説明

駅務機器の集中監視システム

【課題】 駅務機器の監視と制御を行う監視端末を複数設置して複数の駅務機器を集中監視する。
【解決手段】 インターホン子機(31,41,51)が併置された各駅務機器(32,42,43,52,53,54)を撮影するための複数の監視カメラ(33,45,55)と、各インターホン子機、各駅務機器、各監視カメラを制御する監視制御サーバ(15)と、インターホン親機(12,22)が併置され、監視制御サーバを介して各監視カメラの撮影画像を取り込んで表示する複数の監視端末(11,21)とを備え、前記監視端末は、監視制御サーバを介して各監視カメラ、各駅務機器へ操作信号を送信し、制御する機能を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人コーナーに設置された駅務機器の集中監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅に設置された複数の駅務機器の状態を監視するシステムにおいて、各駅に設置された駅務機器の稼働状態を監視カメラで撮影し、撮影した画像を同一画面上の複数のウインドウに同時に表示するものが提案されている(特許文献1)。
また、複数の駅務機器を複数の監視カメラで撮影して分割画面に同時表示し、どれか一つの駅務機器に異常が発生した場合には、その駅務機器の画像を画面全面を利用して表示し、n箇所で異常が発生した場合には、画面をn分割して表示するシステムも提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2000ー251178号公報
【特許文献2】特開平9ー135485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1、特許文献2に提案されているシステムにおいては、1つの画面の分割表示により同時に複数の駅務機器の稼働状態を監視することが可能であるが、駅務機器を操作している顧客との対応をどのようにするのか明らかではない。従来では、分割表示機能を有する監視装置で監視し、係員が別の操作卓を使って駅務機器を制御するのが通例であり、1つの端末装置を使って監視と駅務機器の制御を行うことはなされていない。さらに、監視と駅務機器の制御を行う端末装置を複数設置して顧客の対応を行うシステムも提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、駅務機器の監視と制御を行う監視端末を複数設置して複数の駅務機器を集中監視するシステムを提供することを目的とする。
そのために請求項1の発明は、インターホン子機が併置された各駅務機器を撮影するための複数の監視カメラと、
各インターホン子機、各駅務機器、各監視カメラを管理・制御する監視制御サーバと、
インターホン親機が併置され、監視制御サーバを介して各監視カメラの撮影画像を取り込んで表示する複数の監視端末とを備え、
前記監視端末は、画面上の操作ボタンを操作して監視制御サーバを介して各監視カメラ、各駅務機器へ操作信号を送信し、制御する機能を有していることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記監視端末が、画面上の操作ボタンの操作により、複数の監視カメラの撮影画像を分割表示する監視画面から、特定の監視カメラ撮影画像の表示画面に遷移可能であることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記監視端末が、子機インターホンから問い合わせのあった特定の機器を画面上の操作ボタンで選択し、当該機器の対応画面に遷移可能であることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記監視端末が、遠隔対応精算機表示画面において、券面認証機のカメラで撮影した券面画像を表示し、画面の入金ボタンの操作により必要な精算額を遠隔対応精算機へ送信してセットし、前記遠隔対応精算機はセットされた精算額が入金されたことを条件に精算券を発行する。
請求項5の発明は、改札口に設置された券面認証機のカメラで撮影した券面画像を監視端末に表示し、正当乗車券である場合、監視端末から兼掌ドアを開放する操作信号を送信することを特徴とする。
請求項6の発明は、複数の監視端末が同一の監視カメラ選択時、他の監視端末で制御している場合にはその旨を表示するとともに、画像上の操作ボタンを無効にすることを特徴とする。
請求項7の発明は、他の監視端末の操作により画面が切り替わったとき、他の監視端末で画面切替操作があったことを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、駅務機器の監視と制御を行う監視端末を複数設置し、各監視端末で駅務機器を監視するとともに、必要な場合には駅務機器を制御して顧客に対して迅速かつ的確に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明のシステムの例を説明するブロック構成図、図2は監視端末の表示画面の例を説明する図である。
10は駅長室や事務室等の監視室であり、監視端末11、変換機13を介して接続されたインターホン親機12、改札機監視盤14、監視制御サーバ15が設置され、同様に駅係員が詰める兼掌室20には監視端末21、変換機23を介して接続されたインターホン親機22、改札機監視盤24が設置され、これら監視室、兼掌室に設置された改札機監視盤14、24以外の機器は集中監視LAN(ローカルエリアネットワーク)60に接続され、改札機監視盤14、24は相互に接続されるとともに、駅構内LAN70に接続されて、各コーナーの改札機の状態が監視できるようになっている。
【0007】
一方、駅の各コーナーには駅務機器を監視するための監視カメラが設置されている。例えば、Aコーナーの券売機室(改札口の外側)30には、券売機インターホン(子機インターホン)31が併置された券売機32を監視する券売機監視カメラ33が設置され、改札口40には、改札口インターホン(子機インターホン)41、兼掌ドア(駅係員が立ち会う通路の改札用ドア)42、券面認証機43、改札機44を監視する改札口監視カメラ45が設置され、精算機室(改札口の内側)50には、精算機インターホン(子機インターホン)51が併置された精算機52、券面認証機53が併置された遠隔対応精算機54を監視する精算機監視カメラ55が設置されている。
【0008】
各コーナーの券売機32、精算機52、遠隔対応精算機54は駅構内LAN70に接続されている。また、券売機インターホン31、券売機32は変換機34を介して、改札口インターホン41、兼掌ドア42、券面認証機43は変換機46を介して、精算機インターホン51と精算機52は変換機56を介して、券面認証機53と遠隔対応精算機54は変換機57を介して、それぞれ集中監視LAN60に接続され、券売機監視カメラ33、改札機44、改札口監視カメラ45、精算機監視カメラ55は直接に集中監視LAN60に接続されて集中監視できるようになっている。なお、上記各変換機は、映像信号、音声信号を集中監視LAN対応の信号フォーマットに変換する機能も有している。
【0009】
駅コーナーに設置され、集中監視LAN60に接続された各機器の情報(機器の内容や機器のアドレス、機器の状態等を示す情報)はすべて監視制御サーバ15に取り込まれて管理されている。集中監視LAN60に接続された監視端末11、21は、監視制御サーバ15を介して各監視カメラにアクセス可能であり、アクセスした状態で監視端末を操作することにより、監視カメラの撮影位置(角度)の変更、ズーミング等の制御を行うことができ、監視カメラが撮影した画像データを直接取り込んで画面に表示する。
【0010】
同様に、監視端末11、21は、監視制御サーバ15を介して特定の駅務機器にアクセス可能であり、アクセスした状態で監視端末を操作することにより、当該駅務機器を操作することができる。例えば、改札口インターホン(子機インターホン)41が顧客により操作されると、その子機インターホンのアドレスが監視制御サーバ15で特定され、インターホン親機12、22で顧客と対話可能になる。そして、例えば乗車券が改札機で読み取れない種類の券である場合、券面認証機43にその乗車券をセットしてもらい、券面認証機のカメラで撮影した券面画像を監視端末で見ることにより、正当な乗車券であることが確認できれば監視端末から操作信号を送信して兼掌ドア42のドアを開放する。
【0011】
また、精算機インターホン(子機インターホン)51が顧客により操作されると、その子機インターホンのアドレスが監視制御サーバ15で特定され、インターホン親機12、22で顧客と対話可能になる。この対話により、例えば、顧客の乗車券では金額が不足している場合は、券面認証機53にその乗車券をセットしてもらい、券面認証機のカメラで撮影した券面画像を監視端末で見て不足額を判定し、監視端末から遠隔対応精算機54に対して不足額を送信してセットし、顧客が不足額分を投入すると精算券が発行され、顧客はその精算券により改札機を通ることができる。
【0012】
次に、図2〜図4を参照して監視端末の画面遷移と機器制御について説明する。
監視端末の画面表示は、例えば、図2(a)に示すように、A口改札、B口改札、C口改札、D口改札のように複数の監視カメラ画像を分割画面で表示する。この例では、画面が××駅の監視画面(トップ画面)(2004年○○月××日)であることを示している。監視画面からは顧客対応画面に遷移することができる。例えば、A口2号・3号券売機のインターホンから連絡が入った場合、図2(a)のA口改札の改札口画面にタッチすると、A口券売機画面が表示され、ここで操作ボタンSのA口2号・3号券売機のボタンを操作するとズーミングによりその画面に遷移する。また、操作ボタンSのA口券売機全景のボタンを操作するとA口券売機全景画面となる。この例ではA口2号・3号券売機が選択されていて、画面の上部にA口2号・3号券売機と通話中、対応中であることが表示される。
【0013】
また、監視画面が図2(a)のトップ画面の状態で、例えば、A口改札の精算機インターホン51が顧客により操作されたとき、A口改札の改札口画面にタッチすると、図3(a)に示すA口精算機画面となる。ここで、インターホン親機12または22で顧客と対話し、例えば、顧客の乗車券では金額が不足していて改札を通れない場合、画面上の操作ボタンSのA口遠隔対応精算機の操作ボタンを操作してA口遠隔対応精算機を表示し、このとき、画面上部にはA口遠隔対応精算機と通話中、対応中であることが表示される。そして、インターホンを通しての対話で券面認証機53にその乗車券をセットしてもらうことを要請し、券面認証機のカメラで撮影した券面画像を監視端末に表示し(図3(a))て不足額を判定する。なお、この場合の監視画面には、料金を入力するための数字キーK、金額送信ボタンMも表示され、数字キーKを操作して不足額を入力し、金額送信ボタンMを操作すると監視端末から遠隔対応精算機54に対して不足額が送信されてセットされる。そして顧客がセットされた不足額分を投入すると遠隔対応精算機54から精算券が発行され、顧客はその精算券により改札機を通ることができる。
【0014】
また、トップ画面からは機器異常発生画面に遷移することができる。例えば、A口券売機の中の2号券売機に機器異常が発生したことが知らされ、図2(a)のA口改札の改札口画面にタッチすると、図3(b)に示すA口券売機画面となる。ここで、A口券売機の操作ボタンSの中でA口2号・3号券売機の操作ボタンを操作すると、A口2号・3号券売機が表示され、券売機リスト表示Lの2号券売機の項目に機器異常が表示され、同時に画面上部にA口2号機器に異常が発生したことが表示される。
【0015】
本実施形態では、2台の監視端末11、21を使用しており、基本的には両者に同じ画像が提供されて表示されている。そして、両方の監視端末で同時に同じ駅務機器を制御してしまう不都合を無くすために監視制御サーバでは排他制御を行っている。そのため、図4(a)に示すように、他端末で制御している場合には、画面上部に他端末対応中の表示を行い、同時に操作ボタンSを全て無効とする。この状態では何も操作できないが、画面下部には「TOP」ボタンが表示されており、このボタンを操作することにより「TOP」監視画面に遷移し、この監視画面からは他の監視カメラを選択して画面遷移することができ、この状態では操作ボタンは有効であるので顧客に対応することができる。
【0016】
また、本実施形態では、2台の監視端末で監視と機器の制御を行っているため、例えば、両者が券売機監視カメラ33を選択した場合、カメラは1台のため両方の監視端末に同じ券売機32の画像が送られて表示される。このとき、監視端末11でカメラ角度を変更して画面を切り替えたとすると、監視端末21では何も操作しないのに画像が変化することになり、画面を見ていた係員に奇異な感じを与えてしまう。そこで、このような場合には、図4(b)に示すように、監視端末11側での画面切り替えが原因で画面が変化したことを知らせる表示を一定時間行うようにしている。この場合も操作ボタンSは全て無効であるので、画面下部の「TOP」ボタンを操作して他の監視カメラを選択して画面遷移すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、複数の監視端末を使用し、各監視端末で監視と制御を行うことが可能となり、産業上の利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のシステムの例を説明するブロック構成図である。
【図2】監視端末の表示画面の例を説明する図である。
【図3】監視端末の表示画面の例を説明する図である。
【図4】監視端末の表示画面の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0019】
10…監視室、11,21…監視端末、12,22…インターホン親機、14,24…改札機監視盤、15…監視制御サーバ、20…兼掌室、 30…券売機室、31…券売機インターホン、32…券売機、33…券売機監視カメラ、40…改札口、41…改札口インターホン、42…兼掌ドア、43…券面認証機、44…改札機、45…改札口監視カメラ、50…精算機室、51…精算機インターホン、52…精算機、53…券面認証機、54…遠隔対応精算機、55…精算機監視カメラ、60…集中監視LAN、70…駅構内LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターホン子機が併置された各駅務機器を撮影するための複数の監視カメラと、
各インターホン子機、各駅務機器、各監視カメラを管理・制御する監視制御サーバと、
インターホン親機が併置され、監視制御サーバを介して各監視カメラの撮影画像を取り込んで表示する複数の監視端末とを備え、
前記監視端末は、画面上の操作ボタンを操作して監視制御サーバを介して各監視カメラ、各駅務機器へ操作信号を送信し、制御する機能を有していることを特徴とする駅務機器の集中監視システム。
【請求項2】
前記監視端末は、画面上の操作ボタンの操作により、複数の監視カメラの撮影画像を分割表示する監視画面から、特定の監視カメラ撮影画像の表示画面に遷移可能であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記監視端末は、子機インターホンから問い合わせのあった特定の機器を画面上の操作ボタンで選択し、当該機器の対応画面に遷移可能であることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記監視端末は、遠隔対応精算機表示画面において、券面認証機のカメラで撮影した券面画像を表示し、画面の入金ボタンの操作により必要な精算額を遠隔対応精算機へ送信してセットし、前記遠隔対応精算機はセットされた精算額が入金されたことを条件に精算券を発行することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
改札口に設置された券面認証機のカメラで撮影した券面画像を監視端末に表示し、正当乗車券である場合、監視端末から兼掌ドアを開放する操作信号を送信することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数の監視端末が同一の監視カメラ選択時、他の監視端末で制御している場合にはその旨を表示するとともに、画像上の操作ボタンを無効にすることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
他の監視端末の操作により画面が切り替わったとき、他の監視端末で画面切替操作があったことを表示することを特徴とする請求項6記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−268239(P2006−268239A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83267(P2005−83267)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】