説明

養魚用機能性餌料の生産プラント

【課題】ミミズを含んだ魚病に対する免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料の生産を、地域未利用の有機性廃棄物の醗酵から、ミミズの養殖、餌料の調製に至るまで総合的に効率良く実施できる、養魚用機能性餌料の生産プラントを提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を醗酵させてミミズ養殖土となる堆肥を得る醗酵プラント1と、醗酵プラント1で得られた堆肥をミミズ養殖土としてミミズを養殖する養殖プラント2と、養殖プラントで得られたミミズを他の餌料成分と混合して養魚用機能性餌料を調製する餌料調製プラント3とから成る養魚用機能性餌料の生産プラントとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミミズを必須成分として含んだ魚病に対する免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料を総合的に効率良く生産することができる養魚用機能性餌料の生産プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ミミズは各種のアミノ酸、ビタミン、酵素などを豊富に含み、生体防御機能を有することが近年の研究で明らかになってきた。そのため、最近ではミミズを原料とする健康補助食品や乾燥粉末の製造方法が種々提案されている。
【0003】
前者のミミズを原料とする健康補助食品の製造方法としては、例えば、乾燥させたミミズを、塩水、プロポリス溶液、米胚芽・大豆醗酵抽出エキス溶液等からなる栄養分や、味覚を付与するための媒介物質溶液の入った特殊容器に入れ、ミミズの細胞が破壊されない程度にミミズに熱と気圧を加えて生ミミズ程度に柔らかくすると共に、このミミズに媒介物質溶液を染み込ませ、ミミズを洗浄して表皮の有害物質を除去して、ミミズ表皮・内蔵分離装置で内蔵と表皮を分離し、この分離したミミズの表皮を乾燥、殺菌したのちアミノ酸を抽出して、このアミノ酸を顆粒状、粉末状あるいは液状に加工処理することにより健康補助食品とする方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、後者のミミズ乾燥粉末の製造方法として、例えば、生ミミズの磨砕物又は磨砕物から皮を除去したものと、ネギ科植物の一種以上のペーストあるいは抽出液またはペーストから不溶物を除去したものとを混合し、20℃〜55℃で5時間〜170時間維持した後に粉末化処理してミミズ乾燥粉末を得る方法が知られている(特許文献2)。
【0005】
一方、原料のミミズは、従来から、農業用ビニールハウス内にミミズ養殖土として牛糞堆肥を一定の厚さに堆積し、この牛糞堆肥の中で養殖している。そして、養殖したミミズは、ミミズが表層から下層に潜る性質を利用して、堆肥表層のミミズ糞土を手作業で取り除き、下層に達したときにミミズ団子を形成させて収穫している。
【特許文献1】特開2003−259837号公報
【特許文献2】特開2004−292402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ミミズを原料とする健康補助食品や乾燥粉末等の製造方法は提案されているが、ミミズを必須成分として含んだ魚病に対する免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料や、その生産プラントについては未だ開発されていない。このような免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料は、養魚、特に、陸上のプールで養殖されるヒラメやカレイなどの養魚の免疫を高めて魚病の発生率を抑え、養魚の生育歩留を向上させる上で有効なものであるため、その生産プラントの早期開発が希求されている。
【0007】
また、前述した従来のミミズ養殖法は、面積の大きいビニールハウスを必要とする上に、ミミズの増殖が自然の温度条件や水分条件に大きく左右されるので年間を通じて収穫量にバラツキが生じるという問題があり、養魚用機能性餌料の生産プラントに適したものとは言い難い。従って、免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料の生産プラントを開発するためには、それに適した増殖効率の良いミミズ養殖法を開発して生産プラントに組み込むことが必要になる。そして、牛糞の他に地域未利用の有機性廃棄物を有効利用し、これを醗酵させることによって、生産プラントに適したミミズの生産収率の高いミミズ養殖土を造ることも、大切である。
【0008】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、ミミズを必須成分として含んだ魚病に対する免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料の生産を、地域未利用の有機性廃棄物の堆肥醗酵から、ミミズの養殖、餌料の調製に至るまで総合的に効率良く実施できる、養魚用機能性餌料の生産プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る養魚用機能性餌料の生産プラントは、有機性廃棄物を醗酵させてミミズ養殖土となる堆肥を得る醗酵プラントと、この醗酵プラントで得られた堆肥をミミズ養殖土としてミミズを養殖する養殖プラントと、この養殖プラントで得られたミミズを他の餌料成分と混合して養魚用機能性餌料を調製する餌料調製プラントと、から成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の養魚用機能性餌料の生産プラントにおいては、上記醗酵プラントが、上記有機性廃棄物を短期間で一次醗酵させる高速醗酵装置と、この一次醗酵させたものを二次醗酵させる堆積型醗酵槽とを備えていることが望ましい。
【0011】
また、上記のミミズ養殖プラントは、上記堆肥をミミズ養殖土として充填した多数の容器を多段に収容した温度制御自在な養殖室を備えたものであることが望ましく、この養殖プラントには、養殖したミミズを光照射により分離する分離装置と、分離したミミズを水洗する洗浄装置と、ミミズを分離除去した糞土からミミズの卵胞を分離する篩別機を付設することが望ましい。
【0012】
そして、上記餌料調製プラントは、養殖プラントで得られたミミズと他の餌料成分とを配合する餌料配合機と、この配合餌料をペレット化する餌料成形機とを備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の養魚用機能性餌料の生産プラントは、最初の醗酵プラントで地域未利用の有機性廃棄物を醗酵させてミミズ養殖土となる堆肥を造り、次の養殖プラントで上記堆肥をミミズ養殖土としてミミズを大量に養殖し、最後の餌料調製プラントで上記養殖ミミズを他の餌料成分と混合して養魚用機能性餌料を調製することにより、一貫して養魚用機能性餌料を効率良く生産することができる。
【0014】
特に、醗酵プラントが、上記有機性廃棄物を短期間で一次醗酵させる高速醗酵装置と、この一次醗酵させたものを二次醗酵させる堆積型醗酵槽とを備えたものであると、ミミズの養殖に有害なフェノールや、分解しにくいリグニンなどを分解して、微生物数や原生動物数の多い完熟堆肥を得ることができるので、この完熟堆肥を次の養殖プラントでミミズ養殖土として使用することにより、ミミズを旺盛に増殖させて高収率で養殖ミミズを生産できるようになる。
【0015】
そして、養殖プラントが、上記堆肥をミミズ養殖土として充填した多数の容器を多段に収容した温度制御自在な養殖室を備えたものであると、従来のように農業用ビニールハウス内に牛糞堆肥を一定の厚さに堆積してミミズを養殖する場合に比べて、小スペース化を達成することが可能となり、しかも、養殖室内の温度制御等を行うことによって、後述するようにミミズの増殖サイクルを約4ケ月に短縮し、8倍/4ケ月の増殖倍率でミミズを養殖することが可能となる。
【0016】
特に、養殖プラントに、養殖したミミズを光照射により分離する分離装置と、分離したミミズを水洗する洗浄装置と、ミミズを分離除去した糞土からミミズの卵胞を分離する篩別機が付設されていると、分離装置によってミミズ養殖土からミミズを損傷することなく容易に分離することができ、分離したミミズを洗浄装置で水洗して、次の餌料調製プラントへ供給したり、一次的に冷蔵庫や冷凍庫等に保存することができる。そして、分離したミミズの卵胞は、別の飼育槽に入れて孵化させ、成虫のミミズに成長すると、上記のミミズ養殖土に混合して新たな容器に充填し、一方、卵胞を分離した糞土はバイオ堆肥として有効利用することができる。
【0017】
また、餌料調製プラントが、養殖プラントで得られたミミズと他の餌料成分とを配合する餌料配合機と、この配合餌料をペレット化する餌料成形機とを備えていると、餌料配合機で配合、調製した魚病に対する免疫賦活能の高い養魚用機能性餌料を、餌料成形機で養魚が食べることのできる粒径のペレットに成形して、製品とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る養魚用機能性餌料の生産プラントの説明図、図2は同生産プラントにおける高速醗酵装置の概略説明図、図3は同生産プラントにおけるミミズ分離装置の概略説明図である。
【0020】
この養魚用機能性餌料の生産プラントは、図1に示すように、醗酵プラント1と、養殖プラント2と、餌料調製プラント3とで構成されている。
【0021】
醗酵プラント1は、有機性廃棄物を醗酵させてミミズ養殖土となる堆肥を造るものであって、原料の有機性廃棄物を細かく粉砕する破砕機11、種々の有機性廃棄物を均一に混合する混合槽12、混合した有機性廃棄物を短期間で一次醗酵させる高速醗酵装置13、一次醗酵させたものをゆっくりと二次醗酵させる堆積型醗酵槽14、二次醗酵で得た堆肥から大きい堆肥塊を篩別する篩別機15、高速醗酵装置13から排出される臭気を脱臭する脱臭装置16などが設置されている。
【0022】
堆肥化処理の原料となる有機性廃棄物は、食品残渣、バーク(樹皮細片)、竹材、死魚、魚粗、クラゲ、ヒトデなどの地域未利用の有機性廃棄物を主とし、これに米ぬかや畜糞などの有機性廃棄物を加えたものである。米ぬかと畜糞を除く有機性廃棄物は、破砕機11で平均粒径が3mm以下となるように破砕されて混合槽12に投入され、そのまま混合槽12に投入される米ぬかや畜糞と均一に混合される。
【0023】
混合槽12から取り出された有機性廃棄物の混合物は高速醗酵装置13に投入され、1週間ないし10日間ほど一次醗酵が行われる。高速醗酵装置13としては、図2に示すような密閉タイプのものが好ましく設置される。この高速醗酵装置13は、密閉・保温タイプの円形醗酵槽13aの内部中心線上に、複数の中空攪拌棒13bを備えた中空軸13cをモータ13dで駆動回転自在に設け、中空軸13cの両端にブロア13e,13eの送気管を接続したものであって、モータ13dにより中空軸13cと中空攪拌棒13bを回転させて円形醗酵槽13a内の混合物4(有機性廃棄物の混合物)を攪拌しながら、ブロア13eで中空軸13cに供給した空気を中空攪拌棒13bの散気孔から混合物4へ送り込み、醗酵を促進して短期間で一次醗酵させるようにしたもである。この高速醗酵装置13から出る臭気は、脱臭装置16で脱臭してから排気される。
【0024】
高速醗酵装置13で一次醗酵させた未熟な堆肥は、テントハウスや堆肥舎に設置された堆積型醗酵槽14の内部に一定の高さ(通常、1.5〜2.0m程度)に堆積し、1週間に1回程度の切返しを行って、3〜6ケ月間、二次醗酵させることにより、完熟堆肥とする。そして、この完熟堆肥を篩別機15にかけて大きい堆肥塊を除去し、ミミズ養殖土となる堆肥を得る。尚、篩別された堆肥塊は高速醗酵装置13に戻され、再度、醗酵処理される。
【0025】
上記のように、高速醗酵装置13による一次醗酵と堆積型醗酵槽14による二次醗酵を行うと、原料の有機性廃棄物に含まれるフェノール等のミミズ有害成分や、リグニン等の分解しにくい成分が分解、消失し、ミミズ養殖に適した完熟堆肥からなる養殖土を得ることができる。その場合、堆積型醗酵槽14による二次醗酵の途中において、堆肥の腐熟度が良好になった時点で、分解しやすい食品残渣(豆腐粕や野菜屑など)を堆肥に混合すると共に加水し、温度50℃程度で再醗酵させて、栄養源となる微生物や原生動物の生息密度が高い堆肥を得ることが好ましい。
【0026】
養殖プラント2は、上記醗酵プラント1で得た堆肥をミミズ養殖土としてミミズを養殖するものであって、図1に示すように、上記堆肥をミミズ養殖土として充填した多数の容器を多段に収容した温度制御自在な養殖室21を備えており、更に、この養殖プラント2には、養殖したミミズを光照射により分離する分離装置22、分離したミミズを水洗する洗浄装置23、水洗したミミズを一次的に保存する冷蔵又は冷凍庫24、ミミズを分離除去した糞土からミミズの卵胞を分離する篩別機25、洗浄装置からの排水を浄化し膜分離する浄化・膜分離システム26などが設置されている。
【0027】
養殖室21に収容する容器としては、例えば、縦横の長さが1m程度、高さが0.4m程度の木製、プラスチック製、金属製などの箱型容器が好ましく使用され、この箱型容器には、ミミズ養殖土となる上記堆肥(以下、単にミミズ養殖土という)を30cmの高さまで充填(充填量:略300リットル)すると共に、その表面から10cmの深さまでの表層部に種ミミズを混入することが好ましい。ミミズ養殖土は、含水率がミミズ養殖に適した60〜80%、特に70%程度となるように加水調整することが好ましい。尚、養殖するミミズの種類は特に限定されないが、従来から養殖の盛んなシマミミズが最適であり、かかるシマミミズを養殖する場合は、飼育密度を20000〜30000匹/m程度とすることが好ましい。
【0028】
ミミズ養殖土を入れた箱型容器は、例えば、養殖室21内に設けた多段式ラックの各棚に取出し自在に収容し、室内温度をミミズ養殖に適した20〜30℃、好ましくは25℃前後に保って養殖を行う。このようにミミズ養殖土を入れた箱型容器でミミズを養殖すると、最初、ミミズ養殖土の表面から10cmの深さまでの表層部で飼育されていたミミズは、1週間ないし10日間で表層部の栄養分を食べ尽くし、糞を残して深さ10cmから20cmまでの中層部へ移動する。そして、中層部へ移動したミミズは、更に中層部の栄養分を食べ尽くし、糞を残して深さ20cmから30cmまでの下層部へ移動するが、その場合、表層部の糞土が堆積したままであると、糞土の層が厚くなるにつれて糞土の堆積する速度が遅くなり、ミミズが下層部へ移動するまでの時間が長くなるので、飼育開始から1週間ないし10日間経過してミミズが中層部へ移動した時点で、表層部の糞土を収集棒等を用いて除去することが望ましく、このように表層部の糞土を除去すると、ミミズは1週間ないし10日間で中層部の栄養分を食べ尽くして下層部へ移動する。ミミズが下層部へ移動すると、箱型容器を取出して中層部の糞土を除去し、ミミズが存在する下層部を、別の箱型容器の内部に20cmの高さまで充填した新たなミミズ養殖土の上に移し替え、以後この作業を繰り返して養殖を続ける。
【0029】
上記のように、養殖室21内の多段式ラックの各棚に、ミミズ養殖土の入った多数の箱型容器を収容して、集約的にミミズの養殖を行うと、従来のように農業用ビニールハウス内に牛糞堆肥を一定の厚さに堆積してミミズを養殖する場合に比べて、小スペース化を達成することが可能となる。しかも、養殖室21内の温度をミミズ養殖に適した20〜30℃、特に25℃前後に常に保っているため、ミミズ養殖土に含まれる微生物や原生動物の生息密度が高いこと、及び、ミミズ養殖土の含水率がミミズ養殖に適した60〜80%、特に70%前後に調整されていることと相俟って、ミミズの増殖が旺盛になり、ミミズの増殖サイクルが約4ケ月に短縮されて、8倍/4ケ月の増殖倍率でミミズの養殖を行うことが可能となる。これは、従来のミミズ養殖の生産収率の4倍以上である。
【0030】
養殖を始めて4ケ月が経過すると、箱型容器を取出して、容器内部の養殖ミミズが多数含まれるミミズ養殖土(糞土)をミミズ分離装置22に投入し、光照射によって養殖ミミズと糞土に分離する。このミミズ分離装置22は、図3に示すように、箱型容器21aから装置内部に投入された養殖ミミズを含むミミズ養殖土40(糞土)に光照射を行う複数の光源22aを装置内部に配設し、ミミズ養殖土40(糞土)の横に暗室部22bを遮光板22cで仕切って形成すると共に、暗室部22bの底に筒状開口部22dを設けて捕集容器22eを取付けたものである。このようなミミズ分離装置22は、装置内部に投入されたミミズ養殖土40(糞土)に各光源22aから光を照射すると、ミミズ養殖土40中のミミズ5が光を避けて暗室部22bへ移動し、筒状開口部22dから捕集容器22eに落下するので、養殖ミミズ5を損傷することなく分離、捕集することができる。
【0031】
ミミズ分離装置22で分離、捕集された養殖ミミズ5は、洗浄装置23で水洗され、冷蔵又は冷凍庫24で一時的に保存されるか、又は、そのまま餌料調製プラント3の餌料配合機31へ供給される。一方、残されたミミズ養殖土40(糞土)は篩別機25にかけられ、網目が約3mmの篩でミミズの卵胞(長径3〜5mmと糞土に篩別される。そして、卵胞は、養殖室21の箱型容器に充填されるミミズ養殖土に混合され、糞土はバイオ堆肥として有効利用される。
【0032】
また、洗浄装置23から出た排水は浄化・膜分離システム26によって浄化、濃縮され、濃縮液は、養殖室21の箱型容器に充填されるミミズ養殖土の加水調整に利用され、膜分離水も再利用される。
【0033】
餌料調製プラント3は、上記養殖プラント2で養殖したミミズを他の餌料成分と混合して養魚用機能性餌料を調製するもので、ミミズと他の餌料成分を配合する餌料配合機31と、この配合餌料をペレット化する餌料成形機32を備えている。
【0034】
ミミズと配合する他の餌料成分としては、魚粉、豚ミール、鶏ミール、豆腐粕、糟糠類、魚油、ミネラルなどが挙げられ、これら以外に、免疫賦活効果のあるユーグレナ(ミドリムシ)やプロバイオティクス乳酸菌も好ましく配合される。餌料配合機31によるミミズと他の餌料成分との配合は、粗蛋白質40〜50%、水分30%程度の配合餌料が得られるように行い、次の餌料成形機32で養魚が食べることのできる粒径、例えばヒラメでは2.5〜6mm程度の粒径を有するモイスチャーペレットに成形して製品とすることが好ましい。
【0035】
ミミズの配合量は5〜20%とすることが好ましく、この程度配合されていると、ミミズ由来のアミノ酸成分やビタミンが充分補給され、魚病に対する免疫賦活能の高いペレット状の養魚用機能性餌料を得ることができる。また、ユーグレナやプロバイオティクス乳酸菌が適量配合されていると、免疫賦活能が更に高い養魚用機能性餌料を得ることができる。
【0036】
因みに、ミミズを5〜20%に適量のユーグレナと他の餌料成分を配合して粗蛋白質が48%となるように調製したペレット状の養魚用機能性餌料を、養殖ヒラメの稚魚に与えて、病死等による歩留まりを検証したところ、歩留まりは90%以上と高率であり、従来のヒラメ養殖の歩留まり(65〜70%)に比べて20%以上向上するという良好な結果が得られた。このことから、本発明の生産プラントによって生産される養魚用機能性餌料は、免疫賦活能の高い優れた餌料であることが裏付けられた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る養魚用機能性餌料の生産プラントの説明図である。
【図2】同生産プラントにおける高速醗酵装置の概略説明図である。
【図3】同生産プラントにおけるミミズ分離装置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 醗酵プラント
2 養殖プラント
3 餌料調製プラント
13 高速醗酵装置
14 堆積型醗酵槽
21 容器を多段に収容した養殖室
22 ミミズ分離装置
23 洗浄装置
25 篩別機
31 餌料配合機
32 餌料成形機
5 ミミズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を醗酵させてミミズ養殖土となる堆肥を得る醗酵プラントと、この醗酵プラントで得られた堆肥をミミズ養殖土としてミミズを養殖する養殖プラントと、この養殖プラントで得られたミミズを他の餌料成分と混合して養魚用機能性餌料を調製する餌料調製プラントと、から成ることを特徴とする養魚用機能性餌料の生産プラント。
【請求項2】
上記醗酵プラントが、上記有機性廃棄物を短期間で一次醗酵させる高速醗酵装置と、この一次醗酵させたものを二次醗酵させる堆積型醗酵槽とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の養魚用機能性餌料の生産プラント。
【請求項3】
上記養殖プラントが、上記堆肥をミミズ養殖土として充填した多数の容器を多段に収容した温度制御自在な養殖室を備えていることを特徴とする請求項1に記載の養魚用機能性餌料の生産プラント。
【請求項4】
養殖したミミズを光照射により分離する分離装置と、分離したミミズを水洗する洗浄装置と、ミミズを分離除去した糞土からミミズの卵胞を分離する篩別機を、上記養殖プラントに付設したことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の養魚用機能性餌料の生産プラント。
【請求項5】
上記餌料調製プラントが、養殖プラントで得られたミミズと他の餌料成分とを配合する餌料配合機と、この配合餌料をペレット化する餌料成形機とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の養魚用機能性餌料の生産プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−33997(P2009−33997A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199003(P2007−199003)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000247535)株式会社モリプラント (8)
【Fターム(参考)】