出量が注出量記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の注出量に達したとき注出バルブを閉じる自動注出制御手段とを設けたことにある。
【0011】上記場合においては、さらに、ガス供給手段が飲料容器内に供給している炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段を設けて、前記注出量算出手段により参照する注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、若しくは前記自動注出制御手段により参照する自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧を、前記圧力検出手段により検出された炭酸ガスの圧力とするとよい。又は、飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された発泡飲料の温度に基づき飲料容器内に供給する炭酸ガスの制御目標圧力を算出する目標圧力算出手段と、ガス供給手段が飲料容器内に供給する炭酸ガスの圧力が目標圧力算出手段により算出された制御目標圧力になるようにガス供給手段に介装された調圧バルブを制御する調圧制御手段とを設けて、前記注出量算出手段により参照する注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、若しくは前記自動注出制御手段により参照する自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧を、前記目標圧力算出手段により算出された炭酸ガスの制御目標圧力とするとよい。
【0012】上記特徴を有する飲料ディスペンサにおいては、注出量設定モードの選択中、注出量算出手段が、手動注出制御手段の制御下にて注出された発泡飲料の注出量を注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出し、注出量記憶手段が該注出量算出手段により算出された注出量を記憶する。そして、自動注出モードの選択時、自動注出制御手段が、注出バルブを開状態に保って発泡飲料を注出させながら、該注出した発泡飲料の量を所定時間経過毎に注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出し、該算出した注出量が注出量記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における注出量に達したとき、注出バルブを閉じて発泡飲料の注出を終了する。したがって、自動注出モードの選択時、ガス供給手段により供給されている炭酸ガスの圧力が注出量設定モード選択時と異なっていて、飲料容器から注出バルブ供給されている発泡飲料が圧送される圧力が異なっていても、発泡飲料の供給圧に基づいて算出した注出量が一致するように注出バルブを開閉制御しているため、注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出することができる。特に、自動注出中に発泡飲料の供給圧が変化する場合であっても、自動注出制御手段は注出した発泡飲料の量を所定時間経過毎に算出しているため、正確に注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出することができる。これにより、常に所望量の発泡飲料を自動的に注出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】a.第1の実施形態以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。同実施形態は、本発明による飲料ディスペンサとして図1,2に示したビールサーバを採用したものである。このビールサーバは、ビール樽80(飲料容器)内に貯えたビール(発泡飲料)を、ガスボンベ90(ガス供給手段)により供給した炭酸ガスの圧力によって本体10の前面に配設した注出コック11(注出バルブ)まで圧送し適宜注出するようにしたものである。
【0014】注出コック11は、図示しない弁機構を内蔵して構成されており、切換駆動機構12によるレバー11aの傾倒操作に応じて、ビール樽80から圧送されたビールを液ノズル11bから液状態にて注出する液注出状態(開状態)と、前記ビールを泡ノズル11cから泡状態にて注出する泡注出状態(開状態)と、前記ビールを封止する中立状態(閉状態)とで切換えられるようになっている。注出コック11の下方には、ビールジョッキを載置するためのジョッキ台13が配設されている。ジョッキ台13は、注出コック11からのビールの注出状況に応じて傾動駆動機構14により駆動されて起立状態又は傾斜状態に保たれるようになっている。
【0015】本体10内には、ビール樽80からサイフォン管81、ディスペンサヘッド82、及びビール供給ホース83を通して圧送されたビールを注出コック11まで導くビール供給管15が収容されている。ビール供給管15のコイル状中間部15aは、冷却装置16により冷却される冷却水を貯えた冷却水タンク17内に収容されており、この冷却水タンク17内の冷却水によって供給管中間部15a内のビールが注出コック11に供給されるまでに冷却されるようになっている。ビール供給管15のコイル状中間部15aの上流位置には、同位置におけるビールの温度を検出する温度センサ18が収容されている。
【0016】本体10内には、ガス供給管19も収容されている。ガス供給管19は、ガスボンベ90から定圧バルブ91により所定圧力(例えば、0.5MPa)に減圧されてガス供給ホース92を通して供給された炭酸ガスを、ガス供給ホース84及びディスペンサヘッド82を通してビール樽80内に供給するものである。ガス供給管19には、電気的に開度を制御されて上記ビール樽80に供給する炭酸ガスの圧力を調整する調圧バルブ21と、前記炭酸ガスの圧力を検出する圧力センサ22が介装されている。調圧バルブ21の下流及び圧力センサ22の上流には、それぞれガス供給管19の開度を調整するための開度調整バルブ21a,22aが介装されている。
【0017】本体10の前面には、操作パネル23が設けられている。操作パネル23は、注出ボタン23a、液ボタン23b、及び泡ボタン23cを備えている(図2R>2にのみ示す)。注出ボタン23aはモード選択手段であり、所定量のビールを自動的に注出する自動注出モード、又は自動注出モードにて注出するビールの量を設定するための注出量設定モードを選択するためのものである。液ボタン22b及び泡ボタン23cは注出指示手段であり、注出ボタン23aによる注出量設定モードの選択中などにそれぞれ液状態及び泡状態のビールの注出の開始及び停止を指示するためのものである。各ボタン23a〜23cは、非操作時に常にオフ状態に保たれる常開スイッチである。
【0018】各駆動機構12,14、及び操作パネル23には、注出制御回路24が接続されている。注出制御回路24はマイクロコンピュータにより構成されており、図3〜6に示したフローチャートに対応したプログラムを実行して、各駆動機構12,14の作動を制御する。注出制御回路24は、液注出時間計測タイマ24a、泡注出時間計測タイマ24b、及びメモリ24cを内蔵している。各注出時間計測タイマ24a,24bは計時手段であり、それぞれ液状態及び泡状態のビールの注出時間を計測時間T1D,T2Dとして計測するためのものである。メモリ24cは時間記憶手段であり、注出量設定モードの選択中に各注出時間計測タイマ24a,24bにより計測された時間T1D,T2Dを自動注出モードにて参照する注出時間T1,T2として記憶するものである。
【0019】各センサ18,22、及び調圧バルブ21には、調圧制御回路25が接続されている。調圧制御回路25もマイクロコンピュータにより構成されており、図7に示したフローチャートに対応したプログラムを実行して、調圧バルブ21の作動を制御する。調圧制御回路25は、注出量設定モード選択中における注出時間T1,T2の設定記憶時に注出コック11に対するビールの供給圧としてビール樽80に対する炭酸ガスの供給圧Psを記憶する圧力記憶手段としてのメモリ25aを内蔵している。各制御回路24,25は互いに接続されており、それぞれの制御情報を相互に入出力できるようになっている。
【0020】次に、上記のように構成した当該ビールサーバの動作について、図3〜7のフローチャートに沿って説明する。最初、図示しない電源スイッチが投入されると、冷却装置16が冷却水タンク17内の水を冷却し始めるとともに、各制御回路24,25がそれぞれ図3R>3,7のステップ100,400にてプログラムの実行を開始する。注出制御回路24は、まずステップ102にて初期設定を実行して各タイマ24a,24bにより計測される計測時間T1D,T2Dをそれぞれ値“0”にリセットした後、ステップ104にていずれかのボタン23a〜23cががオン操作されるのを待つ。
【0021】上記ステップ104における待機中、ジョッキ台13にビールジョッキが載置されて、液ボタン23bがオン操作されると、注出制御回路24はプログラムをステップ106へ進めて液状態のビールの注出を開始する。このとき、注出制御回路24は、液ボタン23bがオン状態に保たれている間、注出コック11を液注出状態に保ち、ビール樽80から圧送されたビールを注出コック11により液状態にて注出する。
【0022】一方、上記ステップ104における待機中、泡ボタン23cがオン操作された場合、注出制御回路24はプログラムをステップ108へ進めて泡状態のビールの注出を開始する。このとき、注出制御回路24は、泡ボタン23cがオン状態に保たれている間、注出コック11を泡注出状態に保ち、ビール樽80から圧送されたビールを注出コック11から泡状態にて注出する。
【0023】一方、上記ステップ104における待機中、注出ボタン23aがオン操作されてかつそのオン状態が所定時間以上保たれた場合、当該ビールサーバは注出量設定モードとなり、注出制御回路24はプログラムをステップ110へ進めて図4,5に詳細に示す注出量設定処理を実行する。
【0024】注出制御回路24は、ステップ200における同処理の開始後、まずステップ202の判定処理を繰り返し実行して液ボタン23bのオン操作を待つ。そして、このとき注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま液ボタン23bがオン操作されると、プログラムをステップ204へ進めて切換駆動機構12により注出コック11を液注出状態に移行させ、液状態のビールの注出を開始する。
【0025】上記注出開始に伴い、ステップ206においては、液注出時間計測タイマ24aに計時を開始させる。そして、以後、液ボタン23bがオン状態に保たれている間、ステップ208の判定処理を繰り返し実行する。このとき、注出コック11は液注出状態に保たれて液状態のビールを注出し続け、液注出時間計測タイマ24aは、同注出の開始以降の経過時間を計測時間T1Dとして計測し続ける。
【0026】上記注出及び計時の継続中、液ボタン23bのオン状態が解除されると、注出制御回路24は、ステップ210にて、切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記ビールの注出を停止するとともに、ステップ212にて液注出時間計測タイマ24aによる計時を停止する。これにより、注出コック11による液状態のビールの注出が一旦終了するとともに、同注出に要した時間が計測時間T1Dとして計測されたことになる。
【0027】なお、上記液状態のビールの注出中、ジョッキ台13は傾動駆動機構14により駆動されて傾斜状態に保たれるようになっている。また、上記ビールの注出の一旦終了までの間に注出ボタン23aのオン状態が解除された場合、注出制御回路24は、注出量設定処理を中止して、注出コック11を中立状態に移行させてビールの注出を停止した上でプログラムを図3のステップ104へ戻すようにしている。
【0028】上記ビールの注出の一旦終了後、注出制御回路24は、ステップ214〜218の判定処理を繰り返し実行して、液ボタン23b及び泡ボタン23cのオン操作、及び注出ボタン23aのオン状態の解除を待つ。そして、このとき注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま再び液ボタン23bがオン操作されると、ステップ216における判定のもとに前記図4のステップ204〜212と同様のステップ220〜228の処理を実行して、液状態のビールの追加注出を行う。
【0029】上記追加注出時、注出制御回路24は、液ボタン23bがオン状態に保たれている間だけ、注出コック11を液注出状態に保って液状態のビールを注出し、液注出時間計測タイマ24aに時間を計測させる。この場合、液注出時間計測タイマ24aは、それまでに計測した計測時間T1Dの値をリセットすることなく、それまでの値から継続して計時を再開する。したがって、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、液ボタン23bがオン操作される毎に、ジョッキ台13上のビールジョッキに液状態のビールが追加注出されるとともに、同注出に要した時間が計測時間T1Dに順次加算されて、この注出量設定モードの選択中に液状態のビールを注出した総時間が計測時間T1Dとして計測されることになる。
【0030】一方、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま泡ボタン23cがオン操作されると、注出制御回路24は、ステップ218における判定のもとにプログラムをステップ230へ進めて、切換駆動機構12により注出コック11を泡注出状態に移行させ、泡状態のビールの注出を開始する。
【0031】上記注出開始に伴い、ステップ232においては、泡注出時間計測タイマ24bに計時を開始させる。そして、以後、泡ボタン23cがオン状態に保たれている間、ステップ234の判定処理を繰り返し実行する。このとき、注出コック11は泡注出状態に保たれて泡状態のビールを注出し続け、泡注出時間計測タイマ24bは、同注出の開始以降の経過時間を計測時間T2Dとして計測し続ける。
【0032】上記注出及び計時の継続中、泡ボタン23cのオン状態が解除されると、注出制御回路24は、ステップ236にて、切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記ビールの注出を停止するとともに、ステップ238にて泡注出時間計測タイマ24bによる計時を停止する。これにより、注出コック11による泡状態のビールの注出が一旦終了するとともに、同注出に要した時間が計測時間T2Dとして計測されたことになる。
【0033】上記場合において、泡注出時間計測タイマ24bは、ステップ230における計時の開始時、それまでに計測した計測時間T2Dの値をリセットすることなく、それまでの値から継続して計時を開始するようにしている。したがって、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、泡ボタン23cがオン操作される毎に、ジョッキ台13上のビールジョッキに泡状態のビールが繰り返し注出されるとともに、同注出に要した時間が計測時間T2Dに順次加算されて、この注出量設定モードの選択中に泡状態のビールを注出した総時間が計測時間T2Dとして計測されることになる。
【0034】上述のように、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、液ボタン23b又は泡ボタン23cのオン操作毎に、注出コック11は液注出状態又は泡注出状態に切り換えられて液状態又は泡状態のビールを注出する。これにより、使用者は、前記図4のステップ206〜212の処理により注出した液状態のビールにさらに液状態及び泡状態のビールを注ぎ足して、ジョッキ台40上のビールジョッキ内に所望量のビールを注出することができる。この場合、上記各注出は任意の順序でそれぞれ繰返し実行が可能なため、注出するビールの量の微調整が可能であり、より容易に所望量のビールを注出することが可能である。そして、この繰り返し注出時、液状態及び泡状態のビールを注出した各総時間が計測時間T1D,T2Dとしてそれぞれ計測される。なお、上記液状態のビールの追加注出及び泡状態のビールの注出の際、ジョッキ台13は起立状態に保つようにしている。
【0035】上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、注出ボタン23aがオン状態を解除されると、注出制御回路24は、ステップ214における判定のもとにプログラムをステップ240へ進めて、各タイマ24a,24bにより計測されている計測時間T1D,T2Dをそれぞれ自動注出モードにて参照する注出時間T1,T2として設定してメモリ24cに記憶する。このとき、既にメモリ24cに注出時間T1,T2が設定記憶されている場合には、その記憶されている注出時間T1,T2を書換えて更新する。そして、ステップ242にてこの注出量設定処理を終了し、プログラムを図3のステップ102へ戻す。
【0036】ところで、前記電源スイッチの投入時には、調圧制御回路25も図7のステップ400にてプログラムの実行を開始している。調圧制御回路25は、プログラムの実行開始時、まずステップ402にて初期設定を実行して、制御目標圧力P0と樽温度Kの初期値を設定する。具体的には、圧力センサ22により検出した検出圧力Pxを制御目標圧力P0の初期値として設定し、予め記憶した図8に示したマップを参照して、その設定した制御目標圧力P0に対応する樽温度Kを樽温度Kの初期値として設定する。図8に示したマップは、本来は、検出した樽温度Kに応じて適切な炭酸ガスの供給圧を制御目標圧力P0として与えるものであり、具体的な説明は後述する。また、このときフラグFLGの値を“0”に設定する。フラグFLGは、値“1”にて液状態のビールの注出が開始されたことを表すものである。
【0037】上記初期設定後、調圧制御回路25は、ステップ404にて、圧力センサ22による検出に基づいて、ガスボンベ80からビール樽80への炭酸ガスの供給圧が制御目標圧力P0となるように、調圧バルブ21の開度を制御する。ステップ406においては、注出制御回路24が後述するビールの自動注出を開始しようとしているか否かを判定し、このとき自動注出開始時でなければ「NO」と判定してプログラムをステップ408へ進める。ステップ408においては、フラグFLGが値“1”であるか否かを判定するが、最初、前記ステップ402の初期設定によりフラグFLGが値“0”に設定されたままであれば、「NO」と判定してプログラムをステップ410へ進める。ステップ410においては、注出制御回路24の制御下にて注出コック11が液状態のビールの注出を開始しようとしているか否かを判定し、このときビールの注出開始時でなければ「NO」と判定してプログラムをステップ404へ戻す。
【0038】上記ステップ404〜410の繰り返し実行中、液ボタン23bがオン操作されるか又は後述する自動注出が指示されるかして、注出コック11が注出制御回路24の制御下にて液注出状態に移行して液状態のビールの注出を開始した場合、調圧制御回路25はステップ410にて「YES」と判定してプログラムをステップ412以降へ進める。ステップ412においては、温度センサ18により、注出開始時の供給管15内のビールの温度を注出前温度kaとして計測する。ステップ414においては、フラグFLGの値を液状態のビールの注出が開始されたことを表す値“1”に設定する。ステップ416においては、注出制御回路24の制御下にて注出コック11が上記開始した液状態のビールの注出を停止しようとしているか否かを判定し、このときビールの注出停止時でなければ「NO」と判定してプログラムをステップ404へ戻す。
【0039】上記ステップ414におけるフラグFLGの設定により、調圧制御回路25は、次回以降、ステップ408の実行時に「YES」と判定してステップ410〜414の処理を実行することなくプログラムをステップ416へ進めるようになるため、以後ステップ404〜408,416の処理を繰り返し実行することになる。この繰り返し実行中、注出コック11は液注出状態に保たれて液状態のビールを注出し続ける。そして、液ボタン23bのオン状態が解除されるか又は自動注出が終了するかして、注出コック11が注出制御回路24の制御下にて中立状態に戻され上記液状態のビールの注出を停止すると、調圧制御回路25はステップ416にて「YES」と判定してプログラムをステップ418以降へ進める。ステップ418においては、温度センサ18により、注出終了時の供給管15内のビールの温度を注出後温度kbとして計測する。ステップ420においては、フラグFLGの値を再び値“0”に設定する。
【0040】ステップ422においては、上記ステップ412,418にてそれぞれ計測した注出前温度ka及び注出後温度kbの変化率から、予め実験などに基づき設定記憶したマップを参照してビール樽80の温度Kを推定し算出する。ステップ424においては、同算出した樽温度Kから、前記図8に示したマップを参照して、ビール樽80に対する炭酸ガスの適切な供給圧を制御目標圧力P0として算出する。樽温度K及び制御目標圧力P0は、樽温度Kが所定温度K1(例えば、15℃)以上である領域においては比例関係にあり、樽温度Kが高くなるにつれて制御目標圧力P0も高く設定してビール中の炭酸ガス量を常に一定に保つようにしている。一方、樽温度Kが所定温度K1以下である領域においては、樽温度Kが低くなっても制御目標圧力P0をそれ以上に低くすることなく一定に保つようにして、ビールを確実に注出コック11まで圧送するようにしている。
【0041】ステップ426においては、当該ビールサーバが注出量設定モードにあって注出制御回路24が前述した注出量設定処理の実行中であるか否かを判定し、このとき注出量設定中でなければ「NO」と判定してプログラムをステップ404へ戻す。一方、このとき注出量設定中であれば、「YES」と判定して、ステップ428にて上記ステップ424にて算出した制御目標圧力P0を設定時圧力Psとしてメモリ25aに記憶する。このとき、既にメモリ25aに設定時圧力Psが記憶されている場合には、その記憶されている設定時圧力Psを書換えて更新する。そして、プログラムをステップ404へ戻して、再びステップ406〜410の処理を繰り返し実行する。
【0042】上述のように、調圧制御回路25は、前記ステップ402における初期設定後、ステップ404〜428からなる循環処理を繰り返し実行する。このとき、当該ビールサーバの動作モードに関わらず、注出コック11が液状態のビールを注出する毎に、調圧制御回路25は、注出前温度ka及び注出後温度kbを計測し、同計測した各温度ka,kbに基づき樽温度Kを推定して算出する。そして、同算出した樽温度Kに応じて制御目標圧力P0を算出し、ビール樽80に対する炭酸ガスの供給圧が同算出した制御目標圧力P0となるように、調圧バルブ21の開度を随時制御する。また、注出量設定中であれば、上記算出した制御目標圧力P0を設定時圧力Psとして記憶する。
【0043】次に、当該ビールサーバの自動注出モードについて説明する。注出制御回路24は、前記図3のステップ104における待機中、注出ボタン23aがオン操作されてかつそのオン状態が所定時間内に解除されると、プログラムをステップ112へ進めて図6に詳細に示す自動注出処理の実行を開始する。このとき、調圧制御回路25は、図7のステップ406にて「YES」と判定してプログラムをステップ430へ進め、補正値α1,α2の算出及び出力を行う。補正値α1,α2は、前記注出量設定モードにて液状態及び泡状態のビールに対しそれぞれ計測して設定した注出時間T1,T2を補正して自動注出モードにて実際に液状態及び泡状態のビールを注出する注出時間T1’,T2’を算出するためのものであり、炭酸ガスの圧力差を思量した上で注出時間T1,T2の設定時と同量のビールを注出できるようにその値を決定されるものである。
【0044】ここで、補正値α1,α2の算出方法と用い方について具体的に説明する。まず、一般に、注出量Qと、ビール樽80に対する炭酸ガスの供給圧P、及び注出時間Tとの関係は、供給圧Pが所定圧以上である条件下において、下記数1のように表される。
【0045】
【数1】Q=(a・P+b)・T上記式中において、a,bはそれぞれ実験により予め求められる定数である。上記数1を前述した注出量設定モードにおけるビール注出時について適用すると、液状態及び泡状態のビールについてそれぞれ下記数2,3が成り立つ。
【0046】
【数2】Q1=(a1・Ps+b1)・T1
【0047】
【数3】Q2=(a2・Ps+b2)・T2なお、a1,b1,a2,b2を定める際、基準とする注出量Q1,Q2は、液状態のビールについては質量とし、泡状態のビールについては体積とするとよい。
【0048】次に、自動注出モードにおけるビール注出時、上記注出量設定モードにおける注出時と同量の注出量Q1,Q2を得ようとすれば、その注出に要する注出時間T1’,T2’はそのときの炭酸ガスの供給圧Pxを用いて下記数4,5により与えられる。
【0049】
【数4】Q1=(a1・Px+b1)・T1’
【0050】
【数5】Q2=(a2・Px+b2)・T2’数2〜5から、下記数6,7が成立する。
【0051】
【数6】T1’={(a1・Ps+b1)/(a1・Px+b1)}・T1
【0052】
【数7】T2’={(a2・Ps+b2)/(a2・Px+b2)}・T2ここで、補正値α1,α2を下記数8,9のように定める。
【0053】
【数8】
α1=(a1・Ps+b1)/(a1・Px+b1)
【0054】
【数9】
α2=(a2・Ps+b2)/(a2・Px+b2)
数8,9を用いれば、数6,7は下記数10,11のように表される。
【0055】
【数10】T1’=α1・T1
【0056】
【数11】T2’=α2・T2これにより、炭酸ガスの圧力差を思量した上で、注出時間T1,T2の設定時と同量のビールを注出するのに要する注出時間T1’,T2’を算出することができる。
【0057】調圧制御回路2は、メモリ25aに記憶している設定時圧力Psと、圧力センサ22によるそのときの検出圧力Pxとに基づいて、上記数8,9の算出式に従い補正値α1,α2を算出し注出制御回路24に対して出力する。このとき、図6のステップ300にて自動注出処理を開始した注出制御回路24は、ステップ302にて、上記調圧制御回路25から出力された補正値α1,α2に基づいて、上記数10,11の算出式に従い補正注出時間T1’,T2’を算出する。
【0058】上記補正注出時間T1’,T2’の算出後、注出制御回路24は、ステップ304にて切換駆動機構12により注出コック11を液注出状態に移行させて液状態のビールの注出を開始するとともに、ステップ306にて液注出時間計測タイマ24aに計時を開始させる。そして、ステップ308の判定処理を繰り返し実行する。このとき、注出コック11は液注出状態に保たれて液状態のビールを注出し続け、液注出時間計測タイマ24aは同注出の開始以降の経過時間を計測時間T1Dとして計測し続ける。
【0059】上記注出及び計時の継続中、同注出及び計時の開始から補正注出時間T1’が経過すると、注出制御回路24は、液注出時間計測タイマ24aによる計時に基づきプログラムをステップ310へ進めて、切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記ビールの注出を停止する。なお、この液状態のビールの注出時には、ジョッキ台13は傾動駆動機構14により傾動駆動されて傾斜状態に保たれる。
【0060】上記液状態のビールの注出後、注出制御回路24は、ステップ312にて切換駆動機構12により注出コック11を泡注出状態に移行させて泡状態のビールの注出を開始するとともに、ステップ314にて泡注出時間計測タイマ24bに計時を開始させる。そして、ステップ316の判定処理を繰り返し実行する。このとき、注出コック11は泡注出状態に保たれて泡状態のビールを注出し続け、泡注出時間計測タイマ24bは同注出の開始以降の経過時間を計測時間T2Dとして計測し続ける。
【0061】上記注出及び計時の継続中、同注出及び計時の開始から補正注出時間T2’が経過すると、注出制御回路24は、泡注出時間計測タイマ24bによる計時に基づきプログラムをステップ318へ進めて、切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記ビールの注出を停止する。なお、この泡状態のビールの注出時には、ジョッキ台13は起立状態に保たれる。この泡状態のビールの注出後、注出制御回路24はステップ320にてこの自動注出処理を終了してプログラムを図3のステップ102へ戻す。
【0062】上述のように、上記実施形態においては、注出量設定モードにおける注出時間T1,T2の設定記憶時、調圧制御回路25のメモリ25aが、そのときの炭酸ガスの制御目標圧力P0を設定時圧力Psとして記憶する。そして、自動注出モードの開始時、圧力センサ22により検出した同自動注出モード開始時における検出圧力Pxと、メモリ25aに記憶している設定時圧力Psとに基づいて、調圧制御回路25が補正値α1,α2を算出し、同算出された補正値α1,α2に基づいて、注出制御回路25が注出時間T1,T2を補正して補正注出時間T1’,T2’を算出する。そして、同算出した補正注出時間T1’,T2’の間だけ注出コック11を液注出状態及び泡注出状態に移行させて、液状態及び泡状態のビールをそれぞれ注出する。
【0063】したがって、自動注出モードの選択時、ガスボンベ90により供給されている炭酸ガスの圧力が注出量設定モード選択時と異なっていて、ビール樽80から注出コック11までビールが圧送される圧力が異なっていても、その圧力差を加味して注出時間T1,T2を補正して実際の注出時間T1’,T2’を算出しているため、注出量設定モード選択時に注出したビールと同量のビールを注出することができる。これにより、常に所望量のビールを自動的に注出することができるようになっている。
【0064】次に、上記実施形態の変形例について説明する。同変形例は、上記実施形態において、補正値α1,α2の算出の際にビール樽80の温度Kの変化も加味するようにして、自動注出時に所望量のビールをより確実に注出できるようにしたものである。
【0065】この変形例において、調圧制御回路25は、図7にて括弧書きにより示したように、ステップ428における設定時圧力Psの記憶時、そのときの樽温度Kも設定時温度Ksとしてメモリ25aに記憶する。このとき、既にメモリ25aに設定時温度Ksが記憶されている場合には、その記憶されている設定時温度Ksを書換えて更新する。そして、注出制御回路24が自動注出処理を実行するとき、ステップ430にて、その記憶した設定時温度Ksも参照して補正値α1,α2を算出する。
【0066】ここで、この変形例における補正値α1,α2の算出方法と用い方について具体的に説明する。樽温度Kが特に問題となるのは、注出量設定モードにおける注出時間T1,T2の設定時及び自動注出時のうちのいずれか一方又は両方において、樽温度Kが所定温度K1以下であった場合である。この場合、前述した図8に示したマップのように制御目標圧力P0は一定に保たれるため、樽温度Kの変化が注出量に対して大きく影響する。一般に、炭酸ガスの供給圧が一定である条件下において、注出量Qと、ビール樽80の温度K、及び注出時間Tとの関係は、下記数12のように表される。
【0067】
【数12】Q=(c・K+d)・T上記式中において、c,dはそれぞれ実験により予め求められる定数である。上記数12を前述した注出量設定モードにおけるビール注出時について適用すると、液状態及び泡状態のビールについてそれぞれ下記数13,14が成り立つ。
【0068】
【数13】Q1=(c1・Ks+d1)・T1
【0069】
【数14】Q2=(c2・Ks+d2)・T2なお、c1,d1,c2,d2を定める際も、基準とする注出量Q1,Q2は、液状態のビールについては質量とし、泡状態のビールについては体積とするとよい。
【0070】次に、自動注出モードにおけるビール注出時、上記注出量設定モードにおける注出時と同量の注出量Q1,Q2を得ようとすれば、その注出に要する注出時間T1’,T2’はそのときの樽温度Kを用いて下記数15,16により与えられる。
【0071】
【数15】Q1=(c1・K+d1)・T1’
【0072】
【数16】Q2=(c2・K+d2)・T2’数13〜16から、下記数17,18が成立する。
【0073】
【数17】T1’={(c1・Ks+d1)/(c1・K+d1)}・T1
【0074】
【数18】T2’={(c2・Ks+d2)/(c2・K+d2)}・T2ここで、前記数6,7も加味して、補正値α1,α2を下記数19,20のように定める。
【0075】
【数19】α1={(c1・Ks+d1)/(c1・K+d1)}・{(a1・Ps+b1)/(a1・Px+b1)}
【0076】
【数20】α2={(c2・Ks+d2)/(c2・K+d2)}・{(a2・Ps+b2)/(a2・Px+b2)}
この場合、注出量設定時及び自動注出時の樽温度Ks,Kは、所定温度K1以上であった場合は、圧力Ps,Pxの差の影響が大きくなるため、所定温度K1に近似してもよい。これにより、ビール樽80の温度差及び炭酸ガスの圧力差を思量した上で、注出時間T1,T2の設定時と同量のビールを注出するのに要する注出時間T1’,T2’を算出することができる。
【0077】調圧制御回路2は、メモリ25aに記憶している設定時温度Ks及び設定時圧力Psと、温度センサ18による検出に基づき算出したそのときの樽温度K及び圧力センサ22によるそのときの検出圧力Pxとに基づいて、上記数19,20の算出式に従い補正値α1,α2を算出し注出制御回路24に対して出力する。このとき、注出制御回路24は、前述したように、図6のステップ302にて、上記調圧制御回路25から出力された補正値α1,α2に基づいて、上記数10,11の算出式に従い補正注出時間T1’,T2’を算出し、同算出した補正注出時間T1’,T2’の間だけ注出コック11に液状態及び泡状態のビールを注出させる。
【0078】上述のように、上記変形例においては、調圧制御回路25が、注出量設定モードにおける注出時間T1,T2の設定記憶時に記憶した設定時温度Ksも参照して補正値α1,α2を算出するようにしている。したがって、自動注出モードの選択時、ビール樽80内のビールの温度が注出量設定モード選択時と異なっていてビールの粘度などが変化していても、その変化を加味して注出時間T1,T2を補正して実際の注出時間T1’、T2’を算出しているため、注出量設定モード選択時に注出したビールと同量のビールを注出することができる。特に、ビール樽80に対する炭酸ガスの供給圧が一定でビールの温度のみが異なる場合の微妙な補正が可能であるため、樽温度Kが所定温度K1以下であって炭酸ガスの供給圧が一定に保たれる場合も含めて、より広い温度範囲に渡って的確な補正が可能となる。これにより、常に所望量のビールを自動的に注出することができるようになっている。
【0079】なお、上記実施形態及び変形例においては、注出量設定モードにおける注出時間T1,T2の設定時に設定時圧力Psとして制御目標圧力P0を記憶するようにしたが、この設定時圧力Psとしては、そのときの圧力センサ22による検出圧力Pxを記憶するようにしてもよい。また、自動注出モードの選択時に補正値α1,α2を算出する際、メモリ25aに記憶している設定時圧力Psと共にそのときの圧力センサ22による検出圧力Pxを参照するようにしたが、これに代えて、設定時圧力Psと共にそのときの制御目標圧力P0を参照して補正値α1,α2を算出するようにしてもよい。また、上記設定時圧力Psとして記憶する圧力、及び補正値α1,α2の算出の際に設定時圧力Psと共に参照する圧力は、それぞれ、注出コック11に供給されるビールの液圧そのものであってもよい。
【0080】また、上記実施形態及び変形例においては、液状態のビールの注出毎に温度センサ18により注出前温度ka及び注出後温度kbを計測し同計測した各温度ka,kbの変化率に基づいてビール樽80の温度Kを推定し算出するようにしたが、これに代えて、別途センサなどを設けてビール樽80の温度Kを直接検出するようにして、同検出した樽温度Kに基づいて制御目標圧力P0を随時算出するようにしてもよい。
【0081】b.第2の実施形態次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。同実施形態は、上記第1の実施形態において、注出量設定処理として図4,5に示したプログラムに代えて図9〜11に示したプログラムを採用し、自動注出処理として図6に示したプログラムに代えて図12R>2,13に示したプログラムを採用したものである。なお、調圧制御回路25は、同実施形態においても前記図7R>7に示したプログラムを実行して調圧バルブ21を制御するが、この場合、ステップ404,430,426,428の処理は省略してよい。同実施形態において、注出制御回路24は、各モードにおけるビール注出中、所定の単位時間t毎に、注出したビールの量Q1D,Q2Dをその都度そのときの圧力センサ22による検出圧力Pxに基づいて算出する。
【0082】まず、注出量設定モード選択時について説明する。注出制御回路24は、図9のステップ200における注出量設定処理の実行開始後、注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま液ボタン23bがオン操作されると、前記図4と同様のステップ202〜206を実行して、切換駆動機構12により注出コック11を液注出状態に移行させるとともに、液注出時間計測タイマ24aに計時を開始させる。このとき、ステップ502においては、単位注出量q1を算出する。単位注出量q1は、液状態のビールの単位時間t毎の注出量であり、圧力センサ22によるそのときの検出圧力Pxに基づき下記数21に従い算出されるものである。
【0083】
【数21】q1=e1・Px+f1上記式中において、e1,f1はそれぞれ実験により予め求められる定数である。なお、その設定の際に基準とする注出量q1は液状態のビールの質量とするとよい。この単位注出量q1の算出後、注出量制御回路24は、ステップ504にて、同算出した単位注出量q1を最初の液状態のビールの総注出量Q1Dとして設定する。
【0084】上記各処理後、注出制御回路24は、液ボタン23bがオン状態に保たれている間、ステップ208における判定のもとに、ステップ506〜514からなる処理を繰り返し実行する。ステップ506は、液注出時間計測タイマ24aによる計時が単位時間tに達したか否かを判定する処理である。このとき液注出時間計測タイマ24aによる計時が単位時間tに達していなければ、「NO」と判定してステップ508〜514の処理を実行することなくプログラムをステップ208へ進める。一方、このとき液注出時間計測タイマ24aによる計時が単位時間tに達していれば、「YES」と判定してプログラムをステップ508以降へ進める。
【0085】ステップ508においては、前記ステップ502と同様に、単位注出量q1を算出する。ステップ510においては、同算出した単位注出量q1を、それまでの総注出量Q1Dの値に加えて総注出量Q1Dを更新する。ステップ512においては、液注出時間計測タイマ24aによる計時値を一旦“0”にリセットする。そして、ステップ514においては、同リセットした液注出時間計測タイマ24aによる計時を再び開始する。これらステップ506〜514,208からなる処理の繰り返し実行により、注出制御回路24は、液ボタン23bがオン状態に保たれている間、注出コック11により液状態のビールを注出し続けながら、単位時間t毎に、圧力センサ22による検出圧力Pxを入力して、同入力した圧力Pxに基づき単位注出量q1を算出し、同算出した単位注出量q1を累積加算して総注出量Q1Dを計測し続ける(図14参照)。
【0086】上記注出及び計測の継続中、液ボタン23bのオン状態が解除されると、注出制御回路24は、ステップ208における判定のもとに、前記図4と同様のステップ210,212を実行して、上記ビールの注出を停止するとともに、液注出時間計測タイマ24aによる計時を停止する。これにより、注出コック11による液状態のビールの注出が一旦終了するとともに、同注出における液状態のビールの注出量が総注出量Q1Dとして計測されたことになる。
【0087】上記ビールの注出の一旦終了後、注出制御回路24は、図10,11のステップ214〜218の判定処理を繰り返し実行して、前記第1の実施形態における場合と同様に、液ボタン23b及び泡ボタン23cのオン操作、及び注出ボタン23aのオン状態の解除を待つ。そして、このとき注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま再び液ボタン23bがオン操作されると、ステップ216における判定のもとに前記図9のステップ204,206,506〜514,208と同様のステップ220,222,516〜524,224の処理を実行して、液状態のビールの追加注出を行う。
【0088】上記追加注出時、注出制御回路24は、液ボタン23bがオン状態に保たれている間だけ、注出コック11を液注出状態に保って液状態のビールを注出し、同ビールの総注出量Q1Dを計測する。この場合、総注出量Q1Dは、それまでに計測した値をリセットすることなく、それまでの値から継続して計測を再開される。したがって、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、液ボタン23bがオン操作される毎に、ジョッキ台13上のビールジョッキに液状態のビールが追加注出されるとともに、同追加注出されたビールの量が総注出量Q1Dに順次加算されて、この注出量設定モードの選択中に注出した液状態のビールの総量が総注出量Q1Dとして計測されることになる。
【0089】一方、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、注出ボタン23aのオン状態が保たれたまま泡ボタン23cがオン操作されると、注出制御回路24は、ステップ218における判定のもとに前記図5と同様のステップ230,232を実行して、切換駆動機構12により注出コック11を泡注出状態に移行させて泡状態のビールの注出を開始するとともに、泡注出時間計測タイマ24bに計時を開始させる。このとき、ステップ526においては、単位注出量q2を算出する。単位注出量q2は、泡状態のビールの単位時間t毎の注出量であり、圧力センサ22によるそのときの検出圧力Pxに基づき下記数22に従い算出されるものである。
【0090】
【数22】q2=e2・Px+f2上記式中において、e2,f2はそれぞれ実験により予め求められる定数である。なお、その設定の際に基準とする注出量q2は泡状態のビールの体積とするとよい。この単位注出量q2の算出後、注出量制御回路24は、ステップ528にて、同算出した単位注出量q2を最初の泡状態のビールの総注出量Q2Dとして設定する。
【0091】上記各処理後、注出制御回路24は、泡ボタン23cがオン状態に保たれている間、ステップ234における判定のもとに、ステップ530〜538からなる処理を繰り返し実行する。ステップ530は、泡注出時間計測タイマ24bによる計時が単位時間tに達したか否かを判定する処理である。このとき泡注出時間計測タイマ24bによる計時が単位時間tに達していなければ、「NO」と判定してステップ532〜538の処理を実行することなくプログラムをステップ234へ進める。一方、このとき泡注出時間計測タイマ24bによる計時が単位時間tに達していれば、「YES」と判定してプログラムをステップ532以降へ進める。
【0092】ステップ532においては、前記ステップ526と同様に、単位注出量q2を算出する。ステップ534においては、同算出した単位注出量q2を、それまでの総注出量Q2Dの値に加えて総注出量Q2Dを更新する。ステップ536においては、泡注出時間計測タイマ24bによる計時値を一旦“0”にリセットする。そして、ステップ538においては、同リセットした泡注出時間計測タイマ24bによる計時を再び開始する。これらステップ530〜538,234からなる処理の繰り返し実行により、注出制御回路24は、泡ボタン23cがオン状態に保たれている間、注出コック11により泡状態のビールを注出し続けながら、単位時間t毎に、圧力センサ22による検出圧力Pxを入力して、同入力した圧力Pxに基づき単位注出量q2を算出し、同算出した単位注出量q2を累積加算して総注出量Q2Dを計測し続ける(図14参照)。
【0093】上記注出及び計測の継続中、泡ボタン23cのオン状態が解除されると、注出制御回路24は、ステップ208における判定のもとに、前記図5と同様のステップ236,238を実行して、上記ビールの注出を停止するとともに、泡注出時間計測タイマ24bによる計時を停止する。これにより、注出コック11による泡状態のビールの注出が一旦終了するとともに、同注出における泡状態のビールの注出量が総注出量Q2Dとして計測されたことになる。
【0094】上記場合において、総注出量Q2Dは、それまでに計測した値をリセットすることなく、それまでの値から継続して計測を再開される。したがって、上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、泡ボタン23cがオン操作される毎に、ジョッキ台13上のビールジョッキに泡状態のビールが繰り返し注出されるとともに、同繰り返し注出されたビールの量が総注出量Q2Dに順次加算されて、この注出量設定モードの選択中に注出した泡状態のビールの総量が総注出量Q2Dとして計測されることになる。
【0095】上記ステップ214〜218の繰り返し実行中、注出ボタン23aがオン状態を解除されると、注出制御回路24は、ステップ214における判定のもとにプログラムをステップ540へ進めて、計測された総注出量Q1D,Q2Dをそれぞれ自動注出モードにて参照する注出量Q1,Q2として設定してメモリ24cに記憶する。このとき、既にメモリ24cに注出量Q1,Q2が設定記憶されている場合には、その記憶されている注出量Q1,Q2を書換えて更新する。そして、ステップ242にてこの注出量設定処理を終了し、プログラムを図3のステップ102へ戻す。
【0096】次に、自動注出モード選択時について説明する。注出制御回路24は、図12のステップ300における自動注出処理の実行開始後、前記注出量設定処理時における図9のステップ204,206,502,504と同様のステップ304,306、602,604の処理を実行して、切換駆動機構12により注出コック11を液注出状態に移行させ、液注出時間計測タイマ24aに計時を開始させるとともに、単位注出量q1を算出して最初の液状態のビールの総注出量Q1Dとして設定する。そして、以後、前記図9のステップ506〜514と同様のステップ606〜614からなる処理を繰り返し実行して、注出コック11により液状態のビールを注出し続けながら、単位時間t毎に、圧力センサ22による検出圧力Pxを入力して、同入力した圧力Pxに基づき単位注出量q1を算出し、同算出した単位注出量q1を累積加算して総注出量Q1Dを計測し続ける(図1414参照)。
【0097】上記注出及び計測の継続中、計測している総注出量Q1Dが注出量設定モードにて設定した注出量Q1に達すると、注出制御回路24は、ステップ616における判定のもとに、ステップ310にて切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記液状態のビールの注出を停止した上で、プログラムをステップ312以降へ進めて泡状態のビールの注出を開始する。この場合、注出制御回路24は、前記注出量設定処理時における図11のステップ230,232,526,528と同様のステップ312,314、618,620の処理を実行して、切換駆動機構12により注出コック11を泡注出状態に移行させ、泡注出時間計測タイマ24bに計時を開始させるとともに、単位注出量q2を算出して最初の泡状態のビールの総注出量Q2Dとして設定する。そして、以後、前記図11のステップ530〜538と同様のステップ622〜630からなる処理を繰り返し実行して、注出コック11により泡状態のビールを注出し続けながら、単位時間t毎に、圧力センサ22による検出圧力Pxを入力して、同入力した圧力Pxに基づき単位注出量q2を算出し、同算出した単位注出量q2を累積加算して総注出量Q2Dを計測し続ける(図14参照)。
【0098】上記注出及び計測の継続中、計測している総注出量Q2Dが注出量設定モードにて設定した注出量Q2に達すると、注出制御回路24は、ステップ632における判定のもとに、ステップ318にて切換駆動機構12により注出コック11を中立状態に移行させて上記泡状態のビールの注出を停止した上で、ステップ320にてこの自動注出処理を終了し、プログラムを図3のステップ104へ戻す。
【0099】上述のように、上記実施形態においては、注出量設定モードの選択中、注出制御回路24が、注出コック11により注出したビールの注出量Q1,Q2をそのときの圧力センサ22による検出圧力Pxに基づき算出して、メモリ24cに記憶する。そして、自動注出モードの選択時、注出コック11により液状態及び泡状態のビールを注出しながら、注出したビールの量Q1D,Q2Dを所定の単位時間t経過毎にその都度そのときの圧力センサ22による検出圧力Pxに基づき算出し、同算出した注出量Q1D,Q2Dがメモリ24cに記憶されている注出量設定モード選択時における注出量Q1,Q2に達したとき、注出コック11を中立状態に戻してビールの注出を終了する。
【0100】したがって、自動注出モード選択時、ガスボンベ90により供給されている炭酸ガスの圧力が注出量設定モード選択時と異なっていて、ビール樽80から注出コック11までビールが圧送される圧力が異なっていても、炭酸ガスの供給圧に基づき算出した注出量が一致するように注出コック11を開閉制御しているため、注出量設定モード選択時に注出したビールと同量のビールを注出することができる。特に、例えば図14(b)に示したように実際の炭酸ガスの供給圧が制御目標圧力P0と大きく異なるような場合など、注出中に炭酸ガスの供給圧が変化する場合であっても、注出制御回路24はビールの総注出量Q1D,Q2Dを単位時間t毎にその都度そのとき入力した検出圧力Pxに基づき算出しているため、正確に注出量設定モード選択時に注出したビールと同量のビールを注出することができる。これにより、常に所望量のビールを自動的に注出することができる。
【0101】なお、上記実施形態においては、注出量設定モード及び自動注出モードそれぞれにおいて、単位注出量q1,q2の算出の際に検出圧力Pxを参照するようにしたが、これに代えて、制御目標圧力P0に基づき単位注出量q1,q2を算出するようにしてもよい。また、別途センサなどを設けて注出コック11に供給されるビールの液圧を検出するようにして、同検出した液圧に基づいて単位注出量q1,q2を算出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るビールサーバの全体概略図である。
【図2】前記ビールサーバの電気制御部を表すブロック図である。
【図3】図1,2の注出制御回路により実行されるプログラムに対応したフローチャートである。
【図4】図3の注出量設定処理の前半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図5】前記注出量設定処理の後半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図6】図3の自動注出処理の詳細を表すフローチャートである。
【図7】図1,2の調圧制御回路により実行されるプログラムに対応したフローチャートである。
【図8】前記ビールサーバにおける樽温度と制御目標圧力との関係を表すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係り、図3の注出量設定処理の前半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図10】前記注出量設定処理の中間部分の詳細を表すフローチャートである。
【図11】前記注出量設定処理の後半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図12】図3の自動注出処理の前半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図13】前記自動注出処理の後半部分の詳細を表すフローチャートである。
【図14】(a),(b)はそれぞれ前記第2の実施形態に係るビールサーバにおける圧力と注出量の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10…ビールサーバ本体、11…注出コック、18…温度センサ、21…調圧バルブ、22…圧力センサ、23a…注出ボタン、23b…液ボタン、23c…泡ボタン、24…注出制御回路、24a…液注出時間計測タイマ、24b…泡注出時間計測タイマ、24c…メモリ、25…調圧制御回路、25a…メモリ、80…ビール樽、90…ガスボンベ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】飲料容器内に貯えた発泡飲料をガス供給手段により供給した炭酸ガスの圧力によって注出バルブまで圧送し該注出バルブの開状態にて外部に注出し閉状態にて封止するようにした飲料ディスペンサであって、前記発泡飲料を自動的に注出する自動注出モードと該自動注出モードにて注出する発泡飲料の量を設定するための注出量設定モードとを選択するためのモード選択手段と、該モード選択手段による注出量設定モードの選択中に前記発泡飲料の注出の開始及び停止を指示するための注出指示手段と、該注出指示手段により前記発泡飲料の注出の開始が指示されたとき前記注出バルブを開き前記発泡飲料の注出の停止が指示されたとき前記注出バルブを閉じる手動注出制御手段と、前記注出量設定モードの選択中に前記手動注出制御手段の制御下にて前記注出バルブが開かれた時間を計測する計時手段と、該計時手段により計測された時間を前記自動注出モードにて参照する注出時間として設定し記憶する時間記憶手段と、前記モード選択手段により自動注出モードが選択されたとき前記時間記憶手段に記憶されている注出時間を参照して前記注出バルブを開閉制御し前記発泡飲料を注出するようにした自動注出制御手段とを備えた飲料ディスペンサにおいて、前記注出量設定モード選択中における注出時間の設定記憶時に前記注出バルブに対する発泡飲料の供給圧を記憶する圧力記憶手段と、前記モード選択手段による自動注出モードの選択時、該自動注出モード選択時における前記注出バルブに対する発泡飲料の供給圧と前記圧力記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧とに基づき前記時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する補正手段とを設け、前記自動注出制御手段が、前記自動注出モードの選択時に前記注出バルブを前記補正手段により補正された注出時間の間だけ開くことにより前記注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出するようにしたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】前記請求項1に記載の飲料ディスペンサにおいて、前記ガス供給手段が前記飲料容器内に供給している炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段を設け、前記圧力記憶手段により記憶されて補正手段により参照される注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、又は前記補正手段により参照される自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧のうちの少なくともいずれか一方が、前記圧力検出手段により検出された炭酸ガスの圧力であることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項3】前記請求項1に記載の飲料ディスペンサにおいて、前記飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された発泡飲料の温度に基づき前記飲料容器内に供給する炭酸ガスの制御目標圧力を算出する目標圧力算出手段と、前記ガス供給手段が飲料容器内に供給する炭酸ガスの圧力が前記目標圧力算出手段により算出された制御目標圧力になるように前記ガス供給手段に介装された調圧バルブを制御する調圧制御手段とを設け、前記圧力記憶手段により記憶されて補正手段により参照される注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、又は前記補正手段により参照される自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧のうちの少なくともいずれか一方が、前記目標圧力算出手段により算出された炭酸ガスの制御目標圧力であることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項4】飲料容器内に貯えた発泡飲料をガス供給手段により供給した炭酸ガスの圧力によって注出バルブまで圧送し該注出バルブの開状態にて外部に注出し閉状態にて封止するようにした飲料ディスペンサであって、前記発泡飲料を自動的に注出する自動注出モードと該自動注出モードにて注出する発泡飲料の量を設定するための注出量設定モードとを選択するためのモード選択手段と、該モード選択手段による注出量設定モードの選択中に前記発泡飲料の注出の開始及び停止を指示するための注出指示手段と、該注出指示手段により前記発泡飲料の注出の開始が指示されたとき前記注出バルブを開き前記発泡飲料の注出の停止が指示されたとき前記注出バルブを閉じる手動注出制御手段と、前記注出量設定モードの選択中に前記手動注出制御手段の制御下にて前記注出バルブが開かれた時間を計測する計時手段と、該計時手段により計測された時間を前記自動注出モードにて参照する注出時間として設定し記憶する時間記憶手段と、前記モード選択手段により自動注出モードが選択されたとき前記時間記憶手段に記憶されている注出時間を参照して前記注出バルブを開閉制御し前記発泡飲料を注出するようにした自動注出制御手段とを備えた飲料ディスペンサにおいて、前記飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、前記注出量設定モード選択中における注出時間の設定記憶時に前記温度検出手段により検出した発泡飲料の温度を記憶する温度記憶手段と、前記モード選択手段による自動注出モードの選択時、前記温度検出手段により検出した該自動注出モード選択時における発泡飲料の温度と前記温度記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の温度とに基づき前記時間記憶手段に記憶されている注出時間を補正する補正手段とを設け、前記自動注出制御手段が、前記自動注出モードの選択時に前記注出バルブを前記補正手段により補正された注出時間の間だけ開くことにより前記注出量設定モード選択時に注出した発泡飲料と同量の発泡飲料を注出するようにしたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項5】飲料容器内に貯えた発泡飲料をガス供給手段により供給した炭酸ガスの圧力によって注出バルブまで圧送し該注出バルブの開状態にて外部に注出し閉状態にて封止するようにした飲料ディスペンサであって、前記発泡飲料を自動的に注出する自動注出モードと該自動注出モードにて注出する発泡飲料の量を設定するための注出量設定モードとを選択するためのモード選択手段と、該モード選択手段による注出量設定モードの選択中に前記発泡飲料の注出の開始及び停止を指示するための注出指示手段と、該注出指示手段により前記発泡飲料の注出の開始が指示されたとき前記注出バルブを開き前記発泡飲料の注出の停止が指示されたとき前記注出バルブを閉じる手動注出制御手段と、前記注出量設定モードの選択中に前記手動注出制御手段の制御下にて前記注出バルブが開かれて注出された発泡飲料の注出量を前記注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出する注出量算出手段と、該注出量算出手段により算出された注出量を前記自動注出モードにて参照する注出量として設定し記憶する注出量記憶手段と、前記モード選択手段により自動注出モードが選択されたとき、前記注出バルブを開き、以後注出した発泡飲料の注出量を所定時間経過毎に前記注出バルブに対する発泡飲料の供給圧に基づき算出し、該算出した注出量が前記注出量記憶手段に記憶されている注出量設定モード選択時における発泡飲料の注出量に達したとき前記注出バルブを閉じる自動注出制御手段とを設けたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項6】前記請求項5に記載の飲料ディスペンサにおいて、前記ガス供給手段が前記飲料容器内に供給している炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段を設け、前記注出量算出手段により参照される注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、又は前記自動注出制御手段により参照される自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧のうちの少なくともいずれか一方が、前記圧力検出手段により検出された炭酸ガスの圧力であることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項7】前記請求項5に記載の飲料ディスペンサにおいて、前記飲料容器内の発泡飲料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された発泡飲料の温度に基づき前記飲料容器内に供給する炭酸ガスの制御目標圧力を算出する目標圧力算出手段と、前記ガス供給手段が飲料容器内に供給する炭酸ガスの圧力が前記目標圧力算出手段により算出された制御目標圧力になるように前記ガス供給手段に介装された調圧バルブを制御する調圧制御手段とを設け、前記注出量算出手段により参照される注出量設定モード選択時における発泡飲料の供給圧、又は前記自動注出制御手段により参照される自動注出モード選択時における発泡飲料の供給圧のうちの少なくともいずれか一方が、前記目標圧力算出手段により算出された炭酸ガスの制御目標圧力であることを特徴とする飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2003−95395(P2003−95395A)
【公開日】平成15年4月3日(2003.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−282065(P2001−282065)
【出願日】平成13年9月17日(2001.9.17)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】