説明

香料組成物

【課題】本発明は、香気の持続性が高められており、香気を長期間安定に知覚させることができる香料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】例えば、一般式(A-1-1)で示される化合物と一般式(A-2-1)で示される化合物とを、重量比[一般式(A-2-1)で示される化合物]/[一般式(A-1-1)で示される化合物]が1/1〜1/100となる範囲で併用した混合物を、他の香料成分と組み合わせて香料組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の香気の持続性を高めるために使用される香料ブースター組成物に関する。更に、本発明は、当該香料ブースター組成物を含有する香料組成物及び付香組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香りに対する嗜好性の多様化に伴い、天然香料及び合成香料を用いて様々な香調の香料組成物が開発されており、芳香消臭剤、化粧料、洗浄剤、食品等の様々な分野の付香製品に添加して使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような付香製品では、使用期間中に、持続的で均質な香気を放つことが求められている。
【0003】
しかしながら、一般に、香料には、揮散速度が異なる様々な香料成分が組み合わされて使用されているため、使用期間中に、付香製品から放出される香気の質や強さが変化したり、減弱されてしまうという欠点がある。また、人間の嗅覚には、日常的に嗅いでいる香気や日常生活空間にある香気に対しては、慣れによって鈍感になる性質(以下、当該性質を「鼻慣れ」と表記することもある)がある。実際、ある香気が放たれていてる環境において、鼻慣れしていない人にとっては当該香気を十分に知覚できても、鼻慣れしている人には当該香気を知覚できないことがある。
【0004】
そのため、従来、如何に新しくユニークな香料が開発されていても、香気の質や強さを均質に持続させることができないことがある。また、従来の香料では、使用期間の経過による香料の香気の質や強さの減弱化と、使用者の鼻慣れに相俟って、使用期間の経過に伴い、加速的に使用者が香気を知覚できなくなることがある。
【0005】
このような従来技術を背景として、均質な香気を持続的に放出できる香料組成物、特に、長時間使用しても香気の質や強さが損なわれることなく知覚される香料組成物を開発し、当該香料組成物を使用した付香組成物を提供することが求められている。
【特許文献1】特開2006−225643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。具体的には、本発明は、香料の香気の持続性を高めるために使用される香料ブースター組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、香気の持続性が高められており、香気を長期間安定に知覚させることができる香料組成物、及び当該香料組成物が含む付香組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、(A-1)として規定される特定の化合物と(A-2)として規定される特定の化合物とを特定の比率で併用した混合物には、様々なタイプの香料に対して香気の持続性を高める作用があり、香料ブースター組成物として有用であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる香料ブースター組成物、香料組成物、付香組成物、及び香料の香気の持続性を向上させる方法を提供する:
項1. (A-1)一般式(A-1-1)で示される化合物及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物、
【0009】
【化1】

及び
(A-2)一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物
【0010】
【化2】

を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100であることを特徴とする、香料ブースター組成物。
項2. 下記の(A)香料ブースター、及び(B)香料を含む、香料組成物:
(A) (A-1)一般式(A-1-1)で示される化合物及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物、
【0011】
【化3】

並びに
(A-2)一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物
【0012】
【化4】

を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100である香料ブースター。
項3. (B)成分の総量100に対して、上記(A)成分が総量で1〜20重量部含まれている求項2に記載の香料組成物。
項4. (A-1)の化合物が、一般式(A-1-2)で示される化合物である、項2又は3に記載の香料組成物。
項5. (A-2)の化合物が、一般式(A-2-1)で示される化合物である、項2乃至4のいずれかに記載の香料組成物。
項6. (B)香料が、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、マリン香料、又は石鹸香料である、項2乃至5のいずれかに記載の香料組成物。
項7. 項2乃至5のいずれかに記載の香料組成物を含む、付香組成物。
項8. 付香組成物のpHが6〜12である、項7に記載の付香組成物。
項9. 芳香消臭剤である、項7又は8に記載の付香組成物。
項10. 香料組成物又は付香組成物の香気の持続性を向上させる方法であって、(B)香料を含む香料組成物又は付香組成物に、下記の香料ブースター組成物を添加することを特徴とする、香気持続性の向上方法:
(A-1)一般式(A-1-1)で示される化合物及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物、
【0013】
【化5】

及び
(A-2)一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物
【0014】
【化6】

を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100である香料ブースター組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の香料ブースター組成物によれば、様々なタイプの香料に対して、香気の持続性を高め、香料に更なる付加価値を与えることができる。
【0016】
また、本発明の香料組成物及び付香組成物によれば、質や強さを均質に保持された香気を持続的に放出することができるので、香料に基づく有用芳香効果をより一層有効に享受させることができる。更に、本発明の香料組成物及び付香組成物によれば、長時間使用しても香気の質や強さが損なわれることなく知覚されので、香りの鼻慣れを抑制することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において、用語の意義は、次の通りである。「香料成分」は、香気を付与する各々の化合物を意味する。「香料」とは、単独の香料成分又は複数の香料成分の集合物からなり、香気を与えるための添加剤を意味する。「香料組成物」とは、香料を含む組成物であって、香気を与えるための添加剤として使用されるものを意味する。「付香組成物」とは、香料が配合されており、香気の放出機能を有する組成物を意味する。
【0018】
以下、本発明の内容について、詳細に説明する。
【0019】
1.香料ブースター組成物
本発明の香料ブースター組成物は、(A-1)として規定される特定の化合物と(A-2)として規定される特定の化合物とを特定の比率で含有することを特徴とするものである。
【0020】
本明細書において、香料ブースター組成物とは、香料の香気の持続性を向上させて香料の香気を安定に知覚させるために、香料組成物又は付香組成物に添加して使用されるものである。
【0021】
本発明において、(A-1)として規定される特定の化合物(以下、単に(A-1)の化合物と表記することもある)としては、下記の一般式(A-1-1)で示される化合物、及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物が挙げられる。なお、一般式(A-1-1)で示される化合物と一般式(A-1-2)で示される化合物は異性体の関係にある。
【0022】
【化7】

本発明では、(A-1)の化合物として、一般式(A-1-1)で示される化合物、及び一般式(A-1-2)で示される化合物のいずれか一方のみを使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。好ましくは一般式(A-1-1)で示される化合物である。
【0023】
本発明では、上記(A-1)の化合物と共に、一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、単に(A-2)の化合物と表記することもある)を組み合わせて使用する。なお、一般式(A-2-1)〜一般式(A-2-5)で示される化合物はそれぞれ異性体の関係にある。また、一般式(A-2-6)で示される化合物と一般式(A-2-7)で示される化合物は異性体の関係にある。
【0024】
【化8】

本発明において、一般式(A-2-1)〜一般式(A-2-7)で示される化合物の内いずれか1つの化合物を単独で使用してもよいが、2以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。(A-2)の化合物として、好ましくは一般式(A-2-1)〜一般式(A-2-5)で示される化合物であり、特に好ましくは一般式(A-2-1)で示される化合物である。
【0025】
また、本発明において、上記(A-1)の化合物と(A-2)の化合物は、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100となる範囲で使用される。なお、ここで、(A-2)/(A-1)の重量比とは、[(A-2)の化合物の総量]/[(A-1)の化合物の総量]についての重量比を示す。本発明において、当該(A-2)/(A-1)の重量比として、好ましくは1/1.25〜1/20、更に好ましくは1/2.5〜1/10、更により好ましくは、1/3.33〜1/5が挙げられる。このような比率を満たす範囲で、(A-1)の化合物と(A-2)の化合物とを併用することによって、香料に対する香気持続性の向上効果を一層有効に獲得することが可能になる。
【0026】
本発明の香料ブースター組成物は、(A-1)の化合物と(A-2)の化合物のみからなるものであってもよく、また本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて更に他の添加成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の香料ブースター組成物において、(A-1)の化合物と(A-2)の化合物の合計量の割合としては、当該香料ブースター組成物の総量当たり、5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%が挙げられる。このような割合で(A-1)の化合物と(A-2)の化合物を含むことによって、適用対象となる香料組成物又は付香組成物中の香料に対して、効果的に香気の持続性の向上作用を付与することが可能になる。
【0027】
本発明の香料ブースター組成物において、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物以外に配合可能な成分としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、消臭剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、殺虫成分、防虫成分等の成分が挙げられる。
【0028】
本発明に使用される界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオオレイルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、N-アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;アルキルアミドベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0029】
本発明に使用される防腐剤としては、具体的には、ソルビン酸、p-オキシ安息香酸メチル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2n-オクチル-イソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
【0030】
酸化防止剤としては、具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸塩、イソフラボン、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0031】
本発明に使用される溶剤としては、具体的には、水;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルエーテル化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
【0032】
本発明に使用される消臭剤としては、具体的には、イネ、松、ヒノキ、笹、柿、茶等の植物の抽出物;脱塩型ベタイン化合物;変性有機酸化合物;アルカノールアミン;安定化二酸化塩素;アルデヒド化合物等が挙げられる。
【0033】
本発明に使用される紫外線吸収剤としては、具体的には、ベンゾトリアゾール系(2−(3,5−di−tert−pentyl−2−hydroxyphenyl)−2H−benzotriazole)、ベンゾフェノン系(2,2 4,4 tetrahydroxybenzophenone)等が挙げられる。
【0034】
本発明に使用されるpH調整剤としては、具体的には、モノエタノールアミン、ジイソプロノーアルミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸、水酸化ナトリウム、塩基性アミノ酸(アルギニン)、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩等が挙げられる。
【0035】
本発明に使用される殺虫成分としては、具体的には、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロパノール、1.8―シネオール等が挙げられる。
【0036】
本発明に使用される防虫成分としては、具体的には、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロパノール、1.8―シネオール等が挙げられる。
【0037】
更に、本発明の香料ブースター組成物には、上記成分の他に、香料成分が含まれていてもよい。なお、上記(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物は、従来、香料の一成分としても使用されているものであるので、ここで、本発明の香料ブースター組成物に配合してもよい香料成分とは、上記(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物以外の香料成分を意味する。但し、本発明の香料ブースター組成物に含まれる香料成分は、適用対象となる香料組成物又は付香組成物に含まれる香料の香気に影響を及ぼさない程度であることが望ましく、例えば、上記(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物の合計量100重量部に対して、香料ブースター組成物に含まれている香料成分が20重量部以下、好ましくは10重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である範囲が例示される。また、本発明の香料ブースター組成物を、様々な香調の香料組成物又は付香組成物に対して広く適用可能にするという観点からは、本発明の香料ブースター組成物は香料成分を含んでいないことが望ましい。
【0038】
本発明の香料ブースター組成物は、様々な香調の香料を含む香料組成物又は付香組成物に対して添加して使用される。但し、前述するように、上記(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物は、従来から香料成分としても使用されているものであるので、ここで、本発明の香料ブースター組成物の適用対象となる香料組成物又は付香組成物は、上記(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物のみから構成される香料を含むものは除外される。
【0039】
本発明の香料ブースター組成物の適用量については、特に制限されるものではなく、適用対象となる香料組成物又は付香組成物中の香料の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、香料組成物又は付香組成物に含まれる香料成分の総量100重量部に対して、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物の合計量が1〜20重量部、好ましくは1.2〜15重量部、より好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは2.4〜4重量部となる範囲が挙げられる。なお、ここで、香料組成物又は付香組成物に含まれる香料中に(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物が含まれている場合には、上記「香料組成物又は付香組成物に含まれる香料成分の総量100重量部」には、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物以外の香料成分の総量を意味し、更に、上記「(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物の合計量」は、料組成物又は付香組成物に含まれている(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物と、本発明の香料ブースター組成物によって付加された(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物との総量を意味する。
【0040】
また、本発明の香料ブースター組成物の適用対象となる香料組成物又は付香組成物に含まれる香料の種類についても特に制限されるものではないが、本発明の香料ブースター組成物によって香気の持続性の向上効果を一層有効に獲得するという観点から、好ましい香料として、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、マリン香料、石鹸香料、ストロベリー香料、ミント香料、ハーブ香料、カモミール香料、ピーチ香料、レモン香料、ライム香料、及びグレープフルーツ香料;更に好ましい香料として、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、ウォーターマリン香料及び石鹸香料が例示される。特に香気の持続性をより顕著に向上させ得る香料の具体例として、以下の香料が挙げられる:
ラベンダー香料:カンファー、ジヒドロミルセノール、αテルピネオール、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、リモネン、ジシクロペンタジエンアルコール、1,8-シネオール、ゲラニオール、ラバンジンオイル、L-メントール、及びリナロールよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、ラベンダー香料の総量に対して5〜100重量%、特に30〜100重量%含まれているもの。更に好ましくは、ゲラニオール及び/又はリナロールを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、ラベンダー香料の総量に対して10〜70重量%の割合で含まれるもの、更により好ましくは、20〜50重量%の割合で含まれるもの。
オレンジ香料:βピネン、リモネン、γテルピネン、リナロール、l-メントール、ベチベロール、オレンジオイル、メキシカンライムオイル及びcis-3-ヘキセノールよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、オレンジ香料の総量に対して5−100重量%、特に30−100重量%含まれているもの。更に好ましくは、リモネン及びリナロールを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、オレンジ香料の総量に対して10−80重量%の割合で含まれるもの。
ジャスミン香料:エチル-2-メチルブチレート、3-メチル-1-ブタノールアセテート、3-メチル-3-ペンタノール、βピネン、D-リモネン、1-メチル-4-(1-メチルエチル)1,4-シクロヘキサジエン、3,7-ジメチル1,6-オクタジエン-3-オール、酢酸ヘキシルエステル、ベンジルアルコール、cis-ジャスモン、メチルジャスモネート及びcis-3-ヘキシルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、ジャスミン香料の総量に対して5から100重量%、特に30〜100重量%含まれているもの。更に好ましくは、3-メチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル1,6-オクタジエン-3-オール及び酢酸ヘキシルエステルを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、ジャスミン香料の総量に対して10〜50重量%の割合で含まれるもの。
石鹸香料:3-メチル-3-ペンタノール、βミルセン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニルメチルエステル、αテルピネオール、デカナール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-イル-アセテート、及びカリオフィレンよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、石鹸香料の総量に対して5〜100重量%、特に10〜100重量%含まれているもの。更に好ましくは、3-メチル-3-ペンタノール及び3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、石鹸香料の総量に対して40〜90重量%の割合で含まれるもの。
レモン香料:3-メチル-3-ペンタノール、αピネン、オクタノール、リモネン、ユウカリプトール(Eucalyptol)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、酢酸-1-(s)-フェニルエチルエステル、デカナール、及び3,7-ジメチルアセテート-2,6-オクタジエン-1-オールよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、レモン香料の総量に対して5〜100重量%、特に10〜100重量%含まれているもの。更に好ましくは、3-メチル-3-ペンタノール、リモネン及び3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、レモン香料の総量に対して10〜90重量%の割合で含まれるもの。
カモミール香料:エチル-2-メチルブチレート、3-メチル-1-ブタノールアセテート、3-メチル-3-ペンタノール、エチルヘキサネート、2-エチル-1-ヘキサノール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、3,7,7-トリメチル-ビシクロ[4,1,0]ヘプタン、フェンコール、アリルヘプタネート、αメチルベンジルアセテート、酢酸1-フェニルエチルエステル、αテルピネオール、カンフェン(camphene)、2-ヘキセン-1-オール、及び3-ヘキセン-1-オールプロパネートよりなる群から選択される少なくとも1種の香料成分を含むもの;好ましくは当該香料成分が総量で、カモミール香料の総量に対して5〜100重量%、特に10〜100重量%含まれているもの。更に好ましくは、3-メチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール及び3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールを含むもの;より好ましくは、これらの香料成分の合計量が、カモミール香料の総量に対して10〜60重量%の割合で含まれるもの。
【0041】
本発明の香料ブースター組成物は、例えば、後述する香料組成物又は付香組成物を製造するために提供され、これら組成物の原料成分として添加されることにより使用される。
【0042】
更に、本発明の香料ブースター組成物は、そのまま最終製品として流通させてもよい。このように最終製品として流通させる場合には、使用者(消費者)の好みに応じて、香料ブースター組成物の適量が、使用前又は使用中の付香組成物に添加される。
【0043】
2.香料組成物
本発明は、上記香料ブースター組成物及び香料を含む組成物を提供する。即ち、本発明の香料組成物は、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100である香料ブースター(以下、単に(A)成分と表記することもある)、及び香料(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含むことを特徴とするものである。
【0044】
本発明の香料組成物において、香料ブースター(即ち、(A)成分)として使用される(A-1)の化合物と(A-2)の化合物の種類やこれら成分の比率等については、上記「1.香料ブースター組成物」の欄に記載する通りである。
【0045】
また、(A)成分は、従来、香料成分としても使用されているものであるので、本発明の香料組成物において、(B)成分として含まれる香料は、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物以外の香料成分から構成される香料を意味する。
【0046】
また、本発明の香料組成物に含まれる(B)成分については、上記「1.香料ブースター組成物」の欄において、香料ブースター組成物の適用対象として記載した香料組成物に含まれる香料と同様である。即ち、当該(B)成分として、好ましくは、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、マリン香料、石鹸香料、ストロベリー香料、ミント香料、ハーブ香料、カモミール香料、ピーチ香料、レモン香料、ライム香料、及びグレープフルーツ香料が挙げられる。これらの香料の中でも、好ましくは、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、ウォーターマリン香料及び石鹸香料が挙げられ、特に好ましくは、上記「1.香料ブースター組成物」の欄に示す具体的組成のラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、ウォーターマリン香料及び石鹸香料が挙げられる。
【0047】
本発明の香料組成物において、(A)成分と(B)成分の比率についても、上記「1.香料ブースター組成物」の欄に記載の通りである。即ち、上記(B)成分の総量100に対して、上記(A)成分が総量で1〜20重量部、好ましくは1.2〜15重量部、より好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは2.5〜4重量部となる範囲が挙げられる。このようは比率で(A)成分と(B)成分を組み合わせることによって、より効果的に、(B)成分に基づく香気に対して鼻慣れを防止して、使用期間中安定に同質の香気の知覚させることが可能になる。
【0048】
本発明の香料組成物は、(A)成分と(B)成分のみからなるものであってもよく、また本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて更に他の添加成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の香料組成物における上記(A)成分と(B)成分の合計量の割合としては、当該香料組成物の総量当たり、0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜100重量%が挙げられる。このような割合で(A)成分と(B)成分を含むことによって、香料組成物の少量の使用でも、香料組成物としての所望の機能の発現、即ち他の製品への配合による香気の付与が可能になる。
【0049】
本発明の香料組成物に対して、(A)成分と(B)成分以外に配合可能な成分としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、消臭剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、殺虫成分、防虫成分等の成分が挙げられる。これらの各成分の具体例については、上記「1.香料ブースター組成物」の欄に配合可能な成分として例示したものと同様である。
【0050】
本発明の香料組成物は、芳香消臭剤、化粧料、洗浄剤、食品、防虫剤等に配合して、これらに香料による香気を付与するために使用される。
【0051】
3.付香組成物
本発明は、上記香料組成物を含む付香組成物を含む組成物を提供する。即ち、本発明の付香組成物は、(A)成分及び(B)成分を含むことを特徴とするものである。
【0052】
本発明の付香組成物において、上記香料組成物の配合割合としては、香料の種類、付香組成物の用途や形態等に応じて異なるが、例えば、付香組成物の総量に対して、(A)成分及び(B)成分の合計量が、0.01〜50重量%となる割合が挙げられる。より具体的な例として、付香組成物が液状の場合、付香組成物の総量に対する(A)成分及び(B)成分の合計量の割合として、例えば0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%が挙げられる。
【0053】
また、本発明の付香組成物の液状の場合、その液性については、特に制限されないが、香料の持続的な揮散を可能ならしめるという観点から、調製直後(使用前)のpHが6以上、好ましくは6〜12、より好ましくは6〜10、更に好ましくは7〜10に設定されていることが望ましい。
【0054】
本発明の付香組成物に上記液性を備えさせるには、例えば、モノエタノールアミン、ジイソプロノーアルミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸、水酸化ナトリウム、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン)等を適量添加すればよい。
【0055】
本発明の付香組成物の具体例として、芳香消臭剤、化粧料、洗浄剤、食品、防虫剤等が挙げられる。これらの中でも、芳香消臭剤は、その機能の殆どが香料に基づく効果に依存しており、付香組成物の中でも香料の香気に対する知覚が特に重要視されている。このような芳香消臭剤に求められる特性を鑑みれば、本発明の付香組成物として、好ましくは芳香消臭剤が挙げられる。
【0056】
本発明の付香組成物が芳香消臭剤である場合、当該芳香消臭剤は、液状又はゲル状のいずれであってもよいが、好ましくは液状が挙げられる。
【0057】
本発明の付香組成物は、その用途や形態に応じた製造方法に従って調製される。具体的には、本発明の付香組成物は、上記香料組成物の適量を、香気付けが求められる組成物、基材又は担体に配合することにより調製することができる。更に、本発明の付香組成物は、(B)香料を含む付香組成物に適量の(A)成分を配合することによっても、調製することができる。
【0058】
4.香料の香気の持続性の向上方法
前述するように、上記香料ブースター組成物には、香料の香気の持続性を向上せしめる作用がある。従って、本発明は、更に、他の観点から、(B)香料を含む香料組成物又は付香組成物に、(A-1)の化合物及び(A-2)の化合物を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100である香料ブースター組成物を添加することを特徴とする香料の香気の持続性を向上させる方法を提供する。なお、本改善方法は、香料の香気の持続性の増強方法と言い換えることもできる。
【0059】
本方法において、(A-1)の化合物、(A-2)の化合物、及び(B)成分の種類、これらの配合割合や配合比率、香料組成物、付香組成物、香料ブースター組成物等については、前述する通りである。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
試験例1
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さおよび香りのイメージと実際の香りとの適合性について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表1及び2に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例1-1〜1-12及び比較例1-1〜1-3)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。更に、上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例1-2〜1-7及び1-10)1重量部に対して、ストロベリー香料、ミント香料、ハーブ香料、カモミール香料、ピーチ香料、レモン香料、ライム香料、又はグレープフルーツ香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。
【0063】
なお、本試験で使用した各香料の主な組成は、以下の通りである。なお、下記各香料の成分の量の単位%は、香料の総量に対する重量%を示す。
(ラベンダー香料)
カンファー 1%、ジヒドロマイルセノール 7%、α−テルピネオール 7%、4−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート 7%、酢酸リナリル 8%、リモネン 8%、ジシクロペンタジエンアルコール 8%、1,8−シネオール 9%、ゲラニオール 12%、リナロール 33%
(オレンジ香料)
β−ピネン 3%、リモネン 59%、γ−テルピネン 2%、リナロール 27%、l−メントール 2%、ベチベロール 6%、シス−3−ヘキセノール 2%
(ジャスミン香料)
エチル−2−メチルブチレート 2%、3−メチル1−ブタノールアセテート 2%、3−メチル−3−ペンタノール 23%、β−ピネン 1%、D−リモネン 9%、1−メチル4−(1−メチルエチル)−1,4−シクロヘキサジエン 1%、3,7−ジメチル1,6−オクタジエン−3−オール 28%、酢酸ヘキシルエステル 30%、ベンジルアルコール 1%、シス−3−ヘキシニルアセテート 2%
(石鹸香料)
3−メチル3−ペンタノール 44%、β−マイルセン 1%、3,7−ジメチル 1,6−オクタジエン−3−オール 31%、フェニルエチルアルコール 4%、酢酸フェニルメチルエステル 4%、α−テルピネオール 1%、デカノール 1%、3,7−ジメチル6−オクテン−1−オール 3%、3,7−ジメチル1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート 9%
(カモミール香料)
エチル−2−メチルブチレート 4%、3−メチル1−ブタノールアセテート 6%、3−メチル3−ペンタノール 20%、エチルヘキサネート 3%、2,6−ジメチル7−オクテン−2−オール 15%、3,7−ジメチル1,6−オクタジエン−3−オール 21%、3,7,7−トリメチル−ビシクロ[4,1,0]ヘプタン 5%、フェンチオール 1%、オールイルヘプタン 4%、α−メチルベンジルアセテート 7%、酢酸 1−フェニルエチルエステル 1%、α−テルピネオール(p−メチル1−エン−8−オール) 5%、カンフェン 1%、2−ヘキセン−1−オール 1%、3−ヘキセン−1−オールプロパネート 4%
(レモン香料)
3−メチル3−ペンタノール 15%、α−ピネン 9%、オクタンオール 6%、リモネン 19%、ユーカリプトール 8%、3,7−ジメチル1,6−オクタジエン−3−オール 28%、酢酸−1−(s)−フェニルエチルエステル 8%、デカノール 6%、3,7−ジメチル アセテート−2,6−オクタジエン−1−オール 2%
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
【0064】
【表3】

2.液体芳香消臭剤の香りの強度、及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤400mlを、図1に示す芳香脱臭器の容器に収容し、室温(20℃)、湿度45%の条件下で、図1の(b)に示すように、当該芳香脱臭器用容器の揮散部材から液体芳香消臭剤が揮散できる状態にして、揮散開始直後と減量後(減量率70−75%)に、正常な嗅覚を持ち、芳香消臭剤の開発業務を行って約2年以上の経験を有する者10名(男性5名、女性5名)に対して、以下の官能検査の絶対判断法により評価させた。
【0065】
なお、本試験に使用した芳香脱臭器1は、開口部2を有する、液体芳香消臭剤4を収容するための容器3;容器内の液体芳香消臭剤を吸い上げるための吸上部6a及び吸い上げられた液体芳香消臭剤を揮散させるための揮散部6bから構成される吸上揮散部6;容器3の開口部2に蓋締めするためのキャップ7;及びキャップ7に連結され、吸上揮散部6を支持している支持枠8を有している。なお、本試験では、容器3として容量400mlのものを使用し、吸上揮散部6としてパルプ及びレーヨン材から構成されているものを使用した。
<官能検査の絶対判断法>
容積が1000Lのステンレス製官能ボックス内の空気を無臭と感じるまで(通常10〜20分間)換気した後、官能ボックス内に液体芳香消臭剤を整置する。そして、室温(約22℃)にて20分間放置後、ボックス正面の小窓から鼻を近づけ、以下の評価基準に従い、香りの強さ、及び及び香りの質を判定し、10名のそれぞれの結果について平均を出した。
【0066】
香りの強さ
強度2、4および6の香りの強さについて以下の芳香消臭剤の強度を基準とした0から8までの0.5刻みの評価スケールを用いた。
強度2:微香空間ラベンダー(小林製薬株式会社製)
強度4:トイレの消臭元 ラベンダー(小林製薬株式会社製)
強度6:トイレの消臭元 ハーブミント(小林製薬株式会社製)
香りの強さについて10名の平均結果を算出し、揮散開始直後における評価結果と減量後における評価結果との差から以下の基準にしたがって判断した。
(評価基準)
◎:0.15未満
○:0.15以上0.30未満
△:0.3以上0.45未満
×:0.45以上。
【0067】
香りの質
各芳香消臭剤の揮散開始直後と減量後の香りについて、揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤の香りと比較して、香りが同質であるか否かを以下の評価基準に従い評価した。
2・・揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤と全く同質の香りである
1・・揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤とおおよそ同質の香りである
0・・揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤の香りとは僅かに異なるが、それに近い香りである
−1・・揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤の香りとは少し異なる香りである
−2・・揮散開始直後のコントロール液体芳香消臭剤の香りとは明らかに異なる香りである
各香料への適合性について10名の平均結果を算出し、揮散開始直後における評価と減量後における評価との差から以下の表に従って判断した。
(評価基準)
◎ 0.15未満
○ 0.15以上0.30未満
△ 0.3以上0.45未満
× 0.45以上。
【0068】
以上のようにして求めた「香りの強さ」及び「香りの質」の評価結果を以下の表に照合し、香りの持続性について総合評価を行った。
【0069】
【表4】

得られた結果を表5〜9に示す。この結果から、[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1〜1/100で含む香料ブースター組成物(実施例1-1〜1-12)を使用した場合において、香りの強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。これに対して、香料ブースター組成物における[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]の比重が1/1よりも大きい場合、香料ブースター組成物における[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]の比重が1/100よりも小さい場合、及び香料ブースター組成物を配合していない場合には、減量後には、香りの強さが弱く感じ、香料の香気が十分に知覚できなかった。また、これらの場合には、香りの質も低くなった。
【0070】
【表5】

【0071】
【表6】

【0072】
【表7】

【0073】
【表8】

【0074】
【表9】

試験例2
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表10に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0075】
【表10】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例2-1〜2-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、その香りの強さ及び香りの質について評価した。
【0076】
得られた結果を表11及び12に示す。また、実施例2-3の香料ブースター組成物を用いて調製した香料組成物に対する結果のグラフを図2に示す。これらの結果から、[一般式(A-2-4)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20で含む香料ブースター組成物(実施例2-1〜2-7)を使用した場合において、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りの質についても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。これに対して、香料ブースター組成物を配合していない場合には、減量後には、香りの強さが弱く感じ、香料の香気が十分に知覚できなかった。また、これらの場合、香りの質も低くなった。
【0077】
【表11】

【0078】
【表12】

試験例3
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表13に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0079】
【表13】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例3-1〜3-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
【0080】
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
【0081】
2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、鼻慣れについて評価した。
【0082】
得られた結果を表14及び15に示す。また、実施例3-3の香料ブースター組成物を用いて調製した香料組成物の結果を図2に示す。この結果から、[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20で含む香料ブースター組成物(実施例3-1〜3-7)を使用した場合において、上記試験例2の結果と同様に、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。
【0083】
【表14】

【0084】
【表15】

試験例4
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表16に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0085】
【表16】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例4-1〜4-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
【0086】
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。

2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、香りの強さ及び香りの質について評価した。
【0087】
得られた結果を表17及び18に示す。この結果から、[一般式(A-2-6)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20で含む香料ブースター組成物(実施例4-1〜4-7)を使用した場合において、香気の嗜好性及び香気の双方の点で揮散開始直後と減量後で同等であり、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、且つ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。
【0088】
【表17】

【0089】
【表18】

試験例5
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表19に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0090】
【表19】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例5-1〜5-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
【0091】
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
【0092】
2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、香りの強さ及び香りの質について評価した。
【0093】
得られた結果を表20及び21に示す。この結果から、[一般式(A-2-7)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20の重量比で含む香料ブースター組成物(実施例5-1〜5-7)を使用した場合において、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。
【0094】
【表20】

【0095】
【表21】

試験例6
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表22に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0096】
【表22】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例6-1〜6-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
【0097】
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
【0098】
2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、鼻慣れについて評価した。
【0099】
得られた結果を表23及び24に示す。この結果から、[一般式(A-2-3)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20で含む香料ブースター組成物(実施例3-1〜3-7)を使用した場合において、上記試験例2の場合と同様に、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。
【0100】
【表23】

【0101】
【表24】

試験例7
以下の方法に従って、液体芳香消臭剤を調製し、その香りの強さ及び香りの質について、評価を行った。
1.液体芳香消臭剤の調製
<香料ブースター組成物の調製>
表25に示す組成の香料ブースター組成物を調製した。
【0102】
【表25】

<香料組成物の調製>
上記で調製したそれぞれの香料ブースター組成物(実施例7-1〜7-7)1重量部に対して、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、石鹸香料、又はウォーターマリン香料をそれぞれ30重量部混合して、香料組成物を調製した。なお、本試験で使用した各香料は、上記試験例1で使用したものと同様である。
【0103】
<液体芳香消臭剤の調製>
上記で調製した香料組成物を用いて、上記試験例1の表3に示す組成の液体芳香消臭剤を調製した。また、対照として、香料ブースター組成物を配合していない各々の香料を香料組成物として使用して、液体芳香消臭剤(以下、コントロール液体芳香消臭剤と表記する)を調製した。
【0104】
2.液体芳香消臭剤の香りの強さ及び香りの質の評価
上記で調製した液体芳香消臭剤を用いて、上記試験例1と同様の方法で、その香りの強さ及び香りの質について評価した。
【0105】
得られた結果を表26及び27に示す。これらの結果から、[一般式(A-2-2)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を1/1.25〜1/20で含む香料ブースター組成物(実施例7-1〜7-7)を使用した場合において、香気の強さの点で揮散開始直後と減量後で同等であり、また、香りのイメージについても変化しなかったことが確認された。つまり、使用期間の経過に伴って、香りのイメージを一定に保った状態で、かつ香料の香気が十分に知覚できることが確認された。これに対して、香料ブースター組成物を配合していない場合には、減量後には、香りの強さが弱く感じ、香料の香気が十分に知覚できなかった。また、香りのイメージと実際の香りとの適合性が低くなった。
【0106】
【表26】

【0107】
【表27】

試験例8
試験例1に記載の「液体芳香消臭剤の調製」に従って、実施例1-4又は比較例1-1のブースター組成物とラベンダー香料を用いて、液体芳香消臭剤を調製した。各液体芳香消臭剤につきそれぞれ50名のモニターに生活空間の中で使用してもらい、香りの強さを5段階(満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、不満)で評価させた。なお、液体芳香消臭剤は約12帖の部屋に設置し、香りの評価時期は、揮散開始から30日後(減量率:約30%)および60日後(減量率:70%)とした。
【0108】
得られた結果を表28に示す。この結果から[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]を特定比率で含む香料ブースター組成物を使用した場合には、減量率30%および70%の時点で同等であり、香りの強さの衰えを感じることがなく、使用期間の経過に伴って、香料の香気が十分に知覚できることが確認された。これに対して、これに対して、香料ブースター組成物における[一般式(A-2-1)の化合物]/[一般式(A-1-2)の化合物]の比重が1/1よりも大きい場合、減量後、減量後には、香りの強さが弱く感じ、香料の香気が十分に知覚できず、使用者の満足を得ることはできなかった。また、実施例1-4のブースター組成物とラベンダー香料を用いて調製した液体芳香消臭剤のpHをジエタノールアミンでpH9.5に調整しておくことで、評価時期60日後の評価について「満足」の割合を36%にまで高めることができた。
【0109】
【表28】

【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】試験例1〜7において使用した芳香脱臭器用容器を示す斜視図である。(a)は使用前の状態、(b)は使用時の状態を示す図である。
【図2】試験例3における芳香消臭剤の試験結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0111】
1 芳香脱臭器
2 開口部
3 容器
4 液体芳香消臭剤
6 吸上揮散部材
6a 吸上部
6b 揮散部
7 キャップ
8 支持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A-1)一般式(A-1-1)で示される化合物及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物、
【化1】

及び
(A-2)一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物
【化2】

を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100であることを特徴とする、香料ブースター組成物。
【請求項2】
下記の(A)香料ブースター、及び(B)香料を含む、香料組成物:
(A) (A-1)一般式(A-1-1)で示される化合物及び/又は一般式(A-1-2)で示される化合物、
【化3】

並びに
(A-2)一般式(A-2-1)で示される化合物、一般式(A-2-2)で示される化合物、一般式(A-2-3)で示される化合物、一般式(A-2-4)で示される化合物、一般式(A-2-5)で示される化合物、一般式(A-2-6)で示される化合物、及び一般式(A-2-7)で示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物
【化4】

を含み、(A-2)/(A-1)の重量比が1/1〜1/100である香料ブースター。
【請求項3】
(B)成分の総量100に対して、上記(A)成分が総量で1〜20重量部含まれている、請求項2に記載の香料組成物。
【請求項4】
(A-1)の化合物が、(A-1-2)で示される化合物である、請求項2又は3に記載の香料組成物。
【請求項5】
(A-2)の化合物が、一般式(A-2-1)で示される化合物である、請求項2乃至4のいずれかに記載の香料組成物。
【請求項6】
(B)香料が、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、マリン香料、又は石鹸香料である、請求項2乃至5のいずれかに記載の香料組成物。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかに記載の香料組成物を含む、付香組成物。
【請求項8】
付香組成物のpHが6〜12である、請求項7に記載の付香組成物。
【請求項9】
芳香消臭剤である、請求項7又は8に記載の付香組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−214407(P2008−214407A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50874(P2007−50874)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】