説明

駐車場管制システム

【課題】入出庫の自動判定を行うことができる駐車場管制システムを提供する。
【解決手段】車両に搭載され、一意の識別情報が付与された車載器と、機械式駐車場の敷地内に設置され、車載器との間で無線通信を行うことにより、識別番号を読み取る識別番号読み取り手段と、識別情報毎に、機械式駐車場の入庫呼出禁止フラグを記憶する手段と、機械式駐車場から車両が出庫したことを検出する手段と、車両が機械式駐車場の敷地外に出たことを検出する手段と、車両が出庫したことを検出した場合に、該車両の識別情報に対する入庫呼出禁止フラグをセットし、車両が機械式駐車場の敷地外に出たことを検出した場合に、該車両の識別情報に対する入庫呼出禁止フラグをリセットする手段と、識別番号読み取り手段により読み取られた識別番号の入庫呼出禁止フラグがリセット状態であれば機械式駐車場の入庫呼出を行う手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場管制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による駐車場では、入出庫各々に対して専用車線、ゲート装置などを設け、物理的に分離することで入出庫の区別を行わなければならないため、入出庫車線数や出入口数に制約が多く、敷地のレイアウトによっては、車両のスムーズな出し入れに支障をきたすことになる。このような問題を解決するために、駐車場内のゲートをノンストップにして渋滞を緩和するとともに、駐車場を利用する都度、現金決済をしなくて済むようにするために、特定者ID情報を記録した情報記録媒体を内蔵するETC車載器を搭載して入庫される車両と無線で交信して入庫及び出庫を認識して利用料金を算出して、利用料金の決済を決済処理機関にて行う車両駐車管理システムが知られている。このシステムによれば、車両の入出庫管理を無線によりノンストップで行うことができるので、入出庫がスムースに運び、渋滞の軽減によりCO排出量を削減できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−157616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の駐車場管理システムにおいて、車両の入出庫の管理を行う場合には、ゲート周辺に、安全対策として車両検知のためのループコイルや光電センサなどを複数配置し、入/出庫注意灯の点灯制御を行うのが一般的であるが、車両の走行方向を判別できないため、車線毎に設置しなければならない。また、走行速度によっては、検知できないこともあり、複数設置して検知精度を高める対策が必須であり駐車場管理システム設置コストが増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、入出庫の自動判定を行うことができる駐車場管制システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に搭載され、一意の識別情報が付与された車載器と、機械式駐車場の敷地内に設置され、前記車載器との間で無線通信を行うことにより、前記識別番号を読み取る識別番号読み取り手段と、前記識別情報毎に、前記機械式駐車場の入庫呼出禁止フラグを記憶する記憶手段と、前記機械式駐車場から車両が出庫したことを検出する出庫検出手段と、前記車両が前記機械式駐車場の敷地外に出たことを検出する敷地外出検出手段と、前記出庫検出手段により前記車両が出庫したことを検出した場合に、該車両の前記識別情報に対する前記入庫呼出禁止フラグをセットし、前記敷地外出検出手段により前記車両が前記機械式駐車場の敷地外に出たことを検出した場合に、該車両の前記識別情報に対する前記入庫呼出禁止フラグをリセットする管制手段と、前記識別番号読み取り手段により読み取られた前記識別番号の前記入庫呼出禁止フラグがリセット状態であれば前記機械式駐車場の入庫呼出を行う入庫呼出処理手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両が駐車場から退出するまでの間、場内の走行ルートや滞留時間に制約を設けなくて済むという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】車両入庫時の動作を示す説明図である。
【図3】車両入庫時の動作を示すフローチャートである。
【図4】車両出庫時の動作を示す説明図である。
【図5】車両出庫時の動作を示すフローチャートである。
【図6】入庫呼出専用アンテナ受信信号による入出庫判定処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による駐車場管制システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号11、12は、それぞれタワー式の駐車場(以下、タワーパーキングと称し、図面においてはTPと図示する)である。符号13、14は、タワーパーキング11、12のそれぞれを操作する操作盤であり、使用者が操作を行う。符号15、16は、操作盤13、14のそれぞれに接続され、タワーパーキング11、12のそれぞれに駐車されている車両の情報を記憶する在庫情報記憶部である。
【0010】
符号21は、2棟のタワーパーキング11、12を統括して制御する駐車場管制装置であり、液晶モニタを備えている。符号22は、操作用パーソナルコンピュータ(PC)であり、液晶モニタを備えている。符号23は、使用者が携帯するICカードに記憶されている情報を読み出すカードリーダーである。符号24は、ICカードに記憶されている情報に相当する数値列を入力するテンキーであり、使用者がICカードを携帯するのを忘れた時に対応するものである。
【0011】
符号31、32、33、34は、2棟のタワーパーキング11、12の敷地の出入口に設置されるDSRC(Dedicated Short Range Communication;専用狭域通信)アンテナである。符号4は、駐車場管制制御装置2と他の装置との間で情報の入出力を行って他の装置の制御を行うリモート制御装置である。駐車場管制装置21、操作用PC22、4つのDSRCアンテナ、リモート制御装置4は、ローカルエリアネットワークNによって接続されている。
【0012】
符号51、52は、歩行者向けに車両の出庫時に警告するための出庫警告灯であり、2棟のタワーパーキング11、12の入出庫口に設けられる。符号61、62は、車両注意灯である。符号71は、タワーパーキング11、12それぞれの車両出入口に設けられているシャッターであり、夜間などに閉めておくものである。符号72は、シャッター71の開閉を制御する制御する制御盤である。
【0013】
なお、図1においては、2棟のタワーパーキングを示したが、3棟以上であってもよい。また、図1においては、タワー式の駐車場を示したが、駐車場の形式は、機械式駐車場であればどのような形式の駐車場であってもよく、例えば、パズル式、地下式、多段式等の機械式駐車場であってもよい。
【0014】
次に、図1に示す駐車場管制システムを使用する前に、行うべき処理動作について説明する。図1に示すタワーパーキング11、12は、例えば、企業の職場付近に設けられており、従業員が使用する社用車を駐車するのに使用するものである。従業員は、それぞれ社員番号が書き込まれたICカードを携帯している。また、タワーパーキング11、12に駐車する車両の全てに、ETC(Electronic Toll Collection System)車載器、またはDSRC(Dedicated Short Range Communication)車載器(以下、車載器という)が搭載されているものとする。社用車の利用者は、予め車載器を一意に識別可能な車載器ID、車両を駐車するべきタワーパーキング11、12のパレット番号、ICカードに記憶された社員番号と、ICカードの番号とを関係付けて、駐車場管制制御装置2内の登録車両マスタデータベース(図示せず)に登録しておく。パレット番号は、2つあるタワーパーキングのうち、1つを特定する識別番号(TP番号)とそのタワーパーキングのパレットの番号(車室番号)とからなる。
【0015】
次に、図2、3を参照して、図1に示す駐車場管制システムにおける車両入庫時の処理動作を説明する。まず、車両が駐車場入口に到着し、DSRCアンテナ31の検知エリア内に入ると(図2(1))、DSRCアンテナ31により、車載器IDを受信し、駐車場管制装置2は、受信した車載器IDの認証を行い、認証された場合には、入庫呼出禁止フラグをoffにして、受信した車載器IDと関係付けて登録車両マスタデータベースに記憶する(ステップS1)。そして、駐車場管制装置2は、シャッターが閉まった状態であるか否かを判定し(ステップS2)、閉まっていればシャッター制御盤72に対して開信号を送信する。これにより、シャッター71が開く(図2(1))。運転者は、出庫車両がないことを確認し、徐行運転により駐車場敷地内に進入する(図2(2))。このとき、車両注意灯61、62は、いずれも青が点灯し、進入可能であることを示す。
【0016】
次に、車両がDSRCアンテナ32(入庫呼出専用アンテナ)の検知エリアに入ると、DSRCアンテナ32により、車載器IDを受信し、駐車場管制装置2は、受信した車載器IDの認証を行い、認証された場合には、入庫呼出を行うか否かの判定処理を行う。ここで、図6を参照して、入庫呼出を行うか否かの判定処理動作について説明する。図6は、入庫呼出を行うか否かの判定処理動作を示すフローチャートである。まず、駐車場管制装置2は、車載器IDを受信すると(ステップS21)、受信した車載器IDが登録車であるか否かを判定し(ステップS22)、登録車であれば、登録車両マスタデータベースから、受信した車載器IDに関係付けられた入庫呼出禁止フラグ情報を取得する(ステップS23)。そして、駐車場管制装置2は、取得した入庫呼出禁止フラグがoffであるか否かを判定する(ステップS24)。この判定の結果、入庫呼出禁止フラグがonであれば出庫であると判断し、入庫呼出を行わない。一方、入庫呼出禁止フラグがoffであれば、入庫であると判断し、タワーパーキング11、12に対して入庫呼出処理を実行する(ステップS25)。
【0017】
図2、3に示す例では、入庫呼出禁止フラグがoffであるので、入庫であると判断し、駐車場管制装置2は、入庫呼出手続きを行い待ち行列に追加する(ステップS4)。そして、駐車場管制装置2は、車載器IDからTP番号と車室番号を特定し、入庫呼出を送信する(ステップS6)。運転者は、車両をタワーパーキング11前まで移動させ、操作盤13の表示内容(入庫中車室番号)を確認し(図2(3))、車両を入庫し(図2(4))、降車して、操作盤13を操作して、安全ゲートを閉める。駐車場管制装置2は、タワーパーキング11の安全ゲート閉信号を受信する(ステップS7)と、入庫完了となる。運転者は、ICカードをカードリーダ23にかざして入館する(図2(6))。
【0018】
次に、図4、5を参照して、図1に示す駐車場管制システムにおける車両出庫時の処理動作を説明する。まず、運転者がICカードをカードリーダ23にかざすと(図4(1))、駐車場管制装置2は、カードIDを受信し、認証を行う(ステップS11)。カードIDが認証されると、駐車場管制装置2は、出庫呼出手続きを行い、待ち行列へ追加する(ステップS12)。そして、駐車場管制装置2は、カードIDからTP番号と車室番号を特定し、出庫呼出を送信する(ステップS13)とともに、車両注意灯61(タワーパーキング11の注意灯)を赤で点灯(出庫中)する(ステップS14)。運転者は、タワーパーキング11前まで移動し、操作盤13の表示内容(出庫中車室番号)を確認する(図4(2)。そして、車両に乗車して出庫し(図4(3))、操作盤13を操作して、安全ゲートを閉める(図4(4)、(5))。
【0019】
次に、駐車場管制装置2は、タワーパーキング11の安全ゲート閉信号を受信すると、入庫呼出禁止フラグをonにする(ステップS15)。車両が移動してDSRCアンテナ32(入庫呼出専用アンテナ)の検知エリアに入ると、DSRCアンテナ32により、車載器IDを受信し、駐車場管制装置2は、受信した車載器IDの認証を行い、認証された場合には、入庫呼出を行うか否かの判定処理を行う(ステップS16)。ここでは、図6に示す処理動作によって、入庫呼出を行うか否かの判定処理を行う。ここでは、入庫呼出禁止フラグがonであるので、入庫呼出は行わない。駐車場管制装置2は、出庫警告灯51の点灯指示を送信し(ステップS17)、車両注意灯61を青で点灯する(ステップS18)。そして、車両がさらに移動して、DSRC31の検知エリアに入ると(図4(6))、DSRCアンテナ31により、車載器IDを受信し、駐車場管制装置2は、受信した車載器IDの認証を行い、認証された場合には、入庫呼出禁止フラグをoffにして、受信した車載器IDと関係付けて登録車両マスタデータベースに記憶する(ステップS19)。続いて、駐車場管制装置2は、出庫警告灯51の消灯指示を送信する(ステップS20)。
【0020】
このように、駐車場内へDSRCアンテナを設置し、車載器のユニークな車載器IDを読み取り、ゲートを設置せずかつ車線分離なしに、自動的に入出庫判定を行い、シャッター連動制御、立体駐車場連動制御を実施する駐車場システムにおいて、タワーパーキングへの入庫時は、入庫呼出専用DSRCアンテナにて車載器IDを取得し、タワーパーキングのパレットを自動呼出しするようにした。1つのDSRCアンテナでは、車両の走行方向を判定できないため、タワーパーキングから出庫した車両の状態を上位の装置にて管理して解決する。具体的には、TP出庫完了時から駐車場外へ退出する間に、DSRCアンテナを通過しても入庫呼出しを実行しないよう「入庫呼出禁止フラグ」を設け、これを登録車両毎に記憶して管理する。車両毎にタワーパーキング出庫完了時に、このフラグ情報をセット(ON)し、駐車場外へ退出する直前に別のDSRCアンテナで車両を検知しリセット(OFF)することで、出ロヘ向かう走行途中で入庫呼出用DSRCアンテナを複数回通過しても、入庫呼出しが発生することは無い。入庫の際は、再度DSRCアンテナでフラグ情報をリセット(OFF)できるので、確実にDSRCアンテナにて入庫呼出し処理を実行することができる。
【0021】
これにより、ゲートの無いシンプルな構成となり、レイアウトの自由度が向上する駐車場を提供することができる。また、DSRCアンテナのみで車両を検知できるので、他のセンサ設置が不要となりコスト低減を実現することができる。また、入庫の際、タワーパーキングのパレットを自動呼出しできるので、操作の手間を省けかつパレット到着までの待ち時間を短縮することができる。さらに、入出庫判定、登録車両認証による、シャッター連動制御により駐車場のセキュリティ強化が図れる。
【0022】
なお、図1における駐車場管制装置2の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより駐車場管制処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0023】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
無線通信によって車両検知を行い、駐車場内の管制動作を行うことが不可欠な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
11、12・・・タワーパーキング、13、14・・・操作盤、15、16・・・在庫情報記憶部、21・・・駐車場管制装置、22・・・操作用PC、23・・・カードリーダ、24・・・テンキー、31、32、33、34・・・DSRCアンテナ、4・・・リモート制御装置、51、52・・・出庫警告灯、61、62・・・車両注意灯、71・・・シャッター、72・・・シャッター制御盤、N・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、一意の識別情報が付与された車載器と、
機械式駐車場の敷地内に設置され、前記車載器との間で無線通信を行うことにより、前記識別番号を読み取る識別番号読み取り手段と、
前記識別情報毎に、前記機械式駐車場の入庫呼出禁止フラグを記憶する記憶手段と、
前記機械式駐車場から車両が出庫したことを検出する出庫検出手段と、
前記車両が前記機械式駐車場の敷地外に出たことを検出する敷地外出検出手段と、
前記出庫検出手段により前記車両が出庫したことを検出した場合に、該車両の前記識別情報に対する前記入庫呼出禁止フラグをセットし、前記敷地外出検出手段により前記車両が前記機械式駐車場の敷地外に出たことを検出した場合に、該車両の前記識別情報に対する前記入庫呼出禁止フラグをリセットする管制手段と、
前記識別番号読み取り手段により読み取られた前記識別番号の前記入庫呼出禁止フラグがリセット状態であれば前記機械式駐車場の入庫呼出を行う入庫呼出処理手段と
を備えたことを特徴とする駐車場管制システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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