説明

高分子組成物、その使用、及びその生産方法

本発明は高分子組成物、及びその組成物を作る方法及びそれを用いる方法に関する。その組成物は プロピレン誘導単位及び少なくとも一つのスチレンブロックコポリマーを含む少なくとも一つのポリマーを含む。
本発明は、弾性特性の様な有益な物理的特性を持ちつつ、それらの組成物を種々の製品の形で用いることができる加工特性を持つ高分子組成物にし、例えば、ある実施の形態においては、高分子組成物は、柔軟性、良好な引張り強さ、及び低い張力セット(tension set)及び履歴現象(hysterisis) を示しつつ、押出し、射出成形、ブロー成形(blow molding)、カレンダー加工等の様な従来のプロセスにおいて良好な加工性を示す。加工性と物理特性の組み合わせを持つことにより、高分子組成物はフィルム、繊維、織布及び不織布、シート、成形品、押出し成形品、熱成形品、及びその様な応用材料から生産される全ての製品への応用等種々の分野で有用に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本出願の開示は高分子組成物、及びその組成物を作る方法及びそれを用いる方法に関する。その組成物はプロピレン誘導単位及び少なくとも一つのスチレンブロックコポリマーを含む少なくとも一つのポリマーを含む。
【0002】
本出願は、2004年8月13日に出願された出願番号60/601,467の利益を享受するものであり、その出願により開示されたものは参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
作り出される高分子組成物において有益な性能特性を得るため、2以上の高分子材料をブレンドすることが知られている。その様な従来型のブレンドプロセスの一つは弾性を持った熱可塑性重合材料をブレンドすることである。例えば、米国特許6,642,316に記載の様に、エチレン プロピレン ベース共重合体をポリプロピレンとブレンドして、ポリプロピレン分散相及び弾性連続マトリクス相を作ることが知られている。全体のブレンドの性質は弾性的である。エチレンプロピレン ベースの共重合体はWO 02/083754に記載のタイプであることもある。
【0004】
連続マトリクス相がポリプロピレンであり、分散相がエチレン プロピレン ベースの共重合である逆分布相をブレンドすることも知られている。このタイプのブレンドはしばしばTPO(Thermoplastic Polyolefin)と呼ばれる。分散相が衝撃改質剤として働き、元のポリプロピレンの衝撃力を向上させる。
【0005】
スチレン ブロック コポリマー(styrenic block copolymer; SBC)を用いて軟らかな、もしくは軟らかくされた弾力性のある製品を提供することが知られている。SBCは種々の硬度レベルを持ち、通常ショアー A (Shore A)で表わされる。通常弾力性のあるSBCは加工性が低く、生産量が限定される。例えば、繊維またはフィルム等の生産のためにSBCの連続押出しをする場合、押出された製品はメルト フラクチャー(melt fracture)が生じることがあるためライン速度に限界がある。
【0006】
WO 04/014998はポリプロピレン衝撃コポリマー及びSBCのブレンドについて開示する。これらのブレンドは、又非官能性可塑剤を含んでいる。
【0007】
米国特許出願2003/022975は高結晶性アイソタクチィク ポリプロピレン エチレン コポリマーのポリオレフィン エラストマーとのブレンドを開示するが、ポリオレフィン エラストマーは水素化されたSBCである場合もある。この組成物は優れた剛性を持つと記されており、弾力性組成を持たない。米国特許4,775,711は、結晶性プロピレン−エチレン コポリマーとブロック コポリマーのブレンドである弾性成形組成について開示する。EP 0 921 151はエチレン−アルファオレフィン コポリマー及びブロック コポリマーの交差結合ブレンドである組成物を開示する。このブレンドは医療品を成形するのに有用であると言われている。
【0008】
WO 2004/039907は、40重量%までのSBC、4から50重量%のRCPコポリマー及び20重量%から65重量%の粘着付与剤を含むホット メルト接着剤を開示する。米国特許2002/0122953は、SBC及び半結晶性ポリマーの場合もあるゴムベース接着剤の弾性接着剤組成を開示する。
【0009】
他の参考文献には米国特許5,885,908, EP 0241 667 A, EP 0 499 472 A, JP 2000 129027 A及び JP 2004 338289 Aを含む。
【発明の開示】
【0010】
本発明は高分子組成物及びその様な組成物を生産し、又用いる方法に関する。組成物はプロピレン誘導単位を含むポリマーである少なくとも一つの成分、及びスチレンブロックコポリマーである少なくともの一つの成分を含む。
【0011】
高分子組成物は、種々の製品において含まれれば有用であり且つ望ましい弾性特性を持つことが分かった。特に、ある実施の形態においては、高分子組成物は23℃で測定した場合に、200%の伸びから、150%より小さい長さに戻る張力セット(tension set)の組み合わせを持つ。例えば、縦のサイズが1インチ(2.54cm)である高分子組成物のフィルムが200%、すなわち、3インチ(7.62cm)の長さに引き伸ばされ、離した時に高分子組成物のフィルムは元の長さの150%の伸びより小さい長さ(2.5インチ/6.35cm)に戻ることを言う。
【0012】
プラスの性能特性(performance characteristics)に加えて、高分子組成物は有益な加工特性(processability characteristics)も示す。加工性と性能特性の特異な組合せを持つため、フィルム、繊維、織布及び不織布、シート、成形品、押出し成形品、熱成形品、及びその様な応用材料から作られる全ての製品等の種々の製品に応用される有用な高分子組成物を作り出す。
【0013】
高分子組成物は、プロピレン誘導単位を持つポリマー、及びスチレン ブロックコポリマーを含む少なくとも二つのポリマー成分を含む。プロピレン誘導単位を持つポリマーは、ポリマーのアイソスタチック プロピレン配列で制御された混乱から生ずる限定された結晶化度(crystallinity)を持つエラストマーである。スチレン ブロック コポリマー成分は、直線、ラジアル、及び星形枝分かれしたスチレン ブロックコ ポリマーの様な、知られているどの様なスチレン ブロック コポリマーから選択しても良い。
【0014】
プロピレン誘導単位を持つポリマー及びスチレン ブロック コポリマーは、メルトブレンド(melt blending)を含む適当な方法であればどの様な方法により結合されても良い。プロピレン誘導単位を持つポリマー及びスチレン ブロック コポリマーは、造形品の動的加硫(dynamic vulcanization)又は、静的加硫の様な技術分野で知られている種々のプロセスを用いて交差結合させても良い。
【発明の詳細な説明】
【0015】
本明細書で開示する発明は、弾性特性の様な有益な物理的特性を持ちつつ、それらの組成物を種々の製品の形で用いることができる加工特性を持つ高分子組成物に関する。例えば、ある実施の形態においては、高分子組成物は、柔軟性、良好な引張り強さ、及び低い張力セット(tension set)及び履歴現象(hysterisis) を示しつつ、押出し、射出成形、ブロー成形(blow molding)、圧縮成形、回転成形、カレンダー加工等の様な従来のプロセスにおいて良好な加工性を示す。加工性と物理特性の組み合わせを持つことにより、高分子組成物はフィルム、繊維、織布及び不織布、シート、成形品、押出し成形品、熱成形品、及びその様な応用材料から生産される全ての製品への応用の様に種々の分野で有用に用いられる。
【0016】
弾性を持つ高分子組成物は、非弾性高分子組成物では不向きな分野で種々に広く応用される。その様な応用の代表例には、フィルム、繊維、織物、グリップの様な押出し製品、射出成形品等がある。弾性高分子組成物はまた、ある程度の活動の自由が求められる衣類用の織物を生産するのに用いられる。弾性を持つ織物の構造は、使用されている時には衣服をあるべき位置に保つだけの十分なアンロードストレス(unload stress)を持ちつつ、一方、衣服が着古されそして何度も引伸ばされても通常元のサイズ及び形に戻る、低い永久ひずみ(permanent set)を持つ必要がある。
【0017】
アンローディング(unloading)に対するストレスは、殆んどの、弾性を持つものを応用する場合に重要な弾性引張り特性である。弾性を持つ商品のアンロードストレスは弾性商品をあるべき位置に置こうとする収縮力を示すものである。全ての弾性を持つ材料において、アンロードストレスはロードストレス、すなわち、弾性を持つ商品又は材料を引き伸ばすために要する力よりより小さい。この二つの間の差は、履歴現象(hysteresis)として知られており、その意味は、伸ばすための力はある位置に止める力と異なることを言う。
【0018】
永久ひずみは、ある長さに、ある時間、あるサイクルの回数に亘り伸ばす前及び後における、ある弾性材料の長さの変化を言う。例えば、永久ひずみは材料をその最初の長さの100%まで、又は200%まで伸ばした後の、その弾性材料の長さの%変化である。
【0019】
弾性を応用する場合に用いられる典型的な弾性材料は、ポリウレタン、エチレン−プロピレンジエン ターポリマー(ethylene- propylene-diene terpolymer(EPDM))を含む, エチレン−プロピレンゴム(ethylene-propylene rubbers (EP 及び EPR)、及びスチレンブロックコポリマー(SBC)を含む。ポリウレタンは、多くの応用分野で、望ましいアンロード ストレス、永久ひずみ及び繰り返し使用性を持つ。しかし、ポリウレタンは比較的高い比重を持ち、そのため、ある重量の材料からのポリウレタン製品を作る生産性は比較的低く、その様な製品を生産するためのコストが高くつくこととなる。更に、使い捨て衣類、オムツ等の様なある応用分野においては、ポリウレタンはその様な1回限りの使用では高価なものとなる。
【0020】
衣料品などの様に多くの応用分野がある分野においては、EP及びEPDMはその固有の物理的特性が劣るため、これらの材料は通常、低密度ポリエチレン、直線低密度ポリエチレン、又はエチレンビニル酢酸コポリマーの様なプラスチック材料とブレンドする必要がある。
【0021】
弾性SBCは、所望する厚さに伸ばすことが出来ないため、有用な加工特性を得るためには、エチレンビニル酢酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、又は低密度ポリエチレン プラストマーの様な他の材料とブレンドする必要がある。
【0022】
更に、従来の弾性材料は、衣料品のポリオレフィン層の様なポリオレフィン基質に結合するには、通常溶解接合されねばならない。
【0023】
本明細書に記載の高分子組成物は、他の高分子組成物と比べ、異なる、そして通常その特性のバランスが改善されている組成物を提供することが出来る。
【0024】
多くの熱可塑性エラストマー組成物は、加工性と物理的特性の一方を犠牲にするものである。例えば、EP、SBC及びポリウレタン等の様な有用な物理的特性を持つエラストマーは有用な製品に加工することが難しい。これらのエラストマーにおいては、硬度の増大、曲げ弾性率、及び引張り強度は、通常弾性回復、及び履歴現象の様な弾性特性の損出を伴う。本明細書に記載の高分子組成物は有用な加工特性を示す。
【0025】
SBCとブレンドされたプロピレン誘導単位を含むあるポリマー材料は、以下の様に、各特性のバランスが改善した高分子組成物を提供することが分かった。
【0026】
A) 加工性−通常押出すことが困難であるゴムの様な材料を高ラインスピードで容易に押出すことが出来る。このため、押出し用金型によってフィルムに引き伸ばすのに影響し、これは所望の溶解弾性レベルにすることにより助けられる。
【0027】
B) 弾力性−多サイクル後でも高弾性伸張及び回収が可能。これに関係するセット、すなわち、弾性的に変形した品物が元の形に戻る範囲、及び本質的な永久ひずみを伴うことのない変形の回数。このセットは伸張、又は圧縮により測定することが出来る。
【0028】
C) 柔軟さ−弾性を持つ材料が、それに接している他の物の形状に従うための最小限の力。これは通常硬度係数に反映され、この場合はショアーA硬度(Shore A hardness)である。
【0029】
D) 引張り強度、又は、引き裂き抵抗−弾性的に引伸ばされた条件で弾性材に適用されうる力。引張り強度は、引裂強度と関係が深い。
【0030】
E) 使用温度−異なる温度での機械的性質の保持。最高点では、これはビカー軟化点(Vicat softening point)の様な材料の軟化点に反映されうる。最下点では、ガラス転移温度がポリマー マトリクスが脆くなる点を決定する。
【0031】
より具体的に言えば、ある実施の形態においては、本発明の高分子組成物はその持っている伸張性及び永久ひずみ特性から本質的に逸脱することなく、追加的に加工性、柔軟さ、及び使用温度の管理を可能にする。
【0032】
ある実施の形態においては、本高分子組成物は少なくとも二つの成分を持つ。第一の成分は75J/gより小さい融解熱を持つプロピレン誘導単位を含むポリマーであり、ポリマーは約65から約99%のアイソタクチック三つ組み部分(isotactic triad fraction)を持ち、第二の成分はスチレン ブロック コポリマーである。ある実施の形態においては、第一の成分は高分子組成物の約1から約99重量%を占め、第二の成分は高分子組成物の約1から約99重量%を占め、成分は23℃において、200%の伸びから、150%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、200%の伸びから100%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。第3の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、200%の伸びから75%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。更に他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、200%の伸びから、50%より小さい長さに戻る張力セット(tension set)を持つ。
【0033】
他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、200%の伸びから25%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。
【0034】
他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、100%の伸びから75%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。
【0035】
更に他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、100%の伸びから50%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。
【0036】
更に、他の実施の形態においては、高分子組成物は23℃において、100%の伸びから25%より小さい長さに戻る張力セットを持つ。
【0037】
ある実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含むポリマー及びスチレンブロック コポリマーの合計重量は、高分子組成物の約50から約100重量%を占める。他の実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含む第一の成分ポリマー、及び第二の成分スチレン ブロック コポリマーを合わせた重量は、高分子組成物の約50から約90重量%を占める。更に他の実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含むポリマー、及びスチレン ブロックコ ポリマーを合わせた重量は、高分子組成物の約60から約80重量%を占める。
【0038】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物はショアーA硬度が90より小さい。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物はショアーA硬度が約80より小さい。更に、他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物はショアーA硬度が約25から約80である。
【0039】
ある実施の形態においては、本発明の高分子組成物は約0.1から約100のMFRを持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物は約0.1から約40のMFRを持つ。更に、他の実施の形態においては、高分子組成物は約2から約20のMFRを持つ。
【0040】
ある実施の形態においては、高分子組成物は少なくとも4MPaの引張り強度(tensile stength)を持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物は約40MPaより小さい引張り強度を持つ。更に、他の実施の形態においては、高分子組成物は少なくとも約6MPaの引張り強度を持つ。
【0041】
ある実施の形態においては、高分子組成物は少なくとも40℃のビカー軟化点を持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物は少なくとも50℃のビカー軟化点を持つ。第3の実施の形態においては、高分子組成物は少なくとも60℃のビカー軟化点を持つ。更に他の実施の形態においては、高分子組成物は約40から約60℃のビカー軟化点を持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物は120℃を超えないビカー軟化点を持つ。
【0042】
ある実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含むポリマーは約65から約99%のアイソタクチック三つ組み部分(isotactic triad fraction) を持つ。他の実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含むポリマーは約70から約98%のアイソタクチック三つ組み部分を持つ。更に他の実施の形態においては、プロピレン誘導単位を含むポリマーは約75から約97%のアイソタクチック三つ組み部分を持つ。
【0043】
ある実施の形態においては、高分子組成物のスチレン ブロック コポリマーは約5から約95重量%のスチレン含有量を持つ。他の実施の形態においては、高分子組成物のスチレン ブロック コポリマーは約10から約85重量%のスチレン含有量を持つ。更に他の実施の形態においては、高分子組成物のスチレン ブロック コポリマーは約15から約70重量%のスチレン含有量を持つ。
【0044】
ある実施の形態においては、高分子組成物は約0.1から約100のMFR、90より小さいショアーA 硬度、少なくとも2MPaの引張り強度、少なくとも40℃のビカー軟化点を持ち、そのポリマー成分は約65から約99%のアイソタクチック三つ組み部分を持つプロピレン誘導単位を持ち、そのスチレン ブロックコポリマーは約5から約95重量%のスチレン含有量を持つ。
【0045】
他の実施の形態においては、高分子組成物は他の種々の高分子組成物及び添加物を含むこともある。高分子組成物の種々の成分は、メルト ブレンド(melt blending)方法を含むブレンドの様な、どの様な適当な方法により混ぜ合わせても良い。更に、組成物の二以上の成分を交差結合させても良い。
【0046】
高分子組成物の種々の成分について以下に述べる。
【0047】
プロピレン誘導単位を含むポリマー成分(Polymer Component Including Propylene-Derived Units;PPU)
プロピレン誘導単位を含む第一成分のポリマー(PPU)は、非結晶領域により中断された結晶領域を持つ。非結晶領域は結晶化されないポリプロピレン部分の領域及び/又はコモノマー単位を含むことより生ずることもある。PPUの結晶化度及び融点は高度アイソタクチック ポリプロピレンに比べて、プロピレンの挿入での誤り及び/又はコモノマーの存在により低減する。
【0048】
ある実施の形態においては、PPUは少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含む。他の実施の形態においては、PPUは75から95重量%のプロピレン誘導単位を含む。更に他の実施の形態においては、PPUは80から90重量%のプロピレン誘導単位を含む。
【0049】
ある実施の形態においては、PPUは約90より小さいショアーA硬度を持つ。他の実施の形態においては、PPUは約45から約90のショアーA硬度を持つ。更に他の実施の形態においては、PPUは約55から約80のショアーA硬度を持つ。
【0050】
ある実施の形態においては、PPUは約0.5から約200のMFRを持つ。他の実施の形態においては、PPUは約1から約100のMFRを持つ。更に他の実施の形態においては、PPUは約1から約50のMFRを持つ。
【0051】
PPUの結晶化度は融解熱により表わされることもある。ある実施の形態においては、PPUはDSCにより決定される融解熱を持ち、その下限値1.0 J/g, 又は 1.5 J/g, 又は 3.0 J/g, 又は 4.0 J/g, 又は 6.0 J/g, 又は 7.0 J/gから上限値30 J/g, 又は 40 J/g, 又は 50 J/g, 又は 60 J/g, 又は 75 J/gの範囲に亘る。理論に捉われる訳ではないが、本明細書に記載のPPUは、通常アイソタクチックの結晶可能なプロピレン配列を持つと信じられており、又上に記載した融解熱はこれらの結晶部分の溶解から生ずると考えられる。ある実施の形態においては、PPUは60 J/gより低い融解熱を持つ。ある実施の形態においては、PPUの結晶化度のレベルは、またその融点がより低いことに反映されている。
【0052】
ある実施の形態においては、PPUは重量平均分子量(Mw)は、その上限値5,000,000 g/モル, 又は 1,000,000 g/モル, 又は 500,000 g/モルからその下限値10,000 g/モル, 又は 15,000 g/モル, 又は 20,000 g/モル, 又は 80,000 g/モルの範囲内であり、時には「多分散性指数」(polydispersity index (PDI))と呼ばれる分子量分布(molecular weight distribution)Mw/Mn (MWD)はその上限値の40, 又は 20, 又は 10, 又は 5, 又は 4.5,とその下限値1.5, 又は 1.8, 又は 2.0の範囲内にある。
【0053】
ある実施の形態においては、PPUは約65から約99%のアイソタクチック三つ組部分(isotactic triad fraction)を持つ。他の実施の形態においては、PPUは約70から約98%のアイソタクチック三つ組部分を持つ。更に他の実施の形態においては、PPUは約75から約97%のアイソタクチック三つ組部分を持つ。
【0054】
ポリマーのアイソタクチック三つ組部分は3つの隣接するプロピレン単位の配列の相対的立体規則性を言い、頭・尾結合よりなる鎖であり、m 及びr配列の二元組合せとして表わされる。本発明のPPUでは、通常、特定の立体規則性の単位の数のコポリマー中の全てのプロピレン三つ組みに対する比率として表わされる。プロピレンコポリマーの三つ組部分(mm部分)はプロピレン コポリマーの13C NMRスペクトル及び以下の式から決定することが出来る:
mm 部分= PPP(mm)/(PPP(mm) + PPP(mr) + PPP(rr))
ここで、PPP(mm), PPP(mr)及びPPP(rr)は頭・尾結合からなる次の3つのプロピレン単位鎖の第二単位のメチル基に由来するピークエリアを表わす。
【数1】

【0055】
ポリプロピレンコポリマーの13C NMRスペクトルは、米国特許5,504,172に記載されている様に測定する。メチル炭素領域(百万分の19−23(ppm))は第一領域(21.2-21.9 ppm)、第二領域(20.3-21.0 ppm)、及び第三領域(19.5-20.3 ppm)に分けることが出来る。スペクトルの各ピークは定期刊行物ポリマー(Polymer)30巻 (1989), 1350ページ中の論文を参考にしたものである。第一領域において、PPP (mm)によって表わされる3つのプロピレン単位鎖の第二単位のメチル基が共鳴する。第二領域では、PPP (mr)によって表わされる3つのプロピレン単位鎖の第二単位のメチル基が共鳴し、その隣接する単位がプロピレン単位、及びエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE−メチル基)が共鳴する(20.7ppmの近辺で)。第三領域では、PPP (rr)によって表わされる3つのプロピレン単位鎖の第二単位のメチル基が共鳴し、そして、その隣接する単位がエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE−メチル基)が共鳴する(19.8ppmの近辺で)。三つ組部分の計算は米国特許5,504,172に示される技術に概観されている。第2及び第3領域の全ピークアリアから、プロピレン挿入(2,1及び1,3の両方)での誤りによるピークエリアを差し引くことにより、頭から尾の結合より成る3プロピレン単位鎖(PPP(mr) 及び PPP(rr))に基づくピークエリアが得られる。そして、PPP(mm), PPP(mr) 及び PPP(rr)のピークエリアが決められ、頭から尾の結合より成るプロピレン単位鎖の三つ組み立体規則性を決定することが出来る。
【0056】
ある実施の形態においては、PPUの結晶化度は、プロピレンが、エチレン、C4-C20アルファオレフィン、及びポリエンから選択される、限られた量の一以上のコモノマーと共重合することによって低減する。ある実施の形態においては、PPUは少なくとも5重量%のアルファオレフィン コモノマー単位を含む。他の実施の形態においては、PPUは約10から約20重量%のアルファオレフィンコモノマー単位を含む。
【0057】
他の実施の形態においては、PPUは約75から約95重量%のプロピレン誘導単位及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む。更に他の実施の形態においては、PPUは約80から約95重量%のプロピレン誘導単位及び約5から約20重量%のエチレン誘導単位を含む。更に他の実施の形態においては、PPUは少なくとも約70重量%のプロピレン誘導単位及び約5.0から約30.0重量%のエチレンの誘導単位を含む。
【0058】
任意選択されるポリエン単位は、少なくとも二つの不飽和結合を持つ炭化水素構造を持ち、その少なくとも一つの不飽和結合がポリマーに組み入れられているものであれば、どの様なものから誘導されるものであっても良い。例えば、任意選択されるポリエンは以下のものから選択しても良い:
1,4ヘキサジエン(1,4-hexadiene)及び 1,6オクタジエン(1,6-octadiene)の様な直鎖非環式オレフィン(straight chain acyclic olefins),;
5-メチル-1,4-ヘキサジエン(5-methyl-1,4-hexadiene)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン(3,7-dimethyl-l,6-octadiene)、及び3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン (3,7-dimethyl-l,7-octadiene)の様な枝分かれ鎖非環式オレフィン(branched chain acyclic olefins);1,4-シクロヘキサジエン(1,4-cyclohexadiene)、1,5-シクロオクタジエン(1,5-cyclooctadiene)、及び1,7-シクロドデカジエン (1,7-cyclododecadiene)の様な単環脂環式オレフィン (single ring alicyclic olefins);テトラヒドロインデン(tetrahydroindene)、ノルボルマジエン(norbomadiene)、メチル−テトラヒドロインデン(methyl-tetrahydroindene)、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン(bicyclo-(2.2.1)-hepta-2,5-diene)、アルケニル ノルボルネン(alkenyl norbornenes)、アルキリデン ノルボルネン(alkylidene norbornenes)、シクロアルケニル ノルボルネン(cycloalkenyl norbornenes)、及び シクロアルキリエンノルボルネン(cylcoalkyliene norbornenes) (例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン(5-methylene-2-norbornene)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(5-ethylidene-2-norbornene)、5-プロペニル-2-ノルボルネン(5-propenyl-2-norbornene)、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン(5- isopropylidene-2-norbornene)、5-(4-シクロペンタニル)-2-ノルボルネン(5-(4-cyclopentenyl)-2-norbornene)、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン(5- cyclohexylidene-2-norbornene)、及び5-ビニル-2-ノルボルネン(5-vinyl-2-norbornene)の様な 多環脂環式溶融及び架橋環式オレフィン(multi-ring alicyclic fused and bridged ring olefins); 及び
ビニルシクロへキセン(vinyl cyclohexene)、アリール シクロへキセン(allyl cyclohexene)、ビニル シクロへキセン(vinyl cyclooctene)、4-ビニル シクロへキセン(4-vinyl cyclohexene)、アリール シクロデセン(allyl cyclodecene)、ビニル シクロドデセン(vinyl cyclododecene)、ジビニル ベンゼン(divinyl benzene)、及びテトラシクロ(A-11,12)-5,8-ドデセン (tetracyclo (A-11,12)-5,8-dodecene)、の様なシクロアルケニル置換アルケン(cycloalkenyl- substituted alkenes)である。
【0059】
ある実施の形態においては、PPUは、プロピレン誘導単位及びアルファオレフィン誘導単位(もし存在すれば)の合計重量に基づき、約1から約12重量%のポリエン誘導単位を含む。他の実施の形態においては、プロピレン誘導単位及びアルファオレフィン誘導単位(もし存在すれば)を合わせた重量に基づき、約1.0から約9.0重量%のポリエン誘導単位を含む。他の実施の形態においては、PPUはプロピレン誘導単位及びアルファオレフィン誘導単位(もし存在すれば)を合わせた重量に基づき、約2.0から約7.0重量%のポリエン誘導単位を含む。更に、他の実施の形態においては、PPUはプロピレン誘導単位及びアルファオレフィン誘導単位(もし存在すれば)の合計重量に基づき、約3.0から約5.0重量%のポリエン誘導単位を含む。
【0060】
ある実施の形態においては、ポリエン誘導単位は5-エチリデン-2-ノルボルネン(5-ethylidene-2-norbornene)から誘導される。他の実施の形態においては、ポリエンは5-ビニル-2-ノルボルネン(5-vinyl-2-norbornene)から誘導される。更に他の実施の形態においては、ポリエン誘導単位はジビニルベンゼン(divinyl benzene)から誘導される。
【0061】
本明細書に記載の高分子組成物は、本発明のPPUを生産するための特別な重合方法に限定されるものではなく、また本明細書に記載の重合プロセスは特定の反応器に限定されるものではない。
【0062】
ある実施の形態においては、PPUを生産するために用いられる触媒システムは一以上の遷移金属化合物及び一以上の活性剤を含む。アルモキサン又は、アルミニウム アルキル活性剤が用いられる場合、合計したプレ触媒対活性剤(pre- catalyst-to-activator)のモル比率は1:5000から10:1である。
【0063】
イオン化活性剤が用いられる場合は、合計したプレ触媒対活性剤(pre- catalyst-to-activator)のモル比率は1:10から10:1である。アルモキサン又は、アルミニウム アルキルとイオン化活性剤との混合物の使用を含み、複数の活性剤を用いても良い。他の実施の形態においては、2004年2月5日に公開された米国特許出願20040024146に開示された方法及び触媒システムをPPUの生産に用いても良い。更に他の実施の形態においては、PPUは2003年10月30日に公開された米国特許出願20030204017に記載されている非メタロセン、金属が中心にある、ヘテロアリール リガンド触媒システムの様な触媒システムを用いて生産しても良い。
【0064】
本発明では一以上の反応器を直列で、又は並列にして用いても良い。触媒成分及び活性剤は液体又はスラリーとして、反応器に供給される直前に活性化され別々に反応器に供給されるか、又は事前に活性化された溶液又はスラリーとして活性化され、ポンプにより反応器に注入しても良い。重合は、その場合モノマー、コモノマー、触媒/活性剤、捕捉剤、及び任意選択の修飾剤が単一の反応器に連続して加えられる単一の反応器の運転で実施されるか、または上記の成分は、直列に接続された2以上の反応器のそれぞれに加えられる直列配置の運転により実施される。
【0065】
触媒成分は直列運転の第一の反応器に加えられるか、又は両方の反応器に加えられ、その場合にはある成分は第一の反応器に、他の成分は他の反応器に加えることも出来る。
【0066】
代表的なPPUはExxonMobil Chemicalから商標名Vistamaxx(登録商標)により及びThe Dow Chemical Companyから商標名Versify(登録商標)で購入可能である。
【0067】
PPUを生産するのに適した一般的なプロセスの条件に関する更に詳しい情報は、米国特許5,001,205 及び PCT公開公報WO 96/33227 及びWO 97/22639を参照願いたい。ガス相重合プロセスに関する情報については、米国特許4,543,399; 4,588,790; 5,028,670; 5,317,036; 5,352,749; 5,405,922; 5,436,304; 5,453,471; 5,462,999; 5,616,661; 5,627,242; 5,665,818; 5,668,228; 及び 5,677,375, 及び欧州公開広報EP- A- 0 794 200; EP-A-0 802 202; 及び EP-B- 634 421を参照願いたい。液体触媒システムを流動床重合の粒子の少ないゾーンに導入する方法に関する情報に関しては米国特許5,693,727を参照願いたい。スラリー重合プロセスに関する情報については、米国特許3,248,179 及び4,613,484を参照願いたい。捕捉剤は本明細書に記載のPPUを生産するためにその使用が予定されているものであるが、PCT公開広報WO 96/08520 及び米国特許5,712,352は、実質的に捕捉剤が存在しない場合の重合プロセスについて記載する。
【0068】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、約1から約99%のPPUの第一成分を含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約5から約95%のPPUの第一成分を含む。第二の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約10から約90%のPPUの第一成分を含む。第三の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約20から約80%のPPUの第一成分を含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約40から約60%のPPUの第一成分を含む。此処に記載された上限数値は選択された小領域(sub-range)の下限の全てと組み合わせることができる。
【0069】
スチレン ブロック コポリマー(Styrenic Block Copolymer (SBC))
広い範囲の種類のスチレン ブロック コポリマー(SBC)が、本明細書に記載の高分子組成物を作るための第二の成分として有用である。直線ブロックコポリマー、A-Bジブロック コポリマー, A-B-A トリブロック コポリマー, A-B-A-B テトラブロック コポリマー, A-B-A-B-A ペンタブロック コポリマー等である。
【0070】
その様なSBCは一般的に熱可塑性ブロック部分A及び弾性ブロック部分Bを含む。本明細書に記載の使用に適したブロック コポリマーは熱可塑性及び弾性を持つ。SBCは、熱可塑性ブロック部分のガラス転移温度(Tg)より低い温度で三次元物理交差結合又は、絡み合った構造を作り、そのため外力に反応して弾性記憶を示すという意味で弾性的である。SBCは、エンドブロック Tgより高温で溶融し、及びその物理的特性が殆んど、又は全く変化することなく数回に亘り形成され再凝固されうる(つまり酸化による分解が最小に止まると考えられる)と言う意味で熱可塑性を持つ。
【0071】
ブロック部分Aは固いブロックであり、ポリマーの使用温度に於いて結晶質、又は、ガラス質領域を形成する十分高いガラス転移温度を持つ材料から誘導される。その様な固いブロックは通常物理的に強固な「交差結合」を形成するか、又はコポリマー中の他の固いブロックと集塊を形成する。固いブロック部分Aは、通常スチレン、アルファメチル スチレン、他のスチレンの誘導物又は、これらの混合物の様なモノマーから誘導されるポリビニルアレーン(polyvinylarene)を含む。固いブロック部分Aはまた上に記したモノマーの様なスチレンモノマー、及びエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの混合物の様なオレフィン モノマーから誘導されるコモノマーであることもある。
【0072】
ある実施の形態においては、固いブロック部分Aはポリスチレンであり、約1,000から約200,000の数平均分子量を持ち、好ましくは約20,000から約100,000、より好ましくは約5,000から約60,000の数平均分子量を持つ。典型的には、固いブロック部分Aはコポリマーの全重量の約5から約80%、好ましくは約10から約70%、より好ましくは約10から約50%を占める。
【0073】
Bブロックを形成する材料はポリマーの使用時の温度で十分低いガラス転移温度を持ち、そのためこれらの作業温度では結晶質又は、ガラス質領域が形成されることはない。Bブロックはこの様に柔軟ブロックと看做されることもある。柔軟なブロックであるB部分は、典型的には、約4から約6の炭素原子の共役脂肪族ジエンモノマー、又は約2から約6の炭素原子の直線アルケンモノマーから誘導されるオレフィンポリマーである。適当なジエンモノマーには、ブタジエン、イソプレン等を含む。適当なアルケン モノマーには、エチレン、プロピレン、ブチレン等を含む。柔軟なブロックB部分(soft block portion B)はエチレン/プロピレンポリマー、エチレン/ブチレンポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン等又はこれらの混合物の様な実質的アモルフォス ポリオレフィンを含む。
【0074】
柔軟なブロックB部分の数平均分子量は、典型的には約1,000から約300,000、好ましくは約10,000から約200,000、より好ましくは約20,000から約100,000であるのが良い。通常、柔軟なブロックB部分は、コポリマーの全重量の約20から約90%を占め、好ましくは約30から約80%、より好ましくは約40から約80%を占めるのが良い。
【0075】
本明細書に記載の高分子組成物に用いるのに適当なSBCは、少なくとも一つの本質的に熱可塑性ブロックA部分、及び少なくとも一つの本質的に弾性ブロックB部分を含む。SBCは多くのブロックを含むこともある。
【0076】
ある実施の形態においては、SBCはA−B 2ブロック共重合体であることもある。他の実施の形態においては、ブロック共重合体はA−B−A 3ブロックコポリマーであることもある。他の実施の形態においては、SBCはA−B−A−Bの4ブロックコポリマー、又はA−B−A−B−Aの5ブロックコポリマーから選択されることもある。
【0077】
ある実施の形態においては、SBCは弾性ミッドブロックB(midblock B)及び熱可塑性エンドブロック(endblock)A及びA’を持つ3ブロックコポリマーであり、A及びA’は異なるビニルアレ−ン モノマーから誘導されることもある。他の実施の形態においては、SBCは一を超えるAブロック及び/又は一を超えるBブロックを持ち、各Aブロックは同じ又は、異なるビニルアレン モノマーから誘導されることがあり、各Bブロックは、同じ又は、異なるオレフィンモノマーから誘導されることもある。
【0078】
SBCは又、3以上の腕を持ち、各腕はB−A,B−A−B−A又は同様タイプのコポリマーであり、ブロックBはラジアル ポリマーの中心部分に、又は、その近くにあり、放射状(radial)である。他の実施の形態においては、SBCは4,5、又は、6の腕を持つこともある。
【0079】
ある実施の形態においては、オレフィン ブロックはブロックコポリマーの少なくとも約50重量%を占める。オレフィンの二重結合の不飽和は選択的に水素化され、酸化分解反応に対する感度を低減させ、弾性特性に有益な影響を与えることがある。例えば、ポリイソプレン ブロックは選択的に還元されてエチレン プロピレン ブロックを形成することが出来る。ある実施の形態においては、ビニルアレーン ブロックは、通常、重量で少なくとも約10%のSBCを含む。しかし、弾性を増し、そして低い応力緩和特性を得るために、より高いビニルアレーン含有量が求められることもある。
【0080】
本明細書に記載の高分子組成物に含んで用いられる典型的な適当なSBCは、スチレン−ブタジエン−スチレン (styrene-butadiene-styrene (S-B-S)), スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(styrene-ethylene/butylene-styrene (S-EB-S)), スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(styrene-ethylene/propylene-styrene (S-EP-S)), スチレン−イソプレン−スチレン (styrene-isoprene-styrene (S-I-S)), 及びこれらの混合物の様なスチレンーオレフィンースチレン 3ブロック コポリマーである。SBCは選択された 一つのSBC、又はSBCのブレンドであっても良い。
【0081】
SBCはまた、本明細書に記載の高分子組成物中で、SBCを一以上の他の実質的により弾性の低いポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン又は、これらの混合物とブレンドさせたブレンドとして用いても良い。
【0082】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物で用いられるSBCはポリスチレンーエチレン/ブチレンーポリスチレン ブロックコポリマーであり、約10重量%を超えるスチレン容量を持つ。スチレン容量が多いほど、ポリスチレン ブロック部分は、通常相対的に高い分子量を持つ。
【0083】
ある実施の形態においては、SBCは約0.01から約150のメルトフローレートを持つ。
【0084】
他の実施の形態においては、SBCは約0.1から約100のメルトフローレートを持つ。更に他の実施の形態においては、SBCは約1から約75のメルトフローレートを持つ。
【0085】
ある実施の形態においては、高分子組成物はスチレン誘導単位、及びエチレン誘導単位、ブタジエン誘導単位、イソプレン誘導単位、イソブチレン誘導単位より成る群から選択される少なくとも一つの他の単位よりなるトリブロック部分よりなるSBCを含み、スチレン ブロック コポリマーは20重量%より少ないジブロック部分より成る。他の実施の形態においては、高分子組成物はSIS, SBS, SEBS, SEPS,及びSIBS単位より成る群から選択される部分から成るSBCを含み、そして、そのスチレン ブロック コポリマー中の約5から約95%のジエン単位が水素化されている。
【0086】
本明細書に記載の高分子組成物で用いられる典型的なSBCはDexco Polymers LPから商標名Vector(登録商標)で、及びKraton Polymers からKraton(登録商標)の商品名で市場で調達可能である。
【0087】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約1から約99重量%のSBCの第二成分を含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約5から約95重量%のSBCの第二成分を含む。第二の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約10から約90重量%のSBCの第二成分を含む。此処で全ての上限数値は、当然のことであるが、選択される小領域(sub-range)のどの下限数値と組み合わせても良い。
【0088】
追加の成分(Additional Components)
上に述べた様に、本明細書に記載の高分子組成物は、上記のPPU及びSBC成分に加えてポリマー成分及び追加成分を含んでいても良い。以下典型的な追加成分に関して述べる。
【0089】
第三のポリマー成分(Third Polymer Component(TPC))
幾つかの実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、第3のポリマー成分(Third Polymer Component (TPC))と呼ばれることになるプロピレン誘導単位を含む第2のポリマーを含んでも良い。TPCは、幾つかの実施の形態においてはアイソタクチック プロピレンタイプの結晶化度を持つこともあるが、プロピレン ホモポリマー、プロピレン コポリマー、及び、通常反応器コポリマー又は衝撃コポリマーと呼ばれるタイプの混合物を含む これらの混合物から選択されることもある。TPCがプロピレン コポリマーを含む実施の形態においては、プロピレン コポリマーはグラフト コポリマー(graft copolymer)、ブロック コポリマー(block copolymer)、反応器で生成されたポリプロピレン エチレン−プロピレン コポリマー ブレンド又は、ランダムコポリマーであることもある。
【0090】
ある実施の形態においては、TPC中に存在するプロピレン誘導単位の量は、TPCの全重量に基づき、90重量%以上、又は92重量%以上、又は95重量%以上、又は97重量%以上、又は100重量%である。TPCが反応器ポリプロピレン エチレン−プロピレン コポリマー ブレンドである場合、コポリマー ブレンド中のエチレンの全量は約1から約40重量%の範囲である。ある実施の形態においては、TPCは約50から約99%のアイソタクチック三つ組み部分(isotactic triad fraction)を持つ。他の実施の形態においては、TPCは約70から約98%のアイソタクチック三つ組み部分を持つ。更に他の実施の形態においては、TPCは約80から約98%のアイソタクチック三つ組み部分を持つ。
【0091】
ある実施の形態においては、TPCはプロピレン、及び一以上のエチレン及びC4-C12アルファオレフィンから選択される少なくとも一つのコモノマーのランダムコポリマー含む。ある実施の形態においては、コモノマーの量はTPCの全重量に基づき、その上限が15重量%、又は13重量%、又は11重量%、又は9重量%、又は8重量%、又は6重量%、及び下限が2重量%の範囲にある。ある実施の形態においては、TPCは約2から約10重量%のコモノマー単位を含む。
【0092】
ある実施の形態においては、TPCはDSCによる融点が少なくとも80℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも110℃、又は少なくとも115℃、又は少なくとも130℃であり、DSCにより決定される融解熱が少なくとも40J/g、又は少なくとも50J/g、又は少なくとも60J/g、又は少なくとも70J/g、又は少なくとも80J/gである。
【0093】
種々の実施の形態において、TPCはその上限が5,000,000g/モル、又は500,000g/モル、その下限が10,000g/モル、又は50,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を持ち、及び、時には多分散性指数(polydispersity index (PDI))と呼ばれる、分子量分布(Mw/Mn(MWD)は、その上限40、と下限1.5の範囲内にある。
【0094】
TPCは種々ある方法の何れにより生産しても良い。ある実施の形態においては、TPCは一段式、又は多段式反応器によるプロピレンのホモ重合プロセスとして良く知られているプロセスにより得られるプロピレン ホモポリマーであることもある。他の実施の形態においては、TPCは一段式、又は多段式反応器によるプロピレン及び一以上のコモノマーを共重合させる良く知られたプロセスにより得られるプロピレン コポリマーであることもある。
【0095】
TPCを生成する重合方法には、高圧、スラリー、ガス、バルク、液状相、及びこれらの組合せたものを含む。使用可能な触媒システムには、伝統的なチ−グラ−ナッタ触媒及び単一サイト(single-site)メタロセン触媒システムを含む。ある実施の形態においては、用いられる触媒は高い同等特異性(isospecificity)を持つ。
【0096】
TPCの重合は、連続プロセス、又はバッチプロセスによって実施されることもあり、連鎖移動剤(chain transfer agent)、捕捉剤(scavenger)又は、当業者に良く知られた他のその様な添加剤の使用を含むこともある。TPCは又、その特性を向上又は維持するために、アイソタクチック ポリプロピレンに通常加えられる流動性向上剤(flow improver)、成核剤(nucleator)、及び抗酸化剤(antioxidant)の様な添加剤を含む。
【0097】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約1から約70重量%のTPCを含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約5から約60重量%のTPCを含む。第二の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約10から約40重量%のTPCを含む。此処に記載の上限値は、当然のことながら、選択される小領域(sub-range)のどの下限値と組み合わせても良い。
【0098】
第四のポリマー成分(Fourth Polymer Component (FPC))
本明細書に記載の高分子組成物のある実施の形態は、ポリマー成分(FPC)を含む。
【0099】
FPCは、ある実施の形態においては、エチレンータイプの結晶化度を持つこともあるが、エチレン及び第二のアルファオレフィンのコポリマーであることもある。他の実施の形態においては、FPCはエチレン、他のアルファオレフィン及びジエンから選択されるモノマー単位を含むポリマーであることもある。ある実施の形態においては、FPC中のエチレン誘導単位の水準は50モル%以上である。ある実施の形態においては、FPCはエチレンーオクテン コポリマーである。他の実施の形態においては、FPCはエチレン、プロピレン、及びジエンのコポリマーであり、通常EPDMと呼ばれる。ある実施の形態においては、FPC中のプロピレン誘導単位のレベルは40モル%以上である。
【0100】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約1から約70重量%のFPCを含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約5から約60重量%のFPCを含む。第3の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約10から約40重量%のFPCを含む。他の実施の形態においては、高分子組成物は、約0.85から約0.94の密度を持つエチレン コポリマーを約1から約35重量%含む。当然のことながら、此処に記す上限値は、選択される小領域のどの下限値と組み合わせても良い。
【0101】
交差結合ポリマー成分(Crosslinked Polymer Components)
ある実施の形態においては、PPUの弾性能力特性(elastomeric performance properties)はPPU、及び/又は本明細書に記載の高分子組成物の他の重合成分を交差結合することにより、さまざまなレベルに向上させることもできる。他の実施の形態においては、PPUは都合よく加工することが出来るさまざまなレベルまで交差結合される。ある実施の形態においては、上で述べた様なPPUは、種々の成形及び加工の選択肢のある中で、交差結合を容易にし、及び最適な最終使用効果を上げるためにポリエンを含むこともある。交差結合反応を誘発するために照射を用いる様な他の実施の形態においては、PPU中にジエンを存在させることは任意選択事項である。
【0102】
硬化は種々のレベルで実施されうる。まず、ポリマー鎖が長鎖分岐を形成するために他の鎖に組み入れられることもある。これらのポリマーは一層せん断に反応して加工が容易である。これらの特性は、異なるせん断条件(shear conditions)下での粘度比を決定することにより知ることができる。応用される殆どのケースで、ポリマーは硬化の後でも熱可塑性フローを維持することが出来る様にすべきである。硬化により、引張変形(tensile deformation)からの回復が向上し、応力緩和(stress relaxation)が改善し、及び成形され又は、押出された製品の形状の損失を防ぎ、その製品の使用温度巾を増大させる。交差結合の程度は種々異なり、沸騰キセノン中の不溶性物質の重量%を決定することにより測定が可能であり、ある実施の形態においては、約10から約90重量%の間で変わる。
【0103】
連続硬化は、ゲル化に繋がることもあり、そして最終的には、繰り返しの交差結合よりポリマーが固定化される。
【0104】
硬化は、遊離基を用いる等によりポリマー鎖を脱水することの出来るどの様な適当なシステムを用いて実施しても良い。ある実施の形態においては、硬化は照射により達成される。硬化は又、ジエンの組み込み後に残留している未反応不飽和末端小部分の様なポリマー中の官能基を用いて化学的に実施しても良い。交差結合反応はその場合には加硫と呼ばれる。交差結合剤は、硫黄ベースの硬化剤、過酸化物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤、水素化(hydrolilation)の様な官能基、及び二塩化硫黄の様な不安定な又は移行性硬化システム(migratory cure systems)を活性化するために用いられる。
【0105】
添加剤(Additives)
本明細書に記載の高分子組成物は上記のポリマー成分に加えて一以上の追加成分を含むこともある。種々の添加物が、ある特性を向上させるために存在し、又は個々の成分を処理した結果として存在することもある。含まれる添加物として、これに限定されるものではないが、防火剤、抗酸化剤、可塑剤、ピグメント、加硫又は硬化剤、加硫又は硬化促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、難燃剤、粘着性向上樹脂、流動性向上剤等を含む。ブロッキング防止剤、着色剤、潤滑剤、離型剤、核形成剤、強化剤、充填剤(粒状の、繊維状の又は粉末状のものを含む)もまた用いられることもある。核形成剤及び充填剤は製品の剛性を増すこともある。本明細書に記載のこれらのリストは、本発明に用いられる全てのタイプの添加物を含むものではない。
【0106】
他の添加物も、成分の特性を向上させるために用いられることもある点を了解するべきである。当業者に理解される様に高分子組成物はブレンドの特性を所望どおりに調整する様に修飾されることもある。
【0107】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約1から約25重量%の粘着性向上樹脂を含む。他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約2から約20 重量%の粘着性向上樹脂を含む。更に他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は約3から約15重量%の粘着性向上樹脂を含む。
【0108】
本明細書に記載の高分子組成物は又、特に交差結合成分を含む組成物において、組成物の機械的及び磨耗特性を向上させることのある無機微粒子充填剤を含むこともある。用いられる無機充填剤の量は組成の全重量に基づき、通常その60重量%以下、又は50重量%以下、又は40重量%以下、又は30重量%以下である。無機充填剤はその直径が1mmより小さい粒子、その長さが1cmを超えないロッド、表面積が0.2cm2より小さいプレートを含む。典型的な微粒子充填剤には、黒鉛、粘土、チタン及び酸化マグネシウム及びシリカを含む。更に、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、白亜、酸化マグネシウムの様な他の微粒子充填剤も用いることができる。ロッド状充填剤の例としてはグラスファイバーがある。プレート状充填剤にはマイカがある。通常ナノ合成物と呼ばれる、非常に小さい微粒子を添加することも検討される。充填剤の添加により、本明細書に記載の組成物の特性が変わることもある。例えば、無機充填剤を含む高分子組成物は熱安定性、磨耗に対する抵抗が向上することもある。白色充填剤の添加により、炭化水素ポリマーが日光に晒された場合の温度変化を改善させることもある。ある一定レベル以上の充填剤を加えることによって、粘度が劇的に増大し、それに応じて加工性が低減することもある。この閾値は浸透限界(percolation threshold)と呼ばれる。粘度の増大に加えて、浸透限界において、同時に弾性特性が向上し、浸透限界より僅かに高いレベルにおいて、ブレンドの弾性回復の低下が起きる。浸透限界は、用いられる充填剤のタイプによって異なるレベルの充填剤の添加により実現される。通常、浸透限界は、サイズの大きな充填剤よりは、サイズの小さい充填剤を用いた場合の方がより低いレベルの充填剤で実現される。
【0109】
本明細書に記載の組成物は、全ポリマーの100部分に対して、重量で0から500部分, 又は重量で2から200部分、又は重量で5から150部分、又は重量で10から100部分の範囲のプロセスオイルを含むこともある。この発明で開示する意味での「プロセスオイル」の用語は、20,000より小さい分子量(Mn)を持つどの様な一つの、又は種々のオイルを含んだものを指す。適度な量のプロセスオイルを加えることにより、0℃近く及びそれより低い温度でのブレンドの特性を改善させつつブレンドの粘度、及び柔軟度を下げることもある。これらの潜在的な優位点はブレンドのガラス転移温度(Tg)を下げることにより生ずると信じられている。ブレンドにプロセスオイルを加えることにより加工性を向上させ、弾性強度と引張り強度の間のバランスを改善することも出来る。プロセスオイルは通常ゴムでの応用ではエキステンダー油として知られている。プロセスオイルは(a)酸素の様な微量のヘテロ原子、又は(b)フタル酸ジオクチル(dioctyl plithalate)、エーテル、及びポリエーテルの様な少なくとも一つのヘテロ原子を持つ炭化水素を含む。プロセスオイルは200℃で実質的に揮発する沸点を持つ。これらのプロセスオイルは通常、純粋な固体、液体、又は不活性支持体 (例えば、粘度、シリカ)上でこれらの材料を物理的に吸収させ、さらさらした粉末状の混合物としたものとして入手可能である。プロセスオイルは通常、直線状、非環式であるが枝分かれしている、環状、及び芳香性炭素質構造よりなることのある多くの化合物の混合物を含む。プロセスオイルの他のファミリーは、20,000より小さい分子量(Mn)を持つ、ある有機エステル及びアルキルエーテルがある。又本発明の実施において、プロセスオイルと組み合わせたものを用いても良い。プロセスオイルは溶解物中でポリマーブレンド組成と共存するか、又は混和するものであるべきであり、室温でPPU中にその殆んどが混和することもある。
【0110】
ポリマーを回収する前に、プロセスオイルの全部又は一部を加えること、及びPPUの混合のため配合剤の一部としてプロセスオイルの全部又は一部をポリマーに加えることを含み、プロセスオイルはその技術分野で知られている従来のどの様な方法によってブレンド組成に加えても良い。配合ステップは、ミルの様なバッチミキサー、又はバンベリーミキサーの様な密閉式ミキサーで実行しても良い。配合操作は、又2軸押出し機の様な連続プロセスオイルで実施しても良い。アイソスタチック ポリプロピレン及びエチレン プロピレン ジエンゴムのブレンドのガラス転移温度を下げるためにプロセスオイルを加えることは、米国特許5,290,886 及び5,397,832.に記載されている。
【0111】
脂肪酸エステル又は無機充填剤上で結合されたカルシウム脂肪酸石鹸の混合物の様なプロセス加工助剤を、本明細書に記載の組成物に加えることは、組成物の混合、及び組成物のモールドへの注入にとり役立つこともある。加工助剤の他の例には、低分子量ポリエチレン コポリマー ワックス及びパラフィンワックスがある。使用される加工助剤の量は0.5から5phrの範囲であることもある。
【0112】
抗酸化剤を本明細書に記載の組成物に加えることにより長期に劣化を遅らせることもある。抗酸化剤の例には、これらに限定されるものではないが、キノライン、例えば、トリメチル水酸化キノライン(trimethylhydroxyquinolein (TMQ)); イミダゾール(imidazole), 例えば、メルカプト亜鉛 トルイル イミダゾール(zincmercapto toluyl imidazole (ZMTI)); 及びヒンダードフェノール(hindered phenols), ラクトン(lactones), 及び亜リン酸塩(phosphites)の様な従来の抗酸化剤を含む。使用される抗酸化剤の量は0.001から 5phrの範囲であることもある。
【0113】
本明細書に記載の高分子組成物は一以上の非官能性可塑剤(non-functionalized plasticizers (NFP))を含むこともあり、この場合非官能性可塑剤は100℃で2cSt以上の動粘度(kinematic viscosity ("KV"))を持つ。この点について、もしNFPが100℃より低い引火点を持つ場合は、KVは100℃で2cStより小さいと定義される。ある実施の形態においては、非官能性可塑剤は動粘度が100℃で10cSt以上あり、粘度指数が120以上あるC5 からC14のオレフィンのポリアルファーオレフィン オリゴマーである。
【0114】
ある実施の形態においては、非官能性可塑剤は粘度指数が120以上であるC5 からC14のオレフィンのオリゴマーを含む。
【0115】
他の実施の形態においては、非官能性可塑剤は粘度指数が120以上あるC6からC14のオレフィンのオリゴマーを含む。
【0116】
更に他の実施の形態においては、非官能性可塑剤は、数平均分子量が500から20,000である一以上のガスから液体へのプロセスで製造される、直線、及び/又は枝分かれパラフィン系炭化水素組成を含む。非官能性可塑剤に関する更なる情報については、PCT出願公報WO 04/014998をご参照願いたい。
【0117】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、100℃で少なくとも2cStの動粘度(kinematic viscosity (KV))を持つ一以上の非官能性可塑剤を約1から約95重量%含む。
【0118】
他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、100℃で少なくとも2cStの動粘度(KV)を持つ一以上の非官能性可塑剤を約5から約85重量%含む。
【0119】
更に、他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、100℃で少なくとも2cStの動粘度(KV)を持つ一以上の非官能性可塑剤を約5から約75重量%含む。
【0120】
ある実施の形態においては、非官能性可塑剤の引火点は少なくとも200℃である。他の実施の形態においては、非官能性可塑剤の引火点は少なくとも195℃である。
【0121】
更に他の実施の形態においては、非官能性可塑剤の引火点は少なくとも190℃である。
【0122】
ある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、充填剤、ピグメント、着色剤、プロセスオイル、可塑剤及びこれらの混合物よりなる群から選択される添加物を約1から約60重量%含む。
【0123】
他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、充填剤、ピグメント、着色剤、プロセスオイル、可塑剤及びこれらの混合物よりなる群から選択される添加物を約5から約50重量%含む。
【0124】
更に他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、充填剤、ピグメント、着色剤、プロセスオイル、可塑剤及びこれらの混合物よりなる群から選択される添加物を約10から約40重量%含む。
【0125】
高分子成分と添加物のブレンド(Blending Polymeric Composition and Additives)
本明細書に記載の組成は高分子成分の均一な混合物を提供するするどの様な手順によっても作ることが出来る。通常、このプロセスの第一段階は高分子成分とプロセスオイル、充填剤、着色剤、抗酸化剤、成核剤(nucleator)、及び流動性向上剤の様な任意の添加物を、これらに限定されるものではないが、次の様な機器を用いて混合する、すなわち成分をメルトプレス(melt pressing)するカーバープレス(Carver press)、成分の溶液又はメルトブレンドするためのバンバリーミキサー(Banbury mixer)又は、ブラベンダーミキサー(Brabender mixer)の様な密閉式ミキサー(internal mixer)、及び成分を均質に接触させるために、拡散する様にデザインされたその他の機械及びプロセスのみならず、1軸、及び2軸押出機(twin screw extruders)、静的ミキサー(static mixers)、衝突ミキサー (impingement mixers)を含む連続混合工程に用いられる設備である。高分子成分の完全な混合物はその組成物の形態の均一性により示され、そのための手順は良く知られている。
【0126】
高分子成分の交差結合が望まれる実施の形態においては、次の段階では、過酸化物又は硫黄化合物の様な化学的硬化剤を均質な混合物と混合し、化学的硬化剤を含む均質な混合物を製品の最終的な形に作り上げ、そして、交差結合が起きるように長い時間に亘り温度を上げることである。他の実施の形態においては、次の段階では均質な混合物を製品の最終的な形に作り上げ、そして、作られた混合物を高エネルギー照射の様な外部の硬化手段に晒しでPPUの交差結合を起させることである。
【0127】
高分子成分の交差結合を含み、高分子ブレンド組成物のための生産プロセスに関する更なる情報は、2,003年11月14日出願の同時係属する米国特許出願60/519,975を参照願いたい。
【0128】
加工された高分子組成物(Processed Polymeric Compositions)
既に検討した様に、本明細書に記載の高分子組成物は加工性と性能属性の独特な組み合わせを持つことにより、広範囲の種類の製品を生み出す種々の異なるタイプの材料を作り出すのに有用である。本明細書に記載の高分子組成物を用いて作り出すことのできる材料には、フィルム、繊維、織布及び不織布、シート、成形品、押出し品、及び熱成形品がある。以下に本明細書に記載の高分子組成物からこれらの材料の幾つかが形成される方法について記載する。
【0129】
繊維(fibers)
ある実施の形態においては、高分子組成物は繊維を生産するのに用いても良い。高分子組成物から繊維を作る方法は良く知られている。本発明の繊維は望ましい軟らかさと弾力性を持っており、例えば、連続フィラメント糸(continuous filament yarn), バルク連続フィラメント糸(bulked continuous filament yarn),スフ糸 (staple fibers), 溶融インフレート 繊維 (melt blown fibers), 及び スパン バウンド繊維(spunbound fibers) の様な種々の用途に用いても良い。この実施の形態における特徴としては、本明細書に記載の組成物を含む繊維は、以下のような優位な点、すなわち、紡糸口金を通して押出された繊維は容易に紡ぐことができ、そして続けて所望のデニールに引くことが出来る。
【0130】
ある実施の形態においては、本発明の繊維の弾性回復、応力緩和及び張力回復特性はアニーリング及び/又は機械的延伸により増進されることもありうる。アニーリングにより、伸張した繊維の内部応力が部分的に緩和され、繊維のブレンド弾性回復特性が回復される。アニーリングにより、結晶構造の内部組織、アモルフォス及び準結晶層の相対的な順序に本質的な変化が生じることが分かる。それにより弾性特性が回復する。繊維は室温より少なくとも約4−5℃高い温度でアニーリングされることもあり、又は室温より少なくとも約6−7℃高い温度であるが、ブレンド組成物の結晶融点より僅かに低い温度でアニーリングされることもある。熱アニールは、約15秒から7日間の間ポリマー繊維を室温から160℃、又は130℃に維持することにより実施する。典型的なアニーリング時間は50℃で3日又は100℃で5分である。アニーリング時間及び温度は、特定のポリマーに応じて実験によって調整することが出来る。このアニーリング プロセスの間、ポリマー鎖の分子間再配置が行われ、アニールされていない材料よりも引張り変形からの回復が大きい材料が得られると信じられている。繊維のアニーリングは機械的延伸(orientation)をすることなく実施されるが、機械的延伸はアニーリングプロセスの一部、例えば、押出し工程の後の一部になり得る。
【0131】
機械的延伸は、引張り力が存在しない状態でポリマー繊維が緩められる前に、短時間の間ポリマー繊維を一時的に強制力で伸張することにより実施することができる。繊維の機械的延伸は繊維の結晶可能な部分を再び延伸することになると信じられている。ポリマー繊維の延伸は、0.1秒から24時間の間ポリマー繊維を100%から700%伸張した状態に維持することにより行われる。典型的延伸は室温で瞬間的に200%伸張することである。
【0132】
繊維の延伸において、ポリマー繊維は高い温度であるがポリマーの結晶融点より低い温度で、繊維のフィードロールから異なる表面スピードで回転する二つのロールの周りを通り、そして最終的に巻き取りローラに送られる。巻き取りロールに最も近い送りローラは、フィードロールに最も近い従動ローラより回転が速いため、繊維は従動ローラの間で伸ばされる。繊維を冷却するために、装置は第二のローラと巻き取りローラの中間のローラを持つこともある。第二のローラ及び巻取りローラは、繊維を伸ばした状態に保つため同じ周辺速度
で運転されることもある。もし、補充的な冷却がされない場合は、繊維は巻き取りローラで周囲温度にまで冷やされる。
【0133】
ある実施の形態においては、本発明は本発明の繊維でつくられた織物を提供する。織物は不織布又は織布を作るための、知られているどの様な方法よって生産しても良い。
【0134】
成形品(Molded Products)
上記の可塑性ポリオレフィン組成物はまた、これに限定されるものではないが、
射出成形(injection molding)、 ガス支援成形(gas-assisted injection molding)、押出しブロー成形(extrusion blow molding)、射出ブロー成形(injection blow molding), 射出ストレッチブロー成形(injection stretch blow molding), 圧縮成形(compression molding), 回転成形(rotational molding), 発泡成形(foam molding), 熱成形(thermoforming), シート押出し(sheet extrusion)及び, 異形押出し(profile extrusion)を含み、どの様な成形プロセスによって成形品を生産するために用いることもできる。これらの成形プロセスは当業者に良く知られている。
【0135】
本明細書に記載の組成物は、技術分野で知られている方法であって、どのような適当な方法によっても所望の最終使用品に形作られる。熱成形(Thermoforming), 真空成形(vacuum forming), ブロー成形(blow molding), 回転成形(rotational molding), スラッシュ成形(slush molding), トランスファー成形(transfer molding)、湿式積み上げ又は接触成形 (wet lay-up or contact molding), 注型成形(cast molding), 冷間形成マッチドダイ成形(cold forming matched-die molding), 射出成形(injection molding)、噴霧技術 (spray techniques)、異形共押し出し(profile co-extrusion)、又はこれらの組み合わせが通常用いられる。
【0136】
熱形成は少なくとも一つの柔軟なプラスチックのシートを所望の形に形成するプロセスである。本明細書に熱形成の一連の手順の実施の形態が記載されているが、これは本発明の組成物にとって有効な熱形成の方法を限定するものと解してはならない。まず、本発明の組成物の押出しフィルム(及び他のどの様な層又は材料でも良い)が、加熱中にそれを支える往復ラック(shuttle rack)に置かれる。往復ラックは形成する前に、フィルムを余熱する炉に入る。フィルムが加熱されると往復ラックは形成工具に戻る。フィルムは、形成工具がフィルムを所定の場所に保持するように形成工具に真空吸着され、形成工具は閉じられる。形成工具は「オス」又は「メス」のタイプの何れの工具でもよい。工具はフィルムを冷却するために閉じられた状態であり、その後開けられる。加工されたラミネートが工具から取外される。
【0137】
シート状の材料が熱形成温度、通常140℃から185℃以上の温度に達すると、熱形成は、真空、陽空気圧、プラグを使用した真空形成、又はこれらの組み合わせ、及びこれらの変形した方法により実行される。特に大きな部品において、材料の分布状態を向上させるために、事前に伸張されるバブルステップが用いられる。ある実施の形態においては、オスの形成工具のオリフィスの真空によって助けられつつ、関節型ラックが加熱されたラミネートをオスの形成工具に向けて持ち上げる。ラミネートがオスの形成工具にしっかりと形付けられると、熱形成により加工されたラミネートはその後、通常、送風機によって冷却される。プラグを使用した成形は通常、小型の、深絞り部品に用いられる。プラグの材料、デザイン及びタイミングはプロセスを最適化するための必須の条件となりうる。断熱発泡材から作られたプラグは、プラスチックを予定より早い時期に冷却されない様にする。プラグの形は普通は型穴(mold cavity)に類似するがそれより小さく、部分の詳細は含んでいない。円形プラグ底は通常材料を均質に分布させ、均一な側壁の厚さを作り出すのに役立つ。ポリプロピレンの様な準結晶性ポリマーでは、通常、速度の早いプラグは、部品において最上の材料分布をもたらす。
【0138】
加工されたラミネートはその後モールドで冷却される。モールドの温度を30℃から60℃に保つ様に十分冷却することが望ましい。ある実施の形態においては、
取り出す前の部品の温度は90℃から100℃である。熱形成において良い挙動を得るためには最小のメルト フローレートを持つポリマーであることが望ましい。加工されたラミネートはその後余分なラミネート材料が取除かれる。
【0139】
ブロー成形は他の適当な成形手段であり、これには、射出ブロー成形(injection blow molding), 多層ブロー成形(multi-layer blow molding), 押し出しブロー成形(extrusion blow molding), 及び 延伸ブロー成形(stretch blow molding)を含み、例えば、特にガスタンク及び他の液体用容器の様な実質的に閉じた又は中空の製品の生産に適している。ブロー成形については、例えば、CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING 90-92 (Jacqueline I. Kroschwitz 編纂, John Wiley & Sons 1990) に更に詳細に記載されている。
【0140】
形成及び加工プロセスについての更なる他の実施の形態においては、異型共押出し(profile co-extrusion)を用いることができる。異型共押出しプロセスのパラメータは、金型の温度が150℃から235℃(上部と底部の二重ゾーン)の範囲であり、フィードブロックが90℃から250℃、水冷タンクの温度が10℃から40℃であることを除いては、上述のブロー成形のプロセスの場合と同様である。
【0141】
射出成形プロセスのある実施の形態は次の通りである。加工されたラミネートは射出成形工具中に置かれる。モールドが閉じられ、基材がモールドに射出される。ある実施の形態においては、基材は、200℃から300℃の間の溶融温度を持ち、又他の実施の形態においては、215℃から250℃、そして2から10秒の射出速度でモールドに射出される。寸法的に及び見た目に適正な部品が作られる様に射出後材料は梱包され、又は一定の時間及び圧力に保たれる。典型的な時間は5から25秒であり、圧力は1,380から10,400kPaである。モールドは基質を冷却するために10℃から70℃の間に冷却される。その温度は所望の光沢及び外観により異なる。典型的な冷却時間は部品の厚さによるが10から30秒である。最後にモールドは開けられ、加工された合成製品が取り出される。
【0142】
同様に、モールドされる製品は溶融ポリマーをモールドに射出し、そしてモールドは溶融ポリマーを所望の形状及び厚さのモールド製品に形つくり、固形化する。シートは、本質的に平らな形状のものを金型を通して、冷却したロールに押出すことにより、又は代替的に、カレンダーリングにより作られることもある。シートは、相当厚いこともあるが、通常は厚さが10milから100mil(254μmから2540μm)である。管類又はパイプは、医療、飲料水、土地の排水等での使用のため、異形押出しにより得られることもある。異形押出しプロセスは溶融ポリマーを金型を通して押出すことを含む。押出された管類又はパイプは、その後冷水又は冷却空気により凝固させて連続押出し製品となる。管類は外径が通常0.31cmから2.54cmの範囲であり、壁の厚さが254μmから0.5cmである。パイプは、通常その外径が2.54cmから 254cmであり、壁の厚さが0.5cmから15cmの範囲である。本明細書に記載の高分子組成物のある実施の形態において作られたシートは容器を作るために用いても良い。その様な容器は、熱形成、固体相圧力形成、スタンピング及び他の成形技術により作っても良い。シートは、床又は他の表面を覆うために作られこともある。
【0143】
熱形成プロセスのある実施の形態においては、炉の温度は160℃から195℃の間であり、炉中にある時間は10から20秒、そして金型の温度、特にオス金型は通常10℃から71℃の間である。冷却された(室温)、加工されたラミネートの最終的厚さは、ある実施の形態においては10μmから6000μmであり、他の実施の形態においては、200μmから6000μmであり、更に他の実施の形態においては、250μmから3000μmであり、更に他の実施の形態においては、500μmから1550μmであり、望ましい範囲はこれら上限値の何れかと下限値の何れかを合わせたものの全てでありうる。
【0144】
射出成形プロセスのある実施の形態においては、加工ラミネートを含み、工具に射出成形される基質材料の溶融温度は、ある実施の形態においては230℃から255℃であり、他の実施の形態においては235℃から250℃であり、ある実施の形態においては充填時間は2から10秒であり、他の実施の形態においては、2から8秒であり、工具の温度は、ある実施の形態においては25から65℃であり、他の実施の形態においては27から60℃である。望ましい実施の形態においては、基質材料は、各層の間の接着を達成するために結合層(tie-layer)材料又は裏張り層(backing layer)を溶融するに十分高い温度である。
【0145】
更に他の実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は、ブロー成形操作により基質材料に固定される。ブロー成形は、燃料タンク、他の液体用容器、遊び場の機器、戸外の設備及び小型閉鎖構造のような閉じた製品を作る場合特に有用である。このプロセスのある実施の形態においては、本明細書に記載の高分子組成物は多層ヘッドを通して押出され、続いて冷却されていないラミネートがモールドのパリソンに入れられる。内部にオス又はメスの型をもつモールドが閉じられ、空気がモールドに吹き込まれて部品が形成される。
【0146】
当業者は上に記載の各ステップは、所望の結果に応じて種々に変形されうることを理解するであろう。例えば、本明細書に記載の組成物の押出しシートは冷却されることなく、すなわち、冷却過程を経ないで、直接熱形成され又はブロー成形されることがある。また、望ましい特徴を持つ最終合成製品を得るために他のパラメータを変えても良い。
【0147】
本明細書に記載の高分子組成物を用いて作られる代表的な製品には、調理機器、保存容器、玩具、医療機器、滅菌可能な医療機器、滅菌容器、シート、箱、コンテナー、梱包、ワイヤー及びケーブルの被覆、パイプ、ジオメンブレン、スポーツ機器、椅子用マット、管類、異形類、器具サンプル保持器及びサンプル窓、戸外用家具(例えば、ガーデン家具)、遊び場の機器、自動車、ボート及び水上用乗り物の部品、及び他のその様な製品を含む。特に、この組成物は自動者用部品、例えば、バンパー、グリル、装備品、ダッシュボード、及び計器パネル、外部ドア、フード部分、スポイラー、ウインドスクリーン、ハブキャップ、ミラーハウジング、ボデーパネル、側部保護成形部分(protective side molding)、及び自動車、トラック、ボート、及び他の乗り物に関連するその他の内部及び外部部分に適している。特に、本明細書に記載の高分子組成物は、歯ブラシ等の個人ケア製品のような製品のソフトタッチ「グリップ」;玩具、応用小物;梱包、台所製品;スポーツ、及びレジャー製品;消費者用電気品;PVC及びシリコンゴム代替用医療チューブ;工業用ホース、及びシャワー用管類の生産に有用である。
【0148】
フィルム(Film)
本明細書に記載の高分子組成物は又フィルムの生産に有用である。高分子組成物のフィルムを作る方法には、これに限定されるものではないが、従来の管状押し出し(tubular extrusion)又はブロー バブル プロセス(blown bubble process)及び注形押出し(cast extrusion)を含み、当業者に良く知られているものを含む。押出し温度、金型温度及び冷却されたロールの温度は使用される組成物によるが、一般的に本明細書に記載の組成物の場合は以下の範囲である:溶融温度、170℃から250℃;金型温度、170℃から250℃;及び冷却されたロール温度、10℃か65℃である。フィルムを作るプロセスは、又エンボス加工ロールがフィルムを冷却し成形することを含む。
【0149】
本発明のフィルムは、本発明のフィルムの一方又は両側に層が接着されている場合もある。これらの層は本発明のフィルムを任意的に追加される一又は複数の層と共押出しすることにより接着させても良い。共押出しされたフィルムでは、個々の層は組成が異なり、そして接触部分の層以外ではその組成を保っている。任意の追加の層は、例えば、本発明のフィルムの粘着する(粘りつく)感じを減少させるエチレンコポリマーのような柔らかな材料であることもある。任意の追加の層は、又例えば、熱可塑性プラスチックであることもある。熱可塑性プラスチック層は、例えば、たわむのを防ぐための弾性フィルムに対する機械的な支持として、及びポリマーフィルムが他の表面に付着するのを防ぐバリアーとして用いられることもある。熱可塑性プラスチック層は、コンポジットフィルムが熱可塑性プラスチック層の降伏点を越えて、例えば、50%を超えて伸ばされ、そして弾性フィルムの弾性力により収縮する場合において、弾性フィルムの使用での必須の部分となることがある。この様に用いられる場合、熱可塑性プラスチックフィルムは、コンポジット弾性フィルムの望ましい表面仕上げを作り出すためにひだを付ける。この目的で用いられる熱可塑性プラスチックには、これに限定されるものではないが、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む。
【0150】
ある実施の形態においては、弾性回復及び応力緩和の様な、本発明のフィルムの機械的特性は、熱アニール及び/又は機械的延伸(mechanical orientation)により向上させることもある。
【0151】
熱アニーリングは、ポリマーブレンド又はこのブレンドから作られた製品を室温から160℃の間の温度で15秒から7日間保持することにより実施される。典型的なアニーリング時間は50℃で3日、又は100℃で5分である。アニーリング時間及び温度は実験によってどの様な特定のブレンド成分に合わせることもできる。このアニーリングプロセスの間にポリマー鎖の分子間再配置が起こり、アニーリングされていない材料よりも、引張変形からの回復が大きい材料を作り出すと信じられている。
【0152】
機械的延伸(mechanical orientation)は、強制的な引張り力が存在しない場合に緩和状態となる前に、ブレンドを一以上の軸に沿って短時間の間、一時的に、強制的に引伸ばすことにより実施することができる。ポリマーの機械的延伸は、ブレンドの結晶可能な部分の再延伸を起すと信じられている。延伸はポリマーブレンド又はこのブレンドから作られた製品を10%から400%、0.1秒から24時間の間引伸ばした状態に維持することで実施される。典型的な延伸は、室温で短時間の間(通常1分より短い)200%引伸ばすことである。
【0153】
フィルムの延伸は、従来の機器及びプロセスを用いて流れ方向(machine direction (MD))又は横断方向(transverse direction (TD))又は両方向(2軸方向)に行われることもある。MDの延伸では、ポリマーフィルムを高い温度で、しかしポリマーの結晶融点より低い温度で、フィルムのフィードロールから異なる表面速度で駆動されている二つのローラの周りを通し、最終的に巻き取りローラに送られる。巻き取りロールに最も近い従動ローラはフィードロールに最も近い従動ローラよりも速く駆動されるため、フィルムは駆動ローラの間で引伸ばされる。装置は第二のローラ及び巻取りローラの中間にあるフィルムを冷却するためのローラを含むこともある。第二のローラ及び巻取りローラはフィルムを伸ばした状態に維持するために同じ周辺速度で駆動されることもある。補助的な冷却が必要ない場合は、フィルムは巻き取りローラ上で周囲温度に冷却される。伸びの程度は従動ローラの相対周辺速度とローラ間の距離による。伸び率が50%/分から500%/分あれば、大半のMD延伸には十分である。
【0154】
TDにおける延伸では、フィルムの延伸はテンター装置で実施される。フィルムは成形され、フィルムロールから引き出され、そして端を掴んで延伸ステップを通してプロセスするために送られる。フィルムは連続して、余熱ステップ、高い温度にされた伸張(stretched)ステップ(例えば、37℃からエチレン結晶可能なコポリマーの結晶溶融温度より僅かに低い温度まで)、アニーリングステップ、及び最終的に冷却ステップを通される。余熱及び伸張ステップ、及びアニーリングステップの一部では、温度は高い状態であるが、ポリマーの結晶融点より低い温度に保たれる。収縮の戻りを最小に留めるため、フィルム上の張力はアニーリング及び冷却ステップの間維持される。周囲温度、すなわち室温又は大気温度に近い温度に冷却されると、保持している力を緩めることもある。フィルムはTDにおいては幾らか収縮(跳ね返り)することもあるが、引き伸ばされたその殆んどの部分の長さを維持する。テンターの運転条件は比較的広い範囲に亘り変わり、例えば、フィルムの成分、フィルム厚さ、所望の延伸の程度及びアニーリング条件を含む幾つかの可変要素により変わる。
【0155】
既に示した様に、延伸プロセスはアニーリングステップを含むこともある。アニーリングは、引き伸ばされたフィルムの内部応力を軽減し、フィルムの保存時での寸法を安定させる。アニーリングは時間と温度に依存する関係を考慮して実施されることもある。
【0156】
フィルム延伸のある特定のプロセスでは、互いに噛み合う溝のあるローラ装置が、所望の、ひだのついた表面仕上げを作り出し、及びフィルムを延伸することを同時に行うために用いられる。その様なプロセスは米国特許4,368,565に記載されている。このプロセスでは、フィルムは2軸方向双方にフィルムを引き伸ばすとともに、そしてフィルムを延伸することの出来る二つの連動する溝つきローラーの間で引き伸ばされる。
【0157】
実験的評価(EXPERIMENTAL EVALUATIONS)
以下のテスト方法及び手順は以下に述べる種々の高分子組成物の実験的評価を行う場合に用いられた。
【0158】
試験方法
本明細書に記載のポリマーの融解熱は以下の様に測定された。約200℃から230℃で加圧された約6から約10mgのシート状のポリマーがパンチ金型で取り除かれ、室温で24−48時間アニールされる。この期間の最後に、サンプルが示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter (Perkin Elmer Pyris Analysis System))におかれ、約−50から約−70℃に冷却される。サンプルは約180から約200℃の最終温度にするために約20℃/分で加熱される。熱出力がサンプルの溶融ピークにある領域として記録され、溶融ピークは通常約30から約175℃での最大ピークであり、そして約0から約200℃の間で起きる。熱出力は融解熱の測定単位としてジュールにより計測される。
【0159】
引張特性(Tensile properties)はASTM D-412による方法により測定された。
【0160】
曲げ強度(Flexural Modulus) はASTM D-790 による方法により測定された。
【0161】
引裂強度(Tear strength) はASTM D-624 による方法により測定された。
【0162】
硬度(Hardness) はASTM D-2240 による方法により測定された。
【0163】
ビカー軟化点(Vicat softening point) はASTM D-1525 による方法により測定された。
【0164】
メルトフローレート(Melt Flow Rate (MFR))及びメルトインデクス(Melt Index) はASTM D-1238.による方法により測定された。
【0165】
密度(Density)はg/cc によりASTM D-1928、手続きC,円板資料に基づき、ASTM 1505に従い決定された。
【0166】
実施例に記載のブレンドは、PPU成分、SBC成分、プロセスオイル及び他の成分を任意の量を含む全ての成分を、185℃から220℃の範囲内に管理された温度で約10分ブラベンダーで集中混合(Brabender intensive mixture)することにより作られた。混合の最後に、混合物が取除かれ、そして215° Cで約 3から 5分間、15.24 cm x 15.24 cmの型で、0.635 cm 厚のパッドにプレスされた。約3.3 mm厚さのフィルムが200° Cで約 3から 5分間引き伸ばされた。この期間の最後に、パッドは冷却され、取除かれ、そして室温で14日間アニーリングされた。必要な形状のテストサンプルがこのパッドから取除かれ、評価された。張力セットの測定のため約0.2mmの厚さのサンプルが上に述べた方法を用いて作られた。
【0167】
張力セットは、100%又は200%伸長され、そして緩められたブレンドのサンプルを用いて決定された。荷重の変化のない場合(又は、名目上荷重がゼロ)に対応したクロスヘッド(crosshead)の距離が長さL2とされた。グリップの間の最初の距離は変形ゾーン(deformation zone)の元の長さ(L1)であった。張力セットは次の式:
張力セット= 100*(L2-L1)/L1
で与えられる。
【0168】
荷重のロスは、荷重及び荷重減少サイクルの50%負荷における応力の減少%として定義される。
【0169】
本明細書に記載の比較例高分子組成物と、典型的な高分子組成物との実験の評価が行われた。表1はそこに示す選択された特性を持つと評価された一以上の高分子組成物で用いられた高分子成分をリストしたものである。リストされた高分子成分は(1)プロピレン誘導単位(PPU)を含むポリマー、(2)従来のポリプロピレンポリマー及び(3)スチレン ブロックコ ポリマーを含む。
【表1】

* 190℃、2.16kg荷重で測定
* * 200℃、5kg荷重で測定
§ 200℃、10kg荷重で測定。0.1564金型
+同時係属の米国特許出願10/474,594を参照
【0170】
PPUl, PPU2, 及び PPU3は表1に示すエチレン誘導単位の重量%を持つエチレン−プロピレン ランダムコポリマーであり、残りはプロピレン誘導単位であり、以下の手順を用いて作ることが出来る。連続重合がヘキサンを溶媒として用いる9リットル連続フロー攪拌タンク反応器で行われた。液体の充満した反応器は9分の滞留時間を持ち、圧力は700kPaに保たれた。ヘキサン、エチレン及びプロピレンの混合供給物が重合熱を除去するために事前に約−30℃まで冷却された。トルエン中の触媒/活性剤溶液及びへキサン中の捕捉剤が重合を開始させるため、別々に、そして連続的に導入された。反応器の温度は、目標の分子量により35℃から50℃の間に維持された。一定の反応器温度を維持するために、重合速度に応じて、供給温度が変えられた。重合速度は0.5 Kg/時間から4 Kg/時間の間で変化させた。ヘキサンが30Kg/時間の割合で、717g/時間のエチレン及び5.14 Kg/時間のプロピレンと混合され、反応器に供給された。重合触媒、ジメチル シリル 架橋bis−インデニル ハフニウム ジメチル(dimethyl silyl bridged bis-indenyl Hafnium dimethyl)であって、N',N'-ジメチルアニリウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボーラート(N',N'-Dimethyl anilinium-tetrakis (pentafluorophenyl)borate)により1:1もル比率で活性化された触媒が0.0135 g/時間の割合で導入された。
【0171】
トリイソブチル アルミニウム(triisobutyl aluminum)の希釈液が触媒ターミネータの捕捉剤として反応器に導入された:この重合にはモル触媒当り約111モル割合の捕捉剤で十分であった。5回の安定した重合の滞留時間の後にこの重合で製造された代表的なポリマー サンプルが収集された。ポリマー溶液は最上部から取り出され、そしてポリマーを分離するためにスチーム蒸留された。蒸留速度は3.7 Kg/時間と計測された。この重合で生産されたポリマーは、エチレン含有量が14%, ムーニ粘度ML (1+4)は 125°Cで 13.1であり、アイソタクチックプロピレン配列を持っていた。
【0172】
種々の種類のポリマーの組成は、主にエチレンのプロピレンに対する比率を変えることにより得られる。ポリマーの分子量は、反応器温度又は、重合速度に対する全モノマーの供給の比率を変えることにより変化させることが出来る。ターポリマー重合のためのジエンが、ヘキサン溶液中でジエンを作り、その必要な体積容量分を計測して反応器に入る混合供給流に加えられた。
【0173】
PP 8013 Ll, Exact(登録商標)PX-5062, Escorene(登録商標)4292, 及びPP3155 はExxonMobil Chemical Company、Houston, Texasfから入手可能である。
【0174】
PP Borsoft(登録商標)SD233CF 及び SA233CFは Borealis 、Denmarkから入手可能である。
【0175】
Kraton(登録商標)G1650, G1655, 及びG1657は Kraton Polymers、 Houston, Texasから入手可能である。
【0176】
Vctor(登録商標) 8508D5 2518, 4461, 7400, 4111, 4211, 及び4411は Dexco Polymers LP、 Houston, TX から入手可能である。
【0177】
Crodamide(登録商標) ER は Croda of Edison, New Jerseyから入手可能なエルクアミド(Erucamide)である。
【0178】
Irganox(登録商標)B 215 はCiba Specialty Chemicalsから入手可能な抗酸化剤である。
【0179】
表2は評価の対象とした一以上の高分子組成物で用いられた高分子成分の幾つかの追加の特性を示す。
【表2】

【0180】
表3に示す各製剤10−12はPPU1ポリマー成分を含む組成物に従来のポリプロピレンを加えた効果を示す。これらの製剤は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして生産したものである。
【表3】

表3に報告されたデータは、PPU1成分を含む高分子組成物において、従来のポリプロピレン成分の濃度が増大するにつれ、高分子組成物のビカー軟化が増大することを示す。
【0181】
更に、種々の引張りにおける硬度及び応力が増大しており、高分子組成物が「硬化する」(stiffening)ことを示している。しかし、ビカー軟化点が増大すると、引張りセット、及びヒステリシス測定によって決定される高分子組成物の弾性は減少する。
【0182】
表4に示す製剤13−17はPPU2ポリマー成分を含む組成物に種々の濃度の従来のポリプロピレンを加えた効果を示す。これらの製剤は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして作ったものである。
【表4】

表4に報告されたデータから、高分子組成物の多くの物理的特性が、成分中に従来のポリプロピレン成分を含むことにより影響を受けることが分かる。例えば、従来のポリプロピレンが加えられると、密度、硬度、曲げ弾性率、100%モジュラス、引張り強度及びビカー軟化点が増大する。
【0183】
表5に示す製剤18−25は、本明細書に記載の高分子組成物を示す。高分子組成物は上で述べた通りのPPU、SBC, 及びTPC重合成分を含む。製剤18−25は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして作ったものである。
【表5】

表5に報告されたデータは、ポリマー成分濃度が異なる場合に、張力セットの測定により決められる高分子組成物の弾力性は、他の物理的特性の広い範囲に亘って維持することができることを示す。これはPPUと従来のポリプロピレンとのブレンドでは不可能であることは注目されるべきである。この効果は特に、高分子組成物の成分の変化によりビカー軟化点が変わっても、張力セットは比較的変わらない実施例21及び22を比較することにより特に明確になる。同様に、実施例18及び20を比較した場合、実施例20においては100%モジュラスは極めて高いにも関わらず、弾性特性は基本的に維持されていることが示されている。
【0184】
表6に示す製剤26−33は、本明細書に記載の高分子組成物を示す。高分子組成物は上で述べた通りのPPU、及びSBC高分子成分を含む。製剤26−33は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして生産したものである。
【表6】

実施例18−25と同様に、実施例26−33に報告されたデータは、二つのポリマー成分ブレンドのポリマー成分濃度が種々異なるが、張力セットによる測定により決定される、高分子組成物の弾力性は維持されることが示される。
【0185】
特に、実施例26−28を見ると、ビカー軟化点、硬度、曲げ弾性率及び引張強度が増しても張力セットの数値は殆んど変化しないことがわかる。また通常のポリプロピレンとのPPUのブレンドでは、引張強度、曲げ弾性率、及びビカー軟化点の何れかが増大した場合、同時に弾性特性の減少が生じることが見られる。
【0186】
弾性特性の維持について、また表7で報告されており、表6の実施例で用いられた成分と異なるSBC成分を含む他の二つの高分子成分ブレンドの特性を報告する実施例の詳細が示されている。製剤34−41は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして生産したものである。上に述べた結論と同様な結論がここでも当てはまる。実施例34から37では、密度、曲げ弾性率、硬度、及びビカー軟化点は全て増大しているのが見られるが、弾性的挙動は全ての組成で維持されている。
【表7】

表8及び 9は実施例42−57の特性について報告する。これらの製剤はPPU成分及びSBC成分を含む追加の二つの高分子成分組成物である。実施例42−57の製剤は上に述べた手順に従いポリマー成分をメルトブレンドして生産したものである。
【0187】
特に、実施例42−57は、異なるSBC成分を持つ高分子組成物において安定した弾性特性が維持されていることを示す。
【表8】

【表9】

【0188】
表10に報告されている実施例58から60は、PPU3とSBSの組み合わせ、及び反応器PPコポリマー(PP 8013LI)、又はランダムPPコポリマー (PP Borsoft(登録商標)TM SA 233 CF)と、高レベルのプロセスオイル (Plastol 537)とのメルト ブレンドの組み合わせにより生産された製剤を示し、オイルの浸出を起すことなく引張強度、伸び及び引裂強度の様な非常に高い機械的特性を持ち低い硬度を持つことを示す。表10の実施例61−62、及び65はSBS及びPPと組み合わされた高い重量%のPPUを含む製剤を示しており、これらの製剤は、引張強度、伸張及び引裂強度の様な非常に高い機械的特性、及びフロー(flow)やシンクマーク(sink mark)の様な目に付く表面欠陥のない優れた射出成形表面特性を持ちつつ低い硬度を持つことを示す。表10の実施例63及び64はPPU3とメタロセンベースのPE (PX-5062)、及びSBSと PPの組み合わせ製剤を表わし、これらの製剤は、引張強度、伸び及び引裂強度の様な非常に高い機械的特性、及びフロー(flow)やシンクマーク(sink mark)の様な目に付く表面欠陥のない優れた射出成形表面特性を持ちつつ低い硬度を持つことを示す。表10の製剤66は、低い硬度と優れた機械的特性及び受け入れ可能なMFRを持つ製品が、自動車の内装用として、衝撃及び曇りの度合が低いという要求を満たすために、その使用を避けるべきプロセスオイルを用いることなく生産されることを示す。
【0189】
表10に報告されている機械特性の測定のためのテストダンベルは、フロー方向に直角、又は平行に、又はその両方向に測った、長さ15mm、巾10mm 及び厚さ2mmの射出成形された円板から切り取られた。
【表10】

本明細書において参照された優先権書類及びテスト手順を含み、全ての特許及び刊行物は、その全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0190】
本発明及びその利益は詳細に記述されているが、本出願の特許請求の範囲に記載された発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更、代替、及び改変がなされうることは了解されねばならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子組成物であって、
(i) プロピレン誘導単位を含むポリマーを高分子組成物の全重量に基づき、約1から約99重量%含み、及び前記ポリマーは75J/gより小さい融解熱と約65から約99%のアイソスタチック三つ組み部分を持ち;
(ii) 高分子組成物の全重量に基づき、約1から約99重量%のスチレンブロックコポリマーを含み;及び
高分子組成物は23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、前記高分子組成物。
【請求項2】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含むコポリマーである請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項3】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、プロピレン以外のモノマーから誘導された少なくとも5重量%のコモノマーを含む請求項2に記載の高分子組成物。
【請求項4】
前記コモノマー単位はエチレン誘導単位である請求項3に記載の高分子組成物。
【請求項5】
プロピレン誘導単位を含む前記コポリマーが約75から約95重量%のプロピレン誘導単位及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む請求項4に記載の高分子組成物。
【請求項6】
ビカー軟化点が少なくとも40℃である請求項5に記載の高分子組成物。
【請求項7】
前記スチレン ブロック コポリマーが0.1から150のメルトフローレートを持つ請求項6に記載の高分子組成物。
【請求項8】
ビカー軟化点が40℃から120℃である請求項7に記載の高分子組成物。
【請求項9】
前記組成のショアーD硬度が50より小さい請求項8に記載の高分子組成物。
【請求項10】
プロピレン誘導単位を含むポリマー及びスチレン ブロック コポリマーの合計重量が高分子組成物の全重量の約60 から約100重量%である請求項8に記載の高分子組成物。
【請求項11】
プロピレン誘導単位を含む約2から約40重量%の追加のポリマーを更に含む請求項10に記載の高分子組成物であって、プロピレン誘導単位を含む前記追加のポリマーは約80から約98%のアイソタクチック三つ組み部分を持ち、少なくとも90重量%のプロピレン誘導単位、及びプロピレン以外のオレフィンから誘導された約2から約10重量%のコモノマー単位を含む前記高分子組成物。
【請求項12】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約5から約20重量%のエチレン誘導単位を含む請求項10に記載の高分子組成物。
【請求項13】
約0.85から約0.94g/cm3の密度を持つ、約1から約35重量%のエチレンコポリマーを含む請求項10に記載の高分子組成物。
【請求項14】
約1から約15重量%の粘着性付与樹脂を含む請求項10に記載の高分子組成物。
【請求項15】
充填剤、ピグメント、着色剤、プロセスオイル、可塑剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択される約1から約60重量%の添加物を含む請求項10に記載の高分子組成物。
【請求項16】
約1から約95重量%の非官能性可塑剤を含む請求項10に記載の高分子組成物であって、前記非官能性可塑剤が100℃で少なくとも2cStの動粘度を持つ、前記高分子組成物。
【請求項17】
前記非官能性可塑剤が少なくとも200℃の引火点を持つ請求項16に記載の高分子組成物。
【請求項18】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが約10から約20重量%のエチレン誘導単位を含む請求項10に記載の高分子組成物。
【請求項19】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約90より小さいショアーA硬度を持つ請求項18に記載の高分子組成物。
【請求項20】
前記スチレン ブロック コポリマーがスチレン誘導単位、及びエチレン誘導単位、ブタジエン誘導単位、イソプレン誘導単位、イソブチレン誘導単位よりなる群から選択される少なくとも一つの他の単位よりなるトリブロック部分(triblock segment)よりなり、前記スチレン ブロック コポリマーは20重量%より小さいジブロック部分(diblock segment)よりなる、前記高分子組成物。
【請求項21】
前記スチレン ブロック コポリマーが、全て又は一部が水素化されている、又はされていないSIS、SBS、SIBS単位より成る群から選択される部分からなる請求項20に記載の高分子組成物。
【請求項22】
高分子組成物であって、
(a) プロピレン誘導単位を含む、約65から約99%のアイソタクチック三つ組み部分を持つポリマー、及び
(b) 約5から約95重量%のスチレン含有量を持つスチレン ブロック コポリマーを含み、
高分子組成物は約0.1から約40のMFRを持ち、90より小さいショアーA硬度を持ち、及びビカー軟化点が少なくとも40℃である、前記高分子組成物。
【請求項23】
引張り強さが40Mpaより小さく、23℃で200%の伸びから100%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ請求項22に記載の高分子組成物。
【請求項24】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約1J/gから約75J/gの溶融熱を持つ請求項23に記載の高分子組成物。
【請求項25】
高分子組成物であって、プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約50から約98%のアイソスタチック三つ組み部分を含み、約0.5から約200のMFR,60J/gより小さい融解熱を持ち、高分子組成物の全重量に基づき約10から約90重量%の量で存在し、及びスチレン ブロック コポリマーが約0.1から約150のMFRを持ち、高分子組成物の全重量に基づき約10から約90重量%の量で存在し、及びプロピレン誘導単位含むポリマー及びスチレン ブロック コポリマーの合計重量が、高分子組成物の全重量の約60から約100重量%の量である請求項24に記載の高分子組成物。
【請求項26】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが少なくとも70重量%のプロピレン誘導単位及び約5.0重量%から約30.0重量%のエチレン誘導単位を含むコポリマーである請求項25に記載の高分子組成物。
【請求項27】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、プロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計重量に基づき、約0.3から約3重量%の範囲内の量のポリエン誘導単位(polyene-derived unit)を更に含む請求項26に記載の高分子組成物。
【請求項28】
前記ポリエン誘導単位が5-エチリデン−2−ノルボルネン(5-ethylidene-2- norbornene)から誘導される請求項27に記載の高分子組成物。
【請求項29】
前記ポリエン誘導単位が、プロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計重量に基づき、約1から約3重量%の範囲内の量で存在する請求項28に記載の高分子組成物。
【請求項30】
前記ポリエン誘導単位が、5−ビニル−2−ノルボルネン(5-vinyl-2-norbornene)から誘導される請求項27に記載の高分子組成物。
【請求項31】
前記ポリエン誘導単位が、プロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計重量に基づき、約0.5から約1.5重量%の範囲内の量で存在する請求項30に記載の高分子組成物。
【請求項32】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーの少なくとも10重量%が交差結合している請求項26に記載の高分子組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の高分子組成物が、その高分子組成物の粘度比が1.2から10となるレベルで交差結合している請求項32に記載の高分子組成物。
【請求項34】
高分子組成物を生産するプロセスであって、前記プロセスは:
(i)プロピレン誘導単位を含み、75J/gより小さい融解熱を持ち、及び約65から約99%のアイソスタチック三つ組み部分を持つポリマー、及び
(ii) スチレンブロックコポリマー
を結合して、23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットをもつ高分子組成物を形成することを含み、
前記高分子組成物は、その組成物の全重量に基づき、約1から約99重量%のプロピレン誘導単位を含むポリマー、及びその組成物の全重量に基づき、約1から約99重量%のスチレン系ブロックコポリマーを含む、
前記プロセス。
【請求項35】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、プロピレン誘導単位を少なくとも75重量%含むコポリマーである請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーがプロピレン以外のモノマーから誘導されるコモノマー単位を少なくとも5重量%含む請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記コモノマー単位がエチレン誘導単位である請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、約75から約95重量%のプロピレン誘導単位、及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
プロピレン誘導単位を含むポリマーとスチレン ブロック コポリマーの合計重量が高分子組成物の全重量の約60から約100重量%である請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記高分子組成物のビカー軟化点が少なくとも40℃である請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
プロピレン誘導単位を含むポリマー及びスチレンブロックコポリマーが溶融ブレンド プロセスを用いて結合される請求項39に記載のプロセス。
【請求項42】
高分子組成物を含むフィルムであって、前記高分子組成物は
(i) プロピレン誘導単位を含むポリマーを、高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%含み、前記ポリマーは75 J/gより小さい融解熱を持ち、及び約65から約99重量%のアイソタクチック三つ組み部分を含み;
(ii) 高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%の、スチレン ブロック コポリマーを含み;及び
高分子組成物は23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、前記フィルム。
【請求項43】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含む請求項42に記載のフィルム。
【請求項44】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、プロピレン以外のモノマーから誘導されるコモノマー単位を少なくとも5重量%含む請求項43に記載のフィルム。
【請求項45】
前記コモノマー単位がエチレン誘導単位である請求項44に記載のフィルム。
【請求項46】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約75から約95重量%のプロピレン誘導単位、及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項47】
前記高分子組成物が少なくとも40℃のビカー軟化点を持つ請求項46に記載のフィルム。
【請求項48】
高分子組成物を含む織物であって、前記高分子組成物は
(i) プロピレン誘導単位を含むポリマーを、高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%含み、前記ポリマーは75 J/gより小さい融解熱を持ち、及び約65から約99重量%のアイソタクチック三つ組み部分を持ち;、
(ii) 高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%の、スチレン ブロック コポリマーを含み;及び
高分子組成物は23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、前記織物。
【請求項49】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含む請求項48に記載の織物。
【請求項50】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、プロピレン以外のモノマーから誘導されるコモノマー単位を少なくとも5重量%含む請求項49に記載の織物。
【請求項51】
前記コモノマー単位がエチレン誘導単位である請求項50に記載の織物。
【請求項52】
前記織物が不織布であり、及びプロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約75から約95重量%のプロピレン誘導単位、及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む請求項51に記載の織物。
【請求項53】
前記高分子組成物が少なくとも40℃のビカー軟化点を持つ請求項52に記載の織物。
【請求項54】
高分子組成物を含む繊維であって、前記高分子組成物は
(i) プロピレン誘導単位を含む、高分子組成物の全重量に基づき約1から約99%のポリマーを含み、前記ポリマーは75 J/gより小さい融解熱を持ち、及び約65から約99重量%のアイソタクチック三つ組み部分を含み;、
(ii) 高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%の、スチレン ブロックコポリマーを含み;及び
前記高分子組成物は200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、前記繊維。
【請求項55】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含むコポリマーである請求項54に記載の繊維。
【請求項56】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、プロピレン以外のモノマーから誘導されるコモノマー単位を少なくとも5重量%含む請求項55に記載の繊維。
【請求項57】
前記コモノマー単位がエチレン誘導単位である請求項56に記載の繊維。
【請求項58】
前記高分子組成物が少なくとも40℃のビカー軟化点を持つ請求項57に記載の繊維。
【請求項59】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約1から約75 J/gの融解熱を持つ請求項58に記載の繊維。
【請求項60】
高分子組成物を含む商品であって、前記高分子組成物は
(i) プロピレン誘導単位を含むポリマーを、高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%含み、前記ポリマーは75 J/gより小さい融解熱を持ち、及び約65から約99重量%のアイソタクチック三つ組み部分を含み;、
(ii) 前記高分子組成物の全重量に基づき約1から約99重量%の、スチレン ブロック コポリマーを含み;及び
前記高分子組成物は23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持ち、及び
前記商品は衣料品、シーツ、成形品、押出し成形品、及び熱成形品より成る群から選択される、前記商品。
【請求項61】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、少なくとも75重量%のプロピレン誘導単位を含む請求項60に記載の商品。
【請求項62】
プロピレン誘導単位を含むポリマーが、少なくとも5重量%のプロピレン以外のモノマーから誘導されるコモノマー単位を含む請求項61に記載の商品。
【請求項63】
前記コモノマー単位がエチレン誘導単位である請求項62に記載の商品。
【請求項64】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが約75から約95重量%プロピレン誘導単位及び約5から約25重量%のエチレン誘導単位を含む請求項63に記載の商品。
【請求項65】
前記高分子組成物が少なくとも40℃のビカー軟化点を持つ請求項64に記載の商品。
【請求項66】
高分子組成物であって、
(i) プロピレン誘導単位を含むポリマーを含む高分子組成物を約1から約99重量%含み、前記ポリマーは75 J/gより小さい融解熱、及び約50から約99%のアイソタクチック三つ組み部分を含み;、
(ii) スチレン ブロック コポリマーを含む高分子組成物を約1から約99重量%含み;及び
高分子組成物は23℃で200%の伸びから150%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、前記高分子組成物。
【請求項67】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約75重量%のプロピレン誘導単位、及び約5から約30重量%のエチレン誘導単位を含む請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが75から95重量%のプロピレン誘導単位及び5から25重量%のエチレン誘導単位、及び好ましくは10から20重量%のエチレン誘導単位を含む請求項66または67に記載の組成物。
【請求項69】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが65%から約98%のアイソタクチック三つ組み部分、0.5から200のMFR及び/又は60J/gより小さい融解熱を持つ請求項66乃至68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーのショアーA硬度が90より小さい、請求項66乃至69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
前記スチレン ブロック コポリマーが0.1から150のメルトフロー レート(melt flow rate)、及び/又は5から95重量%のスチレン含有量を持つ請求項66乃至70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
前記スチレン ブロック コポリマーが、スチレン誘導単位及びエチレン誘導単位、ブタジエン誘導単位、イソプレン誘導単位、イソブチレン誘導単位からなる群から選択される少なくとも一つの他の単位よりなるトリブロック部分(triblock segment)よりなり、前記スチレン ブロック コポリマーは20重量%より小さいジブロック部分(diblock segment)より成る請求項66乃至71のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
前記スチレン ブロック コポリマーが、その全体、又は部分が水素化(hydrogenation)されているか否かに関わらず、SIS、SBS、SIBS単位から成る群から選択される部分からなり、及びスチレン ブロック コポリマー中の約1から約99%のジエン単位が水素化されている請求項66乃至72のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
少なくとも40℃、及び好ましくは120℃より低いビカー軟化点を持つ請求項66乃至73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
前記組成物が0.1から40のMFR、及び/又は50より小さいショアーD硬度を持つ請求項66乃至74のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項76】
プロピレン誘導単位を含むポリマー及びスチレン ブロック コポリマーの合計重量が高分子組成物の約60から約100重量%を占める請求項66乃至75のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項77】
プロピレン誘導単位を少なくとも90重量%、及びプロピレン以外のオレフィンから誘導されるコモノマーを10重量%未満含む追加のポリマーを約2から約40重量%含み、プロピレン誘導単位を含む前記追加のポリマーはアイソタクチック三つ組み部分を80%から98%含む、請求項66乃至76のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項78】
少なくとも50モル%のエチレン誘導単位を含む約0.85から約0.94の密度を持つエチレン コポリマーを、1から約35重量%含む請求項66乃至77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
DSCによるガラス転移温度が20℃より大きい、粘着性付与樹脂、好ましくはロジン、又は炭化水素樹脂を1から15重量%含む請求項66乃至78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
充填剤、ピグメント、着色剤、プロセスオイル、可塑剤及びこれらの混合物よりなる群から選択される1から60重量%の一つの添加剤を含む請求項66乃至79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
1から95重量%の非官能性可塑剤を含み、前記非官能性可塑剤は100℃において少なくとも2cStの動粘度を持ち、好ましくは少なくとも200℃の引火点(flash point)を持つ、請求項66乃至80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
40 MPaより小さい引張り強さ、及び23℃で200%の伸びから100%より小さい伸びに戻る張力セットを持つ、請求項66乃至81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが1から75J/gの融解熱を持ち、スチレン ブロック コポリマー中の5から95%のジエン単位が水素化されている請求項66乃至82のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項84】
プロピレン誘導単位を含むポリマー、及びスチレン ブロックコポリマーの合計重量が高分子組成物の60から100重量%を占める請求項66乃至83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
プロピレン誘導単位を含む前記ポリマーが、プロピレン誘導単位及びエチレン誘導単位の合計重量に基づき、0.3重量%から、好ましくは0.5重量%から、及びより好ましくは1重量%から、3重量%まで、好ましくは1.5重量%までの範囲の量のポリエン誘導単位を追加的に含み、前記ポリエンは好ましくはジエン、及び特に5‐エチリデン−2−ノルボルネン(5-ethylidene-2- norbornene)及び/又は5−ビニル−2−ノルボルネン(5- vinyl-2-norbornene)から誘導されたものである、請求項66乃至84のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項86】
その後に任意選択的に交差結合させることを含む、高分子組成物を形成するために、プロピレン誘導単位を含むポリマー及びスチレン ブロック コポリマーを溶融ブレンドすることを含む、請求項1乃至85のいずれか1項に記載の高分子組成物を生産するプロセス。
【請求項87】
請求項66乃至85のいずれか1項に記載の組成物よりなるフィルム。
【請求項88】
請求項66乃至85のいずれか1項に記載の高分子組成物よりなる不織布。
【請求項89】
請求項66乃至85のいずれか1項に記載の高分子組成物より成る繊維。
【請求項90】
請求項66乃至85のいずれかに記載の高分子組成物よりなる衣料品、シート、成形品、押出し成形品、及び熱成形品よりなる群から選択される。

【公表番号】特表2008−510031(P2008−510031A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525625(P2007−525625)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/025682
【国際公開番号】WO2006/020309
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】