説明

飲料用容器の栓体

【課題】栓体を分離分解する操作が簡便かつ確実に行うことができ、目視性、操作感を向上する。
【解決手段】容器本体2の容器口部3に着脱自在に取り付けられる栓本体4と、この栓本体4に蓋開閉用ヒンジ軸11により開閉自在に設けられる蓋体10を備え、栓本体4は容器本体2の容器口部3に装着すると共に上部開口を有する外栓部18と、この外栓部18の上部開口に下方から着脱自在に被着され、液通孔23を有する内栓部19を備え、この内栓部19の外周面に外栓部18の上部開口20の内向き鍔29に係合される係合部27を有し、ヒンジ側に弾性を有する係止部材35を設け、外栓部18に係止受け部30を設け、内栓部19の係止部材35が外栓部18に着脱自在に係止するから、内栓部19を外すことで栓体4を隅々まで洗うことができ、組立性、経済性にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の栓体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用容器の栓体として、容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる筒状の飲み口部と、この飲み口部材にヒンジ軸を介して結合されて飲み口部材の上部開口を開閉する蓋体とを備えた液体容器の栓体が知られている(特許文献1)。このような栓体においては、飲み口部材が一体で分解できないので栓体の洗浄を隅々まで行うことができなくなる懸念を有する。
【0003】
このため飲料用容器の栓体を洗浄しやすくするため栓体を分解可能なものとして、飲み口または注ぎ口付きの栓体を、栓カバーに対して下方から着脱するもの(特許文献2〜4及び特願2011−72757)、栓体の下側が下方から着脱するもの(特許文献5,6)、栓体に対して栓上部を上方から着脱するもの(特許文献7〜10)、栓カバーに対して内栓部を上方から着脱するもの(特許文献11、12)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3620042号公報
【特許文献2】特許第3904899号公報
【特許文献3】特開2009−274731号公報
【特許文献4】特開2008−239177号公報
【特許文献5】特許第2735091号公報
【特許文献6】特許第2672258号公報
【特許文献7】特開2003−144338号公報
【特許文献8】特許第3551081号公報
【特許文献9】特開2006−187532号公報
【特許文献10】特開平8−71005号公報
【特許文献11】特許第2611692号公報
【特許文献12】実用新案登録第2568203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2,4では内、外栓の嵌合、着脱部は、パッキンのような弾性部材で抜け止め、内栓のずれや脱落防止された構造を有している。また特許文献3では弾性部材がない構造であるが、確実にずれ、脱落を回避することができず、例えば容器本体から外れた状態で内、外栓を嵌め合わせた状態で栓蓋を閉めた際にずれ、脱落が発生する。これに対して特許文献2は栓蓋も分離分解する構造であり、また特許文献4は中栓がさらに内、外筒で構成されるため、部品点数が増えて着脱操作が煩雑となり、部品紛失する懸念もあり、さらに上記特願2011−72757では、係合部材が1つの場合は、係合箇所が1箇所になるため、上方からの力で嵌合が外れる虞があり、一方、係合部材が複数の場合は、1つの部材のみ嵌合される可能性があり、また両手で操作する必要がある。
【0006】
前記特許文献5,6では、下方から弁体が着脱操作するが、操作により上部外面に露出する外観変化要素がないため、着脱状態や着脱操作完了の確認が上面から視点からは判断しにくく、操作ミスによる着脱不十分や取り付け忘れが発生し、漏れの原因になる。また、確実に嵌合した後はずれ、抜け落ちしない構造となっているが、構造が複雑であり、特に外す際の操作性が簡便明瞭でない問題を有する。
【0007】
前記特許文献7〜10では、上方から栓上部を着脱操作するため、着脱状態や着脱操作完了の確認はしやすいが、弁体は分離できず栓体と一体のままなので、部品分解により液流路が総て開放状態にはならず、部品分解による洗浄性の向上は十分ではない。
【0008】
前記特許文献11,12では、上方から内栓部を着脱操作するため着脱状態や着脱操作完了の確認はしやすいが、弁体は分離できず内栓部と一体のままなので、部品分解により液流路が総て開放状態にはならず、部品分解による洗浄性の向上は十分ではない。
【0009】
解決しようとする問題点は、栓体を分離分解して洗浄性を高め、さらに栓体を分離分解する操作が簡便かつ確実に行うことができ、目視性、操作感を向上し、また、取り付け状態、分離状態の外観差異が明確に認識でき、取り付け不十分や付け忘れの等の操作ミスを防止し、しかも取り付け状態を確実に保持し、ずれや抜け落ちを防止し、さらにまた部品点数を削減することで経済性を向上させる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の飲料用容器の栓体は、容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる栓本体と、この栓本体にヒンジにより開閉自在に設けられる蓋体を備え、前記栓本体は前記容器本体の口部に装着すると共に上部開口を有する外栓部と、この外栓部の上部開口に下方から着脱自在に被着され、液通孔を有する内栓部を備え、この内栓部の外周面に前記外栓部の上部開口の鍔に係合される1つもしくは複数の係合部を有し、前記ヒンジ側に弾性を有する係止部材、前記外栓部に係止受け部を設け、前記内栓部の係止部材が前記外栓部に着脱自在に係止することを特徴とする。
【0011】
請求項2の飲料用容器の栓体は、請求項1において、前記内栓部の係止部材が前記内栓部の後部に内向きに進退可能に設けられ、前記外栓部の上方に露出して着脱自在に係止、前記蓋体が開時において内向きの力を加えることにより分解可能なことを特徴とする。
【0012】
請求項3の飲料用容器の栓体は、請求項1又は2において、前記内栓部の係止部材が前記内栓部に軸中心で結合されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の飲料用容器の栓体は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記内栓部の係止部材の操作部が水平でなく、上方に傾いていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の飲料用容器の栓体は、請求項4において、前記蓋体が閉時において、前記蓋体に前記内栓部の係止部材の進退動作を阻止する障害部を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の飲料用容器の栓体は、請求項1〜5のいずれか1項において、前記内栓部の係合部は、飲み口外周面中心に1箇所設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項7の飲料用容器の栓体は、請求項1〜6のいずれか1項において、前記内栓部の係合部が前記外栓部の上部開口の鍔に係合後、前記内栓部の係止部材が前記外栓部の係止受け部に係合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、栓本体は、外栓部と、この外栓部に着脱自在に設けられる内栓部とを備えており、内栓部を外すことで栓体を隅々まで洗うことができる。そして内栓部の係止部材が外栓部に着脱自在に係止し、かつ係止部材が1つで組立性、経済性にも優れる。
【0018】
請求項2の発明によれば、内栓部の係止部材は外栓部の上方に露出した状態で内向きに進退可能に構成されているため、容易に係止部材の着脱状態が目視確認でき、取り付け不十分や取り付け忘れによる漏れ等の問題を回避できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、内栓部の係止部材は、軸中心で結合されると共に上方に操作部を設け、操作部が外栓部の上方に露出され、係止部材を上部から押し作動させることが可能になり、操作性に優れる。
【0020】
請求項4の発明によれば、内栓部の係止部材の操作部が水平の場合は上からの押し作動のみ、垂直の場合は内側への引き作動のみとなるが、斜めに傾いていることで両方向からの操作に対応できる。
【0021】
請求項5の発明によれば、蓋体に障壁部を設けたことにより、蓋体が閉状態の際、内栓部の係止部材が内方へ倒れて係止が解除されることが防止できるため、製品の落下・振動等で係止が解除されて内栓部がズレたり脱落したりして漏れるようなことを防止できる。
【0022】
請求項6の発明によれば、内栓部の係合部は、飲み口外周面中心に1箇所設けられたことにより、組立時に位置合わせが行い易い。
【0023】
請求項7の発明によれば、内栓部の係合部と外栓部の上部開口の鍔が係合された後のみ、ヒンジ側の係止部材が嵌合できるので、係止部材のみ嵌合される等の係合不十分、誤組立を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1を示す全体断面図である。
【図2】同上、斜め上方から見た容器本体、外栓部、内栓部の分解斜視図である。
【図3】同上、斜め上方から見た栓体の斜視図である。
【図4】同上、分解した状態の断面図である。
【図5】同上、内栓部の斜視図である。
【図6】同上、下方から見た内栓部の斜視図である。
【図7】同上、外栓部と内栓部の断面説明図である。
【図8】本発明の実施例2を示す全体断面図である。
【図9】本発明の実施例3を示す全体断面図である。
【図10】同上、係止部材と係止受け部の拡大断面図である。
【図11】本発明の実施例4を示す全体断面図である。
【図12】同上、係止部材と係止受け部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明を金属製二重断熱構造の飲料用容器の栓体に適用した実施例1を図1〜図7に基づいて説明する。片手で持てる大きさの飲料用容器1は、断熱構造の容器本体2と、該容器本体2の上部の容器口部3に着脱可能に装着される栓体4とで構成されている。容器本体2は、上部を開口した金属製の内容器5及び外容器6の上端同士を一体に接合したもので、内容器5、外容器6間に真空断熱構造の断熱部7を有している。また、容器本体2の容器口部3の外周には、栓体4を螺着する第1の雄螺子部8が形成されている。
【0027】
栓体4は、容器口部3に着脱自在に取り付けられる平面が円形の栓本体9と、栓本体9を開閉する蓋体10とを備えており、栓本体9と蓋体10はそれらの後部に設けられた蓋開閉用ヒンジ軸11により回動自在に連結している。また栓本体9と蓋体10はそれらの前部に揺動自在に設けられたストッパー部材12と、そのストッパー受け部13との係止により蓋体10を閉蓋状態に係止できるようになっている。さらに、ストッパー部材12側に回動自在に設けられたU字型ロック部材14と、蓋体10に設けられるロック受け部15により係止状態にあるストッパー部材12、ストッパー受け部13との係止をロックできるようになっている。
【0028】
このように構成された栓体4は、ロック部材14とロック受け部15とのロック状態を解除して、ストッパー部材12の下部を内側へ押すと、ストッパー部材12はストッパー受け部13との係止が解除され、蓋体10は、蓋開閉用ヒンジ軸11まわりの弾性部材である弾性リング11Aの付勢力にて上方に回動して開き、栓本体9の前側、すなわち栓本体9の縦方向の仮想した中心軸線17を中心としたとき蓋開閉用ヒンジ軸11と反対側にある飲み口16に唇をつけて飲料用容器1を傾けることにより、容器本体2内の飲料を直接飲むことができる。
【0029】
さらに栓本体9は、上下方向に設けられる中心軸線17を中心としたとき、その外側に配置され蓋開閉用ヒンジ軸11、ストッパー部材12が設けられる外栓部18と、外栓部18の内側に着脱自在に配置される内栓部19とを備える。外栓部18は中心軸線17を中心として容器口部3の外側に配置される略円筒形状であって、中心軸線17に沿って平面円形の上部開口20が貫通しており、外栓部18の内周下部に第1の雌螺子部21が設けられ、この第1の雌螺子部21が容器口部3に形成した第1の雄螺子部8に螺着することで、外栓部18、ひいては栓体4は容器本体2に装着できるようになっている。
【0030】
そして内栓部19は上部開口20の下方から外栓部18に挿入して上部開口20から突設した略有底筒状をなしており、内栓部19の底面22の前部に液通孔23、後部には空気孔24がそれぞれ上下方向に連通するように貫通しており、また底面22の周縁の前部、左右両側部さらに後部より一体的に飲み口16を形成した周壁25を立ち上げる。周壁25はストッパー部材12側、すなわち前側を、蓋開閉用ヒンジ軸11側、すなわち後側より高くして形成しており、飲み口16は、その周壁25の前部に最上位に形成されており、そして周壁25の高さは左右両側において後部に向かうにしたがって次第に低く形成している。また、内栓部19の下部外周に容器口部3の内周に密着するパッキン26を設けている。
【0031】
そして、内栓部19を外栓部18から脱落防止するために内栓部19の周壁25の前部の外周に突起状の係合部27を設けると共に、外栓部18の上部開口20の前部に係合部27が係止可能な係合受け部28が設けられている。
【0032】
また、外栓部18の上部開口20の縁を僅かに内側に突設して内向き鍔29が略全周に形成され、内向き鍔29の後部に、外側向きに切り欠いた係止受け部30が形成されており、下方から周壁25を内向き鍔29に挿入できるようになっている。
【0033】
さらに、係合受け部28の内側には凹部31が形成されており、この凹部31は内向き鍔29の内縁部29Fより外周側に凹んでおり、係合受け部28は内向き鍔29の上面より一段低く凹設され、外側段差部28Aと左右段差部28B,28Bと内縁部28Cが形成され、この内縁部28Cは前記内縁部29Fより外側に位置する。そして凹部31の左右幅は係合部27の左右幅に略対応し、係合部27は上下方向から凹部31を通過することができる。
【0034】
内栓部19の外周における上下方向の中間部に前後を除いて左右外向き鍔32,32が設けられ、これら左右外向き鍔32,32の外周は、中心軸線17を中心とした平面視円形上に位置する。前記左右外向き鍔32,32に対応して、外栓部18の内向き鍔29の下面に凹部面29Aを形成し、この凹部面29Aは上方に凹んでおり、その凹部面29Aに前記左右外向き鍔32,32の上面が当接する。さらに、左右外向き鍔32,32の左右には、左右の係合凹部33,33が切欠き状に形成され、これら左右の係合凹部33,33に係入する左右の係合突起34,34が前記内向き鍔29の凹部面29Aに形成されている。そして、外栓部18と内栓部19を嵌合した際に、左右の係合凹部33,33に左右の係合突起34,34が係入して両者が位置合せされる。また、係合部27は内栓部の周壁25から前方に突出した突起状をなし、係合部27の幅は前記凹部31及び係合受け部28の幅に対応する。
【0035】
内栓部19の後部の外側に設けられる係止部材35は、外栓部18の係止受け部30に着脱自在に係止し、係止部材35の縦向き部35Aは、下部を左右方向の枢軸36により前記内栓部19に回動自在に連結されており、係止部材35の縦向き部35Aの上部に前記係止受け部38に係止する係止部37を有し、係止部37は略水平方向の面により構成されている。係止部材35の縦向き部35Aの中央内側に突起状の取付部38を設け、この取付部38に付勢手段39を着脱可能に固定し、この付勢手段39は筒部39Aと底部39Bとを備え、ゴムなどの弾性体からなり、前記筒部39Aに前記取付部38を圧入固定し、底部39Bが内栓部19の外周の当接面40に当接する。
【0036】
また、係止部材35の縦向き部35Aの下部には、左右二股状に分かれた脚部41,41が設けられ、これら脚部41,41は枢軸36位置から略水平で内側に向けて突設されており、内栓部19の外周には、脚部41,41の上面が当接する下向きの上当接受け部42と、脚部41,41の下面が当接する上向きの下当接受け部43が設けられ、この下当接受け部43は、内栓部19の下部に設けた下外向き鍔44の上面により構成されている。そして、脚部41を上下で挟む上,下当接受け部42,43とにより、係止部材35の回動範囲が規制されており、付勢手段39の弾性により脚部41が上当接受け部42に当接した位置が係止部材35の初期位置であり、脚部41が下当接受け部43に当接した位置又は近傍位置で、係止部37の前記係止受け部30への係止を解除することができる。
【0037】
また、内栓部19は、下外向き鍔44の下部に前記パッキン26を装着する装着鍔45が設けられ、この装着鍔45にパッキン26が着脱自在に装着され、パッキン26の上面が前記下外向き鍔44の下面に当接し、パッキン26のシール部26Aが容器口部3内に圧接して密閉される。
【0038】
係止受け部30の内側には凹部46が形成されており、この凹部46は前記内向き鍔29の内縁部29Fより外周側に凹んでおり、係止受け部30は内向き鍔29の上面より一段低く凹設され、外側段差部30Aと左右段差部30B,30Bと内縁部30Cが形成され、この内縁部30Cは前記内縁部29Fより外側に位置する。また、内縁部30Cの下側角部は面取りされた湾曲部30Dが形成されている。そして、前記凹部46及び係止受け部30の幅に前記係止部材35の係止部37の幅が対応する。
【0039】
蓋体10は、栓体4の上部開口20を覆う蓋部47と、この蓋部47の下部に一体に組み込まれる蓋下部48とを有し、蓋下部48にはシール部材49が備えられている。また、シール部材49は、内栓部19の底面22に当接するシール本体50に、液通孔23を上方から密閉する流入側シール部51と、空気孔24を上方から密閉する空気孔シール部52を一体形成したものである。
【0040】
係止部材35の縦向き部35Aの上部には操作部53が一体に設けられ、この操作部53の上面は水平ではなく、上方に傾いており、具体的には外側から内側に向って高くなるように傾斜している。また、操作部53の下側にある下側上面53Aは凸状湾曲して形成されている。一方、縦向き部35Aの上部には下向きの係止部37が設けられ、外栓部18に内栓部19を取り付けた状態で、蓋体10を開くと、操作部53は外栓部18の上部開口20の上方に露出し、操作可能な位置にある。さらに、係止部材35が係止受け部30に係止した情態で、操作部53の上端は枢軸36位置より内側に位置し、下側上面53Aは枢軸36位置より外側に位置する。
【0041】
そして、外栓部18に下側から内栓部19を嵌合する際、前側で係合受け部28内に係合部27を係入した後、係合部27を支点として内栓部19の後側を上方に持ち上げると、後側で操作部53の下側上面53Aが係止受け部30の湾曲部30Dに当接し、ここからさらに内栓部19の後側を上方に持ち上げると、下側上面53Aと湾曲部30Dとに案内されて、係止部37が内側に移動すると共に付勢手段39が圧縮され、係止部37が内縁部30Cを通過すると、付勢手段39の弾性復元力により係止受け部30に係止部37が係止する。
【0042】
一方、周壁25の前部における前部上端25Aは、周壁25の後部における上端より上方に位置し、前部上端25Aと係止部材35の操作部53の後端との間隔Cは、係合受け部28と係止受け部30の内縁部28C,30Cの間隔Dより広く、脚部41が下当接受け部43に当接した係止部材35の内側位置においても、間隔Cは間隔Dより広い。したがって、先に係止受け部30上に係止部37を当て、或いは係止受け部30の湾曲部30Dに操作部53の下側上面53Aを当てた後、内栓部19の前側を上部開口20に通そうとしても、図7に示すように、周壁25の上端25Aが上部開口20の下方において外栓部18の内面に当接し、係合受け部28に係合部27を係合することができないように構成している。
【0043】
次に前記構成についてその作用を説明する。外栓部18に内栓部19が固定されている状態では、後部では、係止部材35の縦向き部35Aが付勢手段39により枢軸36を中心として外側に回動するように付勢されて、係止受け部30に係止部37が係止し、前部では、係合受け部28に係合部27が係止し、さらに、凹部面29Aに左右の外向き鍔32,32が当接することで、内栓部19は上下方向を規制されて抜け止めがなされている。また、係止受け部30に係止部37が係入すると共に、左右の係合凹部33,33に左右の係合突起34,34が係入し、且つ係合部27が係合受け部28に係入することにより、中心軸線17を中心とした内栓部19の回り止めがなされている。
【0044】
また、ロック部材14、ロック受け部15間のロック状態を解除し、ストッパー部材12を操作してストッパー受け部13との係止を解除することで、蓋体10は弾性リング11Aの弾性力によって開蓋し、そして蓋体10を開いた状態で飲料用容器1を傾けることで、収容されている飲料が液通孔23から飲み口16に至る液通路60を介して吐出されて飲み口16より飲むことができるようになっている。この際、飲み口16が真下ではなく飲み口16が多少傾いていても液通孔23を通って排出された飲料は底部の左右にも配置されている周壁25に案内されて脇からこぼれることなく飲み口16側に導くことができる。
【0045】
そして、洗浄などのために容器本体2より取り外した栓体4を内栓部19と外栓部18に分解するには、開蓋状態で栓体4の後部において上方に突設している操作部53を目視した後に、この操作部53を指で押し、付勢手段39に抗して内側に係止部材35の縦向き部35Aの上部を内側に移動させる。この場合、係止部材35の縦向き部35Aは、下部の枢軸36を中心に回動し、操作部53は斜めに形成され、縦向き部35Aの上端から内側上向きに斜めに突出した部分を有するから、操作部53の上部側を押したり、操作部53を内側に引いたりするように押圧することによって、係止受け部30から係止部37が外れ、係止状態が解除され、さらに、前側において、係合受け部28から係合部27を外すことにより、内栓部19を外栓部18より下方に抜け出して分解を行うことができる。このようにして分解した内栓部19、外栓部18をそれぞれ洗浄する。
【0046】
洗浄した内栓部19、外栓部18を組み立てる場合は、係合受け部28の上に係合部27を合わせた後、係合部27を支点として内栓部19の後側を上方に持ち上げると、操作部53の下側上面53Aが係止受け部30の内縁部30Cに当接し、ここからさらに内栓部19の後側を上方に持ち上げると、傾斜した下側上面53Aに案内されて、係止部37が内側に移動し、内縁部30Cを通過すると、付勢手段39の弾性復元力により枢軸36を中心に縦向き部35Aが外側に回動し、係止受け部30に係止部37が係止する。同時に係合受け部28に係合部27が係止し、さらに、凹部面29Aに左右の外向き鍔32,32が当接すると共に、左右の係合凹部33,33に左右の係合突起34,34が係入する。
【0047】
このように係止受け部30に係止部37が係入すると共に、左右の係合凹部33,33に左右の係合突起34,34が係入することで、外栓部18に対する内栓部19の、回り止めが図れる。同時に、後部では、係止受け部30に係止部37が係止し、前部では、係合受け部28に係合部27が係止することにより外栓部18に対する内栓部19の抜け止めが図れる。さらに、凹部面29Aに左右の外向き鍔32,32が当接することで、外栓部18に対する内栓部19の突き抜け止めが図れる。
【0048】
また、外栓部18の係止受け部30に内栓部19の係止部材35が係止した状態で、内栓部19の係止部材35は外栓部18の上方に露出した状態で内向きに進退自在に設けられているから、係止部材35の着脱状態を容易に目視確認することができる。
【0049】
さらに、外栓部18に内栓部19を組み付ける際には、後側より先に、外栓部18の上部開口20の内向き鍔29に内栓部19の係合部27を係合しなければ、蓋開閉用ヒンジ軸11側の係止部材35を外栓部18の内向き鍔29の係止受け部30に嵌合することができないため、係止部材35のみ嵌合される等の係合不十分、誤組立を起すことがなく、正しい手順で組立を行うことができる。
【0050】
以上のように、本実施例では、容器本体2の容器口部3に着脱自在に取り付けられる栓本体4と、この栓本体4に蓋開閉用ヒンジ軸11により開閉自在に設けられる蓋体10を備え、栓本体4は容器本体2の容器口部3に装着すると共に上部開口20を有する外栓部18と、この外栓部18の上部開口20に下方から着脱自在に被着され、液通孔23を有する内栓部19を備え、この内栓部19の外周面に外栓部18の上部開口20の内向き鍔29に係合される係合部27を有し、ヒンジ側に弾性を有する係止部材35、外栓部18に係止受け部30を設け、内栓部19の係止部材35が外栓部18に着脱自在に係止するから、内栓部19を外すことで栓体4を隅々まで洗うことができ、また、内栓部19の係止部材35が外栓部18に着脱自在に係止し、かつ係止部材35が1つで組立性、経済性にも優れたものとなる。
【0051】
また、内栓部19の係止部材35が内栓部19の後部に内向きに進退可能に設けられており、内栓部19の係止部材35は外栓部18の上方に露出して着脱自在に係止し、蓋体10が開時において内栓部19の係止部材35に内向きの力を加えることにより分解可能であり、内栓部19の係止部材35は外栓部18の上方に露出した状態で内向きに進退可能に構成されているため、容易に係止部材35の着脱状態が目視確認でき、取り付け不十分や取り付け忘れによる漏れ等の問題を回避できる。
【0052】
さらに、内栓部19の係止部材35が内栓部19に枢軸36を中心として回動自在に設けられているから、内栓部19の係止部材35は、軸中心で結合されると共に上方に操作部53を設け、蓋体10を開くと操作部53が外栓部18の上方に露出され、係止部材35を上部から押し作動させることが可能になり、操作性に優れたものとなる。
【0053】
しかも、内栓部19の係止部材35の操作部53が水平でなく、上方に傾いているから、内栓部19の係止部材35の操作部が水平の場合は上からの押し作動のみ、垂直の場合は内側への引き作動のみとなるが、斜めに傾いていることで両方向からの操作に対応できる。
【0054】
また、内栓部19の係合部27は、飲み口16の外周面中心に1箇所設けられ、係合部27は係止部材35と対向する位置にあり、係合部27は係合受け部28の上に係止し、このように内栓部19の係合部27を飲み口外周面中心に1箇所設けられたことにより、組立時に位置合わせが行い易くなる。
【0055】
また、内栓部19の反ヒンジ側の係合部27が外栓部18の上部開口20の内向き鍔29の係合受け部28に係合後、内栓部19の係止部材35が外栓部18の係止受け部30に係合され、内栓部19の係合部27と外栓部18の上部開口の内向き鍔29が係合された後のみ、ヒンジ側の係止部材35が嵌合できるので、係止部材35のみ嵌合される等の係合不十分、誤組立を回避することができる。
【実施例2】
【0056】
以下に他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
図8は実施例2を示しており、前記蓋体10には、蓋下部48の後部上側に障壁部61を設け、この障壁部61は蓋下部48の外周を外側に膨出形成した外周面62によって形成されるものであって、閉蓋時に障壁部61は操作部53の上端内側に近接或いは当接するように対向できるようになっており、これにより操作部53の内方への進退動作を阻止し、係止受け部30から係止部材35が外れることを防止している。尚、障壁部61を操作部53の上端内側に近接して設けた場合、操作部53が動いて障壁部61に当たっても、係止部材35は係止受け部30から外れない。
【0058】
以上のように、本実施例では、蓋体10が閉時において、蓋体10に内栓部19の係止部材35の進退動作を阻止する障害部61を設けたから、蓋体10が閉状態の際、内栓部19の係止部材35が内方へ倒れて係止が解除されることが防止できるため、製品の落下・振動等で係止が解除されて内栓部19がズレたり脱落したりして漏れるようなことを防止できる。
【実施例3】
【0059】
図9及び図10は実施例3を示しており、実施例1及び2では係止部材35を枢軸36により内栓部19に回動自在に設けると共に、操作部53を設けていたが、枢軸36を設けずに、係止部材35の縦向き部35Aの下部を連結部71により内栓部19に一体的に連結すると共に、取付部38,付勢手段39,脚部41及び操作部53は設けていない。
【0060】
係止部材35は、縦向き部35Aの上部外側に筒部72を設け、この筒部72は外側横向きに突設され、外端が開口し、筒部72の内部に別体からなる係止突起73を進退自在に設け、この係止突起73を外側に付勢する付勢手段74を筒部72内に設け、この付勢手段74は係止突起73の基端に外装するコイルスプリングからなり、係止突起73は筒部72と係合するストッパ(図示せず)により筒部72からの抜け止めがなされており、係止突起73の先端により係止受け部76に係止する係止部75を構成している。また、係止受け部76は、係止部75が係脱可能な係止溝77を備え、この係止溝77は外栓部18の内向き鍔29の後部に設けられている。また、係止突起73の係止部75は、縦断面において、上傾斜部75Aと下傾斜部75Bとが先端で湾曲部75Cにより連結されており、同様に、係止溝77も、縦断面において、上傾斜部77Aと下傾斜部77Bとが先端で湾曲部77Cにより連結されている。また、係止受け部76において、係止溝77の下部には湾曲下縁76Aが設けられると共に、上部には縦上縁76Bが設けられ、縦上縁76Bより湾曲下縁76Aが外側に位置する。
【0061】
そして、内栓部19の後側を所定の力で引き下げると、相互の下傾斜部75B,77Bにより係止突起73が後退すると共に付勢手段74が圧縮されて係止が解除され、内栓部19を外すことができ、一方、内栓部19を外栓部18に嵌合する際には、係合受け部28の上に係合部27を係合し、この係合箇所を支点にして内栓部19の後側を上方に押し上げると、係止突起73の上傾斜部73Aが係止受け部76の湾曲下縁76Aに当たり、上傾斜部73Aに案内されて係止突起73が後退し、係止突起73が湾曲下縁76Aを通過すると、係止溝77に係止部75が係止する。尚、縦上縁76Bは上下方向で直線状に形成され、係止部81の上側への移動を規制している。
【0062】
以上のように、本実施例では、内栓部19の外周面に外栓部18の上部開口20の内向き鍔29に係合される係合部27を有し、ヒンジ側に弾性を有する係止部材35、外栓部18に係止受け部76を設け、内栓部19の係止部材35が外栓部18に着脱自在に係止するから、内栓部19を外すことで栓体4を隅々まで洗うことができ、また、内栓部19の係止部材35が外栓部18に着脱自在に係止し、かつ係止部材35が1つで組立性、経済性にも優れたものとなる。
【実施例4】
【0063】
図11及び図12に示す実施例4では、操作部53の変形例を示し、この例の操作部53は上端が上向きな上部80を有し、この上部80の外側面は略垂直に形成され、その上部80が上方に露出した状態で内向きに進退可能に構成されている。また、係止部材35の縦向き部35Aの外側に係止部81を設け、この係止部81は突起部82から構成されており、この突起部82は上部に上傾斜部82Aを有すると共に、下部に下傾斜部82Bを有し、それら上下傾斜部82A,82Bを湾曲部82Cにより連結した略く字状をなす。また、係止部81が係止する係止受け部83を外栓部18の上部開口20に設け、その係止受け部83は、上下に間隔を置いて配置した上,下受け部84,85と、これら上,下受け部84,85間に設けた凹部86とを備え、前記下受け部85の内縁部85Aは湾曲状に形成されている。また、前側の係合受け部28の上方には、この係合受け部28と間隔をおいて当接部87が内向きに突設されており、係合受け部28に係合部27が係合した状態で、当接部87が係合部27上部の周壁25の外面に当接する。また、上部80は前記枢軸36位置の真上又は外側に位置する。
【0064】
そして、この操作部53を指で内側に押し、付勢手段39に抗して内側に係止部材35の縦向き部35Aの上部を内側に移動させ、凹部86と突起部82の係止を解除し、内栓部19の後側を引き下げて外栓部18から内栓部19を外すことができ、一方、外栓部18に内栓部19を組み付ける際には、係合受け部28の上に係合部27を合わせた後、係合部27を支点として内栓部19の後側を上方に持ち上げると、上傾斜部82Aが湾曲状の内縁部85Aに当接し、ここからさらに内栓部19の後側を上方に持ち上げると、上傾斜部82Aと内縁部85Aに案内されて、係止部81が内側に移動し、内縁部85Aを通過すると、付勢手段39の弾性復元力により枢軸36を中心に縦向き部35Aが外側に回動し、係止受け部83に係止部81が係止する。同時に係合受け部28に係合部27が係止し、さらに、凹部面29Aに左右の外向き鍔32,32が当接すると共に、左右の係合凹部33,33に左右の係合突起34,34が係入する。
【0065】
以上のように本実施例では、内栓部19の係止部材35が内栓部19の後部に内向きに進退可能に設けられており、内栓部19の係止部材35は外栓部18の上方に露出して着脱自在に係止し、蓋体10が開時において内栓部19の係止部材35に内向きの力を加えることにより分解可能であり、内栓部19の係止部材35は外栓部18の上方に露出した状態で内向きに進退可能に構成されているため、容易に係止部材35の着脱状態が目視確認でき、取り付け不十分や取り付け忘れによる漏れ等の問題を回避できる。
【0066】
さらに、内栓部19の係止部材35が内栓部19に枢軸36を中心として回動自在に設けられているから、内栓部19の係止部材35は、軸中心で結合されると共に上方に操作部53を設け、蓋体10を開くと操作部53が外栓部18の上方に露出され、係止部材35を外側から内側に押し作動させることが可能になり、操作性に優れたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように本発明に係る飲料用容器の栓体は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
2 容器本体
3 容器口部
4 栓体
10 蓋体
11 蓋開閉用ヒンジ軸
16 飲み口
18 外栓部
19 内栓部
20 上部開口
27 係合部
28 係合受け部
29 内向き鍔(上部開口の鍔)
30 係止受け部
35 係止部材
36 枢軸
53 操作部
61 障壁部
62 外周面
76 係止受け部
80 上部
83 係止受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる栓本体と、この栓本体にヒンジにより開閉自在に設けられる蓋体を備え、前記栓本体は前記容器本体の口部に装着すると共に上部開口を有する外栓部と、この外栓部の上部開口に下方から着脱自在に被着され、液通孔を有する内栓部を備え、この内栓部の外周面に前記外栓部の上部開口の鍔に係合される1つもしくは複数の係合部を有し、前記ヒンジ側に弾性を有する係止部材、前記外栓部に係止受け部を設け、前記内栓部の係止部材が前記外栓部に着脱自在に係止することを特徴とする飲料容器の栓体。
【請求項2】
前記内栓部の係止部材が前記内栓部の後部に内向きに進退可能に設けられ、前記外栓部の上方に露出して着脱自在に係止、前記蓋体が開時において内向きの力を加えることにより分解可能なことを特徴とする請求項1記載の飲料容器の栓体。
【請求項3】
前記内栓部の係止部材が前記内栓部に軸中心で結合されたことを特徴とする請求項1又は2記載の飲料容器の栓体。
【請求項4】
前記内栓部の係止部材の操作部が水平でなく、上方に傾いていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料容器の栓体。
【請求項5】
前記蓋体が閉時において、前記蓋体に前記内栓部の係止部材の進退動作を阻止する障害部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料容器の栓体。
【請求項6】
前記内栓部の係合部は、飲み口外周面中心に1箇所設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料容器の栓体。
【請求項7】
前記内栓部の係合部が前記外栓部の上部開口の鍔に係合後、前記内栓部の係止部材が前記外栓部の係止受け部に係合されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の飲料容器の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−56680(P2013−56680A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195485(P2011−195485)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】