説明

高エネルギー密度バイオマス‐水スラリーのための方法

バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度スラリーへ転化するエネルギー効率の高い方法。 先行技術に係る方法で用いられたものよりも一層低い温度と圧力下で、ただし非酸化性ガス下で、水とバイオマスを混合し、これによって、スラリー内に60重量%以下の固形分を含有し、20〜40重量%の炭素を含む、安定なスラリーが得られる。温度は、通常約150 psiの非酸化性ガス圧下で、約200℃であり、先行技術で要する条件よりも実質的に穏やかな条件である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年7月18日に提出した米国特許出願第11/489, 299号の一部継続出願であり、その利益を主張する。
【0002】
本発明の技術分野は、炭素質原料からの輸送燃料の合成に関する。
【背景技術】
【0003】
環境、健康、安全上の問題及び将来における石油系燃料供給の不可避的な不足といった多くの問題により、新たな化学的エネルギー源を発見し、これを従来とは別の輸送燃料に転化する方法を同定する必要がある。内燃機関で駆動する燃料輸送手段の数は世界的に増加し続けており、特に平均的な発展途上国において顕著である。主にディーゼル燃料を使用する、米国以外の世界の輸送手段の数は、米国内の数よりも急速に増大している。ハイブリッド及び/又はディーゼルエンジン技術を使用した、燃費の良い輸送手段が導入されて、燃料消費と総排出量の双方が低下することで、この状況が変わる可能性がある。石油系燃料生産用の資源が枯渇しつつあるので、これに代わる非石油系燃料、特に、クリーン燃焼性の合成ディーゼル燃料が開発されない限り、石油への依存は深刻な問題となるであろう。更に、従来のエンジンにおける石油系燃料の通常の燃焼は、厳格な排気物質規制手段が用いられない限り、深刻な環境汚染を招く可能性がある。クリーン燃焼性の合成ディーゼル燃料であれば、ディーゼルエンジンからの排ガス低下に寄与することができる。
【0004】
クリーン燃焼性輸送燃料の製造には、既存の石油系燃料の再改質又は新たな出力発生方法の発見又は未だ使用されていない原料からの燃料の合成を要する。再生可能な有機原料又は廃棄された炭質材料由来の利用可能な供給源が数多くある。これらの投入供給原料は、すでにほとんど価値がないと考えられ、廃棄物として捨てられ、その処理が汚染性であることが多いので、合成燃料を生産するための炭質廃棄物の利用は経済的に実現可能な方法である。
【0005】
液体輸送燃料は、同じ圧力及び温度において、気体燃料よりも高いエネルギー密度を有し、気体燃料に勝る固有の長所がある。液体燃料は、大気圧又は減圧下で保存して液体燃料エネルギー密度を達成できるが、気体燃料の場合には、輸送手段の高圧タンクに保存する必要があり、これは、漏出や突然の破裂といった安全上の懸念となるであろう。また、液体燃料の流通は、単純なポンプ及びパイプラインを用いるので、気体燃料よりも格段に容易である。既存の輸送産業において、液体燃料を使用する基幹設備があるので、クリーン燃焼合成液体輸送用燃料は、既存のあらゆる生産市場へ容易に組み込むことが確実にできる。
【0006】
クリーン燃焼液体輸送用燃料の利用可能性は、国家的な優先課題である。クリーンで価値の高い合成ガソリン及びディーゼル燃料を生産するためにフィッシャー・トロプシュプロセス(Fischer-TropschProcess)に従った合成ガス(水素と一酸化炭素の混合物)を炭質源からクリーンかつ効率的に生産することは、輸送産業と地域社会の健康の両方に対して利点がある。本明細書において、それぞれフィッシャー・トロプシュプロセス又は反応装置を含むものとして定義されるフィッシャー・トロプシュプロセス又はリアクターは、合成ガスを利用して液体燃料を生産するいずれかのプロセス又はリアクターである。同様に、フィッシャー・トロプシュ型液体燃料は、このようなプロセス又はリアクターで生産された燃料である。フィッシャー・トロプシュプロセスは、NOx削減、ディーゼルエンジン排気ガス中に存在する毒性微粒子物質の除去、および正常燃焼時の汚染物質の削減のための最先端のエンジン排気物質の後処理方法の適用が可能であるが、現時点では、これらの後処理には触媒が用いられており、この触媒が、石油由来のディーゼル燃料の通常の供給原料の場合のように、存在する硫黄によって急速に被毒されるため、触媒効果が低下する。具体的には、バイオマス由来の合成ガスから生産されたフィッシャー・トロプシュ液体燃料は、硫黄を含まず、芳香族化合物を含まず、合成ディーゼル燃料の場合、極めて高いセタン価を有する。
【0007】
バイオマス原料は、再生可能燃料を生産するために用いられる最も一般的に加工処理される炭質廃棄物供給原料である。バイオマス供給原料は、電気、熱、有用な化学物質又は燃料を生産するために転化することができる。カリフォルニア州は、いくつかのバイオマス利用技術の使用及び開発において全米内トップである。例えば、カリフォルニア地区のリバーサイド郡だけで、1日あたり約4000トンの廃材が処理されていると推定される。別の推定では、1日あたり100,000トンを超えるバイオマスが、リバーサイド郡収集地域の埋立地に投棄される。この一般廃棄物は、約30%の古紙又はダンボール、40%の有機(植栽及び食品)廃棄物、そして30%の、木材、紙、プラスチック及び金属廃棄物の組合せを含んでいる。この廃棄物材料の炭質成分は、化学的エネルギーを有しており、これをクリーン燃焼燃料に転化することができるならば、この化学エネルギーは、他のエネルギー供給源の必要性を低下させることができる。炭質材料のこれらの廃棄物源は、唯一の利用可能な供給源ではない。多くの既存の炭質廃棄物材料、例えば、紙等は、分類、再使用及びリサイクルが可能であるが、廃棄物生産者は、もしも廃棄物が転化施設に直接送られることになれば、廃棄料金を支払わずに済むようになるであろう。現在では1トン当たり30〜35ドルの廃棄料金が、通常、処分費用を補うために廃棄物管理局によって課せられている。従って、廃棄物から合成燃料への処理施設へ廃棄物を輸送することで処分費用を低下できるだけではなく、処分費用の低減によって、更に多くの廃棄物を利用可能にすることができる。
【0008】
薪ストーブでの木材の燃焼は、熱エネルギーを生産するためのバイオマスの使用の一例である。残念ながら、エネルギー及び熱を得るためのバイオマス廃棄物の野焼きは、その熱量を利用するクリーンかつ効率的な方法ではない。今日、炭質廃棄物を利用する数多くの新たな方法が発見されている。例えば、ある方法は、合成液体輸送用燃料を生産することであり、別の方法は、電気への転換のためにエネルギーガスを生産することである。
【0009】
再生可能なバイオマス源に由来する燃料の使用は、実際、室温ガス、例えば二酸化炭素の正味の蓄積を減少させることができる一方で、輸送のためにクリーンで効率的なエネルギーを供給することができる。バイオマス源からの合成液体燃料を共同生産することの主たる利点の一つは、地球温暖化の原因である温室ガスの効果を低下させると同時に、貯蔵可能な輸送用燃料を提供できる点にある。将来においては、これらの共同生産プロセスにより、持続可能な再生燃料経済のために、クリーン燃焼燃料を提供できるようになるであろう。
【0010】
炭素や別の炭質材料をクリーン燃焼輸送用燃料に転化するための数多くの方法が存在するが、これらの方法は、市場で石油系燃料を競争するには費用が高くつきすぎる傾向があるか、又は、メタノールやエタノールといった揮発性の燃料が生成されるものであり、これらの燃料は、非常に高い蒸気圧値を有するため、南カリフォルニアの大気のような汚染度の高い地域では、大気汚染防止法からの法的免除無しに使用することができない。後者の方法の一例は、ハイノールメタノール法であり、この方法は、水素添加ガス化と蒸気改質リアクターを用いて、固形炭質材料と天然ガスとを共同供給することでメタノールを合成するものであり、実験室スケールのデモンストレーションで、85%を超える炭素転化効率が実証されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が特に対象とするものとして、より最近に開発された方法であって、炭質材料のスラリーが、水素添加ガス化リアクターに供給される方法が挙げられる。我々の研究チームは、このような方法の一つであり、水中の炭質材料粒子のスラリーと内部供給源からの水素を、発生炉ガスを豊富に生み出す条件下で、水素添加ガス化リアクター内へ供給することで合成ガスを生産する方法を開発した。これは、蒸気と共に、合成ガスを生じる条件下で、蒸気熱分解改質装置中へと供給される。この方法の詳細は、ノーベックら(米国特許出願第10/503,435号(米国特許公開公報第2005/0256212号)、「炭質材料からの自己水素添加ガス化を利用した合成輸送用燃料の生産(Production Of Synthetic Transportation Fuels From Carbonaceous Material Using Self-Sustained Hydro-Gasification.)」)に記載されている。
【0012】
この方法の更なるバージョンでは、蒸気水素添加ガス化リアクター(SHR)を用いることで、炭質材料が、水素及び蒸気の両方の存在下で同時に加熱され、一段階で、蒸気熱分解及び水素添加ガス化を受けることになる。この方法の詳細は、ノーベックら(米国特許出願第10/911,348号(米国特許公開公報第2005/0032920号)、「炭質材料の水素添加ガス化を向上させるための方法としての蒸気熱分解(Steam Pyrolysis As A Process to Enhance The Hydro-Gasification of Carbonaceous Material.)」)に記載されている。米国特許出願第10/503,435号及び同第10/911,348号の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
これら全ての方法は、水素添加ガス化リアクターに供給可能なバイオマスのスラリーの形成を必要とする。これらの方法で起こる化学転化の効率を向上させるためには、炭素に対する水の比率が低い、従って高エネルギー密度のスラリーであることが好ましく、また、これによって、スラリーは、ポンプ輸送しやすくなる。固形成分含有量の高い石炭/水スラリーは、加圧リアクターの供給システム内の石炭ガス化装置で成功裏に用いられている。石炭/水スラリーとバイオマス/水スラリーの顕著な違いは、石炭スラリーが70重量%以下の固体成分を含有するのに対し、バイオマススラリーは約20重量%の固体成分を含有することである。炭素含有率を比較すると、石炭スラリーが約50重量%以下の炭素を含有するのに対し、バイオマススラリーは約8〜10重量%の炭素を含有する。バイオマスの細胞壁が、主にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから成る場合には、ポリマー構造である。これらの成分は、全てヒドロキシル基を含有する。これらのヒドロキシル基は、水とバイオマス間の相互作用において重要な役割を果たし、この反応では、水分子が吸収されて水素結合が形成される。一般的に、このバイオマスの高い吸湿性が、容易に高い炭素含有率でバイオマススラリーが生成されない理由となっている。
【0014】
水素添加ガス化の原料として用いる炭素高含有スラリーを生成するために、数多くの方法が開発されてきた。日本のJGC社は、バイオマススラリー燃料法(Biomass Slurry Fuel process)を開発したが、これは、310℃の温度と2200 psiの圧力下での危険な状況に準じた条件下で行わなければならない。この方法では、高含水量バイオマスが、石炭/水スラリーと同レベルの約70%の固体含有率を有する水性スラリーへと転化する。しかしながら、上記方法は、高エネルギー条件下で行う必要がある。
【0015】
Texaco社の研究者チームは、地域の下水汚泥の事前熱水処理方法を開発し、この方法では、スラリーを350℃へ加熱し、続いて、2段階のフラッシュ蒸発を伴うので、やはり高エネルギー条件を必要とする。
【0016】
木材産業においては、伝統的に木質材の熱処理がよく知られた技術であるが、これは木質材の構造特性を向上させるものであり、スラリーを調製するものではない。この方法では、吸湿性が低下し、建築用木材の耐久性が増加する。熱処理によってポリマー鎖が切断され、接近可能なヒドロキシル基が減少し、未処理木質材と比較して水との相互作用が制限されることになる。
【0017】
約725〜2900 psiで約277〜377℃の範囲の反応温度のオートクレーブ内でバイオマス試料の水溶液化(aqueous liquification)を行うと、スラリーではなく重油が得られており、例えば、トウヒ材粉末を約377℃で液化すると、49%の液体収量で重油が得られる。以下の文献を参照。
A. Demirbas, "バイオマスの水性媒体中の液体産物への熱化学的転化(Thermochemical Conversion of Biomass to Liquid Products in the Aqueous Medium)", エネルギー源(Energy Sources) 27号:pp1235 〜1243, 2005年。
【0018】
先行技術に係る方法のような過酷でエネルギー効率の悪い条件を必要としない、バイオマスを濃縮してスラリーを生成する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度スラリーへ転化するエネルギー効率の高い方法を提供する。特に、先行技術に係る方法で用いられたものよりも一層低い温度と圧力下において、ただし窒素下において、水とバイオマスを混合し、これによって、スラリー内に60重量%以下の固形分を含有し、20〜40重量%の炭素を含む、安定なスラリーを得ることができる。範囲については、詳細な説明中に記載するが、温度は通常、約150 psiの圧力の非酸化性ガス下で、約200℃であり、先行技術で要する条件よりも実質的に穏やかな条件である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明をより完全に理解するため、添付した図面に関する以下の記載を参照されたい。
【0021】
【図1】図1は、本発明の処理を行う前の50重量%のバイオマス/水混合物の写真である。
【図2】図2は、本発明の処理の後の図1のバイオマス/水混合物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用する「バイオマス」という用語は、農産物、木質材及び他の植物原料、及び/又は植物、並びにその廃棄物である原料又はこれらから得られる原料を広く指す。バイオマスは、所望の重量パーセントで水と混合され、一般的には、170〜250℃の範囲、最も好ましくは、約200℃の温度で、100〜400 psi、最も好ましくは、約150 psiの圧力の非酸化性ガス下で、30〜70重量%で混合される。この混合物は、室温でオートクレーブ内において反応温度に上昇させてもよく、又はこの容器を、加圧前に所望の温度に事前加熱しておいてもよい。反応温度は、10分間〜1時間またはそれ以上で変化させてもよい。
【0023】
アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、二酸化炭素若しくはガス状炭化水素、又はこれらの混合物等のいずれの非酸化性ガスを用いることも可能であるが、経済的に入手できることから、窒素が好ましい。また、本方法において内部で利用可能である場合には、別の好ましい非酸化性ガスとして、水素が挙げられる。水素は、スラリーに担持されて水素添加ガス化リアクターに送られる場合に、特に有益となるであろう。酸化性ガスは除外することが好ましいが、実質的に酸化が起こらない限りは、市販グレード又はそれ以下の純度の非酸化性ガスを用いてもよい。
【0024】
以下の実施例により、本発明を例示する。
【実施例1】
【0025】
図1を参照すると、水を媒体とする松粒子から成る50%のバイオマス混合物の処理前の状態が示されている。乾燥松ノ木おがくずは、アメリカンウッドファイバー社(American Wood Fibers)から入手し、乾燥ヌマヒノキはユタ州から入手した。市販のコーヒーグラインダーを用いてこのおがくずをすり潰し、100メッシュ(150 μm)未満のふるいにかけた。木質材の事前処理のため、オートクレーブシステムをセットした。このシステムは、3,300 psi、 850°Fに設定したAutoclave Engineers EZE-Seal加圧容器から成るものであった。木質材サンプルと脱イオン水を計量し、容器に入れる前に、大型ビーカー内で、手動で十分に混合して水中に均一に分散させた。添加する木質材の量は、含水率に応じて調整した。次いで、内容物の入った状態で容器を計量し、減圧して、アルゴンを用いて3回パージを行い、最後に100 ± 1 psiに加圧した。温度は、約30分間かけて運転温度(210〜230℃)まで上昇させ、そこで30分間維持した。データ取得ソフトウェアを用いて圧力と内部温度を記録した。30分間維持した後、加熱を止め、前記容器を加熱器から取り出した。ヘッドスペースガスと試料を回収できるように、容器を放置して室温に冷ました。回収前に温度と圧力を記録して、その後に容器を計量した。
【0026】
結果は、50重量%の固形分を含むポンプ輸送性に優れた水性スラリーである、処理後の図1のスラリーの写真として、図2に示す。ヘッドスペースガスの分析を行ったところ、無視できる程度の量の炭素が示され、スラリーから無視できる量の炭素しか喪失していないことが示唆された。
【実施例2】
【0027】
加熱器内に入れる前に容器を200℃超に事前加熱した点を除いて、実施例1と同様の方法を行った。オートクレーブは、15分以内に230℃に達したことが判明し、これを30分間維持した。目的温度に達するのに必要な時間は、生じる生成物に検知可能な程度の物理的影響を与えるものではなかった。
【実施例3】
【0028】
実施例1の方法は、出発混合物を、60重量%の固形分を含む非ポンプ輸送性農業廃棄物にしても実施できる。結果として、ポンプ輸送可能な60重量%の固形分を含む水性スラリーが得られる。
【実施例4】
【0029】
実施例1の方法は、出発混合物を、40重量%の固形分を含む植物にしても実施できる。結果として、ポンプ輸送可能な40重量%の固形分を含む水性スラリーが得られる。
【0030】
本発明の方法により得られる炭質材料のスラリーは、発生炉ガスを豊富に生成する条件下の水素添加ガス化リアクターに供給することができる。また、上記で参照するノーベックら(米国特許出願第10/503,435号)に記載されるように、上記スラリーは、合成ガスを生成する条件下にある蒸気熱分解改質装置へ、蒸気と共に供給することもできる。または、得られたスラリーを、上記で参照するノーベックら(米国特許出願第10/911,348号)に詳細に記載されるように、水素と蒸気の両方の存在下で同時に加熱して、一段階で蒸気熱分解と水素添加ガス化を起こさせることも可能である。
【0031】
本発明とその有利さについて、詳細に記載したが、添付する請求項に定義される本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に種々の変化、置換及び変更を施すことが可能なことが理解されるべきである。また、本出願の範囲については、本明細書に記載される方法及び装置の特定の態様に制限されることが意図されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から直ちに理解するように、本明細書に記載する態様と実質的に同様の機能を発揮するか又は実質的に同様の結果を実現する、既存の又は後に開発される方法及び装置を、本発明に従って利用することもできる。従って、添付する請求項は、その範囲に、これらの方法や、これらの装置の使用を含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
60%以下の固形分を含む、バイオマスと水との混合物を提供すること、及び前記混合物を非酸化性ガス下で加熱して、スラリー内に20〜40重量%の炭素を含む安定なスラリーを得ることを含む、バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度のスラリーへ転化する方法。
【請求項2】
前記混合物を170〜250℃の範囲の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物を100〜400 psiの圧力の非酸化性ガス下で加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物を、約200℃の温度に、約150 psiの圧力の非酸化性ガス下で加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非酸化性ガスが、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、二酸化炭素若しくはガス状炭化水素、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
50%の固形分を含む、バイオマスと水との混合物を提供すること、及び前記混合物を約200℃の温度へ、約150 psiの非酸化性ガス圧下で加熱して、安定なスラリーを得ることを含む、バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度のスラリーへ転化する方法。
【請求項7】
バイオマススラリーを、水素添加ガス化リアクターに供給する方法であって、60%以下の固形分を含む、バイオマスと水との混合物を提供すること、及び前記混合物を非酸化性ガス下で加熱して、安定なスラリーを得ることを含む、バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度のスラリーへ転化する工程を含む前記方法。
【請求項8】
前記混合物を170〜250℃の範囲の温度へ加熱する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を100〜400 psiの圧力の非酸化性ガス下で加熱する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を、約200℃の温度へ、約150 psiの非酸化性ガス圧下で加熱する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記非酸化性ガスが、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、二酸化炭素若しくはガス状炭化水素、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
バイオマススラリーを、水素添加ガス化リアクターに供給する方法であって、50%の固形分を含む、バイオマスと水との混合物を提供すること、及び前記混合物を約200℃の温度へ、約150 psiの非酸化性ガス圧下で加熱して、安定なスラリーを得ることを含む、バイオマスを、炭素含有率の高い、高エネルギー密度のスラリーへ転化する工程を含む前記方法。
【請求項13】
前記非酸化性ガスが、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、二酸化炭素若しくはガス状炭化水素、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−543690(P2009−543690A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520798(P2009−520798)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/016154
【国際公開番号】WO2008/011001
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】