説明

飲料風味付けストロ

【課題】飲料風味付けストロの性能を改善する。
【解決手段】両端にフィルタ手段11を備えた長手の管状体4内に複数のペレット10が保持され、使用時に、キャリア液が管状体4を通過するに従ってペレット10が徐々にキャリア液に溶解し、有効成分がキャリア液中に放出される飲料風味付けストロ1において、ペレット10を、各々が概ね同心の複数の層を有するノンパレイユペレットとする。ペレット10の溶解特性を、ペレット10が溶解してその大きさが減少してゆくにも拘わらずその全体的形状が実質的に維持されるようにしたり、ペレット10の溶解による表面積の減少を実質的に相殺するようにペレット10の風味付け剤の濃度が相対的に増加するように決定し、キャリヤ液内の風味付け剤の濃度が比較的均一となるようにしたり、内側の層が外側の層とは異なる風味付け剤を含むようにしたりできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、溶解可能剤の流体への添加に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主として、販売の場所において消費されるために予めパッケージされるかまたはボトル詰めされたミルク等の飲料の風味付けに関連して使用するために開発されたものであり、以下、この適用例について説明する。もっとも、本発明は、この適用例に限定されず、他の種類の飲料に対する風味付け剤の添加や、溶解可能な栄養剤、薬剤、健康増進剤、エネルギ増強剤等の経口投与についても適用することができる。
【0003】
予めパッケージされた飲料、特に、テトラパックに詰められて販売されるミルク商品に関する問題として、衛生の問題がある。パックを開封する際には、その飲み口にユーザの手が触れることになるが、その手が直前に清潔にされるとは限らない。また、パックは、通常、それ以前にも、飲料詰め、輸送、棚積みの際に何回も人の手を経たことであろう。従って、消費者がパックの口から直接飲料を飲むとすれば、衛生上明らかに問題である。
【0004】
この問題に対処する試みとしてしばしばストロが使用される。しかし、常に成功するわけではない。まず、小売業者は時々在庫を切らし、ストロを提供することができないことがある。また、ストロ自体も、非衛生的な状態で取り扱われたり貯蔵されたりすることがある。別の問題は、小売業者は、通常、ストロ代を追加的に徴収することができないので、ストロを提供することが利ざやを実質的に減少させることになることである。その結果、小売業者には、パック毎にストロを提供するインセンティブが働かず、他方、消費者は、ストロを請求することに留意しないかもしくは十分な動機付けが働かないことになる。
【0005】
ストロの取り扱いに関連する衛生問題に対処するために、予め1本ずつ包装されたストロを提供する技術が知られている。しかし、このようなストロは一層高価となり、その結果、小売業者にとっては、多数の在庫を用意して、消費者に誠実に提供することへのインセンティブが一層働かなくなる。従って、それらのストロは広く受け入れられるまでには至っていない。上述した問題の多くは、ミルク以外に、ミネラルウォータ、リキュール酒、炭酸飲料、ジュース、コーラ等の他の多くの飲料にも当てはまる。
【0006】
さらに、仕入れ品および在庫品の管理も問題である。ミルク、炭酸ミネラルウォータ、リキュール酒等の飲料のほとんどの種類は、様々な相異なる風味付け剤が添加されて生産される。その結果、小売店では、各種類の飲料製品のラインアップについて、全ての風味付け剤を含む製品をそれぞれ適当な量だけ在庫として用意しておくために、経費のかかる冷蔵スペースを相当程度必要となる。
【0007】
上記の問題の中の多くに対処するために、適当な風味付け剤を飲用ストロ内に閉じ込めて、飲料の摂取に伴って風味付け剤を少しずつ添加することが提案され、これまでに、風味付け剤と閉じ込め手段のいくつかの組み合わせが試みられた。例えば、米国特許第4921713号には多数の具体例が開示されている。その一例は、ストロの内側に風味を付加する裏張りを施した風味付けストロである。しかし、この構成は、実際に製造することが困難であることが判明した。さらに、淡白な飲料と風味付け剤との混合が充分でなく、その結果、飲料に対して適度な風味付けをすることができないことも分かった。
【0008】
提案された他の具体例は、ストロの両端を一対のスポンジ・フィルタで塞ぎ、その間の空間を顆粒物で満たすことである。しかし、この場合には、顆粒物が流体の流通を抑制し、スポンジ・フィルタが通路を塞ぎ易い。これらの問題は、顆粒のサイズを小さくするとより大きくなるが、その理由は、顆粒間の隙間が小さくなり、必然的にフィルタの目を一層細かなものとせざるを得ないからである。
【0009】
上記の具体例によって、克服もしくは調和されるべき、概して相互に矛盾する2つの課題が明らかとなった。その1つは、飲料に対する風味付け剤の適度な混合を安定的で制御された方法で行うことであり、他の1つは、飲料をストロで吸引するために必要な吸引力を過度に高くしてはならないことである。
【0010】
米国特許第5718681等の他の文献には、薬剤投与ストロが開示されている。具体的には、有効成分を含む粒子が当該ストロに詰められて、ユーザがキャリア液を摂取すると、それらの粒子がユーザの口に運ばれるというものである。ストロの底に付けられたフィルタが、液体がストロ内に吸い込まれることを許容しつつ、上記粒子が重力の作用によりストロの外にこぼれて液体中に落ち込むことを防止する。しかし、このフィルタは一方向についてのみ作用し、上記粒子をストロ内に保持する役割を負っていない。その結果、薬剤の濃度や投与速度に関して制御することは困難である。
【0011】
上記の具体例や他の同様の具体例の何れもがそれぞれ固有の欠点を有しており、そのため、これまでは何れも広く採用されたり、商業的な成功を収めることができなかった。
【0012】
本発明の目的は、先行技術の上記の欠点の少なくとも1つを克服しもしくは実質的に改善すること、あるいは、少なくとも、有効な代替物を提供することである。
【発明の開示】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、(a)概して長手の管状体と、(b)所定の大きさと形状とを有し、所定量の有効成分を含み、かつ、各々が概ね同心の複数の層を有するノンパレイユペレットを主体とする複数のペレットと、(c)それらペレットを前記管状体の内部に保持するために、管状体の各端または各端近くに設けられるフィルタ手段とを含む容器であって、当該容器がそれを通過してキャリア液が吸引されることを許容する構成とされ、使用時に、キャリア液が管状体を通過することで前記ペレットが徐々にキャリア液に溶解し、それにより、前記有効成分がキャリア液中に放出される容器が得られる。
【0014】
本明細書において使用される「溶解」という語とそれに類似する語とは、例えば小さな粒子状固形物が懸濁液中に分散された状態をも含むように、充分に広く解釈されるべきである。
【0015】
好適には、前記キャリア液は風味付けのされていない飲料であり、前記有効成分は補充的な、ペレット化された風味付け剤であり、前記容器は飲料を飲むための飲用ストロとして使用される。
【0016】
また、好適には、前記ペレットが概ね球状であり、ペレットの略全部が管状体の内径の約25%〜75%の直径を有し、具体的には、それらが約2mm〜約3mmの平均直径を有する。
【0017】
ペレットは、「ノンパレイユペレット」として形成される。「ノンパレイユ」という語は、食品・菓子の製造分野においては、材料を何層かに重ねることによって形成される構造を示す言葉として知られ、使用されている。本明細書においてこの語を使用する場合には、本発明の趣旨に従って、風味付け剤、栄養剤、薬剤、健康およびエネルギ補給剤等から形成される各層について、同様の意味を有することが意図されている。
【0018】
各ペレットは複数層を重ねて形成されるので、各層の組成は必要に応じて変更され得る。その結果、ペレットの溶解特性を、ペレットが溶解してその大きさが減少するにも拘わらずその形状が維持されるように、有利に調整することが可能となる。
【0019】
好適には、各ペレットはその内側層ほどその外側層よりも高濃度の風味付け剤を含んでいる。この濃度増加により、ペレットの溶解によるその表面積の減少が有利に相殺され、それにより、ユーザに摂取される際の風味付け剤の濃度が相対的に均一とされる。
【0020】
本発明の他の好適な態様においては、各ペレットが内側風味付け領域と外側風味付け領域とを含んでおり、内側風味付け領域が外側風味付け領域とは異なる風味付け剤を含んでいる。このようにすれば、本ストロで飲料を摂取するユーザは、飲料の初めの部分と終わりの部分とで異なる風味を体験することになる。本発明の特に好適な態様においては、各ペレットが、その内側風味付け領域と外側風味付け領域との間に、少なくとも1つの中間風味付け領域を含んでいる。
【0021】
本発明の他の好適な態様においては、前記フィルタ手段が本ストロの各端部に保持される端キャップを含んでいる。好適には、前記端キャップの各々がふるい部と、円筒状の取付部を含んでいる。好適には、そのふるい部が長手のスロットの形態を取る複数の貫通穴を含んでいる。好適には、各スロットが前記風味付けペレットないし顆粒を本ストロ内に保持することができるように十分に小さく形成されており、かつ、液体がストロを比較的抵抗なく通過することができるように十分に大きく形成されている。好適には、各スロットの幅が約1mmであり、他方、ストロの内径が約8mmである。
【0022】
好適には、各端キャップのふるい部がストロの内側に向かって延びる円錐形状を有している。その結果、前記貫通穴の形成のための表面積が増大し、かつ、液体が通過してストロ内に入るための流通断面積が増大する。
【0023】
このように、本発明は、風味付け剤等の有効成分の適切な混合と注入という要請と、口による吸引力を受容可能な低いレベルとする要請とのバランスが取られている点において、従来技術よりも著しく優れている。一般に、従来技術は、詰まり易くかつ高いレベルの吸引力を必要とする細かな粒子ないし粉末を利用する風味付けストロを提供する。細かな粉末の利用には、それがストロから直接吸い出されて未溶解のまま予定された時期より早く摂取されることを防止するために、ストロの端に粉末に対応する細かな目のフィルタを設けることが必要となる。その結果、飲料の最初の部分では風味付け剤の濃度が過剰となり、飲料の残りの部分ではその濃度が不充分となる。また、このように細かな目のフィルタは、ストロを通過する流体の流れを抑制し、粉末によって一層詰まり易い。さらに、粉末粒子の形状が不均一の場合には集塊し易く、それにより、流通を妨げ、混合を遅らせる。
【0024】
以上とは対照的に、本発明は、飲料に対して満遍なく、風味付け剤を少しずつ確実にかつ実質的に均一に注入し得る利点を有する。この効果は、ストロとフィルタ手段との大きさと構造とに関して補充的かつ相乗効果的な方法によって、風味付け剤ペレットの大きさ、形状、表面積および構造を注意深く選択することによって得られる。
【0025】
本発明の有利な構成によれば、消費者に対して、液体をストロを通して吸引する速度を変更しそれによりストロ内での液体の「滞留」時間(すなわち、液体がストロを通過するのに必要な時間)を変更することにより、飲料に供給される風味付け剤の濃度を調節することを、許容する。
【0026】
ある実施態様においては、本容器が、使用の直前に消費者によって取り外し可能な、衛生的にシールされた外側包装体を含んでいる。
【発明の好適な実施例】
【0027】
本発明の好適な実施例を、図面を参照しつつ、例示としてのみ説明する。
【0028】
図示された本発明の風味付け剤容器1は、風味付けのされていない淡白な飲料に使用される、相対的に濃縮された風味付け剤10の所定量を内包している。淡白な飲料とは、例えば、テトラパックの容器に詰められたミルクである。もっとも、風味付け剤10やミルク以外の他の有効成分や他のキャリア液が使用されてもよい。
【0029】
図1に示すように、本実施例の風味付け剤容器1は長手の管状体4である。管状体4は、外部からの遮断のために、衛生的にシールされた使い捨ての包装体(図示せず)に詰められる。風味付け剤容器1としての管状体4の内部容積は、それと共に販売することが意図された飲料の体積に適した、風味付け剤10の濃縮物の所定量を内包することができるように決定される。管状体4の全体的な形状と寸法とは、それがストロとして使用され得るように決定される。一層大きな体積の風味付け剤10を必要とする場合には、管状体4の長さ寸法を大きくすることにより、ストロとして使用することができる。
【0030】
消費者は、ミルク等の風味付けのされていない飲料を容器単位で購入すると共に、所望の風味付け剤10を内包する管状容器1としての「風味付けストロ」4を購入して、使用することが予定されている。
【0031】
図2および図3に示すように、風味付け剤10は概ね球状の複数の固形ペレットの形態を取る。ペレット10は、ストロ4内において、2つの端キャップ11としてのフィルタ手段によって保持される。各端キャップ11はふるい部12と円筒状の取付部13とを含む。ふるい部12には多数の貫通穴14が形成され、貫通穴14は、風味付け剤の顆粒10を保持することが可能な程度に充分に小さく、かつ、液体がストロ4内を比較的抵抗なく通過することを許容する程度に充分に大きい。貫通穴14は長手のスロットの形状を有する。図2、図4および図5に示すように、長手スロット14が外周方向に離れて形成されることにより、各端キャップ11のふるい部12が規定されている。長手スロット14と概ね球状のペレット10との形状の差異により、ペレット10が溶解する過程でスロット14を閉塞してしまうことが効果的に防止されている。さらに、ペレット10が溶解してその径が所定の小ささになれば、ペレット10はスロット14を通過してストロ4の外部に出ることが可能となり、消費者によって安全に摂取される。その結果、発砲ゴムや一層細かい目のフィルタに発生するような、ふるい部12の目詰まりが防止される。従って、流体の流れが常に維持される一方で、風味付け剤の粗い顆粒10の早すぎる消費が回避される。
【0032】
図2、図4および図5に示すように、各端キャップ11のふるい部12は、概して円錐形状を有し、同じ径のフラットな端キャップに比較して、一層大きな表面積を有している。その大きな表面積のおかげで、一層多くの数のおよび・または一層大きなサイズのスロット14の形成が可能となり、液体が通過する有効流通断面積が増大し、消費者に求められる口の吸引圧力を低下させるのに役立つ。各端キャップ11は、必要に応じて、追加的なフィルタ要素、層、材料等を含むことができる。各端キャップ11の円筒状の取付部13には、縦方向に伸びる複数のリッジ15が、外周方向に離れて形成されている。複数の縦方向リッジ(細長い隆起部)15がストロ4の内壁面と係合することにより、ストロ4と各端キャップ11は複数の点で係合することになる。それにより、各端キャップ11はストロ4の内部に容易に固定される。
【0033】
ストロ4は円筒状の押し出し品であり、好適には、食品グレードのポリプロピレンから形成され、所定の長さに切断される。端キャップ11も同じ食品グレードのポリプロピレンから形成され、各端キャップ11とストロ4は、超音波溶接、加熱溶接等のプラスチック溶接法により相互に溶接される。このように、端キャップ11とストロ4とは一体的なユニットとなるので、各端キャップ11がストロ4から外れて、誤ってユーザに摂取される可能性は排除されている。また、このプラスチックは透明なので、ユーザはストロ4の内部の状態を視覚的に観察することができる。もっとも、ストロ4はろう紙等の他の適当な材料を使用して形成することも可能であり、各端キャップ11は圧入、適当な接着剤、熱収縮もしくはこれらの方法と他の方法との適当な組み合わせ等の他の手段を使用して所定の場所に固定することも可能である。
【0034】
ストロ4内に存在する流体中における風味付け剤10の濃度は以下の因子に依存する。すなわち、ストロ4内で使用されるペレット10のサイズ、形状および数と、ストロ4内での「滞留時間」と、ペレット10の製造に使用される風味付け剤の濃度と、各ペレット10の溶解速度とである。
【0035】
球形状は、予測可能でかつ安定的な溶解速度を保証するばかりでなく、ストロ4の製造の際にはストロ4への充填を容易にするために、バラの状態にあるペレット10の流動特性を高める。さらに、球形状は押潰しや破砕に対して抵抗力があるので、ストロ4内における粉末の量が減少し、溶解の時期が過度に早められたり、および/または、ユーザによって過度に摂取されてしまうことが抑制される。
【0036】
ペレット10のサイズはストロ4の直径に対して相互補完的なものとされる。一般的には、ペレット10の直径はストロ4の直径の25%から75%までとされ、好適には、ストロ4の直径の3分の1以上とされる。通常、管状体4は約8mm径の内孔を有しており、ペレット10の直径は2mm〜3mmである。また、2つの端キャップ11は相互に170mm離れて配置され、約4gのペレット10が閉じ込められた状態でストロ4内に保持される。各端キャップ11に形成されるスロット14の幅は通常約1mmである。忍耐強い開発と試験の結果、上記の構成によって、ペレット10の全体の表面積が風味付け剤10の適度な注入を保証する適切なものとなり、また、ペレット10の形状が実質的に溶解し終えるまで維持され続けることを見出した。もっとも、他の実施例においては、ペレット10を球形以外の形状、例えば、タブレット形やカブセル形としてもよい。
【0037】
ペレット10のサイズの変更はその表面積を変化させるばかりでなく、ストロ4内における流体の滞留時間にも影響する。大きなペレット10は充填が粗くなるので、ペレット10間の隙間が大きくなり、ストロ4内を流体が通過するための直接的な通路が形成される。従って、大きなペレット10の場合、所定の吸引圧の下では、流体の滞留時間が短縮され、その流量が増加する。しかし、ペレット10がストロ4の直径に対して大きすぎると、上記通路を実質的にまたは完全に閉塞することがあり、あるいは、その表面積が不適切となることがある。
【0038】
流体の出口濃度に影響する他の2つの因子は、ペレット10内での風味付け剤の濃度とペレット10の溶解速度とである。ペレット10が高濃縮物であれば、キャリア液中の風味付け剤の濃度が高められる。同様に、ペレット10が速やかに溶解すれば、全ての他の変数に変化がないことを条件として、風味付け剤の出口濃度が高められる。この点で、ストロ4は、一回限りの使用で捨てられるものであることが意図されている。ペレット10の溶解速度は、ミルク等の飲料の特定の量に適合するように選択される。具体的には、所定量のミルクがストロ4を通過することで、ペレット10が完全に溶解してしまうか、または、ペレット10が充分に小さくなりスロット14を通過してストロ4の外部に出てしまう程度まで溶解する。この段階では、ユーザは、ストロ4の透明な壁を通じて、ストロ4にはもはや風味付け剤がなくなっているので捨ててしまってよいことを認識することができる。本発明の球状ペレット10は、好適には、ノンパレイユボールの形態を取る。ノンパレイユボール10は、他の形状や製造方法に比較して、上記変数の正確な制御が可能となる。
【0039】
ノンパレイユボール10は、「種」の上に複数の層を積み重ねることによって形成される。通常、この種は砂糖の結晶である。もっとも、他の適当な核を使用してもよい。ノンパレイユペレット10を形成すれば、ペレット10のサイズの制御が可能となり、その形状が概ね球状であることが保証される。さらに、ペレット10の組成を各層毎に調整することが可能となる。風味付け剤、甘味料もしくは砂糖、着色料、デンプン等の各層の順序は、必要に応じて、どのように変更してもよい。
【0040】
これにより、ノンパレイユボール10の全断面を通じて、風味付け剤の濃度、甘さ、溶解速度を変更することが可能となる。例えば、中心部に向かうほど高濃度の風味付け剤を含むボール10を使用すれば、ボール10のサイズが次第に小さくなりかつその表面積が徐々に減少することにより、ミルク中の風味付け剤が均一とされる。
【0041】
複数の風味付け剤を混ぜたり変えたりすることもできるので、ある種類の風味付け剤を最初に飲料に加え、次いで、ペレット10の溶解に伴って、他の種類の風味付け剤に交代させることができる。ペレット10内での風味付加物の交代に伴って、着色料を変更することもでき、このようにすれば、ユーザはこの交代をストロ4の透明ないし半透明の壁を通じて認識することができる。ストロ4を通過する飲料もしくはキャリア液を甘くするために、人工甘味料を使用してもよい。
【0042】
本発明は主としてミルクの風味付けに使用することを目的として開発されたが、豆乳、ミネラルウォータおよび炭酸水、ソーダ水、清涼飲料水、ミルクセーキ、リキュール酒、ジュース、アルコール飲料等の他の種類の飲料の風味付けに容易に適用可能である。本発明は、さらに、お茶、コーヒー、ココア等の温かな飲料にも適用可能である。
【0043】
また、以上は、本発明を主として風味付け剤10を飲料に対して添加する場合について記載したが、甘味料、ビタミン補給剤、栄養剤、ハーブ剤、薬剤、健康増進剤、エネルギ付与剤等にも同様に適用可能である。それらの場合には、ストロ4の透明な側壁を通して、正確な量の目的剤が投与されたことを確認することができるので極めて便利である。この確認は、ストロ4が空になったことや、ペレット10内での可視色および/または風味の変化によって示される。後者については、目的剤の摂取を嫌がる幼児を励ます効果もある。
【0044】
本発明は、飲料を吸い込む速度、つまり、ストロ4内での飲料の滞留時間を調節することによってユーザが風味付け剤10の濃度についてある程度制御することができる点で有利である。また、風味付け剤の顆粒10はストロ4に部分的にのみ充填されることから、残された自由な空間において顆粒10の攪拌、混合が促進、改善されることが解った。さらに、攪拌される顆粒10が飲料を掻き回す機能を有することから、風味付け剤が飲料中に一層均一に分布することとなる。
【0045】
また、本発明の主たる実施態様においては、風味付けストロ4を予め容器に詰められた飲料と共に消費者に提供することを意図しているので、飲料のパッケージングに関する従来の衛生問題の多くが回避される。さらに、比較的安価な風味付けのされていない飲料と共にストロ4に一体化された有効風味付け剤を販売することができるので、小売業者は、現在行われている風味付加飲料(特にミルク)と無付加飲料の両方の販売形態に対して、実質的に利ざやを増加させることができることが想定されている。
【0046】
さらに、消費者にはより大きな範囲の風味付け剤10に対する選択権が与えられ、また任意には、複数の異なる風味付け剤10の組み合わせや、所望の濃度の風味付け剤10を利用する可能性が与えられる。また、飲料用の風味付け成分10(特にミルク用のもの)は、通常、長い貯蔵寿命を有するので、未使用商品の廃棄が必要になった場合でも、少なくとも風味付け成分10の廃棄は回避することができる。さらに、小売業者は相対的に多数の無付加飲料を経費のかかる冷蔵スペースに貯蔵し、風味付け容器1を別の場所に保管することができるので、貯蔵品や保管品の管理が極めて容易となる。また、本発明は、溶解可能な経口薬剤や他の医療用薬剤を、従来のタブレット型やカプセル型の薬物を飲み込むことが困難な幼児や高齢者に投与するために極めて有利に利用することができる。これらすべての点から、本発明は、従来技術に対して、商業的に有意の改善を提供することができる。
【0047】
以上、本発明の具体的な実施例を記載したが、本発明はこの他にも多くの態様で実施可能であることが当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に従う飲用ストロを示す一部切欠き斜視図である。
【図2】本発明に従う端キャップの斜視図である。
【図3】ノンパレイユ型の風味付けボールの1つを示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に従う端キャップの、第1実施例の端キャップとは異なる形状を示す側面図である。
【図5】本発明の第2実施例に従う端キャップの、第1実施例の端キャップとは異なる形状を示す平面図である。
【0049】
1 風味付け剤容器
4 管状体(ストロ)
10 風味付け剤(ペレット、顆粒、ボール、風味付け成分)
11 端キャップ
12 ふるい部
13 取付部
14 スロット(貫通穴)
15 リッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して長手の管状体と、
所定の大きさと形状とを有し、所定量の有効成分を含み、かつ、各々が概ね同心の複数の層を有するノンパレイユペレットを主体とする複数のペレットと、
それらペレットを前記管状体の内部に保持するために、管状体の各端または各端近くに設けられるフィルタ手段と
を含む容器であって、当該容器がそれを通過してキャリア液が吸引されることを許容する構成とされ、使用時に、キャリア液が管状体を通過することで前記ペレットが徐々にキャリア液に溶解し、それにより、前記有効成分がキャリア液中に放出される容器。
【請求項2】
飲用ストロとして構成された請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記複数層の中の少なくとも1層の成分が他の層の成分と異なる請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記ペレットの溶解特性が、ペレットが溶解してその大きさが減少してゆくにも拘わらずその全体的形状が実質的に維持されるように予め決定されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の容器。
【請求項5】
前記ペレットの中の少なくとも一部のペレットの内側層が、その一部のペレットの外側層とは異なる有効成分を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記有効成分が風味付け剤を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記ペレットの中の少なくとも一部のペレットの内側層が、それらの外側層よりも高濃度の風味付け剤を含む請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記ペレットの溶解によるその表面積の減少を実質的に相殺するように前記風味付け剤の濃度が相対的に増加するように決定されており、それにより、前記キャリヤ液内の前記風味付け剤の濃度が比較的均一とされる請求項7に記載の容器。
【請求項9】
各ペレットが内側風味付け領域と外側風味付け領域とを含み、内側風味付け領域は外側風味付け領域とは異なる風味付け剤を含む請求項1ないし8のいずれか1つ上記請求項のいずれか1つに記載の容器。
【請求項10】
前記各ペレットが、その内側風味付け領域と外側風味付け領域の間に、少なくとも1つの中間風味付け領域を含む請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記ペレットが概ね球状である請求項1ないし10のいずれか1つに記載の容器。
【請求項12】
前記ペレットの略全部が前記管状体の内径の約25%以上の直径を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の容器。
【請求項13】
前記ペレットが約2mm〜約3mmの平均直径を有する請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記フィルタ手段が前記管状体の各端部に保持される端キャップを含む請求項1ないし13のいずれか1つに記載の容器。
【請求項15】
前記端キャップの各々がふるい部を含む請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記端キャップの各々が概して円筒状の取付部を含む請求項14または15に記載の容器。
【請求項17】
前記ふるい部が長手のスロットの形態を取る複数の貫通穴を含む請求項15ないし16のいずれかに記載の容器。
【請求項18】
前記スロットが、前記ペレットを前記管状体の内部に保持することができるように十分に小さく形成されている請求項17に記載の容器。
【請求項19】
前記スロットが、液体が前記管状体を比較的抵抗なく通過することができるように十分に大きく形成されている請求項17または18に記載の容器。
【請求項20】
前記スロットが約1mmの幅を有する請求項17ないし19のいずれか1つに記載の容器。
【請求項21】
前記ふるい部が、概して内側に延びる円錐形状を有することで、前記スロットの形成に利用可能な表面積が増加し、それにより、有効流通断面積が増加した請求項17ないし20のいずれか1つに記載の容器。
【請求項22】
前記管状体の内径が約8mmである請求項1ないし21のいずれか1つに記載の容器。
【請求項23】
消費者に対して、前記キャリア液を前記管状体を通して吸引する速度を変更し、それにより管状体内でのキャリア液の「滞留」時間を変更することにより、飲料に供給される風味付け剤の濃度を調節することを許容するように構成された請求項1ないし22のいずれか1つに記載の容器。
【請求項24】
前記有効成分が、甘味料、風味付け剤、着色剤、粘性調整剤、ビタミン補給剤、ミネラル、薬剤、ハーブ抽出物、栄養補給剤、エネルギ増強添加剤を含む群から選択される少なくとも1つの成分を含む請求項1ないし23のいずれか1つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−284378(P2008−284378A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152050(P2008−152050)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【分割の表示】特願2004−508595(P2004−508595)の分割
【原出願日】平成15年5月29日(2003.5.29)
【出願人】(504439403)ユニストロー・パテント・ホールディングズ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Unistraw Patent Holdings Limited
【住所又は居所原語表記】U0195,Jalan Merdeka, Federal Territory of Labuan, Malaysia 87000
【Fターム(参考)】