説明

養殖設備および養殖方法ならびに給餌装置

【課題】 共食いの発生を抑えて養殖効率を高くすることができる養殖設備および養殖方法ならびに給餌装置を提供する。
【解決手段】 まぐろの幼魚2を育成する養殖槽5に、まぐろの幼魚2よりも小さい鯛の仔魚15が、給餌装置6によって放出され、まぐろの幼魚2に鯛の仔魚15が餌として与えられる。まぐろの幼魚2にとって、自分よりも小さい鯛の仔魚15は、養殖槽5で一緒に育成される自分と同程度の大きさの他のまぐろの幼魚2に比べて食べ易い。これによってまぐろの幼魚2は、他のまぐろの幼魚2を食べる代わりに鯛の仔魚15を食べるので、まぐろの幼魚2同士の共食いを抑えることができる。したがってまぐろの幼魚2の養殖効率を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼魚を育成する養殖設備および養殖方法に関し、特に幼魚に餌を与える給餌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まぐろなどの魚を、養殖するにあたって、餌を与える必要がある。魚の成長を促進し、また肉質を改善できるように、魚に必要な栄養素が含まれる人工の飼料が用いられている。このように人工飼料を与えて魚を養殖する技術について、たとえば特許文献1に示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−229830
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように人工飼料を餌として与えて魚を養殖すると、養殖対象の魚が成魚になる前の幼魚である場合、餌の量が不足していなくても、養殖対象の幼魚同士で共食いが発生し、養殖効率が悪くなってしまう。
【0005】
したがって本発明の目的は、共食いの発生を抑えて養殖効率を高くすることができる養殖設備および養殖方法ならびに給餌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽と、
養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を、養殖槽内に放出する給餌装置とを含むことを特徴とする養殖設備である。
【0007】
本発明に従えば、養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚が、給餌装置によって放出され、養殖対象幼魚に餌用魚が餌として与えられる。養殖対象幼魚にとって、自分よりも小さい餌用魚は、養殖槽で一緒に育成される自分と同程度の大きさの他の養殖対象幼魚に比べて食べ易い。これによって養殖対象幼魚は、他の養殖対象幼魚を食べる代わりに餌用魚を食べるので、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えることができる。
【0008】
また本発明は、給餌装置は、養殖槽の広範囲に散在する複数の放出位置で、餌用魚を放出することを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、養殖槽の広範囲に散在する放出位置で、餌用魚が放出されるので、一部の養殖対象幼魚にだけ偏って、餌用魚が与えられてしまうことを防ぎ、各養殖対象幼魚に、ほぼ均一に餌用魚を与えることができる。これによって餌用魚を食べることができずに、他の養殖対象幼魚を食べてしまう養殖対象幼魚が出現することを防ぐことができる。
【0010】
また本発明は、給餌装置は、養殖対象幼魚が泳ぐ方向と反対方向へ向けて、餌用魚を放出することを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、養殖対象幼魚同士は、互いに同一の方向を向き、養殖対象幼魚と餌用魚とは、互いに逆の方向を向いた状態となる。これによって養殖対象幼魚は、他の養殖対象幼魚に比べて餌用魚に遭遇し易くなる。したがって養殖対象幼魚が、餌用魚を食べる機会が多くなるようにすることができる。
【0012】
また本発明は、給餌装置は、定期的に、餌用魚を放出することを特徴とする。
本発明に従えば、養殖対象幼魚に、定期的に餌用魚が与えられる。これによって養殖対象幼魚は、長期間にわたって餌用魚を食べてない状態になることが防がれる。
【0013】
また本発明は、給餌装置は、養殖槽内に配置され、餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出部を備える餌容器を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、餌容器に餌用魚を収容しておき、放出部から餌用魚を放出することによって、養殖対象幼魚に餌用魚を与えることができる。また餌用魚が収容される餌容器は、養殖槽内に配置されるので、餌用魚は、餌容器に生きたまま長時間収容することが可能である。したがって餌用魚を、餌容器に収容して直ぐに放出しなければならないなどの、餌用魚の取扱い上の制限を受けることがなく、餌用魚を容易に取扱うことができる。
【0015】
また本発明は、餌容器は、
餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出口が形成される容器本体と、
容器本体の放出口を開閉する開閉部材とを有し、
容器本体の放出口の周縁部と、開閉部材とを含んで放出部が形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、餌用魚が収容される容器本体の放出口が、開閉部材によって開閉される。放出口が閉塞されている場合、餌容器に収容される餌用魚の放出が阻止され、放出口が開放されている場合、餌容器に収容される餌用魚が放出される。これによって開閉部材による放出口の開閉によって、餌用魚の放出及び放出停止を制御することができる。
【0017】
また本発明は、給餌装置は、
開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
定期的に放出口を開放するように、開閉駆動手段を制御する制御手段とをさらに有することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、開閉駆動手段を制御手段によって制御することによって、開閉部材による放出口の開閉を制御することができる。
【0019】
また本発明は、養殖用水を流下させる流下装置をさらに含み、
養殖槽は、曲線の環状に形成され、
流下装置は、養殖用水を養殖槽の周方向一方へ流下させることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、養殖用水が、流下装置によって、曲線の環状に形成される養殖槽を、周方向一方へ流下される。これによって養殖対象幼魚の習性を利用して、各養殖対象幼魚を同一の方向へ泳がせることができ、養殖対象幼魚同士が互いに勢いよく衝突することを防ぐことができる。しかも養殖槽が曲線の環状であり、養殖対象幼魚が養殖槽に勢いよく衝突することを防ぐことができる。
【0021】
また本発明は、養殖用水を浄化化する浄化装置をさらに含むことを特徴とする。
本発明に従えば、養殖用水が、浄化装置によって浄化されるので、養殖槽の環境を改善することができる。したがって養殖用水が悪化することを防止し、養殖対象幼魚への悪影響を防止することができる。
【0022】
また本発明は、養殖対象幼魚は、まぐろの幼魚であり、餌用魚は、鯛の仔魚であることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、比較的、生産の容易な鯛の仔魚を餌として利用し、まぐろの幼魚を、共食いを防止して生育させ、高い養殖効率で養殖することができる。
【0024】
また本発明は、養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を放出することを特徴とする養殖方法である。
【0025】
本発明に従えば、養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を放出することによって、養殖対象幼魚に餌用魚を餌として与える。養殖対象幼魚にとって、自分よりも小さい餌用魚は、養殖槽で一緒に育成される自分と同程度の大きさの他の養殖対象幼魚に比べて食べ易い。これによって養殖対象幼魚は、他の養殖対象幼魚を食べる代わりに餌用魚を食べるので、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えることができる。
【0026】
また本発明は、養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を放出する給餌装置であって、
餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出口が形成される容器本体、および放出口を開閉する開閉部材を有する餌容器と、
開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
定期的に放出口を開放するように、開閉駆動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする給餌装置である。
【0027】
本発明に従えば、養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚が、給餌装置によって放出され、養殖対象幼魚に餌用魚が餌として与えられる。養殖対象幼魚にとって、自分よりも小さい餌用魚は、養殖槽で一緒に育成される自分と同程度の大きさの他の養殖対象幼魚に比べて食べ易い。これによって養殖対象幼魚は、他の養殖対象幼魚を食べる代わりに餌用魚を食べるので、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、養殖対象幼魚に餌用魚を与えることによって、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えることができ、養殖対象幼魚の養殖効率を高くすることができる。
【0029】
また本発明によれば、各養殖対象幼魚に、ほぼ均一に餌用魚を与え、餌用魚を食べることができずに、他の養殖対象幼魚を食べてしまう養殖対象幼魚が出現することを防止することができる。したがって養殖対象幼魚同士の共食いを可及的に抑えることができ、養殖効率をさらに向上することができる。
【0030】
また本発明によれば、養殖対象幼魚が、餌用魚に遭遇し易くすることができる。したがって養殖対象幼魚同士の共食いを可及的に抑えることができ、養殖効率をさらに向上することができる。
【0031】
また本発明によれば、養殖対象幼魚が、長期間にわたって餌用魚を食べてない状態になることが防がれ、養殖対象幼魚同士の共食いを可及的に抑えることができる。したがって養殖効率をさらに向上することができる。
【0032】
また本発明によれば、餌容器を用いて、養殖対象幼魚に餌用魚を与えることができる。また餌用魚が収容される。また餌用魚を容易に取扱うことができ、利便性を高くすることができる。
【0033】
また本発明によれば、開閉部材による放出口の開閉によって、餌用魚の放出及び放出停止を制御することができ、養殖対象幼魚に餌用魚を与える必要があるときだけ、餌用魚の放出することができる。
【0034】
また本発明によれば、開閉駆動手段を制御手段によって制御し、養殖対象幼魚に餌用魚を与える必要があるときだけ、餌用魚の放出するように、給餌装置を動作させることができる。
【0035】
また本発明によれば、養殖対象幼魚の習性を利用して、養殖対象幼魚が、養殖槽および他の養殖対象幼魚と衝突してしまうことを防ぎ、傷ついてしまうことを防ぐことができる。
【0036】
また本発明によれば、養殖用水の悪化が原因で、養殖対象幼魚が発病しまたは死ぬことを防ぎ、養殖対象幼魚が健全に成長することができる環境を維持することができる。
【0037】
また本発明によれば、鯛の仔魚を利用して、まぐろの幼魚を、高い養殖効率で養殖することができる。
【0038】
また本発明によれば、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えることができ、高い養殖効率で、養殖対象幼魚を養殖することができる。
【0039】
また本発明によれば、養殖対象幼魚同士の共食いを抑えて、高い養殖効率を達成する養殖設備を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、本発明の実施の一形態の養殖設備1を斜め上方から見て示す斜視図である。図2は、養殖設備1をほぼ水平方向に見て示す斜視図である。図3は、養殖設備1を上方から見て示す平面図である。養殖設備1は、養殖対象幼魚を養殖するための設備である。養殖対象幼魚は、特に限定されることはないが、本実施の形態では、たとえばまぐろの幼魚2である。本発明において、幼魚とは、成魚になる前の魚を総称しており、稚魚および仔魚を含む。
【0041】
養殖設備1は、基本的には、養殖槽5と、給餌装置6とを含んで構成される。本実施の形態では、養殖設備1は、養殖槽5および給餌装置6に加えて、水量調節装置7と、流下装置8と、浄化装置9とを含んで構成される。
【0042】
養殖槽5は、上方に開放し、養殖用水が貯留される槽である。具体的は、環状の底部10と、底部10の内周部および外周部からそれぞれ立上る内壁11および外壁12を有し、曲線に沿って延びる環状に形成される。養殖槽5の形状は、特に限定されるものではなく、楕円形環状、角部が円弧状である略多角形環状などであってもよいが、本実施の形態では、円形環状である。養殖槽5は、複数の支柱13に支持されて、養殖場の床などに、底部10を水平に配置して設置される。この養殖槽5は、貯留される養殖用水に複数尾のまぐろの幼魚2が放たれて育成される。
【0043】
給餌装置6は、まぐろの幼魚2よりも小さい餌用魚を、養殖槽5内に放出するための装置である。餌用魚は、まぐろの幼魚2の餌と成り得る魚であれば、限定されるものではないが、本実施の形態では、鯛の仔魚15である。仔魚とは、生まれて間もない魚である。鯛は、まぐろなどに比べて、養殖が比較的容易であり、卵から人工ふ化させて、鯛の仔魚15を容易に生産することができる。しかも人工ふ化させた鯛の仔魚15には、形状が歪であったり、また傷を有している仔魚が含まれ、成魚になるまで育成しても、商品価値がないので、廃棄処分されてしまう。このような廃棄処分の対象となる鯛の仔魚15を餌用魚として用いることが好ましく、資源を有効利用することができる。
【0044】
給餌装置6は、鯛の仔魚15を放出可能に収容する餌容器16と、餌容器16に鯛の仔魚15を送込む餌投入器17とを有する。餌容器16は、一端部18が塞がれかつ他端部33が開放される管状の容器であり、養殖槽5内に外壁12に沿って、一端部18から他端部33に一周方向Aに延ばして配置される。この餌容器16は、養殖用水に浸漬された状態で設けられ、餌容器16の軸線方向に間隔をあけて設けられる複数の放出部19から養殖槽5内に、収容している鯛の仔魚15を放出可能である。各放出部19は、養殖槽5の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0045】
餌投入器17は、ホッパ20と接続管21を有し、ホッパ20が接続管21によって餌容器16の他端部33に接続される。この餌投入器17は、作業者などによってホッパ20に投入される鯛の仔魚15を、接続管21を介して餌容器16に導くことができる。このような給餌装置6は、養殖槽5の広範囲に散在する複数の放出位置、したがって各放出部10が設けられる位置で、鯛の仔魚15を放出することができる。
【0046】
水量調節装置7は、養殖槽5に養殖用水を供給する給水手段22と、養殖槽5内の養殖用水を排出する排水手段23とを有する。この水量調整装置7は、給水手段22による養殖用水の供給流量と、排水手段23による養殖用水の排出流量とを調節することによって、養殖槽5に貯留される養殖用水の水量(貯留量)を調節することができる。
【0047】
給水手段22は、一端部24が養殖槽5の底部10に接続される給水管25を有し、給水管25に介在されるポンプ26の動力によって、養殖用水を水源から導いて供給することができる。ポンプ26の回転数などの動作量を制御することによって、供給流量を調節することができる。水源は、海洋などの自然の水源であってもよいし、タンク、溜池などの人工の水源であってもよい。本実施の形態では、海洋から海水を汲み上げて、養殖用水として供給している。また他の実施の形態では、異物、汚れ、雑菌を除去するなど、人工的に加工された水であってもよい。
【0048】
排水手段23は、養殖槽5に接続される排水管28を有する。養殖槽5には、周方向1カ所に、底部10が下方に凹んで排出凹部29が形成されている。排水管28は、一端部33が排出凹部29に接続され、排水管28を介して、養殖槽5内の養殖用水を自重によって排出することができる。排水管28には、流量調整弁34が介在されており、この流量調整弁34を操作することによって、排出流量を調節することができる。
【0049】
給水手段22および排水手段23は、給水管25の一端部24が、排出凹部29に対して一周方向A側に近接した位置に配置されて設けられる。したがって養殖用水の供給位置および排出位置は、周方向に近接している。
【0050】
流下装置8は、養殖槽5に貯留されている養殖用水に、動力を与えて周方向一方となる一周方向Aへ流下させるための手段である。本実施の形態では、流下装置8は、送風手段によって実現され、養殖槽5の上部に設けられる噴出器36に、送風器35から空気を送り、噴出器36から一周方向Aへ吹き出させる。空気は、養殖用水中に噴出されてもよいが、本実施の形態では、養殖用水の上方で水面に沿って噴出される。これによって養殖用水が一周方向Aへ流下される。噴出器36は、給水管の一端部24に近接して配置され、たとえば給水管24の上方または少し一周方向A側に配置される。
【0051】
浄化装置9は、バブリング手段40と、脱窒手段41とを有する。バブリング手段40は、養殖槽5の底部10に設けられる気泡吐出器43に送風器44から空気を送り、気泡吐出部43から養殖用水中に、微細な気泡として吐出する。このように気泡を吐出することによって、養殖用水中に混在する残餌および排泄物などの微細な固形物を、気泡によって捕捉することができる。このように捕捉した固形物は、フィルタなどの濾過装置で除去し、また作業者が網などで掬いとることができる。
【0052】
脱窒手段41は、まぐろの幼魚2が排泄することによって養殖用水に含まれるアンモニアを、亜硝酸を経て硝酸に変化させ、さらに硝酸から窒素ガス(N)または亜酸化窒素ガス(NO)に変化させて、大気に放出させる。このような変化は、たとえば細菌、バクテリアなどを利用して実現される。脱窒手段41は、養殖槽5の周方向1カ所に、外壁部12が半径方向外方に膨らんで形成される膨出部46の下部に配置される。膨出部46は、周方向に関して排出凹部29が形成される位置に配置される。
【0053】
浄化装置9は、固形物の除去およびアンモニアの分解除去によって、養殖用水を浄化する。浄化装置9は、バブリング手段40の気泡吐出部43が、排出凹部29に対して一周方向Aと反対方向側に近接した位置に配置されて設けられる。したがってバブリング手段40の気泡吐出部43と脱窒手段41とは周方向に近接している。
【0054】
このように養殖設備1は、養殖槽5の周方向一部分に集中させて、水量調節装置7、流下装置8および浄化装置9が設けられ、水量調節装置7によって水量調節された養殖用水が養殖槽5に貯留され、浄化装置9で浄化されながら、流下装置8によって一周方向Aへ流下される。養殖設備1では、養殖槽5に、まぐろの幼魚2が放たれ、適宜餌が与えられて育成される。まぐろの幼魚2に与える餌は、給餌装置6によって与える鯛の仔魚15だけであってもよいが、餌として、人工飼料を別途に与えるようにしてもよい。
【0055】
まぐろの幼魚2に鯛の仔魚15を与える給餌装置6は、その餌容器16が、養殖槽5の水量調節装置7、流下装置8および浄化装置9が設けられる周方向一部分を除く残余の部分全体にわたって、周方向に延びて配置される。餌容器16は、他端部33から一端部18に向けて、一周方向Aと反対方向へ延びており、餌投入器17から投入される鯛の仔魚15は、餌容器16内を、一周方向Aと反対方向へ泳いで移動し、放出部19の動作によって、一周方向Aと反対方向を向いた姿勢で養殖槽5内に放出される。
【0056】
まぐろの幼魚2は、水の流れに沿って泳ぐので、一周方向Aへ泳いで移動する。したがって給餌装置6によって、まぐろの幼魚2の姿勢と反対向きの姿勢で、まぐろの幼魚2が泳ぐ方向(一周方向A)と反対方向へ向けて、鯛の仔魚15が放出される。まぐろの幼魚2は、給餌装置6によって放出される鯛の仔魚15を食べることができる。
【0057】
図4は、給餌装置6の一部を示す断面図である。給餌装置6の餌容器16は、容器本体50と、複数の開閉部材51とを有する。容器本体50は、一端部18が塞がれかつ他端部33が開放される管状であり、円弧状に湾曲して、養殖槽5の周方向に延びている。この容器本体50には、その軸線方向に間隔をあけて複数の放出口53が形成されている。容器本体50の一端部18が餌容器16の一端部となり、容器本体50の他端部33が餌容器18の他端部となり、容器本体50が養殖槽5に設けられた状態で、各放出口53は、養殖槽5の周方向に間隔をあけて、半径方向内方側に配置される。
【0058】
各開閉部材51は、板状の部材であり、各放出口53に設けられる。各開閉部材51は、容器本体50における放出口53の周縁部、具体的には一周方向A側の周縁部に、たとえば鉛直な軸線まわりに角変位可能に支持され、この角変位によって、放出口53を開閉することができる。図4には、放出口53を開いた状態で示す。容器本体50の放出口53の周縁部と、開閉部材51とを含んで放出部19が構成され、各放出部19は、放出口53を閉じることによって、鯛の仔魚15の放出を停止し、放出口53を開くことによって鯛の仔魚15を矢符Bで示すように放出することができる。
【0059】
各放出部19は、放出口53を開閉することによって鯛の仔魚15の放出および放出停止を制御する構成である。鯛の仔魚15の放出は、放出口53が開いているときに、鯛の仔魚15が自ら泳いで出ることによる放出であってもよいし、放出口53を開くとともに、鯛の仔魚15に動力を与えて、強制的に送出すことによる放出であってもよい。
【0060】
図5は、給餌装置6の放出部19を拡大して示す断面図である。給餌装置6は、開閉部材51を開閉駆動する開閉駆動手段55を有する。開閉駆動手段55は、開閉部材51に閉方向のばね力を与えるばね部材56と、餌容器16内、したがって容器本体50内の養殖用水を加圧する加圧器57とを有する。
【0061】
ばね部材56は、たとえばねじりコイルばねによって実現され、一端部が容器本体50に連結され、他端部が開閉部材51に連結される。このばね部材56は、開閉部材51が放出口53を閉じた状態で、自然状態となるように設けられ、開閉部材51が放出口53を開いた状態では、弾性回復力であるばね力を開閉部材51に、開閉部材51が放出口53を閉じる方向へ与える。したがって開閉部材51は、外力が与えられない状態では、ばね部材56によって、放出口53を閉じて安定している。ばね部材56は、腐食を防止するためのコーティングが施された金属製のばね、または合成樹脂などの腐食に強い材料から成るばねを用いることが好ましい。
【0062】
加圧器57は、具体的な構成の図示は省略するが、たとえばポンプなどを用いて、容器本体50の他端部33付近またはホッパ20から、容器本体50に養殖用水または空気などの押圧用流体を供給することによって押圧する構成によって実現されてもよい。押圧用の流体をホッパ20から供給する場合には、ホッパ20に対して着脱可能に構成し、鯛の仔魚15を投入するときには、取外すようにすればよい。また加圧器57は、容器本体50の他端部33付近にピストンを設けて、そのピストンを流体圧シリンダによって一端部18に向けて押圧する構成によって実現されてもよい。
【0063】
このようなばね部材56と加圧器57とを有する開閉駆動手段55は、加圧器57による容器本体50内の養殖用水の押圧を停止している状態、したがって加圧していない状態では、開閉部材51を、ばね部材56のばね力で、放出口53を閉じる位置に配置させ、放出口53を閉じる。これに対して開閉駆動手段55は、加圧器57によって容器本体50内の養殖用水を押圧している状態、したがって加圧している状態では、開閉部材51を、容器本体50内の養殖用水によってばね部材56のばね力に抗して、放出口53を開く位置に押圧させ、放出口53を開く。このようにして開閉駆動手段55は、開閉部材51を開閉駆動して、放出口53を開閉することができる。
【0064】
加圧器57を用いる開閉駆動手段55は、容器本体50内の養殖用水を放出口53から容器本体50外へ放出することによって放出口53を開く構成であるので、養殖用水の放出に伴って鯛の仔魚15を強制的に送出すことができる。このように加圧器57が兼ねる鯛の仔魚15の強制送出し手段を設けることによって、鯛の仔魚15が自ら泳いで出る構成と比較して、鯛の仔魚15の放出を確実にすることができる。
【0065】
図6は、給餌装置6の電気的構成を示すブロック図である。給餌装置6は、さらに、情報を入力するための入力手段60と、情報を記憶する記憶手段61と、時間を計測するタイマ手段62と、開閉駆動手段55を制御する制御手段64とを有する。
【0066】
入力手段60は、作業者による操作に基づいて、入力されるべき情報を生成し、制御手段64に与える。作業者は、この入力手段60を操作して、制御手段64による開閉駆動手段55の制御に必要な情報を入力することができる。制御に必要な情報は、たとえば放出口53を開く開動作の開始時刻の間隔を表す開動作間隔時間TOおよび開動作を継続する時間を表す開継続時間TKを示す情報を含む。開動作間隔時間TOは、開継続時間TKよりも大きい。
【0067】
記憶手段61は、半導体メモリなどによって実現され、制御手段64の制御に従って情報を記憶する手段であり、制御手段64による開閉駆動手段55の制御に必要な情報を記憶する。入力手段60が操作されて開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKを示す情報が入力されると、制御手段64は、その情報を記憶するように記憶手段61を制御し、これによって開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKを示す情報が記憶手段61に記憶される。
【0068】
タイマ手段62は、制御手段64の制御に基づいて、時間を計測する手段であり、第1および第2タイマ部を有している。各タイマ部は、個別に時間を計測することができ、制御手段64によって計測開始が指示されると、リセットして、その時刻からの時間を計測する。
【0069】
制御手段64は、マイクロコンピュータなどによって実現される。この制御手段64は、記憶手段61に記憶されている開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKと、タイマ手段62によって計測される時間とに基づいて、定期的に放出口53を開放するように、開閉駆動手段55を制御する。
【0070】
図7は、制御手段64の制御動作を示すフローチャートである。制御手段64は、給餌装置6の電源がオンされる、また制御の開始するように指示する情報が入力手段60によって入力されるなどの開始条件を満たすと、ステップs0で制御を開始する。ステップs1では、タイマ手段62をリセットし、したがって第1タイマ部による第1計測時間T1を0にして、第1タイマ部による時間の計測を開始させ、ステップs2に進む。
【0071】
ステップs2では、第1計測時間T1が、設定記憶されている開動作間隔時間TO以上であるか否か判定する。第1計測時間T1が開動作間隔時間TO以上である場合、ステップs3に進み、未満である場合にはステップs2に戻る。そして、ステップs3で、開閉駆動手段55に放出口53の開動作を開始させ、ステップs4で、タイマ手段62をリセットさせて、第1計測時間T1および第2タイマ部による第2計測時間T2を0にし、第1および第2タイマ部に時間を計測開始させる。
【0072】
次にステップs5では、第2計測時間T2が、設定記憶されている開継続時間TK以上であるか否か判定する。第2計測時間T2が開継続時間TK以上である場合、ステップs6に進み、未満である場合にはステップs5に戻る。そして、ステップs6で開閉駆動手段55に放出口53の開動作を終了させ、ステップs2に戻る。制御手段64は、このような一連の制御動作を、給餌装置6の電源がオフされる、また制御を終了するよう指示する情報が入力手段60によって入力されるなどの終了条件を満たすまで、繰り返し実行する。
【0073】
図8は、放出部19の開閉動作を示すタイミングチャートである。放出部19は、時刻t0で制御手段64による制御が開始されると、時刻t0から開動作間隔時間TO経過後の時刻t1から時刻t2までの開継続時間TKにわたって、放出口53を開放する。そして時刻t1から開動作間隔時間TO経過後の時刻t3から時刻t4までの開継続時間TKにわたって、放出口53を開放する。さらに時刻t3から開動作間隔時間TO経過後の時刻t5から時刻t6までの開継続時間TKにわたって、放出口53を開放する。このように定期的に放出口53を開閉する。
【0074】
制御手段64による前述の制御動作は、1つの放出部19に対する制御動作であり、このような制御動作を各放出部19に対して実行する。このとき、開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKは、各放出部19に対して同一の値に設定されてもよいし、異なる値に設定されていもよい。開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKを同一の値に設定する場合において、制御の開始時刻を一致させると、各放出部19を同一のタイミングで開閉動作させ、制御の開始時刻をずらすと、異なるタイミングで開閉動作させることができる。また開動作間隔時間TOおよび開継続時間TKのいずれか一方が異なる値に設定される場合には、各放出部19毎に異なるタイミングで開閉動作させることができる。
【0075】
本実施の形態の養殖設備によれば、まぐろの幼魚2を育成する養殖槽5に、まぐろの幼魚2よりも小さい鯛の仔魚15が、給餌装置6によって放出され、まぐろの幼魚2に鯛の仔魚15が餌として与えられる。まぐろの幼魚2にとって、自分よりも小さい鯛の仔魚15は、養殖槽5で一緒に育成される自分と同程度の大きさの他のまぐろの幼魚2に比べて食べ易い。これによってまぐろの幼魚2は、他のまぐろの幼魚2を食べる代わりに鯛の仔魚15を食べるので、まぐろの幼魚2同士の共食いを抑えることができる。したがってまぐろの幼魚2の養殖効率を高くすることができる。
【0076】
また給餌装置6が複数の放出部19を有しており、養殖槽5の広範囲に散在する放出位置で、鯛の仔魚15が放出されるので、一部のまぐろの幼魚2にだけ偏って、鯛の仔魚15が与えられてしまうことを防ぎ、各まぐろの幼魚2、ほぼ均一に鯛の仔魚を与えることができる。これによって鯛の仔魚15を食べることができずに、他のまぐろの仔魚15を食べてしまうまぐろの幼魚2が出現することを防ぐことができる。
【0077】
また流下手段8によって養殖槽5内の養殖用水を一周方向へ流下させ、まぐろの幼魚2の修正を利用して泳ぐ方向を統一し、まぐろの幼魚2同士が互いに勢いよく衝突することを防ぐことができる。しかも養殖槽5が曲線の環状であり、まぐろの幼魚2が養殖槽5に勢いよく衝突することを防ぐことができる。このようにしてまぐろの幼魚2が傷つくことを防ぐことができる。
【0078】
さらにこのようにまぐろの幼魚2の修正を利用して泳ぐ方向を統一した上で、前述のような構造の放出部19によって、まぐろの幼魚2の泳ぐ方向と反対向きに鯛の仔魚15が放出される。したがってまぐろの幼魚2同士は、互いに同一の方向を向き、まぐろの幼魚2と鯛の仔魚15とは、互いに逆の方向を向いた状態となる。これによってまぐろの幼魚2は、他のまぐろの幼魚2に比べて鯛の仔魚15に遭遇し易くなり、まぐろの幼魚2が、鯛の仔魚15を食べる機会が多くなるようにし、共食いの発生をさらに抑えることができる。
【0079】
また給餌装置6では、各放出部19が制御されて定期的に鯛の仔魚15を放出する。したがってまぐるの幼魚2に、定期的に鯛の仔魚15が与えられ、長期間にわたって鯛の仔魚15を食べてない状態になることが防がれる。このようにしてさらに共食いの発生を抑えることができる。
【0080】
また鯛の仔魚15を収容する給餌装置6の餌容器16は、養殖槽5内に配置され、養殖用水に浸漬された状態で設けられるので、鯛の仔魚15は、餌容器16に生きたまま長時間収容することが可能である。したがって鯛の仔魚15を、餌容器16に収容して直ぐに放出しなければならないなどの、鯛の仔魚15の取扱い上の制限を受けることがなく、鯛の仔魚15を容易に取扱うことができる。
【0081】
また養殖槽5の養殖用水が、浄化装置9によって浄化されるので、養殖槽5の環境を改善することができる。したがって養殖用水が悪化することを防止し、まぐろの幼魚2への悪影響を防止することができ、好適な養殖を実現することができる。また比較的、生産の容易な鯛の仔魚15を餌として利用しているので、まぐろの幼魚2を、共食いを防止して生育させ、高い養殖効率で養殖することができる。
【0082】
図9は、本発明の実施の他の形態として養殖設備1に設けられる給餌装置6Aの一部を拡大して示す断面図である。図9に示す本実施の形態は、図1〜図8に示す前述の実施の形態と類似しており、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。本実施の形態では、給餌装置6Aの開閉駆動手段55Aは、加圧器57に代えて、開放機構69を有する。
【0083】
開放機構69は、回転可能に設けられるプーリ70と、一端部がプーリ70に連結され、他端部が開閉部材51に連結される索条体71と、プーリ70を正逆両方向へ回転駆動する駆動モータ72とを有する。この開放機構57は、駆動モータ72によってプーリ70を一方向へ回転させると、プーリ70によって索条体71が巻き取られ、開閉部材51が、ばね部材56のばね力に抗して放出口53を開く方向へ角変位させることができる。また開放機構57は、駆動モータ72によってプーリ70を他方向へ回転させると、プーリ70に巻き取られていた索条体71が繰出され、開閉部材51の放出口53を閉じる方向への角変位を許容することができる。これによって開閉部材51は、ばね部材56のばね力によって、放出口53を閉じる方向へ角変位させることができる。
【0084】
このように開放機構69を用いる構成であっても、放出口53を開閉し、鯛の仔魚15を放出することができる。開放機構69を用いる構成では、鯛の仔魚15を強制的に送出す構成ではないが、この構成であってもよい。また前述の加圧器57と組合わせて用い、鯛の仔魚15を強制的に送出すようにしてもよい。
【0085】
図10は、本発明の実施のさらに他の形態として養殖設備1に設けられる給餌装置6Bの一部を拡大して示す断面図である。図10に示す本実施の形態は、図1〜図8に示す前述の実施の形態と類似しており、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。本実施の形態では、給餌装置6Bの開閉駆動手段55Bは、加圧器57およびばね部材56に代えて、開閉モータ80を有する。
【0086】
開閉モータ80は、開閉部材51を正逆両方向へ角変位駆動するモータである。この開閉モータ80によって開閉部材51を角変位させることによって、放出口53を開閉することができる。この開閉モータ80を用いる構成では、鯛の仔魚15を強制的に送出す構成ではないが、この構成であってもよい。また前述の加圧器57と組合わせて用い、鯛の仔魚15を強制的に送出すようにしてもよい。
【0087】
図11は、本発明の実施のさらに他の形態の養殖設備1Cを示す平面図である。図11に示す本実施の形態は、図1〜図8に示す前述の実施の形態と類似しており、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。本実施の形態の養殖設備1Cでは、複数、本実施の形態では2つの養殖槽5が、同心円状に設けられ、各養殖槽5に関連して、給餌装置6、水量調節装置7、流下装置8および浄化装置9がそれぞれ設けられる。このような構成にすれば、空間を有効的に利用することができる。
【0088】
本発明のさらに他の実施の形態では、3つ以上の養殖槽5を設けるようにしてもよい。このように複数の養殖槽5を設ける場合において、給餌装置として、図9および図10の給餌装置6A,6Bを用いるようにしてもよい。
【0089】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば円環状の養殖槽5に代えて、鉛直軸線まわりに旋回する螺旋状の養殖槽を用い、養殖用水が勾配を利用して流下する構成であってもよい。また給餌装置、水量調節装置、流下装置および浄化装置は、前述の構成に限定されるものではなく、目的を達成するものであればよい。たとえば給餌装置6は、鯛の仔魚15を、養殖槽5に放出できる構成であればよく、具体的な変更例を述べると、開閉部材をスライド変位させることによって放出口を開閉する構成であってもよいし、開閉部材をゴムなどの弾性材料によって形成して、ばね部材を用いなくても、外力が作用しなけば放出口53を自動的に閉じるように構成してもよい。また水量調節装置は、高さを変更可能な堰を設けて、その高さを変更することによって調整する構成であってもよい。また水量調節装置、流下装置および浄化装置は、必須要件ではないので、これらの装置は、設けられていなくてもよく、適宜取捨選択して設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の一形態の養殖設備1を、斜め上方から見て示す斜視図である。
【図2】養殖設備1を、ほぼ水平方向から見て示す斜視図である。
【図3】養殖設備1を、上方から見て示す平面図である。
【図4】給餌装置6の一部を示す断面図である。
【図5】給餌装置6の放出部19を拡大して示す断面図である。
【図6】給餌装置6の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】制御手段64の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】放出部19の開閉動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の他の形態として養殖設備1に設けられる給餌装置6Aの一部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の実施の他の形態として養殖設備1に設けられる給餌装置6Aの一部を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の養殖設備1Cを示す平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 養殖設備
2 まぐろの幼魚
5 養殖槽
6 給餌装置
7 水量調節装置
8 流下装置
9 浄化装置
16 餌容器
17 餌投入器
19 放出部
50 容器本体
51 開閉部材
53 放出口
55,55A,55B 開閉駆動手段
56 ばね部材
57 加圧器
64 制御手段
69 開放機構
80 開閉モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽と、
養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を、養殖槽内に放出する給餌装置とを含むことを特徴とする養殖設備。
【請求項2】
給餌装置は、養殖槽の広範囲に散在する複数の放出位置で、餌用魚を放出することを特徴とする請求項1記載の養殖設備。
【請求項3】
給餌装置は、養殖対象幼魚が泳ぐ方向と反対方向へ向けて、餌用魚を放出することを特徴とする請求項1または2記載の養殖設備。
【請求項4】
給餌装置は、定期的に、餌用魚を放出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の養殖設備。
【請求項5】
給餌装置は、養殖槽内に配置され、餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出部を備える餌容器を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の養殖設備。
【請求項6】
餌容器は、
餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出口が形成される容器本体と、
容器本体の放出口を開閉する開閉部材とを有し、
容器本体の放出口の周縁部と、開閉部材とを含んで放出部が形成されることを特徴とする請求項5記載の養殖設備。
【請求項7】
給餌装置は、
開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
定期的に放出口を開放するように、開閉駆動手段を制御する制御手段とをさらに有することを特徴とする請求項6記載の養殖設備。
【請求項8】
養殖用水を流下させる流下装置をさらに含み、
養殖槽は、曲線の環状に形成され、
流下装置は、養殖用水を養殖槽の周方向一方へ流下させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の養殖設備。
【請求項9】
養殖用水を浄化化する浄化装置をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の養殖設備。
【請求項10】
養殖対象幼魚は、まぐろの幼魚であり、餌用魚は、鯛の仔魚であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の養殖設備。
【請求項11】
養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を放出することを特徴とする養殖方法。
【請求項12】
養殖用水が貯留されて、複数尾の養殖対象幼魚が育成される養殖槽に、養殖対象幼魚よりも小さい餌用魚を放出する給餌装置であって、
餌用魚を収容しかつ餌用魚を放出する放出口が形成される容器本体、および放出口を開閉する開閉部材を有する餌容器と、
開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
定期的に放出口を開放するように、開閉駆動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする給餌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−75021(P2006−75021A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259890(P2004−259890)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(504266762)
【出願人】(592002950)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】