骨折部固定プレート成形システム
【課題】骨プレート内のネジ孔と位置合わせした状態で、骨内に孔を容易にドリル加工するためのキットおよび成形用工具を提供する。
【解決手段】取外し可能なガイド先端部は、骨折部固定プレートのネジ孔内に事前に組み付けられている。ガイド先端部は、骨プレート内に画定されたネジ孔の軸に沿って行うドリル加工を案内するドリルガイドと共に使用されてもよく、あるいは当該ドリルガイドなしで使用されてもよい。さらに、ガイド先端部は、横方向、縦方向および捻れ方向に、骨プレートを成形するための屈曲用工具と共に使用されてもよい。より詳細には、このような骨プレートに対する成形は、当該骨プレートが骨上に位置決めされている間、実行される。
【解決手段】取外し可能なガイド先端部は、骨折部固定プレートのネジ孔内に事前に組み付けられている。ガイド先端部は、骨プレート内に画定されたネジ孔の軸に沿って行うドリル加工を案内するドリルガイドと共に使用されてもよく、あるいは当該ドリルガイドなしで使用されてもよい。さらに、ガイド先端部は、横方向、縦方向および捻れ方向に、骨プレートを成形するための屈曲用工具と共に使用されてもよい。より詳細には、このような骨プレートに対する成形は、当該骨プレートが骨上に位置決めされている間、実行される。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
この出願は、2004年12月14日に出願された米国特許出願第11/011,917号の一部継続出願であり、当該米国特許出願の開示内容は、全体が、参照によって、この明細書に組み込まれるものである。
【0002】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
この発明は、広範囲に外科用装置に関するものである。より詳細には、この発明は、整形外科用のインプラント、特に骨プレートを植え込みし、かつ、成形するための構成要素に関するものである。
【0003】
〔先行技術に関する陳述〕
長尺骨の骨幹端骨折は、治療困難なことがある。不適切な治療を行うと、骨が変形し、かつ、長期間にわたって不快な症状に悩まされることになる。
【0004】
一例として、コリース骨折(Colles' fracture)は、橈骨遠位端(distal radius)上に印加される圧縮力に起因するものであり、遠位側の骨部分を後部、すなわち背面側へ位置ずれさせ、手首部分で手を橈側へ変位させる。しばしば、コリース骨折では、複数の骨部分が移動可能になり、当該複数の骨部分が相互に位置ずれする場合がある。仮に、不適切な治療が行われた場合には、上述のような骨折では、手首が永続的に変形し、かつ、手首の関節運動が制限されることになる。したがって、適切に治癒されるように、骨折部分の位置を整え、かつ、骨を互いに対して固定することが重要である。
【0005】
骨幹端の骨折に対する整骨および固定は、典型的には、ギブス包帯、外部からの固定、ピン止めおよび添木を含む数種の方法の一つによって実行されている。ギブス包帯は、非侵襲的であるが、多くの骨部分が存在するような部位での骨折の整骨状態を維持できないことがある。これに代えて、外部固定器が使用されてもよい。外部固定器は、関節部を越えて緩和力を付与し、かつ、靭帯周辺部上に印加された張力に基づいて骨部分が整骨できる靭帯整復術として公知の方法を利用するものである。しかしながら、外部固定器は、手首骨の位置を維持することはできるが、特定の骨部分では、最初に適切に整骨することは困難な場合がある。さらに、外部固定器は、複数の骨部分となる骨折、すなわち複雑骨折には、しばしば、適していない。K-ワイヤ(キルシュナー銅線(Kirschner wires))を用いたピン止めは、非侵襲的な処置であり、これにより、ピンは種々の骨部分内に位置決めされる。このような方法は、困難で、時間がかかる処置であり、骨が粉砕されている、すなわち骨粗しょう症となっている場合に、その骨の固定が制限される。
【0006】
添木の方法は、典型的には骨に対して配置される金属製の安定化プレートと、この安定化プレートを貫通して位置決めされ、かつ、関節運動型の骨表面の近傍のドリル孔に導入される固定角ファスナー(表面にネジが形成されたシャフトを有していてもよいし、あるいは表面にネジが形成されていないシャフトを有していてもよい)と、上記のプレートから、骨内に形成されたドリル孔内に向けて延在して、骨折部分の固定を安定化させる皮質ネジと、を利用するものである。例えば、本出願人が共有する米国特許出願公開第20040193164 A1号公報は、手首の掌側から背面側へ位置ずれした骨幹端骨折を治療するように、特に構成されたプレートを開示しており、その開示内容は、全体が、参照によって、この明細書に組み込まれるものである。
【0007】
固定角ファスナーが骨プレートと共に利用される場合には、当該固定角ファスナー導入用にドリル加工される案内孔が複数の孔の軸と確実に同軸になることが必要である。そうしなければ、上記の固定角ファスナーのシャフトは、解剖学的構造と適切に位置合わせしないはずであり、かつ、当該ファスナーのヘッド部は、骨プレートのネジ孔と適切に位置合わせしないはずであり、場合によっては、ネジ方向と交差することになる。結果として、骨上に配置されたプレートでは、当該骨内に、ネジ孔と位置合わせするように各ドリル孔を形成する前に、プレートのネジ孔にドリルガイドが取り付けられる。このドリルガイドは、特定のネジ孔を貫通するファスナーに対して適切な方向にドリル用の錐を向ける管状の通路を画定する。各孔を形成した後に、ドリルガイドが取り外され、ファスナーがネジ孔内に挿入され、その後、ドリルガイドがネジ孔に連結される。
【0008】
外科処置中におけるドリルガイドを取り付ける工程には根気が必要である。各ネジ孔が他のネジ孔とは別の軸角度を有するという条件がある場合には、外科処置中に、ドリルガイドをペグ孔に螺合するのに適切な角度を位置決めすることが困難なことがある。このような困難性は、外科処置を不必要に長引かせることになる。
【0009】
さらに、複数のフラグメントプレートは、骨の骨幹に沿う骨折、あるいは特定の骨幹・骨幹端または骨幹端部における骨折を固定するために、通常、使用される。このようなプレートは、概ね細長く、L字形状、Y字形状あるいは骨の一部上に配置されるのに適した他の形状を有している。フラグメントプレートの長さは、対象とする固定方法によって変更される場合がある。複数のフラグメントプレートに複数のネジ孔が設けられている場合には、当該複数のフラグメントプレートは、掌プレートに対して与えられる上述の負荷と同一の実際的な負荷強度を受けることになり、換言すれば、固定角ファスナーを貫通して収容するための孔の軸と位置合わせした孔をドリル加工するためのドリルガイドを各ネジ孔に取り付けるには根気が必要である。
【0010】
さらに、複数のフラグメントプレートが設計される対象である解剖学的構造は、しばしば、当該プレートの骨接触面の正確な輪郭とは異なっている。いくつかの理由で、当該解剖学的構造に当該プレートをより良く適合させるために、植え込み処置中に、ネジ孔を有するフラグメントプレートの輪郭を再形成することは実用的ではなかった。第一に、角度が固定されていないフラグメントプレートとは異なり、当該プレートのネジ孔内に成形用工具を挿入し、かつ、当該工具でプレートに力を印加すると、ネジ孔が、ネジが形成されたファスナーを受け入れない程度に、ネジが変形する。第二に、解剖学的構造に最も良く適合させるためには、プレートの輪郭が、縦方向、横方向および捻れ方向を含む三次元で、再形成される必要がある。このような変形を非常に硬い金属プレートに与えることは、骨上にプレートを配置し、骨を取り外して再成形し(remove the bone reshaping)、骨上にプレートを戻し、修正するなどしなければならず、困難である。すなわち、このような再成形が骨から離れた位置で行われる場合には、どのようなプレートであっても、そのプレートを再成形して骨にしっかりと適合させることは非常に困難である。
【0011】
〔発明の概要〕
したがって、この発明の目的は、骨プレート内のネジ孔と位置合わせした状態で、骨内に孔を容易にドリル加工することにある。
【0012】
この発明の他の目的は、外科手術時に、骨プレート内に形成され、角度を固定したネジ孔と位置合わせした状態で、ドリルガイドに接続する際に生じる困難を解消することにある。
【0013】
この発明の他の目的は、プレートが骨上に配置された際にそのプレートを再成形するシステムを提供することにある。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、プレートを三次元で再成形できるシステムを保護することにある。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、プレート再成形中に、角度を固定した孔のネジを保護するシステムを提供することにある。
【0016】
これらの目的は以下に詳述されるが、これらの目的を踏まえて、ドリルガイドの先端部は、プレートのネジ孔の少なくとも一つ、好ましくはネジ孔ごとに事前に組み付けられており、これにより外科医は、骨上に位置決めされたプレートにドリルガイドを装着する必要がない。事前組付けは、手術室の専門技術者あるいは製造工場で実行可能である。ドリルガイドの先端部は、再使用可能であっても、あるいは使い捨て可能であってもよい。ドリルガイドの先端部は、当該先端部がその近傍の先端部を干渉せず、あるいは、プレート上の近傍の構造体または当該プレート内に挿入されるはずの近傍の構造体を干渉しないように十分に短く設定されている。
【0017】
ドリルガイドの先端部をプレートに事前に組み付ける好適な方法では、一群の短ピンは、当該ピンがプレート内の孔を貫通して、当該孔の軸と同一の角度に沿って延在するように、プレート下に配置されている。次いで、ピンは正確な角度で、孔内に螺合される先端部を案内する。これに代えて、一群のピンを利用せず、ドリルガイドの複数の先端部が、適切な角度で、孔内に個別に案内される。フラグメントプレートについては、そのような適切な角度は、典型的には、プレートの骨接触面に対して直角である。
【0018】
ドリルガイドとして先端部を使用する場合に二つの選択肢がある。一つ目の選択肢は、ドリルガイドの延長部を取り付けることである。先端部および延長部は、共に、従来のドリルガイドとして機能する。ドリル加工後に、延長部は、プレートから先端部を取り外すのに使用される。二つ目の選択肢によれば、先端部は、いかなる延長部も付加しないで、ドリル用錐のガイドとして使用され、その後に、別体の工具で取り外される。
【0019】
さらに、ガイドの先端部は、ドリルの案内以外の目的を有している。当該ガイドの先端部は、プレート屈曲用工具とともに、使用可能であり、このガイドの先端部は、間隔をもって配置され、かつ、力によって変形可能なプレートの部分によって分離された複数の角度固定孔を有するフラグメントプレート上にガイドの先端部が事前に組み立てられた場合に、特に有利である。好ましくは、二つの工具は、共に、プレートを屈曲させるのに使用され、これら屈曲用工具は、第1端部および第2端部を有しており、両端部は、プレート内に形成された二つの隣接する孔内のガイドの先端部内に少なくとも部分的に挿入される。トルクは、ネジ孔内に挿入されたガイドの先端部に各工具の第1端部を連結し、かつ当該工具を操作することによって印加され、横方向の屈曲力(すなわち、プレート面内での屈曲力)は、ガイドの先端部の第2端部で印加され、縦方向の屈曲力は、複数のガイドの先端部における複数の第1端部または第1端部および第2端部の組み合わせで印加される。屈曲用工具は操作可能であり、屈曲力は、骨表面に密着しているプレートを再成形するために、プレートが直接、骨上に位置決めされた状態で、プレートを再成形するように印加されてもよい。プレートが二つの孔で構成されるセットごとに成形されるので、屈曲用工具は、取り外され、ガイドの先端部は、上述したように、プレートの当該部分の下の骨内に孔をドリル加工するドリルガイドとして使用可能である。次いで、角度を固定したネジは、フラグメントプレートの当該部分を骨に連結するのに使用される。プレートの隣接部分は、その後に、プレート全体が成形され、かつ、骨に連結されるまで工程を繰り返すような方法で、成形され、かつ、骨に固定される。
【0020】
この発明の他の目的および利点は、添付された図面に関連した詳細な記述を参照することで、この技術分野における当業者に明白になるはずである。
【0021】
〔この発明の詳細な説明〕
ここで、図1を参照すると、骨プレート10が示されている。図示された骨プレート10は、特に、橈骨遠位端の掌側の部分を置換するための部材である。骨プレート10は、ペグのヘッド部またはロック用ネジ(図示せず)を螺合させて収容するための、ネジが形成された複数のペグ孔12と、固定した角方位でK-ワイヤを接近させて収容するように寸法が設定され、相対的に小さな位置合わせ用の孔14を有している。好適な骨プレートでは、ペグ孔の軸は、すべて、互いに傾斜している。一つのペグ孔内には、挿入用工具18で当該孔内に事前に組み付けられたドリルガイドの先端部16が示されている。図1および図2を参照すると、好適な実施の形態では、挿入用工具18とドリルガイドの先端部16との間の係合は、先細り状の矩形部20が円形の開口部22に係合することでなされるが、骨プレート10と係合し、かつ、その係合を解除した状態で、先端部16を回転させるのに十分な摩擦力を矩形部20の縁部が与えている。同様に、他の適切な係合も使用可能である。
【0022】
骨プレート10のペグ孔内への先端部16の事前組付けは、外科手術中に、一旦、骨プレート10が骨上に位置決めされると、外科医がプレートにドリルガイドの先端部16をねじ込む必要がないように、実行されることが好ましい。事前組付けは、手術室の専門技術者または製造工場で実行可能である。事前組付けの好適な方法では、一群の短ピン24は、当該短ピン24が骨プレート10内の孔を貫通して、当該孔の軸と同一の角度に沿って延在するように、骨プレート10下に配置されている。次いで、短ピン24は正確な角度で、孔内に螺合される先端部16を案内する。フラグメントプレートについては、そのような角度は、典型的には、プレートの骨接触面に対して直角である。短ピン24および挿入用工具18は、これらの構成要素が互いに干渉しないように、寸法が設定されている。これに代えて、一群のピンを利用せず、ドリルガイドの複数の先端部16が、適切な角度で、孔内に個別に案内される。ドリルガイドの先端部16は、再使用可能であっても、または使い捨て可能であってもよい。
【0023】
図2および図3を参照すると、ドリルガイドの先端部16は、円錐台形状に先細りした上部30と、ネジが形成された下部32を有しており、当該複数の先端部16は、隣接する先端部を干渉せず、あるいは、骨プレート10上の隣接する構造体または骨プレート10内に挿入されるはずの構造体、例えば、位置合わせ用の孔14を貫通するK-ワイヤ50を干渉しないように十分に短く設定されている。これに代えて、上部30は円筒形状であってもよい。先端部16のネジが形成された下部32は、骨プレート10へのねじ込みが、製造工場(最善の場合)であろうと、医療施設での事前の植え込みであろうと、外科手術環境から離れた、より簡易な条件下で、実行されるので、従来のドリルガイドと同様である必要はない。ネジ部分を短縮化することで、従来のドリルガイドと比較して、骨プレート10の下のガイド先端部の突起を小さくでき、これにより、以下にさらに詳述されるように、骨プレート10を、ドリル加工中に骨に接近した状態で配置することができる。
【0024】
また、ドリルガイドの先端部16は、橈骨遠位端用のプレート内に形成された遠位側の孔列用のドリルガイドのための「皿」孔(“countersink” holes)を必要としない。より詳細に説明すると、従来の技術では、ネジが形成されたペグ孔を貫通して挿入されることになるペグシャフトの外径より大きな外径を有するドリル用の錐で、遠位側のネジが形成されたペグ孔列を貫通して、骨内に孔を最初にドリル加工する必要がある。骨プレート10は、遠位側の孔列においては、非常に薄くなっている。従来のドリルガイドは、「ノーズ(nose)」部分を有しており、このノーズ部分は、円筒形状であり、ネジが形成されておらず、ペグ孔のネジ部のピッチ(0.58ミリメートル(0.023インチ))より僅かに長い約0.76ミリメートル(約0.030インチ)の長さを有している。ノーズ部分の外径は、ネジ部の完全な一回転でネジ部を案内し、かつ、ネジ部が螺合される前に、孔の方向を確立するように、ネジ部の内径より僅かに小さい。仮に、骨プレートのネジ深度が非常に浅い(遠位側の孔の場合と同様に)場合には、骨ブロックが入るので、骨プレートの下側にはドリルガイドのノーズ部分のための空間的な余裕がない。このため、皿孔をドリル加工する必要が生じる。
【0025】
この発明によれば、ドリルガイドの先端部が他の指示部(guidance)(例えば、上述した一群の短ピン24)で、あるいは自由に組み立てられることになるので、ドリルガイドの先端部にはノーズ部分が必要ない。ドリルガイドの先端部は、当該先端部が橈骨遠位端用のプレート内に形成されたペグ孔のネジ部を保持し続ける必要から、非常に短く形成されてもよい。先端部を骨プレートに対して十分に連結する一回転半のネジ部の螺合が図示されており、図4は、ドリルガイドの先端部16が骨プレート10の底部52を貫通して突出しない状態を示している。皿孔を必要としないことに加えて、ドリルガイドの先端部が非常に短くなっているという事実は、骨プレートを骨上にほとんど完全に当接するように配置するという結果をもたらす。さらに、従来のドリルガイドの、円筒形状で、ネジ部が形成されていないノーズ部分は、外科医がペグ孔の現在の角度を感触で知るのを手助けするだけの働きしかないものであり、この発明には必要ない。各先端部に好適な寸法は、約3.81ミリメートル〜6.35ミリメートル(約0.150インチ〜0.250インチ)であり、確実に25.4ミリメートル(1インチ)未満である。このような先端部は、骨プレート10の上面(骨接触面とは反対側の面)の上に、短い距離(最大25.4ミリメートル(1インチ)、好ましくは、6.35ミリメートル(0.25インチ)以下)で隆起する。
【0026】
ドリルガイドとして先端部を使用する場合には二つの選択肢がある。第1の選択肢によれば、先端部16はドリル用錐の唯一のガイドとして使用され、その後に、挿入用工具18に類似した工具で取り外される。先端部16の長さは、ドリル用錐を十分に案内する程度とされる。この用途では、先端部16の内面は、好ましくは硬質の、例えば金属材料で形成されている。したがって、先端部16は、全体的に金属材料で形成されてもよく、あるいは金属製の成形チューブが内部に挿入されたプラスチック製の外側本体、例えば、硬質であり、かつ、薄壁を有するタイプを容易に入手できるハイポチューブ(hypotube)であってもよい。
【0027】
第2の選択肢によれば、図5を参照すると、ドリルガイド延長部34は、先端部16の頂部に取り付けられてもよい。先端部16および当該延長部34は、共に、実物大のドリルガイドとして機能する。先端部16に対するドリルガイド延長部34の係合により、好ましくは、一定の内径が連続している通路がドリルガイド延長部34および先端部16の内部を貫通して設けられる。そのためには、ドリルガイド延長部34の端部36には、好ましくは、段差を設けて、先端部16の上部30に適合させる。外科医は、ドリルガイド延長部34および先端部16を通じてドリル加工を行うことにより、選択された長さのペグ用のドリル加工孔の深度を測定するための定規および/または計測器と併せて使用でき、より長いガイドを活用することができる。ドリル加工後に、ドリルガイド延長部34および先端部16は、骨プレート10から取り外されるが、ドリルガイド延長部34は先端部16の取外し用の工具として機能してもよい。実際には、先端部16の上部30の先細り部は、回転係合を許容するドリルガイド延長部34による軸方向の摩擦係合の手段を提供する。一旦、骨プレート10から取り外されると、先端部16は、その後、手でドリルガイド延長部34側へ引っ張られるか、あるいは手が触れることなく、容器内に配されてもよい。
【0028】
外科セット内には、先端部16が取り外されるときに、数をカウントされる先端部16を収集する、すなわち、骨プレートから分離されたすべての先端部16が手術部位から取り外されるのを保証する手段が設けられることが望ましい。先端部の収集を容易にするために、ドリルガイドの先端部が非常に目立つ色、例えば緑色または青色を有することが望ましい。先端部が金属製である場合には、望ましくは、チタンまたはアルミニウムで成形し、かつ、患部および骨プレートの背景と対照的な鮮やか色に陽極酸化させてもよい。専用の容器が設けられてもよく、あるいはネジ孔を有するダミーのプレートが、先端部を当該ネジ孔に取り付けるために、使用されてもよい。
【0029】
ドリルガイド延長部を用いずに、先端部16を通じて行うドリル加工に関して、先端部16内の遊びを低減させるために、望ましくは、円筒状のドリル用錐を修正する、例えば、捻れ部分を短くし、および/または長くしてもよい。
【0030】
先端部およびドリルガイド延長部の他の実施の形態が提供されてもよい。例えば、図6および図7を参照すると、先端部116は、外部が螺旋形状、または、トルクの伝達を容易にすることになる、あらゆる非円形の外部断面形状となっている上部130を有してもよい。骨プレートから先端部を取り外すためには、外科医は、ドリルガイド延長部を回転させ、先端部の螺合を解除する。
【0031】
ここで、図8および図9を参照すると、この発明の他の実施の形態によれば、先端部216は、当該先端部216の本体230上の一つまたはそれ以上の側方突起部240と、この側方突起部240に対応する延長部234内の「鍵型スロット」242とによって、延長部234に連結されてもよい。
【0032】
図10を参照すると、この発明のさらに他の実施の形態によれば、先端部316は、当該先端部316の円形状の内側開口部322に一つまたはそれ以上の角部344と、この角部344に対応し、先端部316に対して摩擦による係合をなす延長部の外側角部とを設けることによって、延長部に連結されてもよい。
【0033】
図11および図12を参照すると、この発明の他の実施の形態によれば、先端部416は、半径方向に沿って切り欠かれた上部スロット446(例えば、180°または120°の間隔で離間している)を含めてもよく、延長部434は、当該スロット446に対応して、半径方向に沿って形成され、かつ、当該スロット446において先端部416と係合するペグ448を有している。
【0034】
図13および図14を参照すると、先端部516は、以下に記述されるように、当該先端部516が連結される孔502のネジを変形させない方法で、フラグメントプレート500を屈曲させる場合にも使用できる。先端部516は、円筒形状であり、その内側に角部544を有しており、この角部544により、ガイドの延長部の取外しおよび/または連結を支援することができる。上述の変形は、他の方法でも、孔502が、後にネジ孔内に螺合されるネジ頭部を備えた固定角ファスナーを収容するのを防止することができる。フラグメントプレート500は、一列の交互円形部504と、これらの円形部504を接続し、当該円形部504より相対的に狭い幅を有するブリッジ部506とを有し、円形部504内にネジ孔502が設けられているように設計することが好ましい。各ネジ孔502には、ガイド先端部516を設けることが好ましいが、当該先端部516は、フラグメントプレート500の形状を左右するプレート500の輪郭を通常、構成するのに役立ち、かつ、骨に最もよく適合するものと認識される位置に、計画的に、事前に組み立てられてもよい。
【0035】
図15を参照すると、二つの好適な同一形状を有する成形用工具550aおよび550bは、先端部516に連結できる端部を有しており、当該成形用工具は、共に、プレート500の輪郭を形成するのに使用される(図13および図14)。以下に詳述されるように、工具550a、550bおよび先端部516は、骨上に直接、位置決めされるような輪郭のプレート500を形成することができる。各工具は、成形用工具550aにおいては、ハンドル部552aと、ガイド先端部516内に少なくとも部分的に挿入される第1端部554aおよび第2端部556aとを有している。第1端部554aは、好適には軸方向に延在し(あるいは、少なくともハンドル部552aの縦軸ALに概ね平行な方向に延在し)、かつ、ガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有するペグ部558aを有している。第2端部556aには、四つのペグ部560a、562a、564aおよび566aが設けられており、そのうち、二つのペグ部は、当該第2端部556aの両側部568aおよび570a上に、ハンドル部552aの縦軸ALと交差する方向に延在している。当該側部の一つである側部568aでは、最も端に位置するペグ部560aがガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有しており、当該ペグ部560aより内側のペグ部562aが階段状に外径が小さくなっている頭部572aを有しており、これに対して、第2端部556aの反対側の側部570aでは、最も端に位置するペグ部564aが階段状に外径が小さくなっている頭部574aを有しており、当該ペグ部564aより内側のペグ部566aがガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有している。すべてのペグ部は、概ね円筒状であるのが好ましいが、多角形または僅かに先細り形状であってもよい。
【0036】
以下に記述されるように、成形用工具550aおよび550bは、ガイド先端部516においてフラグメントプレートに連結されて、トルク、横方向の屈曲力および縦方向の屈曲力を印加して当該フラグメントプレートの輪郭を形成することができる。上述の成形用工具は、プレートの成形を局所的に制御するために、隣接のガイド先端部に連結されることが好ましい。次いで、当該プレートは、当該プレートの隣接部分が必要に応じて順次成形されるような、ひと続きの成形ステップを通じて成形される。さらに、当該成形ステップのすべては、以下に記述されるように、プレートが骨上に位置決めされた状態で、実行されてもよい。
【0037】
図16を参照すると、トルクをプレートに印加してプレートに捻れを生じさせるために、成形用工具550aおよび550bの第1端部554aおよび554bに設けられたペグ部558aおよび558b(図15)は、好ましくは、隣接するガイド先端部516aおよび516b内に挿入されている。次いで、成形用工具550aおよび550bのハンドル部552aおよび552bは、当該工具間のプレートのブリッジ部506に沿ってトルクを印加するように、互いに横方向に押圧される。上述のようなトルクは、ネジ孔を変形させることなく、プレート内に捻れをもたらす。
【0038】
図17および図18を参照すると、横方向の屈曲力(すなわち、プレートの面内での屈曲)は、ガイド先端部516aおよび516bに連結され、その後に、成形用工具を操作する成形用工具550aおよび550bの第2端部556aおよび556bによって印加される。図18を参照すると、より詳細には、成形用工具550a上では、ペグ部566a(図18には図示せず。図15参照)がガイド先端部516a内に挿入され、ペグ部564aの頭部574aが、成形用工具550aのハンドル部552aによって印加される回転力を伝達するプレートのブリッジ部506aに対する回転阻止部として、機能する。成形用工具550b上では、ペグ部566b(図18には図示せず。図15参照)がガイド先端部516b内に挿入され、ペグ部564bの頭部574bが、成形用工具550bのハンドル部552bによって印加される回転力を伝達するプレートのブリッジ部506bに対する回転阻止部として、機能する。成形用工具550aおよび550bが共に操作されるときには、その操作により生じた力がプレートにかかり、ガイド先端部が連結されるプレートの部分504a、504b間に配置されたブリッジ部506aにおいて横方向の屈曲が生じる。
【0039】
図19を参照すると、縦方向の屈曲力は、成形用工具550aの第1端部554aにおけるペグ部をガイド先端部516c内に挿入し、かつ、第2の成形用工具550bの第1端部554bまたは第2端部556b(図示されている)における一つのペグ部、例えばペグ部560bをガイド先端部516d内に挿入することによって、印加される。ガイド先端部516dに連結された第2端部556bでは、そのハンドル部552bは骨に対して安定化される。次いで、成形用工具550aのハンドル部は、二つの成形用工具間のブリッジ部504においてプレート500を屈曲するように、操作される。
【0040】
成形用工具がプレートの表面下のいかなる位置にも連結されず、骨または骨接触面を干渉する部分を一切、有さないので、プレートの成形を骨上で直接行うことができる。一つの操作方法では、まず、孔を、プレートの一端におけるガイド先端部を通じてドリル加工する。次いで、ガイド先端部を取り外し、ネジ付きファスナーを、フラグメントプレートのネジ孔を通じてドリル加工孔内に挿入して、プレートを骨に連結する。次に、成形用工具をプレートに沿って作動させ、上述したように、最初に連結した孔から離れる方向に孔ごとに移動させて、プレートを骨に適合させるように成形する。プレートが孔ごとに成形されるときに、各ガイド先端部を通じて孔をドリル加工し、ガイド先端部を取り外し、ネジ付きファスナーを挿入して当該プレートを骨に保持する。次に、プレートの輪郭が完全に形成され、かつ、プレートが骨に連結されるまで、工具を、成形されるプレートに沿う次の一群の孔に向けて移動させる。他の操作方法では、プレートがその端部において骨に連結された後に、当該プレートは、残りの孔において骨に連結される前に、その全長部分に沿って成形される。さらに他の操作方法では、プレートは、当該プレートがいかなるネジ孔で取り付けられる前に、骨に適合させるように成形されてもよい。成形および連結の各ステップ上で他の変更を採用できるものと認識される。
【0041】
この明細書および図面には、ガイド先端部が事前に組みつけられた骨プレート、このガイド先端部を有する骨プレートと共に使用される工具、および当該骨プレート並びに工具を使用する方法の種々の実施の形態が記述され、かつ、図示されている。この発明の特定の実施の形態が記述されているが、この発明が当該特定の実施の形態に限定されることを意図するものではなく、この発明が技術分野において認められる範囲内で広く解釈され、かつ、明細書も同様に広く解釈されることを意図するものである。したがって、背面側の骨折部分のための掌プレートおよび細長い直線的なフラグメントプレートに関するガイド先端部および成形用工具が図示されているが、ガイド先端部が、他の骨プレート上のネジ孔に関連して、同様に使用されるものと正当に評価されるはずである。例えば、ガイド先端部は、当該ガイド先端部が役立つようなすべてのプレートに関連して使用されてもよい。さらに、成形用工具は、他の骨、例えば、鎖骨、尺骨、肘頭、顎骨、頭蓋骨などの骨折部固定プレートを特別に製造するのに使用されてもよく、当該プレートが事前に成形された平板であるか、または解剖学的構造に適合するように形成されている。さらに、角度を固定したネジ孔を備えた橈骨側および尺側を有し、当該橈骨側および/または尺側がガイド先端部を備え、かつ、成形用工具により成形可能である橈骨遠位端用のプレートは、この発明の範囲内に含まれるものと考えられる。また、掌の周縁フラグメントを捕捉するための成形可能なセグメント(複数のセグメント)を有する橈骨遠位端用のプレートも、この発明の範囲内に含まれる。このような成形可能なセグメント(複数のセグメント)は、当該セグメントが使用されない場合には、例えば、プレートで中断されるまで、繰り返し屈曲することによって、プレートから取外し可能とすることは任意である。さらに、この明細書には、ガイド先端部と挿入用/取外し用の工具との間の特定の係合と、ガイド先端部とドリルガイド延長部との間の特定の係合が開示されているが、非破壊的な圧入、スナップ嵌合、差込式ロック等を含む他の適切な係合も使用できるものと理解されるはずである。また、ガイド先端部がネジ孔内に螺合される部材として記述されているが、非破壊的な圧入、スナップ嵌合、差込式ロック等を含み、かつ、ペグ孔の軸と位置合わせされた先端部を保持する、螺合部分を含まない組立体も使用できると正当に評価されるはずである。成形用工具に関して、ペグ部の好適な方位が記述されているが、他の構造も、この発明の範囲内に入る可能性がある。例えば、四つのペグ部は、その二つごとに、例えば90°離れた位置に配置される。さらに、各成形用工具は、その第2端部に二つのペグ部のみを有し、これら二つのペグ部が大きな寸法のペグ部と小さな寸法のペグ部で構成された異なる構造を有してもよい。さらに、隣接する孔内のガイド先端部に成形用工具を連結することによってプレートを成形することが好ましいが、成形可能なプレートのすべての孔にガイド先端部を設ける必要がないと正当に評価され、かつ、成形可能なプレートのすべての孔にガイド先端部を設けているにもかかわらず、複数の成形用工具が当該プレートに沿って比較的に大きな間隔をおいて使用されてもよいと正当に評価される。したがって、この発明の範囲を逸脱することなく、この発明に他の変更が加えられるものと、この発明の属する技術分野における当業者によって正当に評価されるはずである。
【0042】
〔実施の態様〕
以下、この発明の実施の態様を説明する。
(1)骨折部固定プレート成形キットにおいて、
a)縦方向に配置された複数のネジ孔を含む、骨プレートと、
b)前記ネジ孔内に取外し可能に連結された、複数の取外し可能な管状要素と、
c)第1の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第1の成形用工具と、
d)第2の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの他の一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第2の成形用工具と、
を含み、
前記第1および第2の成形用工具は、前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに手動による力を印加するために、前記管状要素に係合可能である、
キット。
(2)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する面を有し、
各前記管状要素は、前記骨プレートに連結された第1の端部、および、前記第1の端部の反対側に位置する端部を有し、
前記反対側に位置する端部は、前記骨プレートの前記反対側の面から約6.35ミリメートル(約0.25インチ)以下の位置に位置決めされている、
キット。
(3)実施態様(2)記載のキットにおいて、
各前記管状要素の前記第1の端部は、ネジが形成された端部である、キット。
(4)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記管状要素は、内径を有し、
前記第1および第2の成形用工具のそれぞれの前記端部分は、前記管状要素内に挿入されるように、前記管状要素の前記内径寸法に近い外径寸法に設定された部分を含む、
キット。
(5)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記成形用工具のうちの少なくとも一つの前記端部分は、前記成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含み、
前記ペグは、前記管状要素の内径寸法に近い外径を有している、キット。
(6)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記端部分は、平行に離間した二つのペグ要素を含み、
前記ペグ要素のうちの少なくとも一つは、前記管状要素の内径寸法に近い外径寸法に設定されている、キット。
(7)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記ペグのうちの一つは、外径が階段状に小さくなっている、キット。
(8)実施態様(7)記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間している、キット。
(9)実施態様(7)記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、キット。
(10)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記端部分は、それぞれ二つのペグを有する第1および第2のセットで配列された、四つのペグを含み、
前記第1のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間し、
前記第2のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、
キット。
【0043】
(11)実施態様(10)記載のキットにおいて、
前記四つのペグは、互いに平行である、キット。
(12)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記成形用工具は、該成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含む、他の端部分を含む、キット。
(13)骨折部固定プレートを屈曲させるための成形用工具において、
a)手動によるてこ作用が可能な剛性のハンドル部であって、縦軸を画定する、ハンドル部と、
b)第1のペグ要素を有する、第1の端部と、
c)互いに平行に離間した第2および第3のペグ要素を有する、第2の端部と、
を含み、
前記第2のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第2および第3のペグ要素の方向は、前記第1のペグ要素に対してある角度に設定されている、
成形用工具。
(14)実施態様(13)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第1のペグの外径より小さい外径を有する端部分を有するように、外径が階段状に小さくなっている、成形用工具。
(15)実施態様(14)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第2のペグ要素より、前記端部分に近接した状態で離間している、成形用工具。
(16)実施態様(14)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第2のペグ要素より、前記端部分からより離れた状態で離間している、成形用工具。
(17)実施態様(15)記載の成形用工具において、
前記第2の端部は、第4および第5のペグ要素を含み、
前記第4のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第5のペグ要素は、端部において縮径するように外径が階段状に小さくなっており、
前記第2および第3のペグ要素は、前記第2の端部の一側部上に位置決めされており、
前記第4および第5のペグ要素は、前記第2および第3のペグ要素に対して回転可能に配置されており、
前記第5のペグ要素は、前記第4のペグ要素より、前記第2の端部の前記端部分からより離れた状態で離間している、
成形用工具。
(18)実施態様(13)記載の成形用工具において、
前記第2および第3のペグ要素は、前記第1のペグ要素を貫通する縦軸に対して交差している、成形用工具。
(19)骨上にプレートを成形する方法において、
a)骨プレートを準備するステップであって、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する上面、を有し、かつ、複数の孔、および、前記孔内に取外し可能に組み付けられた管状要素、を有し、
前記管状要素が前記孔内に組み付けられたときに、前記管状要素は、前記骨プレートの前記上面の上に25.4ミリメートル(1インチ)未満、延在している、
ステップと、
b)骨上に前記骨プレートを位置決めするステップと、
c)前記骨プレートが前記骨上に配置されている間、前記骨に対して前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに力を印加するために、各前記管状要素に係合する端部を有している、第1および第2の成形用工具を用いるステップと、
を含む、方法。
(20)実施態様(18)記載の方法において、
d)前記骨上に前記骨プレートを位置決めするステップの後、ならびに、前記第1および第2の成形用工具を用いるステップの前に、前記管状要素の一つを通じてドリル加工して前記骨内に孔を形成するステップと、
e)前記管状要素の一つを取り外して前記骨プレート内のネジ孔を露出させるステップと、
f)前記ネジ孔およびドリル加工孔を通してファスナーを挿入して前記骨プレートの一部分を前記骨に固定するステップと、
をさらに含む、方法。
【0044】
(21)実施態様(19)記載の方法において、
前記管状要素は、前記骨プレート内のネジ孔内に組み付けられる、方法。
(22)実施態様(21)記載の方法において、
前記管状要素は、螺合により、前記ネジ孔内に組み付けられる、方法。
(23)実施態様(20)記載の方法において、
g)前記ファスナーを挿入するステップの後に、前記第1および第2の成形用工具を用いて、前記骨に対して前記骨プレートを屈曲させるために、前記骨プレートの他の部分に力を印加するステップと、
h)前記管状要素の一つを通じてドリル加工して前記骨内に孔を形成するステップと、
i)前記管状要素の一つを取り外して前記骨プレート内のネジ孔を露出させるステップと、
j)前記ネジ孔およびドリル加工孔を通してファスナーを挿入して前記骨プレートの一部分を前記骨に固定するステップと、
k)必要に応じて、前記ステップg)〜前記ステップj)を繰り返して前記骨プレートを前記骨に合わせて成形し、かつ、固定するステップと、
をさらに含む、方法。
(24)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートを捻るトルクを印加する、方法。
(25)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートに対して横方向の屈曲力を印加する、方法。
(26)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートに対して縦方向の屈曲力を印加する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】骨プレートと、この骨プレートに挿入されるか、または当該骨プレートから工具で取り外されるドリルガイドの先端部とを示す斜視図である。
【図2】ドリルガイドの先端部および工具を示す分解斜視図である。
【図3】ドリルガイドの先端部およびK-ワイヤ(キルシュナー銅線)で負荷を与えられた骨プレートを示す斜視図である。
【図4】ドリルガイドの先端部が骨プレートの底面を貫通して突出しない状態の骨プレートの頭部を示す正面図である。
【図5】ドリルガイドの先端部およびドリルガイド延長部を示す斜視図である。
【図6】ドリルガイドの先端部の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図7】ドリルガイドの先端部の第1の実施の形態を示す上面図である。
【図8】ドリルガイドの先端部の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図9】ドリルガイド延長部の一実施の形態を示す側面図である。
【図10】ドリルガイドの先端部の第3の実施の形態を示す上面図である。
【図11】ドリルガイドの先端部の第4の実施の形態を示す側面図である。
【図12】図11のドリルガイドの先端部に係合可能なドリルガイド延長部の一実施の形態を示す底面図である。
【図13】フラグメントプレートをドリルガイドの先端部と共に示す分解側面図である。
【図14】図13のフラグメントプレートおよびドリルガイドの先端部を示す分解斜視図である。
【図15】一式の成形用工具を示す側面図および斜視図である。
【図16】フラグメントプレートに捻れを与える成形用工具を上方から示す斜視図である。
【図17】フラグメントプレートに横方向の屈曲を与える成形用工具を示す斜視図である。
【図18】図17と同様の状態における成形用工具の拡大図である。
【図19】フラグメントプレートに縦方向の屈曲を与える成形用工具を示す側面図である。
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
この出願は、2004年12月14日に出願された米国特許出願第11/011,917号の一部継続出願であり、当該米国特許出願の開示内容は、全体が、参照によって、この明細書に組み込まれるものである。
【0002】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
この発明は、広範囲に外科用装置に関するものである。より詳細には、この発明は、整形外科用のインプラント、特に骨プレートを植え込みし、かつ、成形するための構成要素に関するものである。
【0003】
〔先行技術に関する陳述〕
長尺骨の骨幹端骨折は、治療困難なことがある。不適切な治療を行うと、骨が変形し、かつ、長期間にわたって不快な症状に悩まされることになる。
【0004】
一例として、コリース骨折(Colles' fracture)は、橈骨遠位端(distal radius)上に印加される圧縮力に起因するものであり、遠位側の骨部分を後部、すなわち背面側へ位置ずれさせ、手首部分で手を橈側へ変位させる。しばしば、コリース骨折では、複数の骨部分が移動可能になり、当該複数の骨部分が相互に位置ずれする場合がある。仮に、不適切な治療が行われた場合には、上述のような骨折では、手首が永続的に変形し、かつ、手首の関節運動が制限されることになる。したがって、適切に治癒されるように、骨折部分の位置を整え、かつ、骨を互いに対して固定することが重要である。
【0005】
骨幹端の骨折に対する整骨および固定は、典型的には、ギブス包帯、外部からの固定、ピン止めおよび添木を含む数種の方法の一つによって実行されている。ギブス包帯は、非侵襲的であるが、多くの骨部分が存在するような部位での骨折の整骨状態を維持できないことがある。これに代えて、外部固定器が使用されてもよい。外部固定器は、関節部を越えて緩和力を付与し、かつ、靭帯周辺部上に印加された張力に基づいて骨部分が整骨できる靭帯整復術として公知の方法を利用するものである。しかしながら、外部固定器は、手首骨の位置を維持することはできるが、特定の骨部分では、最初に適切に整骨することは困難な場合がある。さらに、外部固定器は、複数の骨部分となる骨折、すなわち複雑骨折には、しばしば、適していない。K-ワイヤ(キルシュナー銅線(Kirschner wires))を用いたピン止めは、非侵襲的な処置であり、これにより、ピンは種々の骨部分内に位置決めされる。このような方法は、困難で、時間がかかる処置であり、骨が粉砕されている、すなわち骨粗しょう症となっている場合に、その骨の固定が制限される。
【0006】
添木の方法は、典型的には骨に対して配置される金属製の安定化プレートと、この安定化プレートを貫通して位置決めされ、かつ、関節運動型の骨表面の近傍のドリル孔に導入される固定角ファスナー(表面にネジが形成されたシャフトを有していてもよいし、あるいは表面にネジが形成されていないシャフトを有していてもよい)と、上記のプレートから、骨内に形成されたドリル孔内に向けて延在して、骨折部分の固定を安定化させる皮質ネジと、を利用するものである。例えば、本出願人が共有する米国特許出願公開第20040193164 A1号公報は、手首の掌側から背面側へ位置ずれした骨幹端骨折を治療するように、特に構成されたプレートを開示しており、その開示内容は、全体が、参照によって、この明細書に組み込まれるものである。
【0007】
固定角ファスナーが骨プレートと共に利用される場合には、当該固定角ファスナー導入用にドリル加工される案内孔が複数の孔の軸と確実に同軸になることが必要である。そうしなければ、上記の固定角ファスナーのシャフトは、解剖学的構造と適切に位置合わせしないはずであり、かつ、当該ファスナーのヘッド部は、骨プレートのネジ孔と適切に位置合わせしないはずであり、場合によっては、ネジ方向と交差することになる。結果として、骨上に配置されたプレートでは、当該骨内に、ネジ孔と位置合わせするように各ドリル孔を形成する前に、プレートのネジ孔にドリルガイドが取り付けられる。このドリルガイドは、特定のネジ孔を貫通するファスナーに対して適切な方向にドリル用の錐を向ける管状の通路を画定する。各孔を形成した後に、ドリルガイドが取り外され、ファスナーがネジ孔内に挿入され、その後、ドリルガイドがネジ孔に連結される。
【0008】
外科処置中におけるドリルガイドを取り付ける工程には根気が必要である。各ネジ孔が他のネジ孔とは別の軸角度を有するという条件がある場合には、外科処置中に、ドリルガイドをペグ孔に螺合するのに適切な角度を位置決めすることが困難なことがある。このような困難性は、外科処置を不必要に長引かせることになる。
【0009】
さらに、複数のフラグメントプレートは、骨の骨幹に沿う骨折、あるいは特定の骨幹・骨幹端または骨幹端部における骨折を固定するために、通常、使用される。このようなプレートは、概ね細長く、L字形状、Y字形状あるいは骨の一部上に配置されるのに適した他の形状を有している。フラグメントプレートの長さは、対象とする固定方法によって変更される場合がある。複数のフラグメントプレートに複数のネジ孔が設けられている場合には、当該複数のフラグメントプレートは、掌プレートに対して与えられる上述の負荷と同一の実際的な負荷強度を受けることになり、換言すれば、固定角ファスナーを貫通して収容するための孔の軸と位置合わせした孔をドリル加工するためのドリルガイドを各ネジ孔に取り付けるには根気が必要である。
【0010】
さらに、複数のフラグメントプレートが設計される対象である解剖学的構造は、しばしば、当該プレートの骨接触面の正確な輪郭とは異なっている。いくつかの理由で、当該解剖学的構造に当該プレートをより良く適合させるために、植え込み処置中に、ネジ孔を有するフラグメントプレートの輪郭を再形成することは実用的ではなかった。第一に、角度が固定されていないフラグメントプレートとは異なり、当該プレートのネジ孔内に成形用工具を挿入し、かつ、当該工具でプレートに力を印加すると、ネジ孔が、ネジが形成されたファスナーを受け入れない程度に、ネジが変形する。第二に、解剖学的構造に最も良く適合させるためには、プレートの輪郭が、縦方向、横方向および捻れ方向を含む三次元で、再形成される必要がある。このような変形を非常に硬い金属プレートに与えることは、骨上にプレートを配置し、骨を取り外して再成形し(remove the bone reshaping)、骨上にプレートを戻し、修正するなどしなければならず、困難である。すなわち、このような再成形が骨から離れた位置で行われる場合には、どのようなプレートであっても、そのプレートを再成形して骨にしっかりと適合させることは非常に困難である。
【0011】
〔発明の概要〕
したがって、この発明の目的は、骨プレート内のネジ孔と位置合わせした状態で、骨内に孔を容易にドリル加工することにある。
【0012】
この発明の他の目的は、外科手術時に、骨プレート内に形成され、角度を固定したネジ孔と位置合わせした状態で、ドリルガイドに接続する際に生じる困難を解消することにある。
【0013】
この発明の他の目的は、プレートが骨上に配置された際にそのプレートを再成形するシステムを提供することにある。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、プレートを三次元で再成形できるシステムを保護することにある。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、プレート再成形中に、角度を固定した孔のネジを保護するシステムを提供することにある。
【0016】
これらの目的は以下に詳述されるが、これらの目的を踏まえて、ドリルガイドの先端部は、プレートのネジ孔の少なくとも一つ、好ましくはネジ孔ごとに事前に組み付けられており、これにより外科医は、骨上に位置決めされたプレートにドリルガイドを装着する必要がない。事前組付けは、手術室の専門技術者あるいは製造工場で実行可能である。ドリルガイドの先端部は、再使用可能であっても、あるいは使い捨て可能であってもよい。ドリルガイドの先端部は、当該先端部がその近傍の先端部を干渉せず、あるいは、プレート上の近傍の構造体または当該プレート内に挿入されるはずの近傍の構造体を干渉しないように十分に短く設定されている。
【0017】
ドリルガイドの先端部をプレートに事前に組み付ける好適な方法では、一群の短ピンは、当該ピンがプレート内の孔を貫通して、当該孔の軸と同一の角度に沿って延在するように、プレート下に配置されている。次いで、ピンは正確な角度で、孔内に螺合される先端部を案内する。これに代えて、一群のピンを利用せず、ドリルガイドの複数の先端部が、適切な角度で、孔内に個別に案内される。フラグメントプレートについては、そのような適切な角度は、典型的には、プレートの骨接触面に対して直角である。
【0018】
ドリルガイドとして先端部を使用する場合に二つの選択肢がある。一つ目の選択肢は、ドリルガイドの延長部を取り付けることである。先端部および延長部は、共に、従来のドリルガイドとして機能する。ドリル加工後に、延長部は、プレートから先端部を取り外すのに使用される。二つ目の選択肢によれば、先端部は、いかなる延長部も付加しないで、ドリル用錐のガイドとして使用され、その後に、別体の工具で取り外される。
【0019】
さらに、ガイドの先端部は、ドリルの案内以外の目的を有している。当該ガイドの先端部は、プレート屈曲用工具とともに、使用可能であり、このガイドの先端部は、間隔をもって配置され、かつ、力によって変形可能なプレートの部分によって分離された複数の角度固定孔を有するフラグメントプレート上にガイドの先端部が事前に組み立てられた場合に、特に有利である。好ましくは、二つの工具は、共に、プレートを屈曲させるのに使用され、これら屈曲用工具は、第1端部および第2端部を有しており、両端部は、プレート内に形成された二つの隣接する孔内のガイドの先端部内に少なくとも部分的に挿入される。トルクは、ネジ孔内に挿入されたガイドの先端部に各工具の第1端部を連結し、かつ当該工具を操作することによって印加され、横方向の屈曲力(すなわち、プレート面内での屈曲力)は、ガイドの先端部の第2端部で印加され、縦方向の屈曲力は、複数のガイドの先端部における複数の第1端部または第1端部および第2端部の組み合わせで印加される。屈曲用工具は操作可能であり、屈曲力は、骨表面に密着しているプレートを再成形するために、プレートが直接、骨上に位置決めされた状態で、プレートを再成形するように印加されてもよい。プレートが二つの孔で構成されるセットごとに成形されるので、屈曲用工具は、取り外され、ガイドの先端部は、上述したように、プレートの当該部分の下の骨内に孔をドリル加工するドリルガイドとして使用可能である。次いで、角度を固定したネジは、フラグメントプレートの当該部分を骨に連結するのに使用される。プレートの隣接部分は、その後に、プレート全体が成形され、かつ、骨に連結されるまで工程を繰り返すような方法で、成形され、かつ、骨に固定される。
【0020】
この発明の他の目的および利点は、添付された図面に関連した詳細な記述を参照することで、この技術分野における当業者に明白になるはずである。
【0021】
〔この発明の詳細な説明〕
ここで、図1を参照すると、骨プレート10が示されている。図示された骨プレート10は、特に、橈骨遠位端の掌側の部分を置換するための部材である。骨プレート10は、ペグのヘッド部またはロック用ネジ(図示せず)を螺合させて収容するための、ネジが形成された複数のペグ孔12と、固定した角方位でK-ワイヤを接近させて収容するように寸法が設定され、相対的に小さな位置合わせ用の孔14を有している。好適な骨プレートでは、ペグ孔の軸は、すべて、互いに傾斜している。一つのペグ孔内には、挿入用工具18で当該孔内に事前に組み付けられたドリルガイドの先端部16が示されている。図1および図2を参照すると、好適な実施の形態では、挿入用工具18とドリルガイドの先端部16との間の係合は、先細り状の矩形部20が円形の開口部22に係合することでなされるが、骨プレート10と係合し、かつ、その係合を解除した状態で、先端部16を回転させるのに十分な摩擦力を矩形部20の縁部が与えている。同様に、他の適切な係合も使用可能である。
【0022】
骨プレート10のペグ孔内への先端部16の事前組付けは、外科手術中に、一旦、骨プレート10が骨上に位置決めされると、外科医がプレートにドリルガイドの先端部16をねじ込む必要がないように、実行されることが好ましい。事前組付けは、手術室の専門技術者または製造工場で実行可能である。事前組付けの好適な方法では、一群の短ピン24は、当該短ピン24が骨プレート10内の孔を貫通して、当該孔の軸と同一の角度に沿って延在するように、骨プレート10下に配置されている。次いで、短ピン24は正確な角度で、孔内に螺合される先端部16を案内する。フラグメントプレートについては、そのような角度は、典型的には、プレートの骨接触面に対して直角である。短ピン24および挿入用工具18は、これらの構成要素が互いに干渉しないように、寸法が設定されている。これに代えて、一群のピンを利用せず、ドリルガイドの複数の先端部16が、適切な角度で、孔内に個別に案内される。ドリルガイドの先端部16は、再使用可能であっても、または使い捨て可能であってもよい。
【0023】
図2および図3を参照すると、ドリルガイドの先端部16は、円錐台形状に先細りした上部30と、ネジが形成された下部32を有しており、当該複数の先端部16は、隣接する先端部を干渉せず、あるいは、骨プレート10上の隣接する構造体または骨プレート10内に挿入されるはずの構造体、例えば、位置合わせ用の孔14を貫通するK-ワイヤ50を干渉しないように十分に短く設定されている。これに代えて、上部30は円筒形状であってもよい。先端部16のネジが形成された下部32は、骨プレート10へのねじ込みが、製造工場(最善の場合)であろうと、医療施設での事前の植え込みであろうと、外科手術環境から離れた、より簡易な条件下で、実行されるので、従来のドリルガイドと同様である必要はない。ネジ部分を短縮化することで、従来のドリルガイドと比較して、骨プレート10の下のガイド先端部の突起を小さくでき、これにより、以下にさらに詳述されるように、骨プレート10を、ドリル加工中に骨に接近した状態で配置することができる。
【0024】
また、ドリルガイドの先端部16は、橈骨遠位端用のプレート内に形成された遠位側の孔列用のドリルガイドのための「皿」孔(“countersink” holes)を必要としない。より詳細に説明すると、従来の技術では、ネジが形成されたペグ孔を貫通して挿入されることになるペグシャフトの外径より大きな外径を有するドリル用の錐で、遠位側のネジが形成されたペグ孔列を貫通して、骨内に孔を最初にドリル加工する必要がある。骨プレート10は、遠位側の孔列においては、非常に薄くなっている。従来のドリルガイドは、「ノーズ(nose)」部分を有しており、このノーズ部分は、円筒形状であり、ネジが形成されておらず、ペグ孔のネジ部のピッチ(0.58ミリメートル(0.023インチ))より僅かに長い約0.76ミリメートル(約0.030インチ)の長さを有している。ノーズ部分の外径は、ネジ部の完全な一回転でネジ部を案内し、かつ、ネジ部が螺合される前に、孔の方向を確立するように、ネジ部の内径より僅かに小さい。仮に、骨プレートのネジ深度が非常に浅い(遠位側の孔の場合と同様に)場合には、骨ブロックが入るので、骨プレートの下側にはドリルガイドのノーズ部分のための空間的な余裕がない。このため、皿孔をドリル加工する必要が生じる。
【0025】
この発明によれば、ドリルガイドの先端部が他の指示部(guidance)(例えば、上述した一群の短ピン24)で、あるいは自由に組み立てられることになるので、ドリルガイドの先端部にはノーズ部分が必要ない。ドリルガイドの先端部は、当該先端部が橈骨遠位端用のプレート内に形成されたペグ孔のネジ部を保持し続ける必要から、非常に短く形成されてもよい。先端部を骨プレートに対して十分に連結する一回転半のネジ部の螺合が図示されており、図4は、ドリルガイドの先端部16が骨プレート10の底部52を貫通して突出しない状態を示している。皿孔を必要としないことに加えて、ドリルガイドの先端部が非常に短くなっているという事実は、骨プレートを骨上にほとんど完全に当接するように配置するという結果をもたらす。さらに、従来のドリルガイドの、円筒形状で、ネジ部が形成されていないノーズ部分は、外科医がペグ孔の現在の角度を感触で知るのを手助けするだけの働きしかないものであり、この発明には必要ない。各先端部に好適な寸法は、約3.81ミリメートル〜6.35ミリメートル(約0.150インチ〜0.250インチ)であり、確実に25.4ミリメートル(1インチ)未満である。このような先端部は、骨プレート10の上面(骨接触面とは反対側の面)の上に、短い距離(最大25.4ミリメートル(1インチ)、好ましくは、6.35ミリメートル(0.25インチ)以下)で隆起する。
【0026】
ドリルガイドとして先端部を使用する場合には二つの選択肢がある。第1の選択肢によれば、先端部16はドリル用錐の唯一のガイドとして使用され、その後に、挿入用工具18に類似した工具で取り外される。先端部16の長さは、ドリル用錐を十分に案内する程度とされる。この用途では、先端部16の内面は、好ましくは硬質の、例えば金属材料で形成されている。したがって、先端部16は、全体的に金属材料で形成されてもよく、あるいは金属製の成形チューブが内部に挿入されたプラスチック製の外側本体、例えば、硬質であり、かつ、薄壁を有するタイプを容易に入手できるハイポチューブ(hypotube)であってもよい。
【0027】
第2の選択肢によれば、図5を参照すると、ドリルガイド延長部34は、先端部16の頂部に取り付けられてもよい。先端部16および当該延長部34は、共に、実物大のドリルガイドとして機能する。先端部16に対するドリルガイド延長部34の係合により、好ましくは、一定の内径が連続している通路がドリルガイド延長部34および先端部16の内部を貫通して設けられる。そのためには、ドリルガイド延長部34の端部36には、好ましくは、段差を設けて、先端部16の上部30に適合させる。外科医は、ドリルガイド延長部34および先端部16を通じてドリル加工を行うことにより、選択された長さのペグ用のドリル加工孔の深度を測定するための定規および/または計測器と併せて使用でき、より長いガイドを活用することができる。ドリル加工後に、ドリルガイド延長部34および先端部16は、骨プレート10から取り外されるが、ドリルガイド延長部34は先端部16の取外し用の工具として機能してもよい。実際には、先端部16の上部30の先細り部は、回転係合を許容するドリルガイド延長部34による軸方向の摩擦係合の手段を提供する。一旦、骨プレート10から取り外されると、先端部16は、その後、手でドリルガイド延長部34側へ引っ張られるか、あるいは手が触れることなく、容器内に配されてもよい。
【0028】
外科セット内には、先端部16が取り外されるときに、数をカウントされる先端部16を収集する、すなわち、骨プレートから分離されたすべての先端部16が手術部位から取り外されるのを保証する手段が設けられることが望ましい。先端部の収集を容易にするために、ドリルガイドの先端部が非常に目立つ色、例えば緑色または青色を有することが望ましい。先端部が金属製である場合には、望ましくは、チタンまたはアルミニウムで成形し、かつ、患部および骨プレートの背景と対照的な鮮やか色に陽極酸化させてもよい。専用の容器が設けられてもよく、あるいはネジ孔を有するダミーのプレートが、先端部を当該ネジ孔に取り付けるために、使用されてもよい。
【0029】
ドリルガイド延長部を用いずに、先端部16を通じて行うドリル加工に関して、先端部16内の遊びを低減させるために、望ましくは、円筒状のドリル用錐を修正する、例えば、捻れ部分を短くし、および/または長くしてもよい。
【0030】
先端部およびドリルガイド延長部の他の実施の形態が提供されてもよい。例えば、図6および図7を参照すると、先端部116は、外部が螺旋形状、または、トルクの伝達を容易にすることになる、あらゆる非円形の外部断面形状となっている上部130を有してもよい。骨プレートから先端部を取り外すためには、外科医は、ドリルガイド延長部を回転させ、先端部の螺合を解除する。
【0031】
ここで、図8および図9を参照すると、この発明の他の実施の形態によれば、先端部216は、当該先端部216の本体230上の一つまたはそれ以上の側方突起部240と、この側方突起部240に対応する延長部234内の「鍵型スロット」242とによって、延長部234に連結されてもよい。
【0032】
図10を参照すると、この発明のさらに他の実施の形態によれば、先端部316は、当該先端部316の円形状の内側開口部322に一つまたはそれ以上の角部344と、この角部344に対応し、先端部316に対して摩擦による係合をなす延長部の外側角部とを設けることによって、延長部に連結されてもよい。
【0033】
図11および図12を参照すると、この発明の他の実施の形態によれば、先端部416は、半径方向に沿って切り欠かれた上部スロット446(例えば、180°または120°の間隔で離間している)を含めてもよく、延長部434は、当該スロット446に対応して、半径方向に沿って形成され、かつ、当該スロット446において先端部416と係合するペグ448を有している。
【0034】
図13および図14を参照すると、先端部516は、以下に記述されるように、当該先端部516が連結される孔502のネジを変形させない方法で、フラグメントプレート500を屈曲させる場合にも使用できる。先端部516は、円筒形状であり、その内側に角部544を有しており、この角部544により、ガイドの延長部の取外しおよび/または連結を支援することができる。上述の変形は、他の方法でも、孔502が、後にネジ孔内に螺合されるネジ頭部を備えた固定角ファスナーを収容するのを防止することができる。フラグメントプレート500は、一列の交互円形部504と、これらの円形部504を接続し、当該円形部504より相対的に狭い幅を有するブリッジ部506とを有し、円形部504内にネジ孔502が設けられているように設計することが好ましい。各ネジ孔502には、ガイド先端部516を設けることが好ましいが、当該先端部516は、フラグメントプレート500の形状を左右するプレート500の輪郭を通常、構成するのに役立ち、かつ、骨に最もよく適合するものと認識される位置に、計画的に、事前に組み立てられてもよい。
【0035】
図15を参照すると、二つの好適な同一形状を有する成形用工具550aおよび550bは、先端部516に連結できる端部を有しており、当該成形用工具は、共に、プレート500の輪郭を形成するのに使用される(図13および図14)。以下に詳述されるように、工具550a、550bおよび先端部516は、骨上に直接、位置決めされるような輪郭のプレート500を形成することができる。各工具は、成形用工具550aにおいては、ハンドル部552aと、ガイド先端部516内に少なくとも部分的に挿入される第1端部554aおよび第2端部556aとを有している。第1端部554aは、好適には軸方向に延在し(あるいは、少なくともハンドル部552aの縦軸ALに概ね平行な方向に延在し)、かつ、ガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有するペグ部558aを有している。第2端部556aには、四つのペグ部560a、562a、564aおよび566aが設けられており、そのうち、二つのペグ部は、当該第2端部556aの両側部568aおよび570a上に、ハンドル部552aの縦軸ALと交差する方向に延在している。当該側部の一つである側部568aでは、最も端に位置するペグ部560aがガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有しており、当該ペグ部560aより内側のペグ部562aが階段状に外径が小さくなっている頭部572aを有しており、これに対して、第2端部556aの反対側の側部570aでは、最も端に位置するペグ部564aが階段状に外径が小さくなっている頭部574aを有しており、当該ペグ部564aより内側のペグ部566aがガイド先端部516の内径に近い寸法の外径を有している。すべてのペグ部は、概ね円筒状であるのが好ましいが、多角形または僅かに先細り形状であってもよい。
【0036】
以下に記述されるように、成形用工具550aおよび550bは、ガイド先端部516においてフラグメントプレートに連結されて、トルク、横方向の屈曲力および縦方向の屈曲力を印加して当該フラグメントプレートの輪郭を形成することができる。上述の成形用工具は、プレートの成形を局所的に制御するために、隣接のガイド先端部に連結されることが好ましい。次いで、当該プレートは、当該プレートの隣接部分が必要に応じて順次成形されるような、ひと続きの成形ステップを通じて成形される。さらに、当該成形ステップのすべては、以下に記述されるように、プレートが骨上に位置決めされた状態で、実行されてもよい。
【0037】
図16を参照すると、トルクをプレートに印加してプレートに捻れを生じさせるために、成形用工具550aおよび550bの第1端部554aおよび554bに設けられたペグ部558aおよび558b(図15)は、好ましくは、隣接するガイド先端部516aおよび516b内に挿入されている。次いで、成形用工具550aおよび550bのハンドル部552aおよび552bは、当該工具間のプレートのブリッジ部506に沿ってトルクを印加するように、互いに横方向に押圧される。上述のようなトルクは、ネジ孔を変形させることなく、プレート内に捻れをもたらす。
【0038】
図17および図18を参照すると、横方向の屈曲力(すなわち、プレートの面内での屈曲)は、ガイド先端部516aおよび516bに連結され、その後に、成形用工具を操作する成形用工具550aおよび550bの第2端部556aおよび556bによって印加される。図18を参照すると、より詳細には、成形用工具550a上では、ペグ部566a(図18には図示せず。図15参照)がガイド先端部516a内に挿入され、ペグ部564aの頭部574aが、成形用工具550aのハンドル部552aによって印加される回転力を伝達するプレートのブリッジ部506aに対する回転阻止部として、機能する。成形用工具550b上では、ペグ部566b(図18には図示せず。図15参照)がガイド先端部516b内に挿入され、ペグ部564bの頭部574bが、成形用工具550bのハンドル部552bによって印加される回転力を伝達するプレートのブリッジ部506bに対する回転阻止部として、機能する。成形用工具550aおよび550bが共に操作されるときには、その操作により生じた力がプレートにかかり、ガイド先端部が連結されるプレートの部分504a、504b間に配置されたブリッジ部506aにおいて横方向の屈曲が生じる。
【0039】
図19を参照すると、縦方向の屈曲力は、成形用工具550aの第1端部554aにおけるペグ部をガイド先端部516c内に挿入し、かつ、第2の成形用工具550bの第1端部554bまたは第2端部556b(図示されている)における一つのペグ部、例えばペグ部560bをガイド先端部516d内に挿入することによって、印加される。ガイド先端部516dに連結された第2端部556bでは、そのハンドル部552bは骨に対して安定化される。次いで、成形用工具550aのハンドル部は、二つの成形用工具間のブリッジ部504においてプレート500を屈曲するように、操作される。
【0040】
成形用工具がプレートの表面下のいかなる位置にも連結されず、骨または骨接触面を干渉する部分を一切、有さないので、プレートの成形を骨上で直接行うことができる。一つの操作方法では、まず、孔を、プレートの一端におけるガイド先端部を通じてドリル加工する。次いで、ガイド先端部を取り外し、ネジ付きファスナーを、フラグメントプレートのネジ孔を通じてドリル加工孔内に挿入して、プレートを骨に連結する。次に、成形用工具をプレートに沿って作動させ、上述したように、最初に連結した孔から離れる方向に孔ごとに移動させて、プレートを骨に適合させるように成形する。プレートが孔ごとに成形されるときに、各ガイド先端部を通じて孔をドリル加工し、ガイド先端部を取り外し、ネジ付きファスナーを挿入して当該プレートを骨に保持する。次に、プレートの輪郭が完全に形成され、かつ、プレートが骨に連結されるまで、工具を、成形されるプレートに沿う次の一群の孔に向けて移動させる。他の操作方法では、プレートがその端部において骨に連結された後に、当該プレートは、残りの孔において骨に連結される前に、その全長部分に沿って成形される。さらに他の操作方法では、プレートは、当該プレートがいかなるネジ孔で取り付けられる前に、骨に適合させるように成形されてもよい。成形および連結の各ステップ上で他の変更を採用できるものと認識される。
【0041】
この明細書および図面には、ガイド先端部が事前に組みつけられた骨プレート、このガイド先端部を有する骨プレートと共に使用される工具、および当該骨プレート並びに工具を使用する方法の種々の実施の形態が記述され、かつ、図示されている。この発明の特定の実施の形態が記述されているが、この発明が当該特定の実施の形態に限定されることを意図するものではなく、この発明が技術分野において認められる範囲内で広く解釈され、かつ、明細書も同様に広く解釈されることを意図するものである。したがって、背面側の骨折部分のための掌プレートおよび細長い直線的なフラグメントプレートに関するガイド先端部および成形用工具が図示されているが、ガイド先端部が、他の骨プレート上のネジ孔に関連して、同様に使用されるものと正当に評価されるはずである。例えば、ガイド先端部は、当該ガイド先端部が役立つようなすべてのプレートに関連して使用されてもよい。さらに、成形用工具は、他の骨、例えば、鎖骨、尺骨、肘頭、顎骨、頭蓋骨などの骨折部固定プレートを特別に製造するのに使用されてもよく、当該プレートが事前に成形された平板であるか、または解剖学的構造に適合するように形成されている。さらに、角度を固定したネジ孔を備えた橈骨側および尺側を有し、当該橈骨側および/または尺側がガイド先端部を備え、かつ、成形用工具により成形可能である橈骨遠位端用のプレートは、この発明の範囲内に含まれるものと考えられる。また、掌の周縁フラグメントを捕捉するための成形可能なセグメント(複数のセグメント)を有する橈骨遠位端用のプレートも、この発明の範囲内に含まれる。このような成形可能なセグメント(複数のセグメント)は、当該セグメントが使用されない場合には、例えば、プレートで中断されるまで、繰り返し屈曲することによって、プレートから取外し可能とすることは任意である。さらに、この明細書には、ガイド先端部と挿入用/取外し用の工具との間の特定の係合と、ガイド先端部とドリルガイド延長部との間の特定の係合が開示されているが、非破壊的な圧入、スナップ嵌合、差込式ロック等を含む他の適切な係合も使用できるものと理解されるはずである。また、ガイド先端部がネジ孔内に螺合される部材として記述されているが、非破壊的な圧入、スナップ嵌合、差込式ロック等を含み、かつ、ペグ孔の軸と位置合わせされた先端部を保持する、螺合部分を含まない組立体も使用できると正当に評価されるはずである。成形用工具に関して、ペグ部の好適な方位が記述されているが、他の構造も、この発明の範囲内に入る可能性がある。例えば、四つのペグ部は、その二つごとに、例えば90°離れた位置に配置される。さらに、各成形用工具は、その第2端部に二つのペグ部のみを有し、これら二つのペグ部が大きな寸法のペグ部と小さな寸法のペグ部で構成された異なる構造を有してもよい。さらに、隣接する孔内のガイド先端部に成形用工具を連結することによってプレートを成形することが好ましいが、成形可能なプレートのすべての孔にガイド先端部を設ける必要がないと正当に評価され、かつ、成形可能なプレートのすべての孔にガイド先端部を設けているにもかかわらず、複数の成形用工具が当該プレートに沿って比較的に大きな間隔をおいて使用されてもよいと正当に評価される。したがって、この発明の範囲を逸脱することなく、この発明に他の変更が加えられるものと、この発明の属する技術分野における当業者によって正当に評価されるはずである。
【0042】
〔実施の態様〕
以下、この発明の実施の態様を説明する。
(1)骨折部固定プレート成形キットにおいて、
a)縦方向に配置された複数のネジ孔を含む、骨プレートと、
b)前記ネジ孔内に取外し可能に連結された、複数の取外し可能な管状要素と、
c)第1の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第1の成形用工具と、
d)第2の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの他の一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第2の成形用工具と、
を含み、
前記第1および第2の成形用工具は、前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに手動による力を印加するために、前記管状要素に係合可能である、
キット。
(2)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する面を有し、
各前記管状要素は、前記骨プレートに連結された第1の端部、および、前記第1の端部の反対側に位置する端部を有し、
前記反対側に位置する端部は、前記骨プレートの前記反対側の面から約6.35ミリメートル(約0.25インチ)以下の位置に位置決めされている、
キット。
(3)実施態様(2)記載のキットにおいて、
各前記管状要素の前記第1の端部は、ネジが形成された端部である、キット。
(4)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記管状要素は、内径を有し、
前記第1および第2の成形用工具のそれぞれの前記端部分は、前記管状要素内に挿入されるように、前記管状要素の前記内径寸法に近い外径寸法に設定された部分を含む、
キット。
(5)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記成形用工具のうちの少なくとも一つの前記端部分は、前記成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含み、
前記ペグは、前記管状要素の内径寸法に近い外径を有している、キット。
(6)実施態様(1)記載のキットにおいて、
前記端部分は、平行に離間した二つのペグ要素を含み、
前記ペグ要素のうちの少なくとも一つは、前記管状要素の内径寸法に近い外径寸法に設定されている、キット。
(7)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記ペグのうちの一つは、外径が階段状に小さくなっている、キット。
(8)実施態様(7)記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間している、キット。
(9)実施態様(7)記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、キット。
(10)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記端部分は、それぞれ二つのペグを有する第1および第2のセットで配列された、四つのペグを含み、
前記第1のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間し、
前記第2のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、
キット。
【0043】
(11)実施態様(10)記載のキットにおいて、
前記四つのペグは、互いに平行である、キット。
(12)実施態様(6)記載のキットにおいて、
前記成形用工具は、該成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含む、他の端部分を含む、キット。
(13)骨折部固定プレートを屈曲させるための成形用工具において、
a)手動によるてこ作用が可能な剛性のハンドル部であって、縦軸を画定する、ハンドル部と、
b)第1のペグ要素を有する、第1の端部と、
c)互いに平行に離間した第2および第3のペグ要素を有する、第2の端部と、
を含み、
前記第2のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第2および第3のペグ要素の方向は、前記第1のペグ要素に対してある角度に設定されている、
成形用工具。
(14)実施態様(13)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第1のペグの外径より小さい外径を有する端部分を有するように、外径が階段状に小さくなっている、成形用工具。
(15)実施態様(14)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第2のペグ要素より、前記端部分に近接した状態で離間している、成形用工具。
(16)実施態様(14)記載の成形用工具において、
前記第3のペグ要素は、前記第2のペグ要素より、前記端部分からより離れた状態で離間している、成形用工具。
(17)実施態様(15)記載の成形用工具において、
前記第2の端部は、第4および第5のペグ要素を含み、
前記第4のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第5のペグ要素は、端部において縮径するように外径が階段状に小さくなっており、
前記第2および第3のペグ要素は、前記第2の端部の一側部上に位置決めされており、
前記第4および第5のペグ要素は、前記第2および第3のペグ要素に対して回転可能に配置されており、
前記第5のペグ要素は、前記第4のペグ要素より、前記第2の端部の前記端部分からより離れた状態で離間している、
成形用工具。
(18)実施態様(13)記載の成形用工具において、
前記第2および第3のペグ要素は、前記第1のペグ要素を貫通する縦軸に対して交差している、成形用工具。
(19)骨上にプレートを成形する方法において、
a)骨プレートを準備するステップであって、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する上面、を有し、かつ、複数の孔、および、前記孔内に取外し可能に組み付けられた管状要素、を有し、
前記管状要素が前記孔内に組み付けられたときに、前記管状要素は、前記骨プレートの前記上面の上に25.4ミリメートル(1インチ)未満、延在している、
ステップと、
b)骨上に前記骨プレートを位置決めするステップと、
c)前記骨プレートが前記骨上に配置されている間、前記骨に対して前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに力を印加するために、各前記管状要素に係合する端部を有している、第1および第2の成形用工具を用いるステップと、
を含む、方法。
(20)実施態様(18)記載の方法において、
d)前記骨上に前記骨プレートを位置決めするステップの後、ならびに、前記第1および第2の成形用工具を用いるステップの前に、前記管状要素の一つを通じてドリル加工して前記骨内に孔を形成するステップと、
e)前記管状要素の一つを取り外して前記骨プレート内のネジ孔を露出させるステップと、
f)前記ネジ孔およびドリル加工孔を通してファスナーを挿入して前記骨プレートの一部分を前記骨に固定するステップと、
をさらに含む、方法。
【0044】
(21)実施態様(19)記載の方法において、
前記管状要素は、前記骨プレート内のネジ孔内に組み付けられる、方法。
(22)実施態様(21)記載の方法において、
前記管状要素は、螺合により、前記ネジ孔内に組み付けられる、方法。
(23)実施態様(20)記載の方法において、
g)前記ファスナーを挿入するステップの後に、前記第1および第2の成形用工具を用いて、前記骨に対して前記骨プレートを屈曲させるために、前記骨プレートの他の部分に力を印加するステップと、
h)前記管状要素の一つを通じてドリル加工して前記骨内に孔を形成するステップと、
i)前記管状要素の一つを取り外して前記骨プレート内のネジ孔を露出させるステップと、
j)前記ネジ孔およびドリル加工孔を通してファスナーを挿入して前記骨プレートの一部分を前記骨に固定するステップと、
k)必要に応じて、前記ステップg)〜前記ステップj)を繰り返して前記骨プレートを前記骨に合わせて成形し、かつ、固定するステップと、
をさらに含む、方法。
(24)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートを捻るトルクを印加する、方法。
(25)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートに対して横方向の屈曲力を印加する、方法。
(26)実施態様(19)記載の方法において、
前記第1および第2の成形用工具を用いるステップは、前記骨プレートに対して縦方向の屈曲力を印加する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】骨プレートと、この骨プレートに挿入されるか、または当該骨プレートから工具で取り外されるドリルガイドの先端部とを示す斜視図である。
【図2】ドリルガイドの先端部および工具を示す分解斜視図である。
【図3】ドリルガイドの先端部およびK-ワイヤ(キルシュナー銅線)で負荷を与えられた骨プレートを示す斜視図である。
【図4】ドリルガイドの先端部が骨プレートの底面を貫通して突出しない状態の骨プレートの頭部を示す正面図である。
【図5】ドリルガイドの先端部およびドリルガイド延長部を示す斜視図である。
【図6】ドリルガイドの先端部の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図7】ドリルガイドの先端部の第1の実施の形態を示す上面図である。
【図8】ドリルガイドの先端部の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図9】ドリルガイド延長部の一実施の形態を示す側面図である。
【図10】ドリルガイドの先端部の第3の実施の形態を示す上面図である。
【図11】ドリルガイドの先端部の第4の実施の形態を示す側面図である。
【図12】図11のドリルガイドの先端部に係合可能なドリルガイド延長部の一実施の形態を示す底面図である。
【図13】フラグメントプレートをドリルガイドの先端部と共に示す分解側面図である。
【図14】図13のフラグメントプレートおよびドリルガイドの先端部を示す分解斜視図である。
【図15】一式の成形用工具を示す側面図および斜視図である。
【図16】フラグメントプレートに捻れを与える成形用工具を上方から示す斜視図である。
【図17】フラグメントプレートに横方向の屈曲を与える成形用工具を示す斜視図である。
【図18】図17と同様の状態における成形用工具の拡大図である。
【図19】フラグメントプレートに縦方向の屈曲を与える成形用工具を示す側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折部固定プレート成形キットにおいて、
a)縦方向に配置された複数のネジ孔を含む、骨プレートと、
b)前記ネジ孔内に取外し可能に連結された、複数の取外し可能な管状要素と、
c)第1の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第1の成形用工具と、
d)第2の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの他の一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第2の成形用工具と、
を含み、
前記第1および第2の成形用工具は、前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに手動による力を印加するために、前記管状要素に係合可能である、
キット。
【請求項2】
請求項1記載のキットにおいて、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する面を有し、
各前記管状要素は、前記骨プレートに連結された第1の端部、および、前記第1の端部の反対側に位置する端部を有し、
前記反対側に位置する端部は、前記骨プレートの前記反対側の面から約6.35ミリメートル(約0.25インチ)以下の位置に位置決めされている、
キット。
【請求項3】
請求項2記載のキットにおいて、
各前記管状要素の前記第1の端部は、ネジが形成された端部である、キット。
【請求項4】
請求項1記載のキットにおいて、
前記管状要素は、内径を有し、
前記第1および第2の成形用工具のそれぞれの前記端部分は、前記管状要素内に挿入されるように、前記管状要素の前記内径寸法に近い外径寸法に設定された部分を含む、
キット。
【請求項5】
請求項1記載のキットにおいて、
前記成形用工具のうちの少なくとも一つの前記端部分は、前記成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含み、
前記ペグは、前記管状要素の内径寸法に近い外径を有している、キット。
【請求項6】
請求項1記載のキットにおいて、
前記端部分は、平行に離間した二つのペグ要素を含み、
前記ペグ要素のうちの少なくとも一つは、前記管状要素の内径寸法に近い外径寸法に設定されている、キット。
【請求項7】
請求項6記載のキットにおいて、
前記ペグのうちの一つは、外径が階段状に小さくなっている、キット。
【請求項8】
請求項7記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間している、キット。
【請求項9】
請求項7記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、キット。
【請求項10】
請求項6記載のキットにおいて、
前記端部分は、それぞれ二つのペグを有する第1および第2のセットで配列された、四つのペグを含み、
前記第1のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間し、
前記第2のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、
キット。
【請求項11】
請求項10記載のキットにおいて、
前記四つのペグは、互いに平行である、キット。
【請求項12】
請求項6記載のキットにおいて、
前記成形用工具は、該成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含む、他の端部分を含む、キット。
【請求項13】
骨折部固定プレートを屈曲させるための成形用工具において、
a)手動によるてこ作用が可能な剛性のハンドル部であって、縦軸を画定する、ハンドル部と、
b)第1のペグ要素を有する、第1の端部と、
c)互いに平行に離間した第2および第3のペグ要素を有する、第2の端部と、
を含み、
前記第2のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第2および第3のペグ要素の方向は、前記第1のペグ要素に対してある角度に設定されている、
成形用工具。
【請求項1】
骨折部固定プレート成形キットにおいて、
a)縦方向に配置された複数のネジ孔を含む、骨プレートと、
b)前記ネジ孔内に取外し可能に連結された、複数の取外し可能な管状要素と、
c)第1の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第1の成形用工具と、
d)第2の成形用工具であって、
ハンドル部、および、
前記管状要素のうちの他の一つに係合するように、寸法設定され、かつ、成形された、端部分、
を有する、第2の成形用工具と、
を含み、
前記第1および第2の成形用工具は、前記骨プレートを屈曲するように前記骨プレートに手動による力を印加するために、前記管状要素に係合可能である、
キット。
【請求項2】
請求項1記載のキットにおいて、
前記骨プレートは、骨接触面、および、前記骨接触面の反対側に位置する面を有し、
各前記管状要素は、前記骨プレートに連結された第1の端部、および、前記第1の端部の反対側に位置する端部を有し、
前記反対側に位置する端部は、前記骨プレートの前記反対側の面から約6.35ミリメートル(約0.25インチ)以下の位置に位置決めされている、
キット。
【請求項3】
請求項2記載のキットにおいて、
各前記管状要素の前記第1の端部は、ネジが形成された端部である、キット。
【請求項4】
請求項1記載のキットにおいて、
前記管状要素は、内径を有し、
前記第1および第2の成形用工具のそれぞれの前記端部分は、前記管状要素内に挿入されるように、前記管状要素の前記内径寸法に近い外径寸法に設定された部分を含む、
キット。
【請求項5】
請求項1記載のキットにおいて、
前記成形用工具のうちの少なくとも一つの前記端部分は、前記成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含み、
前記ペグは、前記管状要素の内径寸法に近い外径を有している、キット。
【請求項6】
請求項1記載のキットにおいて、
前記端部分は、平行に離間した二つのペグ要素を含み、
前記ペグ要素のうちの少なくとも一つは、前記管状要素の内径寸法に近い外径寸法に設定されている、キット。
【請求項7】
請求項6記載のキットにおいて、
前記ペグのうちの一つは、外径が階段状に小さくなっている、キット。
【請求項8】
請求項7記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間している、キット。
【請求項9】
請求項7記載のキットにおいて、
外径が階段状に小さくなった前記ペグは、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、キット。
【請求項10】
請求項6記載のキットにおいて、
前記端部分は、それぞれ二つのペグを有する第1および第2のセットで配列された、四つのペグを含み、
前記第1のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端に対して近接した状態で離間し、
前記第2のセットでは、前記ペグの一つは、外径が階段状に小さくなっており、かつ、前記端部分の一端からより離れた状態で離間している、
キット。
【請求項11】
請求項10記載のキットにおいて、
前記四つのペグは、互いに平行である、キット。
【請求項12】
請求項6記載のキットにおいて、
前記成形用工具は、該成形用工具の縦軸に平行な方向に延在するペグを含む、他の端部分を含む、キット。
【請求項13】
骨折部固定プレートを屈曲させるための成形用工具において、
a)手動によるてこ作用が可能な剛性のハンドル部であって、縦軸を画定する、ハンドル部と、
b)第1のペグ要素を有する、第1の端部と、
c)互いに平行に離間した第2および第3のペグ要素を有する、第2の端部と、
を含み、
前記第2のペグ要素は、前記第1のペグの外径と実質的に同一の外径を有しており、
前記第2および第3のペグ要素の方向は、前記第1のペグ要素に対してある角度に設定されている、
成形用工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−252903(P2007−252903A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−71011(P2007−71011)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71011(P2007−71011)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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