説明

高いOH価を有する結合剤および該結合剤を含有する良好な光学的特性および良好な耐引掻性および耐化学薬品性を有するクリアコート組成物

本発明は、DIN 53240により測定してヒドロキシル価≧180および溶解パラメーターSP≦10を有するヒドロキシ官能性結合剤ならびに該結合剤を包含するクリアコート組成物に関する。さらに本発明は、ヒドロキシ官能性結合剤の製造法、自動車量産塗装用のクリアコートコーティング組成物を製造するためのその使用ならびに本発明によるクリアコート組成物でコーティングされた基材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能性結合剤および該結合剤を含有するクリアコート組成物に関する。さらに本発明は、ヒドロキシ官能性結合剤の製造法、自動車量産塗装用のクリアコートコーティング組成物を製造するためのその使用および該組成物でコーティングされた基材に関する。
【0002】
クリアコートは、コーティング系において、殊に自動車塗装の場合に、最後の層として、その下にある層を機械的な損傷および天候の影響から保護するために用いられる。さらに該クリアコートは、自動車塗膜に、光沢、深みおよび際立った効果を付与すべきである。
【0003】
通常、クリアコート組成物は、溶剤をベースとしている。環境保護の理由から、かつコストの低減のために、乾燥プロセスに際して有機溶剤の放散を可能な限り僅かに保つために、通常、該クリアコート組成物は、高い固体割合を有する。
【0004】
自動車量産塗膜からの通常の1成分および2成分のクリアコート組成物は、結合剤として、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートで硬化されるアクリレート結合剤またはポリエステルポリオール結合剤を含有する。硬化剤として、耐光堅牢性および耐候性の、一般に使用可能な塗料を得るために、なかでもヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤(HDI)およびイソホロンジイソシアネート硬化剤(IPDI)が使用される。有利にはHDIが使用され、それを用いて良好な架橋および耐性を有するコーティングが得られる。高分子イソシアヌレート硬化剤は、その比較的僅かな増感性と、その良好な商業的入手性とに基づき、特に広く普及している。特に有利には、硬化剤としてHDIイソシアヌレートが使用される。それと言うのも、この硬化剤を含有する相応したコーティング組成物は、低い粘度を有し、ひいては良好に加工可能であり、かつ良好な均展性を示すからである。
【0005】
自動車分野からのクリアコートは、さらに好ましくは、さらなる良い特性、例えば引掻強さおよび耐化学薬品性を有する。従来技術において、良好な引掻強さおよび耐化学薬品性は、高いOH価を有するポリオール成分の使用によって得られることが公知である。
【0006】
量産塗装用の自動車−クリアコートにおけるポリオール成分として、従来技術において、なかでもポリアクリレートポリオールが使用される(BASF Handbuch Lackiertechnik,A.Goldschmidt,H.−J.Streitberger,Vincentz Verlag,Hannover,2002,S.732)。ポリアクリレートポリオールをベースとするクリアコート組成物は、良好な耐化学薬品性ならびに良好な硬度によって際立っており、このことは、ポリアクリレートポリオールの高いOH価と結合剤の同時に低い分子量とによって説明される。しかしながら、ポリアクリレートポリオールをベースとするクリアコートは、殊にポリアクリレートポリオールのOH価が高い場合および/またはクリアコート組成物の固体割合が高い場合に、満足のいく光学的特性("外観")を有さない。
【0007】
ポリアクリレートポリオールの場合のこのような高いOH価は、低い分子量において慣例のポリエステルポリオールでは実現され得ない(Polyester und Alkydharze,U.Poth,Vincentz Verlag,Hannover,2005,S 44 ff.)。慣例のポリエステルポリオールを含有するクリアコート組成物は、硬化された状態で良好な光学的特性を持つが、しかし、従来技術のポリアクリレートポリオールと比較して比較的不十分な耐引掻性および耐化学薬品性を、殊に2成分クリアコート配合物中で有する。さらに、慣例のポリエステルポリオールの場合、該ポリエステルのOH価が高く調節されればされるだけ、それだけ一層、分子量分布の幅が欠点となり、すなわち幅が広くなる。この幅広い分子量分布から、相応するクリアコート組成物中で非相溶性が生じ得る。そのうえ頻繁に、既に僅かな割合の高分子量の樹脂成分により、その後の加工を著しく制限する、極端に高い粘度がもたらされる。さらにまた、ポリエステル合成に際して、結果生じる結合剤の低い酸価が極めて重要なことが考慮に入れられるべきである。これは、酸基の触媒活性と、それと結び付いた材料の貯蔵安定性および加工性への作用によって示される。さらに、高いOH価を有するこれらの慣例のポリエステルポリオールが製造される場合、不所望な副反応として該ポリエステルのゲル化が生じ得る。
【0008】
慣例のポリエステルポリオールおよびポリアクリレートポリオールとからの混合物もクリアコート組成物中で、良好な光学的特性も満足のいく引掻強さおよび耐化学薬品性も、殊に2成分クリアコート配合物中でもたらさない。
【0009】
従って本発明の課題は、高い引掻強さ、耐化学薬品性および良好な光学的特性を有するコーティングを生み出す、高い固体割合を有するクリアコート組成物用の結合剤を提供することである。
【0010】
この課題は、DIN 53240により測定してヒドロキシル価≧180mg KOH/gおよび溶解パラメーターSP≦10を有することを特徴とする、高ヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能性結合剤によって解決される。溶解パラメーターSPは、Journal of Applied Polymer Science,Vol.12,1968,S.2359−2370に記載された方法に依拠して測定される。そのために、そのつど結合剤0.5gがアセトン5gで希釈される。次いで、n−ヘキサンもしくはVE−水(DIW=脱イオン水)が、混濁が生じるまで滴定される。
【0011】
溶解パラメーターSPは、以下のように次式から算出され得る:

【0012】
溶解パラメーターSPは、結合剤の製造に際して適した極性を有するモノマーの選択によって、もしくは適した極性の物質を用いた慣例の結合剤の続く改質によって調節され得る。その際、使用されるモノマーもしくは改質に用いられる物質が十分に低い極性を有していることが重要である。そのため、例えば極性モノマー、例えばOHを持つ化合物の4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートは、これらが高いSP値を生じさせることから、例えばアクリレート中での使用には欠点とされる。芳香族化合物、例えばスチレンの影響は必ずしも強く際立ったものではない。
【0013】
結合剤を続けて改質させるためにも、低い極性を有する相応の物質を選択することが重要である。そのため、例えば慣例のOH官能性結合剤、殊にポリエステルを、モノカルボン酸、殊に非環式脂肪族モノカルボン酸とのエステル化によって、低いSP値を得るためにエステル化してよい。
【0014】
その際、しかしながら、非極性モノマーもしくは非極性物質は、続く改質のために長鎖となり過ぎないことが重要である。なぜなら、これは、引掻強さ試験、耐化学薬品性試験および硬度試験に際して不利な結果をもたらすからである。
【0015】
意想外にも、本発明による結合剤は、上記の課題を解決するだけではなく、特に高い固体割合を有するクリアコート組成物の製造にも使用され得る。
【0016】
たしかにWO97/22420は、環構造を有するビニルモノマー20〜50質量%およびその他のビニル系モノマー、例えば(メタ)アクリレート80〜50質量%とからのコポリマーを包含するクリアコートを有する多層コーティング系を開示し、該コポリマーは0〜60℃のTG値、Fedors法(Polymer Engineering and Science 14(2),1974)に従って測定された9〜11の溶解パラメーターおよび4000〜30000g/モルの質量平均分子量を有する。そこで記載された硬化塗膜は、酸性雨による水のしみが形成されにくく、かつ良好な光学的特性を有する。しかしながら、WO97/22420に記載された塗膜は、その引掻強さに関して満足のいくものではない。
【0017】
そこで開示された結合剤は低いOH価を有し(実施例を参照のこと)、これらのOH価を高める試験では、しかしながら、自動的に高いSP値も結果生じる。
【0018】
それに対して本発明の本質部分は、高いOH価および同時に低いSP値を有する結合剤を使用することである。
【0019】
特に良好な光学的特性は、本発明による結合剤が、8.8〜10.0、有利には9.2〜10.0のSP値を有する場合に生じる。
【0020】
特に良好な耐化学薬品性および耐引掻強さは、該結合剤が、DIN 53240により測定して≧200mg KOH/g、有利には200〜240mg KOH/gのOH価を有する場合に生じる。
【0021】
その他の塗料組成物成分との良好な相溶性および良好な光学的特性は、本発明による結合剤が、酢酸0.1質量%を有するTHF中でのポリスチレン標準を用いたGPCにより測定して≦4000g/モル、有利には1500〜4000g/モル、特に有利には2000〜3500g/モルの数平均分子量を有する場合に生じる。
【0022】
有利には、該結合剤は、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたは、これらの挙げられたポリオール型の任意の混合物である。これらの結合剤は、ポリウレタン硬化のための有利なポリオールを表す。それと言うのも、それらは簡単に製造可能であり、かつポリウレタン硬化のために必要とされるヒドロキシ基を有するからである。特に有利には、該結合剤は、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたは、これらの挙げられたポリオールの任意の混合物である。極めて有利には、該結合剤はポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールは、通常のイソシアネート硬化剤との良好な相溶性を示し、かつ、さらにコーティング組成物における、より良好な充填性および粗さのより良好なマスクをもたらす。
【0023】
特に有利には、該ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ基は、少なくとも1つの非環式脂肪族モノカルボン酸でエステル化されている。少なくとも1つの非環式脂肪族モノカルボン酸との前述のエステル化は、"酸変性"とも同義である。極めて有利には、該ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ官能基は、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の群から選択された少なくとも1つの酸でエステル化されている。殊に、そのように満足のいく相溶性と、それゆえ満足のいく硬化されたクリアコートの光沢とが達成され得る。極めて有利には、該ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ基は、オクタン酸またはイソノナン酸、さらに有利にはイソノナン酸でエステル化されている。
【0024】
良好な均展性と一緒にクリアコート中で特に高い固体割合を得るために、好ましくは、多分散性Mw/Mn<4を有する結合剤が使用される。その際、特に良好な特性は、該結合剤が、さらにより小さい多分散性、すなわち<2.5、殊に≦2.0の多分散性を有する場合に生じる。
【0025】
極めて有利には、該結合剤は、超分岐樹枝状化合物である。超分岐樹枝状化合物、すなわち超分岐樹枝状の高分子およびデンドリマーは、一般的に樹木構造を有する三次元の高分岐分子として記載され得る。デンドリマーは高対称性であり、他方で、超分岐状および/または樹枝状と称される類似した高分子は、ある程度は非対称性であってもよいが、それでも超分岐樹木状構造を備えている。そのような化合物のクリアコート組成物中での使用は、特に高い固体割合と同時に良好な均展特性を可能にする。
【0026】
超分岐樹枝状化合物は、好ましくは単分散(Mw/Mn=1)または、ほぼ単分散(Mw/Mn≒1)である。
【0027】
特に有利には、該結合剤は、単分散または、ほぼ単分散であり、非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には異性体C8〜C9−モノカルボン酸と部分的にエステル化されたポリエステルであり、該ポリエステルは、簡単に、確実かつ再現可能に製造され得、かつ、その特性および最終的な構造は、容易かつ適切に適合させることができる。このようなポリエステルは、ヒドロキシ官能性ポリエステルの部分エステル化により製造することができ、それはまたEP991690B1に従って、反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有する樹枝状高分子ポリアルコール(ポリエステルポリオール)の合成法により製造可能であり、
−その際、該高分子ポリアルコールは、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持ち、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代(Abstandhaltergeneration)を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を包含し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護は、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得られ;かつ
−(ii)第一の分岐世代が、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ;かつ、その際
−(iii)さらなる分岐世代が、g−1の繰り返し工程において、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、および/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが生じ、かつ、少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;
が行われる。
【0028】
本発明による結合剤を有するクリアコート組成物が良好なポットライフを有するように、これらは好ましくは、DIN 53402に従って測定して≦10、有利には≦8の酸価を有する。
【0029】
さらに本発明の対象は、少なくとも1つの本発明による結合剤を包含するクリアコート組成物である。好ましくは、さらに該クリアコート組成物は、少なくとも1つの硬化剤を包含する。
【0030】
特に高い引掻強さおよび耐化学薬品性および特に良好な光学的特性を有する特に良好なコーティングは、上述の方法に従って測定した結合剤のSP値と、硬化剤のSP値との差が、最大1.0、有利には0.8、特に有利には0.5である場合に生じる。
【0031】
硬化剤として、クリアコート組成物中で、なかでもイソシアネート硬化剤およびその他の架橋剤、例えばアミノプラスチッック硬化剤およびトリスアルコキシカルボニルアミノトリアジン(TACT)を、単独でまたは互いに組み合わせて使用してよい。有利には、脂肪族および/または脂環式のイソシアネートが、場合によりさらなる架橋剤と組み合わせて使用される。
【0032】
有利には、クリアコート組成物中には、耐光堅牢性および耐候性の、一般に使用可能な塗料を得るために、なかでもヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤(HDI)およびイソホロンジイソシアネート硬化剤(IPDI)が使用される。有利には、少なくとも1つのHDI硬化剤が使用され、該硬化剤を用いて、良好な架橋および耐性を有するコーティングが得られる。
【0033】
有利には、本発明によるクリアコート組成物中では、高分子イソシアヌレート硬化剤が、その比較的僅かな増感性と、その良好な商業的入手性とに基づき使用される。特に有利には、硬化剤としてHDIイソシアヌレートが使用される。それと言うのも、この硬化剤を含有する相応したコーティング組成物は、低い粘度を有し、ひいては良好に加工可能であり、かつ良好な均展性を示すからである。
【0034】
該クリアコート組成物は、好ましくは、該クリアコートの固体割合に対して、結合剤35〜65質量%および硬化剤65〜35質量%を含有し、その際、該割合は、補足し合って100%となる。
【0035】
本発明によるクリアコート組成物は、好ましくは2成分クリアコート組成物である。そのため、結合剤および硬化剤が施与前に硬化し得ることが防止される。
【0036】
さらに本発明の対象は、本発明によるヒドロキシ官能性結合剤の製造法であり、その際、まず
−反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有し、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持つ樹枝状ポリエステルポリオールを製造し、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を包含し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護を、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得;
−かつ(ii)第一の分岐世代を、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールを得;かつ、その際、
−(iii)さらなる分岐世代を、g−1の繰り返し工程において、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有するポリエステルポリオールを得、かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有するポリエステルポリオールを得、および/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールが生じ、かつ、少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;
を行い、
−続けて、非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には異性体C8〜C9−モノカルボン酸とのポリエステルポリオールの部分エステル化を行う。
【0037】
さらに本発明の対象は、超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを、少なくとも1つの非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には少なくとも1つの異性体C8〜C9−モノカルボン酸と部分的にエステル化する、本発明による超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性結合剤の製造法である。
【0038】
さらに本発明の対象は、自動車量産塗装、車体部分の塗装、商用車の塗装および塗換用のクリアコートコーティング組成物を製造するための少なくとも1つの本発明によるヒドロキシ官能性結合剤の使用である。好ましくは、該クリアコート組成物は、"ウェットオンウェット"法に際しての使用に適している。この方法の場合、場合により前処理され、かつ場合によりカチオン電着プライマーおよびサーフェーサーで予備コーティングされた基材上に、二つの工程で、まずベースコートが塗布され、次いでクリアコートが塗布される。その際、"ウェットオンウェット"とは、両コートが短い間隔でベースコートの焼付けなしに施与され、次いで一緒に焼付けされ、かつ架橋されることを意味する。特に有利には、本発明によるクリアコートは、焼付けされたカチオン電着コーティングされた基材を、改質されたベースコートでコーティングし、中間的なフラッシュオフタイム後にベースコートを塗布し、さらなるフラッシュオフタイム後にクリアコートを塗布し、かつ場合により行われるフラッシュオフタイム後に該コート成分を一緒に焼付けする塗装工程に際して用いられる。この方法の場合、慣例のサーフェーサーは使用されない。
【0039】
さらに本発明の対象は、本発明によるクリアコート組成物でコーティングされている基材である。このような基材は、場合により前処理され、かつ場合によりカチオン電着プライマーおよびサーフェーサーで予備コーティングされた、例えば自動車ボディーを作製する場合に使用される鋼、亜鉛メッキ鋼およびアルミニウムからの基材である。
【0040】
実施例:
本発明による実施例1−ポリエステルSP1の製造
攪拌機、還流冷却器および水分離器を備えた反応器中に、イソノナン酸1523質量部を加え、かつキシレン40質量部と混合する。この混合物を、慎重に撹拌下で80℃に加熱する。次いで、塊状物の形成を防止するために、樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステル(Boltorn H 30,Persorp社から入手可能)4439質量部をゆっくりと添加する。添加後に反応混合物を200℃に加熱する。反応フローを監視するために縮合物の体積を記録し、かつ時々サンプルをヒドロキシル価の測定のために取り出す。事前に算出した、完全な変換率に相当する縮合物の量に達した後、キシレン割合を蒸留により除去する。反応混合物を、5mg KOH/g未満(DIN 53402により測定)の酸価に達するまで200℃で攪拌する。この混合物を145℃に冷却し、かつペンチルアセテート994質量部中に溶解する。
【0041】
結果生じるポリエステル樹脂は86.3質量%の固体割合および15.1dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0042】
比較例1−ポリアクリレートポリオールの製造
窒素でフラッシュされた、かつ冷却器が取り付けられている反応器中に、ペンチルアセテート720.86質量部を装入し、かつ攪拌下で140℃に加熱する。それと並行して、2つの別個の供給材料を調製した。スチレン283.74質量部、エチルヘキシルメタクリレート498.47質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート728.53質量部、およびアクリル酸23.01質量部とから成る供給材料1。ペンチルアセテート92.02質量部およびTBPEH153.37質量部とから成る供給材料2。140℃の温度に達した後、供給材料2を、ゆっくりと、かつ均一に285分の時間にわたって計量供給した。供給2の開始から15分後に、供給材料1を、ゆっくりと、かつ均一に240分の時間にわたって反応器中に計量供給した。供給材料2の計量供給の終了後に、反応混合物を後重合のためにさらに120分間140℃で攪拌した。そのようにして得られた生成物の固体含有率は65.20%であり、酸価は14.4mg KOH/gであり、かつOH価は185.1mg KOH/g(それぞれ固体に対して)であり、かつ粘度は23℃で20dPa・sであることがわかった。
【0043】
比較例2−ポリアクリレートポリオールの製造
窒素でフラッシュされた、かつ冷却器が取り付けられている反応器中に、ペンチルアセテート865.03質量部を装入し、かつ攪拌下で140℃に加熱する。それと並行して、2つの別個の供給材料を調製した。スチレン303.68質量部、エチルヘキシルメタクリレート561.35質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート947.85質量部、およびアクリル酸27.61質量部とから成る供給材料1。ペンチルアセテート110.43質量部およびTBPEH184.05質量部とから成る供給材料2。140℃の温度に達した後、供給材料2を、ゆっくりと、かつ均一に285分の時間にわたって計量供給した。供給2の開始から15分後に、供給材料1を、ゆっくりと、かつ均一に240分の時間にわたって反応器中に計量供給した。供給材料2の計量供給の終了後に、反応混合物を後重合のためにさらに120分間140℃で攪拌した。そのようにして得られた生成物の固体含有率は66.45%であり、酸価は13.83mg KOH/gであり、かつOH価は200.2mg KOH/g(それぞれ固体に対して)であり、かつ粘度は23℃で18dPa・sであることがわかった。
【0044】
比較例3−ポリアクリレートポリオールの製造
温度計、攪拌機、水分離器および冷却アタッチメントを備え付けた、加熱ジャケットを有する5lのJuvo型の実験用反応槽中に、ペンチルアセテート288.0gおよびCadura E10 455.0gを装入する。窒素3cm3/hでの攪拌およびブランケット下で150℃に加熱し、かつ計量供給ポンプを用いてジ−t−ブチルペルオキシド72.0gおよびペンチルアセテート187.0gとからの混合物を均一に4.5h以内に滴下する。供給開始から0.25h後に、計量供給ポンプにより、メチルメタクリレート61.0g、スチレン38.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート756.0g、アクリル酸145.0gおよびn−ブチルメタクリレート363.0gとからの混合物を均一に4h以内に計量供給する。供給終了後に、温度をさらに約2h維持する。その後、120℃に冷却し、かつブチルアセテートを用いて61%の固体に調節する。引き続き、このポリマー溶液を5μmのGAFバッグにより濾過する。結果生じる樹脂は、12.97mg KOH/g(DIN 53402)の酸価、260.1mg KOH/gのOH価(それぞれ固体に対して)、固体含有率61%±1(60分間、130℃)およびDIN ISO 2884に従って測定して11.5dPa・sの粘度を有する。
【0045】
【表1】

【0046】
試験したアクリレート樹脂の結果から、アクリレートをベースとする高いOH価を有するポリオールが、アクリレートをベースとする低いOH価を有するポリオールより明らかに高い溶解パラメーターを有していることがわかる。
【0047】
クリアコート組成物
上記の樹脂により、次の秤量分に従って、それぞれ2成分クリアコートの第一の成分を製造した:
【表2】

【0048】
2成分クリアコートコーティングの製造のために、上述の記載に従って製造したそれぞれ第一の成分を、次に挙げた第二の成分(ポリイソシアネート硬化剤 Basonat HI 190、BASF Aktiengesellschaft)の秤量分と均質化し、かつ、その直後に施与する。そのために通常かつ公知の、陰極析出された、熱硬化された電着塗膜、通常かつ公知の、熱硬化されたサーフェーサーコートおよび80℃で10分間、予備乾燥された市販の慣例のBASF Coatings AG社の黒色ベースコートからの層でコーティングされた試験用薄板をそれぞれ使用した。ベースコート層およびクリアコート層を一緒に140℃にて22分間、硬化した。結果生じるベース塗膜は7.5μmの層厚を有し、結果生じるクリア塗膜は約35μmの層厚を有していた。
【0049】
【表3】

【0050】
結果生じるクリアコート−コーティングは、次の特性を有していた:
【表4】

【0051】
試験結果は、低いSP値によって良好な光学的特性("外観")が生じることを示している。より高いSP値を有する樹脂は、相応するクリアコート組成物中で、本発明によるポリエステルをベースとする高いOH価を有する樹脂より明らかに不十分な光学的特性を示す。
【0052】
そのうえまた、本発明による結合剤は、しかしながら、良好な微小硬度および満足のいく残留光沢も示す。
【0053】
本発明による樹脂のさらなる利点として、慣例の組成物と比較してずっと高い固体割合が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DIN 53240により測定してヒドロキシル価≧180mg KOH/gおよび溶解パラメーターSP≦10を有することを特徴とする、高ヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能性結合剤。
【請求項2】
8.8〜10.0、有利には9.2〜10.0のSP値を有することを特徴とする、請求項1記載の結合剤。
【請求項3】
DIN 53240により測定して≧200mg KOH/g、有利には200〜240mg KOH/gのOH価を有することを特徴とする、請求項1または2記載の結合剤。
【請求項4】
酢酸0.1質量%を有するTHF中でのポリスチレン標準を用いたGPCにより測定して≦4000g/モル、有利には1500〜4000g/モル、特に有利には2000〜3500g/モルの数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の結合剤。
【請求項5】
ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたは前記ポリオールの任意の混合物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の結合剤。
【請求項6】
ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたは前記ポリオールの任意の混合物であることを特徴とする、請求項5記載の結合剤。
【請求項7】
ポリエステルポリオールであることを特徴とする、請求項6記載の結合剤。
【請求項8】
前記ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、少なくとも1つの非環式脂肪族モノカルボン酸でエステル化されていることを特徴とする、請求項7記載の結合剤。
【請求項9】
前記ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の群から選択された少なくとも1つの酸でエステル化されていることを特徴とする、請求項8記載の結合剤。
【請求項10】
前記ポリエステルの少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、オクタン酸またはイソノナン酸、さらに有利にはイソノナン酸でエステル化されていることを特徴とする、請求項9記載の結合剤。
【請求項11】
多分散性Mw/Mnが<4、有利には<2.5、特に有利には≦2.0であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の結合剤。
【請求項12】
超分岐樹枝状化合物であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の結合剤。
【請求項13】
前記超分岐樹枝状化合物が、単分散(Mw/Mn=1)または、ほぼ単分散(Mw/Mn≒1)であることを特徴とする、請求項12記載の結合剤。
【請求項14】
非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には異性体C8〜C9−モノカルボン酸で部分的にエステル化されたポリエステルであり、該ポリエステルは、ヒドロキシ官能性ポリエステルの部分エステル化により製造可能であり、他方で該ヒドロキシ官能性ポリエステルは、反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有する樹枝状高分子多官能性ポリアルコール(ポリエステルポリオール)の合成法により製造可能であり、
−その際、該高分子ポリアルコールは、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持ち、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を包含し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護は、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得られ;かつ
−(ii)第一の分岐世代が、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ;かつ、その際
−(iii)さらなる分岐世代が、g−1の繰り返し工程において、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、および/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが生じ、かつ、少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;
が行われることを特徴とする、請求項13記載の結合剤。
【請求項15】
≦10、有利には≦8の酸価を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の結合剤。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの結合剤を包含するクリアコート組成物。
【請求項17】
さらに少なくとも1つの硬化剤を包含し、かつ硬化剤のSP値と結合剤のSP値との差が、最大1.0、有利には0.8、特に有利には0.6であることを特徴とする、請求項16記載のクリアコート組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの硬化剤が、イソシアネート硬化剤、アミノプラスチック硬化剤またはトリスアルコキシカルボニルアミノトリアジン(TACT)であることを特徴とする、請求項17記載のクリアコート組成物。
【請求項19】
イソシアネート硬化剤が、脂肪族および/または脂環式のイソシアネートであることを特徴とする、請求項18記載のクリアコート組成物。
【請求項20】
さらに少なくとも1つのヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤(HDI)および/またはイソホロンジイソシアネート硬化剤(IPDI)を包含することを特徴とする、請求項16記載のクリアコート組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの高分子イソシアヌレート硬化剤を包含することを特徴とする、請求項19記載のクリアコート組成物。
【請求項22】
イソシアヌレート硬化剤が、HDIイソシアヌレートであることを特徴とする、請求項21記載のクリアコート組成物。
【請求項23】
2成分クリアコート組成物であることを特徴とする、請求項16から22までのいずれか1項記載のクリアコート組成物。
【請求項24】
請求項1から15までのいずれか1項記載のヒドロキシ官能性結合剤の製造法において、まず
−反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有し、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持つ樹枝状ポリエステルポリオールを製造し、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を包含し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護を、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得;
−かつ(ii)第一の分岐世代を、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有するポリエステルポリオールを得;かつ、その際、
−(iii)さらなる分岐世代を、g−1の繰り返し工程において、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有するポリエステルポリオールを得、かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有するポリエステルポリオールを得、および/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有するポリエステルポリオールが生じ、かつ、少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;
を行い、
−続けて、非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には異性体C8〜C9−モノカルボン酸とのポリエステルポリオールの部分エステル化を行うことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のヒドロキシ官能性結合剤の製造法。
【請求項25】
超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを、少なくとも1つの非環式脂肪族モノカルボン酸、有利には少なくとも1つの異性体C8〜C9−モノカルボン酸と部分的にエステル化することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の本発明によるヒドロキシ官能性結合剤の製造法。
【請求項26】
自動車量産塗装用、車体部分または商用車の塗装用または塗換用のクリアコートコーティング組成物を製造するための、請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つのヒドロキシ官能性結合剤の使用。
【請求項27】
前記クリアコートコーティング組成物が、ウエットオンウェット塗装法において使用されることを特徴とする、請求項26記載の使用。
【請求項28】
請求項16から22までのいずれか1項記載のクリアコート組成物でコーティングされた基材。

【公表番号】特表2010−529239(P2010−529239A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510692(P2010−510692)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004494
【国際公開番号】WO2008/148554
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】