説明

骨接合用プレートの加工用具

【課題】骨接合用プレートを種々の適正な形状に容易に変形(曲げ加工)できるようにする。
【解決手段】骨接合用のプレートAの加工部位又はその近傍を支持する受け部材4と、このプレートAに曲げ力を加えるときに前記受け部材4と相まってプレートAを支持位置に保持する挟み部材5とを備えている。前記受け部材4及び挟み部材5は、プレートAに異なる変形をさせる部位を長手方向複数箇所に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨接合用プレートの加工用具に関する。
【背景技術】
【0002】
骨への取付孔を有する骨接合用プレートは公知であり、当該プレートを治療骨(患部)に沿った形状に曲げ加工して、前記取付孔にスクリュネジ等を挿通して治療骨に固定している(例えば特許文献1参照)。
前記プレートは、生体内分解吸収性高分子を素材としており、これをネジにて治療骨に固定する医療行為において、医療現場において患部の状況に応じて任意の形状に曲げ加工しなければならない。
【特許文献1】米国特許5.413.577号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、この曲げ加工は人手で適宜曲げ加工していたので、作業性が悪く、適正な加工部位を思うような形状に変形するということが困難なことがあった。
また、常温にて曲げ加工すると、ひびが入ったり、破損したり、白濁するという課題があった。
骨は、頭骨、鎖骨、肩甲骨、止腕骨、尺骨、大腿骨、頸骨、足根骨等々その部位によって形状は千差万別であり、しかも、年令、性別等によっても異なることから、この形状に沿った曲げ加工(曲げ戻し、形状修正を含む)を医者等が手で行うことは相当な経験と熟練を要するものであった。
【0004】
本発明は、骨接合用プレートを種々の適正な形状に容易に変形(曲げ加工)できるようにした加工用具(治具)を提供することが目的である。
ここで曲げ加工とは曲率を大小異にする曲げ加工、片手曲げ加工、ひねり曲げ加工、縦曲げ加工等をいい、曲げ戻し、形状修正を含む概念である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
次に、本発明加工用具における課題解決のための具体的手段を説明する。
第1に、骨接合用のプレートAの加工部位又はその近傍を支持する受け部材4と、このプレートAに曲げ力を加えるときに前記受け部材4と相まってプレートAを支持位置に保持する挟み部材5とを備えており、
前記受け部材4及び挟み部材5は、プレートAに異なる変形をさせる部位を長手方向複数箇所に設けていることである。
第2に、前記プレートAを手動操作で曲げ加工する加工用具であって、
手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備え、この加工部3を前記受け部材4と挟み部材5とで構成していることである。
【0006】
第3に、前記プレートAは取り付け具挿入用の複数の取付孔A1と側縁A2とを有していることである。
第4に、前記プレートAに異なる変形をさせる複数部位の少なくとも一つにおいて、
前記受け部材4はプレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12を有し、挟み部材5は前記対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有していることである。
第5に、前記プレートAに異なる変形をさせる複数部位において、
各部位の前記受け部材4はプレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12を有し、かつ挟み部材5は前記対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有し、
各部位間で支え部12の保持間隔及び押付部9の円弧面の曲率を異ならせていることである。
【0007】
第6に、一つの部位の前記対の支え部12を受け部材4の先端に設けており、この対の支え部12は、プレートAの取り付け具挿入用の取付孔A1に挿入してプレートAを受持する受け突起8L、8Rで形成していることである。
第7に、前記受け部材4の対の受け突起8L、8Rは、プレートAの側縁A2を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する水平受持部12aを有することである。
第8に、前記受け部材4の対の受け突起8L、8Rは、プレートAの広面を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する垂直受持部12bを有することである。
【0008】
第9に、前記受け部材4の対の受け突起8L、8Rを、プレートAの側縁A2を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する水平受持部12aと、プレートAの広面を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する垂直受持部12bとを有する一対の略L字状ピンで形成していることである。
第10に、前記プレートAと当接する対の支え部12とそれに対応する挟み部材5の押付部9の少なくとも押付部9に、円弧面の曲率が異なる押し面を段差部を介して長手方向に大小複数形成、又は押付部9をテーパ形状に形成していることである。
【0009】
第11に、前記プレートAに異なる変形をさせる複数部位の一つにおいて、
前記受け部材4は、プレートAを広面で受持する支え面18と、この支え面18から突出していてプレートAと係合する突起19とを有し、前記突起19はプレートAの端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることである。
第12に、前記プレートAに異なる変形をさせる複数部位の一つにおいて、
前記受け部材4は、プレートAを広面で受持する支え面18と、この支え面18から突出していてプレートAの取付孔A1及び/又は取付孔A1間のプレートAの側縁A2と係合する突起19とを有し、前記突起19はプレートAの端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることである。
【0010】
第13に、前記プレートAに異なる変形をさせる複数部位の他の一つにおいて、
前記受け部材4は骨接合用プレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12を有し、挟み部材5は前記対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有していることである。
第14に、前記受け部材4と挟み部材5の少なくとも一方に、プレートAを加熱するためのヒータ13を内蔵していることである。
次に、骨接合用プレートの加工方法の特徴及び作用を説明する。
【0011】
第1に、骨接合用のプレートAの加工部位又はその近傍を受け部材4で支持し、この受け部材4と相まって挟み部材5でプレートAを支持位置に保持しながら、そのプレートAに曲げ力を加えることである。
これによって、受け部材4と挟み部材5とでプレートAを保持しながら曲げ力を加えることができ、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第2に、対の支え部12を有する受部10を備えた受け部材4で骨接合用のプレートAの加工部位又はその近傍を受持し、前記対の支え部12間に略対向する押付部9を有する挟み部材5の前記押付部9をプレートAの広面に当接して対の支え部12の間でプレートAを肉厚方向に挟み、前記挟み部材5を対の支え部12側へ押圧してプレートAを肉厚方向に変形させることである。
【0012】
これによって、受け部材4の対の支え部12と挟み部材5の押付部9とでプレートAを保持しながら曲げ力を加えることができ、プレートAを肉厚方向に変形させて、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第3に、前記受部10の対の支え部12を平行な突条で形成し、帯板状のプレートAを受部10の対の支え部12と直交して又は傾斜して配置することである。
これによって、帯板状のプレートAに長手方向の曲げ加工だけでなく、ひねり曲げ加工も可能になる。
【0013】
第4に、対の支え部12を突起で形成した受部10を有する受け部材4の前記対の受部10に、取り付け具挿入用の取付孔A1を有する骨接合用プレートAの前記取付孔A1を嵌合して、受け部材4でプレートAを受持し、前記対の支え部12間に略対向する押付部9を有する挟み部材5の前記押付部9をプレートAの側縁A2に当接して受け部材4との間でプレートAを幅方向に挟み、前記挟み部材5を受け部材4側へ押圧してプレートAを幅方向に変形させることである。
これによって、受け部材4の対の支え部12にプレートAを保持しながら挟み部材5の押付部9で曲げ力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させて、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
【0014】
第5に、受け部材4に形成した支え面18でプレートAの広面を受持し、この支え面18に突出した突起19に骨接合用プレートAを係合し、前記受け部材4上のプレートAの端部に幅方向の力を加えてプレートAを幅方向に変形させることである。
これによって、受け部材4の支え面18でプレートAの広面を受持しかつ支え面18の突起19に係合させて、プレートAの端部に幅方向の力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になる。
第6に、受け部材4に形成した支え面18でプレートAの広面を受持し、この支え面18に突出した突起19に、取り付け具挿入用の取付孔A1を有する骨接合用プレートAの前記取付孔A1及び/又は取付孔A1間のプレートAの側縁A2を係合し、前記受け部材4上のプレートAを受け部材4とこれに対向移動可能に配置した挟み部材5とで挟み、この挟んだプレートAの端部に幅方向の力を加えてプレートAを幅方向に変形させることである。
【0015】
これによって、受け部材4の支え面18の突起19にプレートAの取付孔A1及び/又は側縁A2を係合させて、プレートAの端部に幅方向の力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になる。
第7に、プレートAを加熱しながら、又は加熱後の余熱残留状態で加工することである。
これによって、プレートAが常温時よりも柔軟になり、曲げ加工が簡単かつ容易になる。
【0016】
第8に、前記受け部材4と挟み部材5の内の少なくとも一方を加熱して、挟んだプレートAを加熱しながら加工することである。
これによって、受け部材4と挟み部材5の内の少なくとも一方でプレートAを加熱して常温時よりも柔軟にでき、曲げ加工が簡単かつ容易になる。
第9に、前記プレートAは生体内分解吸収性高分子又はステンレス鋼又はチタン鋼で形成していることである。
これによって、樹脂、金属等多用途に応用できる。
【0017】
また、骨接合用プレートの加工用具の特徴及び作用を説明する。
第1に、骨接合用のプレートAの加工部位又はその近傍を支持する受け部材4と、このプレートAに曲げ力を加えるときに前記受け部材4と相まってプレートAを支持位置に保持する挟み部材5とを備えていることである。
これによって、受け部材4と挟み部材5とでプレートAを保持しながら曲げ力を加えることができ、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第2に、骨接合用プレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12を形成した受部10を有する受け部材4と、前記対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有する挟み部材5とを備えていることである。
【0018】
これによって、受け部材4の対の支え部12と挟み部材5の押付部9とでプレートAを保持しながら、対の支え部12の間で曲げ力を加えることができ、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第3に、骨接合用プレートAを手動操作で曲げ加工する加工用具であって、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備え、この加工部3を、前記プレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12を形成した受部10を有する受け部材4と、前記対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有する挟み部材5とで構成していることである。
【0019】
これによって、受け部材4の対の支え部12と挟み部材5の押付部9とでプレートAを保持しながら手動による曲げ力を加えることができ、プレートAを繊細にして、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第4に、取り付け具挿入用の複数の取付孔A1を有する骨接合用プレートAを手動操作で曲げ加工する加工用具であって、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備え、この加工部3を、前記プレートAの間隔をおいて位置する取付孔A1に挿脱自在な対の突起状支え部12を有する受け部材4と、この支え部12に保持されたプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9を有する挟み部材5とで構成していることである。
【0020】
これによって、受け部材4の対の支え部12にプレートAを保持しながら挟み部材5の押付部9で曲げ力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になり、適正かつ容易な曲げ加工ができる。
第5に、前記受け部材4の対の突起状支え部12を、プレートAの側縁A2を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する水平受持部12aと、プレートAの広面を押付部9と対面させる姿勢にプレートAを受持する垂直受持部12bとを有する一対の略L字状ピンで形成していることである。
【0021】
これによって、対の突起状支え部12でプレートAを水平姿勢にも垂直姿勢にも支持でき、プレートAを肉厚方向の変形だけでなく、幅方向にも変形させることが可能になり、多様な曲げ加工ができる。
第6に、前記受け部材4及び挟み部材5は、対の支え部12と押付部9との組を長手方向に複数組形成しており、各組間で支え部12間隔及び押付部9の円弧面の曲率を異ならせていることである。
これによって、複数種類の曲率の曲げ加工が可能になる。
【0022】
第7に、取り付け具挿入用の複数の取付孔A1を有する骨接合用プレートAを手動操作で曲げ加工する加工用具であって、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備え、この加工部3を、前記プレートAを間隔をおいて受持する対の台状支え部12と前記プレートAの間隔をおいて位置する取付孔A1に挿脱自在な対の突起状支え部12とを長手方向に配置形成した受け部材4と、この長手方向各支え部12に保持されるプレートAを対の支え部12間に向って押圧する長手方向2つの押付部9を有する挟み部材5とで構成していることである。
【0023】
これによって、対の台状支え部12でも対の突起状支え部12でもプレートAを支持でき、プレートAに多様な姿勢でかつ多様な曲げ加工ができる。
第8に、前記受け部材4の2つの支え部12間隔及び挟み部材5の2つの押付部9の円弧面の曲率を異ならせていることである。
これによって、プレートAに多様な曲率の曲げ加工ができる。
第9に、前記受け部材4の支え部12とそれに対応する挟み部材5の押付部9の少なくとも押付部9に、円弧面の曲率が異なる押し面を段差部を介して長手方向に大小複数形成又はテーパ形状に形成していることである。
【0024】
これによって、プレートAに多様な曲率の曲げ加工ができる。
第10に、骨接合用プレートAを受持する受け部材4に、プレートAを広面で受持する支え面18と、この支え面18から突出していてプレートAと係合する突起19とを有し、前記突起19はプレートAの端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることである。
これによって、受け部材4の支え面18でプレートAの広面を受持しかつ支え面18の突起19に係合させて、プレートAの端部に幅方向の力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になる。
【0025】
第11に、取り付け具挿入用の複数の取付孔A1を有する骨接合用プレートAを曲げ加工する加工用具であって、前記プレートAを受持する受け部材4に、プレートAを広面で受持する支え面18と、この支え面18から突出していてプレートAの取付孔A1及び/又は取付孔A1間のプレートAの側縁A2と係合する突起19とを有し、前記突起19はプレートAの端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることである。
これによって、受け部材4の支え面18の突起19にプレートAの取付孔A1及び/又は側縁A2を係合させて、突起19を利用してプレートAの端部に幅方向の力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になる。
【0026】
第12に、取り付け具挿入用の複数の取付孔A1を有する骨接合用プレートAを曲げ加工する加工用具であって、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備え、この加工部3を、前記プレートAを受持する受け部材4と、この受け部材4に保持されたプレートAを共に挟む挟み部材5とで構成し、前記受け部材4に、プレートAを広面で受持する支え面18と、この支え面18から挟み部材5側に突出していてプレートAの取付孔A1及び/又は取付孔A1間のプレートAの側縁A2と係合する突起19とを有し、前記突起19はプレートAの端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることである。
【0027】
これによって、手動操作で、受け部材4の支え面18でプレートAの広面を受持しかつ支え面18の突起19に係合させて、突起19を利用してプレートAの端部に幅方向の力を加えることができ、プレートAを幅方向に変形させることが可能になる。
第13に、前記受け部材4は、長手方向前後にプレートAを間隔をおいて受持する対の支え部12と前記支え面18とを有し、前記挟み部材5は、支え面18と対面する挟み部9Fと対の支え部12に受持したプレートAを対の支え部12間に向って押圧する押付部9とを有することである。
【0028】
これによって、プレートAの肉厚方向の変形と幅方向の変形とを簡単かつ正確にできるようになる。
第14に、前記受け部材4と挟み部材5の少なくとも一方に、プレートAを加熱するためのヒータ13を内蔵していることである。
これによって、プレートAを効率良く加熱して常温時よりも柔軟にでき、曲げ加工が簡単かつ容易になる。
【発明の効果】
【0029】
以上詳述したように本発明によれば、医療現場において骨接合用プレートを接合部の形状に適合した種々の曲げ加工を可能とし、人間、犬等の動物の骨折、ひび等の治療を患部の形態に適合した曲げ加工を正確かつ簡単に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜12は本発明の第1実施形態を示しており、図1は骨接合用プレートAを骨の接合等に適合する形状に加工(変形)するための加工用具1の使用状態を示し、図2は加工用具1を斜視図で示し、図3は加工用具1を側面図で示している。
前記骨接合用プレートAは、図6、7等で示すように、骨へ取り付けるための取付孔A1を複数個を並設しものであり、この骨接合用プレートAを図1で示すように、加工用具1を使用して手動操作(図1では手指Cを示している)で曲げ加工する。
【0031】
なお、前記プレートAの素材(原料)は、ステンレス鋼、チタン鋼等の金属材料を使用可能であるが、好ましくは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−L−ラクタイド、ポリ−D−ラクタイド、ポリ−DL−ラクタイド、ポリ−L−およびD−ラクタイド/グリコライド共重合体、ポリ−LおよびD−ラクタイド/カプロラクトン共重合体、及びこれにバイオセラミック(ハイドロキシアパタイト、シトロンチウムアパタイト、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウム系化合物、A−W結晶化ガラス、アルミナ、ジルコニア、カーボン、バイオガラス等)を含む医療用として従来より公知の熱可塑性生体内分解吸収性高分子を原料として用い、これを溶融成型したもの、或いは、更に、延伸、加圧等、適宜の手段により分子配向させて、強度を改善したものを、切削、プレス等任意の手段を用いて、多数の取付孔A1を有するプレートAに加工したものであり、このプレートAは加工用具1によって患者の患部の状況に応じて曲げ加工され、取付孔A1にスクリュネジ等を挿通して患部に取付けられるものである。
【0032】
前記加工用具1は、図1で示すように、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備えて主構成されている。
すなわち、曲げ加工用具本体は、図1〜3で示すように、受け側アーム(受け部材)4と押え側アーム(挟み部材)5とを備え、手動操作部2を一端側に備え、他端側が加工部3とされ、手動操作部2には板バネで例示する復帰手段7が備えられている。
前記受け側アーム4は、そのアーム長手方向の中間部に又部4Aを有し、この又部4Aに直棒形状とされた押え側アーム5が挿通されてそのクロス部分がピン、軸等の枢支手段6によって、加工部3が開閉するように揺動自在に枢着されている。
【0033】
復帰手段7が板バネであるときは、その一端7Aが受け側アーム4の手元部におけるグリップ4Bの自由端側にビス等で取着され、他端7Bは押え側アーム5の手元部におけるグリップ5Aのやや枢支側内面に摺動自在に当接され、該当接部が丸味部に形成されていることにより摺動を軽快かつ円滑にしている。
加工用具1における前記加工部3は、前記プレートAの取付孔A1に挿脱自在な対の受け突起(受部の突条)8L、8Rと、この受け突起8L、8Rに保持されたプレートAを受け突起8L、8R間で曲げで加工する押付部(押し部)9とで構成されていて、受け突起8L、8Rは受け側アーム4の受部10の先端に備えられ、押付部9は押え側アーム5の先端に備えられている。
【0034】
対の受け突起8L、8Rは、図4(1)(2)で例示するように、側面視でほぼL字形状とされた金属製等の丸棒材の一端(垂直受持部12b)を受部10に着脱自在に挿通植設し、ビス等の止め具11をネジ込むことで止着されており、該突起8L、8Rは屈曲部8L−1、8R−1よりも自由端側が、受部10と平行な水平受持部12aとなっていて、受部10の自由端面よりも突出されている。
更に、前記加工部3は、図4(1)(2)で例示するように、前記プレートAを受持する支え面(支え部)12Bの中央部位にアーム長手方向に延びる円弧状の溝である凹部12Aを形成した受部10と、図8で例示するように、前記支え面12Bに受持したプレートAを前記凹部12Aに向って曲げ加工する押付部9とで構成されている。
【0035】
前記受け突起8L、8Rも凹部12Aの両側の支え面12Bも支え部12を形成しており、左右で対となっている。
押付部9は、段差部9A、9Bを介して複数の押し面(大小異径部)9C、9D、9Eが軸方向(長手方向)で段階的に区分けして形成されており、大径部9Cは凹部12Aとほぼ同じ曲率であり、自由端に形成された小径部9Eは受け突起8L、8Rよりもやや大径の曲率とされている。中間径部9Dは大径部9Cと小径部9Eの中間の曲率とされている。
【0036】
前記大小異径部9C、9D、9Eについては、取付部9を適宜の角度で軸方向に先細りテーパーにして形成してもよく、その場合、凹部12Aもテーパー状とし、受け突起8L、8Rの間隔は先細りにする。
また、この押付部9には、プレートAを加熱するためのカートリッジ形のヒータ13が内蔵されており、止めネジ14によって着脱自在とされ、図4(1)に示すように、該ヒータ13には熱電対等による温度センサ15Aが付帯され、差込みプラグを有する配線コード15等を介して図1で示す温度制御ボックス16に接合分離自在となっている。なお、ヒータ13は受部10内に配置しておいてもよく、押付部9と受部10の両方に配置しておいてもよい。
【0037】
図2、3等において、符号17は手動操作部2の開脚制限ストッパを示し、また、図4(2)において、符号9D−1、9D−2は突起8L、8Rとの干渉を避けるために中間径部9Dに形成したガイド面(切欠面)を示している。なお、中間径部9Dの突起8L、8Rと干渉しない部分は円形に形成してもよく、また、突起8L、8Rの全長が小径部9Eとオーバラップするように、小径部9Eを長く形成してもよい。
次に、図5〜12を参照してプレートAのベンディング(曲げ加工)の作業方法について説明する。
【0038】
図5は取付孔A1間を板厚方向に曲げ加工(板面と直交する方向H1に曲げ加工)する例であり、プレートAの板面の加工部位近傍を対の突起8L、8R間にわたって保持させておき、手動操作部2の挟み付け操作で、押付部9における小径部9EをプレートAの加工部位に押圧することによって挟み、その後に押付けて変形させており、即ち、プレートAの1面を受け部材4の対の支え部12の2点で受持し、その対の支え部12で支持された中間を押付部9の押圧によりプレートA肉厚方向に曲げ力を加えて、プレートAの両端の面を近づけるように屈曲変形しており、例えば、曲げRが1mmで適宜挟角に曲げ加工ができるのである。
【0039】
図6、7は縦曲げ加工(板厚方向と直交する方向H2に曲げ加工)の例を示しており、対の受け突起8L、8Rで取付孔A1を串刺し状に保持しておき、押付部9における小径部9Eを手動操作部2の挟み付け操作でプレートAの取付孔A1間を板面に沿う方向(プレートAの幅方向)に曲げ加工するのである。
即ち、対の支え部12間に略対向する挟み部材5の押付部9をプレートAの側縁A2に当接して受け部材4との間でプレートAを幅方向に挟み、挟み部材5を受け部材4側へ押圧してプレートAを幅方向に変形させる。
【0040】
図8、9は曲げRが2mm、4mmの例であり、受部10における平坦な支え面12BにプレートAを直交方向に受持させ、押付部9における中間径部9Dを凹部12Aに向って手動操作部2の挟み付け操作で曲げ加工することにより、図8の仮想線のように曲げRが2mmの曲げ加工となり、押付部9における大径部9Cのときは曲げRが4mmの曲げ加工となるのである。
図10は片手曲げの例であり、対の受け突起8L、8Rの基部に取付孔A1が位置するようにプレートAを支え面12Bに受持させ、押付部9である中間径部9Dを凹部12Aに向って押付けることにより、片手曲げが可能とされているのである。この加工では、2つの取付孔A1間でプレートAを伸ばすこともできるが、取付孔A1の孔径は受け突起8L、8Rの径より大きいので、プレートAを伸ばすことなく曲げることができる。
【0041】
なお、図8の仮想線の曲げ加工及び図10の片手曲げのときは、中間径部9Dの両側面に形成した平坦面は、突起8L、8Rのガイド面9D−1、9D−2として機能する。
図11、12で示すように、プレートAを支え面12Bに対して斜め方向として保持させておき、押付部9の大径部9C又は中間径部9Dを押し付けることによって、ひねり曲げ加工をする。受け突起8L、8Rと小径部9Eとでも、ひねり曲げ加工は可能である。
なお、上述した曲げ加工において、加工部3にプレートAを軽く挟み例えば5秒以上(5〜20秒)、ヒータ13の発熱によって曲げ加工前に温めておき、プレートAが柔らかくなったところで軽く手動操作部2を握りしめることにより、加工部位を局部的に加熱して曲げ加工(塑性変形加工)を行うことができる。曲げ時の温度設定は任意ではあるけれども、縦曲げ時(図6参照)には80℃〜90℃の温度に設定され、縦曲げ時以外のときは95℃〜105℃の温度に設定することが好ましい。
【0042】
グリップ4B、5Aには操作時の滑り止めのためにラバー(ゴム等の弾性ラバー)を付帯させることが望ましい。また、復帰手段7としては板バネ以外のコイル巻バネ等を採用することも可能である。
前記加工部3が、前記プレートAの取付孔A1に挿脱自在な対の受け突起8L、8Rとこの受け突起8L、8Rに保持されたプレートAを前記受け突起8L、8R間で曲げ加工する押付部9とで構成されていることにより、手で行うことが特に困難視されていた縦曲げ加工(厚さ方向と交差するプレート幅方向の加工)を正確かつ容易にできるのである(図6参照)。
【0043】
また、前記加工部3が、前記プレートAを受持する支え面12Bに凹部12Aを形成した受部10と前記支え面12Bに受持したプレートAを前記凹部12Aに向って曲げ加工する押付部9とで構成されていることにより、プレートAの取付孔A1間における曲げ加工(図5、8参照)およびひねり曲げ加工(図11参照)が可能となるのである。また、取り付け具の挿入に使用しないプレートAの取付孔A1の位置を曲げ加工部位とすることもできる。
前記押付部9に、プレートAを加熱するためのヒータ13が内蔵されていることにより、プレートAの素材(原料)が熱可塑性生体内分解吸収性高分子等の熱によって柔軟化されるものであるときは、ヒータ13に通電して押付部9を介してプレートAを加熱することによって、プレートAの曲げ加工においてひびが入ったり、破損したり、白濁するのを防止できるのである。
【0044】
更に、前記押付部9が、段差部9A、9Bを介して大小異径部9C、9D、9Eが軸方向で段階的又はテーパー状に区分けされていることにより、曲げR1mm、2mm、4mmのような複数種類の曲げ加工ができるのである。ここで、大小異径部9C、9D、9Eとは、大・小2種類と、大・中・小の3種類を含む概念であり、更に、その種類を増やしてもよいし、適宜の角度で軸方向にテーパー状としてもよい。
図13〜21に基づいて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図13〜21において、第2実施形態の骨接合用プレートの加工用具1で、前記第1実施形態の加工用具1と同一の部及び部材、同様な作用をする部及び部材については、同一符号を使用している。
【0045】
加工用具1は、手動操作部2と、この手動操作部2の操作で前記プレートAを曲げ加工する加工部3とを備えて主構成されている。前記加工部3は、押え側アーム(挟み部材)5に備えられている押付部(押し部)9とその受け側アーム(受け部材)4に備えられている受部10とからなり、開閉自在な押付部9と受部10に第1加工部3A、第2加工部3B、第3加工部3Cを軸方向に区分けして構成されている。
第1加工部3Aは受部10の先端に受けブロック10Aをネジ10Bで着脱自在に取付け、受けブロック10Aの上面に対の受け突条8L、8Rを間隔を有して平行に隆起形成し、この対の受け突条8L、8RにプレートAを、図17の仮想線で示すようにかけ渡して加工部位近傍を2点で支持し、押付部9における丸棒で形成した小径部9EをプレートAの加工部位に当接し、対の突条8L、8R間の凹み10Cに向って押下げることによって、そのプレートAが取付孔A1又は取付孔A1間において厚み方向に曲げ加工されるように構成されている。
【0046】
なお、対の受け突条8L、8Rにおける頂部の形状は任意であるが、図17に示すように、丸味形状とすることによって、その頂部に板面がかけ渡されたプレートAを曲げ加工するとき、板面が滑動して正確で傷がない曲げ加工ができて有利となる。また、対の受け突条8L、8Rと小径部9Eとを逆に見れば、小径部9EでプレートAの加工部位を支持し、対の受け突条8L、8RでプレートAの加工部位近傍を小径部9E側に押圧することになる。
第2加工部3Bは図18で示すように、前記第1加工部3Aよりも緩やかな曲げ加工、及び図19で示すように、ひねり曲げ加工するものであり、第1実施形態と同様に、次のように構成されている。
【0047】
図16、18、19に示すように、受部10の上面に形成した平坦な支え面12Bの中央部位にアーム長手方向に延びる円弧状の溝である凹部12Aを形成して対の台状の支え部12とし、前記支え面12Bに受持したプレートAを前記凹部12Aに向って押動する丸棒状の中間径部9Dによる押付部9とで、第2加工部3Bが構成されている。
従って、プレートAを支え面12Bに傾斜状としてその板面を受持した状態で、押付部9における中間径部9Dを押下げることによって、ひねり曲げ加工も可能である。
第3加工部3Cは前記プレートAを縦曲げ加工するものであり、次のように構成されている。
【0048】
図16(1)(2)において、第2加工部3Bに隣接してプレートAの板面を受持する平坦な支え面18が、段差部18Aを介して受部10の上面に形成されている。この支え面18にはプレートAと係合可能な複数本の突起、即ち、図では4本の丸棒で例示するピン19(19A、19B、19C、19D)が植立されて、突起状支え部12を形成している。
具体的には、支え面18の幅方向略中央部に軸方向の間隔を有して中央の第1・2のピン19A、19Bを配列し、軸方向の左右(幅方向)に振り分けて第3・4のピン19C、19Dが第2のピン19B寄りに配列され、前記第1〜4のピン19A〜19DはプレートAに形成した取付孔A1に挿脱自在であり、プレートAの縁(取付孔A1間のクビレ部の外周縁をいい、以下同じ)がピン19外周に対して係合するようにされている。
【0049】
第1〜4のピン19A〜19Dは、受部10にその下面側からネジ込み等によって突出量調整自在に植立されており、ネジ18Bによって抜け止めされている。
更に、第1〜4のピン19A〜19Dの植立高さ(支え面18からの突出量)は、プレートAの板厚とほぼ同厚か多少の厚薄とされており、支え面18に重ね合されたプレートAの取付孔A1をピン19に挿通して縦曲げ加工するとき、ピン19からプレートAが安易に離脱しないようにされている。
第3加工部3Cにおける押付部9の大径部9Cが、この閉じ姿勢で支え面18と対面しているとともに、図16(1)で示すように、ピン19A〜19Dと接触しないようにスキマを有し、大径部9Cの下面には平坦面(挟み部)9Fが形成され、閉じ姿勢で実質的にこの平坦面9Fが支え面18と対面し、プレートAがピン19A〜19Dとの係合から離脱するのを防止している。前記平坦面9FはプレートAと当接して挟持することが好ましいが、両者の間にスキマが形成されても支障はない。
【0050】
次に、図17〜21を参照して、第2実施形態のプレートAのベンディング(曲げ加工)の作業方法について説明する。
第1加工部3Aでは、曲げRが1mm前後の平板曲げ加工を主に行い、縦曲げ加工をするのは若干困難になっており、第2加工部3Bでは、曲げRが2〜5mm前後の平板曲げ加工を主に行う。
縦曲げ加工は第3加工部3Cで主に行われる。図20において、第3加工部3Cを開いた状態(手動操作部2を握ってない状態)にしておいて、プレートAの取付孔A1に例えば第3ピン19Cを挿通して支え面18にプレートAの広面を重ね合せ、プレートAの側縁A2、すなわち、隣り合う取付孔A1間におけるクビレ部の外周縁が第4ピン19Dに係合するようにセットする。
【0051】
次いで、手動操作部2を軽く握り、押付部9を閉じ姿勢にし、ヒータ13に通電してプレートAを温める。この際、押付部9は受部10と相まってプレートAを挟持してもよいし、第3ピン19Cから抜けないように近接しているだけでもよい。
次に、手動操作部2を軽く握ったまま、プレートAに矢示Fのように手指によってゆっくり軽い力で曲げると、第3ピン19Cが固定で第4ピン19Dを支点とする縦曲げ加工がなされる。即ち、プレートAの端部に肉厚方向と交差する幅方向の力を加えていくと、第3ピン19Cが支点となり、第3ピン19Dと当接して抵抗を受け、この第3ピン19D近傍で曲げが生じる。
【0052】
この縦曲げ加工は手指で行うが、プレートAが第3加工部3Cにおいて押付部9と受部10で挟み込まれ、しかも、第3ピン19Cが取付孔A1に挿通されているので、プレートAの保持は確実となり、縦曲げ作業であっても正確にできる。
曲げ加工後、押付部9を開いてピンからプレートAを外し、このプレートAの曲げ加工部が第1ピン19Aに係合するようにプレートAを支え面18にセットし、押付部9を閉じ状態にしてからプレートAの両端張り出し部分に矢示Fのようにゆっくりと軽い力で仕上げ曲げ加工をする。
【0053】
このように曲げ加工されたプレートAは、第3加工部3Cから外され、余熱で柔らかい間に手指によって形状を修正することで、ここに縦曲げ加工が完了する。
前記仕上げ曲げ加工の形態のみで曲げ加工をすることもできる。即ち、直線状のプレートAを第1ピン19Aと第3、4ピン19C、19Dとの間に挿入し、プレートAの取付孔A1を第1ピン19Aに嵌合又はプレートAの取付孔A1間を第1ピン19Aに当接して支持し、プレートAの両端部をプレートA幅方向でかつ同一方向に矢示Fの力を加えることにより、直線形状から直接曲げることもできる。
【0054】
図21は、緩やかな曲率での縦曲げ加工の例を示している。第2ピン19BにプレートAの取付孔A1を挿通するとともに、この取付孔A1の両側に隣接するプレートAの側縁A2を第3、4ピン19C、19Dに係合させ、押付部9を閉じ姿勢にしてプレートAを温め、手動操作部2を軽く握った状態で、手指によってプレートAを矢示Fのようにゆっくり軽い力で曲げると、第3ピン19Cが曲げ反力を受けるように係合するので、第2ピン19Bを支点にプレートAが縦曲げ加工される。
次いで、押付部9を開いた状態で、第1段の縦曲げ加工されたプレートAを左右反転して第2ピン19Bにセットするとともに、第3、4ピン19C、19DにプレートAの側縁A2を係合させ、プレートAの張出し部に矢示Fの曲げを軽い力で付与すると、プレートAはその長手方向中央部を弯曲部としての縦曲げが完了する。
【0055】
次いで、プレートAを第3加工部3Cより外し、余熱で柔らかい間に手指によって形状を修正するのである。
前記段差部18AはプレートAと当接すると支持抵抗を与えてピン19A〜19Dと同様な役目をさせることができ、前記ピン19A〜19Dは1本でもよいが、複数本を適宜位置に配置するほうが、プレートAの曲げ形態を多様にすることができる。
図18(1)は第2加工部3Bによる曲げRが例えば2.5mmの加工の例であり、受部10における平坦な支え面12BにプレートAを受持させ、押付部9における中間径部9Dを凹部12Aに向って手動操作部2の挟み付け操作で曲げ加工することにより、図18で示すように、プレートAは曲げRが2.5mmの曲げ加工となるのである。
【0056】
更に、図19(1)(2)はひねり曲げの例であり、第2加工部3BにおいてプレートAを支え面12Bに対して斜め方向として保持させておき、押付部9の押付によってひねり曲げ加工を可能とする。
前述例では第1〜3加工部3A、3B、3Cをその順序で軸方向に区分けしているが、第1加工部3Aと第2加工部3B、第1加工部3Aと第3加工部3C、第2加工部3Bと第3加工部3Cの組合せであっても構わなく、また長手方向位置を変更してもよい。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、プレートAの加熱としては、加工部3を事前に予熱しておいたり、その加工部3を閉じ状態でキャップを被せるようにしたりしてもよい。
【0057】
また、プレートAを、熱風や、ヒートライト、高周波ヒータ、超音波ヒータ、赤外線ヒータで直接加熱したり、又はそれらで高温に保たれた空間を作りだし、その中にプレートAを入れて加熱しながら加工したりしてもよい。
更に、プレートAは加熱しながら加工する以外に、前記種々の加熱方法で加熱した後に、その加熱環境から離れた場所で、余熱が残留している状態で加工することもできる。
第1及び第2の実施形態の加工用具の各部の組み合わせを変更したり、複数の加工部を有するのを、単一の加工部のみ有する形態にしたりしてもよい。
【0058】
受け部材4に対して挟み部材5を枢支手段6で枢支して、ハサミのように揺動により遠近移動する構造にしているが、例えば、プレス機のように受け部材4と挟み部材5とを上下に分離しておいて、どちらか一方を上下方向に直線移動させて、プレートAを挟みかつ押圧するようにしたりしてもよい。
加工用具の構成材料は、この用具が医療用等であることから、防錆機能を有するステンレス鋼又はチタン鋼が好ましいが、エンジニアリングプラスチック等その他の材料でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る加工用治具(加工用具)の使用形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る加工用具の斜視図であり、一部(ヒータの取付ネジ)を分解して示している。
【図3】本発明に係る加工用具の動作(操作)を併せて示す側面図であり、実線が加工前、仮想線が加工中である。
【図4】本発明に係る加工用具の加工部を示し、(1)は側面図、(2)は正面(前面)図である。
【図5】本発明に係る加工用具の曲げ加工の一例を示す正面図である。
【図6】本発明に係る加工用具の曲げ加工としての縦曲げを示す斜視図である。
【図7】図6で加工されたプレートの斜視図である。
【図8】本発明に係る加工用具の曲げ加工の2例を示す斜視図である。
【図9】図8で加工されたプレートの斜視図である。
【図10】本発明に係る加工用具による片手曲げを示す加工部の斜視図である。
【図11】本発明に係る加工用具によるひねり曲げを示す加工部の斜視図である。
【図12】図11で加工されたプレートの斜視図である。
【図13】本発明に係る加工用治具(加工用具)の使用形態の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る加工用具の斜視図であり、一部(ヒータの取付ネジ)を分解して示している。
【図15】本発明に係る加工用具の動作(操作)を併せて示す側面図であり、実線が加工前、仮想線が加工中である。
【図16】本発明に係る加工用具の加工部を示し、(1)は側面図、(2)は正面(前面)図である。
【図17】本発明に係る加工用具の曲げ加工の一例を示す正面図である。
【図18】本発明に係る加工用具の曲げ加工の他例を示し、(1)は斜視図、(2)は曲げ加工されたプレートである。
【図19】本発明に係る加工用具のひねり曲げ加工を示し、(1)は斜視図、(2)は加工されたプレートである。
【図20】本発明に係る加工用具の縦曲げ加工の工程図である。
【図21】本発明に係る加工用具の縦曲げ加工の他例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0060】
1 加工用具
2 手動操作部
3 加工部
4 受け側アーム(受け部材)
5 押え側アーム(挟み部材)
6 枢支手段
7 復帰手段
8 受け突起
9 押付部
10 受部
10C 凹み
12 支え部
13 ヒータ
A プレート
A1 取付孔
A2 側縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨接合用のプレート(A)の加工部位又はその近傍を支持する受け部材(4)と、このプレート(A)に曲げ力を加えるときに前記受け部材(4)と相まってプレート(A)を支持位置に保持する挟み部材(5)とを備えており、
前記受け部材(4)及び挟み部材(5)は、プレート(A)に異なる変形をさせる部位を長手方向複数箇所に設けていることを特徴とする骨接合用プレートの加工用具。
【請求項2】
前記プレート(A)を手動操作で曲げ加工する加工用具であって、
手動操作部(2)と、この手動操作部(2)の操作で前記プレート(A)を曲げ加工する加工部(3)とを備え、この加工部(3)を前記受け部材(4)と挟み部材(5)とで構成していることを特徴とする請求項1に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項3】
前記プレート(A)は取り付け具挿入用の複数の取付孔(A1)と側縁(A2)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項4】
前記プレート(A)に異なる変形をさせる複数部位の少なくとも一つにおいて、
前記受け部材(4)はプレート(A)を間隔をおいて受持する対の支え部(12)を有し、挟み部材(5)は前記対の支え部(12)に受持したプレート(A)を対の支え部(12)間に向って押圧する押付部(9)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項5】
前記プレート(A)に異なる変形をさせる複数部位において、
各部位の前記受け部材(4)はプレート(A)を間隔をおいて受持する対の支え部(12)を有し、かつ挟み部材(5)は前記対の支え部(12)に受持したプレート(A)を対の支え部(12)間に向って押圧する押付部(9)を有し、
各部位間で支え部(12)の保持間隔及び押付部(9)の円弧面の曲率を異ならせていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項6】
一つの部位の前記対の支え部(12)を受け部材(4)の先端に設けており、この対の支え部(12)は、プレート(A)の取り付け具挿入用の取付孔(A1)に挿入してプレート(A)を受持する受け突起(8L、8R)で形成していることを特徴とする請求項4又は5に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項7】
前記受け部材(4)の対の受け突起(8L、8R)は、プレート(A)の側縁(A2)を押付部(9)と対面させる姿勢にプレート(A)を受持する水平受持部(12a)を有することを特徴とする請求項6に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項8】
前記受け部材(4)の対の受け突起(8L、8R)は、プレート(A)の広面を押付部(9)と対面させる姿勢にプレート(A)を受持する垂直受持部(12b)を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項9】
前記受け部材(4)の対の受け突起(8L、8R)を、プレート(A)の側縁(A2)を押付部(9)と対面させる姿勢にプレート(A)を受持する水平受持部(12a)と、プレート(A)の広面を押付部(9)と対面させる姿勢にプレート(A)を受持する垂直受持部(12b)とを有する一対の略L字状ピンで形成していることを特徴とする請求項6に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項10】
前記プレート(A)と当接する対の支え部(12)とそれに対応する挟み部材(5)の押付部(9)の少なくとも押付部(9)に、円弧面の曲率が異なる押し面を段差部を介して長手方向に大小複数形成、又は押付部(9)をテーパ形状に形成していることを特徴とする請求項5に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項11】
前記プレート(A)に異なる変形をさせる複数部位の一つにおいて、
前記受け部材(4)は、プレート(A)を広面で受持する支え面(18)と、この支え面(18)から突出していてプレート(A)と係合する突起(19)とを有し、前記突起(19)はプレート(A)の端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項12】
前記プレート(A)に異なる変形をさせる複数部位の一つにおいて、
前記受け部材(4)は、プレート(A)を広面で受持する支え面(18)と、この支え面(18)から突出していてプレート(A)の取付孔(A1)及び/又は取付孔(A1)間のプレート(A)の側縁(A2)と係合する突起(19)とを有し、前記突起(19)はプレート(A)の端部側に加わる肉厚方向と交差する幅方向の力に対して抵抗可能であることを特徴とする請求項3に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項13】
前記プレート(A)に異なる変形をさせる複数部位の他の一つにおいて、
前記受け部材(4)は骨接合用プレート(A)を間隔をおいて受持する対の支え部(12)を有し、挟み部材(5)は前記対の支え部(12)に受持したプレート(A)を対の支え部(12)間に向って押圧する押付部(9)を有していることを特徴とする請求項11は12に記載の骨接合用プレートの加工用具。
【請求項14】
前記受け部材(4)と挟み部材(5)の少なくとも一方に、プレート(A)を加熱するためのヒータ(13)を内蔵していることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の骨接合用プレートの加工用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−185535(P2007−185535A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105644(P2007−105644)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【分割の表示】特願2002−212997(P2002−212997)の分割
【原出願日】平成14年7月22日(2002.7.22)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】