高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法
高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法が記載されている。当該方法は、陥凹領域と隣接する隆起領域とを有するレリーフパターンを備える主表面を有する高分子フィルム基材を提供すること、第1の材料を前記高分子フィルム基材の主表面に付着してコーティングされた高分子フィルム基材を形成すること、前記コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域に機能性材料の層を選択的に形成し、機能化された隆起領域と機能化されていない陥凹領域とを形成すること、及び付着金属を機能化されていない陥凹領域に選択的に無電解沈着することを包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法及びこのような方法で形成された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料のパターンを有する高分子フィルムは、広範な商業用途を有する。場合によっては、導電性グリッドは、肉眼で見えないほど十分に微小であり、透明な高分子基材によって支持されていることが望ましい。透明な導電性シートは様々な用途があり、例としては、抵抗加熱される窓、電磁干渉(EMI)遮蔽層、静電散逸構成成分、アンテナ、コンピュータディスプレイ用タッチスクリーン、エレクトロクロミックウインドウ用の表面電極、光電池デバイス、エレクトロルミネセンスデバイス、及び液晶ディスプレイが挙げられる。
【0003】
EMI遮蔽のような用途では本質的に透明な導電性グリッドの使用が知られている。前記グリッドは、透明シート間に挟まれた若しくは積層された、又は基材中に埋め込まれた、金属線の網状組織又はスクリーンから形成され得る(米国特許第3,952,152号;第4,179,797号;第4,321,296号;第4,381,421号;第4,412,255号)。ワイヤスクリーン使用の1つの欠点は、非常に微細なワイヤの取扱い又は非常に微細なワイヤスクリーンの作製及び取扱いが困難なことである。例えば、直径20μmの銅線は、引張り強度がわずか0.28N(1オンス(28グラム重))しかなく、したがって容易に破損される。直径20μmのワイヤで作製されたワイヤスクリーンが入手できるが、非常に微細なワイヤの取扱いが困難であるために高額である。
【0004】
既存のワイヤスクリーンを基材中に埋め込むよりもむしろ、最初に基材に溝又はチャネルのパターンを形成し、続いて前記溝又はチャネルに導電性材料を充填することによって、導電性パターンを作製できる。この方法は、様々な手段による導電回路の線及びパターンの作製に使用されてきたが、これは通常は比較的粗いスケールの線及びパターンである。前記溝は、成形、型押し、又はリソグラフ技術によって基材中に形成できる。前記溝は、その後導電性インキ又はエポキシ(米国特許第5,462,624号)で、蒸発、スパッタリング、若しくはめっきされた金属(米国特許第3,891,514号、第4,510,347号、及び第5,595,943号)で、溶融金属(米国特許第4,748,130号)で、又は金属紛(米国特許第2,963,748号、第3,075,280号、第3,800,020号、第4,614,837号、第5,061,438号、及び第5,094,811号)で、充填することができる。高分子フィルム上の導電性グリッドは、導電性ペーストの印刷によって(米国特許第5,399,879号)又はフォトリソグラフ及びエッチング(米国特許第6,433,481)によって作製された。これらの先行技術の方法には制限がある。例えば、導電性インキ又はエポキシの問題の1つは、その導電性が隣接する導電性粒子間の接触の形成に依存し、全体的導電性が通常は固体金属のそれよりもはるかに低いことである。金属の蒸着又は電気めっきは、一般に低速であり、後で、溝と溝との間に付着した過剰な金属を除去するための工程を必要とすることが多い。溶融金属は、溝の中に配置されことができるが、通常は金属を濡らす多少の材料が溝に付着することを必要とする。そうしなければ、溶融金属の表面張力により、溶融金属は溝に浸透しない又は留まらないであろう。
【0005】
導電性グリッドに加えて、電気回路の形で導電性材料のパターンを支持する高分子フィルムも有用である。フレキシブル回路は、電子的構成要素の支持及び相互接続において、並びにセンサーの製造において使用される。センサーの例としては、環境センサー、医療用センサー、化学センサー、及び生物測定センサーが挙げられる。いくつかのセンサーは、好ましくは透明である。導電性グリッドの場合のように、高分子フィルム基材上のフレキシブル回路は、しばしば、フォトリソグラフを用いて製造され、これはフォトレジスト配置、露光、現像、及び除去という複数の工程を包含する。このような高額な装置及びそうした多数の製造プロセス工程を必要としない代替法が産業界で望まれる。
【0006】
回路は、金属粉末を溝に入れた後、前記粉末を圧縮して、粒子間の電気的接触を増強することによって作製された。リリー(Lillie)ら(米国特許第5,061,438号)及びケーン(Kane)ら(米国特許第5,094,811号)は、この方法を使用してプリント基板を形成した。しかし、これらの方法は微小回路及び微小金属パターンの作製に実用的ではない。微小スケールでは、金属圧縮を実施するためにエンボス加工されたパターン上で工具を交換又は再登録することが困難となり得る。例えば、幅20μmのチャネルのパターンを有するシートは、工具が前記パターン上でシートの一方から他方まで約3μmの精度で配置されることを必要とする。多くの用途で、前記シートは約30cm×30cmであってもよい。熱可塑性シートの熱収縮による寸法変化は、典型的には成形温度から室温までの冷却の間に約1%以上である。したがって、30cm×30cmのシートの場合、1%の収縮により、全収縮は0.3cmとなる。この値は、必要とされる3μmの配置精度よりも1000倍大きく、工具の正確な位置変更を困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。特に、本開示は、本質的に形状のないプレート用いて、高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料を選択的に転写し、その後機能化されていない領域(陥凹領域又は隆起していない領域)に金属を無電解沈着することによって、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。この新規アプローチにより、機能性材料及び付着金属の微小スケールのパターンを、ロール・ツー・ロール装置の同期化をほとんど気にすることなく高速で連続的にウェブ基材に移動することができる。
【0008】
1つの例示的な実施では、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法が記載される。前記方法は、陥凹領域と、隣接する隆起領域とを有するレリーフパターンを備える主表面を有する高分子フィルム基材を提供する工程と、コーティングされた高分子フィルム基材を形成するために第1の材料を前記高分子フィルム基材の主表面に付着する工程と、機能化された隆起領域と機能化されていない陥凹領域とを形成するため、前記コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料の層を選択的に形成する工程と、付着金属を前記機能化されていない陥凹領域に選択的に無電解沈着する工程と、を含む。
【0009】
本開示は、隆起領域と、隣接する陥凹領域とを含むレリーフ構造を備える主表面を有する高分子フィルムと、前記隆起領域上に選択的に配置された機能化分子とを含む物品にも関する。
【0010】
本発明の方法及び物品のこれら及びその他の態様は、図面と以下の「発明を実施するための形態」から、当業者には容易に理解されるであろう。
添付の図面と関連して、以下の本発明の様々な実施形態の「発明を実施するための形態」を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1B】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1C】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1D】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1E】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1F】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1G】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1H】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図2A】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2B】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2C】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2D】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2E】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2F】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2G】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図3】例証的なロール・ツー・ロール装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な変更及び代替形態に修正することができるが、それらの細目は図面で例を用いてこれまでに示され、また詳細に記述されるであろう。しかしながら、その意図は、記述した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解するべきである。逆に本発明は、本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更形態、等価形態、及び代替形態を網羅するはずである。
【0013】
したがって、本開示は、高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。高分子フィルム基材は、その主表面の一方又は両方にレリーフパターン(又は構造若しくはミクロ構造)を有する。主表面にレリーフパターンを有する高分子フィルム基材は、構造化又はミクロ構造化されていると言われる。
【0014】
レリーフパターンを有するとは、前記表面が地形的パターン、例えば陥凹領域のパターン(例として、チャネル、壁、溝)又は隆起領域のパターン(例として、隆起線、柱、半球)を含むことを意味する。前記高分子フィルム基材は、例えば、キャスティング硬化微小複製又はエンボス加工によって構造化でき、その後これらの構造化フィルム基材が機能化分子を前記構造化フィルム基材の隆起領域上に選択的に配置させることができる。
【0015】
これらの機能化分子類は、例えば無電解めっきによる、その後の追加のパターンを形成するマスクとして機能できる。本発明はそれだけには限定されないが、下記で提供する実施例の考察を通じて本発明の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0016】
次に定義する用語については、特許請求の範囲中又は本明細書中のいずれかの場所で別の定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0017】
「領域」は、全表面、例えば基材表面に接している断片部分を指す。隆起領域は、主表面の隣接領域から突出した、高さを有する表面領域を指す。陥凹領域は、主表面の隣接領域に対して内部に伸張した、深さを有する表面領域を指す。隆起領域及び/又は陥凹領域は、別個の領域であり得、隣接する陥凹及び/又は隆起領域は(それぞれ)、前記別個の領域の全周を囲む。あるいは、隆起又は陥凹領域は、一般に、表面の長さ又は幅に沿って全体的に線状に伸張する近接する領域であり得、前記主表面の隣接領域は近接領域の全周を囲むわけではない。基材の隆起表面領域は、一般に、基材表面と別の物体の平坦面(すなわち、構造化されておらず平面)が接触した時に別の物体の平坦面に接触する基材表面の部分であり、この時平坦な物体の面積は隆起領域及びいかなる隣接する陥凹領域よりも大きい。基材の陥凹表面領域又は領域類は、一般に、上述のように、隆起表面領域に対して補完的な表面領域である。補完的とは、1つ又は複数の隆起表面領域のすべてと1つ又は複数の陥凹表面領域とのすべてが組み合わさって本質的に全主表面を画定することを意味する。
【0018】
機能性材料の層を「選択的に」形成するとは、1つの表面領域に機能性材料の層を形成し、別の表面領域には機能性層を形成しないことを意味する。機能性材料の層が基材表面に選択的に付着されるというのは、前記層が基材表面全体には付着されない。すなわち、機能性材料の層は基材表面にパターンを形成する。
【0019】
高分子「フィルム」基材は、ロール・ツー・ロール形式で加工されるのに十分に可撓性で強力な平面シートの形態の高分子材料である。ロール・ツー・ロールは、材料が支持体に巻取られるか又は支持体から巻出され、加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリッティング、打抜き加工(ブランキング)、放射線曝露等が挙げられる。高分子フィルム類は、一般に約5μm〜1000μmの範囲の種々の厚さで製造できる。多数の実施形態で、高分子フィルムの厚さは約25μm〜約500μm、又は約50μm〜約250μm、又は約75μm〜約200μmの範囲である。一方又は両方の主表面にレリーフ構造を包含するフィルムの場合、フィルムの厚さとは、フィルムの面積を横切る平均の厚さを意味する。
【0020】
金属を「選択的に」付着(デポジット)するとは、金属を1つの表面領域に付着し、別の表面領域には金属を付着しないことを指す。基材表面に金属が選択的に付着されるには、金属は基材表面全体には付着されない。すなわち、付着金属は基材表面にパターンを形成する。
【0021】
用語「付着金属」及び「金属付着」及び「付着された金属」は、相互交換可能に使用され、基材上に付着された金属を指す。付着金属は、通常は無電解めっき溶液から形成される。付着金属は、電気回路、電気デバイス上の接触パッド、又は大面積のコーティングの線状トレースのようなパターンの形であることができる。
【0022】
「無電解沈着された金属」は、無電解沈着によって付着された金属(例えば、無電解沈着のミクロ構造形跡を包含する)である。例えば、ホルムアルデヒド浴から無電解沈着された銅は、特に結晶粒界において、透過電子顕微鏡を用いて観察可能な、微視的な水素ボイドを含む。ほとんどの商業用無電解ニッケル浴は、次亜リン酸塩、ホウ化水素、又はホウ酸アミンボランに基づく還元剤類を含み、その結果付着物中にホウ素又はリンが存在する。無電解沈着されたニッケルコーティングは、光学顕微鏡で観察可能であった成長方向に垂直な帯状ミクロ構造を含むと報告されている。次亜リン酸塩浴から無電解沈着されたニッケルは、本質的に純粋なニッケルによって分離された、リンに富む孤立領域を包含すると報告されている。アニールされた無電解ニッケル付着は、観察可能なホウ化ニッケル又はリン化ニッケルの含有物を包含すると報告されており、これは透過電子顕微鏡を用いて観察可能である。
【0023】
「機能化分子」は、基材表面(又はコーティングされた基材表面)に化学結合によって結合する分子を指す。機能化分子は、それが結合した表面領域を不活性化又は活性化することができる。多数の実施形態で、機能化分子類は自己構築単層を形成する。
【0024】
「自己構築(Self-assembled)単層」は、表面に(例えば、化学結合によって)結合する、及び表面に対して好ましい配向で受け入れられて互いに対して平坦である、分子類の単一層を指す。自己構築単層類は、表面を非常に完全に被覆するため、該表面の特性が変更されることが明らかにされている。例えば、自己構築単層の適用は、エネルギーの低下を生じ得る。
【0025】
自己構築単層類の形成に好適な化学種の例としては、有機硫黄化合物、シラン、ホスホン酸、ベンゾトリアゾール、及びカルボン酸のような有機化合物が挙げられる。このような化合物の例は、ウルマン(Ulman)による総論(A.ウルマン(Ulman)、「自己構築単層の形成と構造(Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers)」、ケミカル・レビュー(Chem. Rev.)、96、1533〜1554(1996))で論じられている。有機化合物に加え、特定の有機金属化合物類が、自己構築単層類の形成に有用である。自己構築単層類の形成に好適な有機硫黄化合物の例としては、アルキルチオール、ジアルキルジスルフィド、ジアルキルスルフィド、アルキルザンテート、及びジアルキルチオカルバメートが挙げられる。自己構築単層の形成に好適なシランの例としては、オルガノクロロシラン及びオルガノアルコキシシランが挙げられる。自己構築単層類を形成するのに好適なホスホン酸分子の例は、ペレライト(Pellerite)らによって考察されている(M.J.ペレライト(Pellerite)、T.D.ダンバー(Dunbar)、L.D.ボードマン(Boardman)、及びE.J.ウッド(Wood)、「アルミニウム上でのアルカンホスホン酸からの自己構築単層形成へのフッ素化の影響:速度論と構造(Effects of Fluorination on Self-Assembled Monolayer Formation from Alkanephosphonic Acids on Aluminum:Kinetics and Structure)」、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)B、107、11726〜11736(2003))。自己構築単層の形成に好適な化学種としては、例えば、炭化水素化合物、特にフッ素化炭化水素化合物、又は過フッ素化化合物が挙げられる。自己構築単層は、2つ以上の異なる化学種を包含できる。2つ以上の異なる化学種の使用において、化学種は自己構築単層中に混合物として又は相分離したモルホロジーで存在してもよい。
【0026】
例証的な自己構築単層形成に有用な分子としては、例えば、(C3〜C20)アルキルチオール、又は(C10〜C20)アルキルチオール、又は(C15〜C20)アルキルチオールが挙げられる。アルキル基類は、直鎖又は分枝鎖であり得、自己構築単層の形成を妨害しない置換基で置換されるか又は非置換であり得る。
【0027】
自己構築単層は、無機材料でコーティングされた高分子表面(例えば、金属コーティングされた高分子表面)上に、種々の方法を用いて形成することができる。多数の実施形態で、自己構築単層は、選択された領域又は隆起領域と、自己構築単層分子類をその中又はその上に配置されたプレートとを接触させることによって、金属コーティングされた高分子基材の隆起領域に適用される。多数の実施形態で、前記プレートは、機能化分子を基材に供給するエラストマー移動要素である。前記プレートは、所望により、平面、円筒、又はその他の形状であってもよい。
【0028】
多数の実施形態で、その中又はその上に自己構築単層分子類が配置されたプレートは、形状がなく、高分子フィルム基材上の自己構築単層のパターンは、高分子フィルム基材の隆起表面領域によって画定される。形状のないとは、プレートがフィルム基材表面上のレリーフ構造のスケールで平滑である(レリーフ構造を欠く)ことを意味する。先行技術の方法(例えば、マイクロコンタクトプリンティング、米国特許第5,512,131号)と比較して、本開示は、機能化分子(例えば、自己構築単層)を、高分子フィルム表面上に、フィルム基材に関してプレートの滑りを制限する必要なく、パターン状に配置することができる。マイクロコンタクトプリンティングでは、パターン忠実度を保つために、レリーフ構造化されたスタンプと平坦な基材とが滑りなく接触及び分離されなければならない。これは、非常に小さい形状寸法のロール・ツー・ロールを可撓性高分子フィルム基材上に連続的にマイクロコンタクトプリントしようとする場合に、特に困難である。高分子フィルム基材及び小さい形状寸法のパターン(例えば、10μm未満、又は1μm未満)の連続マイクロコンタクトプリンティングをロール・ツー・ロールで実施することは、同期化(例えば、印刷プレート回転に関するウェブの前進の制御)に大きな困難を呈する。本開示は、転写された機能化分子類のパターンが、印刷プレートレリーフ基材との接触及び基材からの解放の細目との組み合わせではなく、フィルム基材レリーフ構造によって画定されるようにすることで、これらの問題を克服する。また、エラストマー材料は、機能化分子類(例えば、自己構築単層類)の表面への転写に特に有用であるが、微小スケールのレリーフパターンで構造化された時に印刷動作下で変形する傾向がある。本開示は、高分子フィルム基材上の機能化分子のパターンが、潜在的により剛直な材料(エラストマーの印刷プレートよりもむしろ基材自体)によって画定されるようにし、機能化分子、その次には付着金属の最終的なパターン忠実度を一層確実とする。
【0029】
プレートの形成に有用なエラストマー類としては、シリコーン類、ポリウレタン類、EPDMゴム類、並びに一連の既存の市販フレキソ印刷プレート材料(例えば、E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I.du Pont de Nemours and Company)(デラウエア州ウイルミントン(Wilmington))より商標名サイレル(Cyrel)(登録商標)で市販されているもの)が挙げられる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)は特に有用である。プレートは、複合材料から作製できる。エラストマーは、ゲル材料(例えば、共連続液体及び固体相)、例えばヒドロゲルであることができる。プレートは、別の材料、例えば、使用中にプレートの形状及び寸法を固定するためのより剛直な材料で、支持することができる。プレートは、機能化分子の転写中に活性化されることができる(例えば、加熱される、又は超音波駆動される)。
【0030】
高分子フィルム基材への無機材料(例えば、金属)コーティングを、自己構築単層を支持するために使用することができる。無機材料コーティングとしては、例えば、元素金属、金属合金、金属間化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。自己構築単層を支持するための代表的な金属表面としては、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、タンタル、並びにこれらの元素の混合物、合金類、及び化合物が挙げられる。これらの高分子フィルム基材上の金属コーティングは、例えば10〜1000nmのような、いかなる厚さでもあり得る。無機材料コーティングは、いかなる好都合な方法、例えば、スパッタリング、蒸発、化学蒸着、又は化学溶液付着(無電解めっきを含む)を用いて付着できる。1つの実施形態では、高分子基材上の無機材料コーティングは、当該技術分野において既知であるように、種々の溶液に適用される触媒のいずれか(例えば、Pd)である。
【0031】
用語「無電解沈着は、金属の自己触媒めっきのためのプロセスを指す。これは、可溶性形態の付着金属を還元剤と含有する無電解めっき溶液の使用を伴う。可溶性形態の付着金属は、通常は、イオン種又は無機錯体(すなわち、1つ以上の配位子に配位した金属種)である。多くの実施形態で、無電解沈着は、コーティングされている加工物への電流印加を包含しない。無電解めっきに伴う工程は、触媒表面を有するフィルム基材の調製(例えば、金属コーティングされた高分子フィルム基材表面)、その後の適切なめっき浴への高分子フィルム基材の浸漬を包含する。触媒表面は、溶液からの金属付着に触媒作用をもたらす。めっきは、開始後、溶液金属供給源の連続還元によって進行し、それ自体の金属表面による触媒作用を受けるため、用語「自己触媒」である。無電解沈着を用いて形成できる金属付着としては、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、亜鉛、並びにこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との合金、並びにこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との化合物類が挙げられる。好適な還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、及び次亜リン酸塩が挙げられる。無電解沈着の触媒に好適な金属表面としては、パラジウム、白金、ロジウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、鉄、及びスズ、並びに前記元素の相互の又はその他の元素との合金若しくは化合物が挙げられる。前記付着金属と、高分子フィルム表面をコーティングする無機金属とに包含される金属は、同一であるか又は異なることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、高分子フィルム基材表面のレリーフパターンに従う機能化分子のパターン化された配置が、次に、その後の選択的無電解沈着のための活性化触媒の選択的結合を制御するために用いられる。溶液からの活性化触媒の適用は、当該技術分野において既知である(米国特許第6,875,475号)。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書と請求項で用いられている形状サイズ、量、及び、物理的特性を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって変更されることを理解されたい。したがって、特に記載のない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書で開示する教示を利用する当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0034】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を包含する)、及び、その範囲内のあらゆる範囲が含まれる。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容によって明確に別段の指示がなされていない場合は、複数の指示対象を有する実施形態にも及ぶ。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0036】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば二種以上の異なるモノマー類を使用して形成されたポリマー)、オリゴマー及びそれらの組み合わせ、並びに混和性ブレンド中に形成可能であるポリマー、オリゴマー又はコポリマーを含むものとして理解される。
【0037】
本開示は、一般に、レリーフパターンを有する高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。多数の実施形態で、付着金属は、フィルム基材上でレリーフパターンの陥凹領域においてのみ無電解沈着される。これらの陥凹領域は、フィルム基材上に規則的な又は繰返しの幾何学的配置、例えば多角形の配列、又は多角形の配列を包含する別個の非付着領域を画定するトレースのパターンを示すことができる。別の実施形態では、陥凹領域は、高分子フィルム基材上に無秩序な配置、例えば非付着領域の無定形形状の境界を画定するトレースの無秩序な網、を示すことができる。更に他の実施形態では、陥凹領域は、定形でも、繰返しでも、又は無秩序でもなく、対称又は繰返し形状を含むあるいは欠く特定のデザインの配置を示すことができる。パターンを形成する付着金属は、フィルム基材表面の1領域のみに存在することができ、又はフィルム基材表面の1つを超える領域に存在してもよいが、フィルム基材表面の全領域には存在しないようにパターンを形成する必要がある。
【0038】
高分子フィルム表面の上又は中へのレリーフパターンの作製への特に有利なアプローチとしては、機械工具を用いたミクロ構造又はレリーフパターンの複製又は形成が挙げられる。機械工具は高分子フィルム基材の上又は中にミクロ構造又はレリーフパターンをエンボス加工、スクライビング、又は成形することによって、高分子フィルム表面の上又は中にミクロ構造又はレリーフパターンを形成する。複製は、マスター工具(例えば、機械工具)から別の材料への表面構造の形状の転写を包含し、エンボス加工又は成形を含む。複製を伴う方法は、構造化された表面を有する材料が生成できる容易さ及び速度から注目に値する。同じく注目に値するのは、複製によって生成する表面構造の形状で達成できる小さな寸法である。10nm未満の寸法のナノスケールの形状を複製できる。
【0039】
複製は、いかなる数の方法によっても達成できる。表面構造のマスター機械工具の形状又はレリーフパターンを別の材料の表面に複製するための例証的方法の1つは、熱的エンボス加工によるものである(米国特許第5,932,150号)。熱的エンボス加工は、マスター機械工具を変形可能な材料に押圧し、マスター工具の表面構造に、より変形可能な材料の表面の変形を引き起こし、それによってマスター工具表面のネガ複製を生成することを伴う。レリーフパターンの表面構造がエンボス加工できる材料としては、例えば、軟金属類及びポリマー類のような有機材料が挙げられる。エンボス加工できる軟金属類の例としては、インジウム、銀、金、及び鉛を挙げることができる。熱的エンボス加工に好適なポリマー類としては、熱可塑性樹脂類が挙げられる。熱可塑性樹脂類の例としては、ポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、及びポリエステル類が挙げられる。熱可塑性樹脂類の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。熱的にエンボス加工された材料の作製のためには、フィルム形態の材料から開始するのが好都合であり有用であることが多い。任意に、エンボス加工のためのフィルムは複数の層を包含することができる(米国特許第6,737,170号及び米国特許第6,788,463号)。
【0040】
マスター機械工具の表面構造を高分子フィルム表面に複製する別のアプローチは、ポリマーの流動性前駆体をマスター機械工具と接触させながら硬化することである。ポリマーの流動性前駆体をマスター機械工具と接触させながら硬化することは、成形の1形態である。流動性前駆体の例としては、ニートのモノマー類、モノマー類の混合物、除去可能な溶媒を包含してもよいモノマー類又はポリマー類の溶液、及び未架橋ポリマー類が挙げられる。一般に、硬化ポリマーの前駆体を、マスター機械工具上又は金型内にキャスティングし、その後硬化する(米国特許第4,576,850号)。硬化とは、通常は化学反応による、増大した弾性率の発現を指す。弾性率発現ための硬化は、加熱、触媒添加、開始剤の添加、又は紫外線、可視光線、赤外光、X線、若しくは電子ビームへの曝露を包含できる。ポリマーがいったん硬化すると、それをマスター工具又は金型との接触から固体として取り外すことができる。成形に好適なポリマー類の例としては、ポリアクリレート類、ポリイミド類、エポキシ類、シリコーン類、ポリウレタン類、及びいくつかのポリカーボネート類が挙げられる。成形による構造化又はミクロ構造化された高分子フィルムの形成に特に有用なポリマー類及びロール・ツー・ロール加工に好適なポリマー類としては、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが挙げられる。これらのポリマー類のいくつか、特にポリアクリレート類はそれらがパターンを形成する伝導体(例えば、EMI遮蔽フィルム類)、支持する特定のディスプレイ及びセンサー用途に特に十分に好適である所以となる光学的特性も有する。
【0041】
機械工具を使用するミクロ構造又はレリーフパターンを高分子フィルム基材の表面に生成するための別の例証的方法は、スクライビングによるものを含む。「スクライビング」は、他の方法では構造化されない表面へのスタイラスの適用及び該スタイラスを表面で押圧又は移動して表面構造を生成することを指す。スタイラスの先端は、例えば、金属、セラミック、又はポリマーのようないかなる材料でできていてもよい。スタイラスの先端は、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、又はタングステンカーバイドを含んでもよい。スタイラスの先端は、コーティング、例えば窒化チタンのような、耐摩耗性コーティングも含んでもよい。
【0042】
構造化された高分子フィルム基材は、ロール・ツー・ロール装置で加工されるための十分な機械的特性(例えば、強度及び可撓性)を有する好適な高分子材料から作製することができる。このようなポリマー類の例としては、熱可塑性ポリマー類が挙げられる。本開示で有用な熱可塑性ポリマー類の例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、及びビフェノール系又はナフタレン系の液晶ポリマーが挙げられる。本開示で有用な熱可塑性樹脂の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。これらのポリマー類のいくつかは、特にポリカーボネート及びポリエステルであるパターンを形成する伝導体(例えば、EMI遮蔽フィルム)を支持する特定のディスプレイ及びセンサー用途に特に十分に好適である、光学的特性(例えば、透明性)も有する。これらのポリマーのその他は、特にポリイミド及び液晶ポリマーであるパターンを形成する伝導体(例えば、電子構成要素の支持及び相互接続)を支持する特定の電気回路用途に特に十分に好適である、熱的及び電気的特性を有する。
【0043】
図1A〜図1Hは、高分子フィルム基材105上に付着金属165のパターンを形成する例証的方法の概略図である。高分子フィルム基材105は機械工具120で複製され100、陥凹領域108と隣接する隆起領域106とを包含するレリーフパターンを備える主表面104を有する構造化された高分子フィルム基材を形成する111。機械工具120は、高分子基材105の主表面104に(下向き矢印で示されるように)適用することができる。例証された実施形態では、機械工具120は高分子フィルム基材105の主表面104内に伸張するレリーフパターン陥凹領域108を形成する。陥凹領域108は、陥凹表面107によって画定される深さ及び幅を有する。いくつかの実施形態で、陥凹領域108は一般に、0.1〜10μmの範囲の深さ及び0.25〜50μmの範囲の幅を有する平行なチャネルであり、隣接する平行な陥凹領域108間の距離は100μm〜1cmの範囲である。
【0044】
高分子フィルム基材105は、上述のような、いかなる有用な高分子材料であることもできる。多数の実施形態で、高分子フィルム基材105は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性高分子フィルムである。いくつかの実施形態で、高分子フィルム基材105は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性の透明な高分子フィルムである。
【0045】
第1の材料110は、高分子フィルム基材105の隆起領域106と陥凹領域108とを包含する主表面104上に付着され、コーティングされた高分子フィルム基材を形成する112。多数の実施形態で、上述のように、第1の材料110は金属層であり、上述のように適用される。
【0046】
機能性材料の層131は、隆起領域106上に選択的に形成され113、機能化された隆起領域106及び機能化されていない陥凹領域108を形成する。機能性材料の層131は、エラストマーであり得る形状のないプレート130で選択的に隆起領域106に適用され得る。形状のないのプレート130は、形状のないのプレート130が隆起領域106と接触する場所で機能性材料131を隆起領域106に移動する。形状のないプレート130は陥凹領域108の表面107と接触しないことから、形状のないプレート130は機能性材料131を陥凹領域108に移動しない。それ故、高分子フィルム基材105のレリーフ構造は、機能性材料131が高分子フィルム基材105に選択的に移動される領域を規定する。多数の実施形態で、上述のように、機能性材料131は自己構築単層131である。
【0047】
選択的に機能化された高分子フィルム基材114は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液160に曝露される115。付着金属は、機能化されていない陥凹領域108上に選択的に付着されて付着金属パターン165を形成することができる116。1つの実施形態で、付着金属165は銅を包含し、第1の材料110は金及び/又はチタンから形成される。いくつかの実施形態で、第1の材料110の少なくとも一部は、付着金属165の付着後にエッチングによって除去できる117。第1の材料110の除去は、機能性材料131も除去する。
【0048】
図2は、高分子フィルム基材上に付着材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。例証された高分子フィルム基材200は、第1の高分子層204が基層であり、第2の層205が第1の層204の上に配置されている、2つ以上の高分子層を包含する。第1の高分子層204及び第2の高分子層205は、同一の又は異なる高分子材料から形成できる。いくつかの実施形態では、第1の高分子層204はポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートのようなポリエステルから形成され、第2の高分子層205はポリアクリレートから形成される。多数の実施形態で、第1の高分子層204及び第2の高分子層205は、可撓性の及び/又は透明なフィルム又はウェブを形成する。多数の実施形態で、高分子フィルム基材200は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性及び/又は透明高分子フィルムである。
【0049】
高分子フィルム基材200は、主表面203から突出した1つ以上の隆起領域208を包含するレリーフパターンを有する主表面203を有し、1つ以上の陥凹領域206は前記隆起領域208に隣接する。隆起領域208は、本明細書に記載の複製方法のいずれによっても形成できる。隆起領域208は、隆起領域表面207によって画定される。隆起領域208は、隆起表面207によって画定される高さ及び幅を有する。いくつかの実施形態で、隆起領域208は一般に、0.5〜10μmの範囲の高さ及び0.5〜10μmの範囲の幅を有する平行な隆起線であり、隣接する平行な隆起領域208間の距離は100〜500μmの範囲である。
【0050】
第1の材料210は、陥凹領域206及び隆起領域208上に付着されて、コーティングされた高分子フィルム基材211を形成する。多数の実施形態で、上述のように、第1の材料210は金属層であり、上述のように付着される。
【0051】
機能性材料の層231は、隆起領域208上に選択的に形成され212、機能化された隆起領域表面207及び機能化されていない陥凹領域206を形成する。機能性材料の層231は、エラストマーであり得る形状のないのプレート230を用いて隆起領域208に適用され得る形状のないのプレート230は、形状のないのプレート230が隆起領域208と接触する場所で機能性材料231を隆起領域208に転写する。形状のないのプレート230は陥凹領域206と接触しないことから、形状のないのプレート230は機能性材料231を陥凹領域206に転写しない。それ故、高分子フィルム基材のレリーフ構造は、機能性材料231が選択的に転写される領域を規定する。多数の実施形態で、上記のように、機能性材料は自己構築単層231である。
【0052】
選択的に機能化された高分子フィルム基材213は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液260に曝露される214。付着金属は、機能化されていない陥凹領域206上に選択的に付着されて付着金属パターン265を形成することができる215。1つの実施形態で、付着金属265には銅が挙げられ、第1の材料210は金及び/又はチタンから形成される。いくつかの実施形態で、第1の材料210の少なくとも一部は、付着金属265の付着後にエッチングによって除去できる216。第1の材料210の除去は、機能性材料231も除去する。
【0053】
図3は、例証的なロール・ツー・ロール装置300の概略図である。例証されたロール・ツー・ロール装置300は、インプットロール310、取りロール320、並びに高分子フィルム311を包含する。図1及び図2に例証された方法は、箱330にて高分子フィルム311上で実行できる。付着金属にパターンを形成する高分子フィルム312を、示すように、巻き取りロールに巻き取ることができ、所望により更に加工することができる。
【0054】
高分子フィルム基材上に付着金属は、高分子フィルム表面上にある領域形状及びある領域寸法、並びにある厚みを有するものとして記述されてもよい。付着金属の領域形状は、高分子フィルム上に規則的な又は繰返しの幾何学的配置を示すことができ、例えば付着金属多角形の配列と、又は多角形の配列を包含する別個の非付着領域の境界を画定する付着金属トレースのパターンと、を示すことができる。別の実施形態では、付着金属の形状は、基材上に無秩序な配置、例えば非付着領域の無定形形状の境界を画定するトレースの無秩序な網、を示してもよい。更に他の実施形態では、付着金属の形状は、定形でも、繰返しでも、又は無秩序でもなく、対称又は繰返しの幾何学的要素を含むあるいは欠く特定のデザインの配置を示してもよい。1つの実施形態では、光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するための有用な付着金属の形状は、正方形のグリッドであり、これは幅、厚さ、及びピッチによって特徴づけられる付着金属のトレースを含む。光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するためのその他の有用な形状としては、規則的な六角形(付着金属パターンが六角形の網である)を有し、密集して配置された開放領域を画定する連続金属トレースが挙げられる。正方形のグリッド状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した正方形領域の正方形の配列(グリッドに平行に配向)を含む。六角形の網状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した六角形領域の(縁部が網状トレース方向に平行に配向された)六角形の配列を含む。要約すると、付着された伝導体のEMI遮蔽パターンを製造するためのいくつかの有用なレリーフパターンは、連続する陥凹領域によってそれぞれが囲まれる別個の隆起領域の配列を含む。
【0055】
いくつかの実施形態で、付着金属形状の最小領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの幅の場合、100nm〜1mm、又は500nm〜50μm、又は1μm〜25μm、又は1μm〜15μm、又は0.5〜10μmの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料の作製の例証的実施形態の1つでは、付着金属の線状トレースの幅は5μm〜15μm、又は0.25〜10μmの範囲であり;厚さは0.25〜10μm、又は1μm〜5μmの範囲であり;ピッチは25μm〜1mm、又は100〜500μmの範囲である。上記の付着金属形状の最大領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの長さの場合、1μm〜5m、又は10μm〜1mの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料、EMI遮蔽材料のシートを作製するには、例えば、付着金属の線状トレースの長さは1cm〜1mの範囲をとることができる。
【0056】
いくつかの実施形態で、高分子フィルム基材の主表面のレリーフパターンは、連続する隆起領域によって互いに隔離された線状トレースの形態の複数の陥凹領域を含む。上述のレリーフパターンを用いて本発明に従って製造できる付着金属のパターンは、電子的構成要素の支持又はセンシング用途に有用な、電気回路の形成に有用である。線状トレースとは、陥凹領域の少なくとも一部がその幅を少なくとも5倍超える長さによって特徴づけられる幾何学的形状を包含することを意味する。線状トレースは、直線又は曲線であってもよく、ある角度の湾曲を有してもよい。好ましくは、線状トレースは0.25〜50μmの幅及び0.1〜10μmの深さを有する。
【0057】
本発明は、本明細書において記述される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において明確に記載された本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。本明細書を検討すると、本発明が対象とする当業者には、様々な変更、等価の方法、並びに本発明を適用できる多数の構造が、容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0058】
別段の注記のない限り、化学試薬及び溶媒はすべて、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)から得た。
【0059】
実施例1
基材の調製
厚さ250μmの透明なポリカーボネートのフィルム(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(General Electric Company)(コネチカット州フェアフィールド(Fairfield))のGEプラスチックス(GE Plastics)部門(マサチューセッツ州ピッツフィールド(Pittsfield))から商標名レクサン(Lexan)で入手可能)を、隆起した正方形によって補完される陥凹グリッド線のレリーフパターンで熱的にエンボス加工した。エンボス加工工具は、溶融石英の直径10cmの円形プレートから、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング法を用いて作製された。前記工具は、高さが約10μmであり、正方形のグリッドの線を200μmのピッチで画定する、幅10μmの隆起部を含んだ。エンボス加工は、モデルオートM(Model AUTO M)積層プレス(カーバー社(Carver, Inc.)、インディアナ州ウォバシュ(Wabash)より入手可能)を用いて、前記エンボス加工工具をポリカーボネートフィルムに176℃で15分間、10,000ニュートンの力で押圧することによって実行した。エンボス加工されたフィルムは、深さが約10μmであり、正方形のグリッドの線を200μmのピッチで画定する、幅10μmのチャネルを包含した。エンボス加工された後、前記ポリカーボネートフィルムは、最初に蒸発によって15オングストロームのチタンで金属化されてタイ層を形成し、続いて熱的蒸発器(カート J.レスカー社(Kurt J. Lesker Co.)、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)より入手可能)を用いて600オングストロームの金層で金属化された。
【0060】
エラストマープレートの調製
ポリジメチルシロキサン(PDMS、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド(Midland))からのシルガード(Sylgard)(登録商標))184の本質的に形状のないのプレート2枚を、1つのケイ素結晶に対してキャスティングした。1つのプレートは、プレートを飽和するため、キャスティング平坦面を空気に曝した状態で、オクタデカンチオールの5mmolエタノール溶液に2日間浸漬した。その後、第2のプレートを、第1のプレートと手で接触させて、第1のプレートの上に30分間配置して、第2のプレートにインキ付着面を作った。
【0061】
金属化され、構造化されたポリカーボネートフィルムの表面を、続いて、第2のプレートのインキ付着面と手で接触させて配置し、オクタデカンチオールの自己構築単層(SAM)をポリカーボネートフィルムの隆起領域に転写させ、幅10μmの陥凹(又はチャネル)を機能化されない(SAMなし)ままとした。
【0062】
無電解めっき及びエッチング
機能化されていない幅10μmの陥凹を有するSAM印刷された基材を、無電解銅めっき溶液(M−カパー(M-COPPER)85C コネチカット州ウォーターベリー(Waterbury)のマクダーミッド社(Mac Dermid, Inc.))中に配置した。銅は、機能化されていない幅10μmの陥凹のみに、無電解及び選択的にめっきされた。無電解金属化されたフィルムを、続いて、フィルムを低圧石英水銀蒸気ランプを照明しながら酸素に曝露することでUVオゾン洗浄し、それによってSAMを、隆起した、銅非付着領域から除去した。金を、ヨウ素(0.5M)及びヨウ化カリウム(0.5M)からなる水溶液を含有する浴を用いて銅非付着領域からエッチング除去した。
【0063】
得られた基材は、陥凹領域にパターンを形成する銅が付着された、可撓性で、構造化された基材であった。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法及びこのような方法で形成された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料のパターンを有する高分子フィルムは、広範な商業用途を有する。場合によっては、導電性グリッドは、肉眼で見えないほど十分に微小であり、透明な高分子基材によって支持されていることが望ましい。透明な導電性シートは様々な用途があり、例としては、抵抗加熱される窓、電磁干渉(EMI)遮蔽層、静電散逸構成成分、アンテナ、コンピュータディスプレイ用タッチスクリーン、エレクトロクロミックウインドウ用の表面電極、光電池デバイス、エレクトロルミネセンスデバイス、及び液晶ディスプレイが挙げられる。
【0003】
EMI遮蔽のような用途では本質的に透明な導電性グリッドの使用が知られている。前記グリッドは、透明シート間に挟まれた若しくは積層された、又は基材中に埋め込まれた、金属線の網状組織又はスクリーンから形成され得る(米国特許第3,952,152号;第4,179,797号;第4,321,296号;第4,381,421号;第4,412,255号)。ワイヤスクリーン使用の1つの欠点は、非常に微細なワイヤの取扱い又は非常に微細なワイヤスクリーンの作製及び取扱いが困難なことである。例えば、直径20μmの銅線は、引張り強度がわずか0.28N(1オンス(28グラム重))しかなく、したがって容易に破損される。直径20μmのワイヤで作製されたワイヤスクリーンが入手できるが、非常に微細なワイヤの取扱いが困難であるために高額である。
【0004】
既存のワイヤスクリーンを基材中に埋め込むよりもむしろ、最初に基材に溝又はチャネルのパターンを形成し、続いて前記溝又はチャネルに導電性材料を充填することによって、導電性パターンを作製できる。この方法は、様々な手段による導電回路の線及びパターンの作製に使用されてきたが、これは通常は比較的粗いスケールの線及びパターンである。前記溝は、成形、型押し、又はリソグラフ技術によって基材中に形成できる。前記溝は、その後導電性インキ又はエポキシ(米国特許第5,462,624号)で、蒸発、スパッタリング、若しくはめっきされた金属(米国特許第3,891,514号、第4,510,347号、及び第5,595,943号)で、溶融金属(米国特許第4,748,130号)で、又は金属紛(米国特許第2,963,748号、第3,075,280号、第3,800,020号、第4,614,837号、第5,061,438号、及び第5,094,811号)で、充填することができる。高分子フィルム上の導電性グリッドは、導電性ペーストの印刷によって(米国特許第5,399,879号)又はフォトリソグラフ及びエッチング(米国特許第6,433,481)によって作製された。これらの先行技術の方法には制限がある。例えば、導電性インキ又はエポキシの問題の1つは、その導電性が隣接する導電性粒子間の接触の形成に依存し、全体的導電性が通常は固体金属のそれよりもはるかに低いことである。金属の蒸着又は電気めっきは、一般に低速であり、後で、溝と溝との間に付着した過剰な金属を除去するための工程を必要とすることが多い。溶融金属は、溝の中に配置されことができるが、通常は金属を濡らす多少の材料が溝に付着することを必要とする。そうしなければ、溶融金属の表面張力により、溶融金属は溝に浸透しない又は留まらないであろう。
【0005】
導電性グリッドに加えて、電気回路の形で導電性材料のパターンを支持する高分子フィルムも有用である。フレキシブル回路は、電子的構成要素の支持及び相互接続において、並びにセンサーの製造において使用される。センサーの例としては、環境センサー、医療用センサー、化学センサー、及び生物測定センサーが挙げられる。いくつかのセンサーは、好ましくは透明である。導電性グリッドの場合のように、高分子フィルム基材上のフレキシブル回路は、しばしば、フォトリソグラフを用いて製造され、これはフォトレジスト配置、露光、現像、及び除去という複数の工程を包含する。このような高額な装置及びそうした多数の製造プロセス工程を必要としない代替法が産業界で望まれる。
【0006】
回路は、金属粉末を溝に入れた後、前記粉末を圧縮して、粒子間の電気的接触を増強することによって作製された。リリー(Lillie)ら(米国特許第5,061,438号)及びケーン(Kane)ら(米国特許第5,094,811号)は、この方法を使用してプリント基板を形成した。しかし、これらの方法は微小回路及び微小金属パターンの作製に実用的ではない。微小スケールでは、金属圧縮を実施するためにエンボス加工されたパターン上で工具を交換又は再登録することが困難となり得る。例えば、幅20μmのチャネルのパターンを有するシートは、工具が前記パターン上でシートの一方から他方まで約3μmの精度で配置されることを必要とする。多くの用途で、前記シートは約30cm×30cmであってもよい。熱可塑性シートの熱収縮による寸法変化は、典型的には成形温度から室温までの冷却の間に約1%以上である。したがって、30cm×30cmのシートの場合、1%の収縮により、全収縮は0.3cmとなる。この値は、必要とされる3μmの配置精度よりも1000倍大きく、工具の正確な位置変更を困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。特に、本開示は、本質的に形状のないプレート用いて、高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料を選択的に転写し、その後機能化されていない領域(陥凹領域又は隆起していない領域)に金属を無電解沈着することによって、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。この新規アプローチにより、機能性材料及び付着金属の微小スケールのパターンを、ロール・ツー・ロール装置の同期化をほとんど気にすることなく高速で連続的にウェブ基材に移動することができる。
【0008】
1つの例示的な実施では、高分子基材上に付着金属のパターンを形成する方法が記載される。前記方法は、陥凹領域と、隣接する隆起領域とを有するレリーフパターンを備える主表面を有する高分子フィルム基材を提供する工程と、コーティングされた高分子フィルム基材を形成するために第1の材料を前記高分子フィルム基材の主表面に付着する工程と、機能化された隆起領域と機能化されていない陥凹領域とを形成するため、前記コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料の層を選択的に形成する工程と、付着金属を前記機能化されていない陥凹領域に選択的に無電解沈着する工程と、を含む。
【0009】
本開示は、隆起領域と、隣接する陥凹領域とを含むレリーフ構造を備える主表面を有する高分子フィルムと、前記隆起領域上に選択的に配置された機能化分子とを含む物品にも関する。
【0010】
本発明の方法及び物品のこれら及びその他の態様は、図面と以下の「発明を実施するための形態」から、当業者には容易に理解されるであろう。
添付の図面と関連して、以下の本発明の様々な実施形態の「発明を実施するための形態」を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1B】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1C】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1D】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1E】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1F】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1G】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図1H】高分子基材上に材料のパターンを形成する例証的方法の概略図である。
【図2A】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2B】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2C】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2D】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2E】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2F】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図2G】高分子基材上に材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。
【図3】例証的なロール・ツー・ロール装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な変更及び代替形態に修正することができるが、それらの細目は図面で例を用いてこれまでに示され、また詳細に記述されるであろう。しかしながら、その意図は、記述した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解するべきである。逆に本発明は、本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更形態、等価形態、及び代替形態を網羅するはずである。
【0013】
したがって、本開示は、高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。高分子フィルム基材は、その主表面の一方又は両方にレリーフパターン(又は構造若しくはミクロ構造)を有する。主表面にレリーフパターンを有する高分子フィルム基材は、構造化又はミクロ構造化されていると言われる。
【0014】
レリーフパターンを有するとは、前記表面が地形的パターン、例えば陥凹領域のパターン(例として、チャネル、壁、溝)又は隆起領域のパターン(例として、隆起線、柱、半球)を含むことを意味する。前記高分子フィルム基材は、例えば、キャスティング硬化微小複製又はエンボス加工によって構造化でき、その後これらの構造化フィルム基材が機能化分子を前記構造化フィルム基材の隆起領域上に選択的に配置させることができる。
【0015】
これらの機能化分子類は、例えば無電解めっきによる、その後の追加のパターンを形成するマスクとして機能できる。本発明はそれだけには限定されないが、下記で提供する実施例の考察を通じて本発明の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0016】
次に定義する用語については、特許請求の範囲中又は本明細書中のいずれかの場所で別の定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0017】
「領域」は、全表面、例えば基材表面に接している断片部分を指す。隆起領域は、主表面の隣接領域から突出した、高さを有する表面領域を指す。陥凹領域は、主表面の隣接領域に対して内部に伸張した、深さを有する表面領域を指す。隆起領域及び/又は陥凹領域は、別個の領域であり得、隣接する陥凹及び/又は隆起領域は(それぞれ)、前記別個の領域の全周を囲む。あるいは、隆起又は陥凹領域は、一般に、表面の長さ又は幅に沿って全体的に線状に伸張する近接する領域であり得、前記主表面の隣接領域は近接領域の全周を囲むわけではない。基材の隆起表面領域は、一般に、基材表面と別の物体の平坦面(すなわち、構造化されておらず平面)が接触した時に別の物体の平坦面に接触する基材表面の部分であり、この時平坦な物体の面積は隆起領域及びいかなる隣接する陥凹領域よりも大きい。基材の陥凹表面領域又は領域類は、一般に、上述のように、隆起表面領域に対して補完的な表面領域である。補完的とは、1つ又は複数の隆起表面領域のすべてと1つ又は複数の陥凹表面領域とのすべてが組み合わさって本質的に全主表面を画定することを意味する。
【0018】
機能性材料の層を「選択的に」形成するとは、1つの表面領域に機能性材料の層を形成し、別の表面領域には機能性層を形成しないことを意味する。機能性材料の層が基材表面に選択的に付着されるというのは、前記層が基材表面全体には付着されない。すなわち、機能性材料の層は基材表面にパターンを形成する。
【0019】
高分子「フィルム」基材は、ロール・ツー・ロール形式で加工されるのに十分に可撓性で強力な平面シートの形態の高分子材料である。ロール・ツー・ロールは、材料が支持体に巻取られるか又は支持体から巻出され、加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリッティング、打抜き加工(ブランキング)、放射線曝露等が挙げられる。高分子フィルム類は、一般に約5μm〜1000μmの範囲の種々の厚さで製造できる。多数の実施形態で、高分子フィルムの厚さは約25μm〜約500μm、又は約50μm〜約250μm、又は約75μm〜約200μmの範囲である。一方又は両方の主表面にレリーフ構造を包含するフィルムの場合、フィルムの厚さとは、フィルムの面積を横切る平均の厚さを意味する。
【0020】
金属を「選択的に」付着(デポジット)するとは、金属を1つの表面領域に付着し、別の表面領域には金属を付着しないことを指す。基材表面に金属が選択的に付着されるには、金属は基材表面全体には付着されない。すなわち、付着金属は基材表面にパターンを形成する。
【0021】
用語「付着金属」及び「金属付着」及び「付着された金属」は、相互交換可能に使用され、基材上に付着された金属を指す。付着金属は、通常は無電解めっき溶液から形成される。付着金属は、電気回路、電気デバイス上の接触パッド、又は大面積のコーティングの線状トレースのようなパターンの形であることができる。
【0022】
「無電解沈着された金属」は、無電解沈着によって付着された金属(例えば、無電解沈着のミクロ構造形跡を包含する)である。例えば、ホルムアルデヒド浴から無電解沈着された銅は、特に結晶粒界において、透過電子顕微鏡を用いて観察可能な、微視的な水素ボイドを含む。ほとんどの商業用無電解ニッケル浴は、次亜リン酸塩、ホウ化水素、又はホウ酸アミンボランに基づく還元剤類を含み、その結果付着物中にホウ素又はリンが存在する。無電解沈着されたニッケルコーティングは、光学顕微鏡で観察可能であった成長方向に垂直な帯状ミクロ構造を含むと報告されている。次亜リン酸塩浴から無電解沈着されたニッケルは、本質的に純粋なニッケルによって分離された、リンに富む孤立領域を包含すると報告されている。アニールされた無電解ニッケル付着は、観察可能なホウ化ニッケル又はリン化ニッケルの含有物を包含すると報告されており、これは透過電子顕微鏡を用いて観察可能である。
【0023】
「機能化分子」は、基材表面(又はコーティングされた基材表面)に化学結合によって結合する分子を指す。機能化分子は、それが結合した表面領域を不活性化又は活性化することができる。多数の実施形態で、機能化分子類は自己構築単層を形成する。
【0024】
「自己構築(Self-assembled)単層」は、表面に(例えば、化学結合によって)結合する、及び表面に対して好ましい配向で受け入れられて互いに対して平坦である、分子類の単一層を指す。自己構築単層類は、表面を非常に完全に被覆するため、該表面の特性が変更されることが明らかにされている。例えば、自己構築単層の適用は、エネルギーの低下を生じ得る。
【0025】
自己構築単層類の形成に好適な化学種の例としては、有機硫黄化合物、シラン、ホスホン酸、ベンゾトリアゾール、及びカルボン酸のような有機化合物が挙げられる。このような化合物の例は、ウルマン(Ulman)による総論(A.ウルマン(Ulman)、「自己構築単層の形成と構造(Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers)」、ケミカル・レビュー(Chem. Rev.)、96、1533〜1554(1996))で論じられている。有機化合物に加え、特定の有機金属化合物類が、自己構築単層類の形成に有用である。自己構築単層類の形成に好適な有機硫黄化合物の例としては、アルキルチオール、ジアルキルジスルフィド、ジアルキルスルフィド、アルキルザンテート、及びジアルキルチオカルバメートが挙げられる。自己構築単層の形成に好適なシランの例としては、オルガノクロロシラン及びオルガノアルコキシシランが挙げられる。自己構築単層類を形成するのに好適なホスホン酸分子の例は、ペレライト(Pellerite)らによって考察されている(M.J.ペレライト(Pellerite)、T.D.ダンバー(Dunbar)、L.D.ボードマン(Boardman)、及びE.J.ウッド(Wood)、「アルミニウム上でのアルカンホスホン酸からの自己構築単層形成へのフッ素化の影響:速度論と構造(Effects of Fluorination on Self-Assembled Monolayer Formation from Alkanephosphonic Acids on Aluminum:Kinetics and Structure)」、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)B、107、11726〜11736(2003))。自己構築単層の形成に好適な化学種としては、例えば、炭化水素化合物、特にフッ素化炭化水素化合物、又は過フッ素化化合物が挙げられる。自己構築単層は、2つ以上の異なる化学種を包含できる。2つ以上の異なる化学種の使用において、化学種は自己構築単層中に混合物として又は相分離したモルホロジーで存在してもよい。
【0026】
例証的な自己構築単層形成に有用な分子としては、例えば、(C3〜C20)アルキルチオール、又は(C10〜C20)アルキルチオール、又は(C15〜C20)アルキルチオールが挙げられる。アルキル基類は、直鎖又は分枝鎖であり得、自己構築単層の形成を妨害しない置換基で置換されるか又は非置換であり得る。
【0027】
自己構築単層は、無機材料でコーティングされた高分子表面(例えば、金属コーティングされた高分子表面)上に、種々の方法を用いて形成することができる。多数の実施形態で、自己構築単層は、選択された領域又は隆起領域と、自己構築単層分子類をその中又はその上に配置されたプレートとを接触させることによって、金属コーティングされた高分子基材の隆起領域に適用される。多数の実施形態で、前記プレートは、機能化分子を基材に供給するエラストマー移動要素である。前記プレートは、所望により、平面、円筒、又はその他の形状であってもよい。
【0028】
多数の実施形態で、その中又はその上に自己構築単層分子類が配置されたプレートは、形状がなく、高分子フィルム基材上の自己構築単層のパターンは、高分子フィルム基材の隆起表面領域によって画定される。形状のないとは、プレートがフィルム基材表面上のレリーフ構造のスケールで平滑である(レリーフ構造を欠く)ことを意味する。先行技術の方法(例えば、マイクロコンタクトプリンティング、米国特許第5,512,131号)と比較して、本開示は、機能化分子(例えば、自己構築単層)を、高分子フィルム表面上に、フィルム基材に関してプレートの滑りを制限する必要なく、パターン状に配置することができる。マイクロコンタクトプリンティングでは、パターン忠実度を保つために、レリーフ構造化されたスタンプと平坦な基材とが滑りなく接触及び分離されなければならない。これは、非常に小さい形状寸法のロール・ツー・ロールを可撓性高分子フィルム基材上に連続的にマイクロコンタクトプリントしようとする場合に、特に困難である。高分子フィルム基材及び小さい形状寸法のパターン(例えば、10μm未満、又は1μm未満)の連続マイクロコンタクトプリンティングをロール・ツー・ロールで実施することは、同期化(例えば、印刷プレート回転に関するウェブの前進の制御)に大きな困難を呈する。本開示は、転写された機能化分子類のパターンが、印刷プレートレリーフ基材との接触及び基材からの解放の細目との組み合わせではなく、フィルム基材レリーフ構造によって画定されるようにすることで、これらの問題を克服する。また、エラストマー材料は、機能化分子類(例えば、自己構築単層類)の表面への転写に特に有用であるが、微小スケールのレリーフパターンで構造化された時に印刷動作下で変形する傾向がある。本開示は、高分子フィルム基材上の機能化分子のパターンが、潜在的により剛直な材料(エラストマーの印刷プレートよりもむしろ基材自体)によって画定されるようにし、機能化分子、その次には付着金属の最終的なパターン忠実度を一層確実とする。
【0029】
プレートの形成に有用なエラストマー類としては、シリコーン類、ポリウレタン類、EPDMゴム類、並びに一連の既存の市販フレキソ印刷プレート材料(例えば、E.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I.du Pont de Nemours and Company)(デラウエア州ウイルミントン(Wilmington))より商標名サイレル(Cyrel)(登録商標)で市販されているもの)が挙げられる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)は特に有用である。プレートは、複合材料から作製できる。エラストマーは、ゲル材料(例えば、共連続液体及び固体相)、例えばヒドロゲルであることができる。プレートは、別の材料、例えば、使用中にプレートの形状及び寸法を固定するためのより剛直な材料で、支持することができる。プレートは、機能化分子の転写中に活性化されることができる(例えば、加熱される、又は超音波駆動される)。
【0030】
高分子フィルム基材への無機材料(例えば、金属)コーティングを、自己構築単層を支持するために使用することができる。無機材料コーティングとしては、例えば、元素金属、金属合金、金属間化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。自己構築単層を支持するための代表的な金属表面としては、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、タンタル、並びにこれらの元素の混合物、合金類、及び化合物が挙げられる。これらの高分子フィルム基材上の金属コーティングは、例えば10〜1000nmのような、いかなる厚さでもあり得る。無機材料コーティングは、いかなる好都合な方法、例えば、スパッタリング、蒸発、化学蒸着、又は化学溶液付着(無電解めっきを含む)を用いて付着できる。1つの実施形態では、高分子基材上の無機材料コーティングは、当該技術分野において既知であるように、種々の溶液に適用される触媒のいずれか(例えば、Pd)である。
【0031】
用語「無電解沈着は、金属の自己触媒めっきのためのプロセスを指す。これは、可溶性形態の付着金属を還元剤と含有する無電解めっき溶液の使用を伴う。可溶性形態の付着金属は、通常は、イオン種又は無機錯体(すなわち、1つ以上の配位子に配位した金属種)である。多くの実施形態で、無電解沈着は、コーティングされている加工物への電流印加を包含しない。無電解めっきに伴う工程は、触媒表面を有するフィルム基材の調製(例えば、金属コーティングされた高分子フィルム基材表面)、その後の適切なめっき浴への高分子フィルム基材の浸漬を包含する。触媒表面は、溶液からの金属付着に触媒作用をもたらす。めっきは、開始後、溶液金属供給源の連続還元によって進行し、それ自体の金属表面による触媒作用を受けるため、用語「自己触媒」である。無電解沈着を用いて形成できる金属付着としては、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、亜鉛、並びにこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との合金、並びにこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との化合物類が挙げられる。好適な還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、及び次亜リン酸塩が挙げられる。無電解沈着の触媒に好適な金属表面としては、パラジウム、白金、ロジウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、鉄、及びスズ、並びに前記元素の相互の又はその他の元素との合金若しくは化合物が挙げられる。前記付着金属と、高分子フィルム表面をコーティングする無機金属とに包含される金属は、同一であるか又は異なることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、高分子フィルム基材表面のレリーフパターンに従う機能化分子のパターン化された配置が、次に、その後の選択的無電解沈着のための活性化触媒の選択的結合を制御するために用いられる。溶液からの活性化触媒の適用は、当該技術分野において既知である(米国特許第6,875,475号)。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書と請求項で用いられている形状サイズ、量、及び、物理的特性を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって変更されることを理解されたい。したがって、特に記載のない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書で開示する教示を利用する当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0034】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を包含する)、及び、その範囲内のあらゆる範囲が含まれる。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容によって明確に別段の指示がなされていない場合は、複数の指示対象を有する実施形態にも及ぶ。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0036】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば二種以上の異なるモノマー類を使用して形成されたポリマー)、オリゴマー及びそれらの組み合わせ、並びに混和性ブレンド中に形成可能であるポリマー、オリゴマー又はコポリマーを含むものとして理解される。
【0037】
本開示は、一般に、レリーフパターンを有する高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法に関する。多数の実施形態で、付着金属は、フィルム基材上でレリーフパターンの陥凹領域においてのみ無電解沈着される。これらの陥凹領域は、フィルム基材上に規則的な又は繰返しの幾何学的配置、例えば多角形の配列、又は多角形の配列を包含する別個の非付着領域を画定するトレースのパターンを示すことができる。別の実施形態では、陥凹領域は、高分子フィルム基材上に無秩序な配置、例えば非付着領域の無定形形状の境界を画定するトレースの無秩序な網、を示すことができる。更に他の実施形態では、陥凹領域は、定形でも、繰返しでも、又は無秩序でもなく、対称又は繰返し形状を含むあるいは欠く特定のデザインの配置を示すことができる。パターンを形成する付着金属は、フィルム基材表面の1領域のみに存在することができ、又はフィルム基材表面の1つを超える領域に存在してもよいが、フィルム基材表面の全領域には存在しないようにパターンを形成する必要がある。
【0038】
高分子フィルム表面の上又は中へのレリーフパターンの作製への特に有利なアプローチとしては、機械工具を用いたミクロ構造又はレリーフパターンの複製又は形成が挙げられる。機械工具は高分子フィルム基材の上又は中にミクロ構造又はレリーフパターンをエンボス加工、スクライビング、又は成形することによって、高分子フィルム表面の上又は中にミクロ構造又はレリーフパターンを形成する。複製は、マスター工具(例えば、機械工具)から別の材料への表面構造の形状の転写を包含し、エンボス加工又は成形を含む。複製を伴う方法は、構造化された表面を有する材料が生成できる容易さ及び速度から注目に値する。同じく注目に値するのは、複製によって生成する表面構造の形状で達成できる小さな寸法である。10nm未満の寸法のナノスケールの形状を複製できる。
【0039】
複製は、いかなる数の方法によっても達成できる。表面構造のマスター機械工具の形状又はレリーフパターンを別の材料の表面に複製するための例証的方法の1つは、熱的エンボス加工によるものである(米国特許第5,932,150号)。熱的エンボス加工は、マスター機械工具を変形可能な材料に押圧し、マスター工具の表面構造に、より変形可能な材料の表面の変形を引き起こし、それによってマスター工具表面のネガ複製を生成することを伴う。レリーフパターンの表面構造がエンボス加工できる材料としては、例えば、軟金属類及びポリマー類のような有機材料が挙げられる。エンボス加工できる軟金属類の例としては、インジウム、銀、金、及び鉛を挙げることができる。熱的エンボス加工に好適なポリマー類としては、熱可塑性樹脂類が挙げられる。熱可塑性樹脂類の例としては、ポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、及びポリエステル類が挙げられる。熱可塑性樹脂類の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。熱的にエンボス加工された材料の作製のためには、フィルム形態の材料から開始するのが好都合であり有用であることが多い。任意に、エンボス加工のためのフィルムは複数の層を包含することができる(米国特許第6,737,170号及び米国特許第6,788,463号)。
【0040】
マスター機械工具の表面構造を高分子フィルム表面に複製する別のアプローチは、ポリマーの流動性前駆体をマスター機械工具と接触させながら硬化することである。ポリマーの流動性前駆体をマスター機械工具と接触させながら硬化することは、成形の1形態である。流動性前駆体の例としては、ニートのモノマー類、モノマー類の混合物、除去可能な溶媒を包含してもよいモノマー類又はポリマー類の溶液、及び未架橋ポリマー類が挙げられる。一般に、硬化ポリマーの前駆体を、マスター機械工具上又は金型内にキャスティングし、その後硬化する(米国特許第4,576,850号)。硬化とは、通常は化学反応による、増大した弾性率の発現を指す。弾性率発現ための硬化は、加熱、触媒添加、開始剤の添加、又は紫外線、可視光線、赤外光、X線、若しくは電子ビームへの曝露を包含できる。ポリマーがいったん硬化すると、それをマスター工具又は金型との接触から固体として取り外すことができる。成形に好適なポリマー類の例としては、ポリアクリレート類、ポリイミド類、エポキシ類、シリコーン類、ポリウレタン類、及びいくつかのポリカーボネート類が挙げられる。成形による構造化又はミクロ構造化された高分子フィルムの形成に特に有用なポリマー類及びロール・ツー・ロール加工に好適なポリマー類としては、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが挙げられる。これらのポリマー類のいくつか、特にポリアクリレート類はそれらがパターンを形成する伝導体(例えば、EMI遮蔽フィルム類)、支持する特定のディスプレイ及びセンサー用途に特に十分に好適である所以となる光学的特性も有する。
【0041】
機械工具を使用するミクロ構造又はレリーフパターンを高分子フィルム基材の表面に生成するための別の例証的方法は、スクライビングによるものを含む。「スクライビング」は、他の方法では構造化されない表面へのスタイラスの適用及び該スタイラスを表面で押圧又は移動して表面構造を生成することを指す。スタイラスの先端は、例えば、金属、セラミック、又はポリマーのようないかなる材料でできていてもよい。スタイラスの先端は、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、又はタングステンカーバイドを含んでもよい。スタイラスの先端は、コーティング、例えば窒化チタンのような、耐摩耗性コーティングも含んでもよい。
【0042】
構造化された高分子フィルム基材は、ロール・ツー・ロール装置で加工されるための十分な機械的特性(例えば、強度及び可撓性)を有する好適な高分子材料から作製することができる。このようなポリマー類の例としては、熱可塑性ポリマー類が挙げられる。本開示で有用な熱可塑性ポリマー類の例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、及びビフェノール系又はナフタレン系の液晶ポリマーが挙げられる。本開示で有用な熱可塑性樹脂の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。これらのポリマー類のいくつかは、特にポリカーボネート及びポリエステルであるパターンを形成する伝導体(例えば、EMI遮蔽フィルム)を支持する特定のディスプレイ及びセンサー用途に特に十分に好適である、光学的特性(例えば、透明性)も有する。これらのポリマーのその他は、特にポリイミド及び液晶ポリマーであるパターンを形成する伝導体(例えば、電子構成要素の支持及び相互接続)を支持する特定の電気回路用途に特に十分に好適である、熱的及び電気的特性を有する。
【0043】
図1A〜図1Hは、高分子フィルム基材105上に付着金属165のパターンを形成する例証的方法の概略図である。高分子フィルム基材105は機械工具120で複製され100、陥凹領域108と隣接する隆起領域106とを包含するレリーフパターンを備える主表面104を有する構造化された高分子フィルム基材を形成する111。機械工具120は、高分子基材105の主表面104に(下向き矢印で示されるように)適用することができる。例証された実施形態では、機械工具120は高分子フィルム基材105の主表面104内に伸張するレリーフパターン陥凹領域108を形成する。陥凹領域108は、陥凹表面107によって画定される深さ及び幅を有する。いくつかの実施形態で、陥凹領域108は一般に、0.1〜10μmの範囲の深さ及び0.25〜50μmの範囲の幅を有する平行なチャネルであり、隣接する平行な陥凹領域108間の距離は100μm〜1cmの範囲である。
【0044】
高分子フィルム基材105は、上述のような、いかなる有用な高分子材料であることもできる。多数の実施形態で、高分子フィルム基材105は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性高分子フィルムである。いくつかの実施形態で、高分子フィルム基材105は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性の透明な高分子フィルムである。
【0045】
第1の材料110は、高分子フィルム基材105の隆起領域106と陥凹領域108とを包含する主表面104上に付着され、コーティングされた高分子フィルム基材を形成する112。多数の実施形態で、上述のように、第1の材料110は金属層であり、上述のように適用される。
【0046】
機能性材料の層131は、隆起領域106上に選択的に形成され113、機能化された隆起領域106及び機能化されていない陥凹領域108を形成する。機能性材料の層131は、エラストマーであり得る形状のないプレート130で選択的に隆起領域106に適用され得る。形状のないのプレート130は、形状のないのプレート130が隆起領域106と接触する場所で機能性材料131を隆起領域106に移動する。形状のないプレート130は陥凹領域108の表面107と接触しないことから、形状のないプレート130は機能性材料131を陥凹領域108に移動しない。それ故、高分子フィルム基材105のレリーフ構造は、機能性材料131が高分子フィルム基材105に選択的に移動される領域を規定する。多数の実施形態で、上述のように、機能性材料131は自己構築単層131である。
【0047】
選択的に機能化された高分子フィルム基材114は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液160に曝露される115。付着金属は、機能化されていない陥凹領域108上に選択的に付着されて付着金属パターン165を形成することができる116。1つの実施形態で、付着金属165は銅を包含し、第1の材料110は金及び/又はチタンから形成される。いくつかの実施形態で、第1の材料110の少なくとも一部は、付着金属165の付着後にエッチングによって除去できる117。第1の材料110の除去は、機能性材料131も除去する。
【0048】
図2は、高分子フィルム基材上に付着材料のパターンを形成する別の例証的方法の概略図である。例証された高分子フィルム基材200は、第1の高分子層204が基層であり、第2の層205が第1の層204の上に配置されている、2つ以上の高分子層を包含する。第1の高分子層204及び第2の高分子層205は、同一の又は異なる高分子材料から形成できる。いくつかの実施形態では、第1の高分子層204はポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートのようなポリエステルから形成され、第2の高分子層205はポリアクリレートから形成される。多数の実施形態で、第1の高分子層204及び第2の高分子層205は、可撓性の及び/又は透明なフィルム又はウェブを形成する。多数の実施形態で、高分子フィルム基材200は、ロール・ツー・ロール装置(図3に示す)に利用できる可撓性及び/又は透明高分子フィルムである。
【0049】
高分子フィルム基材200は、主表面203から突出した1つ以上の隆起領域208を包含するレリーフパターンを有する主表面203を有し、1つ以上の陥凹領域206は前記隆起領域208に隣接する。隆起領域208は、本明細書に記載の複製方法のいずれによっても形成できる。隆起領域208は、隆起領域表面207によって画定される。隆起領域208は、隆起表面207によって画定される高さ及び幅を有する。いくつかの実施形態で、隆起領域208は一般に、0.5〜10μmの範囲の高さ及び0.5〜10μmの範囲の幅を有する平行な隆起線であり、隣接する平行な隆起領域208間の距離は100〜500μmの範囲である。
【0050】
第1の材料210は、陥凹領域206及び隆起領域208上に付着されて、コーティングされた高分子フィルム基材211を形成する。多数の実施形態で、上述のように、第1の材料210は金属層であり、上述のように付着される。
【0051】
機能性材料の層231は、隆起領域208上に選択的に形成され212、機能化された隆起領域表面207及び機能化されていない陥凹領域206を形成する。機能性材料の層231は、エラストマーであり得る形状のないのプレート230を用いて隆起領域208に適用され得る形状のないのプレート230は、形状のないのプレート230が隆起領域208と接触する場所で機能性材料231を隆起領域208に転写する。形状のないのプレート230は陥凹領域206と接触しないことから、形状のないのプレート230は機能性材料231を陥凹領域206に転写しない。それ故、高分子フィルム基材のレリーフ構造は、機能性材料231が選択的に転写される領域を規定する。多数の実施形態で、上記のように、機能性材料は自己構築単層231である。
【0052】
選択的に機能化された高分子フィルム基材213は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液260に曝露される214。付着金属は、機能化されていない陥凹領域206上に選択的に付着されて付着金属パターン265を形成することができる215。1つの実施形態で、付着金属265には銅が挙げられ、第1の材料210は金及び/又はチタンから形成される。いくつかの実施形態で、第1の材料210の少なくとも一部は、付着金属265の付着後にエッチングによって除去できる216。第1の材料210の除去は、機能性材料231も除去する。
【0053】
図3は、例証的なロール・ツー・ロール装置300の概略図である。例証されたロール・ツー・ロール装置300は、インプットロール310、取りロール320、並びに高分子フィルム311を包含する。図1及び図2に例証された方法は、箱330にて高分子フィルム311上で実行できる。付着金属にパターンを形成する高分子フィルム312を、示すように、巻き取りロールに巻き取ることができ、所望により更に加工することができる。
【0054】
高分子フィルム基材上に付着金属は、高分子フィルム表面上にある領域形状及びある領域寸法、並びにある厚みを有するものとして記述されてもよい。付着金属の領域形状は、高分子フィルム上に規則的な又は繰返しの幾何学的配置を示すことができ、例えば付着金属多角形の配列と、又は多角形の配列を包含する別個の非付着領域の境界を画定する付着金属トレースのパターンと、を示すことができる。別の実施形態では、付着金属の形状は、基材上に無秩序な配置、例えば非付着領域の無定形形状の境界を画定するトレースの無秩序な網、を示してもよい。更に他の実施形態では、付着金属の形状は、定形でも、繰返しでも、又は無秩序でもなく、対称又は繰返しの幾何学的要素を含むあるいは欠く特定のデザインの配置を示してもよい。1つの実施形態では、光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するための有用な付着金属の形状は、正方形のグリッドであり、これは幅、厚さ、及びピッチによって特徴づけられる付着金属のトレースを含む。光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するためのその他の有用な形状としては、規則的な六角形(付着金属パターンが六角形の網である)を有し、密集して配置された開放領域を画定する連続金属トレースが挙げられる。正方形のグリッド状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した正方形領域の正方形の配列(グリッドに平行に配向)を含む。六角形の網状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した六角形領域の(縁部が網状トレース方向に平行に配向された)六角形の配列を含む。要約すると、付着された伝導体のEMI遮蔽パターンを製造するためのいくつかの有用なレリーフパターンは、連続する陥凹領域によってそれぞれが囲まれる別個の隆起領域の配列を含む。
【0055】
いくつかの実施形態で、付着金属形状の最小領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの幅の場合、100nm〜1mm、又は500nm〜50μm、又は1μm〜25μm、又は1μm〜15μm、又は0.5〜10μmの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料の作製の例証的実施形態の1つでは、付着金属の線状トレースの幅は5μm〜15μm、又は0.25〜10μmの範囲であり;厚さは0.25〜10μm、又は1μm〜5μmの範囲であり;ピッチは25μm〜1mm、又は100〜500μmの範囲である。上記の付着金属形状の最大領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの長さの場合、1μm〜5m、又は10μm〜1mの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料、EMI遮蔽材料のシートを作製するには、例えば、付着金属の線状トレースの長さは1cm〜1mの範囲をとることができる。
【0056】
いくつかの実施形態で、高分子フィルム基材の主表面のレリーフパターンは、連続する隆起領域によって互いに隔離された線状トレースの形態の複数の陥凹領域を含む。上述のレリーフパターンを用いて本発明に従って製造できる付着金属のパターンは、電子的構成要素の支持又はセンシング用途に有用な、電気回路の形成に有用である。線状トレースとは、陥凹領域の少なくとも一部がその幅を少なくとも5倍超える長さによって特徴づけられる幾何学的形状を包含することを意味する。線状トレースは、直線又は曲線であってもよく、ある角度の湾曲を有してもよい。好ましくは、線状トレースは0.25〜50μmの幅及び0.1〜10μmの深さを有する。
【0057】
本発明は、本明細書において記述される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において明確に記載された本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。本明細書を検討すると、本発明が対象とする当業者には、様々な変更、等価の方法、並びに本発明を適用できる多数の構造が、容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0058】
別段の注記のない限り、化学試薬及び溶媒はすべて、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)から得た。
【0059】
実施例1
基材の調製
厚さ250μmの透明なポリカーボネートのフィルム(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(General Electric Company)(コネチカット州フェアフィールド(Fairfield))のGEプラスチックス(GE Plastics)部門(マサチューセッツ州ピッツフィールド(Pittsfield))から商標名レクサン(Lexan)で入手可能)を、隆起した正方形によって補完される陥凹グリッド線のレリーフパターンで熱的にエンボス加工した。エンボス加工工具は、溶融石英の直径10cmの円形プレートから、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング法を用いて作製された。前記工具は、高さが約10μmであり、正方形のグリッドの線を200μmのピッチで画定する、幅10μmの隆起部を含んだ。エンボス加工は、モデルオートM(Model AUTO M)積層プレス(カーバー社(Carver, Inc.)、インディアナ州ウォバシュ(Wabash)より入手可能)を用いて、前記エンボス加工工具をポリカーボネートフィルムに176℃で15分間、10,000ニュートンの力で押圧することによって実行した。エンボス加工されたフィルムは、深さが約10μmであり、正方形のグリッドの線を200μmのピッチで画定する、幅10μmのチャネルを包含した。エンボス加工された後、前記ポリカーボネートフィルムは、最初に蒸発によって15オングストロームのチタンで金属化されてタイ層を形成し、続いて熱的蒸発器(カート J.レスカー社(Kurt J. Lesker Co.)、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)より入手可能)を用いて600オングストロームの金層で金属化された。
【0060】
エラストマープレートの調製
ポリジメチルシロキサン(PDMS、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド(Midland))からのシルガード(Sylgard)(登録商標))184の本質的に形状のないのプレート2枚を、1つのケイ素結晶に対してキャスティングした。1つのプレートは、プレートを飽和するため、キャスティング平坦面を空気に曝した状態で、オクタデカンチオールの5mmolエタノール溶液に2日間浸漬した。その後、第2のプレートを、第1のプレートと手で接触させて、第1のプレートの上に30分間配置して、第2のプレートにインキ付着面を作った。
【0061】
金属化され、構造化されたポリカーボネートフィルムの表面を、続いて、第2のプレートのインキ付着面と手で接触させて配置し、オクタデカンチオールの自己構築単層(SAM)をポリカーボネートフィルムの隆起領域に転写させ、幅10μmの陥凹(又はチャネル)を機能化されない(SAMなし)ままとした。
【0062】
無電解めっき及びエッチング
機能化されていない幅10μmの陥凹を有するSAM印刷された基材を、無電解銅めっき溶液(M−カパー(M-COPPER)85C コネチカット州ウォーターベリー(Waterbury)のマクダーミッド社(Mac Dermid, Inc.))中に配置した。銅は、機能化されていない幅10μmの陥凹のみに、無電解及び選択的にめっきされた。無電解金属化されたフィルムを、続いて、フィルムを低圧石英水銀蒸気ランプを照明しながら酸素に曝露することでUVオゾン洗浄し、それによってSAMを、隆起した、銅非付着領域から除去した。金を、ヨウ素(0.5M)及びヨウ化カリウム(0.5M)からなる水溶液を含有する浴を用いて銅非付着領域からエッチング除去した。
【0063】
得られた基材は、陥凹領域にパターンを形成する銅が付着された、可撓性で、構造化された基材であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法であって、
陥凹領域と、隣接する隆起領域とを含むレリーフパターンを備える主表面を有する高分子フィルム基材を提供する工程と、
コーティングされた高分子フィルム基材を形成するために第1の材料を前記高分子フィルム基材の主表面に付着する工程と、
機能化された隆起領域と機能化されていない陥凹領域とを形成するため、前記コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料の層を選択的に形成する工程と、
付着金属を前記機能化されていない陥凹領域に選択的に無電解沈着し、付着金属のパターンを形成された高分子フィルム基材を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、透明な高分子フィルム基材の提供を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供する工程が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及び液晶ポリマーの群から選択されるポリマーを含む高分子フィルム基材の提供を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料を付着する工程が、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、並びにこれらの混合物、合金、及び化合物の群から選択される金属を高分子フィルム基材上に付着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に自己構築単層の層を選択的に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料をエラストマープレートで選択的に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に、機能性材料を、形状のないエラストマープレートで選択的に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
機械工具を用いて高分子フィルム基材を成形又はエンボス加工することによってレリーフ構造を備える主表面を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無電解沈着工程が、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、及び亜鉛からなる群から選択される付着金属を無電解沈着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無電解沈着工程の後で、機能性材料及び第1の材料を隆起領域から除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記形成する工程が、隆起領域上に自己構築単層を選択的に形成することを含み、前記自己構築単層が有機硫黄化合物、シラン、ホスホン酸、ベンゾトリアゾール、及びカルボン酸からなる群から選択される化学種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法が、ロール・ツー・ロール加工装置で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記レリーフパターンが、それぞれが近接する陥凹領域によって囲まれた別個の隆起領域の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レリーフパターンが、近接する隆起領域によって互いに隔離されている線状トレースの形態の複数の陥凹領域を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記線状トレースが、0.25マイクロメートル〜50マイクロメートルの幅及び0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの深さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
隆起領域と、隣接する陥凹領域と
を含むレリーフ構造を備える主表面と、
前記隆起領域に選択的に配置された機能化分子と、を有する高分子フィルムを含む物品。
【請求項17】
前記主表面上に付着され、かつ前記基材と、前記隆起領域の機能化分子との間に配置された第1の材料を更に含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
陥凹領域上に選択的に配置された無電解沈着金属を更に含む、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記機能化分子が自己構築単層の形態である、請求項16に記載の物品。
【請求項20】
前記高分子フィルムが5マイクロメートル〜1000マイクロメートルの厚さを有し、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)、ポリメタクリレート、及び液晶ポリマーの群から選択されるポリマーを含む、請求項16に記載の物品。
【請求項1】
高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法であって、
陥凹領域と、隣接する隆起領域とを含むレリーフパターンを備える主表面を有する高分子フィルム基材を提供する工程と、
コーティングされた高分子フィルム基材を形成するために第1の材料を前記高分子フィルム基材の主表面に付着する工程と、
機能化された隆起領域と機能化されていない陥凹領域とを形成するため、前記コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料の層を選択的に形成する工程と、
付着金属を前記機能化されていない陥凹領域に選択的に無電解沈着し、付着金属のパターンを形成された高分子フィルム基材を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、透明な高分子フィルム基材の提供を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供する工程が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及び液晶ポリマーの群から選択されるポリマーを含む高分子フィルム基材の提供を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料を付着する工程が、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、並びにこれらの混合物、合金、及び化合物の群から選択される金属を高分子フィルム基材上に付着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に自己構築単層の層を選択的に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に機能性材料をエラストマープレートで選択的に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記形成する工程が、コーティングされた高分子フィルム基材の隆起領域上に、機能性材料を、形状のないエラストマープレートで選択的に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
機械工具を用いて高分子フィルム基材を成形又はエンボス加工することによってレリーフ構造を備える主表面を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無電解沈着工程が、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、及び亜鉛からなる群から選択される付着金属を無電解沈着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無電解沈着工程の後で、機能性材料及び第1の材料を隆起領域から除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記形成する工程が、隆起領域上に自己構築単層を選択的に形成することを含み、前記自己構築単層が有機硫黄化合物、シラン、ホスホン酸、ベンゾトリアゾール、及びカルボン酸からなる群から選択される化学種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記高分子フィルム基材上に付着金属のパターンを形成する方法が、ロール・ツー・ロール加工装置で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記レリーフパターンが、それぞれが近接する陥凹領域によって囲まれた別個の隆起領域の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レリーフパターンが、近接する隆起領域によって互いに隔離されている線状トレースの形態の複数の陥凹領域を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記線状トレースが、0.25マイクロメートル〜50マイクロメートルの幅及び0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルの深さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
隆起領域と、隣接する陥凹領域と
を含むレリーフ構造を備える主表面と、
前記隆起領域に選択的に配置された機能化分子と、を有する高分子フィルムを含む物品。
【請求項17】
前記主表面上に付着され、かつ前記基材と、前記隆起領域の機能化分子との間に配置された第1の材料を更に含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
陥凹領域上に選択的に配置された無電解沈着金属を更に含む、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記機能化分子が自己構築単層の形態である、請求項16に記載の物品。
【請求項20】
前記高分子フィルムが5マイクロメートル〜1000マイクロメートルの厚さを有し、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)、ポリメタクリレート、及び液晶ポリマーの群から選択されるポリマーを含む、請求項16に記載の物品。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【公表番号】特表2010−507258(P2010−507258A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533451(P2009−533451)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/081027
【国際公開番号】WO2008/048840
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/081027
【国際公開番号】WO2008/048840
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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