説明

騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ

【課題】 複数の計測用アンプなどの接続作業が簡便な騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプを提供する。
【解決手段】 略直方体形状の筐体を形成する騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ1であって、筐体2と筐体2の左側面及び/又は右側面に接する他の筐体2とを互いに連結させる連結金具8を備え、この連結金具8は、台座15とフック板16からなり、筐体2の上面7に1本のねじ17で固定され、筐体2を複数連結して使用する時と筐体2を単体で使用する時では連結金具8を、90度方向を変えて固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単体又は連結で使用する騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種測定装置や計測用アンプなどでは、設定したレンジに対して、入力信号が適正な大きさであるか否かを表示灯である発光ダイオード(LED)で確認していた。更に、入力信号が大きいためレンジをオーバーした時には、発光ダイオード(LED)を点灯させて報知していた。
また、騒音測定や振動測定などにおいて、多チャンネルの測定が必要な場合には、複数の計測用アンプを設置していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の各種測定装置や計測用アンプなどにおいては、表示灯である発光ダイオード(LED)が筐体の正面に配置されているため、測定現場での測定装置の設置の仕方によっては、発光ダイオード(LED)の点灯状態が確認し難かった。
また、多チャンネルの測定が必要な場合に、複数の計測用アンプを接続する作業が煩雑で、段取りに多くの時間が掛かっていた。
【0004】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入力信号の状態を確認し易く又複数の計測用アンプなどの接続作業が簡便な騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、略直方体形状の筐体で形成された騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプであって、前記筐体の正面と上面の境界に面取り部を形成し、この面取り部に、入力信号の大きさが測定レンジを超えたために内部回路が飽和している状態を知らせる過負荷表示用発光ダイオード(LED)を設けたものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプにおいて、前記筐体の正面に、入力信号レベルに応じて上下方向に変動するバーグラフを表示する液晶表示部を設けたものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプにおいて、前記筐体と前記筐体の左側面及び/又は右側面に接する他の筐体とを互いに連結させる連結金具を備え、この連結金具は、台座とフック板からなり、筐体の上面に1本のねじで固定され、筐体を複数連結して使用する時と筐体を単体で使用する時では連結金具を、90度方向を変えて固定するものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1、2又は3記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプにおいて、前記筐体の底面には、4本のねじで固定されるコネクタカバーが設けられ、筐体を複数連結して使用する時には、コネクタカバーを半分ずらして隣同士の筐体の底面に固定するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、筐体の正面と上面の境界に面取り部を形成し、そこに過負荷表示用発光ダイオード(LED)を設けたので、点灯状態を視認できる角度が広くなる。例えば、自動車の助手席の床に測定装置などを置いた場合でも、レンジが適正であるか否かの確認がし易い。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、バーグラフを表示により、入力レベルの変化が確認できるので、測定状態を把握し易い。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、筐体を連結使用する場合と単体使用する場合に、連結金具の向きを90度変えるだけで、切り換えることができるので、連結作業が容易である。また、単体使用時には、連結金具が筐体から出っ張ることがないので、邪魔にならない。各筐体を横に並べて連結することで、LEDや液晶表示部を一見して確認することができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、筐体を複数連結して使用する時には、コネクタカバーを半分ずらして隣同士の筐体の底面に固定するだけなので、連結作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る振動計測用アンプの斜視図、図2は連結金具の平面図(a)と側面図(b)、図3は振動計測用アンプの連結使用時(3台)の底面図、図4は振動計測用アンプの連結使用時(3台)の斜視図、図5は騒音測定装置と振動測定装置と振動計測用アンプの連結使用時(3台)の斜視図である。
【0014】
本発明に係る振動計測用アンプ1は、図1に示すように、筐体2の正面3に液晶表示部4や操作パネル5やピックアップを接続する2つの端子(コネクタ)6が設けられ、上面7に連結金具8が2つ設けられている。正面3と上面7の境界には、面取り部9が形成され、面取り部9に過負荷表示用発光ダイオード(LED)10が2つ(2チャンネル分)設けられている。コネクタ6には、加速度ピックアップ(不図示)が接続される。
【0015】
液晶表示部4には、入力信号レベルに応じて上下方向に変動するバーグラフや各種の設定条件などが表示され、操作パネル5には、2チャンネル分のレンジキー11などのキーが配置されている。また、筐体2の底面12には、コネクタカバー13が4本のねじで固定されている。
【0016】
連結金具8は、図2に示すように、辺の長さが筐体2の幅とほぼ同じ正方形の台座15と、短辺が台座15の辺より短く長辺が台座15の辺と同じ長さの長方形で台座15と一体に形成されているフック板16と、これら15,16を筐体2に固定するねじ17からなる。なお、台座15とフック板16は一体でなくてもよい。台座15とフック板16は、夫々の面をずらして接合した状態になっており、台座15の上面縁部には、フック板16の短辺より少し長い溝18が互いに直交する方向に2つ形成されている。
【0017】
また、台座15から突出したフック板16の短辺には、フック16aが形成されている。フック16aは溝18に係合する形状になっている。台座15は、筐体2の上面7の長手方向の両端に形成された凹部7aに嵌まり、ねじ17で固定されている。19は振動計測用アンプ1の単体使用時にフック16aが収まる収納部である。
【0018】
振動計測用アンプ1を単体で使用する場合には、フック16aを収納部19に収めた状態で、連結金具8に形成された貫通孔8aにねじ17を通し、このねじ17を筐体2の上面7に形成された凹部7aのねじ穴(不図示)に螺合する。すると、連結金具8は筐体2の上面7などから突出しないため、作業の邪魔にならない。
【0019】
次いで、振動計測用アンプ1のコネクタ6にケーブル20を介して加速度ピックアップを接続し、背面の各チャンネルのコネクタにケーブル21を介して記録計(不図示)を接続する。更に、電源を投入し、操作パネル5により振動計測用アンプ1の各種測定条件の設定を行う。そして、測定を開始すると、加速度ピックアップの受けた振動の大きさに応じて、液晶表示部4に表示されるバーグラフが変化するので、入力レベルの変化が確認し易い。
【0020】
また、設定したレンジに対し、加速度ピックアップからの信号が大きい場合には、回路内部の増幅器が飽和し、そのチャンネルの過負荷表示用発光ダイオード(LED)10が点灯する。この場合、レンジ切替ボタンでレンジを変更するが、過負荷表示用発光ダイオード(LED)10が正面3と上面7の境界に形成される面取り部9に設けられているので、視認し易い。
【0021】
次に、振動計測用アンプ1を3台連結して使用する場合には、先ず各振動計測用アンプ1の筐体2の底面12に設けたコネクタカバー13を、4本のねじを外して取り外す。コネクタカバー13を取り外した底面12には、電源入力コネクタ(不図示)と電源出力コネクタ(不図示)が左右に並んで配置されている。
【0022】
次いで、端の1台の振動計測用アンプ1を除いて、その他の振動計測用アンプ1の連結金具8を、ねじ17を外して取り外す。そして、3台の振動計測用アンプ1を並べて、電源出力コネクタを隣の振動計測用アンプ1の電源入力コネクタに電源供給ケーブル(不図示)で接続する。
【0023】
また、図3に示すように、隣同士の振動計測用アンプ1を連結するために、コネクタカバー13を半分ずらして隣同士の振動計測用アンプ1に跨る状態にする。そして、電源供給ケーブルを覆うように、コネクタカバー13を4本のねじ14で筐体2の底面12に固定する。両端には幅が半分のコネクタカバー13aを2本のねじ14で取り付ける。
【0024】
更に、図4に示すように、端から2台の振動計測用アンプ1の連結金具8を、90度向きを変えて、フック16aを隣の振動計測用アンプ1の溝18に係合させる。その状態で、ねじ17を貫通孔8aに通し、連結金具8を、凹部7aにねじ止めして固定する。すると、3台の振動計測用アンプ1は、機械的にも電気的にも接続される。一番端の振動計測用アンプ1から連結金具8のフック16aがはみ出すことも無い。
【0025】
そして、振動計測用アンプ1の単体使用時と同様に、振動計測用アンプ1のコネクタ6にケーブル20を介して加速度ピックアップを接続し、背面の各チャンネルのコネクタにケーブル21を介して記録計を接続する。各種測定条件を設定後、測定を開始すると、加速度ピックアップの振動に応じて、液晶表示部4に表示されるバーグラフが変化するので、一見して6チャンネルの入力レベルの変化を容易に確認できる。
【0026】
また、振動計測用アンプ1の単体使用時と同様に、設定したレンジに対し、加速度ピックアップからの信号が大きい場合には、回路内部の増幅器が飽和し、そのチャンネルの過負荷表示用発光ダイオード(LED)10が点灯する。この場合、レンジ切替ボタンでレンジを変更するが、過負荷表示用発光ダイオード(LED)10が正面3と上面7の境界に形成される面取り部9に設けられているので、過負荷表示用発光ダイオード10が横一列に並び、どのチャンネルが飽和しているかが一見してわかる。
【0027】
本発明の実施の形態では、振動計測用アンプ1について、単体使用と連結使用(3台)について説明したが、連結の数は3台に限らず、使用目的に応じて何台連結させても構わない。また、騒音測定装置及び振動測定装置についても、振動計測用アンプ1と同様の作用効果を奏する。図5は騒音測定装置25と振動測定装置26と振動計測用アンプ1を連結した使用状態を示す。使用目的に応じて、これらの装置を任意に組合せることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、面取り部に過負荷表示用発光ダイオード(LED)を設けたことにより、点灯状態を視認できる角度が広くなり、レンジが適正であるか否かの確認がし易く、またバーグラフ表示により入力レベルの変化状態が把握し易い。また、向きを90度変えるだけで済む連結金具と、半分ずらして隣同士の筐体の底面に固定するコネクタカバーの採用により、単体使用と連結使用の切替作業が容易なので、操作性が向上し、利用拡大が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る振動計測用アンプの斜視図
【図2】連結金具の平面図(a)と側面図(b)
【図3】振動計測用アンプの連結使用時(3台)の底面図
【図4】振動計測用アンプの連結使用時(3台)の斜視図
【図5】騒音測定装置と振動測定装置と振動計測用アンプの連結使用時(3台)の斜視図
【符号の説明】
【0030】
1…振動計測用アンプ、2…筐体、3…正面、4…液晶表示部、7…上面、8…連結金具、9…面取り部、10…過負荷表示用発光ダイオード(LED)、12…底面、13,13a…コネクタカバー、14,17…ねじ、15…台座、16…フック板、16a…フック、18…溝、25…騒音測定装置、26…振動測定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状の筐体で形成された騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプであって、前記筐体の正面と上面の境界に面取り部を形成し、この面取り部に、入力信号の大きさが測定レンジを超えたために内部回路が飽和している状態を知らせる過負荷表示用発光ダイオード(LED)を設けたことを特徴とする騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ。
【請求項2】
前記筐体の正面に、入力信号レベルに応じて上下方向に変動するバーグラフを表示する液晶表示部を設けた請求項1記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ。
【請求項3】
前記筐体と前記筐体の左側面及び/又は右側面に接する他の筐体とを互いに連結させる連結金具を備え、この連結金具は、台座とフック板からなり、筐体の上面に1本のねじで固定され、筐体を複数連結して使用する時と筐体を単体で使用する時では連結金具を、90度方向を変えて固定することを特徴とする請求項1又は2記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ。
【請求項4】
前記筐体の底面には、4本のねじで固定されるコネクタカバーが設けられ、筐体を複数連結して使用する時には、コネクタカバーを半分ずらして隣同士の筐体の底面に固定する請求項1、2又は3記載の騒音測定装置、振動測定装置又は振動計測用アンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−292180(P2008−292180A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135381(P2007−135381)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000115636)リオン株式会社 (128)
【Fターム(参考)】