説明

高い引張強度と高い破断引張エネルギーを持つポリエチレンフィルム

本発明は、少なくとも2.0GPaの引張強度、少なくとも30J/gの破断引張エネルギー、少なくとも500,000g/モルのMwおよび最大6のMw/Mn比並びに少なくとも5mmの幅を持つUHMWPEフィルムに関する。好ましい態様において、このフィルムは少なくとも10mm、さらに少なくとも20mm、さらに少なくとも40mmの幅と、少なくとも3,000dtex、特に少なくとも5,000dtex、さらに少なくとも10,000dtex、さらに少なくとも15,000dtexまたは少なくとも20,000dtexのデニールを有する。このフィルムは、少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量、最大1.4MPaの160℃で溶融した直後に求められた弾性剪断モジュラスおよび最大6のMw/Mn比を持つ出発UHMWPEを、圧縮工程と、ポリマーの加工中のどの点でもその温度がその融点よりも高い値まで上昇しないような条件下の延伸工程に付すことからなる方法を経て製造される。このフィルムは、高引張強度と高破断引張エネルギーが重要な用途において出発材料として用いられる。適当な用途は弾道用途、ロープ、ケーブル、ネット、布および保護用途を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い引張強度と高い破断引張エネルギーを持つポリエチレンフィルムおよび特定の超高分子量ポリエチレンからそのようなフィルムを製造する方法に関する。本書面において、超高分子量ポリエチレンは、さらにUHMWPEとして記載されるであろう。
【背景技術】
【0002】
高強度と高モジュラスのUHMWPEフィルムを製造する方法は当該技術分野で知られている。
特許文献1は、特定の触媒上でのUHMWPEの重合、次いで圧縮成型、ロール掛けおよび延伸によりポリマーフィルムを形成することを記載している。実施例1では160GPaのモジュラスと2.8GPaの強度とを持つ材料が得られている。
特許文献2は、UHMWPEの圧縮成型/延伸する方法を記載している。
特許文献3は、ポリオレフィンの第1溶媒中の溶液を押出し、次いで冷却し溶媒を除去しそしてフィルムを延伸することによって製造されたポリエチレンフィルムを記載している。このようにして得られたフィルムの欠点は、フィルムの性質に悪影響を与える残存溶媒を常にある程度の量で含有している、ということである。一般に、ゲル−キャストフィルムの溶液中に存在する溶媒の量は少なくとも100ppmである。さらに、溶媒の回収が非常に非経済的である。
【0003】
特許文献4は、400,000以上、特に500,000と10,000,000の間のMw、低いからみ合い密度および10未満のMw/Mn、好ましくは5未満のMw/Mnを持つポリオレフィンを、ポリマーの融点よりも低い温度で、工程助剤を用いて加工する方法を記載している。ポリオレフィンは、工程助剤の存在下で先ず圧縮され、次いで固相加工に付される。この引用例に記述された加工助剤はポリマー溶媒である。実施例では17重量%のデカリンが用いられている。
特許文献5は、2.0GPaと超える引張強度、70GPaを超えるモジュラスおよび3×10−7sec−1より小さいクリープを持つ材料が記載されている。この引用例は最終製品のMw/Mn比について何の情報も含んでいない。
特許文献6は、135℃でデカリン中の固有粘度が5〜50dl/gの超高分子量ポリエチレン粉末100重量部を、ポリエチレンの融点よりも高い沸点を持つ液体有機化合物2〜50部と混合する工程、得られた混合物を一組のローラー間に供給する工程および上記混合物を圧縮成型と延伸に付す工程からなる、高強度と高モジュラスを持つポリエチレンの連続的製造法を記載している。この引用例は最終製品のMw/Mn比について何の情報も含んでいない。
【0004】
特許文献7は、UHMWポリオレフィンの成型品を製造する工程、その成型品を30倍よりも大きく延伸する工程、成型品を接触させる工程および成型品を再延伸する工程からなるポリオレフィン材料の製造方法を記載している。この引用例は最終製品のMw/Mn比について何の情報も含んでいない。
特許文献8は、本願の優先日前に出願され、その後に公開されたものであり、本発明の方法が少なくとも2.0GPaの引張強度、少なくとも30J/gの破断引張エネルギー、少なくとも500,000g/モルのMwおよび最大8のMw/Mn比を持つUHMWPEフィルムに関することを記載している。このフィルムは、少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量、最大で0.9MPaの160℃で溶融直後に求められた弾性モジュラスおよび最大8のMw/Mn比を持つ出発UHMWPEを圧縮工程およびポリマーの加工中のどの点でもその平衡融点よりも高い値にまで上ることがない条件下での延伸工程に付すことからなる方法により製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5756660号明細書
【特許文献2】米国特許第5106555号明細書
【特許文献3】米国特許第5503791号明細書
【特許文献4】欧州特許第292074号明細書
【特許文献5】欧州特許第269151号明細書
【特許文献6】米国特許第5106558号明細書
【特許文献7】米国特許第6017480号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第2014445号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高い引張強度のUHMWPEフィルムの分野において改良する余地が未だ存在することが明らかとなった。特に、高い破断引張エネルギー、高い引張強度および他の望ましい諸性質を有するPEフィルムが用途を見い出す、弾道用途、ロープ、ケーブル、ネット、布および保護用途を含む種々の用途が存在する。本発明はそのようなUHMWPEフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のUHMWPEフィルムは、少なくとも2.0GPaの引張強度、少なくとも30J/gの破断引張エネルギー、少なくとも500,000g/モルのMwおよび最大6のMw/Mn比を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
少なくとも500,000のMwとともに、最大6のMw/Mn比を持つ材料の選択は、最終的なフィルムが上記した高い引張強度と高い破断エネルギーを、以下に記載するように、その他の諸性質とともに有することを可能とするために重要である。特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載された材料は上記基準の全てに合致するものではない。
上記したとおり、本発明のUHMWPEフィルムは、ASTM D882−00に従って求められる少なくとも2.0GPaの引張強度を有する。延伸比と延伸温度によって引張強度は少なくとも2.5GPa、特に少なくとも3.0GPa、さらに少なくとも3.5GPaが得られる。少なくとも4.0GPaの引張強度を得ることもできる。
【0009】
本発明のUHMWPEフィルムの破断引張エネルギーは少なくとも30J/gである。破断引張エネルギーは50%/分の歪速度を用いてASTM D882−00に従って求められる。それは応力−歪曲線下で単位質量当りのエネルギーを積分することによって計算される。
破断引張エネルギーは下記方法により近似される。これらの方法は、上記したASTM D882−00に従って求められるべきでるように、破断引張エネルギーの可成りの近似を与える。
破断引張エネルギーの近似は、吸収された全エネルギーを積分しそして試料の元の標準領域の質量によってそれを割ることによって得ることができる。特に、2.0GPaを超える強力を持つUHMWPE試料の応力−歪曲線はほぼ直線であるため、破断引張エネルギーは次式によって計算することができる。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、シグマ(σ)はASTM D882−00による引張強度GPaであり、ロー(ρ)は密度g/cmであり、EABはASTM D882−00により百分率として表わされた破断伸度でありそしてTEBは破断引張エネルギーJ/gである。
破断引張エネルギーTEBのもう一つの近似は、下記式に従って引張モジュラスと引張強度とから導くことができる。
【0012】
【数2】

【0013】
延伸比によって、本発明により得られるフィルムは、少なくとも35J/g、特に少なくとも40J/g、さらに少なくとも50J/gの破断引張エネルギーを持つものとして得られる。
【0014】
本発明で用いられるUHMWPEは少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量と最大6のMw/Mn比を有する。
本発明のUHMWPEフィルムのポリマーの重量平均分子量(Mw)は少なくとも500,000g/モルであり、特に1×10g/モルと1×10g/モルの間にある。ポリマーの分子量分布および分子量平均値(Mw、Mn、Mz)は、1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を溶剤として用いて160℃の温度で、ASTM D6474−99に従って求められる。高温試料調製装置(PL−SP260)を含む適当なクロマトグラフ装置(ポリマーラボラトリー社のPL−GPC220)が用いられる。このシステムは分子量範囲5×10〜8×10g/モルにある16個のポリスチレン標準品(Mw/Mn<1.1)を用いて較正されている。
【0015】
分子量分布は溶融レオメトリーを用いて求めることもできる。測定に先立ち、イルガノックス1010の如き抗酸化剤0.5重量%が熱酸化分解を防止するために、ポリエチレン試料に加えられ、先ず、50℃、200バールで焼結される。焼結ポリエチレンから得られた直径8mm、厚み1mmのディスクが窒素雰囲気下レオメーター中で、平均溶融温度を遥かに超えるまで速やかに(〜30℃/分)加熱される。例えば、ディスクは180℃で2時間またはそれ以上保持される。試料とレオメーターディスクとの間の滑りはオッシロスコープの助けを借りでチェックされる。動的実験中、レオメーターからの2つのアウトプット信号すなわち正弦波歪に対応する1つの信号と、得られる応力応答に対応するもう1つの信号がオッシロスコープによって連続してモニターされる。完全な正弦波応力応答は低い値の歪で達成され、試料とディスクの間に滑りがないことを示している。
【0016】
レオメトリーは、TAインストルメンツ社のレオメトリックス RMS800(Rhometrics RMS800)の如きプレート・プレート レオメーターを用いて実施される。ミードアルゴリズム(Mead algorithm)を用いている、TAインストルメンツ社により提供されるオーケストレーターソフトウエア(Orchestrator Software)がポリマー溶融物について求められたモジュラス対周波数データからモル質量とモル質量分布を求めるために用いられる。データは160〜220℃の間の等温条件下で得られる。0.001〜100rad/s間の角周波数域および0.5〜2%間の線状粘弾性域の一定歪が良好な合致を得るために、選択される。時間・温度重ね合せが190℃の参照温度で適用される。0.001よりも低いモジュラスを求めるために、周波数(rad/s)応力緩和実験が実施される。この応力緩和実験において、固定された温度におけるポリマー溶融物に対する単一の一時的変形(ステップ歪)が試料に適用され且つ維持されそして応力の時間依存衰退が記録される。
【0017】
本発明の一実施態様において、上記したモル質量とMw/Mn比を持つポリマーが用いられ、それがその平衡融点の142℃よりも低い温度、特に100〜138℃の温度範囲内で圧縮される。このようにして得られたフィルムは、平衡融点よりも低い温度で最初の長さの15倍以上に延伸される。
本発明のフィルム中に存在するUHMWPEの分子量分布は比較的狭い。これは最大6のMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)比によって表わされる。さらに特には、Mw/Mn比は最大4、さらにより特に最大3、さらにもっと特に最大2である。
本発明のUHMWPEフィルムのモジュラスは一般に少なくとも80GPaである。モジュラスはASTM D882−00により求められる。延伸比によって、少なくとも100、さらに特には少なくとも120GPaのモジュラスが得られる。少なくとも140GPa、または少なくとも150GPaのモジュラスを得ることもできる。
【0018】
本発明の一実施態様において、本発明のフィルムは、一平面配向係数Φについての特定の値によって特徴づけられる。一平面配向係数Φは反射幾何学で求められる、フィルム試料のX−線回折(XRD)像の200と110ピーク面積間の比として定義される。
広角X−線散乱(WAXS)は物質の結晶構造についての情報を与える技術である。この技術は、特に、広角で散乱されたブラッグピークの分析を参照している。ブラッグピークは広範囲構造秩序を与える。WAXS測定は回折像すなわち回折角2θ(これは回折されたピークと初期ビーム間の角度である)の関数としての強度を生み出す。
【0019】
一平面配向係数はフィルム表面に関して200と110結晶面の配合の度合についての情報を与える。高い一平面配向を持つフィルム試料については、200結晶面はフィルム表面に対して平行に高度に配向されている。本発明のフィルムの高引張強度および高破断引張エネルギーが一般に高い一平面配向に伴うことが見出された。ランダムに配向された結晶を持つ試料についての200と110ピーク面積間の比は約0.4である。しかしながら、指数200を持つ、結晶が本発明のフィルム表面に平行に優先的に配向され、比較的高い200/100ピーク面積比を生じ、それ故比較的高い値の一平面配向係数を与える。
一平面配向係数の値はX−線回折計を用いて求められる。Cu−Kα放射線(K波長=1.5418Å)を生成する焦点合せ多層X−線光学(ゲーベル鏡)を備えたブルカ−AXS D8回折計が適切である。測定条件:2mm抗散乱スリット、0.2mm検知スリットおよび発電機設定40kV、35mA。フィルム試料は試料保持台上に、例えば両面保持テープを用いて保持される。フィルム試料の好ましい大きさは15mm×15mm(l×w)である。試料を完全に平らに保持し且つ試料台に一直線に並ぶように注意する必要がある。フィルム試料を備えた試料台は、次いで、反射配置で(フィルム法線がゴニオメーターに対し直角で、且つ試料台に対し直角)D8回折計中に配置される。回折像の走査範囲は0.02°(2θ)のステップサイズおよびステップ当りの測定時間が2秒で5°〜40°(2θ)である。測定中、試料台はフィルムの法線の周囲に1分間に15回転で回転し、そのためそれ以上の試料配列は必要がない。引き続いて、強度が回折角2θの関数として測定される。200と110反射ピークの面積が標準型合せソフトウエア例えばブルカー−AXSのトパス(Topas)を用いて求められる。200と110反射ピークは単一ピークなので、合せ操作は簡単でありそして適切な合せ操作を選択して実施することは当業者の理解範囲内にある。一平面配向係数は200と110ピーク面積間の比として定義される。この係数は一平面配向の定量的指標である。
【0020】
高一平面配向係数は、本発明で特定された範囲内のMw/Mn比を持つポリマーが一平面配向係数についての望ましい値を持つフィルムに変換され得るという点で、Mw/Mn比にも関係している。上記したとおり、一実施態様において、本発明のフィルムは少なくとも3の一平面配向係数を有する。この値は、少なくとも4、さらに特に少なくとも5、あるいは少なくとも7であることが好ましい。少なくとも10とか少なくとも15のような、より高い値を得ることもできる。この係数についての理論的最大値はピーク110がゼロに等しい場合で無限大であり得る。一平面配向係数の高い値は引張強度と破断エネルギーについての高い値を伴うことがしばしばである。
【0021】
本発明のUHMWPEフィルムは、少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量、最大1.4MPaの160℃で溶融された直後に求められた弾性剪断モジュラスGおよび最大6のMw/Mn比を持つ出発UHMWPEを圧縮工程と、ポリマーの加工中どの点においてもその温度がその融点を超える値まで上昇しないような条件下の延伸工程とに付すことからなる方法によって製造することができる。
本発明の方法の出発材料は高度にからみ合いのないUHMWPEである。これは、重量平均分子量、Mw/Mn比、弾性剪断モジュラスおよびこの材料の弾性剪断モジュラスが最初の溶融後増加するという事実との組合せから理解される。
出発UHMWPEの分子量とMw/Mn比に関するさらなる説明と好ましい実施態様については、本発明のフィルムについて上記したことが参照される。
【0022】
上記したとおり、出発UHMWPEは、160℃で溶融した直後に求められた弾性剪断モジュラスGが最大1.4MPa、さらに特には最大1.0MPa、よりさらに特には最大0.9MPa、より一層特には最大0.8MPa、より一層特には最大0.7である。用語“溶融直後”は、弾性剪断モジュラスがポリマーが溶融されると直ぐ、特にポリマーが溶融された後15秒以内に求められることを意味している。このポリマー溶融物について、Gは典型的には、モル質量に依存して、1、2あるいはそれ以上の時間で、0.6から2.0MPaまで増加する。160℃で溶融した直後の弾性剪断モジュラスは本発明で用いられるからみ合いの非常にないUHMWPEの特徴的特性の1つである。
はゴム状平坦域における弾性剪断モジュラスである。それは、からみ合いMe同士間の平均分子量に関係する。Meはからみ合い密度に逆比例する。均一なからみ合い分布を持つ熱力学的安定溶融物において、Meは式G=gρRT/MeによりGが計算される。ここで、gは1に固定された係数であり、ρは密度(g/cm)であり、Rは気体定数であり、Tは絶対温度(K)である。
【0023】
低い弾性剪断モジュラスは、からみ合い間のポリマーの長い伸びについて、それ故低いからみ合い度合について示している。からみ合い形成によるGの変化を調査するために採用された方法は刊行物に記載されている方法と同じである(ラストジ、エス、リピッツ、ディ、ペターズ、ジー、グラフ、アール、イエフェン、ワイおよびスピース、エイチ、“ポリマー結晶の溶融からのポリマー溶融物の不均一性”Nature Materials、4(8)、2005年8月1日、635〜641およびPhD論文リピッツ、ディーアール、“ポリマーの溶融動力学の制御:新しい溶融状態への道”アインドホーベン工科大学、2007年3月6日付、ISBN978−90−386−0895−2)。
【0024】
一実施態様において、135℃で0.10N/mmよりも小さいおよび/または125℃で0.12N/mmよりも小さい歪硬化勾配を示すポリマーが用いられる。歪硬化勾配は、圧縮されたポリマーを特定の条件下延伸工程に付すことによって求められる。
その試験は次のようにして行われる。ポリマー粉末が200バールの圧力130℃、30分間圧縮に付されて厚み1mm、幅5mm、長さ15mmの引張バーを形成する。このバーを125℃または135℃の温度で100mm/分の引張り速度で延伸に付す。延伸温度はポリマーの溶融が起らないように選ばれる。バーは10mmから400mmまで伸ばされる。
【0025】
引張試験のために、100Nの力セル(force cell)が用いられる。力セルは、固定された温度で試料の引伸しのために必要とされる力を測定する。力/伸び曲線は、降伏点としても知られる第1極大値を示す。歪硬化勾配は、降伏点の後の力/伸び曲線における最も急な正の勾配として定義される。本発明の一実施態様において、ポリマーは、0.10N/mmよりも小さい、特に0.06N/mmよりも小さい、さらに特に0.03N/mmよりも小さい、135℃で求められた歪硬化勾配を持つ。もう一つの実施態様において、ポリマーは、0.12N/mmより小さい、特に0.08N/mmより小さい、さらに特に0.03N/mmより小さい、125℃で求められた歪硬化勾配を持つ。好ましい実施態様において、ポリマーは125℃と135℃との両方において上記規定された要件に合致する。理論により拘束されることを望まないが、低い歪硬化勾配は、その材料が低い応力で高い延伸性を持つことを意味している。これはポリマー鎖が僅かなからみ合いしか含有しないこと、そして本発明に従って良好な性質を持つテープの製造を可能とすること、を意味するものと信じられる。
【0026】
本発明の方法で用いられるUHMWPEは、好ましくは少なくとも74%、さらに特に少なくとも80%のDSC結晶化度を有する。フィルムの形態学は示唆走査熱量計例えばパーキンエルマーDSC7を用いて特徴づけることができる。すなわち、既知重量(2mg)の試料が10℃/分で30℃から180℃まで加熱され、180℃で5分間保持され、次いで10℃/分で冷却される。DSC走査の結果は熱流量(mWまたはmJ/s:y軸)対温度(x軸)のグラフとしてプロットされる。結晶化度は走査の加熱部からのデータを用いて測定される。結晶溶融転移についての溶融エンタルピーΔH(J/g)は、主溶融転移(吸熱)の出発点のすぐ下に決定された温度から溶融が終了していることが観察される点のすぐ上の温度までのグラフの領域を決めることによって計算される。計算されたΔHは、次に、100%結晶性PEについて約140℃の溶融温度で求められた理論的溶融エンタルピー(ΔH293J/g)と比較される。DSC結晶化度指数はパーセンテージ100(ΔH/ΔH)として表わされる。
【0027】
本発明のフィルムおよび本発明の製造方法の中間生成物は、好ましくは上記した如き結晶化度も有している。
本発明で用いられるUHMWPEは、慣用のUHMWPEの嵩密度よりも有意に低い嵩密度を有する。特に、本発明で用いられるUHMWPEは0.25g/cm未満、特に0.18g/cm未満、さらに特に0.13g/cm未満の嵩密度を有する。嵩密度はASTM−D1895に従って求められる。この値の正当な近似値は次のようにして得られる。UHMWPE粉末の試料を正確に100mlの測定用ビーカー中に注入する。余分の材料を掻き落した後、ビーカーの内容物の重量が求められ、嵩密度が計算される。
【0028】
本発明の方法で用いられるUHMWPEはエチレンのホモポリマーまたはエチレンとコモノマーとのコポリマーであることができる。コモノマーは、いずれも一般に炭素数3〜20の他のα−オレフィンまたは環状オレフィンである。その例としては、プロパン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、シクロヘキセン等である。炭素数20までのジエンの使用も可能である。その例は、ブタジエンあるいは1,4−ヘキサジエンである。本発明の方法で用いられるエチレンホモポリマーまたはコポリマー中の(非エチレン)α−オレフィンの量は最大で10モル%、好ましくは最大で5モル%、より好ましくは最大で1モル%である。(非エチレン)α−オレフィンを用いない場合には、それは一般に少なくとも0.001モル%、特に少なくとも0.01モル%、さらに少なくとも0.1モル%の量で存在する。明らかに、上記した範囲は本発明の最終ポリマーフィルムにも適用される。
【0029】
本発明で用いられるための出発ポリマーは、エチレンが場合により上記した如き他のモノマーの存在下で、ポリマーが生成されると直ちに結晶化するように、ポリマーの結晶化温度よりも低い温度で単一座重合触媒の存在下で重合される重合方法によって製造される。特に、反応条件は重合速度が結晶化速度よりも遅くなるように選ばれる。これらの合成条件は、分子鎖が生成すると直ちに必ず結晶化させ、溶液あるいは溶融物から得られたものと実質的に異なる独自のモルホロジーを導くことになる。触媒の表面で生成された結晶モルホロジーは、ポリマーの結晶化速度と生長速度間の比に大きく依存する。さらに、この特別な場合では結晶化温度でもある合成温度は得られるUHMW−PE粉末のモルホロジーに強く影響する。一実施態様において、反応温度は−50℃と+50℃との間、より特に−15℃と+30℃との間にある。触媒の種類、ポリマー濃度および反応に影響するその他のパラメーターとともに、適切な反応温度を通常の試行錯誤により決定することが、当業者の技能範囲にあることは良く知られている。
【0030】
高度にからみ合いのないUHMWPEを得るために、重合部位同士が、合成中、重合鎖のからみ合いを避けるために、お互に十分に遠く離れていることが重要である。これは、結晶化媒体中に低濃度で均一に分散される単一座触媒を用いてなすことができる。特に、1l当り1×10−4モル触媒よりも低い濃度、特に反応媒体1l当り1×10−5モル触媒未満の濃度が適当である。担持された単一座触媒も使用できるが、生成中ポリマーの実質的からみ合いが防止されるように活性部位同士が十分に遠く離れていることに注意する必要がある。
本発明で用いられる出発UHMWPEを製造する適当な方法は当該技術分野で知られている。WO01/21668およびUS20060142521が参照例として挙げられる。
【0031】
ポリマーは粒子形態で、例えば粉末の形態であるいは他の適当な粒子形態で準備される。適当な粒子は最大で5000ミクロン、好ましくは最大で2000ミクロン、より特に好ましくは最大で1000ミクロンの粒径を有する。粒子は好ましくは少なくとも1ミクロン、より特には10ミクロンの粒径を有する。
粒子径分布は次のようにしてレーザー回折(PSD、シンパテックキクセル)により求められる。試料が界面活性剤含有水中に分散されそして凝集物やからみ合った物を除去するため30秒間超音波で処理される。試料はレーザービームを通してくみ上げられそして散乱された光が検知される。光回折の量が粒子径の尺度となる。
【0032】
圧縮工程はポリマー粒子を単一物例えば母材シートの形態に統合するために実施される。延伸工程はポリマーに配向を与え且つ最終生成物を製造するために実施される。これらの2つの工程は互に直交する方向で実施される。これらの要素を単一工程で組合せること、あるいはその方法を、各工程が圧縮と延伸要素の1つまたはそれ以上を行う複数の異なる工程で実施すること、は本発明の範囲内にあることが注目される。例えば、本発明の方法の一実施態様において、この方法はポリマー粉末を圧縮して母材シートを形成する工程、板をロール掛けしてロール掛けされた母材シートを形成する工程およびロール掛けされた母材シートをポリマーフィルムを形成する延伸工程に付す工程からなる。圧縮された材料は0.05重量%未満、特に0.025重量%未満、さらに特には0.01重量%未満のポリマー溶媒含量を有している。
本発明の方法で加えられる圧縮力は、一般に10〜10,000N/cm、特に50〜5,000N/cm、さらに100〜2,000N/cmである。圧縮後の材料の密度は一般に0.8と1kg/cmの間、特に0.9と1kg/cmの間である。
【0033】
本発明の方法において、圧縮とロール掛け工程は、一般に、ポリマーの非強制融点よりも少なくとも1℃低い温度、特にポリマーの非強制融点よりも少なくとも3℃低い温度、さらにより特にポリマーの非強制融点よりも少なくとも5°低い温度で実施される。一般に、圧縮工程はポリマーの非強制融点よりも最大で40℃低い温度、特にポリマー非強制融点よりも最大で30℃低い温度、さらに特には最大で10℃低い温度で実施される。
本発明の方法において、延伸工程は一般に工程条件下でポリマーの融点よりも少なくとも1℃低い温度、特に工程条件下でポリマーの融点よりも少なくとも3℃低い温度、さらにより特には工程条件下でポリマーの融点よりも少なくとも5℃低い温度で実施される。当業者は承知しているとおり、ポリマーの融点はそれらが置かれた強制(constraint)によって変化する。これは工程条件下の融点がケース毎に変化することを意味している。それは、工程中の応力張力が急激に低下する温度として容易に求められる。一般に、延伸工程は工程条件下でポリマーの融点よりも最大で30℃低い温度、特に工程条件下でポリマーの融点よりも最大で20℃低い温度、さらに特には最大で15℃低い温度で実施される。
【0034】
本発明の一実施態様において、延伸工程は少なくとも2つの個々の延伸工程を包含する。ここで、第1延伸工程は第2の、および場合によりさらなる、延伸工程よりも低い温度で実施される。一実施態様において、延伸工程は、さらなる各延伸工程が先行する延伸工程の温度よりも高い温度で実施される、少なくとも2つの個々の延伸工程を包含する。
当業者には明らかであるように、この方法は、個々の工程が例えば特定の温度の個々のホットプレート上に供給されるフィルムの形態において、確認されるような方法で実施される。この方法は連続的仕様で実施することもできる。この場合、フィルムは延伸工程の初期では比較的低温に付されそして延伸工程の最後で比較的高温に付される。両工程間には温度勾配が施されている。この態様は例えば、温度ゾーンを備えたホットプレート上にフィルムを導くことによって実施される。この場合、圧縮装置に最も近いホットプレートの端部におけるゾーンは圧縮装置から最も遠いホットプレートの端部におけるゾーンよりも低い温度を有している。
【0035】
一実施態様において、延伸工程中に付された最も低い温度と延伸工程中に付された最も高い温度との差は少なくとも3℃、特に少なくとも7℃、さらに特に少なくとも10℃である。一般に、延伸工程中に付された最も低い温度を延伸工程中に付された最も高い温度との差は最大で30℃、特に最大で25℃である。
出発ポリマーの非強制融点は138℃と142℃の間にあり、当業者は容易に求められる。上記した値を用いて適当な操作温度を計算することができる。非強制融点は、窒素中+30〜+180℃の温度範囲で、10℃/分の昇温速度で、DSC(示唆走査カロリメトリー)により求められる。80〜170℃の最も大きい吸熱ピークの極大値がここで融点として評価される。
【0036】
UHMWPEの慣用工程では、ポリマーの融点に非常に近い温度例えばそれから1〜3℃内の温度でその方法を実施することが必要であった。本発明の方法で用いられる特定の出発UHMWPEの選択は、従来技術で可能であったポリマーの融点よりも相当に低い値で操作することを可能とする。これは、より良い方法制御を可能とする比較的大きな温度制御枠を生み出すことになる。
【0037】
UHMWPEの慣用の加工法と比較して、少なくとも2GPaの強度を持つ材料が比較的大きい変形速度で製造できることが同様に明らかになった。変形速度は、装置の製造能力と直接関連する。経済的理由のため、フィルムの機械的性質に悪影響を与えずに、できるだけ大きい変形速度で製造することが重要である。特に、製造品の強度を1.5GPaから少なくとも2.0GPaに増やすために必要とされる延伸工程が少なくとも4%/秒の速度で実施される方法によって、少なくとも2GPaの強度を持つ材料を製造することが可能であることが判明した。慣用のポリエチレン加工では、この延伸をこの速度で実施することは可能ではない。慣用のUHMWPE加工において、例えば1または1.5GPaの強度への最初の延伸工程は4%/秒を超える速度で実施されるが、フィルムの強度を2GPaまたはそれ以上の値に増加させるために必要とされる、最終工程は4%/秒より可成り小さい速度で実施されねばならない。さもないとフィルムは破断する。これに対し本発明の方法では、1.5GPaの強度を持つ中間フィルムを少なくとも4%/秒の速度で延伸して少なくとも2GPaの強度を持つ材料を得ることが可能であることが明らかにされた。さらなる強度の好ましい値については上記したことが参照される。この工程で適用される速度は少なくとも5%/秒、少なくとも7%/秒、少なくとも10%/秒またはさらに少なくとも15%/秒であり得ることが明らかにされた。
【0038】
フィルムの強度は適用される延伸比に関係する。それ故、この効果は次のように表現することもできる。本発明の一実施態様において、本発明の方法の延伸工程が、延伸比80から延伸比少なくとも100、特に少なくとも120、さらに特に少なくとも140、さらに少なくとも160までの延伸工程が上記した如き延伸速度で実施されるような方法で実施され得る。
【0039】
さらなる実施態様において、本発明の方法の延伸工程は、60GPaのモジュラスを持つ材料が少なくとも80GPa、特に少なくとも100GPa、さらに特に少なくとも120GPa、少なくとも140GPa、または少なくとも150GPaのモジュラスを持つ材料への延伸工程が上記した速度で実施されるような方法で実施され得る。
1.5GPaの強度、80延伸比および/または60GPaのモジュラスを持つ中間生成物が、高速度延伸工程が開始するときの見積りのための出発点として、それぞれ用いられることは当業者には明らかであろう。これは、出発材料が強度、延伸比またはモジュラスについて特定の値を持つ場合、別に同定し得る延伸工程が実施されることを意味するものではない。これらの性質を持つ生成物は延伸工程中の中間生成物として形成される。延伸比は、次いで特定の出発性質を持つ生成物に計算して反影させる。上記した高延伸速度は、単一または複数の高速延伸工程を包む全延伸工程が工程条件下でポリマーの融点よりも低い温度で実施されるという要件に依存していることが注目される。
慣用の装置が圧縮工程を実施するのに用いられる。適当な装置は加熱ロール、無端ベルト等を包む。
【0040】
本発明の方法の延伸工程はポリマーフィルムを製造するために実施される。延伸工程は当該技術分野で慣用の方法で1つまたはそれ以上の工程で実施される。適当な方法は、第2ロールが第1ロールよりも速く回転する、両ロールともプロセス方向に回転する、一組のロール上に、1つまたはそれ以上の工程でフィルムを導くことを包含する。延伸は、ホットプレート上でまたは空気循環オーブン中で起る。一般に、この種の装置の温度を1度内に制御することは困難である。そのことは、本発明の方法によって提供される広い操作枠を当業者に評価させることになろう。
フィルムの全延伸比が実際非常に高いということが本発明の特徴の一つである。例えば、全延伸比は少なくとも120、特に少なくとも140、さらに特に少なくとも160であり得る。全延伸比は圧縮された母材シートの断面積をこの母材シートから製造された延伸フィルムの断面積で除したものとして定義される。
【0041】
本発明の方法は固相で実施される。最終的なポリマーフィルムは0.05重量%未満、特に0.025重量%未満、さらに特に0.01重量%未満のポリマー溶媒含量を有する。
本発明のフィルムは、その2つの寸法が3番目よりも実質的に大きいことで特徴づけられる3次元物体である。特に、2番目に小さい寸法、フィルムの幅と、最も小さい寸法、フィルムの厚みとの間の比は、少なくとも10、特に少なくとも50である。
フィルムの幅は、一般に、少なくとも5mm、特に少なくとも10mm、さらに特に少なくとも20mm、よりさらに特に少なくとも40mmである。フィルムの幅は、一般に最大で200mmである。フィルムの厚みは、一般に少なくとも8ミクロン、特に少なくとも10ミクロンである。フィルムの厚みは、一般に最大で150ミクロン、さらに最大で100ミクロンである。
【0042】
本発明は、高い線密度ととも、上記した如く、高い強度を持つフィルムを得ることを可能とする。本発明において、線密度はdtexで表わされる。これはフィルムの10,000メーターの重量gである。一実施態様において、本発明のフィルムは、少なくとも3,000dtex、特に少なくとも5,000dtex、さらに少なくとも10,000dtex、さらに少なくとも15,000dtex、あるいは少なくとも20,000dtexのデニールを、少なくとも2GPa、特に少なくとも2.5GPa、さらに特に少なくとも3.0GPa、さらに特に少なくとも3.5GPa、そしてよりさらに特に少なくとも4の、上記に特定されたとおりの強度と組合せて、有している。
本発明のポリマーフィルムまたはその変換製品は弾道用途、ロープ、ケーブル、ネット、布および保護用途を含む種々の用途用の出発材料として用いることができる。
本発明のUHMWPEに由来する、弾道付属品、ロープ、ケーブル、ネット、布および保護部品は本発明の一部でもある。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2.0GPaの引張強度、少なくとも30J/gの破断引張エネルギー、少なくとも500,000g/モルのMwおよび最大6のMw/Mn比ならびに少なくとも5mmのフィルム幅を有するUHMWPEフィルム。
【請求項2】
少なくとも2.5GPa、特に少なくとも3.0GPa、さらに少なくとも3.5GPa、またはさらに少なくとも4.0GPaの引張強度を有する請求項1のUHMWPEフィルム。
【請求項3】
少なくとも35J/g、特に少なくとも40J/gGPa、さらに少なくとも50J/gGPaの破断引張エネルギーを有する請求項1または2のUHMWPEフィルム。
【請求項4】
最大4、特に最大3、さらに特に最大2のMw/Mn比を有する先行する請求項のいずれかのUHMWPEフィルム。
【請求項5】
少なくとも3、特に少なくとも4、さらに特に少なくとも5、さらに特に少なくとも7、さらに特に少なくとも10または少なくとも15の結晶配向係数を有する先行する請求項のいずれかのUHMWPEフィルム。
【請求項6】
100ppm未満の有機溶媒含量を有する先行する請求項のいずれかのUHMWPEフィルム。
【請求項7】
少なくとも10mm、特に少なくとも20mm、さらに少なくとも40mmの幅、および少なくとも3,000dtex、特に少なくとも5,000dtex、さらに少なくとも10,000dtex、さらに少なくとも15,000dtexまたはさらに少なくとも20,000dtexのデニールを有する先行する請求項のいずれかのUHMWPEフィルム。
【請求項8】
少なくとも50,000g/モルの重量平均分子量、最大1.4MPaの160℃で溶融した直後に求められた弾性剪断モジュラスおよび最大6のMw/Mn比を持つ出発UHMWPEを圧縮工程と、ポリマーの加工中どの点でもその温度がその融点よりも高い値に上昇しない条件下での延伸工程とに付すことからなる、先行する請求項のいずれかによるUHMWPEフィルムを製造する方法。
【請求項9】
出発UHMWPEが最大0.8MPa、特に最大0.7MPaの、160℃で溶融した直後に求められた弾性剪断モジュラスを有する請求項8の方法。
【請求項10】
圧縮工程がポリマーの非強制融点よりも少なくとも1℃、特に少なくとも3℃、さらに少なくとも5℃、よりも低い温度で実施されそして延伸工程が工程条件下ポリマーの融点よりも少なくとも1℃、特に少なくとも3℃、さらに少なくとも5度、よりも低い温度で実施される請求項7または8の方法。
【請求項11】
延伸工程が少なくとも2つの別々の延伸工程を包含し、そして第1延伸工程が第2および場合によりさらなる延伸工程よりも低い温度で実施され、特に各さらなる延伸工程は先行する延伸工程の温度よりも高い温度で実施される、請求項7〜9のいずれかによる方法。
【請求項12】
得られる全延伸比が少なくとも120、特に少なくとも140、さらに少なくとも160である、請求項8〜11のいずれかの方法。
【請求項13】
生成物の強度が1.5GPaから少なくとも2.0GPaに増加することが求められる延伸工程が少なくとも4%/秒の速度で実施されるか、または延伸比が80から延伸比が少なくとも100までの延伸工程が少なくとも4%/秒の速度で実施されるか、または60GPaのモジュラスを持つ材料から少なくとも80GPaのモジュラスを持つ材料の延伸工程が少なくとも4%/秒の速度で実施され、そしてこれらの方法のいずれの速度も特に少なくとも5%/秒、少なくとも7%/秒、少なくとも10%/秒またはさらに少なくとも15%/秒である、請求項8〜12のいずれかの方法。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかのUHMWPEフィルムまたはその変換製品の、弾道用途、ロープ、ケーブル、ネット、布および保護用途における出発材料としての使用。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれかによるUHMWPEフィルムを用いて製造された、弾道付属品、ロープ、ケーブルおよびネット布および保護部品。



【公表番号】特表2012−514672(P2012−514672A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544854(P2011−544854)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050063
【国際公開番号】WO2010/079172
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(501469803)テイジン・アラミド・ビー.ブイ. (48)
【Fターム(参考)】