説明

飲料水収容具

【課題】容器内に残水が発生することを抑制する
【解決手段】 飲料水サーバーSの貯水タンク10に飲料水wを供給するために用いられ、内部に飲料水wを収容する本体部3と貯水タンク10に通じる導水管11に接続可能な接続部2とを有する容器1と、その容器1を収容する収納ケース20とを備える。接続部2を下向きにして導水管11の先端が接続部2に差し込まれ、飲料水wが貯水タンク10内へ流下する。容器1は内部の飲料水wが減少する際に収縮変形するようになっており、その容器1は、接続部2を下向きにした状態で本体部3の外面から上方へ伸びてその上部に係止部31を有する吊り下げ片30を備える。収納ケース20内に設けた固定部材21が、係止部31に係止して、容器1は前記吊り下げ片30を介してケース20に吊り下げて支持される。それらの作用により、満水状態から空の状態に変化する容器の、体積縮小による全長増加に対応した飲料水収容具とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器に収容されたミネラルウォーター等の各種飲料水をタンク内に貯留した後、その貯留した飲料水を常温又は冷温で、あるいは、その貯留した飲料水を加熱して適宜供給できるようにした飲料水サーバーに使用する飲料水収容具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーター等の各種飲料水を、適宜、コップやペットボトル等に必要な量だけ供給する飲料水サーバーSとして、例えば、図15に示すものがある。
【0003】
この飲料水サーバーSは、貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に、容器1内に飲料水wを収容した飲料水収容具Tが着脱可能となっている。飲料水収容具Tを取付けると、容器1内の飲料水wが、その自重により、導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下し、貯水タンク10内に貯留される。
【0004】
貯水タンク10から引き出された送水管18に、開閉自在の供給バルブ17が設けられており、その供給バルブ17を開放すれば、貯水タンク10内の飲料水wが適宜外部へ供給でき、また、供給バルブ17を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。
【0005】
飲料水収容具Tは、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水wが、例えば、20リットル程度の単位で容器1内に封入されて、密閉された状態で市場に供給されているものである。
【0006】
また、その容器1は、硬質の樹脂で形成されて、内部の飲料水wが減少してもその形状が維持されるものと、軟質の樹脂、すなわち、可撓性を有する素材で形成されて、内部の飲料水wが減少すると、それに応じて弾性変形し内部の容積が収縮するエアーレスタイプのものとがある。後者の場合、容器1内に空気aが入り込まないので、より衛生的である。
【0007】
飲料水サーバーSは、前者の硬質の容器1を用いた飲料水収容具Tに対応したものと、後者の軟質の容器1を用いた飲料水収容具Tに対応したものとが存在する。
【0008】
軟質の容器1に対応した飲料水サーバーSの作用を説明すると、図15(a)に示すように取付けた容器1内の飲料水wが、前記貯水タンク10内へ流下してその容器1内の飲料水wが減少すると、前記容器1は収縮変形してその容器1内に空気が侵入しない(図15(b)参照)。図中の符号15は通気孔を示し、符号16は、その通気孔15に設けられるフィルタを示す。
【0009】
また、導水管11の下端に設けたフロート弁14が、貯水タンク10内の水位変動に伴ってその導水管11の下端開口を開閉するようになっている。
このため、容器1内から貯水タンク10への水の流下は、貯水タンク10内の水位が上昇して所定の位置に達した際に、フロート弁14が導水管11の下端開口を閉じることにより、自動的に止まるようになっている(図15(c)参照)。
【0010】
また、送水管18からの飲料水wの供給により、貯水タンク10内の水位が低下すれば、フロート弁14が導水管11の下端開口を開放することにより、容器1内の飲料水wが貯水タンク10内に流下し、その水位が維持される(図15(d)参照)。
【0011】
なお、一般的には、貯水タンク10に冷却装置を設けて、貯水タンク10内の飲料水wを冷却して冷水として供給する場合や、同じく加熱装置を設けることにより、加熱した飲料水wを供給できるようにした飲料水サーバーSもある。
【0012】
また、容器1を、段ボールや樹脂製の収納ケース内に収容し、その収納ケースとともに容器1を飲料水サーバーSに装着するようにした飲料水収容具もある。
【0013】
可撓性を有する素材で形成された容器1は、それを手に持った際に外側から力を加えると、その力を加えた部分が凹むように変形する。このため、導水管11に対して容器1の開口した接続部2を接続する際に、その容器1に対して力がうまく伝わらないことが多い。また、容器1の変形により、接続部2の位置が導水管11から逃げようとするので、飲料水サーバーSへの装着が簡単ではない場合が多い。
【0014】
この点、上記のように、容器1を収納ケース内に収容したままの状態で、飲料水サーバーSに装着する構成とすれば、収納ケースを外側から掴んでも内部の容器1は変形しない。そこで、接続部のみを収納ケースに設けた開口部より取り出し、別途の補強部材で収納ケースと固定すれば、導水管11への容器1の接続が簡単であり、また、その装着後も容器1は収納ケースに保持され、飲料水サーバーSに対して安定して支持される(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9−226832号公報
【特許文献2】特開2010−126170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、内部の飲料水wの減少とともに収縮可能な軟質の素材、すなわち、可撓性を有する素材からなるシートやフィルム等(以下、「シート状物」という)で形成された容器1では、その容器1の中に、最後まで導水管11を通じて貯水タンク10に落下しない飲料水w、いわゆる残水が発生することがある。
【0017】
図16に示すものは、内部に飲料水wを注入する前の容器1の例であり、図14(a)や図14(c)は、内部に飲料水wを注入した後の容器1の例である。
【0018】
前述の残水は、容器1内の飲料水wが残り少なくなった際に、容器1の素材が、例えば、図14(a)に示す状態から図14(b)に示す状態へ、あるいは、図14(c)に示す状態から図14(d)に示す状態へと、部分的に折れ曲がったり、湾曲したり、あるいは、皺が生じたりすることにより発生する。すなわち、その折れ曲がり、湾曲、皺によって凹状の部分(以下、「溜まり部A」と称する)が生じ、その溜まり部Aに飲料水wが滞留することによって発生するものである。溜まり部Aに飲料水wが滞留すると、その滞留した飲料水wは下方の接続部2に導かれないから、最後まで導水管11には流れない。
【0019】
この残水の発生は、例えば、特許文献1,2に記載のように、容器1を、段ボールや樹脂製の収納ケース内に収容し、その収容ケースとともに容器1を飲料水サーバーSに装着するようにした飲料水収容具においても同様に発生する。
容器1を収納ケース内に収容していても、容器1の素材が、部分的に折れ曲がったり、湾曲したり、あるいは、皺が生じたりすることにより、前記凹状の溜まり部Aが生じるからである。
【0020】
そこで、この発明は、容器内に残水が発生することを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題の最大の要因は、容器が満水状態から排水完了の空状態に変形する際、その収縮により、容器の素材が意図しない方向へ折れ曲がったり、湾曲したり、あるいは、皺が生じたりすることによる。これは、容器の素材は可塑性を有しているが、伸縮性を有していないことに起因しており、例えば、ゴム風船のように、体積の変化に伴い容器表面積を収縮すれば、このような問題は起こらない。
【0022】
可撓性を有する素材で構成されたエアーレスタイプの容器では、満水状態と空(カラ)の状態とでは、内部の容積は大きく変化するものの、容器の表面積は変化しないため、容積の変化に伴って、容器は縦方向あるいは横方向に伸びる。しかし、容器を収容した収納ケース内のスペースは変化しないため、満水状態から空の状態へと容器が変形するのに伴って、容器は縦方向あるいは横方向に伸び、その伸びにより容器の素材が各所で折れ、湾曲し、皺となって溜まり部Aを生じさせることとなるのである。
【0023】
上記の課題を解決するために、この発明は、収納ケース内に伸びた状態の容器(空の状態の容器)が収まる様に、その容器の収縮に一定の制約を与え、収縮変化をコントロールする為の形状及び梱包形態としたものである。すなわち、飲料水収容具に吊り下げ片を設けて、その吊り下げ片を介して容器を収納ケース内に固定し、容器の変形に条件を与えたのである。
【0024】
具体的な構成は、飲料水サーバーの貯水タンクに飲料水を供給するためにその飲料水サーバーに用いられ、内部に飲料水を収容する本体部と前記貯水タンクに通じる導水管に接続可能な接続部とを有する容器と、その容器を収容する収納ケースとを備え、前記容器の前記接続部を下向きにした状態で、前記導水管の先端が前記接続部に差し込まれることにより、前記本体部内の飲料水が前記導水管を通じて前記貯水タンク内へ流下し、前記容器は可撓性を有する素材で形成されて内部の飲料水が減少する際に収縮変形するようになっており、前記容器は、前記接続部を下向きにした状態で前記本体部の外面から上方又は側方へ伸びてその先に係止部を有する吊り下げ片を備え、前記ケース内に設けた固定部材が、前記係止部に係止することにより、前記容器は前記吊り下げ片を介して前記ケースに固定し吊り下げて支持されることを特徴とする飲料水収容具とした。
【0025】
このように、容器は、飲料水が収容される中空の本体部と、飲料水の注入口及び注出口として機能する接続部を有し、その容器は、収納ケース内に接続部が開口部側に向くように収納される。この飲料水収容具が飲料水サーバーに装着される際には、収納ケースを上下反転させ、容器の接続部を下向きにすることとなる。このため、容器内の飲料水が残り少なくなった際は、その接続部付近を含む下部に飲料水が集まる。
このとき、容器の本体部を構成している素材(可撓性を有する素材)は、その飲料水が集まっている本体部の下部と、前記吊り下げ片の係止部との間で、飲料水の自重によって引張られる。この引張りによって、素材(可撓性を有する素材)がピンと張られた状態となり、溜まり部を生じさせにくくし、残水の発生を防ぐものである。
【0026】
なお、収納ケースの大きさは、飲料水が収容されていない空の状態の容器の大きさとの関係において、その空の容器の横方向、すなわち、容器の接続部と係止部とを結ぶ方向の全長と等しい又はそれよりも大きい「内のり」を、使用状態(飲料水収容具をサーバーに取付けた状態)における収納ケースの下部及び下部から立ち上がる側面に確保していることが望ましい。つまり、前記使用状態の収納ケースにおいて、その収納ケースの下部における容器の接続部を固定する部分と、収納ケースが容器の係止部を係止する部分との間とを結ぶ水平方向、上下方向の「内のり」の合計が、その空の容器における容器の接続部と係止部とを結ぶ方向の長さよりも長いことが望ましい。
このように、収納ケースは、容器に設けた係止部を介してその容器を上方から吊すように支持し、また、最下部の接続部は収納ケースに固定されていることから、容器を構成する素材は、飲料水の自重で下向きに引張られる。飲料水の減少とともに、容器は、その下部及び下部から延びる両側面に張り付くように収縮し、接続部と係止部との間でその全長を確保して行くので、部分的に折れ曲がったり、湾曲したり、あるいは、皺が生じたりすることを抑制し、残水の発生を抑制し得る。
【0027】
ここで、残水が発生しやすいのは、概ね、容器内の飲料水が残り少なくなってきた頃である。このため、例えば、接続部を下向きにした状態において、吊り下げ片が、本体部の上下方向中ほどから上方に伸びているようにすれば、飲料水の水面が上下方向中ほどに至った以後、飲料水が完全に無くなるまでの間の溜まり部の発生を効果的に抑制し得る。引張り力は、吊り下げ片の係止部から根元部へ、その根元部から飲料水の溜まっている容器の下端部へと作用するからである。
【0028】
この吊り下げ片は、前記使用状態において、最下部の接続部を基点として、4方向あるいは2方向に設けることが望ましい。吊り下げ片を2方向に、すなわち二つ設ける場合、その二つの吊り下げ片は、本体部を挟んで両側に対向して設けた構成とすることが望ましい。また、接続部を挟んで対称に配置すれば、さらに望ましい。飲料水の自重による容器の素材に対する引張り力が、本体部全体にバランスよく作用するからである。
また、吊り下げ片を三つ、四つ、あるいはそれ以上の数設ける場合、それらの吊り下げ片は、本体部の周囲に沿って一定の方位に偏ることなく設けられていることが望ましい。さらに、それらの吊り下げ片が接続部を中心として、その接続部の周囲に平面視等分方位にバランスよく配置する事が望ましい。
【0029】
また、容器を、以下の構成とすることもできる。すなわち、前記本体部は、複数枚のシート状物が互いに接合部で接合されてその接合部の内側に飲料水を収容可能な空間が形成されるようになっており、前記接続部は、前記シート状物のうちの一のシート状物の中央部に設けられて、前記吊り下げ片は、前記接続部を設けた前記一のシート状物と他のシート状物との前記接合部から外側方向側方へ又は上方に伸びている構成である。
【0030】
このように、吊り下げ片を、本体部を構成するシート状物同士の接合部から伸びるようにすれば、残水の発生が問題となりやすい容器の下部に接合部が介在しないので、容器の素材が引張られた際に、折れ曲がりや湾曲、皺を解消しやすい。
【0031】
また、この構成において、前記接続部を設けた前記一のシート状物と前記吊り下げ片とは、連続する一枚のシート状物により形成されているようにすれば、接続部側に位置するシート状物と吊り下げ片とを同一の素材で形成できるので、製造時の部品点数が減り、その製造が容易となる。
【0032】
これらの各構成において、収納ケースに設けた固定部材と、吊り下げ片に設けた係止部との係止構造については、種々の構成を採用してよいが、例えば、前記係止部は前記吊り下げ片に形成された穴であり、前記固定部材は係止突部を備え、その係止突部が前記穴に入り込むことで、前記固定部材が前記係止部に係止する構成を採用することができる。
すなわち、吊り下げ片の穴に、固定部材の係止突部が、(容器の接続部を下向きにした状態で)下方から上方に向かって入り込むことによって、両者の係止が可能となる。
【0033】
また、他の係止構造としては、例えば、収納ケースに設けた固定部材と、吊り下げ片に設けた係止部とを、互いにステープラやピン、接着剤等の接合手段により接合した構造、あるいは、吊り下げ片の係止部を、収納ケースの内面と固定部材との間に強く挟んで固定した構造等が考えられる。
【0034】
また、固定部材の具体的構成として、以下の構成を採用することができる。
【0035】
例えば、前記収納ケースは、一方に開口部を他方に底部を有する凹状のケース本体と、その開口部の縁に連設された折り込み片とを備え、前記容器は、前記接続部が前記開口部側に向くように前記ケース本体内に収納され、前記固定部材は、前記底部に向かって前記ケース本体内に折り込まれた前記折り込み片である構成である。
【0036】
また、他の構成としては、前記収納ケースは、一方に開口部を他方に底部を有する凹状のケース本体と、その開口部の縁に連設された蓋体と、その蓋体の縁に連設された折り込み片とを備え、前記容器は、前記接続部が前記開口部側に向くように前記ケース本体内に収納され、前記固定部材は、前記底部に向かって前記ケース本体内に折り込まれた前記折り込み片である構成である。
【0037】
さらに、他の構成としては、前記収納ケースは、一方に開口部を他方に底部を有する凹状のケース本体と、そのケース本体とは別体に形成され前記ケース本体内に差し入れられる補助部材とを備え、前記容器は、前記接続部が前記開口部側に向くように前記ケース本体内に収納され、前記補助部材は、前記開口部を覆う蓋部とその蓋部から前記底部に向かって立ち上がる保持部とを備え、前記補助部材が前記ケース本体内に差し入れられることにより、前記保持部が前記係止部に係止して、その保持部を前記固定部材とした構成である。
【0038】
また、これらの各構成において、前記容器の前記接続部は、前記本体部から突出する筒状の開口部を有し、その筒状の開口部の外周に補強筒が嵌められて、または、一体に溶着されて、前記補強筒にキャップが取付けられて容器が閉じられており、前記補強筒は外径側に突出するフランジ部を有し、前記接続部を前記収納ケース外へ引き出した状態で、前記フランジ部と前記収納ケースの外面との間に補強部材を差し入れることにより、前記接続部を前記収納ケースに固定した構成を採用し得る。
【0039】
この構成によれば、接続部を収納ケースにしっかりと固定できるので、容器内の飲料水が減少した際に、その飲料水が集まっている本体部の下部と、吊り下げ片の係止部との間の飲料水の自重による引張り力を、効果的に作用させることができる。
【発明の効果】
【0040】
この発明は、飲料水を収容した容器に吊り下げ片を設けて、その吊り下げ片を介して容器を収納ケースに吊り下げて支持したので、容器内に残水が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施形態の飲料水収容具を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容した後の状態を示す斜視図、(b)は補助部材を差し入れている状態を示す斜視図、(c)は補助部材を完全に差し入れた状態を示す斜視図、(d)は(c)の要部拡大図
【図2】同実施形態の容器を示し、(a)は飲料水を収容する前の状態を示す平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は飲料水を収容した後の状態を示す斜視図
【図3】(a)(b)は、容器の接続部を閉じるキャップの構造を示す断面図
【図4】同実施形態の補助部材を差し入れる際の作用を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容し補助部材を吊り下げ片の根元部に宛がった状態を示す切断正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は補助部材を押し込みつつある状態を示す切断正面図、(d)は(c)のD−D矢視図、(e)は補助部材を完全に差し入れた状態を示す切断正面図、(f)は(e)のF−F矢視図、(g)は(e)の要部拡大図、(h)は(f)の要部拡大図
【図5】同実施形態の飲料水収容具の使用方法を示し、(a)は開封する前の状態を示す斜視図、(b)は開封口を開けた状態を示す斜視図、(c)は開封口を通じて容器の接続部を引き出した状態を示す斜視図、(d)は補強部材を収納ケースに取付ける前の状態を示す斜視図、(e)は補強部材を収納ケースに取付けた後の状態を示す斜視図、(f)は飲料水サーバーに取付けるために飲料水収容具を上下反転させた状態を示す断面図
【図6】(a)〜(c)は、容器内の飲料水が残り少なくなった際の、吊り下げ片の作用を示す説明図
【図7】他の実施形態の飲料水収容具を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容した後の状態を示す斜視図、(b)は蓋体を閉じようとしている状態を示す斜視図、(c)は蓋体を完全に閉じた状態を示す斜視図
【図8】他の実施形態の蓋体を閉じる際の作用を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容し蓋体を閉じようとしている状態を示す切断正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は蓋体に連設された保持部を押し込みつつある状態を示す切断正面図、(d)は(c)のD−D矢視図、(e)は蓋体を完全に差し入れた状態を示す切断正面図、(f)は(e)のF−F矢視図、(g)は(e)の要部拡大図、(h)は(f)の要部拡大図
【図9】他の実施形態の容器を示し、飲料水を収容する前の状態を示す平面図
【図10】他の実施形態の飲料水収容具を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容した後の状態を示す斜視図、(b)は補助部材を差し入れている状態を示す斜視図、(c)は補助部材を完全に差し入れた状態を示す斜視図、(d)は(c)の要部拡大図
【図11】他の実施形態の補助部材を差し入れる際の作用を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容し補助部材を吊り下げ片の根元部に宛がった状態を示す切断正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は補助部材を押し込みつつある状態を示す切断正面図、(d)は(c)のD−D矢視図、(e)は補助部材を完全に差し入れた状態を示す切断正面図、(f)は(e)のF−F矢視図
【図12】さらに他の実施形態の蓋体を閉じる際の作用を示し、(a)は収納ケース内に容器を収容し蓋体を閉じようとしている状態を示す切断正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は蓋体に連設された保持部を押し込みつつある状態を示す切断正面図、(d)は(c)のD−D矢視図、(e)は蓋体を完全に差し入れた状態を示す切断正面図、(f)は(e)のF−F矢視図
【図13】さらに他の実施形態の飲料水収容具の使用方法を示し、(a)は開封口を通じて容器の接続部を引き出した状態を示す斜視図、(b)は補強部材を収納ケースに取付けた後の状態を示す斜視図、(c)は飲料水サーバーに取付けるために飲料水収容具を上下反転させた状態を示す断面図
【図14】従来の飲料水収容具を示し、(a)(c)は容器内に飲料水が満水の状態、(b)(d)は容器内の飲料水が残り少なくなって残水を生じた状態を示す説明図
【図15】(a)〜(d)は、従来の飲料水収容具及び飲料水サーバーを示す模式図
【図16】従来例の容器の平面図(飲料水を収容する前の状態)
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施形態を、図1乃至図6に基づいて説明する。この実施形態の飲料水収容具Tは、図2に示す可撓性のある素材である軟質樹脂で形成された容器1を、図1に示すように、段ボールで形成された収納ケース20内に収容して構成されたものである。
【0043】
この飲料水収容具Tを用いる飲料水サーバーSの基本的な構成は、従来例と同様であり、飲料水サーバーSの貯水タンク10に飲料水wを供給するために、その貯水タンク10から立ち上がった導水管11に、この飲料水収容具Tが着脱可能となっている。
【0044】
容器1は、内部に飲料水wを収容し得る空間を形成可能な袋状の本体部3と、飲料水サーバーSの前記導水管11に接続可能な接続部2とを有している。接続部2は、本体部3からから突出した筒状の突出部4の先端に形成されている。
【0045】
なお、容器1は飲料水wを充填する前はフラットな状態である。図2(a)(b)は、容器1内に飲料水wを充填する前の状態を示し、複数枚の樹脂製のシート状物3b,3c,3d,3dが互いに接合部3aで接合されている。その接合部3aで囲まれた内側に飲料水wが収容可能である。図2(c)は、接続部2を通じて容器1内に飲料水wを充填した後の状態の斜視図である。
【0046】
この実施形態の容器1は、アルミ蒸着フィルムやナイロン素材(ポリアミド系樹脂)で形成され、接合部3aは溶着による。ただし、容器1の素材は、アルミ蒸着フィルムやナイロン素材には限定されず、他の素材として、可撓性を有する素材(軟質プラスチック等)で形成されているものを対象とし得る。すなわち、容器1内の飲料水wが減少する際に、その容器1が収縮変形することにより、内部に空気が入ることを抑制したタイプの飲料水収容具Tを用いる飲料水サーバーSにおいて有効である。
【0047】
なお、容器1内に飲料水wを収容した後、接続部2の開口はキャップ40で閉じられる。このキャップ40の例として、例えば、図3に示すものを採用することができる。
すなわち、容器1の接続部2は、本体部3から突出する筒状の開口部を有し、その筒状の開口部の外周に補強筒43が嵌められて、その補強筒43にキャップ40が取付けられて容器1が閉じられている。キャップ40は、その突出する筒状の開口部の先端を補強筒43の外周に折り返した上で、接続部2を塞ぐように取付けられる。キャップ40の中央には貫通孔41が備えられ、導水管11を差込んだ際に、その導水管11の先端に押されて外れる栓42が備えられている。なお、図3以外の図面では、キャップ40の前記貫通孔41等の図示を省略している。また、補強筒43を、容器1の開口部に溶着することもできる。
【0048】
容器1は、図2(a)〜(c)に示すように、一のシート状物3bと、それに向かい合う他のシート状物3c、及び、その両シート状物3b,3cの端縁間を結ぶようにしてその側面を閉じるようになっている他のシート状物3d,3dとで構成され、それらが前記接合部3aで接合されて袋状に閉じられている。
【0049】
また、容器1には、吊り下げ片30が備えられている。この実施形態では、吊り下げ片30は、本体部3を挟んで両側に対向して設けられ、それぞれ前記接合部3aから伸びる構成となっている。
【0050】
この吊り下げ片30は、図2(c)に示す接続部2を上向きにした状態で、本体部3の側面の上下方向中ほどにある接合部3aから下方へ伸びて、その下部に係止部31を有している。この実施形態では、係止部31は、その吊り下げ片30のシート状物を貫通するように形成された穴31aである。
なお、後述の使用状態では、容器1は、接続部2を下向きにした状態で使用されるので、この使用状態では、吊り下げ片30は、本体部3の側面の上下方向中ほどにある接合部3aから上方へ伸びて、その上部に係止部31を有する位置関係となる(後述の図5(f)参照)。
【0051】
また、接続部2は、容器1を構成する前記シート状物3b,3c,3d,3dのうち、図2(a)〜(c)に示す一のシート状物3bの中央部に設けられている。また、吊り下げ片30は、その接続部2を設けた前記一のシート状物3bと連続する一枚のシート状物により形成されている。
つまり、前記使用状態において下方(接続部2側)に位置する前記一のシート状物3bと吊り下げ片30とを連続する一枚の素材で形成していることとなり、製造時の部品点数が減り、その製造が容易となっている。
【0052】
容器1は、図1に示す収納ケース20に収容された状態で運搬、保管等され、さらに、飲料水サーバーSに取り付けて使用する際にも、その容器1を収納ケース20に収容したまま用いるようになっている。
【0053】
この実施形態では、収納ケース20は段ボール製であるが、例えば、プラスチック製のものなど、他の素材で形成された収納ケース20を用いてもよい。
【0054】
収納ケース20は、一方に開口部22aを他方に底部22bを有する凹状の収容部22cを有するケース本体22と、そのケース本体22とは別体に形成され前記ケース本体22内に差し入れられる補助部材29とを備える。
【0055】
ケース本体22は、矩形を成す前記底部22bの周縁から立ち上がる側壁部22dを四方に有し、その側壁部22dの上縁に、開口部22aを閉じる蓋体24を備える。
【0056】
また、補助部材29は、ケース本体22の前記開口部22aを覆う蓋部25と、その蓋部25の両端縁からケース本体22の前記底部22bに向かって立ち上がる対の保持部26とを備えた断面コ字状をなす部材である。各保持部26の先端には、係止突部21a,21aを備え、この保持部26が、容器1を吊り下げ片30を介して支持する固定部材21として機能する。
【0057】
収納ケース20内に容器1を収容する際には、まず、図1(a)に示すように、その収納ケース20の収容部22c内に容器1を収容する。このとき、接続部2が開口部22a側に向くようにする。
【0058】
なお、このとき、予め容器1内に飲料水wが収容されて接続部2がキャップ40で閉じられた状態であってもよいし、あるいは、飲料水wが収容されていない空(カラ)の状態の容器1を収容部22c内に収容した後、飲料水wの充填及びキャップ40の取付けを行ってもよい。
【0059】
その後、図2(b)や図4(a)(b)に示すように、補助部材29がケース本体22内に差し入れられる。このとき、保持部26の先端が、吊り下げ片30の根元部(前記接合部3a付近)に宛がわれる。
【0060】
この状態から補助部材29を押し込むと、図4(c)(d)に示すように、保持部26の先端が、吊り下げ片30を押し下げていく。
このとき、保持部26の先端が吊り下げ片30に触れる部分は、前記接合部3a付近の根元部から徐々に先端側へ移動する。
【0061】
さらに補助部材29を押し込んで、その補助部材29を収納部22c内に完全に差し入れると、図2(c)や図4(e)(f)に示すように、保持部26の先端が係止部31に至る。そして、その保持部26の先端に設けた係止突部21aが、係止部31の穴31aに入り込む。この状態で、固定部材21としての前記保持部26が、係止部31に係止した状態となる。
【0062】
このとき、穴31aと通り抜けた係止突部21aは、収納ケース20の底部22bに当接するので、その後、係止突部21aと係止部31との係止が外れにくいようになっている。
【0063】
最後に、収納ケース20の蓋体24を閉じてテープ等により封止を行い、飲料水収容具Tが完成する。
【0064】
この飲料水収容具Tの使用方法について説明する。図5(a)は、飲料水収容具Tの収納ケース20を開封する前の状態を示す。この状態から、まず、図5(b)に示すように、開封口27を開けた状態にする。開封口27は、蓋体24に設けた切目線27aに沿って開封片27bを切り離すことによって開封できる。
【0065】
つぎに、図5(c)に示すように、開封口27を通じて容器1の接続部2を引き出した状態にする。そして、蓋体24の上に補強部材28を取付ける。
【0066】
補強部材28は、図5(c)に示すように、板状の部材で構成され、その一端縁に開口28bを有する切欠き28aが設けられている。切欠き28aは,前記一端縁への開口28bから、その補強部材28の板面の中央付近に向かって、一定の幅で長穴状に伸びている。補強部材28は樹脂製または段ボール製でもよい。
【0067】
また、容器1の突出部4の周囲に嵌められた補強筒43には、外径側に突出するフランジ部44が設けられており、そのフランジ部44の下方に本体部3への接続点に向かってラッパ状に拡がる首部45が設けられている(図3参照)。
この首部45とフランジ部44との間の小径の部分を、前記開口28bから切欠き28a内に差し入れながら、図5(d)に示す矢印の方向に、補強部材28を横方向へスライドさせる。
【0068】
図5(d)に示すように、首部45とフランジ部44との間の小径の部分が切欠き28aの奥部へ至り、補強部材28の取付けを終了する。このとき、切欠き28aの幅は、首部45やフランジ部44の外径よりも小さく、また、その首部45とフランジ部44との間の小径の部分の外径と同一であるか、あるいは、ほぼ同一となっているので、その補強筒43の外周と切欠き28aの内縁との摩擦で、補強部材28が抜け止めされる。また、切欠き28aの幅は、首部45やフランジ部44の外径よりも狭いので、容器1の接続部2が収納ケース20内に入り込んでしまったり、あるいは、接続部2が過度に開封口27から突出することが阻止されている。
【0069】
すなわち、接続部2を開封口27を通じて収納ケース20外へ引き出した状態で、フランジ部44と収納ケース20の外面との間に補強部材28を差し入れることにより、その接続部2を収納ケース20に固定している。
【0070】
飲料水収容具Tを飲料水サーバーSに取付ける際には、図5(f)に示すように、収納ケース20を上下反転させ、容器1の接続部2を下向きにした状態にする。
【0071】
そして、キャップ40の貫通孔41(図3参照)に、飲料水サーバーSの導水管11の先端が差込まれることで、容器1の接続部2と導水管11とが連通し、容器1内の飲料水wがその導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下する。このとき、収納ケース20は、飲料水サーバーSに設けた適宜の部材によって、動かないように保持することができる(例えば、図10の凹部12、受け部12a参照)。
【0072】
収納ケース20を上下反転させると、図6(a)に示すように、容器1は、接続部2を下向きにした状態で、吊り下げ片30を介して収納ケース20に吊り下げて支持された状態となる。図6で収納ケース20のケース本体22等は図示を省略している。
すなわち、吊り下げ片30は、本体部3の外面から上方へ伸びてその上部に係止部31を有しており、この係止部31に、前記保持部26からなる固定部材21が係止しているからである。固定部材21は、図6(a)に矢印aで示すように、容器1を支持している。
【0073】
つぎに、飲料水サーバーSの貯水タンク10内の飲料水wが外部へ供給されると、それに応じて、容器1内の飲料水wが導水管11を通じて流下し、貯水タンク10に飲料水wが補充される。
このとき、容器1は可撓性を有する素材で形成されているので、その容器1は、内部の飲料水wが減少する際に収縮変形していく。
【0074】
容器1飲料水wが減少し、例えば、図6(b)に示す状態になった時、容器1の本体部3を構成しているシート状物は、その飲料水wが集まっている本体部3の下部と前記吊り下げ片30の根元部(接合部3a付近)との間で、図中の矢印bのように、飲料水wの自重によって引張られる。また、本体部3の下面においても、図中の矢印cのように、引張り力が生じる。
この引張りによって、シート状物がピンと張られた状態となり、従来のような溜まり部A(図9参照)を生じさせにくくし、残水の発生を防ぐことができる。
【0075】
なお、この効果は、図6(c)に示すように、容器1内の飲料水wが完全になくなる直前の状態まで持続することができる。
【0076】
このとき、補強部材28を用いたことにより、容器1の接続部2を収納ケース20にしっかりと固定できるので、容器1内の飲料水wが減少した際に、その飲料水wが集まっている本体部3の下部と、吊り下げ片30の係止部31との間の飲料水wの自重による引張り力を、効果的に作用させることができる。
【0077】
この収納ケース20の大きさは、飲料水wが収容されていない空の状態の容器1の大きさとの関係において、その空の容器1の横方向、すなわち、容器1の接続部2と係止部31とを結ぶ方向の長さ(図2のL3参照)の2倍と等しいか、又は、それよりも大きい「内のり」を、使用状態(飲料水収容具をサーバーに取付けた状態)における収納ケース20の下部及び下部から立ち上がる側面に確保していることが望ましい。
【0078】
つまり、前記使用状態の収納ケース20において、その収納ケース20の下部における容器1の接続部2を固定する部分と、収納ケース20が容器1の係止部31を係止する部分との間とを結ぶ水平方向の「内のり」(図5(e)及び図6(c)のL1参照)、上下方向の「内のり」(図5(e)及び図6(c)のL2参照)の合計が、その空の容器1における容器1の接続部2と係止部31とを結ぶ方向の長さ(図2(a)(b)のL3参照)よりも長いことが望ましい。これは、容器1の接続部2を固定する部分と、反対側の係止部31との関係においても同様である。
【0079】
なお、空の容器1の幅方向全長(図2のL4参照)は、収納ケース20の幅方向の「内のり」(図5(e)のL5参照)と等しいか、又は、それよりも小さくなっている。
【0080】
また、この実施形態では、吊り下げ片30は、接続部2を設けた前記一のシート状物3bと他のシート状物3c,3d,3dとの接合部3aから上方に伸びているので、飲料水wの自重による矢印b,cの引張りは、連続する一枚のシート状物のみに作用している。このため、溜まり部Aの発生がさらに確実に回避できる。
【0081】
これは、飲料水wが残り少なくなってきた際に、飲料水wが接合部3aに触れていると、溜まり部Aが発生しやすいからである。容器1は、使用状態において、接合部3aが容器1の下部に存在しないことが望ましく、接合部3aは、本体部3の上下方向中ほど、あるいはそれ以上の箇所に位置していることが望ましい。
【0082】
また、接続部2を設けた前記一のシート状物3bと吊り下げ片30とが、連続する一枚のシート状物により形成されているので、前記使用状態において、下方(接続部2側)に位置する前記一のシート状物3bと吊り下げ片30とを連続する一枚の素材で形成していることとなり、係止部31と接続部2との間で、容器1の素材に対する引張り力がダイレクトに伝達され、溜まり部Aの発生防止により効果的である。
【0083】
なお、収納ケース20及び固定部材21に関する他の実施形態として、図7及び図8に示す構成を採用することができる。
【0084】
図7及び図8に示す収納ケース20は、固定部材21と機能する保持部26を備えた補助部材29の使用に代えて、開口部22aを閉じる蓋体24に折り込み片23を連設することにより、その折り込み片23を、固定部材21として機能させるようにしたものである。なお、容器1の他の部分の構成は、前述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
収納ケース20は、図7(a)や図8(a)に示すように、ケース本体22は、矩形を成す前記底部22bの周縁から立ち上がる側壁部22dを四方に有し、その側壁部22dの上縁に、開口部22aを閉じる蓋体24を備える点は、前述の実施形態と同様である。
【0086】
この実施形態では、蓋体24の幅方向両側の縁24a,24aに、それぞれ、折り込み片23が連設されている。
【0087】
収納ケース20内に容器1を収容する際の手順について説明すると、収納ケース20の収容部22c内に容器1を収容する。このとき、接続部2が開口部22a側に向くようにする。
【0088】
その後、図7(a)や図8(a)に示す状態から、図7(b)や図8(b)に示す状態へと、蓋体24を閉じていく。すなわち、閉鎖方向に回動させる。このとき、折り込み片23がケース本体22内に側壁部22dに沿って差し入れられ、その折り込み片23の先端が、吊り下げ片30の根元部(前記接合部3a付近)に宛がわれる。
【0089】
この状態から蓋体24をさらに閉じると、折り込み片23の先端が、吊り下げ片30を押し下げていく。
このとき、保持部26の先端が吊り下げ片30に触れる部分は、前記接合部3a付近の根元部から徐々に先端側へ移動する。
【0090】
さらに蓋体24を閉鎖方向に回動させて、折り込み片23を収納部22c内に完全に差し入れると、図7(c)や図8(e)(f)に示すように、折り込み片23の先端が係止部31に至る。そして、その折り込み片23の先端に設けた係止突部21aが、係止部31の穴31aに入り込む。この状態で、固定部材21としての前記折り込み片23が、係止部31に係止した状態となる。固定部材21は、底部22bに向かってケース本体22内に折り込まれた折り込み片23である。
【0091】
このとき、穴31aと通り抜けた係止突部21aは、収納ケース20の底部22bに当接するので、その後、係止突部21aと係止部31との係止が外れにくいようになっている。
【0092】
最後に、収納ケース20の蓋体24を閉じてテープ等により封止を行い、飲料水収容具Tが完成する。
【0093】
なお、さらに他の実施形態として、前記固定部材21としての前記折り込み片23を、蓋体24の縁に連設するのではなく、開口部22aの周縁、すなわち、側壁部22dの上縁に連設した態様も考えられる。
【0094】
固定部材21としての折り込み片23を、側壁部22dの上縁から収納部22c内の底部22bに向かってケース本体22内に折り込み、その折り込み片23を、容器1の係止部31に係止する。なお、開口部22aを閉じる蓋体24は、その折り込み片23を連設させた側壁部22dとは別の側壁部22dの上縁に連設することができる。
【0095】
このとき、折り込み片23と係止部31との係止は、前述の実施形態の係止突部21aと穴31aを採用することができる。
【0096】
なお、いずれの実施形態においても、固定部材21としての前記保持部26や折り込み片23と、吊り下げ片30の係止部31との係止構造は、前述の実施形態の係止突部21aと穴31aの構成には限定されない。他の係止構造としては、例えば、収納ケース20に設けた固定部材21と、吊り下げ片30に設けた係止部31とを、互いにステープラやピン、接着剤等の接合手段により接合した構造、あるいは、吊り下げ片30の係止部31を、収納ケース20の内面と固定部材21との間に強く挟んで固定した構造等が考えられる。
【0097】
収納ケース20に設けた固定部材21と、吊り下げ片30に設けた係止部31とを、ステープラやピン、接着剤等の接合手段により接合する場合、開口部22a側から収納部22c内に手や治具を入れて、その接合作業を行ってもよいし、収納部22cの底部22bを閉じる折込片や底蓋体がまだ閉じられていない場合は、その底部22b側から収納部22c内に手や治具を入れて、その接合作業を行うことができる。
【0098】
他の実施形態を図9乃至図11に示す。この実施形態は、前述の実施形態における吊り下げ片30の張り出し長さを短くし、接続部2を下向きにした使用状態において、収納ケース20の上下方向中ほどで、その吊り下げ片30の係止部31を、収納ケース20に支持するようにしたものである。
【0099】
この吊り下げ片30は、図10や図11に示すように、本体部3の側面の上下方向中ほどにある接合部3aから側方へ伸びて、その先に係止部31を有している。この実施形態においても、係止部31は、その吊り下げ片30のシート状物を貫通するように形成された穴31aである。
なお、使用状態では、容器1は、接続部2を下向きにした状態で使用され、この使用状態においても、吊り下げ片30は、本体部3の側面の上下方向中ほどにある接合部3aから側方へ伸びて、その先に係止部31を有する位置関係となる(後述の実施形態の説明図である図13(c)参照)。
【0100】
また、この実施形態において、補助部材29は、前述の実施形態と同様、ケース本体22の前記開口部22aを覆う蓋部25と、その蓋部25の両端縁からケース本体22の前記底部22bに向かって立ち上がる対の保持部26とを備えた断面コ字状をなす部材であるが、各保持部26は、収納ケース20の深さ(開口部22aから底部22bまでの距離)のほぼ半分ほどの長さであり、その先端に設けられる係止突部21aは、前述の実施形態のものよにも長くなっている。
【0101】
このため、使用状態では、収納ケース20の上下方向中ほどにおいて、各保持部26に設けた係止突部21aが吊り下げ片30の係止部31(係止孔31a)に係止し、吊り下げ片30を介して容器1を支持している。その他の主たる構成は、前述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0102】
さらに他の実施形態を、図12及び図13に示す。この実施形態は、固定部材21と機能する保持部26を備えた補助部材29の使用に代えて、開口部22aを閉じる蓋体24に折り込み片23を連設することにより、その折り込み片23を、固定部材21として機能させるようにしたものである。その他の主たる構成は、前述の図10や図11の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0103】
1 容器
2 接続部
3 本体部
3a 接合部
3b,3c,3d シート状物
4 突出部
10 貯水タンク
11 導水管
12 凹部
12a 受け部
13,15 通気孔
14 フロート弁
16 フィルタ
17 供給バルブ
18 送水管
20 収納ケース
21 固定部材
21a 係止突部
22 ケース本体
22a 開口部
22b 底部
22c 収納部
22d 側壁部
23 折り込み片
24 蓋体
24a 縁
25 蓋部
26 保持部
27 開封口
27a 切目線
27 開封片
28 補強部材
28a 切欠き
28b 開口
29 補助部材
30 吊り下げ片
31 係止部
31a 穴
40 キャップ
41 貫通孔
42 栓
43 補強筒
44 フランジ部
45 首部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水サーバー(S)の貯水タンク(10)に飲料水(w)を供給するためにその飲料水サーバー(S)に用いられ、内部に飲料水(w)を収容する本体部(3)と前記貯水タンク(10)に通じる導水管(11)に接続可能な接続部(2)とを有する容器(1)と、その容器(1)を収容する収納ケース(20)とを備え、前記容器(1)の前記接続部(2)を下向きにした状態で、前記導水管(11)の先端が前記接続部(2)に差し込まれることにより、前記本体部(3)内の飲料水(w)が前記導水管(11)を通じて前記貯水タンク(10)内へ流下し、前記容器(1)は可撓性を有する素材で形成されて内部の飲料水(w)が減少する際に収縮変形するようになっており、前記容器(1)は、前記接続部(2)を下向きにした状態で前記本体部(3)の外面から上方又は側方へ伸びてその先に係止部(31)を有する吊り下げ片(30)を備え、前記ケース(20)内に設けた固定部材(21)が、前記係止部(31)に係止することにより、前記容器(1)は前記吊り下げ片(30)を介して前記ケース(20)に吊り下げて支持されることを特徴とする飲料水収容具。
【請求項2】
前記吊り下げ片(30)は、前記接続部(2)を下向きにした状態の前記本体部(3)の上下方向中ほどから上方に伸びていることを特徴とする請求項1に記載の飲料水収容具。
【請求項3】
前記吊り下げ片(30)は、前記本体部(3)を挟んで両側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料水収容具。
【請求項4】
前記本体部(3)は、複数枚のシート状物が互いに接合部(3a)で接合されてその接合部(3a)の内側に飲料水(w)を収容可能な空間が形成されるようになっており、前記接続部(2)は、前記シート状物のうちの一のシート状物の中央部に設けられて、前記吊り下げ片(30)は、前記接続部(2)を設けた前記一のシート状物と他のシート状物との前記接合部(3a)から上方に伸びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項5】
前記接続部(2)を設けた前記一のシート状物と前記吊り下げ片(30)とは、連続する一枚のシート状物により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の飲料水収容具。
【請求項6】
前記係止部(31)は前記吊り下げ片(30)に形成された穴(31a)であり、前記固定部材(21)は係止突部(21a)を備え、その係止突部(21a)が前記穴(31a)に入り込むことで、前記固定部材(21)が前記係止部(31)に係止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項7】
前記収納ケース(20)は、一方に開口部(22a)を他方に底部(22b)を有する凹状のケース本体(22)と、その開口部(22a)の縁に連設された折り込み片(23)とを備え、前記容器(1)は、前記接続部(2)が前記開口部(22a)側に向くように前記ケース本体(22)内に収納され、前記固定部材(21)は、前記底部(22b)に向かって前記ケース本体(22)内に折り込まれた前記折り込み片(23)であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項8】
前記収納ケース(20)は、一方に開口部(22a)を他方に底部(22b)を有する凹状のケース本体(22)と、その開口部(22a)の縁に連設された蓋体(24)と、その蓋体(24)の縁に連設された折り込み片(23)とを備え、前記容器(1)は、前記接続部(2)が前記開口部(22a)側に向くように前記ケース本体(22)内に収納され、前記固定部材(21)は、前記底部(22b)に向かって前記ケース本体(22)内に折り込まれた前記折り込み片(23)であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項9】
前記収納ケース(20)は、一方に開口部(22a)を他方に底部(22b)を有する凹状のケース本体(22)と、そのケース本体(22)とは別体に形成され前記ケース本体(22)内に差し入れられる補助部材(25)とを備え、前記容器(1)は、前記接続部(2)が前記開口部(22a)側に向くように前記ケース本体(22)内に収納され、前記補助部材(25)は、前記開口部(22a)を覆う蓋部(25)とその蓋部(25)から前記底部(22b)に向かって立ち上がる保持部(26)とを備え、前記補助部材(25)が前記ケース本体(22)内に差し入れられることにより、前記保持部(26)が前記係止部(31)に係止して、その保持部(26)を前記固定部材(21)としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項10】
前記容器(1)の前記接続部(2)は、前記本体部(3)から突出する筒状の開口部を有し、その筒状の開口部の外周に補強筒(43)が嵌められて、または、一体に溶着されて、前記補強筒(43)にキャップ(40)が取付けられて容器(1)が閉じられており、前記補強筒(43)は外径側に突出するフランジ部(44)を有し、前記接続部(2)を前記収納ケース(20)外へ引き出した状態で、前記フランジ部(44)と前記収納ケース(20)の外面との間に補強部材(28)を差し入れることにより、前記接続部(2)を前記収納ケース(20)に固定したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の飲料水収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−35845(P2012−35845A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174378(P2010−174378)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(501295707)株式会社フジヤマ (11)
【Fターム(参考)】