説明

高分子材料の評価方法

【課題】高分子材料中のフィラーの分散状態を、迅速かつ定量的に評価することが可能な高分子材料の評価方法を提供する。
【解決手段】高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料であって、少なくとも上面が平坦な表面である高分子材料の評価方法である。高分子材料1を、集光イオンビーム(FIB)10を用いて、高分子材料の表面に対する角度αが1〜60°をなす方向に切削した後、切削により形成された高分子材料の平滑面1Aを、平滑面に対し垂直な方向から撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子材料の評価方法(以下、単に「評価方法」とも称する)に関し、詳しくは、高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料中の、フィラーの分散状態を評価するための高分子材料の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料中の、フィラーの分散状態を評価するための手法としては、図4に示すようなFIB−SEMと呼ばれる手法が知られている。図示する手法では、まず、(a)高分子材料1に対し、垂直な方向から集光イオンビーム(focused ion beam,FIB)10を照射して、(b)高分子材料1の表面を切削する。その後、(c)切削により形成された切削面のうち、ビーム方向に平行な平滑な切削面1Bを、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)により撮影して、得られた画像を観察することにより、フィラーの分散状態の評価を行う。また図5に示すような、3D−TEMと呼ばれる手法も公知である。
【0003】
上記のうちFIB−SEMは、半導体の配線状況の断面観察などに汎用される技術であり、この場合、半導体の厚み方向の分解能がきわめて重要となるので、FIBは半導体に対し厚み方向に照射することが必要となる。また、例えば、特許文献1には、シリコーンゴムに配合されたシリカの分散状態を電子顕微鏡により観察する方法の改良技術として、シリカが配合されたシリコーンゴムの成形体を凍結して硬化させた後、割断して試料を作製し、この試料の割断面を10kV以下の低加速電圧に設定した走査型電子顕微鏡により観察する、シリコーンゴム中におけるシリカ分散の観察方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−87706号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FIB−SEMや3D−TEMによれば、高分子材料の断面画像を観察、評価することが可能である。しかしながら、従来のFIB−SEMでは、高分子材料の切削面を斜め方向から観察せざるを得ないので、画像の上部と下部とで明るさが異なり、ピントの位置もずれてしまうために、高分子材料中のフィラーの分散状態を、画像全体として定量的に評価することができなかった。また、3D−TEMは、定量的な評価が可能ではあるが、膨大な時間がかかってしまうという難点があった。したがって、画像全体の迅速かつ定量的な評価を可能にして、フィラーを含有する高分子材料の物性を説明できるような、フィラーの分散状態を表す指標を確立することが望まれていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、高分子材料中のフィラーの分散状態を、迅速かつ定量的に評価することが可能な高分子材料の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、高分子材料に対する集光イオンビームの照射方向を、その表面に対し角度1〜60°をなす方向とするとともに、高分子材料の断面画像の撮影を、撮影対象面に対し垂直な方向から行うことで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料であって、少なくとも上面が平坦な表面である高分子材料の評価方法において、
前記高分子材料の上面を、集光イオンビームを用いて、該高分子材料の上面に対し角度1〜60°をなす方向に切削した後、切削により形成された該高分子材料の平滑面を、該平滑面に対し垂直な方向から撮影することを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、前記高分子材料の平滑面の撮影は、走査型電子顕微鏡を用いて行うことが好ましい。また、前記フィラーとしては、シリカ、カーボンブラックおよび下記式、
mM・xSiOy・zHO ・・・(I)
(式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、およびそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、yおよびzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数および0〜10の整数である)で表される無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。さらに、本発明においては、前記高分子材料の平滑面の撮影により得られた画像を、高分子化合物部分とフィラー部分との2値化像に変換し、得られた該2値化像に基づき、該高分子材料中の前記フィラーの分散状態を評価することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成としたことで、高分子材料の断面について、数値化が可能な高精度画像を検出することが可能となり、これにより、高分子材料中のフィラーの分散状態を、迅速かつ定量的に評価することが可能な高分子材料の評価方法を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の高分子材料の評価方法の一例を示す説明図である。
【図2】(a)は、実施例で得られた画像の一例を示す写真図であり、(b)は、(a)の画像を2値化した画像を示す写真図である。
【図3】実施例における平均凝集塊面積と貯蔵弾性率(ΔG’)との相関を示すグラフである。
【図4】(a)〜(c)は、従来のFIB−SEMを用いた評価方法の一例を示す説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、従来の3D−TEMを用いた評価方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明は、高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料であって、少なくとも上面が平坦な表面である高分子材料の評価方法の改良に係るものである。
【0013】
図1に、本発明の高分子材料の評価方法の一例を示す説明図を示す。図示するように、本発明においては、まず、(a)高分子材料1の上面を、集光イオンビーム(FIB)10を用いて、高分子材料1の上面に対する角度αで1〜60°をなす方向に切削する。その後、(b)切削により形成された高分子材料1の平滑面1Aを、(c)平滑面1Aに対し垂直な方向から撮影する。
【0014】
このように、高分子材料1の表面を、表面に対し一定角度傾斜した方向から切削して、露出した切削面のうちの平滑面1Aを、垂直な方向から撮影するものとしたことで、従来手法におけるような、画像の上部と下部との明るさの違いや、ピントのずれ等の影響なしで、高分子材料の平坦な断面につき、断面の表面情報のみを含んだ高精度の画像を取得することができる。これにより、得られた高精度画像に基づき、高分子材料中のフィラーの分散状態を数値化して、フィラーを含有する高分子材料の物性を、定量的に評価することが可能となった。なお、高分子材料1をFIB10で切削した場合、FIB10の照射方向に平行な方向に形成される切削面が凹凸のない平滑面となり、FIB10の照射方向に垂直な方向に形成される切削面は凹凸を有する粗面となる。したがって、本発明において撮影に供される平滑面1Aとは、FIB10の照射方向に平行な方向に形成される切削面を意味する。
【0015】
本発明において、高分子材料1の平滑面1Aを撮影するための撮影手段としては、いかなる手段であってもよく、走査型電子顕微鏡(SEM)やヘリウムイオン顕微鏡などを用いることができ、好適には、SEMを用いる。特には、加速電圧5kV以下の低加速SEMで、平滑面1Aのごく表面のみを撮影することで、高精度な断面画像を得ることができる。具体的には例えば、市販のFIB−SEM、例えば、FEI社製NOVA200を使用することで、上記高分子材料の切削および撮影を、効率的に行うことができる。すなわち、FIB−SEMによれば、高分子材料1の表面を、所定の傾斜方向から切削して平滑面1Aを得た後、この平滑面1Aの角度を変えることなく垂直な方向から撮影することが可能であり、画像全域のコントラストおよびピントがあった高精度な画像を容易に得ることができるものである。
【0016】
本発明において評価できる高分子材料としては、高分子化合物とフィラーとを含むものであれば、いかなるものであってもよい。具体的には例えば、合成樹脂やゴム等の高分子化合物中に、シリカ、カーボンブラックおよび特定の無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなるフィラーが分散されてなる高分子材料であり、本発明によれば、このような高分子材料内のフィラーの分散状態を定量的に評価することができる。
【0017】
合成樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、これらのうちの2種以上の混合物であってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。さらに、ゴムとしては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等を挙げることができ、これらは、単独であっても、混合物であってもよい。
【0018】
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)および乾式シリカ(無水ケイ酸)が挙げられる。また、カーボンブラックとしては、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF等が挙げられる。さらに、無機化合物としては、下記式、
mM・xSiOy・zHO ・・・(I)
(式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、およびそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、yおよびzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数および0〜10の整数である)で表されるものが挙げられる。かかる無機化合物として具体的には、γ−アルミナやα−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO 、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
【0019】
高分子材料の形状としては、少なくとも上面がある程度平坦であることが、FIB10の照射方向および撮影方向を決定する上で必要であり、好適には、図示するような、上面および下面が平坦である形状、特には、直方体形状を用いることができる。
【0020】
本発明において、上記により得られた高精度画像に基づき、高分子材料中のフィラーの分散状態を数値化するに際しては、まず、画像を、明暗の違いにより、高分子化合物部分とフィラー部分との2値化像に変換する。その後、得られた2値化像に基づき、例えば、フィラー部分の凝集塊面積を求めることで、高分子材料中のフィラーの分散状態を評価することができる。すなわち、高分子材料中において、フィラーは、凝集した凝集塊の状態で存在するので、2値化像におけるフィラー部分に対応する凝集塊ごとの面積を求め、得られたフィラー部分の全表面積とフィラー凝集塊の個数とから、フィラー部分の平均凝集塊面積を算出することで、その高分子材料の物性としての、フィラーの分散状態の指標とすることができる。従来、フィラーの分散状態の評価は、不鮮明な画像の目視観察のみで行わざるを得なかったが、本発明により、フィラーの分散状態を、特定のパラメータにより高精度に定量評価して、予測することが可能となったものである。ここで、フィラーの平均凝集塊面積が小さければ小さいほど、フィラーの分散状態は良いことになる。
【0021】
本発明は、各種フィラー含有ポリマーの開発において有用であり、その他、シランカップリング剤の開発やシリカの開発、ゴム練り技術の開発など、高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料に関連する各種開発支援の分野において、適用することが可能である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<ゴム組成物の調製>
ジエン系ゴム(日本合成ゴム(株)製,「♯1712」)110質量部および天然ゴム20質量部を、1.8リットルバンバリミキサにて、70rpm、開始温度80℃で30秒間素練りし、これに、ISAF級カーボンブラック(東海カーボン(株)製,「シースト7HM」)20質量部、シリカ(日本シリカ工業(株)製,「ニプシルAQ」)50質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤6PPD(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)1質量部およびシランカップリング剤(デグッサ社製,「Si69」)6.3phr(ゴム成分100質量部に対する配合量)を配合し、160℃になるまで混練した後放出し、ロールにてシート状にした。次いで、1.8リットルバンバリミキサにて、70rpm、開始温度80℃で1分30秒間リミル操作を行った後放出し、ロールにてシート状にした。室温まで十分冷却した後、活性亜鉛3質量部、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)0.5質量部、加硫促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)1.0質量部および硫黄1.5質量部を混合し、60rpm、開始温度80℃で1分間混練して、ゴム組成物を得た。
【0023】
<実施例>
上記で得られたゴム組成物中のシリカの分散状態の評価を、FIB−SEM(FEI社製NOVA200)を使用して行った。評価サンプルは、ゴムシートをカミソリでカットすることにより作製した。その形状は、5mm×5mm×厚み1mmであった。
【0024】
図1に示すように、まず、サンプルを、FIB10を用いて、電圧30kVの条件で、サンプル表面に対し角度αが38°をなす方向に切削した。その後、切削により形成されたサンプルの平滑面1Aを、平滑面1Aに対し垂直な方向から、SEMを用いて、加速電圧5kV以下の低加速電圧で撮影した。得られた画像は、平滑面1Aのごく表面部分の情報のみを含むものであった。得られた画像の一例を、図2(a)に示す。
【0025】
次に、得られた画像を、常法に従い、高分子化合物であるゴム部分とフィラーであるシリカ部分との2値化像に変換した。図2(a)に示す画像を2値化した画像を、図2(b)に示す。得られた2値化像に基づき、画像解析ソフトを用いて、シリカ部分の凝集塊面積を求め、シリカ部分の全表面積とシリカ凝集塊の個数とから、単位面積あたりのシリカ部分の平均凝集塊面積を算出した。
【0026】
次に、ゴム練り条件を変更することで、意図的にシリカの分散状態を変化させた4種のゴム組成物について、上記と同様の手順で平均凝集塊面積を算出した。また、各ゴム組成物につき貯蔵弾性率(ΔG’)を、下記に従い測定した。
【0027】
上記ゴム組成物を、145℃、30分間の条件で加硫して得た加硫ゴムに対し、レオメトリックス社製のアレス粘弾性試験装置を用いて、せん断入力で20℃、10Hz、歪0.25%、14%の条件にて、貯蔵弾性率(G’)を測定し、ΔG’=(0.25%E)−G’(14.0%E)を算出した。
【0028】
結果として、図3のグラフに示すように、平均凝集塊面積と貯蔵弾性率(ΔG’)の値とは、相関していた。これにより、フィラーの分散状態の指標である平均凝集塊面積が、ゴム物性と相関していることが確かめられた。また、例えば、シランカップリング剤の種類の変更により分散状態を意図的に変えた場合も、同様の相関が得られることが確認されている。
【0029】
<従来例1>
上記実施例で用いたと同様のゴム組成物サンプル(寸法:5mm×5mm×厚み1mm)を用いて、図4(a),(b)に示すように、まず、サンプルに対し、垂直な方向からFIB10を照射して、サンプル表面を切削した。その後、図4(c)に示すように、切削により形成されたサンプルの平滑面1Bを、平滑面1Bに対し52°をなす方向から、SEMを用いて、実施例と同様にして撮影した。得られた画像を観察したところ、撮影面に対し斜めからの撮影であったため、写真上部と下部でピントと明るさがずれてしまい、2値化できるような高精度の画像ではなかった。よって、画像の目視観察のみで終了し、数値化は行わなかった。
【0030】
<従来例2>
上記実施例で用いたと同様のゴム組成物サンプル(寸法:0.5mm×0.5mm×厚み約200nm)を用いて、図5に示すように、3D−TEMによる観察を行った。具体的には、図示するように、サンプルに対し電子線20を照射しながらサンプルを回転させ、種々の角度の影絵を撮影して、コンピュータで3D構築することにより、画像を作成した。結果として、高精度な画像が得られたものの、1サンプルあたり2日程度と、画像の取得に時間がかかるために、開発支援のための解析手法としては、時間がかかり過ぎて使用できないものであった。
【符号の説明】
【0031】
1 高分子材料
1A,1B 平滑面
10 FIB
20 電子線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子化合物とフィラーとを含む高分子材料であって、少なくとも上面が平坦な表面である高分子材料の評価方法において、
前記高分子材料の上面を、集光イオンビームを用いて、該高分子材料の上面に対し角度1〜60°をなす方向に切削した後、切削により形成された該高分子材料の平滑面を、該平滑面に対し垂直な方向から撮影することを特徴とする高分子材料の評価方法。
【請求項2】
前記高分子材料の平滑面の撮影を、走査型電子顕微鏡を用いて行う請求項1記載の高分子材料の評価方法。
【請求項3】
前記フィラーが、シリカ、カーボンブラックおよび下記式、
mM・xSiOy・zHO ・・・(I)
(式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、およびそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、yおよびzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数および0〜10の整数である)で表される無機化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載の高分子材料の評価方法。
【請求項4】
前記高分子材料の平滑面の撮影により得られた画像を、高分子化合物部分とフィラー部分との2値化像に変換し、得られた該2値化像に基づき、該高分子材料中の前記フィラーの分散状態を評価する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の高分子材料の評価方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−163480(P2012−163480A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24962(P2011−24962)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】