説明

駐車装置のパレット構造

【課題】既存の駐車装置において、構造上、法規上、問題のない範囲内でパレットの内幅を広げて最近のタイヤ幅が広い車を既設のパレットへ入庫できるようにすることを目的としてなしたものである。
【解決手段】駐車装置のパレット9における車進入方向に対して直交する方向の両側に設けたガイドローラ11の外々間の既設の寸法を変更することなく、パレット9のタイヤ走行面であるパレット内幅W1を広げた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ幅の広い車を入庫させることができる駐車装置のパレット構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体空間の有効利用のために立体駐車装置が建造されており、一例として図2に示すような垂直循環式駐車装置がある。斯かる垂直循環式駐車装置は、上部及び下部のスプロケットホイール1,2に張設された2本のエンドレスリンクチェーン3にアタッチメント4を介して数十個のケージ5を懸吊支持し、マシンスペース6上に配置されている駆動装置7により上部のスプロケットホイール1を回転せしめ、これによりエンドレスリンクチェーン3を昇降させて各ケージ5を垂直方向に移動循環させるよう構成されている。
【0003】
ケージ5は、ケージ枠8とケージ枠8に取付けられたパレット9を備えており、パレット9の車両幅方向の両側部前後には、ケージ5が移動循環する際に中ケージレール10に対し案内されて転動するようにしたガイドローラ11が取付けられている。図2中、Aはケージ5に対する車進入方向である。
【0004】
而して、従来のパレット9の一例の詳細は、図3に示されている。パレット9は板状体のプレス成形や溶接等により製作され、車進入方向A(図2参照)に対し直交する方向の両側には、溝状のタイヤ走行面12を備えており、両側部にはタイヤ脱落防止のパレット立上り縁部13が形成されている。而して、図3において、パレット内幅W1aは、車の左右のタイヤの外々間の寸法であるタイヤ幅(以下、単にタイヤ幅という)により決定されており、約1,750mm、両端のパレット立上り縁部幅W2aは約85mm、パレット外幅W3aは約1,920mm、両側のガイドローラ11の外々間の幅W4aは垂直循環式駐車装置の中ケージレールとの関係で定まる既設寸法である。
【0005】
従来のパレット9の他の例の詳細は、図4に示されている。パレット9はプレス成形や溶接等により製作され、車進入方向A(図2参照)に対し直交する方向の両側における本体部9aは、溝状のタイヤ走行面12を備えており、両側部にはタイヤ脱落防止のための溝型鋼状のパレット立上り縁部13が溶接、ボルトナット等により取付けられている。而して、図4において、パレット内幅W1bは車のタイヤ幅により決定されており、約1,780mm、両端のパレット立上り縁部幅W2bは約50mm、両側のガイドローラ11の外々間の幅W4bは垂直循環式駐車装置の中ケージレールとの関係で定まる既設寸法で、同一の駐車装置においては、W4b=W4aである(W4aは図3参照)。
【0006】
駐車装置の自動車載置用のパレットとしては特許文献1があり、特許文献1のパレットもプレス成形や溶接等により製作され、溝状のタイヤ走行面、タイヤの脱落防止のパレット立上り縁部が成形されている。
【特許文献1】実開昭57−63846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近の車は、快適性、安全性の向上、部品の共通化により、3ナンバーの車も5ナンバーの車も、左右のタイヤの外幅が以前の車と比較して広くなっている。一方、従来のパレットの場合、パレットを規格化しているため、パレット内幅に制限があり、タイヤ幅がより広い車は既設の駐車装置へ入庫を行なうことができない。
【0008】
本願発明は、上述の実情に鑑み、既存の駐車装置において、構造上、法規上、問題のない範囲内でパレットの内幅を広げて最近のタイヤ幅が広い車を既設のパレットへ入庫できるようにすることを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車進入方向に対して直交する車幅方向のパレット内幅の拡大を、パレットの車幅方向の両側に設けたガイドローラの外々間の既設寸法を変更することなく、前記パレットのタイヤ走行面であるパレット内幅の車幅外側方向への拡大、車幅方向の両側に設けたパレット立上り縁部の車幅外側方向への減少のうち、少なくとも何れかにより行なうものであり、又、本発明は、車幅方向へのパレット内幅の拡大に際し、車幅方向のパレット外幅を拡大させたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の駐車装置のパレット構造によれば、顧客や利用者がこれまでは入庫できなかったタイヤ幅の広い車を入庫することができ、駐車の利便性が向上し、又、構造上、駐車装置の部品の交換を行なうようにすると、重量車を入庫することが可能となり、改造後に新たに入庫可能な車はより一層増加する等種々の優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図3、図4と同一の符号を付した部分は同一のものを示している。
本図示例においては、既設の駐車装置を改修する場合、中ケージレールにより案内される両側のガイドローラ11の外々間の既設寸法を変えることは、駐車装置の構造上、法規上の問題があり、できない。従って、既設寸法のガイドローラ11の外々間の幅W4は、変更できず、本図示例のパレット9においても、図3、図4のパレット9と等しく、W4=W4a=W4bである。
【0012】
而して、この規制のうえにタイヤ幅の広い車の入庫を可能にするには、両ガイドローラ11の外々間の幅W4は既設寸法としたまま、パレット外幅W3をできるだけ広げた寸法とし(W3>W3a>W3b)、又、パレット内幅W1もできるだけ広げる(W1>W1b>W1a)。この際、本図示例のパレット9におけるパレット立上り縁部幅W2は、図3に示すパレット9のパレット立上り縁部W2aよりも小さくなる(W2<W2a)。又、既設のパレット9のパレット立上り縁部13の幅を車幅方向外側へ狭めるようにしても良い。
【0013】
因みに、この図示例で決定した各部寸法は、パレット外幅W3=1,980mm、パレット内幅W1=1,860mm、パレット立上り縁部幅W2=60mmである。
【0014】
なお、図3の従来のパレット9の場合、パレット外幅W3a=1,920mm、パレット内幅W1a=1,750mm、パレット立上り縁部幅W2a=85mmであり、図4の従来のパレット9の場合、パレット外幅W3b=1,880mm、パレット内幅W1b=1,780mm、パレット立上り縁部幅W2b=50mmである。
【0015】
従って、本発明の図示例により改造したパレット9のパレット内幅W1を最も幅広にできるため、タイヤ幅が広い車もパレット9に入庫させることができる。
【0016】
本図示例によれば、顧客や利用者がこれまでは入庫できなかったタイヤ幅の広い車を入庫することができ、駐車の利便性が向上する。又、構造上、駐車装置の部品の交換を行なうようにすると、重量車を入庫することが可能となり、改造後に新たに入庫可能な車はより一層増加する。
【0017】
なお、本発明の駐車装置のパレット構造は、垂直循環式駐車装置は勿論のこと、地下式駐車装置、二多段式駐車装置等、パレットを備えた駐車装置なら種々の駐車装置に対して適用することができること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の駐車装置のパレット構造の断面図である。
【図2】一般的な駐車装置の一例を示し、垂直循環式駐車装置の鳥瞰図である。
【図3】駐車装置の従来のパレット構造の一例の断面図である。
【図4】駐車装置の従来のパレット構造の他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
9 パレット
11 ガイドローラ
12 タイヤ走行面
13 パレット立上り縁部
A 車進入方向
W1 パレット内幅
W1a パレット内幅
W1b パレット内幅
W3 パレット外幅
W3a パレット外幅
W3b パレット外幅
W4 幅(既設寸法)
W4a 幅(既設寸法)
W4b 幅(既設寸法)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車進入方向に対して直交する車幅方向のパレット内幅の拡大を、パレットの車幅方向の両側に設けたガイドローラの外々間の既設寸法を変更することなく、前記パレットのタイヤ走行面であるパレット内幅の車幅外側方向への拡大、車幅方向の両側に設けたパレット立上り縁部の車幅外側方向への減少のうち、少なくとも何れかにより行なうことを特徴とする駐車装置のパレット構造。
【請求項2】
車幅方向へのパレット内幅の拡大に際し、車幅方向のパレット外幅を拡大させた請求項1に記載の駐車装置のパレット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−291578(P2008−291578A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140153(P2007−140153)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)