説明

飲料水供給機

【課題】飲料水バッグを交換した直後でも短時間で適温(5°C以下)に冷却された冷却飲料水を抽出できる安価な飲料水供給機を提供する。
【解決手段】供給機本体1の前面側にテーブル部6が一体的に形成され、供給機本体1の上面側の載置面1aはポリエチレンやビニール袋等の可撓性袋体3aに所定量の飲料水Wを封入した飲料水バッグを収容した箱状のケース3を載置する際、テーブル部6側、抽出口4が下向きになるように所定の傾斜角度αで形成されている。冷却手段の下部にはフロンガス等の冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置を収容した収容部が一体的に形成されると共に、ベースプレート上に熱伝導性の良い金属材料から成る厚さ2mm程度のドーム状に形成したエバポレーター・チャンバーがウレタンフォーム等の断熱材を介して気密的に配設してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般家庭やオフィス等において便利に使用出来る飲料水供給機に係わり、更に詳しくは特に飲料水バッグを交換した直後でも適温に冷却された冷却飲料水を抽出させることが出来る冷却飲料水の供給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康上または衛生上等から水道水を直接飲まずに、市販されているミネラルウォーター類や、お茶等が一般に飲まれており、これに伴って、会社や家庭等においても、市販されている飲料水等を抽出させることが出来る飲料水ディスペンサー,ウォーターサーバー等と呼称されている飲料水供給機が使用されている。
【0003】
また、飲料水の種類としては、冷却された飲料水と、加温された飲料水とがあり、温かい飲料水に比較して冷却された飲料水の要望が多く、更に温かい飲料水は冬期間の一時期であるのに対して、冷却された飲料水は一年間を通して需要が多いのが現状である。
【0004】
飲料水供給機に使用する飲料水には、大型ボトルに所定量(例えば、10リットル〜30リットル) の飲料水を入れて使用する大型ボトルタイプと、ビニール袋等の可撓性袋体に10リットル程度の飲料水を封入した飲料水バッグを箱状のケース(ダンボール箱等)に収容したバギンボックス(BiB)タイプのものとがある。
【0005】
前記バギンボックス(BiB)を使用する飲料水供給機としては、飲料水を封入した可撓性袋体を収容した箱状のケースを供給機本体の収容部にセットし、ケースの背面側下部に開口している開口部から露出した可撓性袋体を前記収容部の背面側から突出させた円錐台状の冷却部に押しつけて接触させ、可撓性袋体内の飲料水を直接冷却させて供給機本体の抽出バルブから抽出させるように構成したもの(例えば、特許文献1参照,特許文献2参照)や、また複数のバギンボックスを供給機本体の収容部に入れて所定の温度に冷却しておき、冷却されたバギンボックスから順次使用するようなウォーターサーバーのバッグインボックス収納装置(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【0006】
然しながら、前者の収容部の背面側から突出させた円錐台状の冷却部に飲料水を封入した可撓性袋体の下部側を押し付けて接触させ、飲料水バッグ内の飲料水を直接冷却させるウォーターサーバーの場合、バッグ内の飲料水の冷却効率が悪く、供給機本体の収容部に突出させた円錐台状の冷却部に対して供給機本体の側面側から可撓性袋体を収容した箱状のケースを挿入させ、かつ円錐台状の冷却部に飲料水を封入した可撓性袋体の下部側を押し付けるには多大な労力を必要とし、婦女子や老人等ではバギンボックス(BiB)の交換作業が難しいと言う問題がある。
【0007】
即ち、供給機本体の側面側から可撓性袋体を収容した箱状のケースを挿入させて可撓性袋体を突出した円錐台状の冷却部に挿入させるには、その冷却部の体積分だけの水を上方に押し上げる必要があり、またその部分の可撓性袋体のバッグは自由に変形できないこともあって可なりの力を要すると言う問題がある。
【0008】
また可撓性袋体のバッグは円錐台状の冷却部を跳ね返そうとする作用が働き、可撓性袋体のバッグを手前から強力な力で抑える必要がある。
【0009】
また、可撓性袋体のバッグは自由に変形できないので、円錐台状の冷却部と接触する面積が少なく冷却が遅くなり、かつ冷却効果が低下すると言う問題がある。また、円錐台状の冷却部を収容部の背面側から突出させる場合、構造的に複雑になると言う問題もある。
【0010】
また従来のバギンボックス(BiB)を使用する飲料水供給機は、バギンボックスを交換した時には、飲料水バッグに封入された飲料水が冷却される一定時間(例えば、10分〜15分)は冷たい飲料水を抽出させて飲むことが出来ず、また直ぐに冷却された飲料水を抽出させて飲みたい場合には、予めバギンボックスを予備冷却させておくための冷蔵庫や、冷却設備が必要となっていた。しかし、予備冷却させておくための冷蔵庫や、冷却設備を飲料水供給機に具備させるには、装置全体が大型化して広いスペースが必要になると共に、コストアップとなる問題があった。
【0011】
更に、従来の飲料水供給機に、バクテリア等に汚染されないような設備を付加させる場合には、構造が複雑で、コストアップとなる問題があった。また、従来のようなバギンボックスでは、自重により飲料水を排出させる構造であるため、可撓性袋体に封入された飲料水バッグ内の飲料水の全てを確実に排出させることが難しく、飲料水バッグの大きさにもよるが、ペットボトル一本程度(500ml程度)の残水が残り、無駄になってしまう等の問題があった。
【0012】
また、箱状のケースと飲料水を封入した可撓性袋体との間に冷風を吹き込んで飲料水を冷却する方法の場合には、送風機等の設備が必要となる上、箱状のケースの構造が複雑になると言う問題があった。
【特許文献1】特開2008−37445号公報
【特許文献2】特開2003−206000号公報
【特許文献3】特開2004−352301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、飲料水バッグを交換した直後でも短時間に適温(5°C以下)に冷却された冷却飲料水を抽出させることが出来、更にバクテリア等の汚染防止設備を具備させても複雑な構成とならず安価に製造することが出来る飲料水供給機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は上記目的を達成するため、冷却手段は、熱伝導性の高い金属材料で形成した外殻板と内殻板との二重構造のエバポレーター・チャンバーに形成すると共に、前記外殻板と内殻板との間に内殻板の端末部において連通する冷媒通路を形成し、前記エバポレーター・チャンバーの内殻板の中央内側に、前記冷媒通路に冷媒ガスを噴射させる噴射ノズルを設け、エバポレーター・チャンバーの内殻板の下部に冷媒ガスを回収する回収管を設け、前記噴射ノズルと回収管とを冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置に接続したことを要旨とするものである。
【0015】
ここで、前記噴射ノズルの先端を、冷媒ガスがエバポレーター・チャンバーの頂部から冷媒通路に均一に噴射させるように形成し、また前記エバポレーター・チャンバーの断面形状を、略楕円台状に形成するものである。また、前記ベースプレートを飲料水供給機の前面から後方に向かって所定の角度で上向きに傾斜させて形成し、このベースプレート上に冷却手段を設けると共に、飲料水を封入した可撓性袋体を収容したケースを載置するように構成するものである。
【0016】
また、前記噴射ノズルの内部に冷媒ガスの温度を検出する温度センサーを内装するものであり、前記冷媒循環装置は、冷媒ガスの循環配管が接続された冷媒ガス圧縮機と、凝縮器とで構成するものである。また前記噴射ノズルの先端を、前記飲料水供給機の前面側の冷媒通路に設け、噴射した冷媒が飲料水供給機の前面から後方に向かって傾斜する冷媒通路に流れるように構成することも可能である。
【0017】
また、この発明の他の飲料水供給機の冷却手段は、熱伝導性の高い金属材料でエバポレーター・チャンバーを形成すると共に、前記エバポレーター・チャンバーの中央内側に、前記エバポレーター・チャンバーの内壁面の複数ヶ所に向かって冷媒ガスを均一に噴射させる複数の分岐した噴射ノズルを設け、エバポレーター・チャンバーの内殻板の下部に冷媒ガスを回収する回収管を設け、前記噴射ノズルと回収管とを冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置に接続したことを要旨とするものである。
【0018】
ここで、前記エバポレーター・チャンバーの断面形状を、略楕円台状に形成したり、前記ベースプレートを飲料水供給機の前面から後方に向かって所定の角度で上向きに傾斜させて形成し、このベースプレート上に冷却手段を設けると共に、飲料水を封入した可撓性袋体を収容したケースを載置するように構成することも可能である。
【0019】
また、前記噴射ノズルの内部に冷媒ガスの温度を検出する温度センサーを内装したり、前記冷媒循環装置は、冷媒ガスの循環配管が接続された冷媒ガス圧縮機と、凝縮器とで構成するものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、上記のように冷却手段は、熱伝導性の高い金属材料で形成した外殻板と内殻板との二重構造のエバポレーター・チャンバーに形成すると共に、前記外殻板と内殻板との間に内殻板の端末部において連通する冷媒通路を形成し、前記エバポレーター・チャンバーの内殻板の中央内側に、前記冷媒通路に冷媒ガスを噴射させる噴射ノズルを設け、エバポレーター・チャンバーの内殻板の下部に冷媒ガスを回収する回収管を設け、前記噴射ノズルと回収管とを冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置に接続したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
【0021】
(1).婦女子や老人でもバギンボックス(BiB)の交換作業を容易に行うことが出来る。(2).飲料水を封入した飲料水バッグを収納したケースを交換した直後でも、飲料水バッグ の下面側を冷却手段により冷却するので、直ぐに適温(5°C以下)の冷却した衛生 的な飲料水を抽出させて飲むことが出来る。
(3).飲料水供給機全体をコンパクトに構成することが出来、狭いスペースでも有効に利用 することが出来る。
(4).予め飲料水バッグを収納したケースを予備冷却するための設備が不要であるため、安 価で、コンパクトな設計が出来る。
(5).飲料水バッグを収納したケースと、飲料水抽出口との間に飲料水を貯留して冷却する ためのタンクや設備が不要であるので、供給機本体全体をシンプルで、コンパクトに 構成することが出来る。
(6).飲料水配管内のバクテリア等の汚染防止設備を具備させても複雑な構成とならず、コ ンパクトで、安価に製造することが出来る。
(7).飲料水として、ミネラルウォーター類のみならず、ウーロン茶や緑茶等にも適用でき 、汎用性のあるものとして有効に利用することが出来る。
(8).飲料水バッグの交換時に飲料水バッグ内の飲料水の残量が少なく、従って無駄がなく 、また飲料水バッグを収納したケースの出し入れを容易に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明を実施した飲料水供給機全体の斜視図、図2はカバーを取り外した時の供給機本体1とカバー2と飲料水を封入した飲料水バッグ(図示省略)を収納したケース3(バギンボックス:ダンボール箱等)との関係を示す斜視図を示し、前記箱状のケース3内には、ビニール袋等の可撓性袋体3aに10リットル程度の飲料水が封入され、可撓性袋体3aの一部には飲料水を抽出させる抽出口4が取り付けられている。
【0023】
前記供給機本体1の第1実施形態としては、図3に示すように、供給機本体1の前面側に冷却水Wを抽出させる際にコップ等の容器5を載置するテーブル部6が一体的に形成され、また供給機本体1の上面側の載置面1aは、ポリエチレンやビニール袋等の可撓性袋体3aに所定量の飲料水Wを封入した飲料水バッグを収容した箱状のケース3を載置する際、前記容器5を載置するテーブル部6側、即ち、抽出口4が下向きになるように所定の傾斜角度αで形成されている。
【0024】
また、供給機本体1の上面側の載置面1aには、ケース3内に収容されている可撓性袋体3a内の飲料水Wを冷却する冷却手段7が設置され、この冷却手段7の下部にはフロンガス等の冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置8を収容した収容部9が一体的に形成されている。
【0025】
前記供給機本体1の冷却手段7は、ステンレス等のベースプレート10上に熱伝導性の良い金属材料から成る厚さ2mm程度のドーム状(略半円弧状)に形成したエバポレーター・チャンバー(蒸発器)11がウレタンフォーム等の断熱材12を介して気密的に配設してある。前記ドーム状に形成されたエバポレーター・チャンバー11は、熱伝導性の高い金属材料(例えば、アルミニュウム,ステンレス,銅等)で形成した外殻板11aと内殻板11bとの二重構造に形成すると共に、前記外殻板11aと内殻板11bとの間には、内殻板11bの端末部において連通する冷媒通路13が形成してあり、前記エバポレーター・チャンバー11の内殻板11bの中央内側に、前記冷媒通路13に所定の圧力(例えば、約98kPa 〜490kPa(1kgf/cm2 〜5 kgf/cm2 ) )で、所定の温度(例えば、−20°C前後)に設定してあるフレオンガス等の冷媒ガスQを噴射させる噴射ノズル14を設けてある。
【0026】
前記エバポレーター・チャンバー11の内殻板11bの下部には、冷媒ガスQを回収する回収管15を設け、前記噴射ノズル14と回収管15とを循環配管17a,17bを介して前記冷媒循環装置8に接続されている。前記噴射ノズル14の先端は、冷媒ガスQをエバポレーター・チャンバー11の頂部11xから冷媒通路13に均一に噴射させるように形成してあり、この冷媒ガスQを前記頂部11xから冷媒通路13に均一に噴射させる手段としては、仕切り板を設けたり、分岐通路を設ける等、種々の方法が考えられる。
【0027】
なお、前記エバポレーター・チャンバー11の断面形状は、ドーム状(略半円弧状)や略楕円台状に形成するが、特に形状には限定されず、エバポレーター・チャンバー11のの表面積を大きくし、冷媒ガスQを均一に当てことが出来るものであれば形状に限定されるものではない。
【0028】
また、前記ステンレス等のベースプレート10を供給機本体1の前面から後方に向かって所定の角度αで上向きに傾斜させて形成することで、箱状のケース3内に収容された可撓性袋体3a内の飲料水を自重により、飲料水を抽出口4に向かって流すことが出来、可撓性袋体3a内の飲料水の全てを使い切ることが可能となる。
【0029】
前記噴射ノズル14の内部には、冷媒ガスQの温度を検出する温度センサー18が内装してあり、また、前記冷媒循環装置8を収容した収容部9には、冷媒ガスQの冷媒ガス圧縮機19と凝縮器20とが配設され、前記温度センサー18は、凝縮器20に接続されている。なお、21はモータ、22はマイクロスイッチを示している。
【0030】
また、前記可撓性袋体3aに所定量の飲料水Wを封入した箱状のケース3の底面は、可撓性袋体3aが露出する図示しない開口形成部が形成してあり、この開口形成部は、ケース3の底面にミシン目等により切除可能な切断部を設けてケース3の設置時に切除可能に構成し、また開口形成部は少なくとも前記ドーム状(半円弧状)に形成したエバポレーター・チャンバー11上に挿入して、エバポレーター・チャンバー11の外表面(上面)が可撓性袋体3aの底面に密着可能な大きさになっている。
【0031】
なお、上記のケース3の開口形成部は、箱状のケース3の底面に予め形成しておくか、または使用時に切断して形成するものである。
【0032】
更に、前記供給機本体1上に載置されたケース3上を覆う着脱可能なカバー2は、供給機本体1の冷却手段7の周囲に形成された仕切り堰23等に係合するように箱状に形成され、カバー2の前面側には、可撓性袋体3aの一部に設けた飲料水Wの抽出口4が突出する略楕円状の切欠部24を設けてある。このカバー3は、その全体を着色した透明な樹脂材料等により形成することで、供給機本体1に取付けた際に外観的にも美的装飾に優れたものとなる。
【0033】
次に、図4は供給機本体1の冷却手段7の第2実施形態を示し、この実施形態は、上記第1実施形態と同様な構成において、前記噴射ノズル14の先端を、供給機本体1の前面側、即ち、ベースプレート10の傾斜した下側に冷媒通路13に対する吹き出し口14aを設け、噴射した冷媒Qが供給機本体1の前面側(下側)から後方(上側)に向かって傾斜する冷媒通路13に流れるように構成してある。
【0034】
このように構成することで、冷却の立上げが速くなりエバポレーター・チャンバー11の外表面の温度がより速く低下するため、可撓性袋体3aの飲料水Wも短時間に一定温度まで冷却することが出来る。なお、その他の構成は上記第1実施形態と同様なので、同一符号を付して説明は省略する。
【0035】
また、図5は供給機本体1の冷却手段7の第3実施形態を示し、この実施形態は、第1実施形態な構成において、前記冷却手段7は、熱伝導性の高い金属材料でエバポレーター・チャンバー11により形成すると共に、前記エバポレーター・チャンバー11の中央内側に、前記エバポレーター・チャンバー11の内壁面の複数ヶ所(この実施形態では3ヵ所であるが、この数を更に増やすことも可能である)に向かって冷媒ガスQを均一に噴射させる複数の分岐した噴射ノズル14xを設け、エバポレーター・チャンバー11の内殻板11bの下部に冷媒ガスQを回収する回収管15を設け、前記噴射ノズル14xと回収管15とを冷媒Qを精製しながら循環させる冷媒循環装置8に接続して構成してある。
【0036】
このように、エバポレーター・チャンバー11の内壁面の複数ヶ所に向かって冷媒ガスQを均一に噴射させる複数の分岐した噴射ノズル14xを設けたので、冷却の立上げが速くなりエバポレーター・チャンバー11の外表面の温度がより速く低下するため、可撓性袋体3aの飲料水Wも短時間に一定温度まで冷却することが出来る。
【0037】
なお、その他の構成は上記第1実施形態と同様なので、同一符号を付して説明は省略する。
【0038】
次に、上記のような構成から成る飲料水供給機の使用方法について説明する。
まず、カバー2を取外した状態の供給機本体1における冷却手段7のエバポレーター・チャンバー11のドーム状に形成された外殻板11a上に飲料水Wを封入した可撓性袋体3aを収容した箱状のケース3を載置する際、箱状のケース3の底面に形成した開口形成部を開口させて可撓性袋体3が露出するようにする。
【0039】
そして箱状の開口形成部をドーム状(半円弧状)に形成したエバポレーター・チャンバー11の外殻板11aに被せるようにして載置すると共に、可撓性袋体3aがエバポレーター・チャンバー11の外殻板11aの外表面に接触するように載置する。
【0040】
一方、エバポレーター・チャンバー11の内壁面には、冷媒循環装置8から供給される所定温度(例えば、−20°C前後)で所定圧力の冷媒ガスQが噴射ノズル14により吹き付けられているため、エバポレーター・チャンバー11の外表面も−20°C前後に冷却されており、このような冷却されたエバポレーター・チャンバー11上に上述した飲料水Wを封入した可撓性袋体3aを接触させると、可撓性袋体3a内の飲料水Wはエバポレーター・チャンバー11の接触面側から徐々に冷却され、この発明の実施形態では、10分〜15分程度で500ml〜1リットルの飲料水が5°C〜10°Cに冷却され、コップ5の一杯程度の冷却された飲料水Wは、設置直後でも抽出させることが可能である。
【0041】
また、前記冷却手段7のステンレス等のベースプレート10もエバポレーター・チャンバー11が冷却されることにより−10°C前後に冷却されるため、ベースプレート10上に載置されたケース3の底面側も間接的に冷却されることになる。
【0042】
前記可撓性袋体3a内の飲料水Wは、抽出部4から抽出されなければ、可撓性袋体3a内全体の温度は5°C前後に冷却された状態を保ち、また抽出された場合には、設定温度となるようにエバポレーター・チャンバー11を一定温度に冷却する。この温度制御は、噴射ノズル14の内部に配設した温度センサー18により冷媒ガスQ(フレオンガス)の温度を常時検出し、冷媒ガス圧縮機19及び凝縮器20の駆動を制御することにより温度制御を容易に行うことが出来るものである。
【0043】
即ち、液状体の冷媒が圧縮されて気化する際に、その冷媒ガスQをエバポレーター・チャンバー11の内面に吹き付けることで冷却するものであるが、この吹き付ける冷媒ガスQの温度を検出することでエバポレーター・チャンバー11の冷却温度を制御するものである。エバポレーター・チャンバー11の内面に吹き付けられた冷媒ガスQは、回収管15及び循環配管17bを介して冷媒ガス圧縮機19,凝縮器20に回収されて再度循環使用される。
【0044】
以上のように、この発明では、一定温度に冷却されているエバポレーター・チャンバー11に飲料水Wを封入した可撓性袋体3aの底面側を直接接触させることで、ケース3(バギンボックス)を交換した直後でも適温(5°C以下)に冷却された冷却飲料水を抽出させることが可能となり、また装置がコンパクトで構造が簡単であり、残量が少なく、安価に製造することが出来るものである。更にバクテリア等の汚染防止設備を具備させる必要がないので複雑な構成とならず安価に製造することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明を実施した飲料水供給機全体の斜視図である。
【図2】カバーを取り外した時の供給機本体とカバーと飲料水を封入した飲料水バッグを収納したケースとの関係を示す斜視図である。
【図3】この発明の第1実施形態を示す供給機本体の冷却手段の断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態を示す供給機本体の冷却手段の断面図である。
【図5】この発明の第3実施形態を示す供給機本体の冷却手段の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 供給機本体
1a 載置面
2 カバー
3 ケース(バギンボックス:ダンボール箱等)
3a 可撓性袋体
4 抽出口
5 容器
6 テーブル部
7 冷却手段
8 冷媒循環装置
9 収容部
10 ベースプレート
11 エバポレーター・チャンバー(蒸発器)
11a 外殻板
11b 内殻板
11x 頂部
12 断熱材
13 冷媒通路
14 噴射ノズル
15 回収管
17a,17b 循環配管
18 冷媒循環装置
19 冷媒ガス圧縮機
20 凝縮器
21 モータ
22 マイクロスイッチ
23 仕切り堰
24 切欠部
Q 冷媒ガス
W 飲料水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を封入した可撓性袋体をベースプレート上に設置した冷却手段の冷却部に直接接触させ、前記可撓性袋体の飲料水を一定温度に冷却し、冷却した飲料水を可撓性袋体の一部に設けた抽出口から抽出させるように構成して成る飲料水供給機において、前記冷却手段は、熱伝導性の高い金属材料で形成した外殻板と内殻板との二重構造のエバポレーター・チャンバーに形成すると共に、前記外殻板と内殻板との間に内殻板の端末部において連通する冷媒通路を形成し、前記エバポレーター・チャンバーの内殻板の中央内側に、前記冷媒通路に冷媒ガスを噴射させる噴射ノズルを設け、エバポレーター・チャンバーの内殻板の下部に冷媒ガスを回収する回収管を設け、前記噴射ノズルと回収管とを冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置に接続したことを特徴とする飲料水供給機。
【請求項2】
前記噴射ノズルの先端を、冷媒ガスがエバポレーター・チャンバーの頂部から冷媒通路に均一に噴射させるように形成した請求項1に記載の飲料水供給機。
【請求項3】
前記エバポレーター・チャンバーの断面形状を、略楕円台状に形成した請求項1または2に記載の飲料水供給機。
【請求項4】
前記ベースプレートを飲料水供給機の前面から後方に向かって所定の角度で上向きに傾斜させて形成し、このベースプレート上に冷却手段を設けると共に、飲料水を封入した可撓性袋体を収容したケースを載置するように構成した請求項1,2または3に記載の飲料水供給機。
【請求項5】
前記噴射ノズルの内部に冷媒ガスの温度を検出する温度センサーを内装した請求項1,2,3または4に記載の飲料水供給機。
【請求項6】
前記冷媒循環装置は、冷媒ガスの循環配管が接続された冷媒ガス圧縮機と、凝縮器とで構成した請求項1,2,3,4または5に記載の飲料水供給機。
【請求項7】
前記噴射ノズルの先端を、前記飲料水供給機の前面側の冷媒通路に設け、噴射した冷媒が飲料水供給機の前面から後方に向かって傾斜する冷媒通路に流れるように構成した請求項1,2,3,4,5または6に記載の飲料水供給機。
【請求項8】
飲料水を封入した可撓性袋体をベースプレート上に設置した冷却手段の冷却部に直接接触させ、前記可撓性袋体の飲料水を一定温度に冷却し、冷却した飲料水を可撓性袋体の一部に設けた抽出口から抽出させるように構成して成る飲料水供給機において、前記冷却手段は、熱伝導性の高い金属材料でエバポレーター・チャンバーを形成すると共に、前記エバポレーター・チャンバーの中央内側に、前記エバポレーター・チャンバーの内壁面の複数ヶ所に向かって冷媒ガスを均一に噴射させる複数の分岐した噴射ノズルを設け、エバポレーター・チャンバーの内殻板の下部に冷媒ガスを回収する回収管を設け、前記噴射ノズルと回収管とを冷媒を精製しながら循環させる冷媒循環装置に接続したことを特徴とする飲料水供給機。
【請求項9】
前記エバポレーター・チャンバーの断面形状を、略楕円台状に形成した請求項8に記載の飲料水供給機。
【請求項10】
前記ベースプレートを飲料水供給機の前面から後方に向かって所定の角度で上向きに傾斜させて形成し、このベースプレート上に冷却手段を設けると共に、飲料水を封入した可撓性袋体を収容したケースを載置するように構成した請求項8または9に記載の飲料水供給機。
【請求項11】
前記噴射ノズルの内部に冷媒ガスの温度を検出する温度センサーを内装した請求項8,9または10に記載の飲料水供給機。
【請求項12】
前記冷媒循環装置は、冷媒ガスの循環配管が接続された冷媒ガス圧縮機と、凝縮器とで構成した請求項8,9,10または11に記載の飲料水供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−275933(P2009−275933A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124995(P2008−124995)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(593231210)株式会社北栄 (8)
【Fターム(参考)】