説明

飲料水供給装置

【課題】 取水操作によりタンク内の飲料水が取水されても、その取水された分の飲料水を飲料水容器の側から緩やかに補充し得るようにして、飲料水容器の耐久性低下や損傷発生のおそれを回避し得るようにした飲料水供給装置を提供する。
【解決手段】 冷水タンクとウォータボトル3とを連通接続させるボトルピン12の下端側を冷水タンク側に対し下向きに突出させる。突出部123に対し受け部となる凹部22の下端位置よりも下位に空気導入孔124を貫通形成し、空気導入孔よりも下位に設定維持水位L1を設定し、下端開口125を設定維持水位L1よりも空気の侵入が生じない程度に下位に設定する。空気導入孔を水は通過させずに空気を通過させる所定径に設定し、水位低下時には空気導入孔から少量ずつ連続して空気吸い込みが生じるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の上側に飲料水容器が着脱可能に載置され、この飲料水容器から飲料水が導水管を通してタンク内に供給され、取水弁の開閉操作によりタンク内から飲料水が供給されるようにした飲料水供給装置に関し、特に、飲料水容器からタンク内への導水を緩やかにすることにより飲料水容器の耐久性向上又は損傷発生の回避を図り得る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水供給装置としては、ウォータサーバもしくはディスペンサと称されるものが提供されている。これは、交換可能に装着された飲料水容器としてのウォータボトルから飲料水の供給を内蔵タンクに受け、これを冷却して冷水状態に維持し、ユーザのレバー操作やコック操作により冷水状態の飲料水を供給するものが提供されている。このような装置と、これに装着されるウォータボトルとの受け部の構造として、ウォータボトルを天地逆転して上から装着することにより装置側の固定ピンがウォータボトルのキャップを押し開けるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、このようなものと同様構造の飲料水供給装置において、肩部と底部にそれぞれ空気抜き孔を設けたウォータボトルを使用することも提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−84117号公報
【特許文献2】特開2005−335713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発明者は飲料水供給装置の使用に伴い、飲料水容器に急激な変形・復元が繰り返されて耐久性を損なったり、損傷発生の要因にもなったりすると考えられる不都合の存在を見出した。
【0006】
すなわち、図7に例示するように、飲料水容器100は天地を逆にして口部101が装置本体102の凹部103に内嵌されることにより、装置本体102側から上に突出する導水管104が飲料水容器100の口部101内に嵌入して連通状態にされており、この状態で飲料水容器100内の飲料水と、装置本体102側のタンク105内の飲料水とが互いに連続し、タンク105内は一定水位L1に維持されている(図7(a)参照)。そして、ユーザのスイッチ操作により取水弁106が開切換されると、開状態の取水弁106を通して飲料水がタンク105から供給され、図示省略のコップに注がれるようになっている。この供給に伴いタンク105内の水位がL1から例えば水位L2(図7(b)参照)に低下すると、水位低下に伴い、飲料水容器100内から導水管104を通して飲料水が落とし込まれ、この落とし込みに伴い飲料水容器100内が負圧になってその壁部107,107,107が内側に凹んで変形することになる。一方、水位低下に伴いタンク105内に臨む導水管104の下端開口が水位L2よりも上側になるため、この導水管104の下端開口から空気塊が飲料水容器内に一気に入り込むと、上記の内側に凹んでいた飲料水容器100の壁部107,107,107が一気に元の形状に復元することになる(図7(c)参照)。このような変形・復元が取水の度に繰り返されることになる。このため、通常は合成樹脂により形成されている飲料水容器の壁部の耐久性を弱めることになったり、最悪の場合にはひび割れ等の損傷が発生することになったりするおそれが考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取水操作によりタンク内の飲料水が取水されても、その取水された分の飲料水を飲料水容器の側から緩やかに補充し得るようにして、飲料水容器の耐久性低下や損傷発生のおそれを回避し得るようにした飲料水供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、装置本体の上に載置された飲料水容器に対し導水管が連通される一方、この導水管の下端側が装置本体内の貯留タンク内と連通され、上記飲料水容器から貯留タンクに対し上記導水管を通して飲料水が補充供給されて貯留タンク内が所定の設定水位に維持されるように構成された飲料水供給装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記導水管を、その下端が上記設定水位よりも下位で開口するように上記貯留タンク内に対し下向きに突出させ、この導水管の突出部に、その下端開口よりも上位であって上記貯留タンク内に臨ませて空気導入孔を貫通形成することとした(請求項1)。
【0009】
この発明の場合、ユーザの取水操作によって貯留タンク内の水位が低下して飲料水容器の壁部が負圧に基づき内側に凹んだとしても、その水位低下により空気導入孔から少量ずつ連続して空気が吸い込まれ、これにより、飲料水容器内に小さな気泡が連続して供給される結果、その連続供給される小さな気泡分ずつ空気置換されて少量ずつの飲料水が連続して飲料水容器の側から貯留タンクの側に補充される一方、飲料水容器の壁部は上記の小さな気泡分ずつの空気置換に基づき緩やかに復元することになる。これにより、急激な復元に起因する飲料水容器の壁部の耐久性低下や、ひび割れ発生等のおそれを回避し得ることになる。
【0010】
上記発明における空気導入孔として、空気の通過を許容する一方、水の通過を阻止し得る程度の孔径に設定することができる(請求項2)。このようにすることにより、水位低下時に上記の如く空気導入孔から少量ずつ連続して空気の吸い込みが可能になる一方、設定水位に維持されているときには水の通過が阻止されることになる。
【0011】
又、上記発明における空気導入孔として、上記設定水位よりも上位において貫通形成するようにすることができる(請求項3)。このようにすることにより、水位低下が発生すれば、即座に空気導入孔からの空気の吸い込みが開始され、飲料水の補充が行われる一方、設定水位に維持された静止時には空気導入孔に表面張力に基づく水膜が形成されて閉止されることになる。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の飲料水供給装置によれば、ユーザの取水操作によって貯留タンク内の水位が低下して飲料水容器の壁部が負圧に基づき内側に凹んだとしても、その水位低下により空気導入孔から少量ずつ連続して空気を吸い込ませることができ、これにより、飲料水容器内に小さな気泡を連続して供給させることができるようになる。この結果、連続供給される小さな気泡分ずつ空気置換されて少量ずつの飲料水を連続して飲料水容器の側から貯留タンクの側に補充することができる一方、飲料水容器の壁部を上記の小さな気泡分ずつの空気置換に基づき緩やかに復元させることができるようになる。これにより、急激な復元に起因する飲料水容器の壁部の耐久性低下や、ひび割れ発生等のおそれを回避することができるようになる。
【0013】
特に、請求項2によれば、空気導入孔として、空気の通過を許容する一方、水の通過を阻止し得る程度の孔径に設定することにより、水位低下時には上記の如く空気導入孔から少量ずつ連続して空気を吸い込むことができるようになる一方、設定水位に維持されているときには水の通過を阻止して少量であっても漏水の発生を阻止することができる。
【0014】
又、請求項3によれば、空気導入孔として上記設定水位よりも上位において貫通形成するようにすることにより、水位低下が発生すれば、即座に空気導入孔からの空気の吸い込みを開始させることができ、飲料水を補充することができる一方、設定水位に維持された静止時には空気導入孔に表面張力に基づく水膜を形成して閉止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示す模式図である。
【図2】実施形態の外観構成例を示す斜視図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図4のA−A線における部分拡大図である。
【図6】水位低下時の図4対応図である。
【図7】従来の課題を説明するために飲料水供給装置の要部を示す模式図であり、図7(a)は取水の待機状態を、図7(b)は取水による水位低下により飲料水容器が変形した状態を、図7(c)は空気置換により飲料水容器が復元した状態を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態として本発明の飲料水供給装置を例えばウォータサーバに適用した場合について説明する。
【0017】
図1は実施形態に係る飲料水供給装置の全体構成を、図2はこの飲料水供給装置の外観構成例を示す。両図において、符号1は装置本体の外装となるハウジング、2(図1にのみ表れる)は貯留タンクとしての冷水タンク、3は上記冷水タンク2の上側に着脱可能に装着されて冷水タンク2への飲料水供給源となる飲料水容器としてのウォータボトル、4(図1にのみ表れる)は冷水タンク2内の水を冷却する冷凍回路、5(図1にのみ表れる)は冷水タンク2を介して水の供給を受ける温水タンク、6(図1にのみ表れる)は温水タンク5内の水を加熱するヒータ、7(図1にのみ表れる)は殺菌灯としての紫外線灯29を点灯・消灯させる点灯制御や取水制御等の飲料水供給装置の作動制御を行うコントローラである。本実施形態では、飲料水として水を対象としたものを説明するが、この飲料水供給装置に適用される「飲料水」としては、ミネラルウォータ等の水の他に、お茶やジュース等の飲用に供される液体全般を含むものである。
【0018】
ハウジング1の上面中央部位にはウォータボトル3を装着させるための連結凹部11が形成されている。この連結凹部11は、ウォータボトル3の首部31を天地逆転した状態で内嵌させ得る内面形状を有すると共に、その中心軸に沿って上向きに突出する導水管としての筒状のボトルピン12(図1参照)を備えている。この連結凹部11に対し、ウォータボトル3の天地を逆にした状態で首部31を上から下に内嵌させることにより、ボトルピン12がウォータボトル3の首部31内に上向きに挿入されてウォータボトル3内と冷水タンク2内とを互いに連通した状態にして、ウォータボトル3と冷水タンク2とが互いに連通接続されるようになっている。ウォータボトル3は「ガロンボトル」とも言われ、内部に飲料である水が充填・収容された状態で提供されるものである。そして、このウォータボトル3がウォータサーバに対し上記の如く装着され、装着されたウォータボトル3内の水が消費されて空になるたびに、新しいウォータボトル3に交換されるようになっている。なお、上記の連通接続の詳細な構造については後述する。
【0019】
ハウジング1の前面の中段位置には冷水及び温水の2種類の飲料水を受けるコップ置き場13が形成され、このコップ置き場13の上側位置に上記冷水及び温水の各取水口281,521が配置されている。又、このコップ置き場13の上側位置の前面には、ユーザが各種の入力操作を行うための操作パネル14が配設されている。この操作パネル14には温水取り出しのための温水用取水スイッチ15と、冷水取り出しのための冷水用取水スイッチ16とが配設されている。
【0020】
冷水タンク2は上方に開放された容器であり、その上端開口に対し遮光板を兼ねる蓋21がパッキン等を介して嵌め込まれて、密閉されている。蓋21の略中央部位は上記連結凹部11に対し下側から外嵌し得る凹部22とされ、この凹部22の中心位置には上記のボトルピン12が挿通される貫通孔221が形成されている。さらに、冷水タンク2内の所定レベル位置には水平方向に拡がるバッフルプレート23が配設され、このバッフルプレート23の中央位置に対し上流端が開口するように接続管24が接続されている。この接続管24の下流端が温水タンク5の底部に連通されており、接続管24を通して温水タンク5に対し温水変換用の水を冷水タンク2から取り出し得るようになっている。又、冷水タンク2の底部に対し凹状に形成された溜まり部25から冷水取水管26がハウジング1のコップ置き場13の上方位置まで延ばされ、その冷水取水管26の下流端側に設置された冷水取水弁27が開作動されることにより冷水用の取水口281から冷水タンク2内の冷水が吐出されるようになっている。この冷水取水弁27は電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが冷水用取水スイッチ16をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて冷水を取水口281から吐出させ、冷水用取水スイッチ16がOFF(押圧解除)されると閉切換制御されて元の閉状態に戻るようになっている。
【0021】
一方、冷水タンク2内には殺菌灯としての1又は複数(図例では1つ)の紫外線灯29が設置され、これら紫外線灯29の点灯による紫外線照射によって内部に貯留されている飲料水が殺菌処理されるようになっている。一方の紫外線灯29の下端部は上記溜まり部25内まで延ばされて冷水取水管26の内方まで照らし得るようにされている。
冷凍回路4は、内部に冷媒を封入した循環経路41上に蒸発器を構成する冷却管42を備えている。そして、この冷却管42を上記冷水タンク2の周囲に巻き付け、コンプレッサ43により圧縮した冷媒を放熱器44で放熱させて液化させ、これを膨張させて冷却管42に供給することにより冷水タンク2内の水から熱を奪って所定の冷水温度範囲(例えば5℃〜10℃)に冷却するようになっている。この冷凍回路4は冷水タンク2内の冷水温度の検出値に基づきコントローラ7による保冷運転制御により作動されるようになっている。
【0022】
温水タンク5は冷水タンク2よりも下位に配置された密閉容器であり、コントローラ7により保温運転制御により作動されるヒータ6が内部に配設されて、温水タンク5内の飲料水を所定の温水温度範囲(例えば80℃〜90℃)に加熱・保温するようになっている。この温水タンク5には、上記接続管24を通して冷水タンク2内から水頭差に基づき水が注水され、かつ、取水により減った分だけ補充されるようになっている。又、温水タンク5の頂部から温水取水管51がハウジング1のコップ置き場の上方位置まで延ばされ、その温水取水管51の下流端側に介装された温水取水弁52が開作動されることによりその温水取水口521から温水タンク5内の温水が吐出されるようになっている。この温水取水弁52も冷水取水弁27と同様に電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが取水スイッチ15をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて温水を取水口521から吐出させ、取水スイッチ15がOFF(押圧解除)されると元の閉状態に切換えるようになっている。
【0023】
次に、ウォータボトル3と、冷水タンク2との連通接続の構造について、図3に基づいて詳細に説明する。冷水タンク2の一部を構成する蓋21の略中央部位は上向きに開口する凹部22とされ、この凹部22に対しボトル受け部材10の連結凹部11が内嵌された状態で支持されている。つまり、凹部22がボトル受け部材10の連結凹部11の受け部を構成し、連結凹部11が凹部22に支持された状態でボトル受け部材10は蓋21に対し係合等の手段により結合されている。連結凹部11内には筒状のボトルピン12が一体形成され、このボトルピン12の下端側は凹部22の貫通孔221を通して冷水タンク2の内部に下向きに所定寸法だけ突出した状態で開口される一方、ボトルピン12の上端側は装着状態のウォータボトル3の首部31内に嵌入されるようになっている。
【0024】
ボトルピン12(図4も併せて参照)の上端には半球状の口栓受け部121が形成され、その下側に連通孔122が貫通形成されている。加えて、ボトルピン12の下端側の突出部123には空気導入孔124が貫通形成されている。一方、ウォータボトル3の首部31の先端側にはキャップ32が取り付けられており、このキャップ32は首部31内に突出する内筒状の口部321と、口部321に着脱可能に係止された口栓322とを有している。そして、本来は首部31が上向きにされているウォータボトル3を天地逆転させて、首部31を下向きにした状態で連結凹部11に向けてウォータボトル3を降ろしていく。すると、ボトルピン12の口栓受け部121が口部321内に入った後、口栓322を押し込むことにより、口部321との係止状態を外す一方、口栓322は口栓受け部121に係合されることになる。さらにウォータボトル3を降ろすと、口栓322が口栓121に保持された状態で、ボトルピン12の上端側はさらに首部31内に嵌入して、連通孔122が首部31内で連通した状態になって、ウォータボトル3はボトル受け部材10に載置されて装着が完了する。この状態では、ウォータボトル3内は、ボトルピン12の連通孔122、ボトルピン12の内部及びその突出部123の下端開口125を通して、冷水タンク2内と連通されることになる。
【0025】
より詳細に説明すると、ボトルピン12の突出部123は、図4に示すように、ボトル受け部材10の連結凹部11の受け部である凹部22の下端位置(受け口位置)P1から所定寸法だけ下方に突出されている。空気導入孔124はその凹部22の受け口位置P1よりも下位に形成され、静止時に一定水位に維持される設定水位L1が空気導入孔124の位置P2よりも下位に設定され、設定水位L1よりも下位(下端開口位置P3)で突出部123の下端開口125が下向きに開口されている。このような位置関係が好ましい設定である。なお、設定水位L1は、少なくとも受け口位置P1よりも下位であって、下端開口位置P3よりも上位の範囲に設定すればよい。下端開口位置P3は設定水位L1の状態にある水面上から空気が突出部123内に吸い込まれない程度だけ設定水位L1よりも少なくとも下位に設定する必要があり、冷水タンク2の側のコンパクト化の観点からの制約がなければより長く設定することが好ましい。
【0026】
冷水タンク2内の冷水の水面が設定水位L1にて静止している状態では、ウォータボトル3内の飲料水がボトルピン12内を通して冷水タンク2内の冷水と連続した状態で、バランスが保たれている。この状態では、空気導入孔124は設定水位L1よりも上位置で空中に開口していることになるものの、図5に示すように表面張力に基づく水膜Wが空気導入孔124を封止し、内部の飲料水が漏出しないように閉止するようになる。これは、設定水位L1に基づく水圧よりも、水膜Wの表面張力の方が大きくなった状態でバランスしているからであり、後述の取水時には所定量ずつ空気を吸い込みつつ、設定水位L1にて静止している状態では水膜Wにより封止されることになるように、空気導入孔124の孔径Dの設定が行われる。このような孔径Dとしては、ウォータボトル3が例えば12リットル(約3ガロン)入りの容器である場合、次のような範囲に設定すればよい。
0.5mm < D < 5.0mm
好ましくは孔径Dを2.0mm以下に設定するようにすればよい。孔径Dの必要設定条件としては、(1)後述の取水時に水位低下したときにウォータボトル3の壁部が負圧に基づき内側に凹んだ後に急激に復元しないように少量ずつ連続して空気の吸い込みが生じる程度の孔径、(2)空気の通過を許容するが水の通過を阻止し得る孔径、すなわち、上記の水膜Wにより閉止することができ、かつ、突出部123の肉厚にもよるが空気の吸い込み限界となる微小孔よりも大径の孔径、である。
【0027】
以上のような孔径設定によれば、ユーザの取水操作によって冷水タンク2内の水位が低下してウォータボトル3の壁部が負圧に基づき内側に凹んだとしても、その水位低下により空気導入孔124の水膜Wが破壊されて空気導入孔124から少量ずつ連続して空気が吸い込まれ、これにより、ウォータボトル3内に小さな気泡が連続して供給される結果、その連続供給される小さな気泡分ずつ空気置換されて少量ずつの飲料水が連続してウォータボトル3から冷水タンク2の側に補充される一方、ウォータボトル3の壁部は上記の小さな気泡分ずつの空気置換に基づき緩やかに復元することになる。これにより、急激な復元に起因するウォータボトル3の壁部の耐久性低下や、ひび割れ発生等のおそれを回避することができるようになる。
【0028】
又、ユーザの取水操作によって冷水タンク2内の水位が設定水位L1から例えば下端開口位置P3よりも下位の水位L2まで低下した場合であっても、突出部123の下端開口125から空気塊が入り込むことはなく、上記と同様に、ウォータボトル3の壁部を緩やかに復元させることができるようになる。すなわち、図6に示すように、低下水位L2が突出部123の下端開口125よりも下位になったとしても、空気導入孔124から少量ずつ連続して空気が吸い込まれる結果、その少量ずつの連続的な空気置換により下端開口125から冷水が少量の流量で連続して落とし込み供給されることになる。そして、比較的緩やかな流量でかつ連続して冷水が落とし込み供給されている限り、下端開口125から空気が入り込むことはなく、空気導入孔124からの少量ずつの空気が安定的に連続吸い込みされる結果、ウォータボトル3の壁部を緩やかに復元させることができるようになる。
【0029】
従って、ユーザによる取水操作に基づく取水量の大小如何に拘わらず、つまり、取水操作に起因する冷水タンク2内の水位低下の如何に拘わらず、空気導入孔124から少量ずつでかつ連続した空気を吸い込みつつ、この空気の吸い込みによってウォータボトル3内から少量ずつでかつ連続して飲料水を冷水タンク2の側に供給することができるようになる。そして、冷水タンク2の側への供給により水位が徐々に上昇して設定水位L1に至れば、水圧と空気導入孔124における水の表面張力とのバランスに基づき、水膜Wが空気導入孔124に形成されて空気の吸い込みが停止され、この結果、ウォータボトル3から冷水タンク2への飲料水の供給が停止されて、設定水位L1に維持されることになる。
【0030】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、本発明を適用する対象として図1等に例示したもの以外の構成であっても、本発明を適用することができる。例えば、冷水タンク2の他に温水タンク5をも備えたものを例示したが、温水タンク5を省略して冷水タンク2による冷水のみを取水可能に飲料水供給装置を構成するようにしてもよい。
【0031】
又、上記実施形態では、導水管としてのボトルピン12をボトル受け部材10に一体形成し、このボトル受け部材10を冷水タンク2を構成する蓋21に結合させるようにしているが、これに限らず、上記のボトル受け部材を省略して、導水管としてのボトルピンを冷水タンク2の側に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ハウジング(装置本体のハウジング)
2 冷水タンク(貯留タンク)
3 ウォータボトル(飲料水容器)
12 ボトルピン(導水管)
122 連通孔
123 突出部
124 空気導入孔
125 下端開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上に載置された飲料水容器に対し導水管が連通される一方、この導水管の下端側が装置本体内の貯留タンク内と連通され、上記飲料水容器から貯留タンクに対し上記導水管を通して飲料水が補充供給されて貯留タンク内が所定の設定水位に維持されるように構成された飲料水供給装置であって、
上記導水管は、その下端が上記設定水位よりも下位で開口するように上記貯留タンク内に対し下向きに突出され、
この導水管の突出部には、その下端開口よりも上位であって上記貯留タンク内に臨んで空気導入孔が貫通形成されている、
ことを特徴とする飲料水供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料水供給装置であって、
上記空気導入孔は、空気の通過を許容する一方、水の通過を阻止し得る程度の孔径に設定されている、飲料水供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の飲料水供給装置であって、
上記空気導入孔は、上記貯留タンク内であって、上記設定水位よりも上位において貫通形成されている、飲料水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−207521(P2011−207521A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78320(P2010−78320)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】