説明

高光学効率のための熱アシスト磁気記録ヘッドとパターン化された媒体との統合設計方法

【課題】高光学効率のための熱アシスト磁気記録ヘッドとパターン化された媒体との統合設計を提供する。
【解決手段】システムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層、および磁気層に隣接した下地層であって、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を有する下地層を有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドであって、媒体に書き込むための書込部および熱アシスト記録のために媒体を加熱する近接場トランスデューサを有する磁気ヘッドとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ記憶システムに関し、具体的には、本発明は、熱アシスト記録システムに使用するための近接場光源(トランスデューサ)およびパターン化された磁気ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの心臓部は、一般に、回転磁気ディスクと、読み取りヘッドおよび書き込みヘッドを有するスライダと、回転ディスクの上方にあるサスペンションアームと、読み取りヘッドおよび/または書き込みヘッドを、回転ディスク上の選択された円形トラックに配置するためにサスペンションアームを揺動させるアクチュエータアームとを含む磁気ディスクドライブである。サスペンションアームは、ディスクが回転していないときにはスライダを片寄らせてディスクの表面と接触させるが、ディスクが回転しているときには、スライダの浮上面(ABS)近辺において、ディスクが回転することによって空気が渦巻き、スライダを回転ディスクの表面からわずかに離して空気軸受上に乗せる。スライダが空気軸受に乗っている場合、回転ディスクに対して磁気的痕跡を書き込みかつ磁気信号場を読み取るのに書き込みヘッドおよび読み取りヘッドを用いる。読み取りヘッドおよび書き込みヘッドは、コンピュータプログラムに従って動作して書き込みおよび読み取り機能を行う処理回路に接続される。
【0003】
ディスクドライブの磁気媒体により高い記憶ビット密度を継続的に求めることは、データセルのサイズ(容量)を、セル寸法が磁性材料の粒度によって制限される点まで低減させた。粒度をさらに小さくすることもできるが、周囲温度でのランダムな熱変動がデータの消去に十分であるため、セル内に格納されたデータがもはや熱的に安定しないという懸念がある。この状態を超常磁性の限界と称し、これは、所与の磁気媒体の、理論的に最大の記憶密度を決定する。この限界は、磁気媒体の保磁力を増大させるかまたは温度を低下させることによって引き上げることができる。温度の低下は、ハードディスクドライブを商用および消費者用に設計する場合には現実的な選択肢ではない。保磁力の増大は現実的な解決法であるが、書き込みヘッドがより高い磁気モーメント材料、または垂直記録などの技術(または双方)を用いることを必要とする。
【0004】
磁気媒体表面上の局所領域の有効飽和保磁力を低下させるために熱を用いて、この加熱された領域にデータを書き込む、追加的な一解決法が提案されている。媒体を周囲温度に冷却するとデータの状態は「固定」される。この技術は、概して「熱アシスト(磁気)記録」(TARまたはTAMR)と呼ばれている。従来技術の最も高い密度の記憶システムは垂直記録システムである可能性が高いが、これを、面内記録システムまたは垂直記録システムの双方に適用できる。媒体表面の加熱は、集光レーザービームまたは近接場光源などの多くの技術によって成し遂げられた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TARシステムをさらに改良する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によるシステムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成に特徴部を備える磁気層、および磁気層に隣接し、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む下地層を有する磁気記録媒体と、媒体に書き込むための書込部および熱アシスト記録のために媒体を加熱する近接場トランスデューサを有する磁気ヘッドとを含む。
【0007】
別の実施形態によるシステムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有する磁気記録媒体と、媒体に書き込むための書込部を有する磁気ヘッドと、熱アシスト記録のために媒体を加熱する近接場トランスデューサ、および近接場トランスデューサを照明するための光導波路を有する磁気ヘッドとを含む。磁気層のビット幅が、1つの特徴部の対向する側壁間の幅と定義され、このビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、このビット幅は、近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である。
【0008】
一実施形態による磁気記憶媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層と、磁気層に隣接した下地層であって、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む下地層とを有する磁気記録媒体を含む。
【0009】
一実施形態による方法は、磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させるステップを含み、媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、磁気層のビット幅は、1つの特徴部の対向する側壁間の幅として定義され、このビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、このビット幅は、近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である。
【0010】
別の実施形態による方法は、磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させるステップを含み、媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、媒体はさらに、磁気層に隣接した下地層であって、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む下地層を含む。
【0011】
これらの実施形態のいずれも、磁気ヘッド、磁気媒体(例えば、ハードディスク)を磁気ヘッド上に通過させる駆動機構、および磁気ヘッドに電気的に結合されるコントローラを含み得るディスクドライブシステムなどの磁気データ記憶システムにおいて実施され得る。
【0012】
本発明の他の態様および利点は、図面と併せて本発明の原理を例示する以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0013】
本発明の本質および利点、ならびに好ましい使用方法を完全に理解するために、添付の図面と併せて読まれる以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】磁気記録ディスクドライブシステムの概略図である。
【図2A】面内記録形式を用いる記録媒体の概略的な断面図である。
【図2B】図2Aのような面内記録用の従来の磁気記録ヘッドと記録媒体との組み合わせを示す概略図である。
【図2C】垂直記録形式の磁気記録媒体を示す図である。
【図2D】片側での垂直記録用の記録ヘッドと記録媒体との組み合わせを示す概略図である。
【図2E】媒体の両側で個別に記録するように適合された記録装置の概略図である。
【図3A】ヘリカルコイルを有する垂直磁気ヘッドの特定の一実施形態の断面図である。
【図3B】ヘリカルコイルを有するピギーバック磁気ヘッドの特定の一実施形態の断面図である。
【図4A】ループ状コイルを有する垂直磁気ヘッドの特定の一実施形態の断面図である。
【図4B】ループ状コイルを有するピギーバック磁気ヘッドの特定の一実施形態の断面図である。
【図5A】一実施形態による磁気ヘッドの一部分の概略的な側面図である。
【図5B】図5Aのライン5Bに沿った断面図である。
【図5C】図5Aのライン5Cに沿った断面図である。
【図6A】いくつかの実施形態による、書き込み磁極端から磁気記録媒体へ生じる電気力線の概略図である。
【図6B】いくつかの実施形態による、書き込み磁極端から磁気記録媒体へ生じる電気力線の概略図である。
【図6C】いくつかの実施形態による、書き込み磁極端から磁気記録媒体へ生じる電気力線の概略図である。
【図6D】いくつかの実施形態による、書き込み磁極端から磁気記録媒体へ生じる電気力線の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本発明の一般的原理を説明するためになされ、本願明細書で特許請求される発明の概念を限定するものではない。さらに、本願明細書で説明する特定の特徴は、可能な様々な組み合わせおよび置き換えのそれぞれにおいて、説明された他の特徴と併せて使用することができる。
【0016】
本願明細書で特に規定しない限り、用語は全て、本願明細書に含まれる意味だけでなく、当業者が理解するおよび/または辞書、論文などで定義されている意味も含めて、最も広義に解釈されるものとする。
【0017】
本願明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、特に規定しない限り、複数形も含むことに留意されたい。
【0018】
以下の説明は、ディスクベースの記憶システムおよび/またはそれに関連するシステムおよび方法、ならびにその動作および/または構成部品のいくつかの好ましい実施形態を開示している。
【0019】
一般的な一実施形態では、システムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層、および磁気層に隣接し、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を有する下地層を有する磁気記録媒体と、媒体に書き込むための書込部、および熱アシスト記録のために媒体を加熱する近接場トランスデューサを有する磁気ヘッドとを含む。
【0020】
別の一般的な実施形態では、システムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有する磁気記録媒体と、媒体に書き込むための書込部、熱アシスト記録のために媒体を加熱する近接場トランスデューサおよび近接場トランスデューサを照明するための光導波路を有する磁気ヘッドとを含む。磁気層のビット幅は、1つの特徴部の対向する側壁間の幅として定義され、このビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、このビット幅は、近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である。
【0021】
一般的な一実施形態では、磁気記憶媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層と、磁気層に隣接した下地層であって、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む下地層とを有する磁気記録媒体を含む。
【0022】
一般的な一実施形態では、方法は、磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させることを含み、媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、磁気層のビット幅は、1つの特徴部の対向する側壁間の幅として定義され、このビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、このビット幅は、近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である。
【0023】
別の一般的な実施形態では、方法は、磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させることを含み、媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、媒体はさらに、磁気層に隣接した下地層を含み、下地層は、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む。
【0024】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態によるディスクドライブ100が示されている。図1に示すように、少なくとも1つの回転可能な磁気ディスク112がスピンドル114上に支持され、かつディスクドライブモータ118によって回転される。各ディスク上の磁気記録は、一般にディスク112上の同心データトラック(図示せず)の環状パターンの形態である。
【0025】
ディスク112付近に少なくとも1つのスライダ113を位置決めし、各スライダ113は、1つ以上の磁気読み取り/書き込みヘッド121を支持する。ディスクが回転するにつれ、スライダ113は、ディスク表面122上を半径方向に内側および外側へ移動して、ヘッド121が、所望のデータが記録されているおよび/またはそれを書き込むディスクの異なるトラックにアクセスできるようにする。各スライダ113は、サスペンション115によってアクチュエータアーム119に取り付けられる。サスペンション115は、スライダ113をディスク表面122に抗して付勢するわずかな弾力をもたらす。各アクチュエータアーム119をアクチュエータ127に取り付けられる。図1に示すアクチュエータ127はボイスコイルモータ(VCM)でもよい。VCMは、固定磁界内を移動可能なコイルを含み、コイルの移動方向および移動速度は、コントローラ129によって供給されたモータ電流信号によって制御されている。
【0026】
ディスク記憶システムの動作中、ディスク112が回転することにより、スライダ113とディスク表面122との間に空気軸受が生じ、それが、スライダに対して押し上げ力を加える、すなわちスライダを持ち上げる。それゆえ、空気軸受は、サスペンション115のわずかな弾力に抗して釣り合わせ、かつ通常動作中、スライダ113をディスク表面から少量、実質的に一定の間隔だけ離してわずかに上方に支持する。いずれの実施形態でも、スライダ113はディスク表面122に沿って滑動することに留意されたい。
【0027】
ディスク記憶システムの様々な構成要素は、動作中、制御装置129によって発生された制御信号、例えばアクセス制御信号および内部クロック信号などによって制御される。一般に、制御装置129は、ロジック制御回路、記憶装置(例えばメモリ)、およびマイクロプロセッサを含む。制御装置129は、様々なシステムオペレーションを制御するために、ライン123上のドライブモータ制御信号およびライン128上のヘッド位置・シーク制御信号などの制御信号を発生する。ライン128上の制御信号は、所望の電流プロファイルをもたらして、ディスク112上の所望のデータトラックにスライダ113を最適に移動させ、かつ位置決めする。読み取り信号および書き込み信号は、記録チャネル125によって読み取り/書き込みヘッド121と通信される。
【0028】
典型的な磁気ディスク記憶システム、および添付の図1の上述の説明は例示を目的としたものにすぎない。ディスク記憶システムが多数のディスクおよびアクチュエータを含み、各アクチュエータが多数のスライダを支持し得ることは明白である。
【0029】
全ての当業者が理解するように、データを送受信するためにディスクドライブとホスト(一体式または外部)との間で通信を行うために、ならびに、ディスクドライブの動作を制御し、かつディスクドライブのステータスをホストへ通信するために、インターフェースが設けられてもよい。
【0030】
典型的なヘッドでは、誘導書き込みヘッドは、1つ以上の絶縁層(絶縁積層体)に埋め込まれたコイル層を含み、絶縁積層体は、第1の磁極片層と第2の磁極片層との間に配置されている。第1の磁極片層と第2の磁極片層との間に、書き込みヘッドの浮上面(ABS)におけるギャップ層によってギャップが形成される。磁極片層を、バックギャップにおいて接続されてもよい。コイル層を通して電流を流し、磁極片に磁界を発生させる。磁界は、回転磁気ディスク上の円形トラックなどの動いている媒体上のトラックに磁界情報のビットを書き込むために、ABSにおいてギャップを跨いで生じる。
【0031】
第2の磁極片層は、ABSからフレア点まで延在する磁極先端部と、フレア点からバックギャップまで延在するヨーク部とを含む。フレア点は、ヨークを形成するために第2の磁極片が広がり始める(フレア)個所である。フレア点の配置は、記録媒体上に情報を書き込むためにもたらされた磁界の大きさに直接影響を及ぼす。
【0032】
図2Aは、図1に示すような磁気ディスク記録システムで使用されるものなどの、従来の記録媒体を概略的に示す。この媒体を、媒体自体の平面にまたはその平面に平行して磁気インパルスを記録するために用いる。記録媒体、この例では記録ディスクは、基本的に、好適な従来の磁気層の上部コーティング202を備える、ガラスなどの好適な非磁性材料の支持基板200を含む。
【0033】
図2Bに、好ましくは薄膜ヘッドである従来の記録/再生ヘッド204と、図2Aに示すもののような従来の記録媒体との間の動作関係を示す。
【0034】
図2Cに、図1に示すもののような磁気ディスク記録システムで使用されるような記録媒体の表面に対して実質的に垂直な磁気インパルスの向きを概略的に示す。そのような垂直記録では、媒体は、一般に高透磁率の材料の下地層212を含む。ここでは、この下地層212は、好ましくは下地層212と比較して高保磁力を有する磁性材料の上部コーティング214を備える。
【0035】
図2Dに、垂直ヘッド218と記録媒体との間の動作関係を示す。図2Dに示す記録媒体は、高透磁率の下地層212と、上記図2Cに関連して説明した磁性材料の上部コーティング214との双方含む。しかしながら、これら双方の層212および214を、好適な基板216に適用された形態で示す。一般に、層212と層214との間に「交換遮断」層または「中間層」と呼ばれる追加的な層(図示せず)があってもよい。
【0036】
この構造では、垂直ヘッド218の磁極間に延在する磁力線は、記録媒体の高透磁率下地層212を備える記録媒体の上部コーティング214に対してループ状に出入りし、磁力線が、媒体の表面に対してほぼ垂直な方向で上部コーティング214を通過するようにして、媒体の表面に対して実質的に垂直な磁化軸を有する磁気インパルスの形態で、下地層212と比較して好ましくは高い保磁力を有する磁性材料の上部コーティング214に情報を記録させるようにする。磁束は、軟質の下地層コーティング212によってヘッド218のリターン層(P1)に戻される。
【0037】
図2Eに、基板216が2つの対向する面それぞれの上に層212および214を支持し、好適な記録ヘッド218が、媒体の両面の磁気コーティング214の外面に隣接して位置決めされて、媒体の両面での記録を可能にしている類似の構造を示す。
【0038】
図3Aは、垂直磁気ヘッドの断面図である。図3Aでは、ヘリカルコイル310および312を使用して、ステッチ磁極308に磁束を生成し、ステッチ磁極から主磁極306に磁束を送る。コイル310は、図の紙面から表側に延出するコイルを示す一方、コイル312は、図の紙面面から裏側に延在するコイルを示す。ステッチ磁極308はABS318よりも凹んでいてもよい。絶縁部316がコイルを取り囲み、かつ一部の要素を支持してもよい。構造の右側に矢印で示す媒体の移動方向は、媒体を、下部リターン磁極314をまず通過し、次いでステッチ磁極308、主磁極306、巻き付きシールド(図示せず)に接続され得るトレーリングシールド304を通過し、最終的に上部リターン磁極302を通過するように動かす。これらの構成要素の各々は、ABS318と接触する部分を有する。ABS318を、構造の右側に示す。
【0039】
垂直書き込みは、磁束を、ステッチ磁極308を通過して主磁極306まで、次いでABS318に向かって位置決めされたディスクの表面まで強制的に押し出すことによって達成される。
【0040】
図3Bに、図3Aのヘッドと類似の特徴を有するピギーバック磁気ヘッドを示す。2つのシールド304はステッチ磁極308および主磁極306の側面にある。また、センサシールド322、324も示す。センサ326を一般にセンサシールド322と324との間に位置決めする。
【0041】
図4Aは、ステッチ磁極408に磁束を提供するためにループ状コイル410(パンケーキ構造と呼ばれることがある)を使用する一実施形態の概略図である。ここで、ステッチ磁極はこの磁束を主磁極406に提供する。この向きでは、下部リターン磁極はオプションである。絶縁部416がコイル410を取り囲み、かつステッチ磁極408および主磁極406を支持する。ステッチ磁極はABS418よりも凹んでいてもよい。構造の右側に矢印で示すように、媒体の移動方向は、媒体を、ステッチ磁極408、主磁極406、巻き付きシールド(図示せず)に接続するトレーリングシールド404を通過し、最終的に上部リターン磁極402を通過するように動かす(それら全ては、ABS418と接触する部分を含んでも含まなくてもよい)。ABS418を構造の右側に示す。いずれの実施形態でもトレーリングシールド404は主磁極406と接触する。
【0042】
図4Bに、巻き付いてヘリカルコイル412を形成するヘリカルコイル410を含む、図4Aのヘッドと類似の特徴を有する別のタイプのピギーバック磁気ヘッドを示す。また、センサシールド422、424も示す。センサ426を、典型的にはセンサシールド422と424との間に位置決めする。
【0043】
図3Bおよび図4Bでは、磁気ヘッドのABSではない側の付近にオプションのヒータを示す。ヒータはまた、図3Aおよび図4Aに示すように磁気ヘッドに含まれてもよい。このヒータの位置は、突出部の望ましい位置、周囲の層の熱膨張係数などの設計パラメータに基づいて変化し得る。
【0044】
熱アシスト記録(TAR)では、一実施形態によれば、熱を使用して高異方性媒体の交換を支援する。高異方性媒体を使用することによって、熱安定性を維持しつつ非常に小さい粒界を使用することができる。TARを適切に実現するためには、幅約40nm以下の単一のデータトラックに高効率で熱を閉じ込める。考えられる近接場光源は、一般に、光が入射したときにスライダABSに位置している先端に表面電荷運動が集中するように成形された低損失の金属(Au、Ag、Al、Cuなど、およびそれらの合金)を使用する。先端電荷の振動は強い近接場パターンを形成し、ディスクを加熱する。時折、金属構造は共鳴電荷運動(表面プラズモン)を発生させて、さらに強度およびディスクの加熱を強めることができる。例えば、偏光が、Eアンテナなどのトランスデューサの切欠部と整列されるとき、切欠部の端部に強い近接場パターンが形成される。表面プラズモンの周波数を入射光の周波数に適合するようにトランスデューサの寸法を調整することにより、共鳴電荷運動が発生し得る。残念ながら、近接場トランスデューサ金属における電荷運動はまた、トランスデューサ自体を加熱する原因となり、この加熱は、装置の長期信頼性を低減させることがある。また、トランスデューサの効率が低い場合、比較的強力なレーザが必要となる。トランスデューサの先端/切欠部とディスクとの間の近接場結合を改善して、ヘッドおよびスライダの加熱を低減させること、かつよりパワーの低い安価なレーザを使用することが好都合である。
【0045】
ディスクリートトラック媒体(DTM)では、通常トラックエッジに形成される磁気的な雑音となる書き込みが不十分な領域が生じるのを回避しかつトラック間の磁気交換相互作用を排除するために、データトラック間に溝が形成される。溝を、例えば、磁気層を形成し、データトラックをマスキングし、次いで、書き込み可能な磁性材料のトラックを残して磁気層の露出領域を除去することにより形成し得る。当業者に理解されるような、DTMのデータトラックを作製する他の手法を使用してもよい。
【0046】
ビットパターン化された媒体(BPM)では、超微粒子媒体を必要としないようにするために、磁性材料の物理的なアイランド、例えばコラムを形成する。むしろ、アイランドは、ビット遷移がパターニングによって規定されるように、熱的に安定な交換領域としてふるまう、交換結合した磁性材料で構成されている。アイランドを、例えば、磁気層を形成し、アイランドをマスキングし、次いで磁性材料のアイランドを残して磁気層の露出領域を除去することによって、形成し得る。当業者が理解しているような、BPMのアイランドを作製する他の手法を使用してもよい。
【0047】
DTMおよびBPMの双方とも、従来の磁気記録よりも高い面密度とし得る。一実施形態によれば、TAR近接場トランスデューサに必要な光入力パワーを著しく低下させるように、TARとDTMとをまたはTARとBPMとを組み合わせてもよい。
【0048】
近接場光モデリングが、近接場光源のトラック横断幅がビットパターン化された媒体のアイランド直径またはディスクリートトラック媒体のランド幅よりも大きいときに光学効率が著しく高められ得ることを示す。ここで、ランド幅を、トラックに対して読み書きするヘッドに対して、トラックの厚さに対して垂直であって、かつトラックの移動方向に対して垂直方向における、トラックの対向する側壁間と定義する。パターン化された磁気媒体の下にあるディスクの、パターン化されていないプラズモン層(Au、Cu、Agなどを含む)を使用することによって、または磁気アイランドまたはトラックがパターン化されるのと同時にパターン化されるプラズモン下地層を使用することによって、パワー効率も高めることができる。
【0049】
図5Aに、一実施形態による、集積導波路と近接場トランスデューサ512(この場合、Eアンテナを示す)とを備える磁気ヘッド520の一部の側面図を示す。この実施形態では、導波路コア504は単純な矩形断面を有するが、固浸ミラー、固浸レンズなどの他の導波路構造を使用してもよい。導波路コア504を、Ta、TiO、または他の任意の好適な誘電材料としてもよい。導波路クラッディング510をAl、SiO、またはいくつかの他の好適な誘電材料としてもよい。
【0050】
モデリングによって決定されたように、導波路モードの強度プロファイルが、半径約300nmのスポットに広がる。ディスクの吸収プロファイルもまた、モデリングによって決定され、かつ、近接場トランスデューサが、導波路からの入射光パワーを、ディスクの表面の非常に小さなスポットに集束させる一方、磁界が、隣接する磁気リップによって供給されることを示す。図示の例では、導波路のパワーの約10%が、幅24nmの金の切欠部を使用して50nmの領域内でディスクに散逸する。近接場トランスデューサが高性能であるにも関わらず、光スポットのサイズは切欠部の幅よりも遙かに大きい。さらに、ディスクの表面で広がる横方向の熱により、さらに大きな熱スポットが生じる。DTMおよびBPMは、隣接トラックに広がる横方向の熱を低減させるのに役立つが(トラック間の材料の熱的特性に依存する)、パターニングの近接場光効果はあまりよく理解されていないことが明らかである。
【0051】
モデリングによって示したように、DTMおよびBPMはパワー散逸を、パターン化された領域に閉じ込めることができる。ランドまたはアイランド幅が切欠部幅よりも小さい場合、パワー散逸は一般的に、切欠部幅よりもさらに小さいスポットに閉じ込められる。ある特定のヘッド設計を用いるモデリングによれば、平均パワー密度は、24nm幅のDTMランドおよび16nm幅のDTMランドでは、フラットディスクにおける同一体積中ではそれぞれ1.5および2.1倍大きく、その一方、隣接トラックはそれぞれ中心トラック電力の9%および25%を受ける。加えて、平均パワー密度は、24nm幅のBPMアイランドおよび16nm幅のBPMアイランドでは、フラットディスクにおける同一体積中ではそれぞれ3.0および4.3倍大きく、その一方、隣接アイランドは、それぞれ中心アイランド電力の約6%および約21%を受ける。モデリングによって、所与のトラックのピッチでは、ランド/アイランド幅とリードバック信号との間に、およびトランスデューサの先端/切欠部幅と隣接トラック消去との間にトレードオフがある。光学効率を改善するために、先端/切欠部のトラック横断幅は好ましくはランド/アイランドのトラック横断幅よりも大きい。
【0052】
関係する寸法が非常に小さいため(光の波長と比較して小さい)、光学効率へのパターニングの影響を単純な静電学によってほぼ説明できる。図6A〜図6Dに示すように、いずれかの実施形態によれば、ディスクのパターニングは、ランド/アイランドに向けて(特に端部に向けて)電気力線610を集束させる。力線610のこの集束は、ラプラスの式に対する解決法の結果である;例えば、力線610は、平滑な伝導性表面に対して垂直であり、かつ鋭い90°のエッジ付近の電荷密度は、エッジからの距離「d」に応じてd−1/3で変わる。
【0053】
Au、Cu、Agなどの下地層608を用いることによって電場の振幅をさらに増強することができる。これらのような金属は、一般に近接場トランスデューサによって利用されて先端/切欠部602の電荷密度を高める表面プラズモン共鳴を形成できることが知られている。下地層608として使用されたとき、これら金属は、トランスデューサの表面プラズモンの像を形成して、パターン化された媒体514のランドおよび/またはアイランドへ流れる電荷を増加させることができる。電荷の流れを増加させることによって追加的な熱が発生し、かつシステムの効率が高まる。さらに、ランドおよび/またはアイランドの基部はAu、Cu、Agなどの層を含むことができ、これらの層は、磁気記録層604がパターン化されるのと同時にパターン化され得る。ランドおよび/またはアイランドの下で低損失の金属パターン化を使用することにより、トランスデューサの先端がトランスデューサの表面プラズモンの電荷の流れを集中させたのと同じ方法で電荷をさらに集中させることができる。場合によっては、これらのパターン化された貴金属の特徴は、光のパターンおよび波長の寸法に依存して表面プラズモンを生成することができる。
【0054】
ここで図5Aを参照すると、一実施形態によるシステムの簡潔な概略図を示す。システムは、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有する磁気記録媒体514を含む。明白にするために、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成は図示しない。システムは磁気ヘッド520も含み、磁気ヘッド520は、磁気媒体514に書き込むための書込部(磁極)506と、熱アシスト記録用に媒体514を加熱するための近接場トランスデューサ512とを有する。
【0055】
ここで図6A〜図6Dを参照すると、いくつかの手法によれば、磁気層604のビット幅αを、1つの特徴部(例えば、磁気記録媒体514がディスクリートトラック構成の特徴部を有する場合には1つのランド、または磁気記録媒体514がビットパターン構成の特徴部を有する場合には、1つのアイランド)の対向する側壁間の幅として定義し、かつ1つのデータトラックと関連させることができ、ビット幅αは、データトラックに対してトラック横断方向に向けられ、ビット幅αは、近接場トランスデューサ512の切欠部(または先端)の有効幅以下である。「有効幅」とは、異なるトランスデューサは異なる物理的プロファイルを有するため、三角形プロファイル、円形プロファイルなどの異なる物理的プロファイルのトランスデューサを単一の寸法で物理的に説明することが困難であることを意味する。従って、「有効幅」を、平坦な磁気記録媒体上でトランスデューサを使用できる光吸収プロファイルの半値全幅として判断する。例えば、24nmの切欠部のEアンテナは、約30nmの「有効幅」を有する。磁気記録媒体514は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を有し、かつビット間の1つまたは複数のギャップ606はすきまを含み、および/または誘電材料、電気絶縁材料などおよびこれらの組み合わせを含むいずれかの非磁性材料を含む。1つまたは複数のギャップ606において使用され得る非磁性材料の例は、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、ポリマー、レジスト、潤滑剤など、およびこれらの組み合わせを含む。既に示唆したように、1つまたは複数のギャップにおける非磁性材料の厚さは、図6Bおよび図6Cの特徴部と同じくらい厚く、図6Dの特徴部(例えば、ギャップが部分的に埋められている)ほど厚くないか、または図6Dの特徴部よりも厚いおよび/または非磁性材料が特徴部よりも高くなるように厚い。
【0056】
いくつかの別の手法では、磁気層604のビット幅αを、その1つの特徴部(例えば、台地またはアイランド)の幅と定義し、かつ1つのデータトラックと関連させることができ、ビット幅αは、データトラックに対してトラック横断方向に向けられ、ビット幅αは、光吸収プロファイルの半値全幅以下である。この光吸収プロファイルは、例えば、従来の媒体で使用されかつ物理的なパターン化された磁気層(図6Aに示すようなもの)のないもののような、連続的な上面を備える磁気層を有する第2の磁気記録媒体と同一の動作条件下で同じ磁気ヘッド520を使用するときに得らえる。
【0057】
図6C〜図6Dを参照すると、いくつかの実施形態では、磁気媒体514はさらに、磁気層604に隣接して下地層608を含む。下地層608は、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料、例えばAu、Cu、Agなど、およびそれらの合金を含み得る。別の実施形態では、磁気層604の特徴部は、下地層608の部分よりも隆起していてもよい。一手法では、図6Cに示すように下地層608は平面的な上面を有し得る。別の手法では、下地層608の露出領域の一部分は、磁気媒体514がパターン化されて特徴部を形成するときに除去され、図6Dに示すように、磁気層の特徴部の下に隆起部分を有する下地層608を生じてもよい。別の実施形態では、下地層608は、磁気層604の特徴部の下にのみあってもよい。例えば、下地層608の露出領域の全てを、磁気媒体514をパターン化して特徴部を形成するときに除去してもよい。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態では、近接場トランスデューサ512はEアンテナを含み得る。当然ながら、C−開口、丸みを帯びたプロファイルのアンテナ、三角形プロファイルを有するアンテナなどの他の近接場トランスデューサ構成も使用可能である。
【0059】
再び図5Aを参照すると、いくつかの手法によれば、システムは、近接場トランスデューサ512を照明するための光導波路(504および510)を含み得る。導波路コア504を、凹型の誘電体導波路とし、かつTARを達成するために近接場トランスデューサ512と一体化し得る。導波路コア504を、トランスデューサ512からある距離だけ最適に凹状にされ、かつこのスペースを低指数の誘電材料で埋め、光学効率を著しく高めることができる。好ましい一実施形態では、高指数のコア材料を堆積させて、異方性堆積を使用した近接場トランスデューサ512の作製後に、凹部スペースにおける低指数の誘電材料を堆積させる。光導波路コア504を、当業者に公知の任意の好適な材料、例えばTa、TiOなどで構成し得る。導波路クラッディング510を、当業者に公知の任意の好適な材料、例えばAl、SiOなどで構成し得る。また、誘電体層516を、磁気リップ502と近接場トランスデューサ512との間のギャップに位置決めし得る。誘電体層516を、当業者に公知の任意の好適な材料、例えばAl、SiO、Taなどで構成し得る。
【0060】
ここで図5Bを参照すると、図5Aのライン5Bに沿って取って示した、光導波路(504および510)の上部の概略的な断面図を示す。図示のように、導波路クラッディング510は導波路コア504を取り囲み、それにより、周りの層からコアを分離し、かつ導波路に提供する光エネルギーを集束させる。図示のように、磁気媒体514から離れたこの位置では、構造を一般的に光導波路と呼ぶ。導波路コア504は図示のように矩形断面、または当業者が選択するような、四角形、三角形、円形、楕円形などの任意の他の断面プロファイルを有し得る。固浸ミラー、固浸レンズなどの他の導波路構造も使用し得る。別のクラッディング層508も図示し、当業者に公知の任意の好適な材料で構成し得る。
【0061】
図5Cを参照すると、磁気媒体514に近い磁気ヘッド520の部分を示す。図示のように、書込部(主磁極)506は、近接場トランスデューサ512の方へ延在する磁気リップ502を形成し得る。誘電体層516の3つの側面は、導電性金属膜518、例えばAu、Ag、Cuなどによって取り囲まれ得る。誘電体層516の切欠部も、導電性金属膜518で埋められ得る。誘電体層516と接触していない金属膜518の3つの側面は、クラッディング層510に隣接し得る。
【0062】
一部の好ましい実施形態では、導波路クラッディング510とは異なる絶縁層(図示せず)が、リップ502から近接場トランスデューサ512を電気的に絶縁し得る。加えて、主磁極506と近接場トランスデューサ512との間のこの絶縁層の部分は、好ましくは0nm〜約80nmの間、例えば約8nmの厚さを有する。
【0063】
一般に、近接場トランスデューサ512の光源は、導電性金属膜518に配置された矩形の誘電体層516を含む。いくつかの実施形態では、近接場トランスデューサ512は、Eアンテナ(図示のように)を含み得る。適切な周波数の光をアンテナおよびその周囲の誘電体膜に向ける。
【0064】
以下、一実施形態による図5A〜図5Cを参照すると、誘電体層516および周囲の金属膜518を含む近接場トランスデューサ512に、光導波路コア層504を介して光が向けられる。誘電体層516の中心部分に延在しているのは、導電性突起部、一般的に(必ずしもではないが)周囲の金属膜518の拡張部である。突起部に対して平行な方向に偏光された入射放射線が、突起部の端部と誘電体層516の対向する境界線との間のギャップにおいて、突起部付近にまたはその端部に近接場光源を発生させる。本実施形態では、磁気リップ502はこの対向する境界線にあり、近接場光源を磁気リップ502にごく接近させて配置する。
【0065】
モデリングの検討の結果、磁気リップ502が、誘電体層516に隣接し、かつ突起部の端部の向かいに配置されていることを前提として、アンテナ材料518とほぼ同じ高さの磁気リップ502が、光学効率に与える影響を最小限にしてアンテナにごく接近してあり得るという、予想外の発展形態を明らかにした。これにより、書き込みヘッドの有効磁極端を、突起部の端部と磁気リップ502の端部との間に配置される近接場光源が発生させた熱領域に非常に近接させて配置する。
【0066】
図5A〜図5Cの各々では、図の一番左側の部分はさらに延び、さらなる形状をなし、かつさらなる層を含み得る。また、絶縁層、接着層などを含める他の層および層の組み合わせを、当業者に使用されるようなシステムに使用し得る。加えて、システムに関連して説明した層のいずれも、複数の層で構成することができ、それらの層は同じ材料であってもなくてもよい。
【0067】
近接場トランスデューサの他のタイプまたは設計を様々な実施形態に使用し得る。例えば、近接場トランスデューサのアンテナ部分はほぼ三角形を有し得る。別の例では、アンテナ部分は、媒体の加熱を誘起する機器である切欠部がその外周から延出している、ほぼ丸い本体を有する。
【0068】
別の実施形態では、方法は、磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させることを含む。磁気記録媒体は、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層(図5A〜図6Dに示すものなど)を含む。
【0069】
方法の一実施形態によれば、磁気層のビット幅を、特徴部(例えば、磁気記録媒体がディスクリートトラック構成の特徴部を有する場合には1つのランドまたは磁気記録媒体がビットパターン構成の特徴部を有する場合には1つのアイランド)の対向する側壁間の、その特徴部の1つの幅と定義し、1つのデータトラックに関連させることができ、ビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられている。ビット幅は、近接場トランスデューサの切欠部(または先端)の有効幅以下である。「有効幅」とは、異なるトランスデューサは異なる物理的プロファイルを有し得るため、三角形のプロファイル、円形のプロファイルなど異なる物理的プロファイルのトランスデューサを単一の寸法で物理的に説明することが困難であることを意味する。それゆえ、「有効幅」は、平坦な磁気記録媒体でトランスデューサを使用できる光吸収プロファイルの半値全幅であると判断される。
【0070】
別の実施形態では、磁気層のビット幅を、その特徴部(例えば、台地またはアイランド)の1つの幅と定義し、1つのデータトラックと関連させることができ、そのビット幅は、データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられている。ビット幅は、例えば、従来の媒体で使用されかつ物理的にパターン化された磁気層のないような、連続的な上面を備える磁気層を有する第2の磁気記録媒体と同一の動作条件下で同じ磁気ヘッドを使用するときに得られる光吸収プロファイルの半値全幅である。
【0071】
他の手法では、磁気記録媒体はさらに、磁気層に隣接した下地層(図6C〜図6Dに示すような)を含み、その下地層は、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料、例えばAu、Cu、Agなどおよびそれらの合金を含む。
【0072】
様々な実施形態の少なくともいくつかに対して本願明細書で提示した方法論を、全体的にまたは一部分、コンピュータのハードウェア、ソフトウェアに、専門の装置を使用して手動でなどおよびこれらの組み合わせで実施し得ることに留意されたい。
【0073】
上記で様々な実施形態を説明したが、それらは、限定ではなく、例示を目的として提示したものにすぎないことを理解されたい。それゆえ、本発明の実施形態の広さおよび範囲は上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0074】
100 ディスクドライブ
112 磁気ディスク
113 スライダ
114 スピンドル
115 サスペンション
118 ディスクドライブモータ
119 アクチュエータアーム
121 ヘッド
122 ディスク表面
125 記録チャネル
127 アクチュエータ
129 コントローラ
200 支持基板
202 上部コーティング
204 記録/再生ヘッド
212 下地層
214 磁気コーティング
216 基板
218 記録ヘッド
302 上部リターン磁極
304 トレーリングシールド
306 主磁極
308 ステッチ磁極
310、312 ヘリカルコイル
314 下部リターン磁極
316 絶縁部
318 ABS
322、324 センサシールド
326 センサ
402 上部リターン磁極
404 トレーリングシールド
406 主磁極
408 ステッチ磁極
410 ループ状コイル
412 ヘリカルコイル
416 絶縁部
418 ABS
422、424 センサシールド
426 センサ
502 磁気リップ
504 導波路コア
506 書込部
508 クラッディング層
510 導波路クラッディング
512 近接場トランスデューサ
514 磁気媒体
516 誘電体層
518 導電性金属膜
520 磁気ヘッド
602 先端/切欠部
604 磁気記録層
606 ギャップ
608 下地層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層、および前記磁気層に隣接した下地層を有する磁気記録媒体であって、前記下地層が表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む、磁気記録媒体と、
磁気ヘッドであって、
前記媒体に書き込むための書込部;および
熱アシスト記録のために前記媒体を加熱する近接場トランスデューサ
を有する磁気ヘッドと
を含むシステム。
【請求項2】
前記磁気層のビット幅が、1つの前記特徴部の対向する側壁間の幅と定義され、前記ビット幅は、前記データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、前記ビット幅は、前記近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁気層のビット幅が、1つの前記特徴部の対向する側壁間の幅と定義され、前記ビット幅は、前記データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、前記ビット幅は、連続的な上面を備える磁気層を有する第2の磁気記録媒体と同一の動作条件下で同じ磁気ヘッドを使用するときに得られる光吸収プロファイルの半値全幅以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有する磁気記録媒体と、
磁気ヘッドであって
前記媒体に書き込むための書込部;
熱アシスト記録のために前記媒体を加熱する近接場トランスデューサ;および
前記近接場トランスデューサを照明するための光導波路
を有する磁気ヘッドと
を含み、前記磁気層のビット幅が、1つの前記特徴部の対向する側壁間の幅と定義され、前記ビット幅は、前記データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、前記ビット幅は、前記近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である、システム。
【請求項5】
前記ビット幅がまた、連続的な上面を備える磁気層を有する第2の磁気記録媒体と同一の動作条件下で同じ磁気ヘッドを使用するときに得られる光吸収プロファイルの半値全幅以下である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記媒体がさらに、前記磁気層に隣接した下地層を含み、前記下地層が、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記磁気層の前記特徴部が前記下地層の隆起部分の上側にある、請求項1または請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記下地層が前記磁気層の前記特徴部の下側のみにある、請求項1または請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記近接場トランスデューサがEアンテナを含む、請求項1または請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記近接場トランスデューサが、丸いプロファイルを有するアンテナを含む、請求項1または請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記近接場トランスデューサが、三角形のプロファイルを有するアンテナを含む、請求項1または請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層および前記磁気層に隣接した下地層を有する磁気記録媒体であって、前記下地層が、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む、磁気記録媒体
を含む磁気記憶媒体。
【請求項13】
前記下地層が前記磁気層の前記特徴部の下側のみにある、請求項12に記載の媒体。
【請求項14】
前記下地層が前記磁気層の前記特徴部の下側に隆起部分を有する、請求項12に記載の媒体。
【請求項15】
磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させるステップを含み、前記媒体が、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、前記磁気層のビット幅は、前記磁気層の前記特徴部の1つの、対向する側壁間の幅と定義され、前記ビット幅は、前記データトラックに対してトラックを横切る方向に向けられており、前記ビット幅は、前記近接場トランスデューサの切欠部の有効幅以下である、方法。
【請求項16】
前記ビット幅が、連続的な上面を備える磁気層を有する第2の磁気記録媒体と同一の動作条件下で同じ磁気ヘッドを使用するときに得られる光吸収プロファイルの半値全幅以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記媒体がさらに、前記磁気層に隣接した下地層を含み、前記下地層が、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
磁気記録媒体へのデータの書き込み中、近接場トランスデューサに磁気記録媒体を加熱させるステップを含み、前記媒体が、ディスクリートトラック構成またはビットパターン構成の特徴部を備える磁気層を有し、前記媒体がさらに、前記磁気層に隣接した下地層を含み、前記下地層が、表面プラズモン共鳴の形成が可能な材料を含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2011−96354(P2011−96354A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232567(P2010−232567)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】