説明

飲酒運転防止システム及びこれに使用する外部サーバー

【課題】地理的な相違に起因して判定基準が異なる場合でも、かかる相違を考慮して、飲酒運転を防止すること。
【解決手段】外部サーバーと車載機との間の通信を介して飲酒運転を防止する飲酒運転防止システムであって、車載機は、運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度を検知する手段と、車両の現在位置情報を取得する手段と、アルコール濃度を車両の現在位置情報と共に外部サーバーに送信する送信手段とを備え、外部サーバーは、飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、車載機から送信されるアルコール濃度及び車両の現在位置情報を受信する手段と、記憶手段における車両の現在位置に対応した判定基準に基づいて、受信したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者又は運転者予定者の飲酒運転を防止する飲酒運転防止システム及びこれに使用する外部サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転者の呼気中のアルコール濃度を検出した結果、そのアルコール濃度が規定値以上である場合に、車両のエンジンを停止してその運転を制限した車両運転制限装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる装置によれば、車両運転者が飲酒状態にあるときには車両の運転が不可能となるので、車両の飲酒運転が防止され、その安全走行が確実に実現されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準(法律や条令等で規定される判定基準)は、国、地域、州の相違のような、地理的な相違に起因して異なりうる。このような地理的な相違を考慮せずに一律の判定基準で判定されると、例えば、最新の基準値が反映されないなどの、誤判定の虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、地理的な相違に起因して判定基準が異なる場合でも、かかる相違を考慮して、飲酒運転を防止することが可能な飲酒運転防止システム及びこれに使用する外部サーバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、外部サーバーと車載機との間の通信を介して飲酒運転を防止する飲酒運転防止システムであって、
前記車載機は、
該車載機が搭載される車両の運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度を検知する手段と、
前記車両の現在位置情報を取得する手段と、
前記検知したアルコール濃度を、前記車両の現在位置情報と共に前記外部サーバーに送信する送信手段とを備え、
前記外部サーバーは、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機から送信される前記アルコール濃度及び前記車両の現在位置情報を受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準に基づいて、前記受信したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする、飲酒運転防止システムが提供される。
【0007】
本発明の他の一局面によれば、車載機との通信を介して飲酒運転を防止する外部サーバーであって、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機が搭載される車両の運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度及び前記車両の現在位置情報を前記車載機から受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準に基づいて、前記受信したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定が肯定判定の場合に、前記車両の運転の開始又は継続を抑制する手段とを備えることを特徴とする、外部サーバーが提供される。
【0008】
尚、運転者予定者とは、これから車両を運転する予定の乗員、即ち車両走行開始前の乗員(運転者となるべき乗員)を指す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地理的な相違に起因して判定基準が異なる場合でも、かかる相違を考慮して、飲酒運転を防止することが可能な飲酒運転防止システム及びこれに使用する外部サーバーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例による飲酒運転防止システム1の要部構成を示す図である。
【図2】実施例1の車載機100により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例2の車載機100により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例2の外部サーバー200により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】実施例3による飲酒運転防止システム3の要部構成を示す図である。
【図6】実施例3の車載機100’により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】実施例4の車載機100’により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0012】
[実施例1]
図1は、本発明の一実施例(実施例1)による飲酒運転防止システム1の要部構成を示す図である。飲酒運転防止システム1は、車両に搭載される車載機100と、外部センタに設置される外部サーバー200とを含む。
【0013】
車載機100は、複数の車両にそれぞれ搭載されてよい。ここでは、ある一台の車両の車載機100について説明する。車載機100は、図1に示すように、演算処理部102と、記憶部104と、通信機器106と、表示部108と、GPS受信機110と、指紋認証部120と、アルコール検知センサ122と、エンジン130と、イモビライザ132とを含む。
【0014】
演算処理部102は、CPUなどで構成されてよい。記憶部104は、作業用メモリ(RAM)等を含む複数の記憶装置から構成されてもよい。演算処理部102及び記憶部104は、ECUにより構成されてもよい。また、後述する演算処理部102の各種機能は、複数のECUにより協動して実現されてもよい。
【0015】
表示部108は、車室内に設けられるディスプレイやメータ等であってよい。
【0016】
通信機器106は、無線通信網を介して外部サーバー200の通信機器206と通信するように構成される。
【0017】
GPS受信機110は、GPS衛星からの信号に基づいて車両の位置を測位し、測位結果を演算処理部102に供給する。演算処理部102は、GPS受信機110の測位結果に基づいて、車両の現在位置を検知する。演算処理部102は、車両の現在位置を表す車両の現在位置情報を生成して、記憶部104に記憶する。車両の現在位置情報は、後述のアルコール濃度及び運転者識別情報と共に通信機器106により外部サーバー200へと送信される。尚、GPS受信機110の測位方法は、任意であってよく、単独測位や干渉測位方法等が採用されてもよい。GPS受信機110に加えて、ジャイロセンサや車輪速センサ(図示せず)が車両位置の検知に利用されてもよい。また、マップマッチング技術を用いて、GPS受信機110が演算した現在の車両位置等が補正されてもよい。
【0018】
指紋認証部120は、好ましくは、運転者の指紋データを取得できる場所に設けられる。指紋認証部120は、例えばステアリングホイール(即ちいわゆるハンドル)に設けられてよい。指紋認証部120は、所定周期毎に最新の運転者の指紋データを取得してもよい。これは、運転者が途中で交代する場合もありうるためである。指紋認証部120は、取得した運転者の指紋データを演算処理部102に供給する。演算処理部102は、運転者の指紋データに基づいて、運転者を特定できる運転者識別情報を生成して、記憶部104に記憶する。運転者識別情報は、指紋データに対応する他の情報(例えば予め登録されたユーザIDや、指紋の特徴部分だけを抽出したデータ等)であってもよい。運転者識別情報は、車両の現在位置情報及び後述のアルコール濃度と共に通信機器106により外部サーバー200へと送信される。
【0019】
アルコール検知センサ122は、運転席近傍に配設され、空気中のアルコール濃度に応じた信号を出力する。演算処理部102は、アルコール検知センサ122の出力信号に基づいて運転席近傍における空気中のアルコール濃度、即ち車両の運転者の呼気中のアルコール濃度を検知し、記憶部104に記憶する。同様に、演算処理部102は、所定周期毎に最新の運転者の呼気中のアルコール濃度を検出してもよい。これは、運転者が途中で交代する場合や、運転者が運転中に飲酒をする場合もありうるためである。アルコール濃度は、運転者識別情報及び車両の現在位置情報と共に通信機器106により外部サーバー200へと送信される。
【0020】
エンジン130は、車両の動力を発生させる。エンジン130は、フューエルカット機能を備えてよい。エンジン130の動作は、演算処理部102からの指令信号により制御される。
【0021】
イモビライザ132は、作動時に、エンジン130の始動ができない状態を形成する。イモビライザ132は、例えばユーザの所持する携帯キーの送信部から受信したIDが車両側に登録されたIDと一致する場合に、作動が解除され、エンジン130の始動が可能な状態を形成する。イモビライザ132の動作は、演算処理部102からの指令信号により制御される。
【0022】
外部サーバー200は、所定の場所に設置された1つの大型のサーバーから構成されてもよいし、複数の場所に点在して配置される複数個のサーバーから構成されてもよい。外部サーバー200は、図1に示すように、演算処理部202と、記憶部204と、通信機器206と、表示部208とを含む。
【0023】
演算処理部202は、CPUなどで構成されてよい。演算処理部202の機能の詳細については後述する。
【0024】
記憶部204は、ハードディスクドライブのような書換え可能な記憶装置により構成されてもよい。記憶部204は、作業用メモリ(RAM)等を含む複数の記憶装置から構成されてもよい。
【0025】
記憶部204は、飲酒状態に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する。これは、飲酒状態に関する判定基準(例えば、飲酒状態に該当するアルコール濃度)は、地理的な相違(それに伴う、法令、条例等の相違)に起因して異なるためである。判定基準は、法令、条例、規則等に基づいて生成されてよい。従って、判定基準は、法令、条例等が定められた区域毎に生成されてもよい。区域の単位は、判定基準が異なる地理的範囲を表す単位であれば任意であってよく、例えば国、地域、州等であってよい。また、区域の単位は、画一的である必要は無く、例えば、ある州に関しては、細かい地域であってよく、他の州に関しては、州全体が1単位であってもよい。
【0026】
飲酒運転に関する判定基準は、典型的には、飲酒状態に該当するアルコール濃度(呼気中のアルコール濃度、以下同じ)に関する判定基準(例えば、飲酒状態に該当する最低アルコール濃度)を含む。
【0027】
表示部108は、任意のディスプレイ装置で構成されてよい。
【0028】
通信機器206は、無線通信網を介して車載機100の通信機器106と通信するように構成される。
【0029】
次に、本実施例の飲酒運転防止システム1の主要動作を説明する。
【0030】
図2は、実施例1の車載機100による動作の一例を示す。
【0031】
図2は、本実施例の車載機100により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。図2に示す処理ルーチンは、例えばイモビライザ132の作動解除が要求された際(例えば携帯キーからの応答信号を車載機100で受信した際や、エンジンスイッチのような所定のスイッチが操作された場合)に起動されてよく、その後、イモビライザ132の作動が解除されてエンジン130が始動されると、イグニッションスイッチがオフになるまで、所定周期毎に実行されてもよい。或いは、図2に示す処理ルーチンは、車両へのユーザの乗車が検出された場合(例えばドアスイッチのオン/オフ状態や、シートに埋設された荷重センサにより検出)又はステアリングホイールを運転者が握った場合(例えばタッチセンサ等により検出)に起動されてもよく、その後、運転が開始されると、イグニッションスイッチがオフになるまで、所定周期毎に実行されてもよい。
【0032】
ステップ300では、演算処理部102は、アルコール検知センサ122の出力信号に基づいて現在の運転者の呼気中のアルコール濃度を検知する。
【0033】
ステップ302では、GPS受信機110は、車両の現在位置を検知すると共に、指紋認証部120は、現在の運転者の指紋データを検知する。
【0034】
ステップ304では、演算処理部102は、上記ステップ302で検知した情報に基づいて、車両の現在位置情報及び運転者識別情報を生成し、通信機器106は、これらの情報を外部サーバー200に送信する。
【0035】
ステップ306では、通信機器106は、上記ステップ300で演算処理部102により検知されたアルコール濃度を外部サーバー200に送信する。この際、アルコール濃度は、車両の現在位置情報及び運転者識別情報に対応付けて送信される。尚、この処理は、上記ステップ304の処理と同時に実行されてもよい。即ち、これらの3つの情報(アルコール濃度、車両の現在位置情報及び運転者識別情報)を含む1つの送信信号が生成されてもよい。また、その他の情報が付加されて外部サーバー200に送信されてもよい。例えば、車両を特定するための車両情報が付加されて外部サーバー200に送信されてもよいし、車両の運転中に検知されたアルコール濃度であるか車両の運転前(エンジン始動前)に検知されたアルコール濃度であるかを示す情報が付加されて外部サーバー200に送信されてもよい。
【0036】
ステップ308では、演算処理部102は、上記ステップ306による送信に対する外部サーバー200からの応答として、外部サーバー200からの運転停止命令が通信機器106により受信された否かを判定する。運転停止命令は、飲酒状態を防止すべく外部サーバー200から送信される指令である。外部サーバー200からの運転停止命令が通信機器106により受信された場合は、ステップ310に進み、受信されない場合(或いは、外部サーバー200からの運転許可信号が通信機器106により受信された場合)には、ステップ300に戻り、次回の周期でステップ300からの処理が再度実行される。尚、外部サーバー200は、上記ステップ304で送信される車両の現在位置情報に基づいて、車両の現在位置が属する区域に適用される判定基準を記憶部204から読み出し、当該判定基準と、上記ステップ304で送信されるアルコール濃度とを比較し、アルコール濃度が現在の車両位置が属する区域における判定基準以上である場合には、運転停止命令を通信機器106に向けて送信する。
【0037】
ステップ310では、演算処理部102は、例えばイグニッションスイッチの状態に基づいて、車両が運転中であるか否かを判定する。例えばイグニッションスイッチがオフ状態である場合は、車両が運転中でないと判定し、イグニッションスイッチがオフ状態以外の状態(オン状態やACC状態)である場合は、車両が運転中であると判定してもよい。或いは、運転中か否かは、車速データやシフトポジション、スロットル開度等に基づいて判断されてもよい。車両が運転中である場合は、ステップ312に進み、車両が運転中でない場合は、ステップ314に進む。
【0038】
ステップ312では、演算処理部102は、エンジン130に対してフューエルカットを実行する。これにより、現在の運転状態が、飲酒状態に該当する場合には、車両を安全に停止させることができる。また、ステップ312では、演算処理部102は、表示部108に警告を表示してもよい。
【0039】
ステップ314では、演算処理部102は、イモビライザ132を作動させる(作動解除を許可しない)。これにより、エンジン130の始動を防止して、飲酒状態を未然に防止することができる。また、ステップ314では、演算処理部102は、表示部108に警告を表示してもよい。
【0040】
[実施例2]
実施例2は、上述の実施例1に対して車載機100及び外部サーバー200の機能の一部が異なる。具体的には、上述の実施例1では、外部サーバー200側でアルコール濃度が判定基準以上であるか否かを判定しているが、実施例2では、車載機100側でアルコール濃度が判定基準以上であるか否かを判定する。実施例2の構成自体は、実施例1の構成(図1参照)と同様であってよい。
【0041】
図3及び図4は、実施例2の車載機100及び外部サーバー200による動作の一例を示す。
【0042】
図3は、本実施例の車載機100により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。図3に示す処理ルーチンは、例えばイモビライザ132の作動解除が要求された際に起動されてよく、その後、イモビライザ132の作動が解除されて運転が開始されると、イグニッションスイッチがオフになるまで、所定周期毎に実行されてもよい。或いは、図3に示す処理ルーチンは、車両へのユーザの乗車が検出された場合又はステアリングホイールを運転者が握った場合に起動されてもよく、その後、運転が開始されると、イグニッションスイッチがオフになるまで、所定周期毎に実行されてもよい。
【0043】
ステップ500では、演算処理部102は、アルコール検知センサ122の出力信号に基づいて現在の運転者の呼気中のアルコール濃度を検知する。
【0044】
ステップ502では、GPS受信機110は、車両の現在位置を検知すると共に、指紋認証部120は、現在の運転者の指紋データを検知する。
【0045】
ステップ504では、演算処理部102は、上記ステップ502で検知した情報に基づいて、車両の現在位置情報を生成し、通信機器106は、車両の現在位置情報を外部サーバー200に送信する。この送信信号は、判定基準の要求を含んでよい。
【0046】
ステップ506では、通信機器106は、上記ステップ504による送信に対する外部サーバー200からの応答として、外部サーバー200から判定基準を受信する。判定基準は、後述するが、車両の現在位置が属する区域に適用される判定基準を含んでよい。
【0047】
ステップ509では、演算処理部102は、上記ステップ504で受信した判定基準に基づいて、アルコール濃度が、現在の車両位置が属する区域において飲酒状態に該当するアルコール濃度に該当するか否かを判定する。検知したアルコール濃度が、現在の車両位置が属する区域における判定基準以上である場合には、ステップ510に進む。他方、検知したアルコール濃度が、現在の車両位置が属する区域における判定基準未満である場合には、ステップ500に戻る。
【0048】
ステップ510では、演算処理部102は、車両が運転中であるか否かを判定する。車両が運転中である場合は、ステップ512に進み、車両が運転中でない場合は、ステップ514に進む。
【0049】
ステップ512では、演算処理部102は、エンジン130に対してフューエルカットを実行する。これにより、現在の運転状態が、飲酒状態に該当する場合には、車両を安全に停止させることができる。ステップ512の処理が終了すると、ステップ516に進む。或いは、フューエルカットを継続しつつ、ステップ516に進んでもよい。
【0050】
ステップ514では、演算処理部102は、イモビライザ132を作動させる(作動解除を許可しない)。これにより、エンジン130の始動を防止して、飲酒状態を未然に防止することができる。
【0051】
ステップ516では、演算処理部102は、通信機器106を介して警察に通報する。通報内容は、アルコール濃度が判定基準以上であることを表す情報と、運転者識別情報とを含んでよい。また、通報内容は、更に、受信した車両の現在位置情報を含んでよい。
【0052】
図4は、本実施例の外部サーバー200により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0053】
ステップ600では、通信機器206は、車両側の通信機器106からデータを受信する。このデータは、上述の図3のステップ504で送信される車両の現在位置情報である。
【0054】
ステップ602では、演算処理部202は、車載機100から受信した車両の現在位置情報に基づいて、記憶部204にアクセスして車両の現在位置に対応する判定基準を抽出し、抽出した判定基準を、通信機器206を介して車載機100(上記ステップ600で受信したデータを送信した車載機100)に向けて送信する。
【0055】
[実施例3]
実施例3は、上述の実施例1に対して運転者識別情報の通報処理を実施しない点が主に異なる。
【0056】
図5は、実施例3による飲酒運転防止システム3の要部構成を示す図である。飲酒運転防止システム3は、車両に搭載される車載機100’と、外部センタに設置される外部サーバー200とを含む。
【0057】
車載機100’の構成は、指紋認証部120を備えていない点を除いて上述の実施例1による車載機100の構成と同様であってよい。外部サーバー200の構成は、上述の実施例1による外部サーバー200の構成と同様であってよい。
【0058】
図6は、実施例3の車載機100’による動作の一例を示す。
【0059】
図6は、本実施例の車載機100’により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。本実施例の車載機100’により実行される制御ルーチンは、図2に示した実施例1による制御ルーチンに対して、ステップ802にて運転者の指紋データが検知されず且つステップ804にて運転者識別情報が外部サーバー200に送信されない点が異なる。
【0060】
[実施例4]
実施例4は、上述の実施例2に対して運転者識別情報の通報処理を実施しない点が主に異なる。実施例4の構成自体は、実施例3の構成(図5参照)と同様であってよい。
【0061】
図7は、本実施例の車載機100’により実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。本実施例の車載機100’により実行される制御ルーチンは、図3に示した実施例2による制御ルーチンに対して、通報処理(図3のステップ516)が実行されない点が異なる。
【0062】
以上説明した各実施例による飲酒運転防止システムによれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0063】
上述の如く、飲酒状態に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶部204を設け、車両位置に応じて判定基準を変更することで、飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準が地理的な相違に起因して異なる場合であっても、かかる相違を補償して、飲酒状態を防止することができる。また、記憶部204を外部サーバー200に設けることで、法令、条例、規則等に変更・改定が生じた場合等に、かかる変更等に応じて変更すべき判定基準を一元的に変更・更新することができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0065】
例えば上述した実施例では、運転者識別情報に関して指紋データを利用しているが、他の生体データ(例えば、車載カメラで撮像した顔画像等)が利用されてもよい。
【0066】
また、上述した実施例は、エンジン130を動力源としている車両に関するものであるが、ハイブリッド車や電気自動車にも適用可能である。この場合、エンジン130の始動を禁止することに代えて又はそれに加えて、車両駆動用電気モータの作動を禁止すればよい。また、フューエルカットに代えて又はそれに加えて、車両駆動用電気モータの駆動電流を低減、あるいは遮断させてもよい。
【0067】
また、上述した実施例では、通報は警察に行われているが、警察に実質的に相当する他の飲酒運転取り締まり機関(例えば,軍や自治体)等に通報が実行されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,3 飲酒運転防止システム
100,100’ 車載機
102 演算処理部
104 記憶部
106 通信機器
108 表示部
110 GPS受信機
120 指紋認証部
122 アルコール検知センサ
130 エンジン
132 イモビライザ
200 外部サーバー
202 演算処理部
204 記憶部
206 通信機器
208 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部サーバーと車載機との間の通信を介して飲酒運転を防止する飲酒運転防止システムであって、
前記車載機は、
該車載機が搭載される車両の運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度を検知する手段と、
前記車両の現在位置情報を取得する手段と、
前記検知したアルコール濃度を、前記車両の現在位置情報と共に前記外部サーバーに送信する送信手段とを備え、
前記外部サーバーは、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機から送信される前記アルコール濃度及び前記車両の現在位置情報を受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準に基づいて、前記受信したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする、飲酒運転防止システム。
【請求項2】
外部サーバーと車載機との間の通信を介して飲酒運転を防止する飲酒運転防止システムであって、
前記車載機は、
該車載機が搭載される車両の運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度を検知する手段と、
前記車両の現在位置情報を取得する手段と、
前記車両の現在位置情報を前記外部サーバーに送信する送信手段と、を備え、
前記外部サーバーは、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機から送信される前記車両の現在位置情報を受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準を前記車載機に送信する手段とを備え、
前記車載機は、前記外部サーバーから送信される判定基準に基づいて、前記検知したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段を更に備えることを特徴とする、飲酒運転防止システム。
【請求項3】
前記外部サーバー又は前記車載機は、前記判定手段による判定が肯定判定の場合に、その旨を、車両の運転者又は運転者予定者の識別情報と共に警察若しくは他の飲酒運転取り締まり機関に通報する通報手段を更に備える、請求項1又は2に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項4】
前記外部サーバー又は前記車載機は、前記判定手段による判定が肯定判定の場合に、前記車両の運転の開始又は継続を抑制する抑制手段を更に備える、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項5】
前記通報手段は、前記車両の現在位置情報についても前記警察若しくは他の飲酒運転取り締まり機関に通報する、請求項3に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項6】
前記抑制手段は、車両のエンジンが作動中である場合にはフューエルカットを行い、車両のエンジンが作動中で無い場合はエンジンの始動を禁止する、請求項4に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項7】
車載機との通信を介して飲酒運転を防止する外部サーバーであって、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機が搭載される車両の運転者又は運転者予定者の呼気中のアルコール濃度及び前記車両の現在位置情報を前記車載機から受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準に基づいて、前記受信したアルコール濃度が、飲酒状態に該当するアルコール濃度であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定が肯定判定の場合に、前記車両の運転の開始又は継続を抑制する手段とを備えることを特徴とする、外部サーバー。
【請求項8】
車載機との通信を介して飲酒運転を防止する外部サーバーであって、
飲酒状態に該当するアルコール濃度に関する判定基準であって、地理的な相違に起因して異なる複数の判定基準を記憶する記憶手段と、
前記車載機が搭載される車両の現在位置情報を前記車載機から受信する手段と、
前記記憶手段における前記車両の現在位置に対応した判定基準を前記車載機に送信する手段とを備えることを特徴とする、外部サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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