説明

骨形成具

【課題】 哺乳動物の体に移植したとき、移植部位において血管形成、無機質化、および骨の骨髄分化を含む軟骨性骨形成の完全な発生のカスケードを誘導することができる、骨形成の蛋白質および骨形成具を提供すること。
【解決手段】 活性な骨形成蛋白質を生産する方法であって、該骨形成蛋白質が、酸化状態で結合している一対のポリペプチド鎖を含み、該一対のポリペプチド鎖は軟骨性骨形成を誘導し得る構造のダイマー種を形成し、該一対のポリペプチド鎖の少なくとも一方は、114またはそれ以上のアミノ酸を有する特定なポリペプチドを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は「骨形成具」という名称の米国特許出願第422,699号(1989年10月17日出願)および「移植のための骨コラーゲンマトリックス」という名称の米国特許出願第483,913号(1990年2月22日出願)の一部継続出願である。
【0002】
本発明は骨形成具、哺乳動物において新しい骨の形成を誘導することができる蛋白質をコードする遺伝子、および組み換えDNA技術を用いた哺乳動物におけるこれらの蛋白質の生産のための方法に関する。本発明はまた、同種移植あるいは異種の移植に有用なマトリックス物質および新しい骨の形成を誘導する骨形成蛋白質のキャリアーとして働くマトリックス物質、および骨形成具を使用する骨および軟骨の修復方法に関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳動物の骨組織はおそらく成長および本来の骨の治療の間活性があり、軟骨性骨の形成を引き起こす細胞の出来事の発生のカスケードを誘発しうる、ひとつあるいは幾つかの蛋白様物質を含むことが知られている。この活性因子は文献の中で骨形態形成あるいは形態発生蛋白質、骨誘導蛋白質(bone inductive protein)、骨形成蛋白質、オステオジェニン、あるいは骨誘導蛋白質(osteoinductive protein)とさまざまに呼ばれている。
【0004】
骨分化の発生のカスケードは間葉細胞の漸増、始原細胞の増殖、軟骨のカルシウム沈着、血管の侵入、骨の形成、改造、および骨髄分化からなる(Reddi (1981) Collagen RelRes:209−226)。
【0005】
これらの表現型形質転換の基礎となる詳細な機構は明らかでないが、本来の骨マトリックスの軟骨性骨への分化の活性が分離的に抽出され、そして不活性な残存コラーゲン様マトリックスとともに再構成されて十分な骨の誘導活性を回復させる(Sampath and Reddi (1981) ProcNatlAcadSciUSA 78:7599−7603)。これはin vivoにおいて蛋白質抽出物の軟骨性骨を誘導する活性を分析する実験方法を提供する。哺乳動物の幾つかの種は種間の移植実験により証明されているような密接に関連した蛋白質を生産する(Sampath and Redd i (1981) ProcNatlAcadSciUSA 80:6591−6595)。
【0006】
これらの蛋白質の潜在的な利用性は広く理解されてきた。その蛋白質の有用性は整形法の薬、ある種の形成外科、および歯根膜および脳顔面頭蓋の再生方法に大変革をもたらすと予期されている。
【0007】
これらの蛋白質画分の観察された特性は、骨形成に必須な純粋の因子を単離し同定するために幾つかの研究室における精力的検索の努力を誘発してきた。哺乳動物の骨からの骨形成蛋白質の精製技術の現在の状況はサンパス(Sampath)ら(1987)ProcNatlAcadSciUSA 80により開示された。ウリスト(Urist)ら(1984)ProcSocExpBiolMed173:194−199は、塩化カルシウム−尿素無機−有機溶液混合物により脱イオン化された皮質性の骨から抽出され、そして塩酸グアニジンでの分別沈澱および調製用ゲル電気泳動により回収されたヒト骨形成蛋白質画分を開示している。著者はその蛋白質画分が酸性ポリペプチドからなるアミノ酸組成および17−18kDの範囲の分子量をもつことを報告している。
【0008】
ウリスト(Urist)ら(1984)ProcNatlAcadSciUSA 81:371−375は酸性ポリペプチドで約18kDの分子量という特性をもつウシの骨形態形成蛋白質抽出物を開示している。著者はその蛋白質がヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーにより分離された画分に存在し、マウス後部筋肉における骨の形成およびラットおよびイヌの頭蓋中の管錘欠損における骨の再生を誘導することを報告した。骨からの抽出物を得るこれらの方法は十分に限定されない不純な調製物を与える。
【0009】
ヨーロッパ特許出願第148,155号(1985年10月7日公開)はウシ、ブタおよびヒトの系統に由来する骨形成蛋白質を開示することを目的としている。発明者によりP3蛋白質と命名された22−24kDの分子量の蛋白質のうちの一つが本質的に均質な状態に精製された事が示されている。この物質は哺乳動物に移植されたとき、骨の形成を誘導すると報告されている。
【0010】
PCT出願第87/01537号(1988年1月14日公開)(国際公開第WO88/00205)は骨の誘発の性質をもつウシの骨からの不純な画分を開示している。その出願人は組み換えDNA技術により生産された仮想上の「骨誘発因子」もまた開示している。4つのDNA配列がヒトおよびウシのゲノミックあるいはcDNAライブラリーから回収されそして組換え体宿主細胞内において発現された。出願人は、発現された蛋白質が骨形態発生蛋白質であろうと陳述しているが、骨の誘発は証明されておらず、組換え体蛋白質が骨形成蛋白質でないことを示唆している。同じグループが引き続いて(Science242:1528, Dec. 1988)4つの因子のうちの3つが軟骨の形成を誘導し、そして骨の形成活性が「制御分子の混合物による」ことおよび「骨の形成はこれらの分子との相互関係により制御されている可能性が強い」と仮定すると報告している。再び、骨の誘導はcDNAの発現の生産物によるものでなくなった。骨形態発生剤という名称のウリスト(Urist)らのヨーロッパ特許出願第212,474号もまた参照せよ。
【0011】
ワング(Wang)ら(1988)ProcNatlAcadSciUSA 85:9484−9488は軟骨および骨の形成活性をもつ脱イオン化された骨のグアニジン抽出物からウシの骨形態形成蛋白質を、ゲル抽出により決定された30kDの分子量に等しい塩基性蛋白質として精製したことを開示している。その蛋白質の精製は分離されると不活性な30,18,および16kDの蛋白質を生じた。この結果から見て、著者は活性のある物質の厳密な同定はまだ決定されていない事を認めている。
【0012】
ワング(Wang)ら(1990)ProcNatlAcadSciUSA 87:2220−2227はPCT出願第87/01537号に記述されているcDNA配列のうちの一つの発現および部分精製を記述している。これらの蛋白質を用いる場合の確実な軟骨および/または骨の形成は最小限600ngの50%純粋な材料を必要とする。
【0013】
PCT出願第89/04458号(1990年4月19日公関)(国際公開第WO90/003733号)はP30F 31−34と呼ばれる骨形成因子ファミリーの精製および分析を記述している。その蛋白質ファミリーはペプチド断片の配列により特徴づけられた少なくとも4つの蛋白質を含む。不純な混合物P3 OF 31−34の骨形成活性も分析された。しかしながら個別の蛋白質の活性は評価も議論もされなかった。
【0014】
骨形成の因子の移植の成功には使用されるin vivoの領域において蛋白質を維持することができる有用なキャリアー材料と蛋白質との結合を必要とする。キャリアーは生
物的に適合性があり、生物的に分解されそして細胞浸潤に十分な多孔性であることが望まれる。粉末化された骨のグアニジン抽出および脱脂後に残る不溶性のコラーゲン粒子は幾つかの種の異質遺伝子型の移植において通常は効果的であった。しかしながら、骨誘導蛋白質(osteoinductive protein)は種を通じて有効であるが、通常軟骨性骨形成を誘導するのに使用されるコラーゲン様骨マトリックスは種特異的であることが研究により示された(Sampath and Reddi (1983) ProcNatlAcadSciUSA 80:6591−6594)。in vivoにおいて移植された脱イオン化され、脱脂され、抽出された外因牲の骨マトリックスキャリアーは、おそらく骨マトリックス中における阻害性あるいは免疫原性成分のために骨形成を誘導することができない。多くの種においては、骨形成用具において同種の骨マトリックスを使用しても骨誘導の骨形成(osteoinductive bone formation)には不十分であろう。例えば、脱イオン化され、脱脂されたサルの骨のマトリックスの皮下へ同種の移植物はサルにおいて骨の形成を誘導しないと報告されている。(Asperberg et al. (1988) J. Bone Joint Surg. (Br) 70−B:625−627)。
【0015】
米国特許出願第4,563,350号(1986年1月7日発行)は、トリプシン処理されたウシの骨のマトリックスが、抽出され、部分精製された骨−誘導蛋白質の調製物を用いた移植のときに骨形成活性に影響する異種のマトリックスとして使用されることを開示している。骨の形成は少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の非繊維状コラーゲンの存在を必要とすることが示されている。著者らは、コラーゲンの調製物の免疫原性に一部関係するテロペプチドの除去が異種性の移植において、より有効であると主張している。
【0016】
ヨーロッパ特許出願第309,241号(1989年3月29日公開)は、骨形成蛋白質調製物、および無機成分あるいは骨コラーゲン粉末60−98%からなるマトリックスキャリアーおよび2−40%のアテロペプチド低免疫原性コラーゲンからなる軟骨性骨の形成の誘導具を開示している。
【0017】
デセラージ(Detherage)ら(1987)Collagen Rel. Res. :2225−2231は、一回のイオン交換カラムにより最小限に精製されたウシの骨のマトリックス抽出物および再構成され、高度に精製されたヒトType−I胎盤コラーゲンからなる明白な外因性移植具を開示すると主張している。
【0018】
米国特許出願第3,394,370号(1983年7月19日発行)は、異種性の移植において有用であると紹介されている再構成されたコラーゲンのマトリックスを記述している。コラーゲン繊維は免疫原性をもつ可能性があるテロペプチド(繊維内部の交差結合の主な原因でもある)を除去するために酵素により処理されそして付随している非コラーゲン組成物を除去するために溶解された。再構成されたコラーゲンを酢酸中で分散させることにより基本コラーゲン分子の無秩序なマトリックスを形成し、これを次に骨形成因子と混合し、そして凍結乾燥して、好ましくは交差結合している「半硬性のフォームあるいはスポンジ」を形成することによりマトリックスを組み立てた。組み立てられたマトリックスはin vivoにおいて試験されない。
【0019】
米国特許出願第4,172,128号(1979年10月23日発行)は、骨様材料を分解しそして低い免疫原性をもつように再生する方法を記述し、その方法が種を越えて有用であるとしている。脱イオン化された骨の粒子は付随している全てのムコ多糖(グリコサミノグリカン)を溶解するために膨張剤で処理され、そして引き続いてコラーゲン繊維を均質なコロイド溶液を形成するために溶解される。次に、生理学的に活性のないムコ多糖および繊維形成の促進のための電解質を使用して再構成された繊維のゲルを形成するこ
とができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、組換え体DNAから生産され、そして同種および異種性の移植において骨を誘導することができる、分散された骨形成蛋白質を含むマトリックスからなる骨形成具を提供することである。もう一つの目的は、哺乳動物細胞から発現され、そして軟骨性骨の形成を誘導することができる、組換え体骨形成蛋白質を提供することである。さらにもう一つの目的は、骨形成蛋白質をコードする遺伝子および組み換えDNA技術を使用したそれらの生産方法を提供することである。なおさらにもう一つの目的は、骨誘導蛋白質(osteoinductive protein)と組み合わせて、軟骨性骨の形成をすることができる、生物的に適合性があり、in vivoにおいて生物的に分解されうるマトリックスを提供することである。
【0021】
本発明の、これらのおよび他の目的および特徴は以下の説明、図面、および請求の範囲から明らかにされる。
【0022】
本発明は、哺乳動物の体に移植したとき、移植部位において血管形成、無機質化、および骨の骨髄分化を含む軟骨性骨形成の完全な発生のカスケードを誘導することができる、骨形成の蛋白質および骨形成具を提供する。この骨形成具は、ここではマトリックスと呼ばれ、以下に開示された特徴をもち、そして組み換えDNA技術を使用して生産されそして真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞から発現された骨形成蛋白質を分散して含んだキャリアー材料からなる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
ここに開示されたマトリックス中に分散した組換え体蛋白質の好ましい態様は、天然の材料から抽出されそして同種の脱イオン化された骨粉のマトリックス材料中で再構成された天然の形の蛋白質の生理学的な活性と密接に類似している。好ましい蛋白質は、従来報告された生合成されたどのような材料よりもはるかに高い比活性を有し、すなわち活性分析法の精度の限度内において米国特許出願第179,406号(1988年4月8日発行)(PCT US/89 01453)において述べられたようにして生産された実質的に純粋な材料と本質的に同一と認められる活性をもつ。したがって、本出願は天然の骨の治療において起こるのと本質的に同様な軟骨性骨の完全な発生のカスケードを誘導する骨形成具の製造方法および使用方法を開示する。
【0024】
これらの開発の鍵は、アミノ酸配列の推定および天然の骨形成蛋白質の構造データである。一つのプロトコルを作成し、それにしたがって、骨形成活性の半最大活性値が移植片1mgあたり約0.8から1.0ngの哺乳動物の骨からの実質的に純粋な骨形成蛋白質を回収した。その材料を入手できたことにより、本発明者らは骨形成を達成するために必要な蛋白質の詳細な全構造を推定することができた。蛋白質のアミノ酸配列および他の構造的な特徴の知識により天然の遺伝子を同定およびクローニングすることができた。
【0025】
部分的な配列データおよび引例において開示された制御蛋白質との間の観察された相同性に基づいたコンセンサスDNA配列をゲノミックおよびcDNAライブラリーから骨形成蛋白質をコードする遺伝子を抽出するためのプローブとして使用した。コンセンサス配列のプローブの内の一つが、これまでに未同定のDNA配列を単離した;その一部分を連結したときコードするタンパク質は、正確に修飾され、適切なマトリックスに取り込まれそしてここに開示されたように移植されるときに、軟骨性骨の形成を誘導することができる領域を有していた。ここでOP1と呼ばれている蛋白質並びにさまざまに欠失させた型および融合物を完全長のcDNA配列およびさまざまに欠失させた合成DNAから大腸菌
およびさまざまな哺乳動物において発現させ、そしてホモダイマーとしてあるいはBMP2、すなわちコンセンサス配列のプローブによるヒトDNAライブラリーから抽出された他の骨形成蛋白質とのヘテロダイマーとして骨形成活性を示すことを見い出した。
【0026】
OP1遺伝子の特徴決定および活性に必要なDNAおよびアミノ酸配列の同定により哺乳動物細胞においてその遺伝子を発現させることができた。哺乳動物の蛋白質の哺乳動物細胞における発現、特に治療のための使用を意図とした組換え体蛋白質の発現は通常天然の材料構造によく似た構造をもった蛋白質を生じると考えられている。このことは、原核細胞生物系において行われることがないグリコシル化のような特定の後翻訳修飾を必要とする分泌蛋白質においては特に真実である。大腸菌内におけるOP1遺伝子の発現により、グリコシル化されていない型の蛋白質は骨形成活性をもつことが示されたが、例えば、蛋白質の安定性、溶解性、あるいは免疫原性に関連したまだ決定されていないオリゴサッカロイドの機能のような他のものがあるかも知れない。さらに、培養液中に分泌された蛋白質の精製は、原核生物細胞の封入体(inclusion bodies)から誘導された蛋白質を抽出する方法に代替する方法を提供する。
【0027】
遺伝子の哺乳動物細胞における発現は、成熟蛋白質のN末端の決定もまた可能にした。OP1の成熟型であると信じられるもののアミノ酸配列は次のとおりである(Seq. ID No.1):
【0028】
【数1】

【0029】
組み替えにより生産されたOP1は蛋白質のN末端を欠失させた幾つかの型においても活性をもっている。欠失させたOP1の内の主要な一種は次のものである(Seq. ID No.2):
【0030】
【数2】

【0031】
4つの他の活性のある短いOP1配列は:
【0032】
【数3】

【0033】
【数4】

【0034】
【数5】

【0035】
【数6】

【0036】
これらの6種のOP1のin vivoにおける骨形成活性を調べそしてすべてが可溶性マトリックスと一緒に哺乳動物において移植したときに薬剤量に依存した様式で軟骨性骨形成を誘導することが示された。これらの種の比活性は実質的に純粋な、天然物を源とする骨形成蛋白質の比活性に近い。さらに、これらの蛋白質は従来報告された他の骨形成蛋白質調製物よりも天然物を源とする材料の活性とより密接に似ている。
【0037】
組換え体により生産されたOP1は哺乳動物内においてグリコシル化されたホモダイマーとして発現される。OP1−18のホモダイマーはSDS−PAGEにより決定すると、酸化された時には約36kD、還元された時には約18kDの見かけ分子量である。OP1−16S,OP1−16V,OP1−16M,OP1−16AおよびOP1−16LはSDS−PAGEにより決定すると還元された時には約16kDであり、そしてこれらの蛋白質のホモダイマー並びにOP1−18とのヘテロダイマーは酸化された時に約30−36kDの範囲内の見かけ分子量である。還元された状態においては、これらの蛋白質は検出できるような骨の形成活性を示さない。
【0038】
OP1は今日迄に多くのさまざまな哺乳動物において発現され、それらすべての細胞は翻訳後に蛋白質をグリコシル化しそしてプロセスする。オリゴサッカロイドの側鎖の詳細な構造はセルラインの種類により異なるであろうが、すべての場合において発現された配列は特異的なそして薬剤依存性の様式において骨形成の活性をもつ。
【0039】
本発明はそれらの特異的な構成物に限定されない。したがって、本発明の骨形成蛋白質は宿主の真核生物細胞において組換え体DNAの発現により生産されたさまざまなグリコシル化のパターン、N末端の変化、アミノ酸相同性領域をもった関連する蛋白質のファミリー、および天然のアミノ酸配列を欠失させたり変異を起こさせたものを含む。本発明の骨形成具において有用な活性配列は、OP1−16Vとの間に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、の配列相同性をもった骨形成蛋白質を含む。これは長い型の蛋白質や対立遺伝子の変異物および変異蛋白質をも含む。
【0040】
したがって、本開示からみて、遺伝子工学の当業者は適切なアミノ酸をコードするcDNAあるいはゲノミックライブラリーから遺伝子を単離、あるいはオリゴヌクレオチドからDNAをつくることができる。そして骨の形成を誘導することができる活性型蛋白質を大量に生産するために、さまざまなタイプの宿主真核生物細胞においてそれらを発現することができる。
【0041】
骨形成蛋白質は適切な送達剤あるいは支持系(マトリックス)とともに、臨床の応用において有用である。マトリックスは、生物的に適応でき、蛋白質を抽出され、無機塩類を含まず、脱脂された不溶性のType−I骨コラーゲン粒子からなり、これは宿主にとって同種あるいは異種であり得る。粒子は好ましくは、粒子の形態を変えるために、すなわち粒子内部の多孔性および粒子の表面の領域を増加させるために、お湯あるいは他の繊維修飾溶剤のような繊維修飾剤で処理される。粒子は共にマトリックスを形成させるために詰め込まれる。粒子間の空間は先祖細胞の移動そして引き続く細胞の分化および増殖のための範囲でなければならない。粒子の大きさは70−850μm、好ましくは150μm−420μmの範囲内がよい。マトリックスは骨の欠損にまたがる形に粒子をぴったりと詰め込むことにより、あるいは粒子を望まれる形に他の方法で詰め込んでかたちづくることにより作り上げる。マトリックスはin vivoにおいて生物的に適応し(炎症性のない)、そして生物的に分解され得る、そして「一時的骨格」および移動性の先祖細胞を呼び集める土台として、およびそれらの引き続く固着および増殖のための基礎として用いられる。ここに開示されたように、マトリックスは哺乳動物体内において確実にそして再現性よく軟骨性骨の形成を誘導する骨形成蛋白質と組み合わせることができる。
【0042】
このマトリックスの材料の開発は異種性の骨のマトリックスおよび骨形成蛋白質の移植の成功のために必要な鍵となる特徴の発見の結果として開発された。実質的に純粋な骨形成蛋白質および同種の脱イオン化され、脱脂された蛋白質−抽出骨マトリックスからなる骨形成具は、移動する先祖細胞の流入、増殖および分化のための寸法の間隙をもつ必要があるということを研究が示唆した。異種性の骨マトリックスからなる骨形成具がin vivoにおいてほとんどあるいは全く軟骨性骨形成を誘導しないということもまた観察された。異種性のマトリックスによる骨の形成がないことは、一般的にマトリックス中にまだ存在している成分(例えば、コラーゲンテロペプチドあるいは付随する非コラーゲン性糖蛋白質)に対する免疫原性あるいは阻害的な応答によると考えられてきた。
【0043】
粒子の総合的比表面積(表面領域/単位物質量)、多孔性および微小なくぼみの程度、およびマトリックス粒子のくぼみおよび穴の大きさが異種性移植、および特定の種においては同種移植にさえも重要であることが今日発見されている。
【0044】
図1のパネルAおよびBはそれぞれラットおよび子ウシからの脱イオン化され、グアニジン抽出された骨マトリックスの粒子構造を示す走査電子顕微鏡写真である。これらの写真から観察され得るように、子ウシの骨マトリックスにおいてよりもラットの骨マトリックスにおいて顕著なより大きい生来の多孔性、あるいは表面積がある。骨マトリックスの多孔性および粒子内部の表面の領域を増加させることは、ラットのコラーゲン性骨マトリ
ックスの移植により明らかにされたように、骨形成の誘導を促進することができる。このことは、その形態を変えるために一定の溶剤又は加熱によりコラーゲン性骨マトリックスを処理することにより達成される。この目的に適する薬剤はここで開示されそしてコラーゲン繊維−修飾剤と呼ばれる。
【0045】
したがって、本発明の一つの局面は表面積およびマトリックスのコラーゲン粒子の多孔性を実質的に増加させるために処理されたマトリックスからなる骨形成具を含む。
【0046】
本発明の骨形成具において有用な、現時点で好ましい繊維−修飾剤は熱せられた水性溶媒で、最も好ましくは水である。脱イオン化され脱脂されグアニジン抽出された骨のコラーゲンを水中で高温にて(37°−65°、好ましくは45°−60℃)約1時間熱することは、望まれた表面の形態を得るのに通常は十分である。機構は明らかでないが、熱処理はコラーゲン繊維を変化させ、その結果粒子の表面積を増加させると仮定される。したがって、骨のマトリックスは水中(1g/30ml)で撹拌しながらさまざまに高めた温度で処理し、そして濾過することができる。水中で温度を上昇させることにより不溶性のコラーゲンを処理することにより、らせん構造から非らせん構造への完全な遷移の1/4から3/4に達するのに必要な温度である溶解遷移(Tm)に最初に到達する。その後繊維は収縮温度(Ts)と呼ばれるいくらか高い温度において突然に何分の一かに収縮する。Tsは通常より高く、分子の詰め込みにより更に安定性が高まることを反映する。約5以下のpHにおいては、熱せられたコラーゲンのTmおよびTsの両値は減少する。
【0047】
溶剤で処理された骨のコラーゲン性マトリックスの実験は、脱イオン化されグアニジン−抽出された異種性の子ウシの骨はさらに別の物質の混合物も含むことを示し、そしてこれらの物質を抽出するとマトリックスの特性を改良できることを示している。抽出物中の成分をクロマトグラフィーにより分離し、続いてクロマトグラフィーのピークに対応するさまざまな抽出画分を活性マトリックスに加え戻すことにより、骨形成の誘導効果(osteoinductine effect)を阻害できる活性があることが示唆された。この阻害画分内の物質の正体はまだ決定されていない。本発明の一つの局面において、上述されたタイプのType−I骨コラーゲン粒子からなりさらに該コラーゲン粒子が阻害作用を示す成分を除去されている点において特徴づけられるマトリックスが提供される。
【0048】
本明細書の開示から見て、当業者は骨形成具を確立するのに有用な、そして例えば骨の誘導を促進するためのパッキンとして、あるいは生物的に分解される徐放性の耐えられる放出移植片として他の移植可能な材料として有用な望まれた多孔性および表面の微小構造をもつ、生物的に適応できる特別上質のマトリックスを創ることができる。
【0049】
ここに開示された骨形成蛋白質および移植可能な骨形成具により、医師は例えば、後天性および先天性の脳顔面頭蓋のおよび他の骨格あるいは歯の奇形を矯正するために最善の予測できる骨の形成をすることができる(Glowacki et al. (1981) Lancet :959−963)。この骨形成具は動物実験において証明されたような癒着不良骨折において、および骨の形成が必要な歯周の適用を含む他の治療の適用において、局部の軟骨性骨の形成を誘導するのに使用される。他の潜在的な治療の適用は例えば、骨関節炎の処理における軟骨の修復においてである。
【発明の効果】
【0050】
本発明により、哺乳動物の体に移植したとき、移植部位において血管形成、無機質化、および骨の骨髄分化を含む軟骨性骨形成の完全な発生のカスケードを誘導することができる、骨形成の蛋白質および骨形成具が提供される。この骨形成具は、ここではマトリックスと呼ばれ、以下に開示された特徴をもち、そして組み換えDNA技術を使用して生産されそして真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞から発現された骨形成蛋白質を分散して
含んだキャリアー材料からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
哺乳動物の骨からの蛋白質の粗抽出物に存在する骨形成の蛋白質の単離を可能にした精製のプロトコルが最初に開発された。(PCT第US89/01453号、および米国特許出願第179,406号(1988年4月8日出願)を参照)。新鮮な子ウシの骨を入手できたことと、上記方法が開発されたことにより、実質的に純粋なウシの骨形成蛋白質(BOP)を単離できた。BOPは有意に同定された;ネコ、うさぎ、およびラットにおける軟骨および最後の軟骨性骨を誘導するその能力は証明され、そして研究された;従来は不均質な骨の抽出物内の未知の蛋白質によると見なされていた骨の形成の発生カスケードを誘導することが可能であることが示された。この薬剤量依存性および高い特異活性は、蛋白質がグリコシル化されていてもいなくても存在した(米国特許出願第232,630号(1988年8月15日出願)およびSampath et al.,(1990) J. Biol. Chem. 265:pp. 13198−13205を参照せよ)。ウシの材料から得られた配列データはプローブの構想を与え、ヒトの遺伝子を単離するために使用された。ヒトのOPに相当する蛋白質は今日発現されそして十分に同定されている。
【0052】
ホモダイマーとして個々にそしてヘテロダイマーとして別の種と結合した全体的に新規な、非天然蛋白質構成物をコードするDNAを調製することを可能にしたこれらの発見は、真の軟骨性骨を生産することが可能である(PCT出願第89/01469号(1989年4月7日出願)および米国特許出願第315,342号(1989年2月23日出願)を参照せよ)。それらは、ここに開示された技術を使用してそして自動化され市販されている装置を使用することにより生産された合成DNAからあるいは天然源から回収されたcDNAおよびゲノミックDNAから、天然の材料、欠失させた型、変異蛋白質、アナログ、融合蛋白質、そしてさまざまな他の由来物および構成物を発現させることもまた可能にした。DNAは原核生物細胞および真核生物生物細胞においてよく確立された分子生物学および組み替えDNA技術を使用して発現され、そして必要ならば、生物学的に活性のある蛋白質を生産するためにin vitroにおいて酸化されそして再びおりたたまれる。
【0053】
ゲノミックおよびcDNAライブラリーから単離されたDNA配列のうちの一つはここでOP1と呼ばれる、これまで未同定の遺伝子をコードしていた。単離されたDNAによりコードされている蛋白質はTGF−βファミリー内の蛋白質とのアミノ酸相同性から最初に同定された。コンセンサスなスプライスシグナルはエクソンとイントロンの境界と呼ばれているアミノ酸相同性が終わるところで見いだされた。7つのシステインを含む機能的なTGF−β様ドメインを得るために、3つのエクソンを結合させた。(例えば、米国特許出願第315,342号(1980年2月23日出願)、あるいはOzkaynak, E. et al.,(1990) EMBO:pp. 2085−2093)。
【0054】
OP1の完全長のcDNA配列はそれがコードするアミノ酸配列を含めて図2に示されている。OP1の完全長のcDNA配列、さらにこの遺伝子をさまざまに欠失させた型、および融合させた遺伝子を大腸菌において発現させ、そしてマトリックスと結合させて哺乳動物において移植したときに骨の形成活性をもつことが示された。
【0055】
天然の型の蛋白質は蛋白質の適切な分泌のためのシグナルペプチド配列を含む「プレプロ」型として最初に発現される。シグナルペプチドが切断される部位は図2において下線が引かれている。シグナルペプチドの除去により蛋白質の「プロ」型を生じ、これが分泌時にプロセスされて成熟蛋白質を生じる。成熟配列を生じる切断部位は図2において矢印
で示されている。成熟型であると信じられているアミノ酸配列は次のとおりである(Seq. ID No.1):
【0056】
【数7】

【0057】
正しくダイマーにされ、おりたたまれ、マトリックスに吸収され、そして移植された時に、プロ型およびプレプロ型の両者は骨形成活性を示すが、これはおそらく分割および成熟型の蛋白質あるいは活性のある欠失されたアナログ蛋白質を生じるような分解酵素による分解のためである。
【0058】
活性型のOP1はまた蛋白質のN末端部分がない、欠失された型で精製されうる。OP1の活性をもつ欠失された型の一つは次のものである(Seq. ID No.2):
【0059】
【数8】

【0060】
OP1の活性のある欠失された型の他の4つは次のものである:
【0061】
【数9】

【0062】
【数10】

【0063】
【数11】

【0064】
【数12】

【0065】
前述のアミノ酸およびDNA配列の情報により、さまざまなDNAが融合蛋白質、成熟蛋白質の他の欠失型、および類似の構成物に加えて、OP1の少なくとも最小限の活性ドメイン、および、それらのさまざまなアナログをコードするよに構成されうる。これらのDNAは、ゲノミックDNAおよびcDNAの単離、合成されたオリゴヌクレオチドからの合成DNAの構成、およびカセット変異導入技術を含む、よく知られたDNA操作を使用して当業者により製造されうる。15−100merのオリゴヌクレオチドはバイオサーチDNAモデル8600合成機により合成され、そしてTris−ほう酸−EDTA緩衝液においてポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により精製される。そしてDNAをゲルから電気的に溶出する。オーバーラップするオリゴマーをT4ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化しそしてPAGEによっても精製されるより大きなブロックに連結する。
【0066】
そしてcDNAあるいは合成DNAを蛋白質の発現のために発現ベクターに挿入しそして適切な宿主細胞内にトランスフェクトする。原核細胞生物は蛋白質をグリコシル化できないが蛋白質の骨形成活性は壊さないから、宿主は原核細胞生物あるいは真核細胞生物を使用する。有効な宿主細胞には大腸菌、酵母、昆虫/バキュロウイルス細胞系、ミエローマ細胞、およびさまざまな哺乳動物細胞が含まれる。本発明の蛋白質はここに開示されたように、好ましくは哺乳動物において発現される。ベクターは付加的に複写プロモーターおよび終結配列、エンハンサー配列、好ましいリボソーム結合部位配列、好ましいmRN
Aリーダー配列、蛋白質の分泌のための好ましいシグナル配列、および類似物を含む組換え体蛋白質の正確な発現を促進するさまざまな配列をコードしていてもよい。興味のある遺伝子をコードするDNA配列はまた、潜在的に阻害をする配列を除去するためにあるいは望まれない二次構造の形成を最小限にするために操作される。組換え体骨形成蛋白質はまた、融合蛋白質としても発現されうる。翻訳された後に、蛋白質は細胞自身から精製あるいは培養液から回収されうる。すべての生物学的に活性のある蛋白質の型は、個々のサブユニットの発現後に適切な真核生物細胞内あるいはin vitroにおいて、さまざまな組換え体蛋白質のひとつあるいはいくつかが酸化およびおりたたまれることにより、ジスルフィド結合により連結されるか他の方法で結合されて生産されるダイマー種からなる。
【0067】
前述したように、治療における使用のための哺乳動物の組換え体蛋白質の生産は、その構造が天然の物質に最も近い蛋白質を生産するために、好ましくは哺乳動物細胞培養系において発現されるということが通常は考えられている。哺乳動物細胞内における組換え体蛋白質の生産は、トランスフェクトが簡単で、外来のDNAを並び方が変化していない配列で安定に維持し、そして転写、翻訳、後翻訳修飾、および蛋白質の分泌に十分な必要な細胞の成分をもった適切な細胞および細胞ラインの確立を必要とする。さらに、興味のある遺伝子を運ぶ適用なベクターもまた必要である。哺乳動物細胞へのトランスフェクションのためのDNAベクターの構成はコザックコンセンサス配列のような翻訳効率を高める配列に加えて、適切な転写の開始、終結、およびエンハンサー配列を含む上述されたような興味ある遺伝子の発現を促進する適切な配列を含むべきである。好ましいDNAはまたマーカー遺伝子および興味ある遺伝子のコピー数を増幅する手段を含む。
【0068】
哺乳動物細胞の発現系の発展における実質的な進歩はこの十年間につくられそしてこの系の多くの局面は十分に特徴づけられた。有用な細胞、蛋白質発現−プロモーター配列、マーカー遺伝子、および遺伝子増幅法を含む、哺乳動物における外来蛋白質の生産の技術の状況の詳細な論評は、ベンディグ(Bendig)、マリー(Mary) M.,(1988)Genetic Engineering, 7:91−127に開示されている。
【0069】
簡潔に言えば、特定の哺乳動物内において外来の遺伝子を発現するのに有用な最もよく特微づけられた転写プロモーターはSV40前期プロモーター、アデノウイルスプロモーター(AdMLP)、マウスメタロチオネイン−Iプロモーター(mMT−I)、ニワトリ肉腫ウイルス(RSV)長末端重複(LTR)、マウス乳癌ウイルス長末端重複(MMTV−LTR)、およびヒトサイトメガロウイルス主要中間−前期プロモーター(hCMV)である。すべてのそれらプロモーターのDNA配列はその分野においてわかっており市販されている。
【0070】
哺乳動物系においてよりよく特徴づけられた遺伝子増幅の方法の一つはdhfr−セルラインにおける誘導可能なDHFR遺伝子の使用である。通常、DHFR遺伝子は興味ある遺伝子を運ぶベクター中に供給され、そして細胞毒性薬剤メトトレキセートの付加による誘導により、関連した興味ある遺伝子のコピー数に加えてDHFR遺伝子のコピー数も増幅される。トランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣セルライン(CHO細胞)における誘導可能な、増幅マーカー遺伝子としてのDHFRはその分野において特によく特徴づけられている。誘導可能な遺伝子増幅器として有用な他の遺伝子は、アデノシン脱アミノ酵素(ADA)およびグルタミン合成酵素(GS)遺伝子である。
【0071】
細胞あるいはセルラインの選択もまた重要であり実験者の必要に依存している。サル腎細胞(COS)は高いレベルの一過性の遺伝子発現を提供し、ベクター構成物およびクローン化された遺伝子の発現の迅速な試験に有用な手段を提供する。COS細胞は興味ある遺伝子を運ぶシミアンウイルス40(SV40)ベクターでトランスフェクトされる。トランスフェクトされたCOS細胞はやがて死滅し、そのため望まれた蛋白質の長期間の生産は妨げられる。しかしながら、一過性の発現は安定なセルラインの開発に必要な時間を消費する過程(しばしば数週間)を必要としない。
【0072】
確立されたセルラインの間で、CHO細胞は今日まで最も特徴がよくわかっている。それらはまた広い範囲の細胞型由来の蛋白質を発現させることが可能である。CHO細胞の一般的応用可能性および関係のない細胞型由来の各種のヒト蛋白質の生産が成功している事実は、すべての哺乳動物細胞における根源的な類似性を強調する。そして、哺乳動物発現系において生産された組換え体蛋白質のグリコシル化パターンは天然の蛋白質と同一でないかも知れないが、オリゴサッカライドの側鎖のちがいは発現された蛋白質の生物活性に本質的でないことがしばしばある。
【0073】
さまざまな哺乳動物細胞から組換え体OP1を発現させそして精製する方法、天然の異種性マトリックス、および請求された主題の性格、有用性およびそれぞいかに作りそして使用するかということに関する他の観点は、本発明の実施のために現在最良であると知られた方法を構成する以下の記載からさらに理解されるであろう。
【0074】
I.哺乳動物細胞における組換え体蛋白質の発現
いくつかの違った哺乳動物細胞の発現系が、本発明の組換え体OP1蛋白質の発現に使用された。特に、COS細胞はCOS細胞中にDNA配列をトランスフェクトするためにSV40ベクターを使用して、ベクターの構築および遺伝子の発現の迅速な評価のために使用される。安定なセルラインはOP1蛋白質の長期間の生産のためにCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)およびBSC細胞の高温感受性株(サルの腎細胞、BSC40−tsA58、(1988)Biotechnology 6:1197−1196)を使用して開発される。2つの違ったプロモーターをOP1の転写に使用する:ラウス肉腫ウイルスLTRからのエンハンサーにより増幅されたCMVプロモーター、およびmMTプロモーター(マウスメタロチオネインプロモーター)。いくつかの選択マーカー遺伝子、例えば、neo(ネオマイシン)およびDHFR、もまた使用される。DHFR遺伝子はまたCHO細胞の遺伝子増幅計画の一部として使用されうる。他の遺伝子増幅計画はSV40ベクターでトランスフェクトされたBSC40−tsA58の温度感受性(ts)を利用する。33℃への温度の低下は、ts SV40 T抗原を安定化し、それによって挿入された、トランスフェクトされたベクターDNAの切り出しおよび増幅が生じ、したがって結合された興味ある遺伝子もまた増幅する。
【0075】
安定なセルラインはBSC40−tsA58細胞(以下「BSC細胞」と呼ぶ)に加えてCHO細胞でも確立された。本発明のOP1蛋白質の哺乳動物細胞の発現のために選択されたさまざまなセルラインおよびDNA配列は遺伝子工学の分野においてよく特徴づけられており容易に入手できる。他のプロモーター、選択可能なマーカー、遺伝子増幅法および細胞も本発明のOP1蛋白質並びに他の骨形成蛋白質の発現に利用されうる。トランスフェクション、発現、および組換え体蛋白質の精製の特別な詳細はその分野においてよく書物に記載されそして当業者によって理解されている。哺乳動物発現系における外来遺伝子の組み換え体の生産において使用されたそれぞれの段階のさまざまな技術的な側面のさらなる詳細は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., ed., John Wiley & Sons, New York 1987のようなその分野における多くのテキストおよび実験マニュアルに見出されうる。
【0076】
1.発現ベクターの例
図3は哺乳動物におけるOP1蛋白質の発現のために考案されたさまざまな発現ベクタ
ーの例の制限地図を開示している。これらのベクター構成物のそれぞれは最初にヒトcDNAライブラリー(ヒト胎盤)から単離され、そして引き続いて挿入部位においてpUCポリリンカー配列を使用して慣用的なpUCベクター(pUC−18)にクローン化された完全長のcDNA配列を使用している。これらの構成物のそれぞれにクローン化されたOP1 cDNA断片は図2に描かれた完全なSmaI−BamHI OP1 cDNA断片(Seq. ID No.7)、あるいはこの断片から標準的な分子生物学方法論を使用して、周辺のコードしていない5’および/または3’配列を再度切り取った修飾断片である。それぞれのベクターはまた霊長類細胞(例えば、COSおよびBSC細胞)においてプラスミドの複製を伝達するのに有用なSV40の複製起点(ori)も使用している。さらに、前期SV40プロモーターをベクター上のマーカー遺伝子(例えば、n eoおよびDHFR)の転写の制御に使用している。
【0077】
pH717発現ベクター(図3A)は、誘導可能な選択マーカーとしてネオマイシン(neo)遺伝子を含む。このマーカー遺伝子は遺伝子工学の分野においてよく特徴づけられており市販されている。一方、他の選択可能なマーカーも使用可能である。pH717のためのneo遺伝子DNA断片の提供に使用される特定のベクター(pMAM−neo−blue)は、Clontech, Inc., Palo Alto, CAから入手できる。pH717において、OP1 DNAの転写はRSV−LTRおよびMMTV−LTR(マウス乳癌ウイルス)エンハンサー配列により増幅されるCMVプロモーターにより制御されている。これらの配列はその分野においてよく知られており、そして市販されている。例えば、このプロモーター/エンハンサー配列を含むベクター(例えば、pCDM8)はInvitrogen Inc., San Diego, CA, からえられる。
【0078】
発現ベクターpH731(図3B)はOP1の転写を制御するためにSV40後期プロモーターを利用している。上で述べられたように、このプロモーターの配列および特徴はまたその分野においてよく知られている。一方、pH731はpEUK−Cl(Clontech, Inc., Palo Alto, CA)にOP1のSmaI−BamHI断片を挿入することにより生産される。
【0079】
pH754発現ベクター(図3C)は,選択マーカーとしておよび誘導可能な遺伝子増幅器としてDHFR配列を含む。OP1はCMV制御下にある、DHFRのDNA配列は遺伝子工学の分野においてよく特徴づけられており、市販されている。一方、pH754はneo遺伝子(BamHI分解物)をDHFR遺伝子を含むBamHI断片(例えば、pSV5−dhfr(ATCC #37148)から得られる)に置き換えることにより、pMAM−neo(Clontech, Inc., Palo Alto, CA)から生産できる。そしてOP1 DNAはMMTVLTR配列(マウス乳癌ウイルスLTR)の下流のポリリンカー部位に挿入され得、pH752を生じる(図3D)。そしてCMVプロモーター配列を、ClaI−XbaI断片(例えば、pMAM−neo blue, Clontech, Inc.から)としてpH752(ClaI−NheIにおいて開かれた)に挿入できる。
【0080】
pW24ベクター(図3E)はneoがDHFRの代わりにマーカー遺伝子(pH717を参照)として使用されていることを除いてp754の配列と本質的に同一である。
【0081】
同様にして、pH783(図3F)は増幅可能なマーカーDHFRを含むが、ここではOP1はmMT(マウスメタロチオネインプロモーター)制御下にある。mMTプロモーターは遺伝子工学の分野においてよく特徴づけられており市販されている。一方、mMTプロモーター配列(Allegro Nichols Institute Diagnostics, San Juan Capistrano, CAから手に入る)を含
むClaI−NheI断片はpH783を生産するためにpH752に挿入され得る。
【0082】
試験されたすべてのベクターはOP1を発現するために使用されたさまざまな細胞において安定であり、そしてある範囲内のOP1発現レベルを提供する。
【0083】
2.哺乳動物細胞の例
組換え体OP1は3つの違った細胞発現系において発現された: さまざまな発現ベクター構成物の機能性を迅速にスクリーニングするためのCOS細胞、安定なセルラインの確立のためのCHO細胞、およびOP1蛋白質を生産する他の手段としてのBSC40−tsA58細胞。
【0084】
A.COS細胞
COS細胞(サルの腎細胞)はベクター構成物の迅速なスクリーニングおよびOP1蛋白質の迅速かつ小スケールの生産に使用される。COS細胞はその分野においてよく特徴づけられており市販されている。ここに記述された特定のセルライン(ATCC #COS−1, CRL−1650)はAmerican Type Culture Collectionを通じて得られる。
【0085】
ノーザンおよびウエスタンブロットにより分析された種々のベクターからのOP1発現レベルは以下の表1に比較されている。
【0086】
【表1】

【0087】
pH754でトランスフェクトされたCOS細胞は今日最も高い収率でOP1を生産することが明らかになっている。しかしながら、トランスフェクトされたCOS細胞は分裂せずにトランスフェクション後に数日で死ぬので、個々のスケールアップされた形質転換には大量のプラスミドDNAが必要となる。
【0088】
トランスフェクトされたCOS細胞からのOP1の大スケールでの調製は慣用的なローラーボトル技術を使用して生産される。簡潔に言えば、14×10の細胞がそれぞれのボトルに接種するのに使用される。24時間の成育後に、DE AE−デキストラン法を使用して、10細胞あたり10μgのベクターDNA(例えば、pH717)で細胞をトランスフェクトする。そして、蛋白質の分析のために培地を採取する前に120時間血清を含まない培地で処理する。このプロトコルに従うと、OP1の収率は約2−6ng/mlになる。
【0089】
B.CHO細胞
CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)は長期間のOP1の生産に使用される。CHOセルラインは外来遺伝子の小および大スケールの生産のためによく特徴づけられておりそして市販されている。ここに記述された特定のセルラインはCHO−DXBll、(Laurence Chasin, Columbia University, NY)である。以下の表2はさまざまな発現ベクターで得られるOP1の収率例を表す。
【0090】
【表2】

【0091】
CHO細胞は慣用的なリン酸カルシウム法によりトランスフェクトできる。CHO細胞を好ましくはpH754あるいはpH752でトランスフェクトし、そしてOP1の収率を高めると思われるので、血清蛋白質を含んだ培地において処理される。有用な培地は0.1−0.5%の透析された胎児のウシの血清を含む培地を含む。
【0092】
C.BSC細胞
BSC40−tsA58セルライン(BSC細胞)はCOS細胞に関連した幾つかの問題に打ち勝つサルの腎細胞の温度感受性株である(1988, Biotechnology 6:1192−1196)。これらのBSC細胞は、潜在的に有毒な薬剤を外部から添加することを必要としないで温度を下げることにより迅速に大スケールで遺伝子配列を増幅することができる利点をもっている。さらに、細胞は再利用されうる。すなわち、OP1発現の誘導および刺激後、細胞を新しい成育培地に移し変え、39.5℃において飽和状態(コンフルエンス)まで成育させ、そして温度を33℃に下げることにより再び誘導することが可能である。BSC細胞は蛋白質を産生する安定なセルラインを迅速に確立するために使用されうる。
【0093】
トランスフェクトされたBSC細胞は10%のFCSを含む培地において温度を33℃に低下させることにより誘導され、そしてインキュベーションから96時間後に処理された培地を収穫する。CHO細胞と比較して同定度の量(例えば、pH717でトランスフェクトされたBSCクローンから産生培地1mlあたり100〜150ngのOP1)OP1 RNAおよび蛋白質が得られる。
【0094】
3.OP1でトランスフェクトされた細胞の評価
トランスフェクトされたOP1配列の発現レベルは総細胞RNAおよび慣用的なハイブリダイゼーション方法を使用して、mRNAのレベル(ノーザンブロット)を分析することにより種々の系において測定される。通常、約1×10の細胞がmRNAの分析に必要である。個々のセルライン間のデータの比較は、細胞の総数およびmRNAの総量を内部スタンダードとしてrRNAを使用して標準化することにより行うことができる。リボソームRNAは、ハイブリダイゼーションのために該RNAをニトロセルロースフィルターに転写する前に、エチヂウムブロマイドでアガロースゲルを染色することにより可視化される。リボソームRNAはまたRNAの調製に、完全さの指示指標を提供する。
【0095】
OP1蛋白質のレベルはヒトOP1に対するウサギの抗血清を使用してウエスタンブロット(イムノブロット)により測定することもできる。図4は:COS細胞−(A)pH717,(B)pH731;CHO細胞−(C)pH754,(D)pH752;およびBSC細胞−(E)pH717および(F)pW24におけるOP1の生産を表すイムノブロットである。
【0096】
サザンブロットは挿入されたOP1配列の状態およびそれらのコピー数増幅の範囲を評価するために使用できる。温度を変化させたBSC細胞における切り出されたプラスミドのコピー数もまたサザンブロット分析を使用して決定されうる。
【0097】
II.蛋白質の精製
本発明の組換え体骨形成蛋白質を精製するために開発された精製計画は迅速で高い効果を示す。プロトコルは3つのクロマトグラフィーステップ(S−セファロース、フェニルセファロースおよびC−18 HPLC)を含み、そして約90%純粋なOP1を産生する。
【0098】
0.5% FCSによって処理されたトランスフェクトされたBSC細胞の典型的な2Lの調製物において、総蛋白質は700mgである。ウエスタンブロットにより見積もられる培地中のOP1量は約80μgである。OP1培地は6M尿素、0.05M塩化ナトリウム、13mM HEPES、pH7.0に希釈され、そして亜硫酸基を持ちそして強カチオン交換体として働くS−セファロースカラム上に載せられる。OP1は低塩濃度でカラムに結合し、そして血清蛋白質は除去される。カラムは引き続き2段階の塩溶出で展開される。最初の溶出(0.1M塩化ナトリウム)は混在物および約10%の結合したOP1を除去する。そして残りの90%のOP1は6M尿素、0.3M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH7.0中に溶出される。
【0099】
この0.3M塩化ナトリウム画分に硫酸アンモニウムを加えて、6M尿素、1M硫酸アンモニウム、0.3M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH7.0の最終的な溶液状態を得る。そしてサンプルをフェニルセファロースカラム(疎水性結合クロマトグラフィー)に載せる。OP1は高濃度の弱いカオトロピック塩(例えば、1M硫酸アンモニウム)存在下においてフェニルセファロースに結合させる。OP1を結合させた後、カラムを、硫酸アンモニウムの濃度を下げて使用して2段階の溶出で展開する。最初の溶出(0.6Mの硫酸アンモニウムを含む)は最初に混在物を除去する。そして結合したOP1は硫酸アンモニウムを含まない6M尿素、0.3M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH7.0緩衝液で溶出する。
【0100】
フェニルセファロースカラムから溶出されたOP1を水で透析し、さらに30%アセトニトリル(0.1%TFA)で透析し、そしてC−18逆相HPLCカラムに載せる。図5A、B、およびCは(A)S−セファロース、(B)フェニルセファロース、および(C)C−18カラムから溶出したものの(1)クロマトグラムおよび(2)ヂチオスレイトール(DTT)で還元後画分のクマジー染色SDS−PAGEゲルである。酸化されそして還元されたOP1サンプルのゲルによる分離は、還元されたサブユニットが約18kDの見かけ分子量をもつこと、および図6に示されるように、ダイマーは約36kDの見かけ分子量をもつことを表す。このサブユニットの大きさは、天然源のbOPの大きさに加えて、COS細胞から精製されたものの大きさとも同一であることが明らかになった。現在のプロトコルは、ゲルスキャニングにより見積もったところ2Lの産生培地で約30μgのOP1、すなわち約25%の回収、の収量を得た。
【0101】
別法のクロマトグラフィープロトコルは、6M尿素非存在下においてS−セファロースクロマトグラフィーを行う。そして結合したタンパク質は塩のステップ溶出(例えば、100−400mM塩化ナトリウム)で溶出される。OP1のほとんどは約300mMの塩化ナトリウムで溶出される。そして残りのOP1はさらに6M尿素存在下の300mMの塩化ナトリウムで溶出されうる。1段階で最大の回収を達成するために、尿素を使用しない溶出に代えて6M尿素の溶出を使用してもよい。
【0102】
OP1はまたヒドロキシアパタイトに効果的に結合する、ただし6M尿素非存在下および低リン酸濃度(リン酸5mM以下)においてのみである。結合したOP1は、1mMから0.5Mのステップ溶出(0.5M塩化ナトリウム、50mM Tris、pH7.0中で)でカラムから除去されうる。OP1は約250mMのリン酸で溶出される。さらに、溶出ステップの間に尿素(6M)を加えてもよい。
【0103】
他の関連したクロマトグラフィー方法もまた哺乳動物細胞系からOP1を精製するのに有用である。例えば、ヘパリンセファロースをS−セファロースカラムと組み合わせて使用できる。あるいは、Cu2+−固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMAC)は、6Mの尿素を含むリン酸緩衝液(pH7.0)中でOP1を結合する。
【0104】
III.マトリックスの調製
本発明の実施には骨、好ましくは哺乳動物、例えばウシの骨の入手性を必要とする。骨を洗浄し、骨髄を取り除き、脱脂され、脱イオン化され、適当な大きさの粒子に砕かれ、可溶性蛋白質を除去するために抽出され、殺菌され、そしてさまざまな臨床の使用に有用な移植できる材料を生産するようなここに開示されたような方法で処理される。
【0105】
本発明の材料から製造されたさまざまな形のマトリックスはさまざまな目的で外科的に移植される。これらの目的中の主要なものは、さまざまな整形法の、歯周の、および再構成の方法における骨の形成のマトリックスとして、徐放剤のキャリアーとして、あるいは移植片のためのコラーゲン性コーティング剤として働かせることである。マトリックスは外科手術において期待される所望の形とし、あるいは外科手術の間の医者あるいは技術者により型づくられてよい。すなわち、局所性の、皮下の、腹腔内の、あるいは筋肉内の移植片として使用できる;骨折の癒着不良を補うようにあるいは骨の欠失を満たすように型づくられる。骨の形成あるいは誘導方法において、材料はゆっくりと体に吸収されそして移植片の形であるいはほとんど移植片に近い形で骨と置き換えられる。
【0106】
さまざまな成長因子、ホルモン、酵素、治療用組成物、抗生物質、および身体に処理する他の薬剤もまた、キャリアー物質に吸収させそして移植すると、マトリックスの材料がゆっくりと吸収されるにつれて時間をかけて放出させる。こうして、EGF、PDGF、IGF、FGF、TGFアルファ、およびTGFベータのようなさまざまな既知の成長因子をin vivoにおいて吸収させうる。材料は化学療法剤、インスリン、酵素、あるいは酵素の阻害剤を放出させるために使用されうる。
【0107】
本発明の材料をいかにして作るかおよび使用するかの詳細を以下に開示する。
【0108】
1.脱イオン化された骨の調製
脱イオン化されたウシの骨のマトリックスは、以前に公表された方法により調製される(Sampath and Reddi (12983) ProcNatlAcadSciUSA 80:6591−6595)。ウシの骨幹(1−10日齢)は屠殺場から得られ新鮮なうちに使用される。骨は筋肉と脂肪を取り去り、骨膜を洗い、冷水による水圧で骨髄を取り除き、冷やした無水アルコールに浸し、そして−20℃で貯蔵する。そして乾燥しそして破壊により断片化しそして大きな製粉機により粉にされる。注意を要することは液体窒素を使用することにより発熱を防ぐことである。粉にされた骨は70−850μm、好ましくは150μm−420μmの範囲の粒子の大きさの粉にされ、そして3倍容のクロロホルムおよびメタノール(3:1)で約2時間、2度洗浄することにより脱脂する。そして微粒子状の骨を等容の無水エタノールで洗浄し、そして脱脂された骨の粉を生じさせるために等容の無水エーテルで乾燥させる。そして脱脂された骨の粉を10倍容の0.5N HClで4℃において40分間、4回連続して処理して脱イオン化する。最後に、中和のための洗浄を大量の水を用いて脱イオン化された骨の粉に行う。
【0109】
2.グアニジン抽出
このようにして調製された脱イオン化された骨のマトリックスは5倍容の4Mグアニジン−HCl,50mM Tris−HCl,pH7.0で16時間4℃において抽出される。懸濁液をフィルターでこす。不溶性の物質を集めそしてマトリックスを組み立てるのに使用する。この物質は基本的に大部分コラーゲン性であり、それは骨形成および軟骨形成活性を持たない。
【0110】
3.マトリックスの処理
すべての骨のマトリックスの主要な成分はType−Iコラーゲンである。コラーゲンに加えて、上で開示されたように抽出された脱イオン化された骨は総量の5%の割合を示す非コラーゲン性蛋白質を含む。異種性のマトリックス中の、これらの非コラーゲン様蛋白質はそれ自身潜在的な抗原として存在し、そして免疫原性および/あるいは阻害成分を構成する。そのような成分は同種型の移植片においてもまた、骨の分化の発生カスケードを妨げることにより骨形成を阻害する。マトリックス粒子をコラーゲン繊維修飾剤で処理することにより、潜在的に望ましからぬ成分がマトリックスから抽出され、そしてマトリックスの材料の表面の構造が変えられる事が本発明により見いだされた。
【0111】
今日最も好ましい繊維修飾剤は加熱した水性溶媒で、最も好ましくは水である。さまざまな量の脱脂され、脱イオン化されグアニジンで抽出された骨のコラーゲンを湯浴中のガラスのフラスコで一定の速度で撹拌しながら水中(1g/30ml)で加熱し、そして指示された温度において1時間保つ。幾つかの例においては、水は加熱前にコラーゲンを膨張させることを助けるために0.1M酢酸で置き換えられる。温度は室温、および約37℃、45、55、65、75において一定に保たれる。熱処理後、マトリックスをフィルターで濾過しそして凍結乾燥して移植に使用する。
【0112】
マトリックス材料の形態に対するお湯の処理の効果は図6と図1の光学顕微鏡写真の比較から明らかである。図6は(a) 37℃、(b) 45℃、(c) 55℃、(d)
65℃において処理された、効果的に変化したコラーゲンの表面の形態を表す。図1の光学顕微鏡写真は非処理のラットおよびウシの骨のマトリックスの形態を表す(それぞれA、およびB)。写真から明らかなように、お湯の処理は粒子の表面の微小なくぼみの程度を少なくとも約10倍増加させ、実質的に粒子の多孔性をも増加させる(図1のBおよび図5のC,Dを比較せよ)。マトリックス粒子のこの形態の変化は実質的に粒子の表面積を増加させる。穴およびくぼみの大きさを注意深く測定すると、マトリックス粒子への熱い水性溶媒の処理は1μmから100μmの範囲の粒子の穴およびくぼみの直径を生じさせることが明らかである。
【0113】
お湯の処理により産生された抽出物の特性から、この処理はまたそのマトリックス中への共存がin vivoにおいて新しい骨の形成を妨げるような成分を除去していることも明らかにしている。図8はお湯で処理したウシのマトリックスから単離された抽出物の214nmにおける吸光のトレースであり、それぞれのピーク(もしくは画分)のin vivoの骨の形成に対する効果を示す。
【0114】
大スケールの調製作業(100gウシマトリックス、お湯処理)からの抽出物を集め、0.1% TFAにより酸性化し、そしてMillipore Delta Prep Cartrigeを使用してC−18 HPLCカラムで測定した。画分を25ml/分の流速で50mLの間隔で集め、適当にプールしてトレースされた各ピークを分離した。そしてこれらの画分のそれぞれを組換え体OP1および適切なラットのマトリックスキャリアー(後記参照)とともに移植し、そしてその骨形成活性に対する効果を測定した。第
12画分のみが、同種型の移植における骨の形成を阻害するようである。その阻害活性は用量に依存するようである。このピークに存在する阻害成分の除去は異種性の移植における骨形成活性の維持に必要である可能性がある。図9は12日目の移植片においてアルカリホスファターゼ活性およびカルシウム含有量で調べた、お湯で処理されたマトリックスからの完全な溶剤抽出物の骨形成活性に対する影響を表す。どのような抽出も行われないで移植されたラットのキャリアーマトリックスおよびOP1をポジティブコントロールとして使用する。お湯で処理されたウシのマトリクス100グラムから得られた溶剤抽出物を蒸発させそして6Mの50%アセトニトリル/0.1% TFA中に溶解させた。その100−300μlのアリコートを既知量の組換え体OP1、および25mgのラットマトリックスキャリアーと混合し、そししてアッセイした(以下を参照せよ)。結果は抽出物が用量に依存して新しい骨の形成を阻害することを明らかに示している。
【0115】
繊維修飾剤に接触させた後、処理されたマトリックスを、以下の手続きの形にしたがって洗浄し、どのような抽出成分をも除去する:
1.TBS(Tris緩衝塩)に1g/200mlで懸濁させそして4℃において2時間撹拌する;あるいは6M尿素、50mM Tris−HCl,500mM NaCl,pH7.0(UTBS)あるいは水に懸濁させそして室温(RT)で30分間撹拌する(pH値を中和状態にするのに十分な時間);
2.遠心しそして洗浄ステップを繰り返す;そして
3.遠心して;上清を捨てて;残渣を水で洗い;そして凍結乾燥する。
【0116】
他の有用な繊維修飾剤はトリフルオロ酢酸およびフッ化水素のような酸、およびジクロロメタン、アセトニトリル、イソプロパノール、およびクロロホルムのような有機溶媒およびそれらの薬剤の組み合わせを含む。これらの他の繊維修飾剤を使用したマトリックスの処理は、これらの繊維修飾剤が脱イオン化され、グアニジン抽出された骨のコラーゲン粒子に対して及ぼす効果の詳細な物理的な分析とともに、米国特許出願第422,613号(1989年10月17日出願)に開示され、その開示は引用により本明細書に含まれる。
【0117】
コラーゲンのマトリックスの材料は、好ましくは水に不溶性の、非接着性粒子からなる微粉末の形をとる。新しい骨の成育あるいは持続した放出が望まれる所で単に所定の容積に圧縮して、周辺組織によってその場所に保持して使用される。あるいは、この粉末は身体に素早く吸収されるような例えば、ゼラチンあるいはポリ乳酸コーティングのカプセルに入れてもよい。この粉末は与えられた寸法の容積に形づくりそして該粒子を例えば可溶性の、種に関して生物的に適合できるコラーゲンを使用して内部接着することによりその形状に維持することもできる。この粉末材料はまたシート状、棒状、ビーズ状、あるいは他の肉眼で見える形につくることもできる。
【0118】
IV.骨形成具の構成
上で説明されたような組換え体蛋白質および他の構成物は以下に記述される任意の方法を用いて、適当なマトリックス調製物中に混合および分散させうる。
【0119】
1.エタノール沈澱
マトリックスをグアニジン−塩酸に溶解している骨形成蛋白質に加える。サンプルを回転運動により撹拌して低温においてインキュべートする。そしてサンプルをさらに回転運動により撹拌する。混合物に冷たい無水のエタノールを加え、撹拌およびインキュベートする。遠心後(微量遠心管、高遠)上清を除去する。マトリックスを、冷やした濃縮エタノール水溶液により洗浄し、そして凍結乾燥する。
【0120】
2.アセトニトリル トリフルオロ酢酸での凍結乾燥
この方法において、アセトニトリル トリフルオロ酢酸(ACN/TFA)溶液中の骨形成蛋白質をキャリアー材料に加えた。サンプルを何度も激しく渦巻き撹拌してその後凍結乾燥する。骨形成蛋白質をさまざまな濃度で、そして幾つかの精製段階において加える。この方法は今日好まれている。
【0121】
3.尿素での凍結乾燥
尿素緩衝液中において調製された骨形成蛋白質については、蛋白質をマトリックス材料と混合し、何度も渦巻き撹拌し、そして凍結乾燥する。凍結乾燥された材料は「そのまま」移植に使用される。
【0122】
4.緩衝化塩溶液からの凍結乾燥
生理学的塩溶液中のOPの調製物もまたマトリックスを渦巻き撹拌しそして骨形成活性のある材料を生産するために凍結乾燥する。
【0123】
これらの方法はまた、持続された放出の目的のために他の活性のある治療剤、ホルモン、およびさまざまな生物的に活性のある成分を吸着させるために使用されうる。
【0124】
V.バイオアッセイ
さまざまなマトリックスの機能はin vivoにおけるラットのバイオアッセイにより評価される。ラットにおける研究は、適切なマトリックス中での骨形成の効果が、マトリックス内に分散された骨形成蛋白質の量に依存していることを示している。もしもマトリックスだけが移植されたならば、活性は観察されない。もしも上に開示されたように処理されずに移植されたときは、文献に記述されたタイプの脱イオン化され、グアニジン抽出された異種性の骨マトリックス材料はキャリアーとして効果がなく、骨を誘導できず、そして炎症性の免疫応答を生じる。多くの同種型マトリックス材料もまたキャリアーとして有効でない。以下は、対照マトリックスおよび上で述べられたように調製されたマトリックス材料から骨形成具を作成するために、およびそれらの骨形成の利用性を評価するためにさまざまな方法を示す。
【0125】
移植
本明細書に引用して取り入れられている、Sampath and Reddi (ProcNatlAcadSciUSA (1983) 80:6591−6595)により記述されている骨の誘導のバイオアッセイは、軟骨性骨の分化の活性を監視するために使用できる。このアッセイは、エーテルの知覚麻痺下における受容ラットの皮下部位への異種性のウシ試験サンプルを移植することからなる。オスのLong−Evansラット、28−32日齢、を使用した。水平な切れ込み(1cm)を胸部の領域の上の皮膚に滅菌状態でつくり、そしてくぼみを鋭い切開によりつくる。約25mgの試験サンプルをくぼみの中に深く移植しそして切れ込みを金属製の皮膚クリップで閉じる。移植の日を実験の日と呼ぶ。移植片は12日目に除去した。異所性部位は、正所性部位の使用により起こりうるあいまいさなしに骨の誘導の研究を可能とする。
【0126】
細胞の変化
移植の成功は:(1)一日目の多核性白血球による一過的な浸潤;(2)二日目および三日目の間充組織細胞の遊走および増殖;(3)五日目および六日目の軟骨細胞の出現;(4)七日目の軟骨のマトリックスの形成;(5)八日目の軟骨のカルシウム沈着;(6)九日目および十日目の血管の侵入、造骨細胞の出現、および新しい骨の形成;(7)十二日目から十八日目の造骨細胞および骨の改造の出現および移植されたマトリックスの溶解;そして(8)二十一日目の小骨における造血骨の骨髄分化を含むマトリックス誘導軟骨性骨の発育の段階を経由して制御された発達をもたらす。その結果は、新しい骨の形は移植されたマトリックスの形をとるということを表す。
【0127】
組織学的な評価
組織学切片の作成および染色が、移植片の骨形成の程度を決定するために好ましい。移植片をブアン溶液で固定し、パラフィンで包み、そして6−8μmの切片に切断する。トルイジン ブルーあるいはヘモトキシリン/エオシンによる染色は軟骨性骨の究極的発育を明らかに証明している。十二日目の移植片は、移植片が新しく誘導された骨を含んでいるかどうかを決定するのに通常十分である。
【0128】
生物学的マーカー
アルカリ ホスファターゼ活性は骨形成のマーカーとして使用できる。この酵素活性は移植片のホモジェナイズ化の後に、分光光度法により測定できる。活性はin vivoにおいて9−10日目に最大に達しそしてその後ゆっくりと減少する。組織学的な検査で骨の形成を示さない移植片は、この分析条件において、ほとんどあるいは全くアルカリ ホスファターゼ活性を示さない。この分析は移植片がラットから除去された後に、素早く骨形成の評価を得ることおよび定量することに有用である。あるいは、骨の形成量は移植片のカルシウム含有量を測定することにより決定され得る。
【0129】
結果
種々の細胞源からのおよび種々の程度に精製された(1−5%純粋から30−90%純粋)OP1で、約25mgのマトリックスを使用して上述のようにin vivoにおいて骨形成活性を試験した。以下の表3は全部の3つの細胞タイプにおいて発現されたOP1の組織学的な点数を示す。
【0130】
【表3】

【0131】
表3に詳細に示されている組織学的点数は、OP1が細胞源にかかわらず活性をもち、そしてその活性は天然のウシOP1ににているということを表す。骨誘導活性は高度に再現性があり、用量に依存している。組換え体OP1の骨形成活性のさらなる証明は図10および図11の写真により提供される。
【0132】
図10A−FはCOS、BSC、およびCOS細胞から発現された組換え体OP1を使用した同種型の移植片の組織を記録した写真である。マイクログラフ(220×に拡大)は本発明の骨形成蛋白質により誘導された完全な発生カスケードの図による証明を提供し、このことはマトリックスと一緒に移植されたときに、組換え体により生産されたOP1だけで軟骨性骨の形成を誘導するのに十分であることを確認するものである。図10Aで証明されたように、OP1を含まない同種型の移植片は移植後12日目に新しい骨の形成を示さない。移植された骨のマトリックス(m)および周辺の間充組織だけが見られる。逆に、OP1を含んだ移植片は移植後7日目に既に広範囲な軟骨形成の証明を示している(図10B、550ng BSC生産蛋白質、30%純粋)。ここで、新しく形成された軟骨、軟骨芽細胞(Cb)、軟骨細胞(Cy)はマトリックス(m)にぴったりと接触している。9日目の移植片の軟骨の分化により、軟骨のカルシウム沈着、軟骨細胞の肥大、血管の侵入、および新しい骨の形成の開始が全て明らかになった(図10C、220ng COS生産蛋白質、約5%純粋)。キャピラリーの侵入(c)および血管内皮の近くの好塩基性の造骨細胞の出現(矢印で示された)は特に明らかである。移植の12日後までに広範囲な骨形成および改造がおきた(図10D(220×)、および図10E(400×)、CHO生産蛋白質、約60%純粋)。造骨細胞によりつくられて新しく形成された骨は多核の造骨細胞(Oc)により改造されつつあり、移植されたマトリックスは再吸収されつつあり、そして改造された骨により取り替えられつつある。新しく形成された小骨の骨の骨髄の出現もまた明らかである。最後に、小骨内部の造血骨の骨髄の分化は、移植後22日目に観察され得る(図10F、500ngのBSC生産蛋白質、30%純粋)。このときまでに、ほとんどの移植されたマトリックス( m)は再吸収されそして赤血球および顆粒細胞系および巨核細胞を含んだ骨の骨髄の要素で満たされた小骨を含む新しく形成された骨により占められている。同様な組織学的な観察が、90%よりも純粋なOP1蛋白質の調製物を取り込んだ移植片でも見られた。
【0133】
図11はお湯で処理されたウシマトリックスおよびOP1(BSCで生産された)を使用した異種性の移植片の移植後12日目の組織学を表す顕微鏡写真である。造血骨の骨髄の要素の出現は、OP1をもちいた異種性移植の骨形成活性が同種型の移植のそれとパラレルである事を表す、マイクロ写真において明らかである(図11と図10Dおよび図10Eを比較せよ)。
【0134】
OP1のマトリックスの移植により示されそして図10および図11において明らかにされた細胞の変化は、胎児の発生の間に起こる軟骨性骨の分化に本当ににている。軟骨性骨の分化は優勢なルートであったが、移植片の外側の表面の膜内部の骨の形成の証明もある。
【0135】
図12および図13は本発明の同種型の移植片(図12)および本発明の異種性移植(図13)のアルカリホスファターゼ特異的活性およびカルシウム含有量により決定されるような、移植後12日目の骨形成活性の用量依存性を表す。すべての場合において、OP1蛋白質の濃度(イムノブロット染色あるいはゲルスキャニングにより定量された)はナノグラムで表されている。それぞれの場合において、骨の誘導活性はすべての細胞において用量依存的にOP1に対して特異的である。
【0136】
本発明はその精神または必須の特性から離れることない他の特定の形で具体化されうる。したがって本明細書中の態様はすべての面において例示的な限定されないものとして考えられ、本発明の範囲は前述の記述よりもむしろ添付された請求の範囲により決定され、請求の範囲と均等の目的および範囲内において生じるすべての変化はしたがってここに包含されることを意図されている。
【0137】
本発明自身、さらにそのさまざまな特徴、本発明の前述のおよび他の目的は添付の図面とともに解釈されるとき、以下の説明からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1A】脱イオン化され、脱脂されたラットの骨コラーゲン粒子の電子顕微鏡写真(5000x)である。
【図1B】脱イオン化され、脱脂されたウシの骨コラーゲン粒子の電子顕微鏡写真(5000x)である。
【図2A】ヒトOP1遺伝子のプレプロフォームの完全長のcDNAおよびコードされるアミノ酸配列(Seq. ID No.7)を表す図である。
【図2B】図2Aの続きを示す図である。
【図3A】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図3B】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図3C】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図3D】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図3E】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図3F】OP1の哺乳動物細胞における発現のために考案されたさまざまな発現ベクターの制限地図を示す図である。
【図4】COS細胞−(A)pH717,(B)pH731;CHO細胞−(C)pH754,(D)pH752およびBSC細胞−(E)pH717,(F)pW24;から発現されたOP1を比較するウエスタンブロット(イムノブロット)を示す電気泳動写真である。
【図5A−1】BSC細胞から発現され、S−セファロースで精製されたOP1の溶出図である。
【図5B−1】BSC細胞から発現され、フェニルセファロースで精製されたOP1の溶出図である。
【図5C−1】BSC細胞から発現され、C−18カラムで精製されたOP1の溶出図である。
【図5A−2】BSC細胞から発現され、S−セファロースで精製されたOP1のSDS−PAGEゲルの電気泳動写真である。
【図5B−2】BSC細胞から発現され、フェニルセファロースで精製されたOP1のSDS−PAGEゲルの電気泳動写真である。
【図5C−2】BSC細胞から発現され、C−18カラムで精製されたOP1のSDS−PAGEゲルの電気泳動写真である。
【図6】ヂチオスレイトールで還元後(18kD,レーン5)の酸化状態の完全なダイマー(36kD,レーン1)および対応するモノマーと分子量スタンダード(レーン2−4)を比較したBSC細胞から精製されたOP1のSDS−PAGEの電気泳動写真である。
【図7A】水中で37℃において熱処理された、脱イオン化され、脱脂されたウシの骨のマトリックスの走査電子顕微鏡写真(約1000x)である。
【図7B】水中で45℃において熱処理された、脱イオン化され、脱脂されたウシの骨のマトリックスの走査電子顕微鏡写真(約1000x)である。
【図7C】水中で55℃において熱処理された、脱イオン化され、脱脂されたウシの骨のマトリックスの走査電子顕微鏡写真(約1000x)である。
【図7D】水中で65℃において熱処理された、脱イオン化され、脱脂されたウシの骨のマトリックスの走査電子顕微鏡写真(約1000x)である。
【図8】湯で処理された子ウシのマトリックスから単離された抽出物の214nmにおける吸光の記録を示すグラフであり、個々の画分はin vivoの骨の形成への阻害効果を同定した。
【図9A】お湯で処理されたマトリックスの抽出物のOP1活性に対する阻害効果をアルカリホスファターゼ活性を抽出溶媒の濃度の増加との関連で測定することにより表した棒グラフである。
【図9B】お湯で処理されたマトリックスの抽出物のOP1活性に対する阻害効果を12日目の移植片のカルシウム含有量を抽出溶媒の濃度の増加との関連で測定することにより表した棒グラフである。
【図10A】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図10B】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図10C】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図10D】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図10E】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図10F】COS,BSCおよびCHO細胞から発現され、そして軟骨形成の発生カスケードに続くOP1の同種の移植片の光学顕微鏡写真(200×)である。
【図11】BSC細胞から発現されたOP1およびお湯で処理された外因性ウシマトリックスを使用した本発明の異種性移植物の組織構造(12日目)の光学顕微鏡写真である。
【図12】COS,BSCおよびCHO細胞から発現されたOP1を含む同種移植片のアルカリホスファターゼ活性およびカルシウム含有量により測定された12日目の同種移植片の薬剤量依存性を表すグラフである。
【図13A】COSおよびBSC細胞において発現されたOP1の薬剤量に対する依存性を蛋白質の濃度の増加に対する(ngで表される薬剤量曲線)アルカリホスファターゼ活性を測定することにより表した棒グラフである。
【図13B】COSおよびBSC細胞において発現されたOP1の薬剤量に対する依存性を蛋白質の濃度の増加に対する(ngで表される薬剤量曲線)異種性移植片(12日目)におけるカルシウム含有量を測定することにより表した棒グラフである。
【0139】
(配列表)
配列番号:1
配列の長さ:139
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0140】
【数13】

【0141】
配列番号:2
配列の長さ:132
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0142】
【数14】

【0143】
配列番号:3
配列の長さ:119
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0144】
【数15】

【0145】
配列番号:4
配列の長さ:117
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0146】
【数16】

【0147】
配列番号:5
配列の長さ:116
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0148】
【数17】

【0149】
配列番号:6
配列の長さ:114
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:蛋白質
配列
【0150】
【数18】

【0151】
配列番号:7
配列の長さ:1822
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
ハイポセティカル:なし
アンチセンス:なし
起源
生物名:ウシ
組織の種類:骨
直接の起源
ライブラリー名:ヒト胎盤
配列
【0152】
【数19】

【0153】
【数20】

【0154】
【数21】

【0155】
【数22】

【0156】
【数23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレプロ−またはプロ−OP1をコードする単離されたDNA配列であって、配列番号1の核酸残基1〜1822に対応するヌクレオチド配列を含む、DNA配列。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5A−1】
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【図5B−1】
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【図5C−1】
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【図5A−2】
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【図5B−2】
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【図5C−2】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2006−68018(P2006−68018A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274803(P2005−274803)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【分割の表示】特願2003−348890(P2003−348890)の分割
【原出願日】平成2年10月15日(1990.10.15)
【出願人】(595148888)ストライカー・コーポレーション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2725 Fairfield Road,Kalamazoo,Michigan United States of America
【Fターム(参考)】