説明

骨盤の歪み調整具の使用方法

【課題】骨盤の歪みを調整しながらトレーニングをおこない骨盤を支えている筋肉、即ち腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛えるための骨盤の歪み調整具の使用方法を提供する。
【解決手段】伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルト2を形成し、該帯状弾性ベルト2の両端にバックル5を形成する係止具6a、6bを設け、該バックル5の係止具6a、6bを介して前記帯状弾性ベルト2を長さ調整可能なリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルト2をリング状になし人体の骨盤16を形成する腸骨17上部の突部20に巻き付けて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に矯正し、該状態で各種の運動トレーニングを行うことで骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛え骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨盤の歪みを矯正、並びに調整しながらトレーニングをおこない骨盤を支えている筋肉、即ち腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛えるための骨盤の歪み調整具並びにその使用方法に関するものである。
【0002】
本発明における骨盤の歪み調整具は、従来のコルセット、サポーター類と異なり腰痛、座骨神経痛、股関節の痛みを和らげたり、患部を包み込んで保護するものではない。
【0003】
本発明は、比較的細幅で伸縮率の小さい帯状弾性ベルトを骨盤の腸骨上部の突部にバックル等の係止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に戻し、その状態を維持しながら骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることにより、骨盤の歪みが元のの歪んだ状態に戻ることを防ぐものである。
【背景技術】
【0004】
骨盤は、体の中心に位置しており腸骨、仙骨、恥骨の三つの骨と関節から構成されていて、上肢と下肢を支えている体の要の部分であり、体重を支えたり、体のバランスをとったり、歩行したりするために重要な役割を果たしている。
【0005】
骨盤は、前記腸骨と仙骨が後方で仙腸関節として結合し、前方では左右の恥骨同士が結合し、下方では恥骨と座骨が融合してできているもので、骨そのものの変形や左右差が無ければ骨盤そのものの歪みは簡単には起こらない。
【0006】
然し、運動選手のように偏った筋肉を使用したり、激しい運動により左右の足関節、膝関節、股関節の変形を起こしたり、関節の動きにバランスが取れず片側だけ固い場合等で、骨盤の左右どちらかが前に出ていたり、斜めに傾いていたりするようになる。
【0007】
また、同じ姿勢を続けることの多いドライバー等の職業では脊髄が曲がって猫背となりがちで、骨盤の位置がずれてくることもある。
【0008】
而して、骨盤の位置が正常な位置からずれてくることが、骨盤の歪みとなり、骨盤周囲の筋肉のバランスが崩れて背骨や頸椎に影響を与え、また、全身のバランスが崩れが様々な体の不調の原因を引き起こす。骨盤の歪み調整は、従来、整体やカイロプラクティック的手技によって調整していたが、この方法では、仕事や運動後の筋肉の疲れと共に、すぐに骨盤の歪みは元に戻ってしまう傾向がある。
【0009】
そして、骨盤の歪みによる筋肉のバランスの崩れは、筋肉を疲れやすくし、消費されるエネルギーも低下して脂肪がたまりやすくなるばかりか、筋肉に余裕のあるうちはよいが、疲労や加齢により、筋力、持久力が低下すると弱い部分に負担がかかり、疼痛を引き起こす。
【0010】
従って、骨盤の歪みは、肩こり、腰痛、背部痛、頸部痛、臀部痛、膝関節痛等の原因となることが多い。
【0011】
斯くして、公知事実としての腰ベルトに関連する特許文献として、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−345866号公報
【特許文献2】特開2004−033356号公報を開示して従来例を説明する。
【0013】
特許文献1は腰ベルトに関するもので、腰部に巻き付け固定して腰部安定と腰痛緩和を図る腰ベルトの改良に関して、比較的狭幅のベルトを用いて、骨盤部位を含む上半身において腰部を固定し、腰痛の緩和に有効な腰ベルトを提供している。
【0014】
特許文献1の腰ベルトは、主ベルトの中央部の周辺に複数の細長の硬質の補強片を主ベルト幅方向に向けて固定し、且つ、該補強片が内側に膨出するように彎曲しているので補強片が、腰部を骨髄に対してしっかり固定でき、しかも、腰部に対する粒状物による指圧効果を付与して、腰痛の緩和に有効としている。
【0015】
更に腰部側においては、補助ベルトが主ベルト上に巻かれて、上記の補強片を上から締め付けるので、腰部の安定化に有効である、旨の 記載があり、従来からある腰部コルセットを多少狭幅の腰ベルト形状に構成し、指圧効果を付与したもので、腰痛の基本的解決策を追求して具現化しているものではない。
【0016】
また、特許文献2は、腰から骨盤にわたってサポートすることができ、腰痛、座骨神経痛、股関節の痛みなども和らげることのできる健康ベルトに関するもので、この従来例では、一対の面ファスナーから成る係着部と、一対の係着部間に延びる股関節ベルト部6及び腰椎ベルト部を備えた健康ベルトで、該股関節ベルトに一対の環跳押圧部が設けられていて、ツボの環跳を適度に刺激することができ、股関節の痛み、坐骨神経痛、腰痛などを和らげることができると、されている。
【0017】
斯くして、特許文献2も、ベルト形状物にツボを適度に刺激する環跳押圧部を設けるなどして股関節の痛み、坐骨神経痛、腰痛などを和らげる効果を期待し、また、マイナスイオンを放出する形状を取り入れて血行促進、血液の浄化、新陳代謝の促進などの効果を得ると、しているが、腰痛等の基本的解決策を具現追求しているものではなく、健康補助用具の域を脱していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、骨盤の歪みを調整しながらトレーニングをおこない骨盤を支えている筋肉、即ち腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛えるための骨盤の歪み調整具並びにその使用方法を提供するものである。
【0019】
本発明における骨盤の歪み調整具は、特許文献1並びに特許文献2で開示した従来のコルセット、サポーター類と異なり腰痛、座骨神経痛、股関節の痛みを和らげたり、患部を包み込んで保護したり、押圧部を設けて指圧するためのものではない。
【0020】
本発明は、従来例に比較して極めて細幅の伸縮性のある帯状弾性ベルトを骨盤の腸骨上部にバックル等の係止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付け骨盤を正常な位置にもどすもので、その状態を維持しながら骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることで、骨盤の歪みがもとの歪んだ状態に戻ることを防ぎ、全身の筋肉のバランスもよくなり、運動能力や、運動によるエネルギーの消費量の向上を計るものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、人体の骨盤の腸骨上部の突部に帯状弾性ベルトをバックル等の係止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に戻しながら、該状態で各種トレーニングを行い骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることにより骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防ぐための骨盤調整具である。
【0022】
そして、その構成は、好ましくは、伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトを形成し、該帯状弾性ベルトの両端にバックル等を形成する係止具を設け、該バックル等の係止具を介して前記帯状弾性ベルトを任意にリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルトをリング状にして人体の骨盤を形成する腸骨上部の突部に巻き付けるように装着維持可能にしたことを特徴とする。
【0023】
この点について、従来例は、係止具として面ファスナーなどを用いたものがほとんどであるが、面ファスナーでは装着の度に長さ、強度設定がずれてしまう。本発明ではバックルを用いることで、一度設定した長さ、強度設定を次回装着時にも正確に再現することができることを特徴とする。
【0024】
斯くして、上記課題を解決する手段で、伸長率が小さいとは、帯状弾性ベルトが非常に伸びづらくこれを伸ばそうとすると大きな引張力を必要とするものである。次に、細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトとは、帯状の幅が、従来の腰ベルト、健康ベルトに比較して非常に幅の細いものを示している。
【0025】
そして、従来例が、腰部を保護したり、腰部を動かさないように固定するためにコルセット状で幅広であったものに対して、本発明の帯状弾性ベルトの幅は、人体の骨盤を形成する腸骨上部の突部に、該帯状弾性ベルトをバックル等の掛止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に戻しながら、該状態で各種トレーニングを行い骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることにより骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防ぐための骨盤の歪み調整具であることから、前記腸骨の突部のみに巻着される細幅とし、該帯状弾性ベルトの細幅、そして薄厚は、トレーニング中の体の動きに対して邪魔にならない形状とした。
【0026】
また、本発明は、好ましくは、伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトを形成し、該帯状弾性ベルトの両端にバックル等を形成する係止具を設け、該バックル等の係止具を介して前記帯状弾性ベルトを任意にリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルトを伸長し前記バックル等を介して人体の骨盤を形成する腸骨上部の突部に巻き付けるように装着維持可能とし、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に矯正し、該状態で各種の運動トレーニングを行うことで骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛え骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防止する骨盤の歪み調整具の使用方法を提案している。
【0027】
更に、本発明の骨盤の歪み調整具並びに使用方法に用いられる帯状弾性ベルトの形状を実験と経験値により、好ましくは、前記帯状弾性ベルトのゴムの応力が130%伸長時に200から700kPa,1Pa(パスカル)=1N/m(ニュートン パー 平方メートル)の範囲内であること、前記帯状弾性ベルトの幅が略20mmから35mmの範囲内であること、前記帯状弾性ベルトの薄厚が1mmから5mmの範囲内であることと具体的に提案した。
【0028】
本発明に用いられる前記帯状弾性ベルトの材質は、好ましくは、その製造工程で伸長率を設定可能な天然ゴム、合成ゴム、或いは天然ゴムと合成ゴムの混合ゴム等で製作されていることを特徴としている。即ち、本発明に使用される帯状弾性ベルトの材質選定にあたっては、天然ゴムは戻り精度に優れ、合成ゴムは劣化防止に優れていることから、どちらを選定しても一定の特徴と効果が得られるが、天然ゴムの混合比率を高くした混合ゴムは両方の特徴を兼ね備えて本発明に最適である。以下、上記天然ゴム、合成ゴム、或いは天然ゴムと合成ゴムの混合ゴムを称して混合ゴム等として本発明を詳説する。
【0029】
また本発明に用いられる前記混合ゴム等は好ましくは、可縫製ゴムで製作されていることである。
そして、上記可縫製ゴムとは、他の布地等と工業用ミシンで縫製できる柔らかさや、厚さを有している混合ゴム等を示している。
【0030】
斯くして、本発明の前記帯状弾性ベルトは、好ましくは、全面が伸長性に優れたポリウレタン交編等の生地を介して覆われていることを特徴とし、また該帯状弾性ベルトとポリウレタン交編等の生地とは、縫着または貼着、或いは融着等にて一体化されていることである。
【0031】
前記ポリウレタン交編等の生地とは、収縮性の優れた布地の代表格であり、該ポリウレタン交編等の生地は、前記帯状弾性ベルトの芯材を構成する前記混合ゴム等を肌触りや、デザイン性の向上、滑り止め機能の付加等の理由にて混合ゴム等に包着一体化した構成としている。
【0032】
また、前記混合ゴム等から成る帯状弾性ベルトとポリウレタン交編等の生地の縫着とは帯状弾性ベルトの全面をポリウレタン交編等の生地にて包着して縫い合わせ一体化する手段を提案し、他の一体化の手段として、接着剤等を用いて貼り合わせ、または、熱を加えて材料同士を溶かして張り合わせる手段を提示している。
【0033】
而して、本発明は、他の実施例的な形態として、
好ましくは、前記帯状弾性ベルトに係止紐の一端を縫製して固着せしめ、該係止紐の他端には小バックルを設け、また前記帯状弾性ベルトには小バックル嵌着具が設けられていて、前記小バックルが小バックル嵌着具に嵌着する際に前記係止紐を介して帯状弾性ベルトが使用者の体の一部に連繋可能に構成した。即ち、帯状弾性ベルトは、使用者が体より取り外す際に、該帯状弾性ベルトのバックルを開放すると急速に帯状弾性ベルトが収縮し人体の装着部より飛び跳ね離脱することを防止するために係止紐を用いて腰周りに巻き付けたり、使用者の適宜部分に連繋して飛びはね離脱を防止している。
【0034】
また、本発明は、好ましくは、前記帯状弾性ベルトをトレーニングウェアーの上下を形成する上着並びにパンツの何れかに縫着して一体化し、該各々の縫着位置が上着またはパンツを着用して前記帯状弾性ベルトを周着した時に着用者の腸骨上部の突部に配置されるよう構成した。
【0035】
更に、本発明は、好ましくは、前記帯状弾性ベルトの内部側面の一部または内部側面の全体に滑り止め布地を縫着した。
【0036】
更にまた、本発明は、前記帯状弾性ベルトの混合ゴム等を被包するポリウレタン交編等の生地間にマイナスイオンを発生させる素材を配置するか、該混合ゴム等を被包したポリウレタン交編等の生地面上にマイナスイオン発生素材を縫着して一体形成した。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、上記構成とすることにより、骨盤の歪みを調整しながらトレーニングをおこない骨盤を支えている筋肉、即ち腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛えるための骨盤の歪み調整具並びにその使用方法を提供することができた。
【0038】
また、本発明は、伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトを骨盤の腸骨上部にバックル等の係止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付け骨盤を正常な位置にもどすもので、その状態を維持しながら骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることで、骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防ぎ、全身の筋肉のバランスもよくなり、運動能力や、運動によるエネルギーの消費量の向上を計ることができた。
【0039】
斯くして、本発明は、従来のコルセット、サポーター類と異なり。肩こり、腰痛、座骨神経痛、股関節の痛みを和らげたり、患部を包み込んで保護したり、押圧部を設けて指圧するためのものではない。
【0040】
本発明は骨盤の歪みを従来例に比較して極めて細幅で且つ薄厚の帯状弾性ベルトを骨盤の腸骨上部にバックル等の掛止具で装着し、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付け骨盤を正常な位置にもどすもので、その状態を維持しながら骨盤を支えている筋肉、即ち、腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛える骨盤が元の歪んだ状態に戻らないように鍛えることができる。
【0041】
また、本発明は、性別、体格別に帯状弾性ベルト幅を略23mmと略30mmと更に限定して設定することにより、該帯状弾性ベルトを骨盤の腸骨上部に装着してトレーニングを行って、例えば脚を大きく上にあげた場合でも、前記骨盤の腸骨上部に装着された帯状弾性ベルトが当たったり邪魔になることはなく、骨盤を的確に矯正できる。
【0042】
更に、従来例に比較して極めて細幅の伸縮性のある帯状弾性ベルトは、骨盤の腸骨上部のみを締め付け、周りの筋肉をサポートしていないために、従来例のコルセット類のように筋肉をもサポートして、該筋肉を弱らせることがない。
【0043】
更にまた、本発明は、可縫製ゴムを伸縮性に優れたポリウレタン交編等の生地で被包して製作された帯状弾性ベルトを引伸して骨盤の腸骨上部装着するため、前記帯状弾性ベルトの人体の骨盤の腸骨上部からの取り外しに際し、該帯状弾性ベルトのバックルを開放すると急速に帯状弾性ベルトが収縮し装着部より飛び跳ね離脱することを防止するために係止紐を前記帯状弾性ベルトに取り付け、該係止紐の他端に設けられた小バックルは帯状弾性ベルト使用者の腰周りを係止紐にて巻装したり、使用者の体の一部に連繋した後、前記帯状弾性ベルトに設けられた小バックル嵌着具に嵌着可能にした。
【0044】
そして、上記、帯状弾性ベルトをトレーニングウェアーの上下を形成する上着並びにパンツの何れかに縫着して一体化し、該各々の縫着位置が上着またはパンツを着用して前記帯状弾性ベルトを周着した時に着用者の腸骨上部の突部に配置されるよう構成することにより帯状弾性ベルトの紛失や、前記帯状弾性ベルトの取り外し時に、該帯状弾性ベルトが飛び跳ね離脱することを防止できた。
【0045】
本発明の帯状弾性ベルトは、装着時に装着場所でのゴロツキ感がないようにベルト厚を1mmから5mmの範囲内と肉薄とし、該ベルトの幅を略20mmから35mmと細幅にすることにより、線に近い感覚で骨盤を押さえることになり、帯状弾性ベルトはズレ上がりがしづらく、使用者の腹部を圧迫することもなく着用できた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の骨盤の歪み調整具を説明する展開図である。
【図2】図1の部分側面図である。
【図3】本発明の骨盤調整具の体への装着位置説明図である。
【図4】本発明の実施例2を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例2を示す説明図である。
【0047】
斯くして、本発明にあっては、製品製作上、使用者の利便性を追求したり、流行感覚を満足させるために、前記帯状弾性ベルトの内部側面には、一部または内部側面全体に滑り止め布地を縫製したり、前記帯状弾性ベルトの可縫製ゴム内にマイナスイオンを発生させる素材を装着して、該可縫製ゴムとマイナスイオン発生素材をポリウレタン交編等の生地で被包し一体形成した帯状弾性ベルトとした。
【0048】
尚、最後に本発明に係る調整具並びにその使用方法の効果例を、「バランス感覚の向上」としてまとめた実験データを以下に示す。
【0049】
<バランス感覚の向上>
骨盤が矯正され、立位バランス能力に向上が見られた。ベルトを装着することにより骨盤が適正な位置に矯正され、体幹が正常な位置となり、重心が真ん中になり、左右のバランスが調整された。
対象者 :30代〜50代の健常な男性3名、女性1名
実験条件 :直立姿勢(両足閉脚閉眼条件)での重心動揺(2分間)を計測
(矩形面積とは重心の揺れ範囲で、この面積が小さいほど揺れが少なくバランス力があるといえる)
矩形面積(重心の揺れ範囲)が装着前から装着後で平均で78%に減少し、重心の位置が真ん中により揺れが改善された。
また、重心の総軌跡長でも装着前と装着後で88%減少し、骨盤が矯正され体軸が安定していることが言えた。
【0050】
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明を実施するための最良の形態は、伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトを形成し、該帯状弾性ベルトの両端にバックル等を形成する係止具を設け、該バックル等の係止具を介して前記帯状弾性ベルトを任意にリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルトを伸長し前記バックル等を介してリング状となし人体の骨盤を形成する腸骨上部の突部に巻き付けるように装着維持可能に構成したことを主な特徴とする。
【0052】
また、本発明は、伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルトを形成し、該帯状弾性ベルトの両端にバックル等を形成する係止具を設け、該バックル等の係止具を介して前記帯状弾性ベルトを任意にリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルトを伸長し前記バックル等を介してリング状となし人体の骨盤を形成する腸骨上部の突部に巻き付けるように装着維持可能とし、該帯状弾性ベルトにて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に矯正し、該状態で各種の運動トレーニングを行うことで骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛え骨盤の歪みが元の歪んだ状態に戻ることを防止することを目的としている。
【0053】
斯くして、本発明は、前記帯状弾性ベルトのゴム応力が130%伸長時に200から700kPa,1Pa(パスカル)=1N/m(ニュートン パー 平方メートル)の範囲内であることが最良の形態である。
【0054】
本発明は、前記帯状弾性ベルトの幅が略20mmから35mmの範囲内であることが最良の形態である。
【0055】
本発明は、前記帯状弾性ベルトの薄厚が1mmから5mmの範囲内であることが最良の形態である。
【0056】
そして、本発明においては、前記帯状弾性ベルトがその製造工程で伸長率を設定可能な天然ゴム、合成ゴム、或いは天然ゴムと合成ゴムの混合ゴム等により製作されており、しかも前記混合ゴム等が可縫製ゴムで製作されている。
【0057】
また本発明においては、前記帯状弾性ベルトの全面が伸長性に優れたポリウレタン交編等の生地を介して覆われており、前記帯状弾性ベルトとポリウレタン交編等の生地とが逢着、または貼着、或いは融着等にて一体化されている
【0058】
更に本発明においては、前記帯状弾性ベルトに係止紐の一端を縫製して固着せしめ、該係止紐の他端には小バックルを設け、また前記帯状弾性ベルトには小バックル嵌着具が設けられていて、前記小バックルが小バックル嵌着具に嵌着する際に前記係止紐を介して帯状弾性ベルトが使用者の体の一部に連繋可能に構成した。
【0059】
更にまた、本発明においては、前記帯状弾性ベルトをトレーニングウェアーの上下を形成する上着並びにパンツの何れかに縫着して一体化し、該各々の縫着位置が上着またはパンツを着用して前記帯状弾性ベルトを周着した時に着用者の腸骨上部の突部に配置されるよう構成することもできる。
【0060】
本発明においては、更に、前記帯状弾性ベルトの内部側面の一部または内部側面の全体に滑り止め布地を、例えば布地のストレッチ性を阻害せぬよう、千鳥がけステッチなどにて縫着することや、前記帯状弾性ベルトの混合ゴムを被包するポリウレタン交編等の生地間にマイナスイオンを発生させる素材を配置するか、該混合ゴムを被包したポリウレタン交編等の生地面上にマイナスイオン発生素材を縫着して一体形成することで、効果を向上させることが可能である。
尚、該マイナスイオン発生物質を生地に吹き付け等の手段にて付着させ固着させる、所謂後加工処理にても可能なことは勿論である。
【実施例1】
【0061】
図1は本発明の骨盤歪み調整具を示す展開図、図2はバックル部の部分側面図図3は本発明の骨盤調整具の体への装着位置説明図である。
図1並びに図2において、1は本発明の骨盤の歪み調整具を示し、2は帯状弾性ベルト、3は長さ調整テープ部、4はバックル取付テープ材、5は係止具6a、6bからなるバックル、7は前記長さ調整テープ3の端部処理装着部、8は係止紐、9は係止紐先端部に設けた小バックル、10は前記小バックルが嵌着される小バックル嵌着具を示している。尚、図1は帯状弾性ベルト2の長さを省略して示しており、本来は想像線にて示す如く接続された帯状材である。
【0062】
而して、前記帯状弾性ベルト2は、伸長率が小さく該帯状弾性ベルト2を引き延ばすには強力な引張力を必要とする。また、従来例に比較して極めて細幅の混合ゴム11等を芯材として、該混合ゴム11等の表面を伸縮性にすぐれたポリウレタン交編等の生地12にて被包し、心材となる前記混合ゴム11等と一体的に縫製した帯状弾性ベルト2で、13はその縫い目を示している。
【0063】
また、前記帯状弾性ベルト2はその端部一側にバックル取付テープ材4が縫い付けてあり、該バックル取付テープ材4を介してバックル5の係止具6aが前記帯状弾性ベルト2に固着されており、該帯状弾性ベルト2の他端は長さ調整テープ3を介してバックル5の係止具6bの連繋部14に装着されていて、該長さ調整テープ3にて前記骨盤歪み調整具1全体の長さが調整可能である。
【0064】
斯くして、実施例1の骨盤歪み調整具1はバックル2を構成する係止具6a、6b付きのバックル式であり、また、前記連繋部14の如く長さ調整機構付であるために、初めにトレーナーの指導を受けることにより、最適な締め付け強度を有する長さに設定すれば、常に一定強度で帯状弾性ベルト2を骨盤の腸骨上部で、該腸骨が突出している部位に装着することは容易である。
【0065】
而して、前記骨盤歪み調整具1の締め付け強度を左右する帯状弾性ベルト2は、混合ゴム11等を心材として、ポリウレタン交編等の生地12にて被包された形状を有し、該帯状弾性ベルト2のゴム応力が130%伸長時に200から700kPa,1Pa(パスカル)=1N/m(ニュートン パー 平方メートル)の範囲内のものを使用する。そして帯状弾性ベルト2の厚さTは略1mmから5mm、幅Wは略20mmから略35mm範囲内の形状とした。
【0066】
また、実施例1は、従来の腰ベルトや腰用の健康ベルト等に比較して極めて細幅であることにこだわり、その理由が人間の骨盤の幅、即ち、腸骨の上部出張りと股関節の間が100mm前後であり、身長、骨格によって骨盤の大きさが異なるが、上記帯状弾性ベルト2の幅で的確に骨盤の歪み調整や矯正ができることを確認した。
【0067】
本発明の骨盤歪み調整具は、図3に示すように、人体の腰部15に位置する骨盤16、該骨盤16を形成する腸骨17、仙骨18、恥骨19の内、腸骨17の上部に位置する突部20に破線21の如く巻き付けた形状で装着して、腸骨17を締め付け、骨盤16の位置のズレ等の歪みを矯正したり調整する。
【0068】
また、上記帯状弾性ベルト2の厚さTの略1mmから5mmの範囲は、腸骨17の突部20に巻着したときにゴロツキ感がないように薄肉形状とした結果であり、幅Wの略20から35mmの範囲は、帯状弾性体2を細幅にすることにより、線形状で骨盤16を押さえて締め付けできるので、従来の腰部コルセット、サポーターの如く周囲の筋肉を覆い動かないように保護してしまうものではなく、骨盤16を締め付け、骨盤16を正常な位置にもどすものである。
【0069】
そして実施例1は、上記の状態を維持しながら骨盤16を支えている筋肉、即ち、腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛え、骨盤が元の歪んだ状態に戻らないように鍛えることができる。
【0070】
また、実施例1は、性別、体格別に帯状弾性ベルト2の幅Wを略23mmと略30mmと設定することにより、該帯状弾性ベルト2を腸骨17の上部の突部20に破線21の如く装着してトレーニングを行い、例えば脚を大きく上にあげた場合でも、前記骨盤16の腸骨17上部に装着された帯状弾性ベルト2が当たったり邪魔になることはなく、骨盤17を的確に矯正したり調整できる。
【0071】
更に、実施例1においては、上記帯状弾性ベルト2の内部側面には該一部または内部側面全体に滑り止め布地を縫製して、前記骨盤歪み調整具1がズレ上がり難く構成した。
【0072】
更にまた、実施例1においては、前記連繋部14には、係止紐8の一側端部が装着されており、該係止紐8の先端部には小バックル9が設けられており、該小バックル9は帯状弾性ベルト2に設けられた小バックル嵌着具10に嵌着可能である。
【0073】
そして前記係止紐8、小バックル9、小バックル嵌着具10は、前記帯状弾性ベルト2を人体の骨盤の腸骨上部からの取り外しする際に、該帯状弾性ベルト2のバックル5を開放すると急速に帯状弾性ベルト2が収縮し人体の装着部より飛び跳ね離脱することを防止するために係止紐8を前記帯状弾性ベルト2に取り付け、該係止紐8の他端に設けられた小バックル9は、帯状弾性ベルト2使用者の腰周りを係止紐8にて巻装するか、体の一部に連繋して、前記帯状弾性ベルト2に設けられた小バックル嵌着具10に嵌着する構成を有している。
【実施例2】
【0074】
図4、図5は本発明の実施例2を示す説明図である。
図4並びに図5のおいて、22はトレーニングパンツ、23はトレーニングウェアー上着を示している。トレーニングパンツ22の装着ゴム紐部24の下部で、該トレーニングパンツ22の装着時に前記腸骨17の突部20には、該トレーニングパンツ22の外部外周面に実施例1にて説明した帯状弾性ベルト2がトレーニングパンツ15に対して伸縮自在に縫製されており、該帯状弾性ベルト2の端部にはバックル取付テープ材4を介して係止具6aが、また、長さ調整テープ部3を介して係止具6bが設けられている。
【0075】
図5のトレーニングウェー上着23の内側下部においても、上記構成は同様に採用でき、2は帯状弾性ベルト、3は長さ調整テープ、4はバックル取付テープ材、6a、6bはバックル5を構成する係止具を示している。
【0076】
而して、実施例2は、帯状弾性ベルト2等から成る骨盤の歪み調整具1をトレーニングパンツ22またはトレーニングウェアーの上着23の外装部或いは内部側に縫着し、該トレーニングパンツ22またはトレーニングウェアー上着23の着用時に使用者の腸骨17上部位置の突部20に配置され、該利用者が任意に帯状弾性ベルト2を腸骨17の突部20に装着可能に構成した。
【0077】
また、実施例2は、他の好ましい具体的手段として、前記帯状弾性ベルト2の混合ゴム11内にマイナスイオンを発生させる素材を装着して、該混合ゴム11とマイナスイオン発生素材をポリウレタン交編等の生地12で被包し一体形成した帯状弾性ベルト2とした。
【0078】
而して、実施例2おいては、本発明の骨盤歪み調整具1をトレーニングウェアー上下に実施した例を参照に説明したが、本発明はトレーニングウェアー上下に限らずアンダーウェアー、トレーニング用水着等にも実施でき、腰痛、座骨神経痛、股関節の痛み、肩こり等の原因となる骨盤の歪みを戻しながら、骨盤を支えている筋肉、即ち、腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛え、骨盤が元の歪んだ状態に戻らないように鍛えることができる骨盤の歪み調整具並びにその使用方法を具現化できた。
【0079】
斯くして本発明は、人体の骨盤の腸骨上部に帯状弾性ベルト2をバックル5等の掛止具6a、6bで装着し、該帯状弾性ベルト2にて骨盤を締め付けることで骨盤の歪みを正常な状態に戻しながら、該状態で各種トレーニングを行い骨盤の周りの筋肉をバランス良く鍛えることにより骨盤の歪みがもとの歪んだ状態に戻ることを防ぐための骨盤の歪み調整具1に関するものである。
【0080】
そして、前記帯状弾性ベルト2は伸長率の小さい細幅且つ薄厚の混合ゴム11等を形成し、該混合ゴム11表面を伸縮性に優れたポリウレタン交編等の生地12で被包し一体形成した帯状弾性ベルト2となし、該帯状弾性ベルト2の一端または両端部に該帯状弾性ベルトの有効長さ調整具となる連繋部14を設け、該調整される有効長さの骨盤歪み調整具1を介してバックル5等の係止具で人体に装着し、該帯状弾性ベルト2を環状帯に形成して骨盤を締め付け維持可能に構成した骨盤の歪み調整具並びにその使用方法である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
而して本発明は、腰痛、座骨神経痛、股関節の痛み、肩こり等の原因となる骨盤の歪みを戻しながら、骨盤を支えている筋肉、即ち、腹筋、背筋、大腿四頭筋、ハムストリング筋、殿筋、内転筋等を鍛え、骨盤が元の歪んだ状態に戻らないように鍛えることができる骨盤の歪み調整具であり、スポーツ界のトレーナー、産業界における腰痛等の職業病防止策として大いに受け入れられことは間違いなく、その産業上の利用価値は顕著なものがある。
【符号の説明】
【0082】
1 骨盤の歪み調整具
2 帯状弾性ベルト
3 長さ調整テープ
4 バックル取付テープ
5 バックル
6a、6b 係止具
7 端部処理装着部
8 係止紐
9 小バックル
10 小バックル嵌着具
11 混合ゴム
12 ポリウレタン交編等の生地
13 縫い目
14 連繋部
15 腰部
16 骨盤
17 腸骨
18 仙骨
19 恥骨
20 突部
21 破線
22 トレーニングパンツ
23 トレーニングウェアー上着
24 装着ゴム紐部
T 帯状弾性ベルトの厚さ
W 帯状弾性ベルトの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長率の小さい細幅且つ薄厚の帯状弾性ベルト2を形成し、該帯状弾性ベルト2の両端にバックル5を形成する係止具6a、6bを設け、該バックル5の係止具6a、6bを介して前記帯状弾性ベルト2を長さ調整可能なリング状に形成可能とし、該帯状弾性ベルト2をリング状になし人体の骨盤16を形成する腸骨17上部の突部20に巻き付けて使用することを特徴とする骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項2】
前記帯状弾性ベルト2のゴムの応力が伸長率が略130%で伸長時に200から700kPaであることを特徴とする請求項1に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項3】
前記帯状弾性ベルト2の細幅が略20mmから35mmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項4】
前記帯状弾性ベルト2が天然ゴム、合成ゴム、或いは天然ゴムと合成ゴムの混合ゴムにより製作されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項5】
前記帯状弾性ベルト2の薄厚が1mmから5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項6】
前記帯状弾性ベルト2の全面は伸長性に優れたポリウレタン交編の生地を介して覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項7】
前記帯状弾性ベルト2とポリウレタン交編の生地とが縫着または貼着或いは融着にて一体化されていることを特徴とする請求項記載の骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項8】
前記帯状弾性ベルト2の内部側面の一部または内部側面の全体に滑り止め布地を縫着したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の骨盤の歪み調整具の使用方法
【請求項9】
前記帯状弾性ベルト2への滑り止め布地の逢着が滑り止め布地を千鳥がけステッチにて逢着されていることを特徴とする請求項に記載された骨盤の歪み調整具の使用方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−233456(P2009−233456A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173153(P2009−173153)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【分割の表示】特願2004−123620(P2004−123620)の分割
【原出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【Fターム(参考)】