説明

飼料搬送装置

【課題】ディスクケーブルのワイヤー切れの発生を防止し、そのワイヤー切れが原因による故障の発生をなくし、しかも、ランニングコストやメンテナンス費用を最小限に抑えてコスト的にも著しく有利な飼料搬送装置を提供する。
【解決手段】飼料搬送手段Aは、コーナー部のコーナー搬送ホイールと、ケーブル駆動装置15内の駆動ホイール25および従動ホイール30は、各々にディスクケーブルaを巻き掛けたとき、各々のリム外周上に、各搬送ディスク19を立てて載せる凹面部45・55と、搬送ディスク間のワイヤー部分29を載せて担ぐ凸部50・60とを交互に設け、ディスクケーブルを、搬送ディスク間のワイヤー部分において凸部と2つの凹面部との間の3点で支持してリム外周と同心的な円弧状に巻装してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の搬送ディスクをその中心にワイヤーを貫通させて等間隔に組み付けたディスクケーブルを、エンドレスの飼料搬送用パイプライン内に挿設し、給餌時にケーブル駆動装置で駆動して養鶏や養豚用などの飼料を給餌器側へ搬送する飼料搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の飼料搬送装置は、一般に、飼料搬送用のディスクケーブルを、給餌器の設置レイアウトに応じ幾つかのコーナー部を設けてエンドレスに配管したパイプライン内に無端状に繋いで挿設し、パイプラインの途中にディスクケーブルの駆動装置を設置している。そして図8に示すように、ディスクケーブル1を、パイプライン2のコーナー部2aではコーナー搬送ホイール3に巻き掛けると共に、図9に示すように、ケーブル駆動装置4内で駆動ホイール5と従動ホイール6間に掛け渡して配設し、駆動時にケーブル駆動装置4を作動して駆動ホイール5を駆動回転させることにより、パイプライン2内を通して回送するようになっている。
【0003】
従来の飼料搬送装置において、コーナー部2aのコーナー搬送ホイール3は、図8に示すように、コーナー部2a内で回転自在に軸支し、リム3aの外周面上に搬送ディスク1a‥を立てて係止した状態でディスクケーブル1を巻き掛け、駆動時にディスクケーブル1の回動に従って連れ回りしながら、ディスクケーブル1をコーナー送りする構造になっている。
【0004】
ケーブル駆動装置4において、駆動ホイール5は、図9に示すようにリム外周に歯部を有したギヤホイールで、駆動モータ(図示省略)に駆動軸5aを直結させて軸支し、搬送ディスク1a‥を噛み合わせた状態でディスクケーブル1を巻き掛ける一方、従動ホイール6は、回転自在に軸支し、コーナー搬送ホイール3と同様、リム6aの外周面上に搬送ディスク1aを立てて係止した状態でディスクケーブル1を巻き掛けている。そして、ケーブル駆動装置4では、従動ホイール6を、ガイドレール部材7でパイプライン2に沿って移動可能に保持する一方、テンション付与機構8でケーブル移動方向Xと逆向きにばね付勢してディスクケーブル1に常時テンションを付与している。こうしてパイプライン2内にディスクケーブル1をエンドレスに張設し、駆動時は、ディスクケーブル1をパイプライン2内で弛みなく引っ張りながら回送する構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の飼料搬送装置において、ディスクケーブル1は、パイプライン2内を弛みなく強く引っ張られながら移動し、各コーナー部2aやケーブル駆動装置4内では、図10(A)に示すように、搬送ディスク1a‥がコーナー搬送ホイール3や従動ホイール6のリム外周面3a・6aに押し当った状態で巻き付いて回動するため、隣り合う搬送ディスク1a間のワイヤー部分1bが、その両端の根元pで常に折れ曲がって真っ直ぐな突っ張り状態で送られることになる。従って、このように曲げ伸ばされて送られるディスクケーブル1は、搬送ディスク1a間のワイヤー部分1bの根元pに、常に折り曲げ負荷が加わった状態となり、その結果、経時、ワイヤー部分1bの根元pに金属疲労が蓄積し、その根元pでワイヤー切れを起こしていた。
【0006】
しかも、ディスクケーブル1は、通常、ジョイント金具で無端状に繋いでパイプライン内に挿設されるが、駆動時、たとえば図10(B)に示すように、ジョイント金具9で繋いだ部分がコーナー搬送ホイール3や従動ホイール6に至ると、それらのリム外周面3a・6aに、搬送ディスク1aより小径なジョイント金具9が押し当った状態で巻き付いて回動するため、ジョイント金具9と搬送ディスク1a間のワイヤー部分1cが、同様に根元pから折れ曲がる現象に拍車がかかり、その結果、ワイヤー部分1cの根元Pに、より大きな折り曲げ負荷が加わってワイヤー切れを起こしやすいという問題があった。
【0007】
一方、従来の飼料搬送装置において、駆動ホイール5は、図11(A)・(B)に示すように、各歯部5b‥の上側にそれぞれワイヤー係合凹溝5cが設けられ、ディスクケーブル1を巻き掛けて駆動させるとき、歯部5bに搬送ディスク1aを噛み合わせる一方、ケーブル係合凹溝5cには、搬送ディスク1a間のワイヤー部分1bを係合させてガイドする構成になっている。しかし、ディスクケーブル1は、駆動時に弛みなく強く引っ張られながら送られるとき、搬送ディスク1a間のワイヤー部1bが歯部5bのケーブル係合凹溝5cにのみ載って押し当った状態で駆動ホイール5に巻き付き、搬送ディスク1aを歯底面5dから浮かせて回動するため、搬送ディスク1a間のワイヤー部分1bが、ケーブル係合凹溝5cの両端縁で根元Pから常に折れ曲がった状態で送られることになる。従って、駆動ホイール5周りにおいても、上記従動ホイール6の場合と同様に、そのように曲げ伸ばされて送られるディスクケーブル1は、搬送ディスク1a間のワイヤー部分1bの根元Pに常に折り曲げ負荷が加わる状態になり、やはり、これが原因でワイヤー切れが起きるという問題があった。
【0008】
以上のように従来の飼料搬送装置では、ワイヤー切れが発生しやすい構造であるため、それだけディスクケーブルの寿命が短く、その分だけランニングコストが高くなり、しかも、ワイヤー切れが原因の故障が多発するために、これを未然に防止するためのメンテナンスサイクルも短くなり、それだけ作業上の労力が増大し、メンテナンス費用も高くなるという課題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ディスクケーブルのワイヤー切れの発生を防止し、そのワイヤー切れが原因による故障の発生をなくし、しかも、ランニングコストやメンテナンス費用を最小限に抑えてコスト的にも著しく有利な飼料搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、複数のコーナー部を設けてエンドレスに配管したパイプラインと、該パイプライン内に無端状に繋いで挿設し、多数の搬送ディスクをその中心にワイヤーを貫通させて等間隔に組み付けた飼料搬送用のディスクケーブルと、各コーナー部内で回転自在に軸支し、前記ディスクケーブルを巻き掛けてコーナー送りするコーナー搬送ホイールと、前記ディスクケーブルを駆動ホイールと従動ホイール間に張り渡して駆動させるケーブル駆動装置とを備え、給餌時に該ケーブル駆動装置を作動して前記ディスクケーブルを駆動し、前記パイプラインを通して回送しながら、該パイプライン内へ送り込まれる飼料を搬送する飼料搬送装置において、前記コーナー搬送ホイールと、前記駆動ホイールおよび前記従動ホイールは、各々に前記ディスクケーブルを巻き掛けたとき、各々のリム外周上に、各搬送ディスクを立てて載せる凹面部と、搬送ディスク間のワイヤー部分を載せて担ぐ凸部とを交互に設け、前記ディスクケーブルを、前記搬送ディスク間のワイヤー部分において前記凸部と2つの前記凹面部との間の3点で支持して前記リム外周と同心的な円弧状に巻装してなることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の飼料搬送装置において、前記駆動ホイールは、前記リムと、該リムを間に挟んで同軸に配した一対のリング状弾性パッドとを、それぞれボスの外周に着脱自在に嵌め付けて備え、前記弾性パッドは、各々の外周に断面円弧のテーパ面を設け、それらテーパ面を対向させて前記ボスに嵌め付けると、前記駆動ホイールの外周に、それに巻き掛ける前記ディスクケーブルの搬送ディスクが咬合可能な断面円形状のディスクガイド溝を形成してなり、前記リムは、重ね合わせたときに前記凹面部と前記凸部とが形成されるように、各々の外周に凹部と凸部を交互に設けた同形状のリング状スペーサ板を複数枚備えて構成し、使用する前記ディスクケーブルの搬送ディスクの径サイズに応じて、前記ボスに嵌め付ける前記スペーサ板の枚数を増減することにより、前記搬送ディスクが咬合する前記弾性パット間の間隔を調整可能に構成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ディスクケーブルを、パイプライン内を弛みなく強く引っ張りながら回送する一方、コーナー部のコーナー搬送ホイールとケーブル駆動装置内の駆動ホイールおよび従動ホイールにおいて、各々の凹面部上に搬送ディスクを立てて載せ、搬送ディスク間のワイヤー部分は凸部上に担いだ状態で載せ、ワイヤー部分において、常に凸部と2つの凹面部の3点で支持しながら回送する構成であるため、ディスクケーブルは、各ホイールの周りで局部的に屈折することなく、リム外周と同心的な円弧を描きながら送られ、これにより、ワイヤー部分の何処にも、金属疲労の原因となる折り曲げ負荷が加わることなくスムーズに回動し、従来、問題となったワイヤー切れの発生を確実に防止することができる。その結果、ワイヤー切れが原因となる故障の発生を皆無にし、しかも、全体のランニングコストやメンテナンス費用を最小限に抑えてコスト的にも著しく有利な飼料搬送装置を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、リムは、ディスクケーブルの搬送ディスクの径サイズに応じて、ボスに嵌め付けるスペーサ板の枚数を増減することにより、搬送ディスクを咬合させる弾性パット間の間隔を調整し、これにより、使用するディスクケーブルに対し、搬送ディスクの径サイズ毎に、別個の駆動ホイールを必要とすることなく、各種径サイズの搬送ディスクにアジャストさせて、常に共通の駆動ホイールを使用することができる。また、駆動ホイールにおいて、経時、弾性パッドのディスクガイド溝がたとえ磨耗したとしても、弾性パッドをボスから取り外し、ディスクガイド溝の磨耗の程度に応じて必要な数のスペーサ板を抜き取り、ディスクガイド溝の弾性パット間の間隔を調節することにより、ディスクガイド溝を常に搬送ディスクに対し簡単にアジャストすることができ、その結果、ディスクケーブルの駆動時、搬送ディスクが駆動ホイールのディスクガイド溝を通過するときに、スリップすることなく、常にディスクガイド溝に嵌り込んでスムーズに咬合し、正確に駆動伝達させることができる。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図2に、本発明の一例である飼料搬送装置を備えた飼料供給システムの全体構成を示す。図示飼料供給システムは、たとえば養豚用の飼料供給システムとして豚舎内に構築され、図中符号Aで示す飼料搬送装置と、飼料搬送装置Aで飼料を搬送して送給する複数の給餌器B‥とで構成されている。
【0016】
図示例の飼料搬送装置Aは、餌補給装置10を備えると共に、餌補給装置10と給餌器Bと間を、給餌器の設置レイアウトに応じて、複数のコーナーを設けて配管したパイプラインPを介して連結している。餌補給装置10は、大容量の、例えば粉状の飼料を収容する飼料タンク10aと、飼料タンク10aの下で連結して飼料補給量の調節機能をもった補給用ホッパ10bとを備えている。各給餌器Bは、垂設したドロップパイプ11を介してパイプラインPと連通させている。
【0017】
パイプラインPは、複数の直管状パイプ12と幾つかのコーナー部13を接続してエンドレスに配管し、中空パイプ内に、後述する飼料搬送用のディスクケーブルを無端状に繋いで挿設している。そして、餌補給装置10と隣接したライン途中には、ディスクケーブルを駆動するケーブル駆動装置15を設置している。
【0018】
パイプラインPのコーナー部13は、図3に示すように、一対の浅底な蓋状ケースを重ね合わせ、そのうちの一側ケースを取り外し可能に構成したコーナーカバー14を備え、コーナーカバー14内に、コーナー搬送ホイール20を回転自在に軸支している。コーナー搬送ホイール20には、ディスクケーブルaを巻き掛け、駆動時に、ディスクケーブルaの回動に従って連れ回りしながら、ディスクケーブルaをコーナー送りする構造になっている。
【0019】
ディスクケーブルaは、例えばインサート樹脂成形法により、所定径サイズの多数の搬送ディスク19‥を形成すると共に、各搬送ディスク19の中心に鋼製ワイヤーを貫通させて等間隔に組み付けて成形し、ジョイント金具(図示省略)で結線してエンドレスに構成してなる。
【0020】
ケーブル駆動装置15は、駆動モータ(図示省略)を備え、駆動モータに、図1に示すように駆動軸16を直結して駆動ホイール25を軸支すると共に、従動ホイール30を連れ回り自在に軸支して備え、ディスクケーブルaを、駆動ホイール25と従動ホイール30間に掛け渡している。更に、従動ホイール30は、ガイドレール部材21で案内してパイプラインPの長さ方向(図中左右方向)に可動に保持する一方、テンション付与機構22に備えるスプリング23でディスクケーブルaの回送方向Xと逆向きにばね付勢し、ディスクケーブルaに常時テンションを付与している。こうしてパイプラインP内にディスクケーブルaを張設し、弛みなく引っ張りながら回送する構造になっている。
【0021】
そこで、図示飼料供給システムでは、給餌時に飼料搬送装置Aを稼動し、飼料タンク10aに収容した飼料を、補給用ホッパ10bで補給量を調整しながらパイプラインP内へ送り込む一方、ケーブル駆動装置15を作動して駆動ホイール25を駆動回転し、ディスクケーブルaを緊張状態でパイプラインPに沿って回送する。すると、飼料は、ディスクケーブルaの搬送ディスク19‥により、パイプラインP内を通して回送方向Xに搬送される。そして、各給餌器Bの真上に達すると、順次ドロップパイプ11を通して落下し、各給餌器Bへと供給されるようになっている。
【0022】
さて、本発明の飼料搬送装置Aにおいて、各コーナー部13に備えたコーナー搬送ホイール20は、例えばプレスで一体につくり、図3に示すように、本体円盤部20a周縁に有するリム20bの外周上に、ディスクケーブルaを巻き掛けたときに起立状態の搬送ディスク19を載せる凹面部35と、隣り合う搬送ディスク19・19間のワイヤー部分29を担いで載せる凸部40とを交互に、等間隔に配設した形状に成形してなる。凸部40の頂面と凹面部35は、リム20bの円周形状に合わせた曲面に成形している。更に、凸部40は、その下部側に、ディスクケーブルaを巻き掛けてコーナー送りするときに搬送ディスク19が押し当たる肩部40aを、リム20bの円周方向に突設して全体に凸型に成形している。そして、斯かるコーナー搬送ホイール20は、ディスクケーブルaを巻き掛けてコーナー送りするときは、ディスクケーブルaを、図4に示すように、凹面部35上に搬送ディスク19を立てて載せると共に、搬送ディスク19間のワイヤー部分29は凸部40上に担いだ状態で載せ、これにより、特に搬送ディスク19間のワイヤー部分29において、2つの凹面部35・35とその間の凸部40の3点で支持し、リム20bの外周と同心的な円弧状に巻装する構成になっている。
【0023】
また、ケーブル駆動装置15に備えた従動ホイール30は、コーナー搬送ホイール20と同様、例えばプレスで一体につくり、図1に示すように、本体円盤部30a周縁のリム30bに有する外周上に、ディスクケーブルaを巻き掛けたときに起立状態の搬送ディスク19を載せる凹面部45と、隣り合う搬送ディスク19・19間のワイヤー部分29を担いで載せる凸部50とを交互に、等間隔に設けた形状に成形してなる。凸部50の頂面と凹面部45は、リム30bの円周形状に合わせた曲面に成形している。更に、凸部50は、その下部側に、ディスクケーブルaを巻き掛けてコーナー送りするときに搬送ディスク19が押し当たる肩部50aを、リム30bの円周方向に突設して全体に凸型に成形している。そして、斯かる従動ホイール30は、ディスクケーブルaを巻き掛けて送るときは、ディスクケーブルaを、凹面部45上に搬送ディスク19を立てて載せると共に、搬送ディスク19間のワイヤー部分29は凸部50上に担いだ状態で載せ、これにより、特に搬送ディスク19間のワイヤー部分29において、2つの凹面部45・45とその間の凸部50の3点で支持し、リム30bの外周と同心的な円弧状に巻装する構成になっている。
【0024】
一方、同じケーブル駆動装置15に備えた駆動ホイール25は、詳しくは図5に示すように、中心に駆動軸16の取付貫通穴31aを有する一方、外周に嵌め付け突部31bを有した環状のボス31と、ボス31の外周に嵌め付けるリム32と、リム32を間に挟んでボス31の外周に嵌め付ける一対のリング状弾性パッド33と、弾性パッド33を間に挟んで取り付ける一対のリング状の外スペーサ板34と、これらを挟んで外側に取り付ける一対のドーナツ板状の取付円板36とを備える。
【0025】
リム32は、複数枚の等厚なリング状の金属製スペーサ板39‥を備えてなる。各スペーサ板39‥は、内周にボス31の嵌め付け突部31bと対応した嵌め付け凹部39aを設ける一方、外周に、凹部55aと凸部60aを交互に且つ等間隔に設けた同じ形状にプレス成形している。凸部60aには、そのリム周方向片側を円周方向に凸状の係止段部61aを突設している。弾性パッド33は、それぞれ図示例ではゴム製で、内周にボス31の嵌め付け突部31bと対応した嵌め付け凹部33aを設ける一方、外周に、搬送ディスク19に対応させて断面円弧のテーパ面33bを成形してなる。
【0026】
斯かる部品構成の駆動ホイール25は、ボス31の外周に凹凸の嵌め合いで、図示例では3枚のスペーサ板39を嵌め付け、互いに重ね合わせることで単一の積層リム32を形成する。それから、リム32を間に挟んで両側から、弾性パッド33を、互いのテーパ面33bを対向させて、凹凸の嵌め合いでボス31の外周に嵌め付け、それら弾性パッド33を、それぞれ外スペーサ板34を介し取付円板33で挟んで、ボス31にボルトとナットで着脱可能に固定し、図6(A)に示すように組み立ててなる。
【0027】
従って、組み立てた駆動ホイール25には、積層リム32において、その外周に、図7(A)に示すように、ディスクケーブルaを巻き掛けたときに起立状態の搬送ディスク19を載せる凹面部55と、隣り合う搬送ディスク19・19間のワイヤー部分29を担いで載せる凸部60とが交互に且つ等間隔に形成される。また、凸部60には、その下部側に、コーナー送りするときにディスクケーブルaの搬送ディスク19が押し当たる係止段部61が形成されてなる。
【0028】
更に、組み立てた駆動ホイール25には、弾性パッド33において、外周面に、図6(A)に示すように、向かい合う互いのテーパ面33bによって、ディスクケーブルaの搬送ディスク19が咬合可能な断面円形状のディスクガイド溝65が形成される。そして、斯かる駆動ホイール25には、図7(B)に示すように、個々の搬送ディスク19を弾性パッド33のディスクガイド溝65に嵌め込んだ状態でディスクケーブルaが巻き掛けられるようになっている。
【0029】
さてそこで、本発明の図示飼料搬送装置Aでは、ディスクケーブルaを、パイプラインP内で弛みなく強く引っ張りながら回送するが、各コーナー部13内では、図4に示すように、ディスクケーブルaを、コーナー搬送ホイール20の凹面部35上に搬送ディスク19を立てて載せ、搬送ディスク19間のワイヤー部分29は凸部40上に担いだ状態で載せ、ワイヤー部分29において、凸部40と2つの凹面部35・35の3点で支持しながらコーナー送りする。そのため、ディスクケーブルaは、コーナー搬送ホイール20の周りで局部的に屈折することなく、リム20bの外周と同心的な円弧を保持しながら送られ、その結果、ワイヤー部分29の何処にも折り曲げ負荷を受けることなく、スムーズにコーナー送りされる。
【0030】
一方、ケーブル駆動装置15内において、従動ホイール30は、同様にディスクケーブルaを、凹面部45上に搬送ディスク19を立てて載せ、搬送ディスク19間のワイヤー部分29は凸部60上に担いだ状態で載せ、ワイヤー部分29において、凸部50と2つの凹面部45・45の3点で支持しながら回動する。そのため、ディスクケーブルaは、従動ホイール20の周りでも、局部的に屈折することなく、即ちワイヤー部分29の何処にも折り曲げ負荷を受けることなく、リム30bの外周と同心的な円弧を描きながらスムーズに送られる。
【0031】
他方、同じケーブル駆動装置15内において、駆動ホイール25は、積層リム32の凹面部55上に搬送ディスク19を立てて載せ、搬送ディスク19間のワイヤー部分29は凸部60上に担いだ状態で載せ、ワイヤー部分29において、凸部60と2つの凹面部55・55の3点で支持しながら回動させる。そのため、ディスクケーブルaは、駆動ホイール25の周りでも、局部的に屈折することなく、即ちワイヤー部分29の何処にも折り曲げ負荷を受けることなく、積層リム32と同心的な円弧を描きながらスムーズに送られる。
【0032】
また、ディスクケーブルaは、個々の搬送ディスク19が弾性パッド33のディスクガイド溝65に嵌り込んで咬合しながら回動し、そのため、途中で引っ掛かったりスリップしたりすることなく、常にスムーズに駆動回転する。
【0033】
ところで、図示飼料搬送装置Aは、駆動ホイール25において、リム32と弾性パッド33を、前述のようにボス31に対し着脱自在に嵌め付ける構成にしている。従って、リム32は、使用するディスクケーブルaの搬送ディスク19の径サイズに応じて、ボス31に嵌め付けるスペーサ板39の枚数を増減することにより、搬送ディスク19を咬合させる弾性パット33・33間の間隔d〔図6(A)参照〕を調整可能にしている。そこで、本発明では、上記図示例の如く、ディスクケーブルaの搬送ディスク19が中型径サイズの場合は、それに合わせて、リム32を、スペーサ板39をボス31に3枚だけ嵌め付けた厚さの積層構造とした。しかし、たとえば図7(C)に示すように、上記中型径サイズより一段大きい、大径サイズの搬送ディスク19aを有したディスクケーブルa1を使用する場合は、大径サイズに合わせて、たとえば図6(B)に示すように、ボス31に嵌め付けるスペーサ板39の枚数を5枚に増やし、弾性パット33・33間の間隔dを、大径な搬送ディスク19aが咬合可能な幅サイズに調整し、その分間隔dを広くする。それとは反対に、図7(C)に示すように、上記中型径サイズより一段小さい、小径サイズの搬送ディスク19bを有したディスクケーブルa2を使用する場合は、小径サイズに合わせて、ボス31に嵌め付けるスペーサ板39の枚数を減らし、弾性パット33・33間の間隔dを、小径な搬送ディスク19bが咬合可能な幅サイズに調整し、その分間隔dを狭くする。
【0034】
他方、本発明では、図7(C)に示すように、搬送ディスク19cをその中心にチェーン66を通して等間隔に組み付けたチェーン型ディスクケーブルa3を、上記したワイヤー型ディスクケーブルと同様に、駆動ホイール25に巻き掛けて使用することもできる。その場合も同様に、チェーン型ディスクケーブルa3の搬送ディスク19cの径サイズに応じて、前記ボス31に嵌め付けるスペーサ板39の枚数を増減することにより、搬送ディスク19cを咬合させる弾性パット33・33間の間隔dを調整すれば、チェーン型ディスクケーブルa3を、そのまま同じ駆動ホイール25に巻き掛けて使用することができる。
【0035】
また、上述した図示飼料搬送装置Aは、駆動ホイール25において、経時、弾性パッド33のディスクガイド溝65が磨耗すると、いったん弾性パッド33をボス31から取り外し、ディスクガイド溝65の磨耗の程度に応じて、必要な数のスペーサ板39を抜き取り、ディスクガイド溝65の弾性パット33・33間の間隔dを調節する。そして、ディスクケーブルaの駆動時、搬送ディスク19が駆動ホイール25のディスクガイド溝65を通過するときに、スリップすることなく、常にディスクガイド溝65に嵌り込んでスムーズに咬合し、正確に駆動伝達されるように調整することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一例である飼料搬送装置に備えたケーブル駆動装置の内構造を示す正面である。
【図2】飼料搬送装置を備えた飼料供給システムの全体システム構成を示す斜視図である。
【図3】パイプラインに備えたコーナー部の内部構造を示す正面図である。
【図4】コーナー部のコーナー搬送ホイールやケーブル駆動装置内の従動ホイールによるディスクケーブルの支持状態を示す部分正面図である。
【図5】ケーブル駆動装置に備えた駆動ホイールの分解斜視図である。
【図6】(A)駆動ホイールの組立状態を示す縦断面図、(B)は大径な搬送ディスクに合わせて間隔調整して組み立てた駆動ホイールを示す縦断面図である。
【図7】(A)駆動ホイールによるディスクケーブルの支持状態を示す部分正面図、(B)駆動ホイールをディスクケーブルの巻き掛け状態において示す斜視図、(C)小径サイズと大径サイズの搬送ディスクを有したワイヤー型ディスクケーブルと、チェーン型ディスクケーブルをそれぞれ示す部分斜視図である。
【図8】従来の飼料搬送装置に備えたパイプラインコーナー部の内部構造を示す正面図である。
【図9】従来のケーブル駆動装置の内部構造を示す正面図である。
【図10】(A)従来のコーナー搬送ホイールによるディスクケーブル支持状態を示す部分正面図、(B)同じくディスクケーブルのジョイント部における支持状態を示す部分正面図である。
【図11】従来の駆動ホイールによるディスクケーブル支持状態を示す部分正面図、(B)同じディスクケーブルの支持状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
A 飼料搬送装置
B 給餌器
P パイプライン
a ディスクケーブル
d 弾性パッド間の間隔
13 コーナー部
15 ケーブル駆動装置
20 コーナー搬送ホイール
25 駆動ホイール
29 ディスクケーブルのワイヤー部分
30 従動ホイール
31 駆動ホイールのボス
32 リム
33 弾性パッド
33b 弾性パッドのテーパ面
35・45・55 リムの凹面部
39 リムのスペーサ板
40・50・60 リムの凸部
55a スペーサ板の凹部
60a スペーサ板の凸部
65 弾性パッドのディスクガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコーナー部を設けてエンドレスに配管したパイプラインと、該パイプライン内に無端状に繋いで挿設し、多数の搬送ディスクをその中心にワイヤーを貫通させて等間隔に組み付けた飼料搬送用のディスクケーブルと、各コーナー部内で回転自在に軸支し、前記ディスクケーブルを巻き掛けてコーナー送りするコーナー搬送ホイールと、前記ディスクケーブルを駆動ホイールと従動ホイール間に張り渡して駆動させるケーブル駆動装置とを備え、給餌時に該ケーブル駆動装置を作動して前記ディスクケーブルを駆動し、前記パイプラインを通して回送しながら、該パイプライン内へ送り込まれる飼料を搬送する飼料搬送装置において、
前記コーナー搬送ホイールと、前記駆動ホイールおよび前記従動ホイールは、各々に前記ディスクケーブルを巻き掛けたとき、各々のリム外周上に、各搬送ディスクを立てて載せる凹面部と、搬送ディスク間のワイヤー部分を載せて担ぐ凸部とを交互に設け、前記ディスクケーブルを、前記搬送ディスク間のワイヤー部分において前記凸部と2つの前記凹面部との間の3点で支持して前記リム外周と同心的な円弧状に巻装してなることを特徴とする、飼料搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ホイールは、前記リムと、該リムを間に挟んで同軸に配した一対のリング状弾性パッドとを、それぞれボスの外周に着脱自在に嵌め付けて備え、
前記弾性パッドは、各々の外周に断面円弧のテーパ面を設け、それらテーパ面を対向させて前記ボスに嵌め付けると、前記駆動ホイールの外周に、それに巻き掛ける前記ディスクケーブルの搬送ディスクが咬合可能な断面円形状のディスクガイド溝を形成してなり、
前記リムは、重ね合わせたときに前記凹面部と前記凸部とが形成されるように、各々の外周に凹部と凸部を交互に設けた同形状のリング状スペーサ板を複数枚備えて構成し、使用する前記ディスクケーブルの搬送ディスクの径サイズに応じて、前記ボスに嵌め付ける前記スペーサ板の枚数を増減することにより、前記搬送ディスクが咬合する前記弾性パット間の間隔を調整可能に構成してなることを特徴とする、請求項1に記載の飼料搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−27883(P2006−27883A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213084(P2004−213084)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(390032263)株式会社藤井商会 (15)
【Fターム(参考)】