説明

髄膜炎菌表面抗原NhhAの保存領域を含むタンパク質

【課題】髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)表面抗原の修飾型を構成する新規なタンパク質、およびコードする核酸を提供する。
【解決手段】
修飾された表面タンパク質は、非保存アミノ酸の欠失を有することを特徴とし、それにより髄膜炎菌に対する交差保護的な免疫応答を誘発することができる。本発明は、診断薬、治療薬、予防ワクチン、ならびに医薬品の設計および/またはスクリーニングにおける、修飾された表面抗原の使用にまで及ぶ。修飾された表面抗原は、対応する野生型の表面抗原から予想されるよりも広いスペクトルの髄膜炎菌菌株に対して効果的な免疫化を生じさせるワクチンにおいて特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)表面抗原の修飾型を構成する新規なタンパク質、そのような新規なペプチドおよびポリペプチドをコードする核酸、診断におけるそれらの使用、治療ワクチンおよび予防ワクチンにおけるそれらの使用、ならびに医薬のデザインおよび/またはスクリーニングにおけるこれらの使用に関する。より詳細には、非保存アミノ酸を欠失させることによって、本発明の修飾型表面抗原は、対応する野生型の表面抗原から予想されるよりも広い範囲の髄膜炎菌菌株に対して効果的な免疫化をもたらすワクチンにおいて有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
髄膜炎菌はグラム陰性細菌であり、髄膜炎菌性の髄膜炎および敗血症の原因菌である。その唯一の知られている宿主はヒトであり、集団の約10%が無症状的に髄膜炎菌を保有する場合がある(Caugantら、1994、Journal of Clinical Microbiology 32 323)。
【0003】
髄膜炎菌は多糖の莢膜を発現し得る。これにより、この細菌を、発現した莢膜の性質に従って分類することができる。髄膜炎菌の少なくとも12種の血清群(A、B、C、29−E、H、I、K、L、W135、X、YおよびZ)が存在する。これらのうち、A、BおよびCの血清群が髄膜炎菌性疾患の90%を引き起こしている(Poolmanら、1995、Infectious Agents and Disease 4 13)。AおよびCの血清群に対するワクチンを得ることができるが、血清群Bの莢膜多糖は免疫原性が良くなく、ヒトにおいて保護を誘導しない。
【0004】
したがって、他の膜成分および細胞外成分が、現在、ワクチンに含ませるためのその好適性について調べられている。例として、クラス1、2および3の外膜タンパク質(ポリン;por遺伝子によってコードされる)、ならびにクラス4の外膜タンパク質(Rmp)およびクラス5の外膜タンパク質(Opacityタンパク質;opa遺伝子およびopc遺伝子によってコードされる)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、今日まで、これらの候補物はどれも、特に小児において完全な保護を誘導することができない(Romeroら、1994、Clinical Microbiology Review、7 559;Poolmanら、1995、前掲)。
【0006】
効果的なワクチンを作製するためには、大部分の菌株に存在し、かつ保護的な免疫応答(例えば、殺菌性抗体)を誘導することができる髄膜炎菌成分を同定することが必要である。
【0007】
これに関連して、国際公開公報第99/24578号、同第99/36544号、同第99/58683号および同第99/57280号が参照される。これらはそれぞれが引用により本明細書に組み込むものとされ、そして髄膜炎菌に対して免疫化するワクチンにおいて有用であり得る候補タンパク質を多数記載する。
【0008】
これに関連して、国際公開公報第99/31132号、およびPeakら、2000、
FEMS Immunol.Med.Microbiol.28 329が特に参照される。これらはそれぞれが引用により本明細書に組み込むものとされ、そして髄膜炎菌の多数の異なる菌株から単離された新規な表面抗原を記載する。そのような表面抗原およびその対立遺伝子変異体は、本明細書の目的のためにはNhhAと呼ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明者らは、NhhA表面抗原が、髄膜炎菌の菌株間で変動し得るポリペプチド領域と、菌株間で保存されている他の領域とを有することを発見した。この可変性領域は、髄膜炎菌の特定の菌株に由来するNhhA抗原を取り込むワクチンがその特定の菌株に対する優先的な免疫化を生じさせやすいように、免疫原性であり、菌株特異的な免疫応答を誘発しやすいと考えられる。その結果、本発明者らは、野生型NhhAによって誘発される免疫応答と同じくらい菌株特異的でない免疫応答を誘発する修飾されたNhhAポリペプチドを製造することを試みた。この修飾されたNhhA抗原は、本明細書下記に記載されるように、髄膜炎菌に対する治療ワクチンおよび/または予防ワクチンを製造するために有用である。免疫応答を主に保存されたエピトープに対して指向させることによって、そのようなワクチンは、野生型NhhAによる免疫化の後に期待されるよりも広いスペクトルの髄膜炎菌菌株に対して効果的な免疫化を生じさせるはずである。
【0010】
したがって、本発明は、一般には、NhhAポリペプチドの保存されたアミノ酸を有する単離タンパク質に関する。
したがって、本発明のタンパク質は、対応する野生型NhhAポリペプチドと比較して、非保存アミノ酸の1または複数の欠失を有し得る。
【0011】
第1の態様において、本発明は、NhhAポリペプチドの12個以上の連続した保存アミノ酸の配列を含み、かつ野生型NhhAポリペプチドを含まない単離タンパク質を提供する。
【0012】
好適には、本発明のタンパク質は免疫応答を誘発することができる。
好ましくは、免疫応答は、該対応する野生型NhhAポリペプチドによって誘発される免疫応答よりも小さい菌株特異性を有する。
【0013】
より好ましくは、該免疫応答は、髄膜炎菌の1または複数の菌株に対する保護をもたらし、またはさらにより好ましくは髄膜炎菌の多数の菌株に対する保護をもたらす。
野生型NhhAポリペプチドの配列が図1に例示される(配列番号1〜10)。
【0014】
コンセンサス(Consensus)アミノ酸配列もまた図1に示される(配列番号11)。
本発明の単離タンパク質は、好ましくは、本明細書では図1におけるC1領域、C2領域、C3領域、C4領域およびC5領域と呼ばれるNhhAポリペプチドの定常領域を1つまたは複数含む。
【0015】
好適には、図1においてV1領域、V2領域、V3領域またはV4領域と呼ばれるNhhAポリペプチドの可変領域の1または複数の非保存アミノ酸が、野生型NhhAポリペプチドに関して欠失していることがこの態様に従って理解される。
【0016】
好ましくは、V1領域または少なくともその実質的な部分が欠失している。
特定の態様において、単離タンパク質は、「本発明の修飾されたNhhAポリペプチド」の例である図5〜9(配列番号23〜27)のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する。図14(配列番号33〜39)には、N末端シグナル配列の除去をもたらすこと
が予想される「成熟」ポリペプチドのさらなる例が示される。
【0017】
第2の態様により、本発明は、第1の態様によるポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。
野生型nhhAの核酸配列が図2に例示される(配列番号12〜21)。
【0018】
コンセンサス(Consensus)核酸配列もまた図2に示される(配列番号22)。
好ましくは、C1、C2、C3、C4およびC5の領域が、図2に示されるそれぞれのヌクレオチド配列によってコードされる。
【0019】
好ましくは、V1、V2、V3およびV4の領域が、図2に示されるそれぞれのヌクレオチド配列によってコードされる。
特定の態様において、本発明の単離核酸は、「本発明の修飾nhhA核酸」の特定の例である図5〜9(配列番号28〜32)のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列を有する。
【0020】
第1および第2の態様による本発明は、本発明の単離タンパク質および核酸のホモログ、フラグメント、変異体および誘導体にまで及ぶ。
野生型のNhhAポリペプチドおよびnhhA核酸は本発明の範囲から特に除かれる。
【0021】
第3の態様において、本発明は、発現ベクターおよび第2の態様による核酸を含む発現構築物にある。この場合、該配列は、該発現ベクターにおいて1または複数の調節核酸に作動的に連結されている。
【0022】
第4の態様において、本発明は、第3の態様による発現構築物を含む宿主細胞を提供する。
本発明の第5の態様では、第1の態様による組換え単離タンパク質を製造する方法であって、 (i)第3の態様による発現ベクターを含む宿主細胞を、該ポリペプチドが該宿主細胞において発現されるように培養する工程と、
(ii)該組換えタンパク質を単離する工程と、
から成る方法を提供する。
【0023】
第6の態様において、本発明は、本発明のタンパク質、そのフラグメント、変異体または誘導体に結合する抗体または抗体フラグメントを提供する。
第7の態様において、本発明は、髄膜炎菌を含むことが疑われる生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌を検出する方法であって、
(i)生物学的サンプルを個体から単離する工程と、
(ii)前記の抗体または抗体フラグメントを生物学的サンプルと接触させる工程と、
(iii)髄膜炎菌の存在を示す特異的に結合した抗体または抗体フラグメントを検出する工程と、
から成る方法を提供する。
【0024】
第8の態様において、髄膜炎菌細菌を含むことが疑われる生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌細菌を検出する方法であって、
(i)生物学的サンプルを患者から単離する工程と
、(ii)該細菌の存在を示す、前記第2の態様による核酸配列を該サンプルにおいて検出する工程と、
から成る方法を提供する。
【0025】
第9の態様において、本発明は、髄膜炎菌による個体の感染を診断する方法であって、(i)個体から得られた生物学的サンプルを本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体と接触させる工程と、
(ii)該ポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体と該サンプル中の髄膜炎菌特異的抗体との複合体の存在の有無を測定する工程であって、該複合体の存在により該感染が示される工程と、
から成る方法を提供する。
【0026】
好ましくは、個体は哺乳動物である。
より好ましくは、個体はヒトである。
第10の態様において、本発明はまた、生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌細菌を検出するキットにおける、前記第1の態様による単離タンパク質の使用、前記第2の態様による単離核酸の使用、または上記に記載された抗体もしくは抗体フラグメントの使用にまで及ぶ。
【0027】
本発明の第11の態様により、前記第1の態様による単離タンパク質を含む医薬組成物が提供される。
好ましくは、該医薬組成物はワクチンである。
【0028】
第12の態様において、本発明は、薬学的に効果的な量の上記ワクチンを投与する工程を含む、髄膜炎菌による患者の感染を防止する方法を提供する。
第13の態様において、本発明は、前記第1の態様による単離タンパク質、変異体または誘導体の免疫原性フラグメントを同定する方法であって、
(i)該ポリペプチド、変異体または誘導体のフラグメントを製造する工程と、(ii)該フラグメントを個体に投与する工程と、
(iii)髄膜炎菌および/または該ポリペプチド、変異体もしくは誘導体に特異的に結合するエレメントの産生、および/または髄膜炎菌の感染に対する保護作用を含む該個体における免疫応答を検出する工程と、
から成る方法を提供する。
【0029】
好ましくは、個体は哺乳動物である。
より好ましくは、個体はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)−(D)は、10菌株の髄膜炎菌から得られたNhhAポリペプチドアミノ酸配列(配列番号1〜10)とコンセンサス(Consensus)配列(配列番号11)とのアミノ酸アラインメント。このアラインメントで使用された菌株名およびポリペプチド配列は表1の第1欄の菌株名および配列番号に対応する。アミノ酸は標準的な一文字略号によって示される。コンセンサスなアミノ酸は、残基が完全に保存されている場合にだけ示される。保存領域(二重下線部、C1、C2、C3、C4、C5と表記)および可変領域(一本下線部、V1、V2、V3、V4と表記)がコンセンサス配列の下に示される。
【図2】(A)−(F)は、図1のアミノ酸配列をコードする、10菌株の髄膜炎菌から得られたnhhA核酸のヌクレオチド配列アラインメント。C1、C2、C3、C4、C5およびV1、V2、V3、V4の各領域は図1および表1に記載される通りである。
【図3A】porAプロモーターに作動的に連結された野生型PMC21のNhhAをコードするPCR増幅産物を有するpCO14Kに対応するプラスミドマップ(スケール通りには縮尺されていない)。黒矢印は、pCO14K内のporA遺伝子およびkanR遺伝子の配置を示す。PMC21株のnhhA遺伝子を増幅するために使用されたオリゴヌクレオチドプライマーHOMP5’およびHOMP3’ANが示される。nhhA遺伝子は点線矢印により示され、porAプロモーターは黒四角により示され、そして実施例2に記載されるようにporAをnhhAで置換するために使用されたEagIおよびNcoIの制限部位が示される。
【図3B】porAプロモーターに作動的に連結された野生型PMC21のNhhAをコードするPCR増幅産物を有するpCO14Kに対応するプラスミドマップ(スケール通りには縮尺されていない)。実施例2に記載されるpIP52(PMC21)における遺伝子配置。実施例4に記載される変異体を構築するために使用されたBglII部位が示される。
【図4A】NhhAポリペプチドの特定領域を欠失させるためのスプライスオーバーラップ伸長PCR法の概略図。野生型nhhA遺伝子の概略図が図4Aの上部に示され、組換えnhhAがこれらの図の下部に示されており、可変領域が黒四角として、定常領域が白四角により示される。矢印はオリゴヌクレオチドプライマーのおおよその位置を示す。垂直なハッチング線は増幅産物を示す。オリゴヌクレオチド配列がnhhA核酸の不連続な領域に由来する場合、これは、そのような不連続な領域の間における点線により示される。おおよそのスケールで示される。二重の垂直線は、C5領域の一部分のみが示されていることを示す。実施例6に記載される方法を示す。
【図4B】図4A同様の概略図で、実施例7に記載される方法を示す。
【図4C】図4A同様の概略図で、実施例8に記載される方法を示す。
【図5】(A)実施例4で作製されたPMC21のNhhA欠失変異体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号23)。(B)コードするヌクレオチド配列(配列番号28)。
【図6】(A)実施例5で作製されたH41のNhhA欠失変異体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号24)。(B)コードするヌクレオチド配列(配列番号29)。
【図7】(A)実施例6におけるスプライスオーバーラップPCRによって作製されたPMC21のNhhA欠失変異体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号25)。(B)コードするヌクレオチド配列(配列番号30)。
【図8】(A)実施例7におけるスプライスオーバーラップPCRによって作製されたPMC21のNhhA欠失変異体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号26)。(B)コードするヌクレオチド配列(配列番号31)。
【図9】(A)実施例8におけるスプライスオーバーラップPCRによって作製されたPMC21のNhhA欠失変異体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号27)。(B)コードするヌクレオチド配列(配列番号32)。
【図10】(A)−(B)野生型ポリペプチド配列およびNhhA欠失変異体ポリペプチド配列のアミノ酸アラインメント。これらのポリペプチドは、実施例2、実施例3、実施例4および実施例5に記載されるように作製された。アミノ酸は一文字略号によって示される。表1および図1に規定される保存領域に対応するC1、C2、C3、C4およびC5と記された保存領域が、H41およびPMC21から得られた全長配列に二重下線を付すことによって示され、そして表1および図1に規定される可変領域に対応するV1、V2、V3、V4と記された可変領域が、H41およびPMC21から得られた全長配列に一本下線を付すことによって示される。
【図11】過剰発現したNhhAを示すウエスタン免疫ブロット。45μgの総細胞タンパク質を、実施例9に記載されるように、4〜20%勾配SDS−PAGEで分離し、その後、ニトロセルロースフィルターに転写して、ウエスタンブロットした。レーン1:野生型レベルのNhhA発現を示す親株。レーン2:P6株(実施例2に記載されるPMC21NhhAを過剰発現する)。レーン3:PΔ6株(実施例4に記載される短縮型PMC21NhhAを過剰発現する)。レーン4:H14株(実施例3に記載されるH41NhhAを過剰発現する)。レーン5:HΔ8株(実施例5に記載される短縮型H41NhhAを過剰発現する)。レーン6:2A株(NhhAの発現が、国際公開公報第99/31132号に記載されるようにnhhA遺伝子の変異により失われている)。標準物の移動が示される:185kDa、119kDa、85kDa、62kDa、51.2kDa、38.2kDa、22.4kDa。野生型NhhAポリペプチドが、レーン1に存在するが、レーン6には存在しない高分子量の免疫反応性バンドとして存在する。
【図12】単離されたNhhA欠失変異体ポリペプチド。NhhAポリペプチドを、実施例9に記載されるように単離し、その後、4〜20%SD−PAGEで分離した。ポリアクリルアミドゲルをクーマシー染色した。レーン1:実施例6に記載される短縮型PMC21NhhAポリペプチドを過剰発現する菌株のOMC調製物。レーン2:精製された短縮型PMC21NhhAポリペプチド。レーン3:実施例4に記載される短縮型PMC21NhhAポリペプチドを過剰発現する菌株のOMC調製物。レーン4:精製された短縮型PMC21NhhAポリペプチド。レーン5:実施例2に記載されるPMC21NhhAポリペプチドを過剰発現する菌株のOMC調製物。レーン6:精製されたPMC21NhhAポリペプチド。レーン7:分子量標準物:173kDa、111kDa、80kDa、61kDa、49kDa、36kDa。レーン6以外のすべてのレーンにおける高分子量の反応性種はおそらくはNhhAポリペプチドの多量体を表していることに留意すること。他のバンドは、おそらくは、あまり安定でない形態のNhhAまたは分解産物である。これらがレーン6には存在しないことに留意すること。
【図13】抗NhhAタンパク質のマウス血清を使用するウエスタン免疫ブロット。すべてのパネルにおいて、レーン1、3、5、7は、PMC21NhhAポリペプチドを過剰発現する菌株のOMCを含有し、レーン2、4、6および8は、NhhAを発現しない2A株のOMCを含有する。パネルA:レーン1および2:野生型PMC21NhhAが1:1000希釈で接種されたマウスA。レーン3および4:野生型PMC21NhhAが1:10,000希釈で接種されたマウスA。レーン5および6:野生型PMC21NhhAが1:1000希釈で接種されたマウスB。レーン7および8:野生型PMC21NhhAが1:10,000希釈で接種されたマウスB。パネルB:レーン1&2:短縮型PMC21NhhAポリペプチド(実施例4)が1:1000希釈で接種されたマウスC。レーン3&4:短縮型PMC21NhhAポリペプチド(実施例4)が1:10,000希釈で接種されたマウスC。レーン5&6:短縮型PMC21NhhA(実施例4)が1:1000希釈で接種されたマウスD。レーン7および8:短縮型PMC21NhhA(実施例4)が1:1000希釈で接種されたマウスD。パネルC:レーン1&2:短縮型PMC21NhhA(実施例6)が1:1000希釈で接種されたマウスE。レーン3および4:短縮型PMC21NhhA(実施例6)が1:10,000希釈で接種されたマウスE。レーン5&6:短縮型PMC21NhhA(実施例6)が1:1000希釈で接種されたマウスF。レーン7&8:短縮型PMC21NhhA(実施例6)が1:1000希釈で接種されたマウスF。
【図14】(A)−(G)予測される成熟型NhhAポリペプチド欠失変異体。A:実施例2に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号33);B:実施例3に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号34);C:実施例4に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号35);D:実施例5に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号36);E:実施例6に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号37);F:実施例7に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号38);およびG:実施例8に記載される予測される成熟タンパク質(配列番号39)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
本明細書を通して、別途示されない限り、表現「含む」(「comprise」、「comprises」および「comprising」)は、任意の他の要素または要素群を除外することなく、述べられた要素または要素群を包含することを意味することが理解される。
【0032】
命名法に関して、NhhAは、本明細書では本発明のタンパク質が参照されるときに使
用され、一方、nhhAは、本明細書では本発明の核酸が参照されるときに使用される。NhhA/nhhAのタンパク質および核酸は、例えば国際公開公報第99/31132号において参照されるHiaNm/hianmのタンパク質および核酸(これらに限定されない)を包含することもまた理解される。
【0033】
本発明は、少なくとも一部は、10菌株の髄膜炎菌におけるNhhAポリペプチドにおける保存領域およびあまり保存されてない領域を解明することによって予測される。対応する領域が、例示されたNhhAポリペプチドの他の対立遺伝子変異体において保存されていることが予測される。
【0034】
本発明にとって重要なことは、野生型NhhAポリペプチド内の非保存アミノ酸を欠失させて、本発明の修飾されたNhhAポリペプチドを作製することによって、免疫応答が、その免疫応答を保存されたエピトープに対して指向させることにより1または複数の異種の髄膜炎菌菌株に対する保護をもたらす本発明の該ポリペプチドで免疫化したときに誘発され得るという認識であることが理解される。
【0035】
本明細書で使用される「非保存」アミノ酸は、1つの髄膜炎菌に由来する野生型NhhAポリペプチドには存在するが、1または複数の他の菌株に由来する野生型NhhAポリペプチドには存在していないアミノ酸残基である。
【0036】
好適には、第1の態様のポリペプチドは、対応する野生型の配列に関して、V1領域、V2領域、V3領域またはV4領域のいずれかの少なくとも一部が欠失しており、そのため、「欠失変異体」の例としてまとめて示されることがある。
【0037】
本発明は、V1、V2、V3およびV4の領域を、比較的保存されたC1〜C5の領域と比較して、非保存アミノ酸の頻度が比較的多い野生型NhhAポリペプチドの領域であるとして同定していることが理解される。
【0038】
これらのV領域のなかで、V1(超可変)およびV2の領域は非保存アミノ酸の最も大きな頻度を有し、一方、V3およびV4は比較的少ない頻度を有する。しかし、V1領域は、(総アミノ酸に関して)V2領域よりも、野生型NhhAポリペプチドの重要な割合を構成している。したがって、前記第1の態様による単離タンパク質はV1領域の少なくとも実質的な部分が欠失していることが好ましい。
【0039】
該欠失変異体を構築する際には、異なる髄膜炎菌菌株のNhhAポリペプチド間での領域の「シャフリング」が可能であることもまた当業者によって理解されるであろう。例えば、本発明のNhhAポリペプチドは、PMC21のC5領域とともにH41のC1領域を含むことができる。
【0040】
そのような「シャフリング」は組換えDNA法には特に十分に適している。
本発明の目的で、「単離された」とは、その天然の状態から取り除かれているか、またはそうでなければヒトの操作に供されている材料を意味する。単離された材料は、その天然の状態で通常それに伴う成分を実質的または本質的に含まなくてもよく、あるいはその天然の状態で通常それに伴う成分とともに人工的な状態で存在するように操作されていてもよい。単離された材料は天然形態または組換え形態であってもよい。
【0041】
「タンパク質」は、アミノ酸のポリマーを意味する。アミノ酸は、当技術分野において十分に理解されているように、天然型または非天然型のアミノ酸であり得る。
「ペプチド」は、50個以下のアミノ酸を有するタンパク質である。
【0042】
ポリペプチドは、50個以上のアミノ酸を有するタンパク質である。
本明細書で使用される表現「免疫応答を誘発する」は、本発明の単離されたポリペプチドにより、それが投与される哺乳動物において免疫応答がもたらされ得ることをいう。この場合、応答は、髄膜炎菌および/または該ポリペプチドに対するものである。好ましくは、免疫応答は殺菌性抗体の産生を包含する。より好ましくは、免疫応答は、髄膜炎菌感染に対して保護的である。
【0043】
「菌株特異的」は、本明細書では、自己の髄膜炎菌菌株に指向するか、または自己の髄膜炎菌菌株に対して少なくとも優勢的に指向する免疫応答の意味で使用される。
本明細書中で使用される「交差反応的」は、1または複数の異種の髄膜炎菌菌株に対する免疫応答が本発明のポリペプチドにより誘発され得ることを意味する。
【0044】
本明細書中で使用される「交差保護的」は、本発明のポリペプチドにより、免疫応答が誘発され、それにより、1または複数の異種の髄膜炎菌菌株による感染に対する保護がもたらされ得ることを意味する。
【0045】
したがって、前記に照らして、本発明の該ポリペプチドは、本明細書では、「免疫原」として、または「免疫原性」であると呼ばれることがある。
本発明の目的のために、該修飾されたNhhAポリペプチドは、図5〜9(配列番号23〜27)および図14に示されるアミノ酸配列により例示されるが、本発明ではまた、例示されたタンパク質のフラグメント、誘導体および変異体(対立遺伝子変異体など)も考えられる。
【0046】
例えば、アミノ酸を、菌株特異的な免疫原性を低下させるために、図1に示されるC1〜C5の配列のいずれかから欠失させることができ、一方で、V1〜V4の領域における非保存アミノ酸は必ずしもすべて欠失させる必要はない。
【0047】
したがって、本発明の単離タンパク質は、C1〜C5およびV1〜V4の領域のフラグメントを含むことができる。
実際、下記の実施例に記載されるように、都合のよい制限エンドヌクレアーゼ部位を利用して、安定した免疫原性タンパク質の高レベルな発現を達成するために、C1領域、C2領域、C3領域、C4領域および/またはC5領域あるいはV1領域、V2領域、V3領域および/またはV4領域の1個または数個のアミノ酸を欠失させることは、本発明のポリペプチドを組換えDNAに基づいて製造するためには好都合であり得る。
【0048】
1つの態様において、「フラグメント」は、該C1領域、C2領域、C3領域、C4領域またはC5領域の100%未満であるが、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%を構成するアミノ酸配列を含む。
【0049】
フラグメントは、例えば、C2領域(配列番号11)などの12個もの少数のアミノ酸、あるいは本明細書に記載されるC1領域、C2領域、C3領域、C4領域および/またはC5領域の一部またはすべてに対応する少なくとも20個の連続したアミノ酸または100個を越える連続したアミノ酸を含むペプチドであり得る。
【0050】
本明細書に例示される他のフラグメントは、図14に示されるなどの成熟ポリペプチドが形成されるために翻訳後プロセシングを受けている本発明の修飾されたNhhAポリペプチドである。
【0051】
別の態様において、「フラグメント」は、例えば、少なくとも6個、好ましくは少なく
とも10個、より好ましくは少なくとも20個のアミノ酸の長さである小ペプチドで、本発明の修飾されたNhhAタンパク質に由来する1または複数の抗原決定基またはエピトープを含む小ペプチドである。2つ以上のペプチドを含むより大きいフラグメントもまた考えられ、これらは、標準的な組換え核酸技術を適用して得ることができ、または従来の液相合成技術もしくは固相合成技術を使用して合成することができる。例えば、Nicholsonにより編集され、Blackwell Scientific Publicationsにより発行された「Synthetic Vaccines」と題される刊行物に含まれる、AthertonおよびShephardによる「Peptide Synthesis」と題される第9章に記載されるような溶液合成または固相合成を例えば参照することができる。または、ペプチドは、本発明のポリペプチドをプロテイナーゼ(endoLys−C、endoArg−C、endoGlu−Cおよびブドウ球菌V8プロテアーゼなど)で消化することによって製造することができる。消化されたフラグメントは、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技術によって精製することができる。
【0052】
本明細書で使用される「変異体」ポリペプチドは、1または複数のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている本発明のポリペプチドである。いくつかのアミノ酸を、ポリペプチドの活性の性質を変化させることなく、ほぼ類似する性質を有する別のアミノ酸に変化させること(保存的置換)ができることが当技術分野では十分に理解されている。ポリペプチドにおける例示的な保存的置換を表2に従って行うことができる。
【0053】
機能の実質的な変化は、表2に示される置換よりも低い保存的な置換を選択することによって行われる。他の置換は非保存的な置換であるが、これらの比較的少数が許容され得る。一般に、ポリペプチドの性質において最大の変化をもたらす可能性がある置換として、(a)親水性残基(例えば、SerまたはThr)で疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)を置換する置換、または親水性残基(例えば、SerまたはThr)を疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)で置換する置換;(b)システインまたはプロリンで任意の他の残基を置換する置換、またはシステインまたはプロリンを任意の他の残基で置換する置換;(c)電気的陽性側鎖を有する残基(例えば、Arg、HisまたはLys)で電気的陰性残基(例えば、GluまたはAsp)を置換する置換、または電気的陽性側鎖を有する残基(例えば、Arg、HisまたはLys)を電気的陰性残基(例えば、GluまたはAsp)で置換する置換、あるいは(d)嵩高い側鎖を有する残基(例えば、PheまたはTrp)で、小型側鎖を有する残基(例えば、Ala、Ser)もしくは側鎖を有しない残基(例えば、Gly)を置換する置換、または嵩高い側鎖を有する残基(例えば、PheまたはTrp)を、小型側鎖を有する残基(例えば、Ala、Ser)もしくは側鎖を有しない残基(例えば、Gly)で置換する置換が挙げられる。
【0054】
用語「変異体」はまた、本明細書に例示される配列の対立遺伝子変異体から作製された本発明のNhhAポリペプチドを包含する。
NhhAポリペプチドの変異体は、用語「ポリペプチドホモログ」の範囲に含まれることがある。
【0055】
ポリペプチドホモログは、本明細書前記に記載される本発明の修飾されたNhhAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%)の配列同一性を有する。
【0056】
本明細書で一般に使用される「ホモログ」は、場合により、本発明の核酸またはポリペプチドとの規定され得るヌクレオチド配列関係またはアミノ酸配列関係を有する。
例えば、本明細書に例示されるアミノ酸配列とは異なるが、免疫原性で、交差保護免疫
性をもたらすアミノ酸配列を有するようなホモログが考えられる。
【0057】
野生型のNhhAポリペプチドおよびnhhA核酸は用語「ホモログ」の範囲から特に除かれる。
ホモログの範囲には、髄膜炎菌とは異なる細菌株から単離される、機能的に関連するポリペプチドおよびそのコードする核酸である「オルソログ」が含まれる。
【0058】
それぞれの核酸間およびそれぞれのポリペプチド間の配列関係を記載するために本明細書で使用される用語には、「比較ウインドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」および「実施的な同一性」が含まれる。それぞれの核酸/ポリペプチドはそれぞれ、(1)核酸/ポリペプチドが互いに有する完全な核酸/ポリペプチド配列の1または複数の部分のみ、および(2)核酸/ポリペプチド間で異なる1または複数の部分を含み得るので、配列比較は、配列類似性の局所的領域を同定して比較するために「比較ウインドウ」について配列を比較することによって典型的には行われる。「比較ウインドウ」は、参照配列と比較される典型的には12個の連続した残基の概念的なセグメントをいう。比較ウインドウは、それぞれの配列を最適にアラインメントするために、(付加または欠失を含まない)参照配列と比較して約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含むことができる。比較ウインドウをアラインメントするための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズムのコンピューター化された手段(IntelligeneticsによるGeneworksプログラム;Wisconsin Genetics Software Package Release7.0(Genetics Computer Group、575 Science Drive Madison、WI、USA)におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、これらは引用により本明細書に組み込むものとする)によって、または精査、もしくは選択された様々な方法のいずれかにより得られた最良のアラインメント(すなわち、比較ウインドウについて最大のパーセンテージ相同性をもたらすアラインメント)によって行うことができる。例えば、Altschulら、1997、Nucl.Acids
Res.25 3389(これは引用により本明細書に組み込むものとする)により記載されるようなBLASTファミリーのプログラムもまた参照することができる。
【0059】
配列分析の詳細な議論を、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(編者:Ausubelら、John Wiley&Sons Inc NY、1995〜1999)のユニット19.3に見出すことができる。
【0060】
用語「配列同一性」は、比較ウインドウについて配列が同一である範囲を考慮して標準的なアルゴリズムを使用する適切なアラインメントを考慮した正確なヌクレオチド一致またはアミノ酸一致の数を含むようにその最も広い意味で本明細書では使用される。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウインドウについて比較し、一致した位置の数を得るために、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)が両方の配列に存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を比較ウインドウ内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算して、配列同一性のパーセンテージを得るためにその結果を100倍することによって計算される。例えば、「配列同一性」は、DNASISコンピュータープログラム(ウインドウス用バージョン2.5;Hitachi Software engineering Co.、Ltd.(South San Francisco、California、USA)から入手可能)により計算される「一致パーセンテージ」を意味することが理解され得る。
【0061】
したがって、本明細書の前記に規定されるような変異体などの本発明のポリペプチドホモログを組換えDNA技術によって調製することは十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、本発明の核酸は、例えばトランスポゾン変異誘発法を使用するランダム変異誘発
法または部位特異的変異誘発法のいずれかを使用して変異させることができる。得られたDNAフラグメントは、その後、従来の技術を使用して大腸菌などの好適な発現宿主にクローン化され、そして所望する活性を保持するクローンが検出される。そのようなクローンが、ランダム変異誘発技術を使用して得られた場合、陽性のクローンは、変異を検出するために配列決定しなければならない。
【0062】
本明細書で使用される「誘導体」ポリペプチドは、当技術分野において理解されるように、例えば、他の化学的成分とのコンジュゲート化または複合体化によって、あるいは翻訳後修飾技術によって変化している本発明のポリペプチドである。そのような誘導体には、アミノ酸欠失体および/または本発明のNhhAポリペプチドもしくはその変異体に対するアミノ酸付加体が含まれ、該誘導体により免疫応答が誘発される。
【0063】
アミノ酸の「付加(体)」は、ポリペプチドまたはその変異体と他のポリペプチドまたはタンパク質との融合を包含し得る。これに関連して、本発明のポリペプチドまたは変異体はより大きなポリペプチドに組み込まれ得ることが理解され、そしてそのようなより大きなポリペプチドもまた免疫原性であることが予想され得る。上記に記載されるポリペプチドは、例えば、髄膜炎菌に由来しないさらなるタンパク質に融合させることができる。そのような他のタンパク質は、例として、タンパク質の精製を助けることができる。例えば、ポリヒスチジンタグまたはマルトース結合タンパク質を使用することができる。または、髄膜炎菌に対して効果的な免疫応答を生じさせることができるか、または別の病原体に対する免疫応答を生じさせることができる。他の可能な融合タンパク質は、免疫調節的な応答を生じさせる融合タンパク質である。そのようなタンパク質の具体的な例として、プロテインAまたはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)が含まれる。さらに、ポリペプチドは、それが担体タンパク質として作用する多糖型ワクチン成分に融合させることができる。
【0064】
本発明により考えられる他の誘導体には、側鎖に対する修飾、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を合成しているときにおける様々な非天然アミノ酸および/またはそれらの誘導体の取り込み、ならびに本発明のポリペプチド、フラグメントおよび変異体に立体配座的な制約を負わす架橋剤および他の方法の使用が含まれるが、これらに限定されない。本発明により考えられる側鎖修飾の例には、無水酢酸を用いたアシル化によるなどのアミノ基の修飾;無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸を用いたアミノ基のアシル化;メチルアセトイミダートを用いたアミド化;シアナートを用いたアミノ基のカルバモイル化;ピリドキサール−5−ホスファートを用い、その後、NaBH4で還元することによるリシンのピリドキシル化;アルデヒドと反応させ、その後、NaBH4で還元することによる還元的アルキル化;および2,\~4,\~6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いたアミノ基のトリニトロベンジル化が含まれる。
【0065】
カルボキシル基は、O−アシルイソウレアの形成を介するカルボジイミド活性化を行い、その後、続いて誘導体化して、例として、対応するアミドにすることによって修飾することができる。
【0066】
アルギニン残基のグアニジン基は、2,\~3−ブタンジオン、フェニルグリオキサール
およびグリオキサールなどの試薬を用いて複素環縮合生成物を形成させることによって修飾することができる。
【0067】
スルフヒドリル基は、システイン酸への過ギ酸酸化などの方法;4−クロロメルクリフェニルスルホン酸、4−クロロメルクリ安息香酸;2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、フェニル水銀塩化物および他の水銀化合物を使用する水銀誘導体の形成;他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸または他の置換
マレイミドとの反応;ヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いたカルボキシメチル化;ならびにアルカル性pHでシアナートを用いたカルバモイル化によって修飾することができる。
【0068】
トリプトファン残基は、例えば、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジル臭化物もしくはハロゲン化スルホニルを用いたインドール環のアルキル化によって、またはN−ブロモスクシンイミドを用いた酸化によって修飾することができる。
【0069】
チロシン残基は、テトラニトロメタンでニトロ化して、3−ニトロチロシン誘導体を形成させることによって修飾することができる。
ヒスチジン残基のイミダゾール環は、ジエチルピロカルボナートを用いたN−カルボエトキシル化によって、またはヨード酢酸誘導体を用いたアルキル化によって修飾することができる。
【0070】
ペプチド合成時に非天然アミノ酸および誘導体を取り込ませる例には、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、t−ブチルグリシン、ノルロイシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、2−チエニルアラニンおよび/またはD異性体のアミノ酸の使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本発明によりまた、ヒトにおいて免疫原性にするために、本発明のポリペプチド、フラグメントまたは変異体をジニトロフェノールで共有結合的に修飾することが考えられる。
本発明の単離タンパク質(フラグメント、変異体、誘導体およびホモログを含む)は、当業者に知られている任意の好適な手法によって調製することができる。
【0072】
例えば、タンパク質は、下記の工程:
(i)1または複数の調節ヌクレオチド配列に作動的に連結された本発明の修飾nhhA核酸を含む発現構築物を調製する工程、
(ii)好適な宿主細胞を発現構築物でトランスフェクションまたは形質転換する工程、(iii)組換えポリペプチドを該宿主細胞において発現させる工程
を含む手法によって組換えポリペプチドとして調製することができる。
【0073】
PCRによって本発明の修飾nhhA核酸を製造することを記載する多数の実施例が下記に示される。
1つの特定の態様において、PCRは、本明細書下記に記載されるようなスプライスオーバーラップPCRである。この方法は、Hoら、1989、Gene
77 51において、そしてHortonら、1989、Gene 77 61によって記載される方法に基づく。これらはともに参照にとして本明細書に組み入れられる。
【0074】
宿主細胞での発現のために、組換え核酸は、発現ベクターにおいて1または複数の調節配列に作動的に連結される。
「発現ベクター」は、プラスミドなどの自己複製する染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0075】
「作動的に連結された」により、該調節ヌクレオチド配列(1つまたは複数)が、転写を開始または調節またはそうでなければ制御するように本発明の組換え核酸に対して配置されていることが意味される。
【0076】
様々な調節ヌクレオチド配列が、一般に、発現のために使用される宿主細胞に適している。多数のタイプの適切な発現ベクターおよび好適な調節配列が様々な宿主細胞について
当技術分野では知られている。
【0077】
典型的には、該1または複数の調節ヌクレオチド配列は、プロモーター配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびにエンハンサー配列または活性化因子配列を含むことができるが、これらに限定されない。
【0078】
当技術分野において知られている構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターが本発明により考えられる。これらのプロモーターは、天然に存在するプロモーター、または2つ以上のプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。
【0079】
好ましい態様において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含有する。選択マーカー遺伝子は当技術分野では十分に知られており、使用される宿主細胞によって変化する。
【0080】
ある態様において、発現ベクターは、下記に詳しく記載されるように、porAプロモーターおよびカナマイシン選択性遺伝子を有するpCO14Kである。この態様により、宿主細胞は、大腸菌および髄膜炎菌からなる群より選択される細菌である。
【0081】
発現ベクターはまた、(典型的には、発現ベクターにより提供される)融合パートナーを含むことができ、その結果、本発明の組換えポリペプチドは、該融合パートナーとの融合ポリペプチドとして発現される。融合パートナーの主な利点は、融合パートナーにより、該融合ポリペプチドの同定および/または精製が助けられるということである。
【0082】
該融合ポリペプチドを発現させるためには、融合パートナーおよび本発明のヌクレオチド配列の翻訳リーディングフレームが一致するように本発明によるヌクレオチド配列を発現ベクターに連結することが必要である。
【0083】
融合パートナーの十分に知られている例には、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、ヒトIgGのFc部分、マルトース結合タンパク質(MBP)およびヘキサヒスチジン(HIS6)が含まれるが、これらに限定されない。これらは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合ポリペプチドの精製には特に有用である。アフィニティークロマトグラフィーによって融合ポリペプチドを精製する場合、アフィニティークロマトグラフィーについて適切なマトリックスは、それぞれ、グルタチオン結合樹脂、アミロース結合樹脂、およびニッケル結合樹脂またはコバルト結合樹脂である。多くのそのようなマトリックスは、(HIS6)融合パートナーについて有用なQIAexpress(商標)システム(Qiagen)およびPharmacia GST精製システムなどの「キット」の形態で得ることができる。
【0084】
好ましい融合パートナーはMBPであり、これは本明細書の実施例11に記載される。
当技術分野において十分に知られている別の融合パートナーは緑色蛍光タンパク質(GFP)である。この融合パートナーは、本発明の融合ポリペプチドを蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリーによって同定できるようにする蛍光「タグ」として役立つ。GFPタグは、本発明の融合ポリペプチドの細胞レベル以下での局在化を評価するときに、または本発明の融合ポリペプチドを発現する細胞を単離するために有用である。蛍光標示式細胞分取(FACS)などのフローサイトメトリー方法がこの後者の適用において特に有用である。
【0085】
好ましくは、融合パートナーはまた、第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアーゼ
切断部位を有する。これにより、適切なプロテアーゼは本発明の融合ポリペプチドを部分的に消化し、それにより本発明の組換えポリペプチドを融合ポリペプチドから遊離させることができる。遊離したポリペプチドは、その後、続くクロマトグラフィー分離によって融合パートナーから単離することができる。
【0086】
本発明による融合パートナーはまた、特異的な抗体が得られる短いペプチド配列であることが通常である「エピトープタグ」をその範囲内に含む。特異的なモノクローナル抗体が容易に得られるエピトープタグの十分に知られている例として、c−mycタグ、インフルエンザウイルスヘマグルチニンタグおよびFLAGタグが挙げられる。
【0087】
本明細書前記のように、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドまたはポリペプチドホモログをコードする核酸を含む該発現構築物で形質転換された宿主細胞を培養することによって製造することができる。タンパク質発現に適切な条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択とともに変化する。これは、日常的な実験によって当業者により容易に確認される。
【0088】
発現に好適な宿主細胞は原核生物性または真核生物性であり得る。本発明に従ってポリペプチドを発現させるための1つの好ましい宿主細胞は細菌である。使用される細菌は大腸菌または髄膜炎菌であり得る。
【0089】
好ましい態様において、宿主細胞は、PorA、Opa、Opcまたは莢膜多糖を発現しないように改変され、かつ所望するリポ多糖表現型を発現する髄膜炎菌である。
あるいはまた、宿主細胞は、例えば、バキュロウイルス発現システムとともに用いることができるSF9細胞などの昆虫細胞であり得る。
【0090】
組換えタンパク質は、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING.A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press、1989)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)(特に第16節および第17節);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(編者:Ausubelら、John Wiley&Sons、Inc.1995〜1999)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)(特に第10章および第16章);CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE(編者:Coliganら、John Wiley&Sons、Inc.1995〜1999)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)(特に第1章、第5章および第6章)に記載されるような標準的なプロトコルを使用して当業者によって都合よく調製することができる。
【0091】
本発明の組換え修飾NhhAタンパク質の好ましい発現方法および発現したタンパク質の検出方法は本明細書下記の実施例に示される。 ヌクレオチド配列
本発明は、本発明の修飾されたNhhAタンパク質をコードする単離核酸を提供する。
【0092】
好ましくは、該単離核酸は、図1および図2に記載されるような1または複数のNhhAポリペプチド定常(C)領域をコードするヌクレオチド配列を有する。単離核酸は、図1および図2において同様に認められるような1または複数の非保存(V領域)アミノ酸をさらにコードすることができる。
【0093】
そのような単離核酸の具体的な態様が配列番号28〜32および図5〜9に示される。
本明細書で使用される用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖のmRNA、RNA、cRNAおよびDNAを意味し、該DNAはcDNAおよびゲノムDNAを含む。
【0094】
「ポリヌクレオチド」は80個以上の連続したヌクレオチドを有する核酸であり、「オリゴヌクレオチド」は80個未満の連続したヌクレオチドを有する。
「プローブ」は、例えば、ノーザンブロッティングまたはサザンブロッティングにおいて相補的な配列を検出するために好適に標識された一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり得る。
【0095】
「プライマー」は、通常、好ましくは15個〜50個の連続したヌクレオチドを有する一本鎖のオリゴヌクレオチドであり、これは、相補的な核酸「テンプレート」にアニーリングすることができ、かつTaqポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼまたはSequenase(商標)などのDNAポリメラーゼの作用によってテンプレートに依存した様式で伸長させることができる。
【0096】
本発明によりまた、本明細書前記に定義された本発明の核酸のホモログが考えられる。
そのような核酸ホモログは、全長の野生型NhhAポリヌクレオチドをコードする核酸を含まない。
【0097】
例えば、核酸ホモログは、免疫化によって髄膜炎菌に対する交差保護的な免疫性をもたらすために有用であり得る、本発明のNhhAのV領域およびC領域に構造的に関連するペプチドおよびポリペプチドをコードする。
【0098】
1つの態様において、核酸ホモログは、本発明のポリペプチドホモログ(その変異体、フラグメントおよび誘導体を含む)をコードする。
別の態様において、核酸ホモログは、本発明の核酸と少なくとも60%(好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%)の配列同一性を有する。
【0099】
さらに別の態様において、核酸ホモログは、少なくとも低ストリンジェンシーの条件のもとで、好ましくは少なくとも中程度のストリンジェンシーの条件のもとで、そしてより好ましくは高ストリンジェンシーの条件のもとで、本発明の核酸にハイブリダイゼーションする。
【0100】
「ハイブリダイゼーションするおよびハイブリダイゼーション」は、本明細書では、少なくとも部分的に相補的なヌクレオチド配列が対形成して、DNA−DNA、RNA−RNAまたはDNA−RNAのハイブリッドが生じることを示すために使用される。相補的なヌクレオチド配列を含むハイブリッドの配列は、当技術分野において十分に知られているように相補的なプリン間およびピリミジン環で塩基対形成することによって生じる。
【0101】
これに関連して、修飾されたプリン(例えば、イノシン、メチルイノシンおよびメチルアデノシン)および修飾されたピリミジン(チオウリジンおよびメチルシトシン)もまた塩基対形成に関与し得ることが理解される。
【0102】
本明細書で使用される「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーション時における温度およびイオン強度の条件ならびにある種の有機溶媒および/または界面活性剤の存在の有無をいう。ストリンジェンシーが高いほど、大きなレベルの相補性がハイブリダイゼーション中のヌクレオチド配列間に必要になる。
【0103】
「ストリンジェントな条件」は、高頻度の相補的な塩基を有する核酸のみがハイブリダイゼーションするそのような条件を示す。
本明細書では、低ストリンジェンシーの条件に対する参照には下記が含まれ、包含される:
(i)42℃でのハイブリダイゼーションについて、少なくとも約1%v/v〜少なくとも約15%v/vのホルムアミドおよび少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩、そして42℃での洗浄について、少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩;および
(ii)65℃でのハイブリダイゼーションについて、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mMのEDTA、0.5MのNaHPO4(pH7.2)、7%SDS、そして室温での洗浄について、(i)2xSSC、0.1%SDS、または(ii)0.5%BSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4(pH7.2)、5%SDS。
【0104】
中程度のストリンジェンシーの条件には下記が含まれ、包含される:
(i)42℃でのハイブリダイゼーションについて、少なくとも約16%v/v〜少なくとも約30%v/vのホルムアミドおよび少なくとも約0.5M〜少なくとも約0.9Mの塩、そして42℃での洗浄について、少なくとも約0.5M〜少なくとも約0.9Mの塩;および
(ii)65℃でのハイブリダイゼーションについて、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mMのEDTA、0.5MのNaHPO4(pH7.2)、7%SDS、そして室温での洗浄について、(a)2xSSC、0.1%SDS、または(b)0.5%BSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4(pH7.2)、5%SDS。
【0105】
高ストリンジェンシーの条件には下記が含まれ、包含される:
(i)42℃でのハイブリダイゼーションについて、少なくとも約31%v/v〜少なくとも約50%v/vのホルムアミドおよび少なくとも約0.01M〜少なくとも約0.15Mの塩、そして42℃での洗浄について、少なくとも約0.01M〜少なくとも約0.15Mの塩;
(ii)65℃でのハイブリダイゼーションについて、1%BSA、1mMのEDTA、0.5MのNaHPO4(pH7.2)、7%SDS、そして65℃を越える温度で約1時間の洗浄について、(a)0.1xSSC、0.1%SDS、または(b)0.5%BSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4(pH7.2)、5%SDS;および(iii)68℃以上で約20分間の洗浄について、0.2xSSC、0.1%SDS。
【0106】
一般に、洗浄は、Tm=69.3+0.41(G+C)%−12℃で行われる。一般に、二重鎖DNAのTmは、ミスマッチした塩基の数が1%増大する毎に約1℃低下する。
上記にもかかわらず、ストリンジェントな条件は、例えば、Ausubelら
(前掲)の第2.9章および第2.10章に記載される(これは引用により本明細書に
組み込むものとする)、当技術分野では十分に知られている。当業者はまた、様々な要因を操作して、ハイブリダイゼーションの特異性を最適化できることを認識する。最終洗浄のストリンジェンシーの最適化は、高い程度のハイブリダイゼーションを保証するために役立ち得る。
【0107】
典型的には、相補的なヌクレオチド配列が、ヌクレオチドをマトリックス(好ましくは、ニトロセルロースなどの合成メンブラン)に固定化する工程、ハイブリダイゼーション工程および検出工程を含むブロッティング技術によって同定される。サザンブロッティングが、相補的なDNA配列を同定するために使用され、ノーザンブロッティングが、相補的なRNA配列を同定するために使用される。ドットブロッティングおよびスロットブロッティングを、相補的なDNA/DNA、DNA/RNAまたはRNA/RNAのポリヌクレオチド配列を同定するために使用することができる。そのような技術は当業者によって十分に知られており、Ausubelら(前掲)の2.9.1頁〜2.9.20頁に記載されている。そのような方法によれば、サザンブロッティングは、DNA分子をゲル電気泳動でサイズに従って分離すること、サイズ分離したDNAを合成メンブランに転写すること、およびメンブランに結合させたDNAを相補的なヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションすることを含む。
【0108】
ドットブロッティングおよびスロットブロッティングでは、DNAサンプルが合成メンブランに直接適用され、その後、上記のようにハイブリダイゼーションが行われる。
cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーにおいて相補的な核酸を同定するときには、プラークハイブリダイゼーションまたはコロニーハイブリダイゼーションの方法などによる代わりのブロッティング工程が使用される。この手法の他の典型的な例が、Sambrookら(前掲)の第8章〜第12章に記載される(これは引用により本明細書に組み込むものとする)。
【0109】
典型的には、下記の一般的な手法を使用して、ハイブリダイゼーション条件を決定することができる。核酸は、上記に記載されるように合成メンブランにブロッティング/転写される。本発明の野生型ヌクレオチド配列が、上記に記載されるように標識され、その後、固定化されたヌクレオチド配列とハイブリダイゼーションするこの標識された核酸の能力が分析される。
【0110】
当業者は、多数の要因がハイブリダイゼーションに影響することを認識する。放射能標識されたポリヌクレオチド配列の比活性は、検出可能なシグナルを得るためには、典型的には約108dpm/μg以上にすべきである。比活性が108〜109dpm/μgである放射能標識されたヌクレオチド配列により、約0.5pgのDNAを検出することができる。検出を可能にするためには、十分なDNAがメンブランに固定化されなければならないことが当技術分野では十分に知られている。DNAを過剰に固定化することが望ましい(通常的には1μg〜10μg)。10%(w/v)デキストラン硫酸(MW500,\~000)またはポリエチレングリコール6000などの不活性なポリマーをハイブリ
ダイゼーション時に添加することによりまた、ハイブリダイゼーションの感度を増大させることができる(Ausubelら(前掲)の2.10.10を参照のこと)。
【0111】
メンブランに固定化された核酸と標識された核酸とのハイブリダイゼーションから意味のある結果を達成するためには、十分な量の標識された核酸を、洗浄後に、固定化された核酸にハイブリダイゼーションさせなければならない。洗浄により、標識された核酸に対する所望する程度の相補性を有する固定化された核酸に対してのみ、標識された核酸がハイブリダイゼーションすることが保証される。
【0112】
固定化された核酸にハイブリダイゼーションした標識された核酸を検出する方法は、当技術分野では実施者に十分に知られている。そのような方法には、オートラジオグラフィー、化学発光、蛍光および比色法による検出が含まれる。
【0113】
別の態様において、本発明の核酸ホモログは下記の手法:
(i)好適な宿主から核酸抽出物を得ること、
(ii)それぞれのプライマーが本発明のヌクレオチド配列の一部を含む、必要な場合には縮重しているプライマーを作製すること、および
(iii)該プライマーを使用して、核酸増幅技術により1または複数の増幅産物を該核酸抽出物から増幅すること
に従って調製することができる。
【0114】
好適には、宿主は細菌である。
好ましくは、宿主はナイセリア属の宿主である。
より好ましくは、宿主は髄膜炎菌またはナイセリア・ラクタミカ(N.lactamica)である。
【0115】
核酸配列増幅法による有用なプライマーは、本明細書下記に詳しく記載される配列番号
40〜51を含む。
好適な核酸増幅技術は当業者には十分に知られており、これには下記が含まれる:例えば、Ausubelら(前掲)の第15章(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR);例えば、米国特許第5,422,252号(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるような鎖置換増幅(SDA);例えば、Liuら、1996、J.Am.Chem.Soc.118 1587、ならびに国際公開公報第92/01813号およびLizardiら
(国際公開公報第97/19193号)(これらは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるようなローリングサークル複製(RCP);例えば、Sooknananら、1994、Biotechniques 17 1077(これは引用により本明細書に組み込むものとする)により記載されるような核酸配列型増幅(NASBA);および例えば、Tyagiら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93 5395(これは引用により本明細書に組み込むものとする)により記載されるようなQ−βレプリカーゼ増幅。
【0116】
本明細書で使用される「増幅産物」は、核酸増幅技術によって得られた核酸生成物をいう。
抗体 本発明によりまた、本発明の単離タンパク質、フラグメント、変異体および誘導体に対する抗体が考えられる。本発明の抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。抗体製造、精製および使用に適用され得る十分に知られている様々なプロトコルを、例えば、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(John Wiley&Sons NY、1991〜1994)の第2章、およびHarlow、E.&Lane、D.、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor、Cold Spring Harbor Laboratory、1988)に見出すことができる。これらはともに引用により本明細書に組み込むものとする。
【0117】
一般に、本発明の抗体は、本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体に結合させられるか、またはそれらとコンジュゲート化される。例えば、抗体はポリクローナル抗体を含み得る。そのような抗体は、本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体を産生種(マウスまたはウサギが含まれ得る)に注射して、ポリクローナル抗血清を得ることによって調製することができる。ポリクローナル抗体を製造する方法は当業者には十分に知られている。使用され得る例示的なプロトコルが、例えば、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(前掲)およびHarlow&Lane(1988、前掲)に記載される。
【0118】
産生種において得られるポリクローナル抗体の代わりに、モノクローナル抗体を、例えば、Kohler&Milstein、1975、Nature 256、495による論文(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるような標準的な方法を使用して、または、例えば、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(前掲)に記載されるそのより最近の改変法により、本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体の1つまたは複数が接種された産生種に由来する脾臓または他の抗体産生細胞を不死化することによって製造することができる。
【0119】
本発明はまた、その範囲内において、上記に示されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のFcフラグメントまたはFabフラグメントを含む抗体を包含する。または、抗体は、本発明のポリペプチドに対する単鎖Fv抗体(scFv)を含み得る。そのようなscFvは、例えば、米国特許第5,091,513号、欧州特許第239,40
0号、またはWinter&Milstein、1991、Nature 349 29
3による論文にそれぞれ記載される方法に従って調製することができる。これらは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0120】
本発明の抗体は、天然または組換えの髄膜炎菌ポリペプチドを単離する際のアフィニティークロマトグラフィーのために使用することができる。例えば、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(前掲)の第9.5章に記載される免疫アフィニティークロマトグラフィー手法を参照することができる。
【0121】
抗体は、
(i)発現ライブラリーをスクリーニングして、本発明の変異体ポリペプチドを同定するために、
(ii)免疫反応性フラグメントもしくは免疫反応制エピトープを同定するために、かつ/または
(iii)髄膜炎菌感染を検出するために
使用することができる。これらは本明細書下記に記載されるが、本発明はこれらの特定の使用に限定されない。
【0122】
髄膜炎菌の検出
個体における髄膜炎菌の存在または非存在は、該個体から生物学的サンプルを単離して、上記に記載される抗体または抗体フラグメントを生物学的サンプルと混合し、そしてサンプル中の髄膜炎菌の存在を示す特異的に結合した抗体または抗体フラグメントを検出することによって決定することができる。
【0123】
本明細書で使用される用語「生物学的サンプル」は、患者などの個体に由来する、抽出、未処理、処理、希釈または濃縮され得るサンプルをいう。好適には、生物学的サンプルは、全血、血清、血漿、唾液、尿、汗、腹水、腹膜液、滑液、羊水、脳脊髄液、皮膚生検物などからなる群より選択される。
【0124】
複合体の形成を明らかにする好適な技術はどれも使用することができる。例えば、標識が結合している本発明による抗体または抗体フラグメントを免疫アッセイにおいて用いることができる。そのような免疫アッセイとして、当業者に十分に知られている放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合吸着アッセイ(ELISA)および免疫クロマトグラフィー技術(ICT)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0125】
例えば、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(前掲)の第7章を参照することができる。これには、本発明に従って使用され得る様々な免疫アッセイが開示されている。免疫アッセイとして、当技術分野において理解されているような競合的アッセイを挙げることができる。
【0126】
抗体または抗体フラグメントと結合した標識は下記を含むことができる:
(A)抗体または抗体フラグメントに対する標識の直接的な結合、
(B)抗体または抗体フラグメントに対する標識の間接的な結合、すなわち、
抗体または抗体フラグメントにその後で結合する別のアッセイ試薬に対する標識の結合、および
(C)抗体または抗体フラグメントのその後の反応生成物に対する結合。
【0127】
標識は、発色体、触媒、酵素、蛍光体、化学発光分子、ユーロピウム(Eu34\~)な
どのランタニドイオン、放射性同位体および直接的な可視標識からなる群より選択することができる。直接的な可視標識の場合には、コロイド状の金属粒子または非金属粒子、色素粒子、酵素または基質、有機ポリマー、ラテックス粒子、リポソーム、あるいはシグナ
ル生成物質などを含有する他の小胞を使用することができる。
【0128】
標識として有用な非常に多くの酵素が、米国特許明細書第4,366,241号、同第4,843,000号および同第4,849,338号に開示されている(これらはすべて引用により本明細書に組み込むものとする)。本発明において有用な酵素標識には、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼなどが含まれる。酵素標識は、単独で、または溶液中の別の酵素と組み合わせて使用することができる。
【0129】
好適には、蛍光体は、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITL)またはR−フィコエリトリン(RPE)を含む群より選択される。
【0130】
本発明はまた、髄膜炎菌による患者の感染を検出する方法にまで及ぶ。該方法は、患者に由来する生物学的サンプルを本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体と接触させる工程、および該ポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体と該血清中の髄膜炎菌特異的抗体との複合体の存在または非存在を決定する工程を含む。この場合、該複合体の存在により、該感染が示される。
【0131】
好ましい態様において、上記複合体の検出は、当技術分野において十分に知られているように、該ポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体を好適な標識で検出可能に修飾し、そして、例えば、上記に記載されるような免疫アッセイにおいてそのような修飾された化合物を使用することによって行われる。
【0132】
別の態様において、本発明は、髄膜炎菌細菌を含有することが疑われる生物学的サンプルにおける髄膜炎菌細菌を検出する方法を提供する。該方法は、患者から生物学的サンプルを単離する工程、該細菌の存在を示す本発明による核酸配列を該サンプルにおいて検出する工程を含む。該核酸配列の検出は、任意の好適な技術を使用して明らかにすることができる。例えば、標識された本発明による核酸を、当技術分野において十分に知られているように、患者から得られた核酸抽出物のサザンブロットにおけるプローブとして使用することができる。
【0133】
あるいはまた、標識された本発明による核酸は、患者から得られたRNA抽出物のノーザンブロットにおけるプローブとして利用することができる。
好ましくは、患者から得られた核酸抽出物は、本発明による核酸配列のセンス配列およびアンチセンス配列に対応するオリゴヌクレオチドプライマー、またはその隣接配列と同時に、PCRなどの核酸増幅反応において、または例えば、国際公開公報第89/09385号(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるようなリガーゼ連鎖反応(LCR)において利用される。
【0134】
様々な自動化された固相検出技術もまた適している。例えば、非常に大規模な固定化プライマーアレイ(VLSIPS(商標))が、例えば、Fodorら
(1991、Science 251 767)およびKazalら(1996、Nature Medicine 2 753)により記載されるように核酸を検出するために使用される。上記の一般的な技術は当業者には十分に知られている。
【0135】
医薬組成物
本発明のさらなる特徴は、髄膜炎菌による感染から患者を保護する医薬組成物における有効成分としての、本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体(「免疫
原因子」)の使用である。
【0136】
好適には、医薬組成物は、医薬として許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。
「医薬として許容される担体、希釈剤または賦形剤」により、全身投与において安全に使用され得る固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質が意味される。特定の投与経路に依存して、当技術分野において十分に知られている様々な担体を使用することができる。これらの担体は、糖類、デンプン類、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸塩緩衝化溶液、乳化剤、等張的生理的食塩水、および塩類(塩酸塩、臭化物および硫酸塩を含む無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩およびマロン酸塩などの有機酸塩など)、および無パイロジェン水を含む群より選択することができる。
【0137】
医薬として許容される担体、希釈剤および賦形剤を記載する有用な参考文献はRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.、N.J.USA、1991)である。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0138】
安全な投与経路はどれも、患者に本発明の組成物を与えるために用いることができる。例えば、経口的、直腸的、非経口的、舌下、口内、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、経皮的などを用いることができる。筋肉内注射および皮下注射が、例えば、免疫原組成物、ワクチンおよびDNAワクチンを投与するために適している。
【0139】
投薬形態物には、錠剤、分散剤、懸濁剤、注射剤、溶液剤、シロップ、トローチ、カプセル、坐薬、エアロゾル剤、経皮パッチなどが含まれる。これらの投薬形態物にはまた、この目的のために特に設計された注射用または埋め込み用の徐放性デバイス、またはこの様式でさらに作用するように改変された他の形態のインプラントを挙げることができる。治療剤の制御された放出は、治療剤を、例えば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸ならびにある種のセルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)を含む疎水性ポリマーで被覆することによって達成することができる。さらに、制御された放出は、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用することによって達成することができる。
【0140】
経口投与または非経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、粉末もしくは顆粒として、または水性液体、非水性液体、水中油型エマルションもしくは油中水型液体エマルションにおける溶液もしくは懸濁物として、本発明の1または複数の治療剤の所定量をそれぞれが含有する、カプセル、サッシェ剤または錠剤などの個別ユニット物として提供され得る。そのような組成物は、任意の製薬方法によって調製することができるが、すべての方法は、上記に記載されるような1または複数の免疫原因子を、1または複数の必要な成分を構成する担体とともに一緒にする工程を含む。一般に、組成物は、本発明の免疫原因子を液体担体または細かく分割された固体担体またはその両方と均一かつ十分に混合し、その後、必要な場合には、生成物を所望する剤形に成形することによって調製される。
【0141】
上記組成物は、投薬配合物と適合し得る様式で、そして髄膜炎菌感染から患者を保護するために免疫原性的に効果的であるような量で投与することができる。患者に投与される用量は、本発明の範囲においては、髄膜炎菌レベルの低下などの患者において都合の良い応答が長時間もたらされるか、または髄膜炎菌による感染を阻害するために十分でなければならない。投与される免疫原因子の量は、処置される対象者、ならびにその年齢、性別、体重および全体的な健康状態に依存し得る。これに関連して、投与するために必要な免疫原因子の正確な量は医師の判断に依存する。
【0142】
髄膜炎菌に対する処置または予防において投与される免疫原因子の効果的な量を決定する際に、医師は、循環している血漿中レベル、疾患の進行、および抗髄膜炎菌抗体の産生を評価することができる。いずれの場合においても、本発明の免疫原因子の好適な投薬量は当業者によって容易に決定することができる。そのような投薬量は、本発明の免疫原因子がナノグラム〜ミリグラムの程度であり得る。 上記組成物は治療ワクチンまたは予防ワクチンとして使用することができる。したがって、本発明は、本発明の免疫原因子の1つまたは複数を有効成分として含有するワクチンの製造にまで及ぶ。様々な適用可能な手法が、そのようなワクチンを製造するために考えられる。例示的な手法には、例えば、NEW GENERATION VACCINES(1997、Levineら、Marcel Dekker、Inc.、New York、Basel、Hong Kong)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載される手法が含まれる。
【0143】
本発明による免疫原因子は、他の抗原のB細胞エピトープまたはT細胞エピトープを含む他の抗原と混合、コンジュゲート化または融合することができる。さらに、本発明による免疫原因子は、下記に記載されるように担体にコンジュゲート化することができる。
【0144】
本発明のハプテン性ペプチド(すなわち、コンジュゲート抗体と反応するが、それ自身は免疫応答を誘発することができないペプチド)が使用される場合、それを免疫原性担体とコンジュゲート化することができる。有用な担体が当技術分野では十分に知られており、これには、例えば、チログロブリン;アルブミン(ヒト血清アルブミンなど);破傷風、ジフテリア、百日咳、シュードモナス、大腸菌、ブドウ球菌および連鎖球菌に由来するトキシン、トキソイドもしくはトキシンの任意の変異交差反応性物質(CRM);ポリ(リシン:アルギン酸)などのポリアミノ酸;インフルエンザ;ロタウイルスVP6、パルボウイルスのVP1およびVP2;B型肝炎ウイルスのコアタンパク質;B型肝炎ウイルスの組換えワクチンなどが含まれる。または、担体タンパク質または他の免疫原タンパク質のフラグメントまたはエピトープを使用することができる。例えば、本発明のハプテン性ペプチドを、細菌トキシン、トキソイドまたはCRMのT細胞エピトープに結合させることができる。これに関連して、米国特許第5,785,973号を参照することができる。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0145】
さらに、本発明のポリペプチド、フラグメント、変異体または誘導体は、髄膜炎菌に対するか、または他の細菌もしくはウイルスに対するワクチン組成物における担体タンパク質として作用し得る。
【0146】
本発明の免疫原因子は、髄膜炎菌の抗原と組み合わせて、またはH.influenza、M.catarrhalis、N.gonorrhoeae、大腸菌、S.pneumoniaeなどの病原性細菌を含む他の生物の抗原と組み合わせて多価サブユニットワクチンとして投与することができる。代わりに、またはさらに、本発明の免疫原因子は、髄膜炎菌のオリゴ糖成分または多糖成分と同時に投与することができる。
【0147】
ワクチンはまた、本明細書前記に規定されるような医薬として許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有することができる。
ワクチンおよび免疫原組成物は、当技術分野において十分に知られているようなアジュバントを含むことができる。本発明により考えられるアジュバントには、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リソレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物、N、N−ジコクタデシル−N’、N’−ビス(2−ヒドロキシエチル−プロパンジアミン)、メトキシヘキサデシルグリセロールおよびプルロニックポリオール類などの表面活性物質;ピランなどのポリアミン、デキストラン硫酸、ポリICカルボポール;ムラミルジペプチドなどのペプチドおよび誘導体、ジメチルグリ
シン、ツフツィン;オイルエマルション;ならびにリン酸アルミニウム、水酸化アルミまたはミョウバンなどのミネラルゲル;リンホトキシン類、QuilAおよび免疫刺激複合体(ISCOM)が含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
アジュバントの例に関して、国際公開公報第99/36544号もまた参照される。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
DNA送達によるワクチン接種
本発明の修飾されたNhhAタンパク質を含む発現構築物は、宿主を予防的または治療的に処置するためにヒトに投与することができる。これに関連して、発現構築物は、1または複数の修飾されたNhhAペプチド、ポリペプチド、これらのフラグメントまたは誘導体(これらはまとめて「免疫原因子」と呼ばれる)をコードすることができる。
【0149】
発現構築物にはまた、遺伝子治療構築物が挙げられ、これには、ワクシニアなどの特殊化された遺伝子治療ベクター、および遺伝子治療において有用なウイルスベクターが用いられる。後者には、Franceschiら、2000、J.Cell Biochem.78 476、Braun−Falcoら、1999、Gene Ther.6 432に記載されるなどのアデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス(AAV)のベクター、Buchshacherら、2000、Blood 95 2499に記載されるなどのレトロウイルスおよびレンチウイルスのベクター、ならびに単純ヘルペスウイルスおよびサイトメガロウイルスに由来するベクターが含まれる。遺伝子治療ベクターおよび送達方法の一般的な総説を、Robbinsら、1998、Trends in Biotech.16 35に見出すことができる。ナイセリア属細菌のタンパク質を使用する遺伝子治療に関して潜在的に好適な多数のベクター、および送達方法を記載する例示的な参考文献は、国際公開公報第99/36544号である。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0150】
本発明の免疫原因子は、弱毒化ウイルス宿主により発現させることができる。「弱毒化ウイルス宿主」により、天然で実質的に無毒性であるか、または実質的に無毒性にされている、いずれかのウイルスベクターが意味される。ウイルスは、任意の好適な物理的手段(例えば、熱処理)または化学的手段(例えば、ホルムアルデヒド処理)によって実質的に無毒性にすることができる。「実質的に無毒性」により、その感染性が破壊されているウイルスが意味される。理想的には、ウイルスの感染性は、ウイルスの免疫原性を運ぶタンパク質に影響を及ぼすことなく破壊される。前記から、弱毒化ウイルス宿主が生ウイルスまたは不活化ウイルスを含むことが理解される。
【0151】
本発明によるワクチンにおいて有用であり得る弱毒化ウイルス宿主は、アデノウイルス、サイトメガロウイルスおよび好ましくはポックスウイルス(ワクシニアなど)を含むウイルスベクター(例えば、PaolettiおよびPanicali、米国特許第4,603,112号(これは引用により本明細書に組み込むものとする)を参照のこと)、ならびに弱毒化されたサルモネラ属菌株(例えば、Stocker、米国特許第4,550,081号(これは引用により本明細書に組み込むものとする)を参照のこと)を含むことができる。生ワクチンは、実質的に長く持続する免疫性をもたらし得る長期間の刺激を生じさせるので特に好都合である。ナイセリア属細菌のタンパク質を使用する免疫化に関して潜在的に好適な様々なウイルスベクター、および送達方法を記載する別の例示的な参考文献は、国際公開公報第99/36544号である。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0152】
多価ワクチンは、髄膜炎菌の種々のエピトープ(例えば、髄膜炎菌の他の表面タンパク質またはエピトープ)を発現する1または複数の微生物から調製することができる。さらに、他の病原性微生物のエピトープをワクチンに組み入れることができる。
【0153】
好ましい態様において、本発明による核酸配列を発現させるための組換えワクシニアウイルスの構築が含まれる。宿主に導入したとき、組換えワクシニアウイルスは免疫原因子を発現し、それにより宿主のCTL応答を誘発する。例えば、米国特許第4,722,848号を参照することができる。これは引用により本明細書に組み込むものとする。これには、免疫化プロトコルにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法が記載されている。
【0154】
本発明の免疫原因子を用いた治療的投与または免疫化のために有用な広範囲の他のベクターが、本開示から当業者には明らかになる。
さらなる態様において、ヌクレオチド配列は、当技術分野において知られているような「裸のDNA」ワクチンの形態でワクチンとして使用することができる。例えば、本発明の発現ベクターを哺乳動物に導入することができる。この場合、発現ベクターは、例えば、Barry、M.ら (1995、Nature、377:632−635)(これは
引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるように、宿主が免疫応答を高めるポリペプチドのインビボでの産生を生じさせる。
【0155】
検出キット
本発明はまた、生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌を検出するためのキットを提供する。キットは、用いられる試験方法の性質に依存して、上記に記載される1または複数の特定の因子を含有する。これに関連して、キットは、本発明によるポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体、抗体、抗体フラグメントまた核酸の1つまたは複数を含むことができる。キットはまた、標識を検出するために適切な試薬、陽性対照物および陰性対照物、洗浄液、希釈緩衝液などを必要な場合には含むことができる。例えば、核酸に基づく検出キットは、(i)本発明による核酸(これは陽性対照物として使用することができる)、(ii)本発明によるオリゴヌクレオチドプライマー、および必要な場合には、用いられる核酸増幅技術に依存するDNAポリメラーゼ、DNAリガーゼなどを含むことができる。
【0156】
免疫反応性フラグメントの調製
本発明はまた、本発明によるポリペプチド、変異体または誘導体の免疫反応性フラグメントを同定する方法にまで及ぶ。この方法は、本質的には、ポリペプチド、変異体または誘導体のフラグメントを作製して、フラグメントを哺乳動物に投与すること、および哺乳動物における免疫応答を検出することを含む。そのような応答には、髄膜炎菌および/または該ポリペプチド、変異体もしく誘導体と特異的に結合するエレメントの産生、ならびに/あるいは髄膜炎菌感染に対する保護作用が含まれる。
【0157】
上記方法で免疫反応性について特定のフラグメントを試験する前に、様々な予測方法を使用して、特定のフラグメントが、天然の抗原と交差反応する抗体を得るために使用できるかどうかを推定することができる。これらの予測方法は、例えば、Ausubelら
(前掲)の第11.14章に記載されるようにアミノ末端またはカルボキシ末端の配列に基づくことができる。または、これらの予測方法は、例えば、Kyte&Doolittle(1982、J.Mol.Biol.157 105)およびHopp&Woods(1983、Mol.Immunol.20 483)(これらは引用により本明細書に組み込むものとする)によって記載されるように親水性の予測に基づくか、または例えば、Choo&Fasman(1987、Ann.Rev.Biochem.47 251)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)によって記載されるように二次構造の予測に基づくことができる。
【0158】
さらに、「エピトープマッピング」では、本発明のモノクローナル抗体を使用して、交
差保護をもたらすその能力を最初に調べ、その後、該抗体により認識されるエピトープを同定することによって交差反応性のエピトープが同定される。例示的な方法が、Coliganら、CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(前掲)に示されている。
【0159】
一般には、10残基〜15残基からなるペプチドフラグメントにより最適な結果が得られる。6残基もの小さいペプチドまたは20残基もの大きいペプチドも問題なく機能している。そのようなペプチドフラグメントは、その後、例えば、Ausubelら (前掲
)の第11.14節および第11.15節に記載されるように、キーホルリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)などの担体分子に化学的にカップリングすることができる。
【0160】
ペプチドは、例えば、Hoogerhoutら (1995、Infect.Immu
n.63 3473)(これは引用により本明細書に組み込むものとする)に記載されるように合成的に環状化され得ることもまた理解される。
【0161】
ペプチドは、例えば、上記に議論されているように動物を免疫化するために使用することができる。ペプチドが選択された天然のポリペプチドまたは元のポリペプチドに対する抗体の力価を、その後、例えば、Ausubelら (前掲)の第11.16節および第
114節に記載されるように、例えば、放射免疫アッセイまたはELISAによって測定することができる。
【0162】
その後、抗体は、当技術分野において十分に知られているように、硫酸アンモニウム分画またはクロマトグラフィーによって動物の適切な生物学的体液から精製することができる。抗体精製に対する例示的なプロトコルが、Ausubelら (前掲)の第10.1
1節および第11.13節に示されている。これは引用により本明細書に組み込むものとする。
【0163】
天然のポリペプチドまたは元のポリペプチドに対する抗体の免疫反応性は、例えば、ウエスタンブロットなどの任意の適切な手法によって決定することができる。
機能的な遮断剤
国際公開公報第99/31132号に開示された様々な野生型のNhhA/HiaNmポリペプチドは接着性を有すると考えられている。これらのポリペプチドは、実際、表面抗原であるインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の付着因子とのある程度の類似性を有する。具体的には、これらのポリペプチドは、インフルエンザ菌のHiaタンパク質に対して約67%の相同性であり(Barenkamp&St.Geme III、1996、Molecular Microbiology 19
1215)、インフルエンザ菌のHsfタンパク質に対して74%の相同性である(St.Geme IIIら、1996、Journal of Bacteriology
178
6281;および米国特許第5,646,259号)。これらの比較については、3のギャップ加重および0.01の長さ加重が、GAPプログラム(Deveraux、1984、前掲)を使用して使用された。したがって、これらのポリペプチドの機能を妨げることは、髄膜炎菌細菌が細胞に接着して侵入することがこれらのポリペプチドにより妨げられるので著しく治療的に有益である。機能を妨げることはいくつかの方法で達成することができる。
【0164】
例えば、本発明のポリペプチドと相互作用する細胞表面上の受容体を阻止する化学試薬またはポリペプチドなどの成分を投与することができる。これらは、受容体の部位を感染性生物と競合する。そのような成分は、例えば、本発明のポリペプチド、特にこれらのフ
ラグメントまたは機能的等価体、ならびに模倣体を含むことができる。
【0165】
用語「模倣体」は、本明細書において、タンパク質またはペプチドの特定の機能的領域に類似するように設計されている化学物質を示すために使用される。細菌が細胞表面に結合することを阻止する上記に記載された抗体に対して惹起された抗イディオタイプ抗体もまた使用することができる。または、本発明のポリペプチドにおける受容体結合部位と相互作用する成分は、髄膜炎菌による細胞感染を効果的に防止することができる。そのような成分は、阻止性の抗体、ペプチドまたは他の化学試薬を含むことができる。
【0166】
そのような成分、医薬として許容される担体と組み合わせられている医薬組成物、および髄膜炎菌感染に罹患している患者をそのような成分または組成物の投与により処置する方法はすべて、本発明のさらなる態様を構成する。
【0167】
本発明のポリペプチドは、上記方法においてそれらが使用される化合物をスクリーニングする際に使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドは、標識と結合させて、試験中の試薬の存在下で細胞培養物にさらすことができる。標識されたポリペプチドが細胞表面に結合することを阻害する試薬の能力を、その後、観測することができる。そのようなスクリーニングでは、標識されたポリペプチドを、大腸菌などの生物に対して直接使用することができる。または、髄膜炎菌そのものを、ポリペプチドの修飾された検出可能な形態を発現するように操作することができる。操作された髄膜炎菌菌株をこの方法において使用することは、タンパク質の三次構造が、野生型の細菌で発現した三次構造とより密接に類似する可能性が大きくなるので好ましい。
【0168】
本発明を容易に理解して、実際に実行し得るために、特に好ましい態様が、次に、下記の非限定的な実施例として記載される。
実施例1
NhhAポリペプチドの定常領域および可変領域の同定
本発明者らは、10菌株の髄膜炎菌間において保存的および/または非保存的であるNhhAアミノ酸配列を解明した。非保存領域は4つの可変領域(V1、V2、V3およびV4)に分けられ、定常領域はC1、C2、C3、C4およびC5に分けられる(これらは図1および表1に示される;配列番号1〜11)。対応するヌクレオチド配列比較が図2に示される(配列番号12〜22)。
【0169】
実施例2
PMC21のNhhAポリペプチドの過剰発現
髄膜炎菌の菌株PMC21のnhhA遺伝子によってコードされるNhhAタンパク質を、nhhA遺伝子がプロモーターに作動的に連結されている発現構築物を作製することによって過剰発現させた。
【0170】
下記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、髄膜炎菌PMC21株のnhhA核酸のオープンリーディングフレームをPCRによって増幅した:
HOMP5’:
【0171】
【表1】

【0172】
これは、EagI制限部位(下線部)と、NhhAの最初の7アミノ酸をコードする配列(「 」)とを含む。
HOMP3’AN:
【0173】
【表2】

【0174】
これは、NcoI制限部位(下線部)と、c3株のnhhAオープンリーディングフレームの終了部の後の配列48〜61のヌクレオチドの逆相補鎖(太字)とを含む。
増幅産物は、EagIおよびNcoIの制限エンドヌクレアーゼで続いて消化される制限部位を含有した。
【0175】
サブクローニングのために使用されたプラスミドはpCO14Kであった。このプラスミドは、髄膜炎菌菌株2996の隣接配列とともに髄膜炎菌の強く発現するクラス1の外膜タンパク質をコードする遺伝子の上流に位置するporAプロモーターと、Rouppe van der Voortら (Infect
Immun 1996 64 2745)によって記載されるような選択用のカナマイシン耐性遺伝子とを含有する。
【0176】
消化された増幅産物を、その後、EagIおよびNcoIの制限エンドヌクレアーゼで消化されたpCO14Kに連結した。連結により、porAオープンリーディングフレームの大部分がnhhA増幅産物で置換された(図3)。これにより、配列番号1に示されるように591アミノ酸のポリペプチドをコードする組換え核酸発現構築物(配列番号12に示されるオープンリーディングフレーム)が作製された。
【0177】
これは、強力なporAプロモーターの制御下で本発明のnhhA核酸の発現を行わせる。翻訳は、HOMP5’の31位から始まるATGコドンから開始される。porAとnhhAとの融合体の形成を防止するために、HOMP5’配列は、上記の開始用ATGの前にTAA停止コドンを含有する。
【0178】
得られたプラスミドpIP52(PMC21)を制限消化により線状化し、そしてJanikら(1976、Journal of Clinical Microbiology 4 71)によって記載される方法を使用して髄膜炎菌7G2株を形質転換するために使用した。形質転換体を、100μg/mlカナマイシンを含有する固体培地において、5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションすることによって選択した。カナマイシン耐性コロニーを選択し、一晩培養し、そして総細胞タンパク質を10%SDS−PAGEで電気泳動的に分離し、その後、Semi−Dry Blotter(BioRad)を使用してニトロセルロースメンブランに転写することによってNhhAポリペプチ
ドの過剰発現についてスクリーニングした。その後、メンブランをウサギ抗NhhA血清(国際公開公報第99/31132号に記載)およびアルカリホスファターゼ結合抗ウサギIgG(Sigma)と順次インキュベーションし、その後、比色検出をNBT/BCIP(Sigma)を用いて行った。親株と比較して、より高いレベルでNhhAポリペプチドを発現するクローンを1つ単離した(図11)。コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14、配列番号33)が生成することが示される。
【0179】
このプラスミド構築物pIP52(PMC21)は髄膜炎菌の任意の形質転換受容性菌株に形質転換することができる。
実施例3
H41のNhhAポリペプチドの過剰発現
髄膜炎菌のH41株のnhhA遺伝子によってコードされるNhhAタンパク質を、実施例2に記載されるのと同じ方法を使用して過剰発現させた。これにより、配列番号2に示されるように591アミノ酸のポリペプチドをコードする組換え核酸発現構築物(配列番号13に示されるオープンリーディングフレーム)が作製された。本実施例では、得られたプラスミドpIP52(H41)を線状化して、髄膜炎菌の7G2株に形質転換した。カナマイシン耐性コロニーを分析して、ウエスタン免疫ブロットによって調べたときにNhhAの過剰発現を示すコロニーを1つ選んだ(図11)。コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14、配列番号34)が生成することが示される。
【0180】
この方法は、他の髄膜炎菌菌株の野生型nhhA配列を含有する発現構築物を作製するために用いることができる。
実施例4
都合のよい制限部位を使用するNhhA欠失変異体の構築
参照を容易にするために、PMC21株のnhhA核酸によってコードされるNhhAポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号1に示される。本発明者らは、菌株間の最も大きな可変性の領域を欠失させた野生型PMC21nhhAの欠失変異体を作製した。野生型PMC21NhhAポリペプチドのアミノ酸1〜54をコードする増幅産物を、下記のプライマーを使用してnhhA核酸テンプレートからPCR増幅によって作製した:
HOMP5’:
【0181】
【表3】

【0182】
これは、過剰発現構築物pIP52を作製するために使用された同じオリゴヌクレオチドである。
NH3’BG:
【0183】
【表4】

【0184】
これは、BglII制限部位(下線部)と、アミノ酸134(二重下線)および野生型PMC21NhhAのアミノ酸49〜54をコードする配列の逆相補鎖(太字)とを含む。
得られた増幅産物はEagIおよびBglIIの制限エンドヌクレアーゼ部位を含んだ。pIP52(PMC21)は、nhhAオープンリーディングフレーム(ORF)の開始部の20bp上流に単一のEagI部位を含み、ORF内に位置する単一のBglII部位を含む(図3を参照のこと)。したがって、pIP52(PMC21)および増幅産物を、EagIおよびBglIIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供し、連結して、コンピテントなDH5α株の大腸菌細菌を形質転換するために使用した。これにより、pIP52(PMC21)のEagI/BglIIフラグメントがPCR産物で置換される。これにより、図5(配列番号23)に示されるように512アミノ酸のポリペプチドをコードする組換え核酸発現構築物(図5に示されるオープンリーディングフレーム;配列番号28)が作製された。このアミノ酸配列は野生型配列のアミノ酸1〜54および134〜592を含み、それにより、野生型PMC21NhhAポリペプチドのV1領域の大部分、V2領域およびC2領域のすべて、ならびにC3領域の一部が欠失している。
【0185】
このプラスミドを制限消化により線状化して、髄膜炎菌の7G2株に形質転換した。実施例1に記載されるような方法を使用して、短縮型PMC21NhhAを過剰発現するコロニーを1つ単離した(図11)。
【0186】
コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14、配列番号35)が生成することが示される。切断され得るシグナル配列の存在を確認するために、そして過剰発現したタンパク質の同一性を確認するために、外膜タンパク質を、界面活性剤サルコシルに溶解しない画分を単離することによって半精製した。
【0187】
単離された膜タンパク質を電気泳動で分離し、その後、ナイロンメンブランに転写した。過剰発現したタンパク質の位置がクーマシー染色によって明らかにされた。メンブランのこの領域を切り出して、タンパク質のN末端配列を決定した。このタンパク質の最初の11アミノ酸はXXETDLTSVGTであった。これは、本実施例において規定される発現構築物によって発現することが予測されるアミノ酸配列のアミノ酸残基52〜62(62を含む)に対応する。
【0188】
これは、ポリヌクレオチド配列内に存在する制限部位を使用した欠失体の例である。この構築物は任意の形質転換受容性の髄膜炎菌に形質転換することができる。
実施例5
都合のよい制限部位を使用するNhhA欠失変異体の構築
H41の野生型nhhA配列を含有する発現構築物を、実施例2に記載されるように作製した。得られた発現構築物をpIP52(H41)と名付けた。欠失変異体を、本実施例に概略される方法を使用して作製した。この場合、使用されたオリゴヌクレオチドプライマーは下記の通りである:
HOMP5’:
【0189】
【表5】

【0190】
これは、過剰発現構築物pIP52を作製するために使用された同じオリゴヌクレオチドである。
NH3’STU
【0191】
【表6】

【0192】
これは、StuI制限部位(下線部)と、アミノ酸134(二重下線)および野生型H41NhhAのアミノ酸49〜54をコードする配列の逆相補鎖(太字)とを含む。
得られた増幅産物は単一のEagIおよびStuIの制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する。発現構築物pIP52(H41)はこれらの制限部位を含有する。したがって、pIP52(H41)および増幅産物を、EagIおよびStuIを用いた制限エンドヌクレアーゼ消化に供し、連結して、コンピテントなDH5α株の大腸菌細菌を形質転換するために使用した。この連結により、pIP52(H41)のEagI/StuIフラグメントがPCR産物で置換される。これにより、図6および配列番号24に示されるように513アミノ酸のポリペプチドをコードする組換え核酸発現構築物(図6および配列番号29に示されるオープンリーディングフレーム)が作製された。このアミノ酸配列は野生型配列のアミノ酸1〜54および134〜593を含み、それにより、野生型H41NhhAポリペプチドのV1領域の大部分、V2領域およびC2領域のすべて、ならびにC3領域の一部が欠失している。
【0193】
このプラスミドを制限消化により線状化して、髄膜炎菌の7G2株に形質転換した。実施例1に記載されるような方法を使用して、短縮型H41NhhAを過剰発現するコロニーを1つ単離した(図11)。
【0194】
コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14、配列番号36)が生成することが示される。
【0195】
この構築物は任意のコンピテントな髄膜炎菌に形質転換することができる。
実施例6
スプライスオーバーラップPCRを使用するNhhA欠失変異体の構築
NhhAをコードするヌクレオチドから可変領域を欠失するために都合の良い制限部位を使用することに加えて、変異体はまた、Hoら(1989、前掲)およびHorton、R.M.ら (1989、前掲)により記載されるような「スプライスオーバーラップ
発現」PCRの使用によっても構築することができる。この方法では、定常領域をコードするが、可変領域が欠失しているポリヌクレオチドを作製することができる(図5A、5B、5Cを参照のこと)。
【0196】
本実施例では、C1領域およびC5領域を含有し、他の領域のすべてを欠失させた構築物が作製された(図5Aを参照のこと)
下記のオリゴヌクレオチドプライマーを、PMC21株の染色体DNAからC1領域(図1を参照のこと)に対応するDNAを増幅するためにPCR反応において使用した:
HOMP5’:
【0197】
【表7】

【0198】
これは、過剰発現構築物pIP52(PMC21)を作製するために使用された同じオリゴヌクレオチドである。
SO−C:
【0199】
【表8】

【0200】
この配列は、PMC21株の野生型NhhAのC5領域の開始部のアミノ酸237〜241(下線部)およびC1領域の終了部のアミノ酸45〜52(太字)をコードする配列の逆相補鎖である。
この反応の増幅産物はHOMP5’/SO−Cである。
【0201】
下記のオリゴヌクレオチドプライマーを、PMC21株の染色体DNAからC5を増幅するためにPCR反応において使用した:
SO−D:
【0202】
【表9】

【0203】
これはC5の開始部のアミノ酸237〜244をコードする(下線部はプライマーSO−Cの逆相補鎖を示す)
HO3’AN:
【0204】
【表10】

【0205】
これは、pIP52の構築において使用された同じプライマーである。
この反応の増幅産物はSO−D/HO3’ANである。
HOMP5’/SO−CおよびSO−D/HO3’ANの増幅産物を、電気泳動で分離した後のアガロースゲルから精製し、混合して、HOMP5’およびHO3’ANのプライマーを使用するさらなる増幅に供した。得られた増幅産物は、PMC21の野生型NhhAのアミノ酸1〜52および337〜591をコードする。この増幅産物を、実施例1に記載されるように、EagIおよびNcoIを用いた制限消化に供し、そしてpCO14Kにクローン化した。この組換え分子はC1およびC5を含有し、したがってV1〜V4およびC2〜C4の領域を欠失している。このオープンリーディングフレームのヌクレオチド配列が図7および配列番号30に示され、このヌクレオチド配列に由来する予想されるポリペプチド配列が図7および配列番号25に示される。
【0206】
このプラスミドを制限消化により線状化して、髄膜炎菌の7G2株に形質転換した。実施例2に記載されるような方法を使用して、短縮型PMC21NhhAを過剰発現するコロニーを1つ単離した。
【0207】
コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14;配列番号37)が生成することが示される。 このプラスミドは髄膜炎菌の任意の形質転換受容性菌株に形質転換することができる。
【0208】
実施例7
スプライスオーバーラップPCRを使用するNhhA欠失変異体の構築
類似する方法を使用して、NhhAの様々な領域をコードする組換えポリヌクレオチドを作製できることが理解される。下記の方法を使用して、C1、C4、V4およびC5の領域を含む構築物を作製することができる(図5Bを参照のこと)。
【0209】
C1領域が、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅される:
HOMP5’:
【0210】
【表11】

【0211】
SO−E:
【0212】
【表12】

【0213】
これは、PMC21株の野生型NhhAのC4領域の開始部のアミノ酸211〜215(下線部)およびC1領域の終了部(太字)の逆相補鎖をコードする。
この反応の増幅産物はHOMP5’/SO−Eである。
【0214】
下記のオリゴヌクレオチドプライマーが、PMC21株の染色体DNAから領域C4−V4−C5を増幅するためにPCR反応において使用される:
SO−F:
【0215】
【表13】

【0216】
これはC4の開始部のアミノ酸211〜218をコードする(下線部はプライマーSO−Eの逆相補鎖を示す)
HO3’AN:
【0217】
【表14】

【0218】
この反応の増幅産物はSO−F/HOMP3’である。
HOMP5’/SO−EおよびSO−F/HO3’ANの増幅産物は、電気泳動で分離された後のアガロースゲルから精製され、混合されて、HOMP5’およびHO3’ANのプライマーを使用するさらなる増幅に供される。得られる生成物は、PMC21の野生型NhhAのアミノ酸1〜52および211〜591をコードする。この増幅産物は、EagIおよびNcoIを用いた制限消化に供され、そしてpCO14Kにクローン化される。この組換え分子は、C1、C4、V4およびC5を含有し、したがってV1〜V3およびC2〜C3の領域を欠失している。このオープンリーディングフレームのヌクレオチド配列が図8および配列番号31に示され、このヌクレオチド配列に由来する予想されるポリペプチド配列が図8および配列番号26に示される。コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の51アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14;配列番号38)が生成することが示される。
【0219】
この構築物は任意の形質転換受容性の髄膜炎菌に形質転換することができる。
実施例8
スプライスオーバーラップPCRを使用するNhhA欠失変異体の構築
類似する方法を使用して、NhhAの様々な領域をコードする組換えポリヌクレオチドを作製できることが理解される。下記の方法を使用して、C1、C2、C3、C4およびC5の領域を含む構築物を作製することができる(図5Cを参照のこと)。
【0220】
C1およびC2が、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅される:
HOMP5’:
【0221】
【表15】

【0222】
SO−G:
【0223】
【表16】

【0224】
これは、PMC21株のC3領域の開始部のアミノ酸125〜129(下線部)、C2領域のすべて(アミノ酸109〜120、太字で二重下線部)、およびC1領域の終了部(アミノ酸46〜52、太字)の逆相補鎖をコードする。
この反応の増幅産物はHOMP5’/SO−Gである。
【0225】
C3領域およびC4領域の一部が、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅される:
SO−H:
【0226】
【表17】

【0227】
これはC3の開始部のアミノ酸125〜132をコードする(下線部はプライマーSO−Gの逆相補鎖を示す)
SO−I:
【0228】
【表18】

【0229】
これは、C3領域の終了部のアミノ酸182〜88(下線部)、およびC4領域のアミノ酸211〜222(太字)の逆相補鎖をコードする。
この反応の増幅産物はSO−H/SO−Iである。
【0230】
HOMP5’/SO−GおよびSO−H/SO−Iの増幅産物は、電気泳動で分離された後のアガロースゲルから精製され、混合されて、HOMP5’およびSO−Iのプライマーを使用するさらなる増幅に供され、アミノ酸1〜52、103〜114、125〜188および211〜222(すなわち、C1、C2、C3、およびC4の一部の領域)をコードする生成物が得られる。
【0231】
C5領域およびC4領域の一部が、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅される:
SO−J:
【0232】
【表19】

【0233】
これは、PMC21株の野生型NhhAのC4のアミノ酸218〜229およびC5のアミノ酸237〜243をコードする(太字下線部はプライマーSO−Iの逆相補鎖を示す)
HO3’AN:
【0234】
【表20】

【0235】
この反応の増幅産物はSO−J/HO3’ANである。
HOMP5’/SO−IおよびSO−J/HO3’ANの増幅産物は、電気泳動で分離された後のアガロースゲルから精製され、混合されて、HOMP5’およびHO3’ANのプライマーを使用するさらなる増幅に供される。得られる生成物は、PMC21株の野生型NhhAのアミノ酸1〜52、103〜114、125〜188、211〜229および237〜591をコードする。得られた生成物は、EagIおよびNcoIを用いた制限消化に供され、そしてpCO14Kにクローン化される。この組換え分子は、C1、C2、C3、C4およびC5の領域を含有し、したがってV1、V2、V3およびV4の領域を欠失している。このオープンリーディングフレームのヌクレオチド配列が図9および配列番号32に示され、このヌクレオチド配列に由来する予想されるポリペプチド配列が図9および配列番号27に示される。コンピュータープログラムSIGCLEAVE(www.angis.org.auにおいて提供されるeGCG群のプログラムの一部)を使用した予想されるアミノ酸配列の分析により、最初の49アミノ酸が切断されて、成熟ポリペプチド(図14;配列番号39)が生成することが示される。
【0236】
この構築物は髄膜炎菌の任意の形質転換受容性菌株に形質転換することができる。
実施例9 過剰発現したNhhAポリヌクレオチドの精製
前記実施例に記載されるような組換えNhhAポリペプチドは下記の手法によって単離することができる。細菌を5%CO2の雰囲気において37℃で一晩(12時間〜14時間)生育させる(本実施例では、培地は、Leventhal塩基が補充されたBHI寒天であった。他の生育培地が当業者には十分に知られている)。10枚の25mL寒天平板に由来する細菌を集め、HClでpH8.0に調節された10mM Trisの25mLに懸濁した。2%サルコシルを含有する等容量の10mM Tris(pH8.0)を加え、混合物を4℃で1時間穏やかに混合した。これを100,000xgにおいて20℃で70分間遠心分離して、上清を捨てた。ペレットを、25ゲージの針に通すことによって、1%サルコシルを含有する10mM Tris(pH8.0)の25mLに再懸濁した。これを100,000xgにおいて20℃で70分間遠心分離して、上清を捨てた。ペレットを、25ゲージの針に通すことによって、10mLの10mM Tris(pH8.0)に再懸濁した。この画分は、細胞のサルコシル不溶性成分を含み、外膜タンパク質が濃縮されている。(さらなる工程を、残留するサルコシル界面活性剤を除くために取り入れることができる。それにより、タンパク質溶液は、4℃において、例えば、10
mMのTris.Cl(pH8.0)またはPBS(リン酸塩緩衝化生理的食塩水)の100倍容量〜1000倍容量に対して4時間〜8時間の4回のサイクルにわたって透析される)。
【0237】
280nmの波長における吸光度によって、またはBCAキット(Pierce)を使用することによって懸濁物中のタンパク質濃度を測定した後、1%SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)、2%β−メルカプトエタノールを含有する溶液に10mgのタンパク質を含有する約1mLの溶液をBioRad mini−proteanII装置において1.5mm厚の6%SDS−PAGEで分離した。高分子量のNhhAを、BioRad「mini Whole gel Eluter」を使用してゲルから溶出させた。各溶出画分の約10%を、SDS−PAGEで分離し、その後、クーマシー染色することによって調べた。他のタンパク質を本質的に含まないNhhA含有画分をまとめた。この手順は、実施例2に記載されるような過剰発現させた成熟NhhA(配列番号1)、実施例4に記載されるような過剰発現させたBglII欠失変異体NhhA(配列番号23)、および実施例6に記載されるような過剰発現させたNhhA欠失変異体(配列番号25)を単離するために行われた。単離タンパク質は図12に示される。
【0238】
実施例10
精製されたNhhA欠失変異体ポリヌクレオチドの免疫原性
マウスに、精製された野生型NhhAポリヌクレオチド、および前記実施例に記載される欠失変異体を接種した。1つの群において、各Balb/cマウスには、約130μgのPMC21NhhAがMPL+TDM(商標)アジュバント(Sigma−Aldrichから入手)とともに0日目に皮下接種され、そして14日目に115μgが皮下接種された。別の群では、各マウスには、約120μgのタンパク質がMPL+TDM(商標)アジュバント(Sigma−Aldrichから入手)とともに0日目に皮下接種され、そして14日目に190μgが皮下接種された。さらに別の群では、各マウスには、約260μgのタンパク質がMPL+TDM(商標)アジュバント(Sigma−Aldrichから入手)とともに0日目に皮下接種され、そして14日目に1240μgが皮下接種された。血液サンプルを21日目に採取して、血清を抽出した。これらの血清を、全長型のPMC21NhhAを認識する抗体の存在についてウエスタン免疫ブロットで試験した(図13)。P6(PMC21のNhhAを過剰発現する)および2A株(NhhAの発現が失われている)のOMC調製物(5mg)を、BioRad Mini ProteanII電気泳動装置を使用して6%SDS−PAGEによって分離した。タンパク質をニトロセルロースに電気泳動的に転写して、フィルターを3mm細片に切断し、その後、5%スキムミルクを含むPBSでブロッキングした。マウス血清を5%スキムミルク粉末で1:1000倍および1:10000倍に希釈して、ニトロセルロース細片とともにインキュベーションした。抗体の結合を、アルカリホスファターゼ結合抗マウスIgG(Sigma)を使用し、その後、NBT/BCIP(Sigma)を用いた比色検出により検出した。図13から理解され得るように、NhhA欠失変異体または全長型の成熟NhhAポリペプチドを接種することによって、全長型の成熟PMC21NhhAポリペプチドに対する免疫応答を誘発させることが可能である。
【0239】
実施例11
大腸菌における欠失変異体の発現
本発明の変異体ポリペプチドを髄膜炎菌において発現させることに加えて、本発明の変異体ポリペプチドは大腸菌細菌においても発現させることができる。実施例4〜8の組換えnhhA欠失変異体はどれも、PCR増幅のテンプレートとして使用することができる。使用されたオリゴヌクレオチドプライマーは、国際公開公報第99/31132号に記載される通りであり得る(その明細書の配列番号24および配列番号25など)。増幅産物をBamHI/HindIIIの酵素で制限消化して、BamHI/HindIIIで
制限消化されたプラスミドpMALC2(New England BioLabs)と連結し、得られたプラスミドをコンピテントな大腸菌DH5α株に形質転換した。得られた菌株は、pMALC2の製造者が指示する条件を使用して高レベルの組換えタンパク質を発現させるために誘導することができる。得られる組換えタンパク質は、マルトース結合タンパク質と本発明の欠失変異体NhhAポリペプチドとの融合体である。これは、SDS−PAGEでの分離、その後、Mini−Gel Electro−eluter(BioRad)を製造者の説明書に従って使用する電気溶出によって半精製することができる。その後、半精製された融合タンパク質は、PBSに対して透析され、その後、プロテアーゼ酵素の第Xa因子で消化して、マルトース結合タンパク質成分を組換えNhhAタンパク質から切断することができる。組換えNhhAタンパク質は、例えば、R.K.Scopes、Protein Purification(Springer−Verlag、New York、NY USA、1993)によって記載されるような標準的な方法によって精製することができる。
【0240】
本明細書中を通して、目的は、本発明をいずれか1つの態様または特徴の特定の集合に限定することなく、本発明の好ましい態様を記載することである。したがって、本開示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変および変化を例示された特定の態様において行い得ることが当業者によって理解される。
【0241】
本明細書で参照されるすべてのコンピュータープログラム、アルゴリズム、特許および科学的文献は参照により組み込むものとする。
【0242】
【表21】

【0243】
【表22】

【0244】
(表の説明)
表1:髄膜炎菌の示された10菌株のそれぞれから得られたNhhAポリペプチドの保存領域(C1、C2、C3、C4およびC5)および可変領域(V1、V2、V3およびV4)のアミノ酸の同定。関連する配列番号もまた示される。第1欄=菌株名。配列番号1〜9は同時係属中の出願である国際公開公報第99/31132号に以前に記載された。Z2491株のNhhAおよびnhhAの配列はhttp://www.sanger.ac.uk/Projects/N_meningitidis/から得られた。第2欄=C1領域のアミノ酸番号。第3欄=V1領域のアミノ酸番号。第4欄=C2領域のアミノ酸番号。第5欄=V2領域のアミノ酸番号。第6欄=C3領域のアミノ酸番号。第7欄=V2領域のアミノ酸番号。第8欄=C4領域のアミノ酸番号。第9欄=V4領域のアミノ酸番号。第10欄=C5領域のアミノ酸番号。コンセンサス配列(配列番号11)のアミノ酸番号もまた示されていることには留意すること。
【0245】
表2:アミノ酸置換の表
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
NhhAポリペプチドの1つまたは複数の保存領域(C)の50個以上の連続したアミノ酸を含む単離タンパク質であって、該保存領域(C)が
(i)配列番号11の残基1〜50、
(ii)配列番号11の残基109〜120、
(iii)配列番号11の残基135〜198、
(iv)配列番号11の残基221〜239、および
(v)配列番号11の残基249〜604
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
前記単離タンパク質が野生型NhhAポリペプチドではなく、
配列番号11の残基51〜108が欠失している単離タンパク質。
【請求項2】
前記保存領域(C)が、
(i)配列番号1の残基1〜50、
(ii)配列番号2の残基1〜50、
(iii)配列番号3の残基1〜50、
(iv)配列番号4の残基1〜50、
(v)配列番号5の残基1〜50、
(vi)配列番号6の残基1〜50、
(vii)配列番号7の残基1〜50、
(viii)配列番号8の残基1〜50、
(ix)配列番号9の残基1〜50、
(x)配列番号10の残基1〜50、
(xi)配列番号1の残基125〜188、
(xii)配列番号2の残基125〜188、
(xiii)配列番号3の残基122〜185、
(xiv)配列番号4の残基127〜190、
(xv)配列番号5の残基125〜188、
(xvi)配列番号6の残基132〜195、
(xvii)配列番号7の残基131〜194、
(xviii)配列番号8の残基131〜194、
(xix)配列番号9の残基127〜190、
(xx)配列番号10の残基125〜188、
(xxi)配列番号1の残基211〜229、
(xxii)配列番号2の残基211〜229、
(xxiii)配列番号3の残基206〜224、
(xxiv)配列番号4の残基213〜231、
(xxv)配列番号5の残基211〜229、
(xxvi)配列番号6の残基218〜236、
(xxvii)配列番号7の残基217〜235、
(xxviii)配列番号8の残基217〜235、
(xxix)配列番号9の残基213〜231、
(xxx)配列番号10の残基209〜227、
(xxxi)配列番号1の残基237〜591、
(xxxii)配列番号2の残基237〜592、
(xxxiii)配列番号3の残基235〜589、
(xxxiv)配列番号4の残基239〜594、
(xxxv)配列番号5の残基237〜591、
(xxxvi)配列番号6の残基244〜599、
(xxxvii)配列番号7の残基243〜598、
(xxxviii)配列番号8の残基243〜598、
(xxxix)配列番号9の残基239〜594、及び
(xxxx)配列番号10の残基237〜592
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離タンパク質。
【請求項3】
NhhAポリペプチドの1つまたは複数の可変(V)領域のアミノ酸をさらに含む、請求項1または2に記載の単離タンパク質。
【請求項4】
配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の単離タンパク質。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離タンパク質のうちの少なくとも20個の連続するアミノ酸を含む免疫原性フラグメントを有する単離タンパク質。
【請求項6】
前記単離タンパク質と80%以上のアミノ酸配列同一性を有し、野生型NhhAポリペプチドではない請求項1に記載の単離タンパク質の変異体。
【請求項7】
前記単離タンパク質と90%以上のアミノ酸配列同一性を有し、野生型NhhAポリペプチドではない請求項6に記載の変異体。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に単離タンパク質または請求項6もしくは請求項7に記載の変異体と、融合パートナーとを含む単離融合タンパク質。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に単離タンパク質、請求項6もしくは請求項7に記載の変異体、および請求項8に記載の融合タンパク質のうちの1つまたは複数の単離タンパク質と、医薬として許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
ワクチンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に単離タンパク質、請求項6もしくは請求項7に記載の変異体、または請求項8に記載の融合タンパク質をコードする単離核酸。
【請求項12】
(i)配列番号22の残基1〜150、
(ii)配列番号22の残基325〜361、
(iii)配列番号22の残基403〜595、
(iv)配列番号22の残基661〜717、および
(v)配列番号22の残基745〜1815
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、請求項11に記載の単離核酸。
【請求項13】
配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31および配列番号32からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、請求項12に記載の単離核酸。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の単離核酸を含む発現ベクター。
【請求項15】
請求項14に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項16】
細菌である、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
請求項14に記載の発現ベクターと、医薬として許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離タンパク質の交差反応性エピトープと結合するモノクローナル抗体または抗原結合モノクローナル抗体のフラグメント。
【請求項20】
組換えタンパク質を製造する方法であって、
(i)請求項15〜17のいずれか一項に記載の宿主細胞を、宿主細胞中で組換えタンパク質が発現されるよう培養する工程、および
(ii)前記組換えタンパク質を単離する工程
からなる方法。
【請求項21】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染の予防又は治療のための処理に使用される請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離タンパク質。
【請求項22】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染の予防又は治療のための処理に使用される請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染の予防又は治療のための処理に使用される請求項14に記載の発現ベクター。
【請求項24】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染がヒトにおける感染である請求項21に記載の単離タンパク質。
【請求項25】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染がヒトにおける感染である請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染がヒトにおける感染である請求項23に記載の発現ベクター。
【請求項27】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むことが疑われる生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌を検出する方法であって、
(i)請求項19に記載のモノクローナル抗体または抗原結合モノクローナル抗体のフラグメントを、哺乳動物から得られた生物学的サンプルと組み合わせる工程、および
(ii)髄膜炎菌の存在を示す特異的に結合した抗体または抗体フラグメントを検出する工程、
からなる方法。
【請求項28】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含むことが疑われる生物学的サンプルにおいて髄膜炎菌を検出する方法であって、
(i)患者から得た生物学的サンプルを、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離タンパク質または請求項8に記載の融合タンパク質と接触させる工程、および
(ii)前記単離タンパク質または前記融合タンパク質と、前記生物学的サンプル中の髄膜炎菌特異的抗体との間の複合体の存在または不在を決定する工程であって、該複合体の存在は感染を存在を示す工程、
から成る方法。
【請求項29】
生物学的サンプル中の髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を検出する方法であって、請求項11〜13のいずれか一項に記載の単離核酸を用いて前記生物学的サンプル中の髄膜炎菌を検出する工程を含む方法。

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−51902(P2012−51902A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218296(P2011−218296)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【分割の表示】特願2001−561034(P2001−561034)の分割
【原出願日】平成13年1月25日(2001.1.25)
【出願人】(500446937)ザ ユニバーシティ オブ クイーンズランド (6)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF QUEENSLAND
【Fターム(参考)】