説明

飲料供給装置

【課題】飲料水を蓄えるタンク内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる飲料供給装置を提供する。
【解決手段】飲料供給装置1は、給水キャビネット2と、給水キャビネット2から供給される飲料水と粉末状の飲料原料から茶やコーヒー等の飲料を生成する飲料生成機本体3とから構成される。給水キャビネット2は、飲料水を蓄えるカセット式の給水タンク4と、給水タンク4内の飲料水を送出する給水ポンプ5と、給水ポンプ5から送出された飲料水を濾過する浄水器6とを備える。主制御部25は、給水タンク4内の飲料水の枯渇時に給水タンク4に飲料水が補給されると、給水ポンプ5を稼働させ、流量センサ10によって計測される主給水パイプ9内を流通する飲料水の流量が所定流量以上になると、給水ポンプ5を所定回数だけ間欠的に稼働させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料供給装置に係り、特に飲料水を蓄えるカセット式のタンクを内蔵する給水キャビネットを備えた飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料水を蓄えるカセット式のタンクを内蔵する給水キャビネットを備えた飲料供給装置が知られている。
例えば、特許文献1の図1を参照すると、飲料ディスペンサの給水キャビネット(飲料水供給手段)2は、飲料水を蓄えるカセットタンク7と、カセットタンク7内の飲料水を送出する給水ポンプ10と、給水ポンプ10によって送出された飲料水に含まれる不純物を取り除く水フィルタ11とを備えている。水フィルタ11の排水口は、給水パイプ25を介して冷却水を蓄える冷水タンク8に接続されており、給水パイプ25の途中には、第1給水弁24と流量センサ30が設けられている。
【0003】
この飲料ディスペンサにおいて冷飲料を注出する際には、第1給水弁24を開状態にして給水ポンプ10を稼働させると共に、粉末状の飲料原料を飲料調理部47に供給する。このとき、カセットタンク7内の飲料水は、給水ポンプ10、水フィルタ11、給水パイプ25を流通し、冷水タンク8内に蓄えられている冷却水によって冷却されて飲料調理部47に供給される。そして、カセットタンク7から所定量の飲料水が送出されたことを流量センサ30によって検知すると、給水ポンプ10を停止させる。その結果、所定量の冷水と飲料原料とが飲料調理部47において混合され、茶やコーヒー等の冷飲料が生成・注出される。
【0004】
飲料ディスペンサが給水キャビネット2から供給される飲料水を原料にして茶やコーヒー等を生成すると、カセットタンク7内の飲料水が減少していき、やがて給水可能な下限所定量を下回って枯渇状態になる。
一般的な飲料ディスペンサでは、カセットタンク7内の飲料水が枯渇した際にはこれをユーザに通知し、ユーザによって飲料水が補給されたことを検知すると、図6のタイミングチャートに示されるような飲料水の補給時の動作を開始する。この動作では、カセットタンク7に飲料水が補給されたことを検知すると、第1給水弁24を開状態にした後、給水ポンプ10を稼働させる。そして、給水パイプ25内を流れる飲料水の流量が所定流量以上になったことを流量センサ30によって検知すると、カセットタンク7内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になったと判断し、第1給水弁24を閉状態にした後、給水ポンプ10を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−193181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、飲料水の枯渇時には、水フィルタ11の内部に空気が入り込んでいる場合があり、この水フィルタ11内の空気は、上記のような動作を行っただけでは取り除くことができない。そのため、給水パイプ25内を流れる飲料水に水フィルタ11内の空気が気泡として混入し、給水パイプ25内を実際に流れる飲料水の流量が流量センサ30によって計測される流量よりも少なくなる場合がある。その結果、カセットタンク7内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後には、冷飲料の注出時に所定量を注出することができないという問題があった。また、水フィルタ11内に空気が大量に入り込んでいる状態で給水ポンプ10を稼働させると、水フィルタ11内の空気は飲料水と混合した状態で給水パイプ25内を流れて除々に抜けていくため、水フィルタ11内の空気が完全に抜けるまでに時間がかかる。その結果、冷飲料の注出時に所定量を注出することができるようになるまでに長時間を要する。
【0007】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、飲料水を蓄えるタンク内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係る飲料供給装置は、飲料水を蓄えるタンクと、タンク内の飲料水を送出するポンプと、ポンプから送出された飲料水を濾過する浄水器と、浄水器で濾過された飲料水が流通する流通経路と、流通経路内を流通してきた飲料水を原料にして飲料を生成する飲料生成手段と、ポンプを制御する制御手段とを備える飲料供給装置であって、制御手段は、タンク内の飲料水の枯渇時にタンクに飲料水が補給されると、ポンプを所定回数だけ間欠的に稼働させる。
これにより、飲料水を蓄えるタンク内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る飲料供給装置によれば、飲料水を蓄えるタンク内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係る飲料供給装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る飲料供給装置の浄水器の構造を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る飲料供給装置の主制御部周辺の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る飲料供給装置における、飲料水の補給時の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】この発明の実施の形態に係る飲料供給装置における、飲料水の補給時の動作中の浄水器内の様子を示す図である。
【図6】従来技術に係る飲料供給装置における、飲料水の補給時の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係る飲料供給装置1の構成を図1に示す。
飲料供給装置1は、給水キャビネット2と、給水キャビネット2から供給される飲料水と粉末状の飲料原料から茶やコーヒー等の飲料を生成する飲料生成機本体3とから構成されている。
【0012】
給水キャビネット2は、飲料水を蓄えるカセット式の給水タンク4と、給水タンク4内の飲料水を送出する給水ポンプ5と、給水ポンプ5から送出された飲料水を濾過して不純物や雑菌を取り除く浄水器6とを備えている。また、ユーザによって開閉可能なフロントパネル2aと、フロントパネル2aの開閉状態を検知する開閉センサ7と、フロントパネル2aに設けられて給水タンク4内の飲料水の枯渇をユーザに通知する通知ランプ8とを備えている。
【0013】
図2(a)に示されるように、給水キャビネット2の浄水器6は、ケーシング6aの内部に円筒型の活性炭フィルタ6bを備えた構造を有している。そして、図2(b)の断面図に示されるように、給水口6cから流入した飲料水は、パイプ6dを流通してケーシング6aの底部に至り、活性炭フィルタ6bの側面から中心部に至る過程で不純物や雑菌が取り除かれた後、排水パイプ6eを流通して排水口6fから排水される。
【0014】
図1に戻って、浄水器6の排水口は、浄水器6の鉛直上方に向けて延びる主給水パイプ9に接続されており、主給水パイプ9の途中には、主給水パイプ9内を流れる飲料水の流量に比例する数のパルスを出力する流量センサ10と、電磁開閉式の主給水弁11とが設けられている。
【0015】
また、飲料生成機本体3は、冷水タンク12と、温水タンク13と、粉末原料供給部14と、混合器15とを備えている。冷水タンク12は、飲料水を冷却するための冷却水を蓄えるものであり、図示しない冷却回路によって内部の冷却水が冷却される。温水タンク13は、温飲料を注出する際に用いられる温水を蓄えるものであり、図示しない加温回路によって内部の飲料水が加温される。粉末原料供給部14は、粉末状の飲料原料を混合器15に供給する。混合器15は、冷水タンク12内の冷却水によって冷却された冷水又は温水タンク13から供給される温水と粉末原料供給部14から供給される粉末状の飲料原料とを混合して茶やコーヒー等の冷飲料又は温飲料を生成する。
【0016】
冷水タンク12の内部には、飲料水を流通させて冷水タンク12内の冷却水と熱交換させるための冷却コイル16が設けられている。冷却コイル16の一端は、給水パイプ17を介して主給水パイプ9に接続され、冷却コイル16の他端は、冷水パイプ18と電磁開閉式の冷水弁19を介して混合器15に接続されている。
一方、温水タンク13の給水口は、給水パイプ20と電磁開閉式の副給水弁21を介して主給水パイプ9に接続されており、温水タンク13の排水口は、温水パイプ22、温水注出ポンプ23、電磁開閉式の温水弁24を介して混合器15に接続されている。
【0017】
また、図3に示されるように、飲料供給装置1は、マイクロコンピュータによって構成される主制御部25を有している。主制御部25は、開閉センサ7及び流量センサ10からの出力を取得すると共に、給水ポンプ5、通知ランプ8、主給水弁11、粉末原料供給部14、副給水弁21、冷水弁19、温水注出ポンプ23、及び温水弁24を制御する。
【0018】
次に、この実施の形態に係る飲料供給装置1における「冷飲料の注出動作」と「給水タンク内の飲料水の枯渇時の動作」を説明した後、本願発明の動作における特徴点である「給水タンクへの飲料水の補給時の動作」について説明する。
【0019】
(冷飲料の注出動作)
冷飲料を注出する際には、主制御部25は、冷水弁19を開状態にした後、主給水弁11を開状態にすると共に副給水弁21を閉状態にし、給水ポンプ5を稼働させる。また、粉末原料供給部14から粉末状の飲料原料を混合器15に供給する。このとき、給水タンク4内の飲料水は、給水ポンプ5、浄水器6、主給水パイプ9、給水パイプ17を流通して冷却コイル16に送り込まれ、冷却コイル16内を流通する過程で冷水タンク12内の冷却水と熱交換して冷水となった後、冷水パイプ18を流通して混合器15に供給される。主制御部25は、給水タンク4から混合器15に所定量の飲料水が送出されたことを流量センサ10によって検知すると、給水ポンプ5を停止させる。その結果、所定量の冷水と粉末状の飲料原料とが混合器15において混合され、茶やコーヒー等の冷飲料が生成・注出される。
【0020】
(給水タンク内の飲料水の枯渇時の動作)
給水タンク4からの給水中に給水タンク4内の飲料水が枯渇すると、流量センサ10からパルスが出力されなくなる。このとき、主制御部25は、主給水弁11を閉状態にすると共に給水ポンプ5を停止させる。そして、給水キャビネット2のフロントパネル2aに設けられた通知ランプ8を点滅させて、ユーザに給水タンク4への飲料水の補給を促す。
ユーザは、給水タンク4内の飲料水の枯渇を知らせる通知ランプ8が点滅している場合には、フロントパネル2aを開いて給水タンク4に飲料水を補給し、再びフロントパネル2aを閉じる。
(給水タンクへの飲料水の補給時の動作)
【0021】
主制御部25は、フロントパネル2aが閉じられたことを開閉センサ7によって検知すると、給水タンク4に飲料水が補給されたと判断し、図4のタイミングチャートに示されるような飲料水の補給時の動作を開始する。この動作では、給水タンク4に飲料水が補給されたことを検知すると給水ポンプ5を稼働させ、流量センサ10によって計測される主給水パイプ9内を流通する飲料水の流量が所定流量(=13ml/秒)以上になると、給水ポンプ5を所定回数(=4回)だけ間欠的に稼働させる。詳細には、次に示す(1)〜(3)の動作を行う。
【0022】
(1)開閉センサ7がON(フロントパネル2aが閉状態)になると、主給水弁11と副給水弁21を共に開状態にした後、4秒経過するのを待って給水ポンプ5を稼働させる。このとき、給水ポンプ5から送出された飲料水は、浄水器6、主給水パイプ9、給水パイプ20を流通して温水タンク13に送り込まれる。
(2)主給水パイプ9の途中に設けられた流量センサ10から、所定流量(=13ml/秒)に対応するパルス数(=15パルス/0.5秒)以上のパルスを10秒間にわたって検知すると、飲料水の枯渇が解消されたと判断し、2秒経過するのを待って主給水弁11を閉状態にし、さらに1秒経過後に給水ポンプ5を停止させる。
(3)以下の(a)〜(c)の動作を所定回数(=4回)繰り返す。
(a)3秒経過するのを待って、主給水弁11を開状態にすると共に、給水ポンプ5を稼働させる。このとき、給水ポンプ5から送出された飲料水は、上記(1)と同様に温水タンク13に送り込まれる。
(b)2秒経過後に、主給水弁11を閉状態にする。
(c)1秒経過後に、給水ポンプ5を停止させる。
尚、上記(3)における4回目の繰り返しの際には、(b)で主給水弁11を閉状態にしてから0.5秒経過後に、副給水弁21を閉状態にする。
以上の動作が完了すると給水可能状態になる。
【0023】
上記のように給水ポンプ5を間欠的に稼働させた際の浄水器6の内部状態の変化を図5(a)〜(d)に示す。
図5(a)は1回目の間欠運転開始前の状態であり、浄水器6内に空気が入りこんでおり、活性炭フィルタ6bの上部の空気層(図中の白抜き部分)と、下部の飲料水(図中のハッチング部分領域)とがバランスしている。
図5(b)は1回目の間欠運転中の状態であり、給水ポンプ5を稼働させて給水口6cから飲料水が流入してくると、まず排水パイプ6e内の空気が追い出された後、活性炭フィルタ6bを流通した飲料水が排水パイプ6eに流入して排水口6fから排水される。このとき、飲料水は水頭圧のために活性炭フィルタ6bの下部を主に流通するため、一旦飲料水の排水が開始されると空気層は活性炭フィルタ6bの上部に溜まったままになる。
図5(c)は1回目の間欠運転直後の状態であり、図5(a)に比べて減少した空気層と飲料水とがバランスし、排水パイプ6e内に再び空気が入り込んでいる。
図5(d)は2回目の間欠運転中の状態であり、先と同様に給水ポンプ5を稼働させて給水口6cから飲料水が流入してくると、排水パイプ6e内の空気が再び追い出された後、活性炭フィルタ6bを流通した飲料水が排水パイプ6eに流入して排水口6fから排水される。
このように、給水ポンプ5を間欠的に稼働させると、浄水器6内の空気が徐々に追い出されていき、やがて浄水器6内が完全に飲料水で満たされた状態になる。
【0024】
浄水器6内が完全に飲料水で満たされた状態となった後に、先に述べた冷飲料の注出動作を行う際には、浄水器6内に空気が残っていないため、主給水パイプ9内を流通する飲料水に気泡が混入することはない。また、給水タンク4からの給水を停止しても主給水弁11と浄水器6との間の飲料水が浄水器6に戻って主給水パイプ9内に空気層が形成されることもない。そのため、給水タンク4内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる。
【0025】
以上説明したように、この実施の形態に係る飲料供給装置1では、給水タンク4内の飲料水の枯渇時に給水タンク4に飲料水が補給されると、給水ポンプ5を所定回数(=4回)だけ間欠的に稼働させる。これにより、給水タンク4内の飲料水の枯渇状態が解消されて給水可能な状態になった直後であっても、冷飲料の注出時に所定量を確実に注出することができる。
【0026】
尚、実施の形態において、給水ポンプ5を間欠的に稼働させる所定回数を4回に設定したが、所定回数は4回に限定されるものではなく、適宜調整することができる。同様に、流量、パルス数、経過時間等の値も、実施の形態において示した値に限定されるものではなく、適宜調整することができる。
また、実施の形態において、給水ポンプ5を間欠的に稼働させた際に送出される飲料水を温水タンク13に流入させたが、主給水パイプ9を図示しない排水管に連通させることによって、飲料供給装置1の外部に排水してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 飲料供給装置、3 飲料生成手段(飲料生成機本体)、4 タンク(給水タンク)、5 ポンプ(給水ポンプ)、6 浄水器、9 流通経路(主給水パイプ)、25 制御手段(主制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を蓄えるタンクと、
該タンク内の飲料水を送出するポンプと、
該ポンプから送出された飲料水を濾過する浄水器と、
該浄水器で濾過された飲料水が流通する流通経路と、
該流通経路内を流通してきた飲料水を原料にして飲料を生成する飲料生成手段と、
前記ポンプを制御する制御手段と
を備える飲料供給装置であって、
前記制御手段は、前記タンク内の飲料水の枯渇時に該タンクに飲料水が補給されると、前記ポンプを所定回数だけ間欠的に稼働させる、飲料供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate