説明

駆動制御装置

【課題】運動伝達機構の経年劣化等を原因として、運動伝達率の値が変動した場合には、実際の運動伝達率に合わせて設定パラメータの値を変更することができると共に、設備の更新や部品交換等により、運動伝達機構が当初の運動伝達率を回復した場合には、直ちに、設定パラメータの値を初期状態へと簡単に復帰させる。
【解決手段】メモリの設定パラメータ格納領域には、運動伝達機構の初期状態及び経年状態に対応する運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納するための第1及び第2の設定パラメータ格納領域が設けられ、それらの領域に格納された設定パラメータを参照することにより、所定の単位変換演算式にしたがって、標準単位系から駆動単位系へと単位変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の駆動装置を介して駆動されるモータ等の動力源から得られる運動を、所定の運動伝達機構(例えば、カム、リンク、ワイヤとプーリー、チェーンとスプロケット等々)を介して位置制御対象となる物体へと伝達し、その物体を指定された位置に移動させると言った位置制御に使用される駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駆動制御装置としては、例えば、位置制御ユニットが組み込まれたビルディングブロック型のプログラマブルコントローラ(以下、「PLC」と言う)を挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
位置制御ユニットを含むビルディングブロック型PLCのリフト装置への応用例を示す模式図が図3に示されている。この応用例にあっては、CPUユニット11と位置制御ユニット12とを含むビルディングブロック型のPLC1によって、位置制御対象となる物体である昇降ベース6が昇降制御される。
【0004】
図において、位置制御の対象となる物体である昇降ベース6は、所定の運動伝達機構を介して動力源であるモータ3に結合されている。運動伝達機構としては、この例では、上下のスプロケット4a,4b間に巻き掛けされたチェーン5が採用されている。
【0005】
すなわち、昇降ベース6は、上部スプロケット4aと下部スプロケット4bとの間に巻き掛けされたチェーン5と一体に結合され、チェーン5の動きにつれて、垂直に支持された昇降ガイド7に案内されつつ昇降動可能とされている。
【0006】
下部スプロケット4bは、モータ3の駆動軸と連動するものであり、モータ3はモータ駆動装置2の制御下にあって、正逆回転方向へと所定量ずつ歩進駆動される。モータ3の回転量ないし回転角度と昇降ベース6の昇降量とは、一定の相関が保たれている。そのため、モータ3の回転量ないし回転角度をモータ駆動装置2を介して制御することで、昇降ベース6の高さ位置をオープンループで制御することができる。
【0007】
モータ駆動装置2は、PLC1に組みこまれた位置制御ユニット12から出力される駆動制御信号を受けて、モータ3を指定された回転量ないし回転角度だけ回転させるように動作する。駆動制御信号としては、正負両極性パルス列、PWM変調パルス列、位相変調パルス例等々のように、様々な信号形式のものが想定されるが、図示例の駆動制御信号は、歩進信号PSと方向信号DSとから構成されている。
【0008】
歩進信号PSには、パルス数(N)とパルス間隔(T)とで規定される複数の歩進パルス列(N1とT1とで規定される第1区間の歩進パルス列、N2とT2とで規定される第2区間の歩進パルス列、N3とT3とで規定される第3区間の歩進パルス列、・・・NnとTnとで規定される第n区間の歩進パルス列)が時系列的に含まれている。
【0009】
方向信号DSは二値信号であって、その論理値は、モータ2を時計回り(CW)に回転させたい時には第1の論理値(例えば、“H”)、反時計回り(CCW)に回転させたい時には第2の論理値(例えば、“L”)となる。
【0010】
歩進信号PSに含まれる歩進パルス1個当たりのモータ回転量ないし回転角度は、モータ駆動回路2によって一定に維持され、その際における回転速度は、パルス間隔(T)により決定され、また回転方向は方向信号DSの論理値により決定され、総回転量ないし回転角度はパルス数(N)により決定される。
【0011】
そのため、歩進信号PSに含まれるパルス数(N)及びパルス間隔(T)と、方向信号DSの論理値とを制御することで、モータ2の回転量、回転速度、及び回転方向、換言すれば、昇降ベース6の昇降量、昇降速度、及び昇降方向を正確に制御できるようになっている。
【0012】
位置制御ユニットの全体構成を示すブロック図が図4に、同ユニットを含むPLC全体の詳細構成図が図5に示されている。
【0013】
図4に示されるように、位置制御ユニット12は、所定のファームウェアとしての機能を実現するためのMPUシステム121と、パルス出力ASIC122と、それらを繋ぐ内部バス123とを含んで構成されている。MPUシステム121は、システム全体を統括するMPU121aと、MPU121aにて実行されるべきシステムプログラムを格納するROM121bと、MPU121aがシステムプログラムを実行する際にワークエリアなどとして使用されるRAM121cと、各種の設定情報(後述する「設定パラメータ」を含む)を格納するためのフラッシュメモリ(FROM)121dとを含んで構成されている。なお、バスインタフェース124は、当該位置制御ユニット12をCPUユニット11へと繋がるユニット間接続バス(図示せず)と接続するためのものである。
【0014】
位置制御ユニットを含むPLC全体の詳細構成図が図5に示されている。同図に示されるように、MPUシステム121(図4参照)により実現されるファームウェア121Fは、指令解析処理部P1と位置制御演算処理部P2とから構成されている。位置制御演算処理部P2には、本発明の要部である単位変換演算処理部P21が含まれている。
【0015】
指令解析処理部P1は、バスインタフェース124を介してCPUユニット121から受け取った、位置制御情報(例えば、目標位置乃至移動量、目標速度、加速時間、減速時間等)を標準単位系(例えば、mm単位)を用いて表現してなる第1の位置制御指令を解析するものである。
【0016】
位置制御演算処理部P2は、位置制御情報(例えば、目標位置乃至移動量、目標速度、加速時間、減速時間等)を標準単位系(例えば、mm単位)を用いて表現してなる第1の位置制御指令に基づいて、モータ駆動装置2に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力すると言った位置制御演算処理を実行する。この例では、第2の位置制御指令は、当該目標位置へ至る一連の区間のそれぞれに対応しかつ駆動単位系(例えば、パルス何個分)で表された区間別移動目標を含む一連の区間別移動指令から構成されている。
【0017】
より詳細には、位置制御演算処理部P2は、加速区間移動量、減速区間移動量、定速区間移動量(図8(a)参照)をそれぞれ駆動単位系ベースで算出すると共に(図7のステップ101〜103参照)、こうして算出された駆動単位系ベースの移動量は、各区間毎に分割されたのち(図8(b)参照)、一連の区間別移動指令として、その後段に位置するパルス出力ASIC122へと一定周期で時系列的に出力される(図7のステップ104,105参照)。ここで、一連の区間別移動指令に含まれる制御情報としては、例えば、歩進パルスの個数、パルス間隔、歩進方向等が存在する。
【0018】
単位変換演算処理部P21は、上述の位置制御演算処理の実行に際して、所定の単位変換演算式にしたがって、標準単位系(例えば、mm単位)から駆動単位系(例えば、パルス何個分)へと単位変換演算を実行する。この標準単位系(例えば、mm単位)から駆動単位系(例えば、パルス何個分)への単位変換演算処理は、所定の書換可能なメモリ(この例では、FROM121d)の設定パラメータ格納領域に格納された単位変換比率生成用の設定パラメータを参照することにより行われる。
【0019】
従来の単位変換演算処理の説明図が図6に示されている。同図に示されるように、単位変換演算処理部P21は、フラッシュメモリ(FROM)121d(図4参照)の設定パラメータ格納領域31,32から、単位変換比率生成用の設定パラメータ(K1),(K2)を読み出すと共に、こうして読み出された設定パラメータ(K1),(K2)を所定の単位変換演算式(1)に代入することにより、単位変換処理を行う。

Y = (K) × X ・・・(1)式

但し、K=(K1/K2)

X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
K:単位変換比率

なお、この例にあっては、単位変換比率(K)は、当該比率(K)の分数表記(K1/K2)における分子(K1)と分母(K2)として、フラッシュメモリ(FROM)121dの設定パラメータ格納領域31,32に格納されている。
【0020】
パルス出力ASIC122は、位置制御演算処理部P2から与えられる一連の区間別移動指令にしたがって、指令されたパルス個数(N)を指令されたパルス間隔(T)で含む歩進信号PSと、歩進方向に対応する論理値を有する歩進方向信号DSとを生成し、これを動力源駆動装置であるモータ駆動装置2へと供給する(図3参照)。
【0021】
今仮に、図3に示されるアプリケーションにおいて、モータ3の時計回り1回転あたり、昇降ベース6が1mm上昇するものとし、歩進信号PS中に1000個の歩進パルスが出力されかつ方向信号DSの論理値が“H”のとき、モータ3が時計回りに1回転するものとすれば、上述の単位変換比率(K)は、次式(2)の通りとなり、

K = K1/K2 = 1000(パルス)/1(mm) ・・・(2)式

設定パラメータ格納領域(31,32)には、設定パラメータ(K1,K2)として、(1000,1)がそれぞれ格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2000−339009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、図3に示されるような、運動伝達機構(図示例では、チェーンとスプロケットで構成される)を含むアプリケーションの場合、運動伝達機構の経年劣化(チェーンの伸びやスプロケットの摩耗等)を原因として、モータ3の1回転当たりの昇降ベース6の昇降量は変化することが経験的に認められる。
【0024】
そのため、従来、この種の位置制御ユニット12においては、実際の運動伝達率に合わせて、上述の単位変換比率(K)を規定する設定パラメータ(K1,K2)の値を書き換えることで、そのような運動伝達機構の経年劣化に対処するのが通例である。
【0025】
しかし、従来の位置制御ユニット12における設定パラメータ格納領域(31,32)は、図6に示されるように、1組しか用意されていなかったため、経年劣化等を原因とする実際の運動伝達率の変動に対処すべく、設定パラメータ(K1,K2)の値を書き換えてしまうと、設備新設時(初期状態)における当初の設定パラメータの値は上書き消去されてしまう。
【0026】
そのため、設備の更新や部品交換等により、モータ3の1回転当たりの昇降ベース6の昇降量(運動伝達率)が当初の値に回復した場合には、再度、当初の設定パラメータ(K1,K2)の値を実際の計測作業等を通じて探し出すために、煩雑な操作が必要であった。
【0027】
勿論、別途、当初の設定パラメータ(K1,K2)の値を何等かの方法で記録又は記憶しておけばよいが、この種の位置制御ユニットにおいては、上述の単位変換比率以外にも多数の設定パラメータが存在するのが通例であるから、仮にそのような記録又は記憶が存在したとしても、それらを探し出して再設定するためには、なおも、煩雑な操作が必要とされると言う問題点があった。
【0028】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、この種の駆動制御装置において、運動伝達機構の経年劣化等を原因として、運動伝達率の値が変動した場合には、実際の運動伝達率に合わせて設定パラメータの値を変更することができると共に、設備の更新や部品交換等により、動力伝達機構が当初の運動伝達率を回復した場合には、直ちに、設定パラメータの値を初期状態へと簡単に復帰ざせることにある。
【0029】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述の「発明が解決しようとする課題」は、以下の構成を有する駆動制御装置によって解決することができるものと考えられる。
【0031】
この発明の駆動制御装置は、モータ等の動力源を駆動する動力源駆動装置と、位置制御の対象となる物体と、前記動力源から得られる運動を前記位置制御の対象となる物体へと伝達する運動伝達機構とを含むアプリケーションにおいて、前記動力源駆動装置における駆動動作を制御するための装置であって、以下の構成を有するものである。
【0032】
すなわち、この駆動制御装置は、標準単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第1の位置制御指令に基づいて、前記動力源駆動装置に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力する位置制御演算処理を実行する位置制御演算処理部と、前記位置制御演算処理部から出力される第2の位置制御指令に基づいて、所定の信号形式を有する駆動制御信号を生成し、これを前記動力源駆動装置へと送出する、又は前記第2の位置制御指令に相当する指令データを生成し、これを通信を介して前記動力源駆動装置へと送出する出力部とを包含している。
【0033】
前記位置制御演算処理部には、前記位置制御演算処理の実行に際して、所定の書換可能なメモリの設定パラメータ格納領域に格納された単位変換比率生成用の設定パラメータを参照して単位変換比率を決定し、所定の単位変換演算式にしたがって、前記標準単位系から前記駆動単位系への単位変換演算を実行する単位変換演算処理部が含まれており所定の書換可能なメモリの設定パラメータ格納領域に格納された単位変換比率生成用の設定パラメータを参照することにより、所定の単位変換演算式にしたがって、前記距離単位系から前記パルス数単位系へと単位変換を行う単位変換演算処理部が含まれている。
【0034】
前記メモリの設定パラメータ格納領域には、前記運動伝達機構の初期状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納するための第1の設定パラメータ格納領域と、前記運動伝達機構の経年状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納するための第2の設定パラメータ格納領域とが設けられている。
【0035】
それにより、前記単位変換演算処理は、前記第1並びに第2の設定パラメータ格納領域に格納された設定パラメータを参照することにより、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率へといつでも復帰させて、距離単位系からパルス数単位系への単位変換を実行可能とされている。
【0036】
このような構成によれば、第1の設定パラメータ格納領域に、前記運動伝達機構の初期状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納する一方、第2の設定パラメータ格納領域に、前記運動伝達機構の経年状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納しておきさえすれば、前記第1並びに第2の設定パラメータ格納領域に格納された設定パラメータを参照することにより、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率へといつでも復帰させて、距離単位系からパルス数単位系への単位変換を実行可能となる。
【0037】
その結果、この種の駆動制御装置において、運動伝達機構の経年劣化等を原因として、単位変換比率の値が変動した場合には、実際の単位変換比率に合わせて設定パラメータの値を変更することができると共に、設備の更新や部品交換等により、運動伝達機構が当初の運動伝達比率を回復した場合には、直ちに、設定パラメータの値を初期状態へと簡単に復帰ざせることができる。
【0038】
上述の歩進駆動用制御装置において、前記所定の単位変換演算式は、

Y=(A)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
A:標準単位系から駆動単位系に変換するときの単位変換比率

とされ、さらに
前記第1の設定パラメータ格納領域には、前記単位変換比率(A)の運動伝達機構の初期状態における値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ
前記第2の設定パラメータ格納領域には、前記変換比率(A)の運動伝達機構の経年状態における値(A2)が設定パラメータとして格納される、ものであってもよい。
【0039】
このような構成によれば、単位変換比率そのものを設定パラメータとして格納しているため、設定パラメータを読み出して所定の単位変換演算式にセットするだけで、目的とする単位変換比率の変更操作を実現することができる。
【0040】
このとき、前記運動伝達機構の初期状態における値(A1)は、当該値(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)として格納され、かつ
前記運動伝達機構の経年状態における値(A2)は、当該値(A2)の分数表記(A21/A22)における分子(A21)と分母(A22)として格納されている、ものであってもよい。
【0041】
このような構成によれば、例えば、「操作端における移動量」と「歩進パルスの個数」との関係と言ったように、理解しやすい2つの数値に基づいて単位変換比率に相当する設定パラメータを求めることができる。
【0042】
このとき、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第2の設定パラメータ格納領域から第1の設定パラメータ格納領域へと変更することにより行われる、ものであってもよい。
【0043】
このような構成によれば、基本設定プログラム上においてメモリの読み出しアドレスを変更することで、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率への復帰が可能となり、ソフトウェア構成が簡素化される。
【0044】
別の一面からみると、上述の歩進駆動用制御装置において、前記所定の単位変換演算式は、

Y=(A1×α)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
A1:単位変換比率の動力伝達機構初期状態における値
α:単位変換比率の動力伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値

とされ、さらに
前記第1の設定パラメータ格納領域には、前記変換比率の運動伝達機構初期状態の値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ
前記第2の設定パラメータ格納領域には、前記変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(α)が設定パラメータとして格納されている、ものであってもよい。
【0045】
このような構成によれば、単位変換比率そのものではなくて、前記変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(α)を格納するものであるから、前記第1の設定パラメータ格納領域に初期状態の値(A1)さえ書き込んでおきさえすれば、あとは、第2の設定パラメータ格納領域から比の値(α)を読み出すだけで、目的とする単位変換比率の変更操作を実現することができる。
【0046】
このとき、前記運動伝達機構初期状態における値(A1)は、当該(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)として格納され、かつ前記動力伝達機構経年状態における値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比の値(α)は、当該(α)の分数表記(α1/α2)における分子(α1)と分母(α2)として格納されている、ものであってもよい。
【0047】
このような構成によれば、例えば、「物体の移動量」と「歩進パルスの個数」との関係と言ったように、理解しやすい2つの数値に基づいて単位変換比率に相当する設定パラメータを求めることができる。
【0048】
このとき、前記経年状態の変換比率から前記初期状態の変換比率への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第1及び第2の双方の設定パラメータ格納領域に固定したままで、第2の設定パラメータ格納領域に格納される比の値(α)だけを「1」に設定変更することにより行われる、ものであってもよい。
【0049】
このような構成によれば、第2の設定パラメータ格納領域に格納される比の値(α)だけを「1」に設定変更するだけでよいことから、設定パラメータ変更操作が容易である利点がある。
【0050】
なお、上述の各装置において、前記設定パラメータのそれぞれには、それが設定された日時を示すデータが付加されていれば、それに基づいて、運動伝達機構の劣化信号状況を観察することで、異常診断が可能となる。
【0051】
別の一面からみると、上述の駆動制御装置は、CPUユニットや入出力ユニット等と共に使用されるビルディングブロック型PLCの1要素ユニットである位置制御ユニットとして構成することもできる。
【0052】
このとき、前記位置制御演算処理部は、前記CPUユニットからユニット間接続バスを介して送られてくる標準単位系で表された位置制御情報を含む第1の位置制御指令に基づいて、前記動力源駆動装置に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力する位置制御演算処理を実行するファームウェアにより構成される。
【0053】
前記出力部は、前記位置制御演算処理部から出力される第2の位置制御指令に基づいて、所定の信号形式を有する駆動制御信号を生成し、これを前記動力源駆動装置へと送出する、又は前記第2の位置制御指令に相当する指令データを生成し、これを通信を介して前記動力源駆動装置へと送出するASICにより構成される。
【0054】
このとき、前記設定パラメータの格納される書換可能なメモリは、当該位置制御ユニットに内蔵されており、かつCPUユニットに接続されたツール装置又は所定の命令語を含むユーザプログラムの実行を介して設定パラメータの書き換えが可能とされている、ものであってもよい。
【0055】
このような構成によれば、単位変換比率の変更に必要な設定パラメータは、常に、位置制御ユニットと一体に移動することとなり、設定パラメータの管理が容易となる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、この種の駆動制御装置において、運動伝達機構の経年劣化等を原因として、運動伝達率の値が変動した場合には、実際の運動伝達率に合わせて単位変換比率決定のための設定パラメータの値を変更することができると共に、設備の更新や部品交換等により、運動伝達機構が当初の運動伝達率を回復した場合には、直ちに、単位変換比率決定のため設定パラメータの値を初期状態へと簡単に復帰ざせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の単位変換演算処理の説明図(その1)である。
【図2】本発明の単位変換演算処理の説明図(その2)である。
【図3】位置制御ユニットを含むPLCの応用例を示す説明図である。
【図4】位置制御ユニットの全体構成を示すブロック図(その1)である。
【図5】CPUユニットと位置制御ユニットとの関係を示す機能構成図(その2)である。
【図6】従来の単位変換演算処理の説明図である。
【図7】位置制御ユニット内のMPU処理を示すフローチャート(その1)である。
【図8】位置制御ユニット内のMPU処理の説明図である。
【図9】位置制御ユニットの全体構成を示すブロック図(その2)である。
【図10】CPUユニットと位置制御ユニットとの関係を示す機能構成図(その2)である。
【図11】位置制御ユニット内のMPU処理を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下に、本発明に係る歩進駆動用制御装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0059】
本発明の駆動制御装置を位置制御ユニット12として構成した場合における単位変換演算処理の説明図(その1)が図1に示されている。
【0060】
先に図3〜図8を参照して説明したように、この位置制御ユニット12は、供給される駆動制御信号(歩進信号PS及び方向信号DS)にしたがってモータを歩進駆動させるモータ駆動装置(本発明の動力源駆動装置に相当)2と、位置制御の対象となる物体である昇降ベース6と、モータ3から得られる回転運動を昇降ベース6へと伝達する運動伝達機構(図示例では、スプロケットとチェーン都で構成)とを含むアプリケーションにおいて、モータ駆動装置2に対して駆動制御信号(歩進信号PS及び方向信号DS)を供給するものである。
【0061】
すなわち、この位置制御ユニット12は、先に図5を参照して説明したように、CPUユニット11に繋がるユニット間バスとのインタフェースとして機能するバスI/F部124と、バスI/F部124を介して与えられる各種の指令を処理するファームウェア121Fと、ファームウェア121Fから出力される指令に対応して動作するパルス出力ASIC122とを備えている。
【0062】
指令解析処理部P1は、CPUユニット11から到来する各種の指令を解析するものであり、特に、この発明と関連する機能としては、標準単位系(例えば、mm単位系)を用いて表された目標位置を含む位置制御指令を解析して取得するように構成されている。
【0063】
位置制御演算処理部P2は、位置制御情報(例えば、目標位置乃至移動量、目標速度、加速時間、減速時間等)を標準単位系(例えば、mm単位)を用いて表現してなる第1の位置制御指令に基づいて、モータ駆動装置2に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力すると言った位置制御演算処理を実行する。この例では、第2の位置制御指令は、当該目標位置へ至る一連の区間のそれぞれに対応しかつ駆動単位系(例えば、パルス何個分)で表された区間別移動目標を含む一連の区間別移動指令から構成されている。
【0064】
より詳細には、位置制御演算処理部P2は、加速区間移動量、減速区間移動量、定速区間移動量(図8(a)参照)をそれぞれ駆動単位系ベースで算出すると共に(図7のステップ101〜103参照)、こうして算出された駆動単位系ベースの移動量は、各区間毎に分割されたのち(図8(b)参照)、一連の区間別移動指令として、その後段に位置するパルス出力ASIC122へと一定周期で時系列的に出力される(図7のステップ104,105参照)。ここで、一連の区間別移動指令に含まれる制御情報としては、例えば、歩進パルスの個数、パルス間隔、歩進方向等が存在する。
【0065】
単位変換演算処理部P21は、上述の位置制御演算処理の実行に際して、所定の単位変換演算式にしたがって、標準単位系(例えば、mm単位)から駆動単位系(例えば、パルス何個分)へと単位変換演算を実行する。この標準単位系(例えば、mm単位)から駆動単位系(例えば、パルス何個分)への単位変換演算処理は、所定の書換可能なメモリ(この例では、FROM121d)の設定パラメータ格納領域に格納された単位変換比率生成用の設定パラメータを参照することにより行われる。
【0066】
フラッシュメモリ(FROM)121dの設定パラメータ格納領域には、運動伝達機構の初期状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータ(A11,A12)を格納するための第1の設定パラメータ格納領域(41,42)と、運動伝達機構の経年状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータ(A21,A22)を格納するための第2の設定パラメータ格納領域(51,52)とが設けられている。
【0067】
そのため、単位変換演算処理部P21は、第1並びに第2の設定パラメータ格納領域(41,42,51,52)に格納された設定パラメータ(A11,A12,A21,A22)を参照することにより、経年状態の単位変換比率(A2)から初期状態の単位変換比率(A1)へといつでも復帰させて、距離単位系からパルス数単位系への単位変換を実行可能とされている。
【0068】
そのため、第1の設定パラメータ格納領域(41,42)に、運動伝達機構の初期状態における運動伝達率に対応する単位変換比率(A1)の生成に必要な設定パラメータ(A11,A12)を格納する一方、第2の設定パラメータ格納領域(51,52)に、運動伝達機構の経年状態における運動伝達率に対応する単位変換比率(A2)の生成に必要な設定パラメータ(A21,A22)を格納しておきさえすれば、第1並びに第2の設定パラメータ格納領域(41,42,51,52)に格納された設定パラメータ(A11,A12,A21,A22)を参照することにより、経年状態の単位変換比率(A2)から初期状態の単位変換比率(A1)へといつでも復帰させて、距離単位系からパルス数単位系への単位変換を実行可能となる。
【0069】
その結果、この種の駆動制御装置において、運動伝達機構の経年劣化等を原因として、運動伝達率の値が変動した場合には、実際の運動伝達率に合わせて設定パラメータの値を変更することができると共に、設備の更新や部品交換等により、運動伝達機構が当初の運動伝達率を回復した場合には、直ちに、設定パラメータの値を初期状態へと簡単に復帰ざせることができる。このとき、経年状態の単位変換比率から初期状態の単位変換比率への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第2の設定パラメータ格納領域から第1の設定パラメータ格納領域へと変更するだけで行うことができるから、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率への復帰が可能となり、ソフトウェア構成が簡素化される。
【0070】
図1の例にあっては、上述の所定の単位変換演算式としては、

Y=(A)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
A:標準単位系から駆動単位系に変換するときの単位変換比率

が採用されている。
【0071】
そして、第1の設定パラメータ格納領域(41,42)には、単位変換比率(A)の運動伝達機構の初期状態における値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ第2の設定パラメータ格納領域(51,52)には、前記変換比率(A)の運動伝達機構の経年状態における値(A2)が設定パラメータとして格納される。
【0072】
このような構成によれば、単位変換比率そのものを設定パラメータとして格納しているため、設定パラメータを読み出して所定の単位変換演算式にセットするだけで、目的とする単位変換比率の変更操作を実現することができる。
【0073】
より詳細には、運動伝達機構の初期状態における値(A1)は、当該値(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)として分離され、分子については設定パラメータ格納領域41に、分母については設定パラメータ格納領域42に格納される。同様にして、運動伝達機構の経年状態における値(A2)は、当該値(A2)の分数表記(A21/A22)における分子(A21)と分母(A22)として分離され、分子については設定パラメータ格納領域51に、分母については設定パラメータ格納領域52に格納される。
【0074】
このような構成によれば、例えば、「物体の移動量」と「歩進パルスの個数」との関係と言ったように、理解しやすい2つの数値に基づいて単位変換比率に相当する設定パラメータを求めることができる。
【0075】
本発明の単位変換処理演算処理の説明図(その2)が図2に示されている。この例にあっては、所定の単位変換演算式は、

Y=(A1×α)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:パルス数単位系で表されたデータ
A1:単位変換比率の運動伝達機構初期状態における値
α:単位変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値

とされている。
【0076】
この例にあっては、第1の設定パラメータ格納領域(61,62)には、単位変換比率の運動伝達機構初期状態の値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ第2の設定パラメータ格納領域(71,72)には、単位変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(補正係数)(α)が設定パラメータとして格納されている。
【0077】
このような構成によれば、単位変換比率そのものではなくて、変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(補正係数)(α)を格納するものであるから、第1の設定パラメータ格納領域(61,62)に初期状態の値(A1)さえ書き込んでおきさえすれば、あとは、第2の設定パラメータ格納領域(71,72)から比の値(α)を読み出すだけで、目的とする単位変換比率の変更操作を実現することができる。
【0078】
さらに詳細には、運動伝達機構初期状態における値(A1)は、当該(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)とに分離され、分子(A11)については設定パラメータ格納領域61に、分母(A12)については設定パラメータ格納領域62に格納され、かつ運動伝達機構経年状態における値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比の値(補正係数)(α)は、当該(α)の分数表記(α1/α2)における分子(α1)と分母(α2)とに分離され、分子(α1)については設定パラメータ格納領域71に、分母(α2)については設定パラメータ格納領域72に格納されている。
【0079】
このような構成によれば、例えば、「物体の移動量」と「歩進パルスの個数」との関係と言ったように、理解しやすい2つの数値に基づいて単位変換比率に相当する設定パラメータを求めることができる。
【0080】
このとき、経年状態の変換比率(A2)から初期状態の変換比率(A1)への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第1(61,62)及び第2(71,72)の双方の設定パラメータ格納領域に固定したままで、第2の設定パラメータ格納領域(71,72)に格納される比の値(α)だけを「1」に設定変更することにより行うことができる。
【0081】
このような構成によれば、第2の設定パラメータ格納領域に格納される比の値(α)だけを「1」に設定変更するだけでよいことから、設定パラメータ変更操作が容易である利点がある。
【0082】
なお、上述の各装置において、前記設定パラメータのそれぞれには、それが設定された日時を示すデータが付加されていれば、それに基づいて、運動伝達機構の劣化信号状況を観察することで、異常診断が可能となる。
【0083】
なお、以上の実施形態にあっては、本発明の駆動制御装置をビルディングブロック型PLCの処理全体の位置制御ユニットとして構成したが、本発明は、PLC以外にもその他様々な形態の駆動制御に応用できることは勿論である。
【0084】
また、以上の実施形態の説明では、出力部として、パルス出力ASIC122を採用することにより、第2の位置制御指令に基づいて、歩進信号PSと方向信号DSとからなる駆動信号を出力するように構成したが、これに代えて、図9〜図11に示されるように、出力部として通信用ASICを採用することにより、第2の位置指令に基づいて、対応する位置指令データを生成し、これをシリアル通信を介してモータ駆動装置22へと送信するようにしてもよい。この場合には、モータ駆動装置2の側に受信回路を内蔵すると共に、第2の位置指令から駆動制御信号への変換処理は、モータ駆動装置2の側で行うこととなる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の駆動制御装置は、ビルディングブロック型PLCの一要素ユニットである位置制御ユニットとして応用することで、動力伝達機構の経年劣化状態から初期状態への変更を迅速に成し遂げることが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1 PLC
2 モータ駆動装置
3 モータ(M)
4a 上部スプロケット
4b 下部スプロケット
5 チェーン
6 昇降ベース
7 昇降ガイド
11 CPUユニット
12 位置制御ユニット
121 MPUシステム
121a MPU
121b ROM
121c RAM
121d フラッシュメモリ(FROM)
121F ファームウェア
122 パルス出力ASIC
122A 通信用ASIC
123 内部バス
124 バスI/F部
P1 指令解析処理部
P2 位置制御演算処理部
P21 単位変換演算処理部
PS 歩進信号
DS 方向信号
31 設定パラメータ(分子)格納領域(従来例)
32 設定パラメータ(分母)格納領域(従来例)
41 第1の設定パラメータ(分子)格納領域(本発明)
42 第1の設定パラメータ(分母)格納領域(本発明)
51 第2の設定パラメータ(分子)格納領域(本発明)
52 第2の設定パラメータ(分母)格納領域(本発明)
61 第1の設定パラメータ(分子)格納領域(本発明)
62 第1の設定パラメータ(分母)格納領域(本発明)
71 第2の設定パラメータ(分子)格納領域(本発明)
72 第2の設定パラメータ(分母)格納領域(本発明)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ等の動力源を駆動する動力源駆動装置と、位置制御の対象となる物体と、前記動力源から得られる運動を前記位置制御の対象となる物体へと伝達する運動伝達機構とを含むアプリケーションにおいて、前記動力源駆動装置における駆動動作を制御するための駆動制御装置であって、
標準単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第1の位置制御指令に基づいて、前記動力源駆動装置に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力する位置制御演算処理を実行する位置制御演算処理部と、
前記位置制御演算処理部から出力される第2の位置制御指令に基づいて、所定の信号形式を有する駆動制御信号を生成し、これを前記動力源駆動装置へと送出する、又は前記第2の位置制御指令に相当する指令データを生成し、これを通信を介して前記動力源駆動装置へと送出する出力部とを包含し、
前記位置制御演算処理部には、
前記位置制御演算処理の実行に際して、所定の書換可能なメモリの設定パラメータ格納領域に格納された単位変換比率生成用の設定パラメータを参照して単位変換比率を決定し、所定の単位変換演算式にしたがって、前記標準単位系から前記駆動単位系への単位変換演算を実行する単位変換演算処理部が含まれており、
前記メモリの設定パラメータ格納領域には、
前記運動伝達機構の初期状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納するための第1の設定パラメータ格納領域と、
前記運動伝達機構の経年状態における運動伝達率に対応する単位変換比率の生成に必要な設定パラメータを格納するための第2の設定パラメータ格納領域とが設けられ、
それにより、前記単位変換演算処理部は、前記第1並びに第2の設定パラメータ格納領域に格納された設定パラメータを参照することにより、前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率へといつでも復帰させて、標準単位系から駆動単位系への単位変換演算を実行可能とされている、ことを特徴とする駆動制御装置。
【請求項2】
前記所定の単位変換演算式が、

Y=(A)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
A:標準単位系から駆動単位系に変換するときの単位変換比率

とされ、さらに
前記第1の設定パラメータ格納領域(41,42)には、前記単位変換比率(A)の運動伝達機構の初期状態における値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ
前記第2の設定パラメータ格納領域(51,52)には、前記単位変換比率(A)の運動伝達機構の経年状態における値(A2)が設定パラメータとして格納される、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記運動伝達機構の初期状態における値(A1)は、当該値(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)として格納され、かつ
前記運動伝達機構の経年状態における値(A2)は、当該値(A2)の分数表記(A21/A22)における分子(A21)と分母(A22)として格納されている、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第2の設定パラメータ格納領域から第1の設定パラメータ格納領域へと変更することにより行われる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記所定の単位変換演算式が、

Y=(A1×α)×X

ただし、X:標準単位系で表されたデータ
Y:駆動単位系で表されたデータ
A1:単位変換比率の運動伝達機構初期状態における値
α:単位変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(補正係数)

とされ、さらに
前記第1の設定パラメータ格納領域には、前記変換比率の運動伝達機構初期状態の値(A1)が設定パラメータとして格納され、かつ
前記第2の設定パラメータ格納領域には、前記変換比率の運動伝達機構経年状態の値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比(A2/A1)の値(α)が設定パラメータとして格納されている、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記運動伝達機構初期状態における値(A1)は、当該(A1)の分数表記(A11/A12)における分子(A11)と分母(A12)として格納され、かつ
前記運動伝達機構経年状態における値(A2)の初期状態の値(A1)に対する比の値(α)は、当該(α)の分数表記(α1/α2)における分子(α1)と分母(α2)として格納されている、ことを特徴とする請求項5に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記経年状態の単位変換比率から前記初期状態の単位変換比率への復帰は、設定パラメータの読み出し先を第1及び第2の双方の設定パラメータ格納領域に固定したままで、第2の設定パラメータ格納領域に格納される比の値(α)だけを「1」に設定変更することにより行われる、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記設定パラメータのそれぞれには、それが設定された日時を示すデータが付加されている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の駆動制御装置。
【請求項9】
CPUユニットや入出力ユニット等と共に使用されるビルディングブロック型PLCの1要素ユニットである位置制御ユニットとして構成され、
前記位置制御演算処理部は、
前記CPUユニットからユニット間接続バスを介して送られてくる標準単位系で表された位置制御情報を含む第1の位置制御指令に基づいて、前記動力源駆動装置に固有な駆動単位系を用いて位置制御情報を表現してなる第2の位置制御指令を生成出力する位置制御演算処理を実行するファームウェアにより構成され、
前記出力部は、前記位置制御演算処理部から出力される第2の位置制御指令に基づいて、所定の信号形式を有する駆動制御信号を生成し、これを前記動力源駆動装置へと送出する、又は前記第2の位置制御指令に相当する指令データを生成し、これを通信を介して前記動力源駆動装置へと送出するASICにより構成される、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の駆動制御装置。
【請求項10】
前記設定パラメータの格納される書換可能なメモリは、当該位置決め制御ユニットに内蔵されており、かつCPUユニットに接続されたツール装置又は所定の命令語を含むユーザプログラムの実行を介して設定パラメータの書き換えが可能とされている、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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