説明

高分子電解質、およびその利用

【課題】特に固体高分子形燃料電池の電解質膜、電極形成用バインダーとして有用な高分子電解質を提供する。つまり、安価で化学構造の多様性を持つ炭化水素系材料であって、高温低加湿下でのプロトン伝導性に優れ、含水時の機械強度に優れる高分子電解質を提供する。この高分子電解質を用いて構成した固体高分子形燃料電池は、優れた特性と耐久性を示す。
【解決手段】主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなる疎水部オリゴマーと、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなる親水部オリゴマーとからなる、高分子電解質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池に用いられる高分子電解質、高分子電解質膜、電極形成用高分子電解質バインダー、またそれらによって構成される燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化等の環境問題の観点から、燃料電池が注目されている。燃料電池は、水素ガスやメタノール等の燃料と酸素等の酸化剤を、それぞれ電解質で隔てられた電極に供給し、一方で燃料の酸化を、他方で酸化剤の還元を行い、直接発電するものである。
燃料電池の材料のなかで、重要な部材の一つが電解質である。その電解質からなる、燃料と酸化剤とを隔てる電解質膜としては、これまで様々なものが開発されているが、近年、特にスルホン酸基等のプロトン伝導性官能基を含有する高分子化合物から構成される高分子電解質の開発が盛んである。
【0003】
このような背景から、スルホン酸基等のプロトン伝導基の導入範囲を広く調整できる炭化水素系高分子電解質膜の開発が期待されるようになってきた。炭化水素系高分子電解質膜は、化学構造の多様性を持たせやすく、他の材料との複合化、架橋の導入等が比較的容易である等の特性を有している。このような高分子材料の主鎖構造としては、ポリエーテル、ポリイミド、ポリスルホン等さまざまな構造が挙げられるが、近年、高い化学的安定性や結晶性の性質を持つことから、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドが注目されている。特にポリベンズイミダゾールは塩基性を持つことから、これを利用した開発も進められている。
【0004】
特許文献1には、ポリベンズイミダゾールのフィルムに燐酸を含浸させた高温型高分子電解質膜が提案されている。しかしながら、燐酸を含浸させた膜は、長期間の燃料電池運転による燐酸の染み出しや、適切な触媒層用イオノマーが無い等の問題があった。また、特許文献2には、疎水部がポリベンズイミダゾール、親水部がスルホン酸基を導入した脂肪族部位である高分子電解質が提案されている。しかしながら、脂肪族部位は、耐熱性や化学的耐久性に乏しく、長期間の燃料電池運転には使用が困難であった。さらに、非特許文献1、非特許文献2には、ポリベンズイミダゾールにスルホン酸基を導入した電解質膜が提案されているが、スルホン酸基は主鎖中にランダムに導入されており、この膜だけでは十分なプロトン伝導性を示さず、やはり燐酸を含浸しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−153174号公報
【特許文献2】特開2005−54170号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Xavier Glipa,Mustapha El Haddad,Deborah J.Jones,Jacques Roziere Solid State Ionics 97(1997)323−331
【非特許文献2】Juan Antonio Asensio,Salvador Borros,Pedro Gomez−Romero Journal of Polymer Science:Part A,Polymer Chemistry,Vol.40,3703−3710(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、固体高分子形燃料電池の高分子電解質膜、電極形成用高分子電解質バインダーとして有用な高分子電解質を提供することを目的とする。つまり、高温低加湿下でも優れたプロトン伝導性を持つように高いイオン交換容量を持ちながらも、含水時の機械強度にも優れる高分子電解質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなる疎水部オリゴマーと、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなる親水部オリゴマーとからなる、高分子電解質とすることにより、高いイオン交換容量を有し、かつ、含水時の機械強度にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなる疎水部オリゴマーと、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなる親水部オリゴマーとからなる、高分子電解質に関する。
また、本発明は、上記疎水部オリゴマーが、ポリベンズイミダゾールのみからなる、上記高分子電解質に関する。
また、本発明は、上記ポリベンズイミダゾールの構造が、下記一般式群(1)に記載の構造の少なくとも1つを繰り返し単位として含むことを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Arは、下記式群(2)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。)
【0012】
【化2】

【0013】
また、本発明は、上記親水部オリゴマーの構造が、主鎖にイミダゾール構造およびイミド構造を含まないことを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
また、本発明は、上記親水部オリゴマーの構造が、下記一般式群(3)に記載の構造の少なくとも1つを繰り返し単位として含むことを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Arは、下記式群(4)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。Arは、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基、nは1〜4の整数、Xは−O−または−S−、Yは−SO−または−CO−を表す。)
【0016】
【化4】

【0017】
また、本発明は、上記親水部オリゴマーが、側鎖を形成する芳香族基を有し、かつ、少なくとも側鎖を形成する芳香族基にスルホン酸基を有することを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
また、本発明は、上記Arが、下記式群(5)に記載の構造を有し、かつ、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基であることを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
【0018】
【化5】

【0019】
また、本発明は、イオン交換容量が、1.5〜4.0meq./gであることを特徴とする、上記高分子電解質に関する。
さらに、本発明は、上記高分子電解質を含むことを特徴とする、燃料電池用高分子電解質膜に関する。
さらに、本発明は、上記高分子電解質を含むことを特徴とする、燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダーに関する。
さらに、本発明は、上記燃料電池用高分子電解質膜および/または上記燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダーを含むことを特徴とする、固体高分子形燃料電池に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プロトン伝導性、特に高温低加湿下でのプロトン伝導性に優れ、かつ、含水時の機械強度にも優れる高分子電解質を提供することができる。
また、この高分子電解質を、高分子電解質膜、電極形成用高分子電解質バインダーに用いることによって、高温においても燃料ガスの湿度によらず高い性能を持ち、機械特性に優れることから、長時間使用における信頼性の高い燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる高分子電解質を使用した固体高分子形燃料電池の要部断面の構造模式図である。
【図2】実施例1の高分子電解質膜の断面STEM写真である。
【図3】実施例1の高分子電解質の構造及びプロトンNMRチャートである。
【図4】実施例2の高分子電解質の構造及びプロトンNMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0023】
<1.高分子電解質>
本発明の高分子電解質は、主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなる疎水部オリゴマーと、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなる親水部オリゴマーとからなるものである。
つまり、本発明の高分子電解質は、親水部オリゴマーと疎水部オリゴマーからなるブロック共重合体型高分子電解質である。上記のような親水部オリゴマーと疎水部オリゴマーからなるブロック共重合体型とすることにより、高分子電解質の高温低加湿下でのプロトン伝導性が向上する。
【0024】
本発明における親水部オリゴマーは、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなるものである。つまり、当該親水部オリゴマーは、スルホン酸基が導入されているオリゴマーである。このように、親水部オリゴマーがスルホン酸基を有するので、高分子電解質のプロトン伝導性が発現し、親水部オリゴマーの主鎖が主に芳香環からなるので、高分子電解質は耐熱性、化学的耐久性に優れるものになる。
【0025】
本発明におけるスルホン酸基としては、例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩の基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。つまり、スルホン酸基は、例えば、ナトリウム、カリウム等の塩になっていてもよいし、ネオペンチルエステル、メチルエステル、プロピルエステル等のエステル保護状態でもよい。特にオリゴマー合成中や合成後は、塩やエステル等の保護基を有する状態になっているのが好ましいことが多いが、当該高分子電解質が、例えば燃料電池の電解質やイオン交換樹脂として用いられる場合は、無機酸の水溶液等に浸漬することにより、スルホン酸基に変換して使用されることが多い。よって、本発明においては、スルホン酸基としては、容易にスルホン酸基になる状態の基であれば、塩やエステル等の保護基を有する状態の基も含まれる。
【0026】
スルホン酸基の量は、親水部オリゴマーを形成する繰り返し単位当たり、1〜6個が好ましく、1〜4個がより好ましい。6個よりスルホン酸基の量が多くなると、親水部オリゴマーの水溶性が高くなり、合成中の取り扱いが難しくなる傾向がある。1個より少ないと十分なプロトン伝導性が発現しにくくなる傾向がある。
【0027】
本発明における親水部オリゴマーは、主鎖が主に芳香環からなるものである。
ここで「主鎖が主に芳香環からなる」とは、親水部オリゴマーにおける主鎖の連結基(エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基等)以外の部分の分子量を100%とした場合、その70%以上が芳香環からなるということを意味する。
【0028】
芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、硫黄や窒素等を含む芳香族複素環等が挙げられる。
【0029】
また、当該親水部オリゴマーの構造が、主鎖にイミダゾール構造およびイミド構造を含まないことが、合成の容易さ、ブロック共重合体としたときの溶解性の点から好ましい。
【0030】
当該親水部オリゴマーの具体的な例としては、下記一般式群(3)に記載の構造の少なくとも1つを、繰り返し単位として含むもの等が挙げられる。
【0031】
【化6】

【0032】
(式中、Arは、下記式群(4)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。Arは、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基、nは1〜4の整数、Xは−O−または−S−、Yは−SO−または−CO−を表す。)
なお、上記一般式群(3)の繰り返し単位が複数回繰り返された場合、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。
【0033】
【化7】

【0034】
また、上記Arは、下記式群(5)に記載の構造を有し、かつ、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基であると、つまり、下記式群(5)に記載の構造を有する2価の芳香族基にスルホン酸基が少なくとも1つ導入された構造であると、合成が容易で好ましい。
【0035】
【化8】

【0036】
親水部オリゴマーの具体例としての、一般式群(3)に記載の構造において、ベンゼン環上に置換基を有していてもよい。また、Arにおいて、式群(4)に記載の構造を有する2価の基は、置換基を有していてもよい。さらに、Arにおいて、式群(5)に記載の構造を有する2価の芳香族基は、スルホン酸基以外に、置換基を有していてもよい。
これら置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等)、フェニル基等が挙げられる。また、当該置換基を1個以上有することができる。
【0037】
親水部オリゴマーは、スルホン酸基を有するものであるが、その主鎖、側鎖のいずれにスルホン酸基を有していてもよい。
また、親水部オリゴマーは、側鎖を形成する芳香族基を持ち、かつ、この側鎖を形成する芳香族基にスルホン酸基を有すると、本発明の目的の一つである低加湿下における優れたプロトン伝導性をより発現しやすく、好ましい。
側鎖を形成する芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0038】
親水部オリゴマーを構成するモノマーとしては、例えば、上記一般式群(3)の構造を構成しうるモノマー等が挙げられ、具体的には、下式で表されるモノマー等が好ましく挙げられる。また、上記一般式群(3)においてXが−S−である親水部オリゴマーを作製する場合等には、下式で表されるモノマーにおいて、−OH基の代わりに−SH基としたモノマー等も挙げられる。さらに、後述のように、スルホン酸基を有するモノマーの重合により親水部オリゴマーを作製する場合等には、下式で表されるモノマーにおいて、そのベンゼン環上にスルホン酸基を有しているモノマー等も挙げられる。
【0039】
【化9】

【0040】
本発明における疎水部オリゴマーは、主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなるものである。これにより、本発明の高分子電解質は、含水時の機械強度に優れたものになる。
本発明における疎水部オリゴマーは、親水部との相分離を明確にして、高分子電解質の低加湿下でのプロトン伝導性を向上させ、また、高分子電解質の強度をより効果的に向上させるため、実質的にスルホン酸基を有さないことが好ましい。当該疎水部オリゴマーは、スルホン酸基が全く導入されていないことが好ましいが、親水部オリゴマーに対して相対的に疎水性であればよく、繰り返し単位あたりのスルホン酸基の数が親水部オリゴマーの1/10以下であれば良い。
つまり「実質的にスルホン酸基を有さない」とは、疎水部オリゴマーがスルホン酸基を全く有さないか、疎水部オリゴマーにおける繰り返し単位あたりのスルホン酸基の数が、親水部オリゴマーにおける繰り返し単位あたりのスルホン酸基の数の1/10以下であることを意味する。
【0041】
当該疎水部オリゴマーは、ポリベンズイミダゾールのみからなる構造であることが、機械強度がより向上する点から好ましい。
ポリベンズイミダゾールとしては、主鎖にベンズイミダゾール基を有するものであれば特に限定されないが、具体的には、下記一般式群(1)に記載の構造の少なくとも1つを繰り返し単位として含むことが好ましい。
【0042】
【化10】

【0043】
(式中、Arは、下記式群(2)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。)
なお、上記一般式群(1)の繰り返し単位が複数回繰り返された場合、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。
Arにおいて、式群(2)に記載の構造を有する2価の基は、置換基を有していてもよいが、当該置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等)、フェニル基等が挙げられる。また、当該置換基を1個以上有することができる。
【0044】
【化11】

【0045】
疎水部オリゴマーを構成するモノマーとしては、例えば、上記一般式群(1)の構造を構成しうるモノマー等が挙げられ、テトラアミン化合物とジカルボン酸化合物の組合せ等が挙げられる。より具体的には、下式で表されるモノマー等が好ましく挙げられる。
【0046】
【化12】

【0047】
親水部オリゴマー、疎水部オリゴマーの分子量は、その化学構造や合成のしやすさ等により異なるが、数平均分子量でそれぞれ700〜30,000g/molが好ましく、2000〜10,000g/molがより好ましい。700g/molより小さいと、ブロック共重合体型高分子電解質としての特性が現れにくくなる傾向があり、30,000g/molより大きいと、溶解性等の問題で合成が困難になりやすい傾向がある。
【0048】
本発明の高分子電解質の分子量は、数平均分子量で10,000〜300,000g/molが好ましく、合成の容易さと溶媒への溶解度のバランスから、30,000〜150,000g/molがより好ましい。
上記各オリゴマー及び高分子電解質の分子量は、実施例に記載の測定方法により求めることができる。
【0049】
また、高分子電解質のイオン交換容量(以下、イオン交換容量をIECと略すことがある)は、1.5〜4.0meq./gであると、電解質としての性能を発現し易いために好ましく、2.0〜4.0meq./gであると、低加湿下におけるプロトン伝導性とのバランスに優れるためにより好ましい。
当該高分子電解質のイオン交換容量は、実施例に記載の高分子電解質膜のイオン交換容量の測定方法と同様にして求めることができる。
また、meq./gは、ミリ当量/gを意味する。
【0050】
また、機械強度をより向上させたり、水分に対する膨潤を抑制するために、高分子電解質に架橋の導入等の化学的変性を行うことも、本発明の範疇である。
【0051】
本発明の高分子電解質は、従来公知の方法により作製することができる。例えば、親水部オリゴマーとなりうるオリゴマー(親水部オリゴマー前駆体)を作製後、スルホン酸基を導入して親水部オリゴマーを作製し、これと疎水部オリゴマーをブロック共重合体化する方法;親水部オリゴマーとなりうるオリゴマーを作製後、これと疎水部オリゴマーをブロック共重合体化し、ブロック共重合体の親水部となりうるオリゴマーのみをスルホン酸化して、親水部−疎水部ブロック共重合体とする方法;スルホン酸基を有するモノマーの重合により親水部オリゴマーを作製し、これと疎水部オリゴマーをブロック共重合体化する方法;疎水部オリゴマーとスルホン酸基を有する多量のモノマーと重合することにより、結果的に親水部オリゴマーと疎水部オリゴマーのブロック共重合体とする方法;等が例示できる。
【0052】
以下に、本発明の高分子電解質の製造方法について、一例を挙げて説明する。なお、本発明の高分子電解質の重合方法については、以下に限定されるものではない。
まず、前述のモノマーを用いて、親水部オリゴマー前駆体(親水部オリゴマーとなりうるオリゴマー)、疎水部オリゴマーを調製する。これらを得るには、末端に水酸基等の求核性の置換基を有するモノマーと、末端にハロゲン化合物等の脱離基を有するモノマーを縮合する方法や、脱離基を有するモノマー中に触媒を加えて縮合させる方法等が挙げられる。
【0053】
重合反応(縮合反応)は、溶媒を用いない溶融状態でも行うことは可能であるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン等が挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、例えばジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
スルホン系溶媒としては、例えばスルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
重合反応工程の反応温度は、重合反応に応じて適宜設定すればよい。具体的には、最適使用範囲の20℃〜250℃に設定すればよく、より好ましくは40℃〜200℃である。20℃よりも低温であれば反応が遅くなる傾向があり、250℃よりも高温であれば主鎖が切れやすくなる傾向がある。
重合反応工程の反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜500時間、より好ましくは0.5〜300時間である。
【0055】
本発明においては、親水部オリゴマーは、親水部オリゴマー前駆体を調製した後、これにスルホン酸基を導入して得ることができる。つまり、ブロック共重合体化する前にスルホン酸基を導入しておくことができる。
親水部オリゴマーは、親水部オリゴマー前駆体とスルホン酸化剤を反応させることにより、合成することができる。
スルホン酸化剤としては、例えばクロロスルホン酸、無水硫酸、発煙硫酸、硫酸、アセチル硫酸等が挙げられ、クロロスルホン酸、発煙硫酸が適度な反応性を有しているために好ましい。
【0056】
スルホン酸化反応において、溶媒は用いても用いなくてもよい。
溶媒を用いる場合、溶媒としては、スルホン酸化剤に対して不活性なものであればよく、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素が挙げられ、特に炭素数5〜15の直鎖状または分岐状の炭化水素が好ましく、溶解度の点から、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンがより好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素等が挙げられる。
ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等が挙げられ、取り扱いの容易さからジクロロメタンが好ましい。
ハロゲン化芳香族炭化水素としては、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等が挙げられ、取り扱いの容易さからクロロベンゼンが好ましい。
【0057】
スルホン酸化工程の反応温度は、反応に応じて適宜設定すればよく、具体的にはスルホン酸化剤の最適使用範囲である−80℃〜200℃に設定すればよく、より好ましくは−50℃〜150℃であり、さらに好ましくは−20℃から130℃である。−80℃よりも低温であれば反応が遅くなり、目的とするスルホン酸化が100%まで進行しない傾向があり、200℃よりも高温であれば副反応が起こる傾向がある。
【0058】
スルホン酸化工程の反応時間は、親水部オリゴマー前駆体の構造により適宜選択され得るが、通常1分間〜50時間程度の範囲内であればよい。1分間より短いと均一なスルホン酸化が進行しない傾向があり、50時間より長いと副反応が起こる傾向がある。
【0059】
スルホン酸化工程におけるスルホン酸化剤の添加量は、親水部オリゴマー前駆体に含まれるスルホン酸化される部位の全量を1当量とした場合、1当量〜50当量であることが好ましい。1当量より少ないと、スルホン酸化される部位が不均一になる傾向があり、一方、50当量より多いと親水部オリゴマー前駆体の主鎖が切断されやすい傾向がある。
【0060】
スルホン酸化工程における親水部オリゴマー前駆体の濃度は、スルホン酸化剤と接触させた場合に均一に反応が進行すれば特に限定されないが、親水部オリゴマー前駆体が低分子量化等の副反応を起こさないことと、溶媒量抑制によるコスト優位性の観点から、スルホン酸化反応に用いた化合物全体の重量に対して1〜30重量%であることが好ましい。
【0061】
上記のようにして親水部オリゴマー及び疎水部オリゴマーを得た後、これらを化学結合させてブロック共重合体化させることにより、ブロック共重合体(高分子電解質)を得る。
親水部オリゴマー及び疎水部オリゴマーを化学結合させてブロック共重合体化させる方法としては、特に制限は無く、重合するモノマーの反応性によって適宜定める事ができる。重合法の詳細は、一般的な方法(「高分子の合成と反応(2)」p.249−255、(1991)共立出版株式会社)を適用することができる。具体的には、例えば、末端に水酸基等の求核性の置換基を有するオリゴマーを調製し、別途調製した末端にハロゲン化合物等の脱離基を有するオリゴマーを塩基存在下に縮合させることにより、ブロック共重合体化させる。あるいは、末端にハロゲン化合物を有する各オリゴマー同士を遷移金属存在下に縮合させることにより、ブロック共重合体化させることもできる。また、本発明の疎水部オリゴマーのひとつであるポリベンズイミダゾールの重合方法や、親水部オリゴマーとのブロック共重合体化については、従来公知の方法が適用しうるが、例えばJOURNAL OF POLYMER SCIENCE PART A: POLYMER CHEMISTRY DOI 10.1002/POLAに示される方法が簡便で参照しうる。
【0062】
<2.高分子電解質膜>
本発明の高分子電解質膜は、本発明の上記高分子電解質を含んでなるものである。即ち、本発明の高分子電解質膜は、その高分子電解質を含んだ状態で適正な方法で製膜して得られるものである。
当該高分子電解質膜としては、本発明の高分子電解質を単独で用いてもよいし、本発明の高分子電解質とその他の高分子電解質等を混合して用いてもよい。
プロトン伝導性の点から、本発明の高分子電解質膜においては、本発明の高分子電解質が、当該高分子電解質膜全体の70重量%以上を占める主成分であることが好ましい。
【0063】
高分子電解質の製膜方法としては、特に限定されず、例えば、溶液を平板上にキャストするキャスト法;ダイコータ、コンマコータ等により平板上に溶液を塗布する方法;溶融した高分子材料を延伸等する方法等の一般的な方法が採用できる。なお、高分子電解質溶液とする場合に用いられる溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。溶媒の乾燥温度は、好ましくは10〜200℃、より好ましくは40〜150℃である。乾燥時間は、枚葉で乾燥する場合は、好ましくは10分間〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。連続で乾燥する場合は、乾燥温度を比較的高めに設定し、20秒間〜10分間が好ましい。
また、電解質膜を得た後に、分子配向等を制御するために二軸延伸等の処理を施したり、結晶化度や残存応力を制御するための熱処理を施しても構わない。
さらに、高分子電解質膜の機械強度を上げるために、各種フィラーを添加したり、ガラス不織布等の補強剤と、プレス、含浸等により複合化させることもできる。
また、製膜時に適当な化学的処理を施してもよい。化学的処理としては、例えば、電解質膜の強度を上げるための架橋、伝導性を上げるためのプロトン性化合物の添加、耐久性向上やイオン架橋のための微量の多価金属イオンの添加等が挙げられる。
いずれにしても、本発明の高分子電解質を用いて、従来公知の技術と組み合わせて製造される高分子電解質膜は、本発明の範疇である。
また、本発明の高分子電解質膜において、通常用いられる各種添加剤、例えば相溶性向上のための相溶化剤、樹脂劣化防止のための酸化防止剤、フィルムとしての成型加工における取り扱いを向上させるための帯電防止剤や滑剤等は、電解質膜としての加工や性能に影響を及ぼさない範囲で適宜用いることが可能である。
【0064】
本発明の高分子電解質膜の厚さとしては、用途に応じて任意の厚さを選択することができる。例えば、高分子電解質膜の抵抗を低減することを考慮した場合、高分子電解質膜の厚さは薄い程よい。一方、高分子電解質膜のガス遮断性、ハンドリング性、電極との接合時の耐破れ性等を考慮すると、高分子電解質膜の厚さは薄すぎると好ましくない場合がある。これらを考慮すると、高分子電解質膜の厚さは、1.2μm以上350μm以下が好ましく、5μm以上200μm以下がより好ましい。当該高分子電解質膜の厚さが1.2μm以上350μm以下であれば、製造が容易となり、加工時や乾燥時にもシワが発生しにくく、また、破損が生じ難い等のハンドリング性が向上する。
【0065】
本発明の高分子電解質膜のIECは、高分子電解質のIECにより調整することができる。例えば、高分子電解質膜として、高分子電解質以外の材料を含む場合は、それによって高分子電解質膜としてのIECは低下するので、高分子電解質のIECを高めに設定する等、適宜調整しうる。
高分子電解質膜としてのイオン交換容量は、1.5〜4.0meq./gが好ましく、2.0〜4.0meq./gがより好ましい。イオン交換容量が1.5meq./gより小さいと、好ましいプロトン伝導性が発現しにくくなる傾向があり、4.0meq./gより大きいと、機械強度が低下し、十分な強度を有しにくくなる傾向がある。
当該高分子電解質膜のイオン交換容量は、実施例に記載の測定方法により求めることができる。
【0066】
<3.電極形成用高分子電解質バインダー、燃料電池用電極>
本発明の燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダーは、上記高分子電解質を含むことを特徴とするものである。
また、本発明における燃料電池用電極は、本発明の上記高分子電解質を、電極形成用高分子電解質バインダーとして含んでなる電極である。燃料電池用電極は、一般に白金等の貴金属を含む触媒、導電性の触媒担持体、そして電極形成用高分子電解質バインダーである高分子電解質、その他撥水剤等の添加物からなる。
本発明の燃料電池用電極においては、その他材料や製法としては従来公知のものが使用できる。これらについては、後述の本発明の燃料電池において詳細に説明する。
【0067】
<4.膜−電極接合体>
本発明における燃料電池用膜−電極接合体(以下MEA(Menbrane Electrode Assembly)と示すことがある)は、本発明の上記高分子電解質を含んでなるものである。
MEAは、高分子電解質膜と少なくとも片側に配置された電極からなり、さらに拡散層と呼ばれる導電性多孔質体を合わせたものからなる。本発明のMEAは、MEA中の高分子電解質膜および/または電極中の電極形成用高分子電解質バインダーとして、本発明の高分子電解質を含むものである。その他材料や製法としては、従来公知のものが使用できる。これらについては、後述の本発明の燃料電池において詳細に説明する。
【0068】
<5.燃料電池>
本発明の固体高分子形燃料電池は、上記燃料電池用高分子電解質膜および/または上記燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダーを含むことを特徴とするものである。
つまり、本発明の燃料電池は、上記高分子電解質を含んでなる固体高分子形燃料電池である。このとき、高分子電解質は、電解質膜として、電極形成用高分子電解質バインダーとして、または、この両方として含まれていても良い。
本発明の上記高分子電解質を含んでなる燃料電池は、上述したプロトン伝導性や機械特性等の優れた性能を有する高分子電解質を備えているため、高い発電特性を有する。
【0069】
次に、本発明の高分子電解質を使用した固体高分子形燃料電池の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、固体高分子形燃料電池を例に挙げて説明するが、直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池についても、固体高分子形燃料電池と同様に実施可能である。
【0070】
図1は、本実施の形態にかかる高分子電解質を使用した固体高分子形燃料電池の要部断面の構造を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる固体高分子形燃料電池10は、高分子電解質膜1、触媒層2、拡散層3、セパレーター4を備えている。
【0071】
高分子電解質膜1は、固体高分子形燃料電池10のセルのほぼ中心部に位置している。触媒層2は、高分子電解質膜1に接触するように設けられている。拡散層3は、触媒層2に隣接して設けられており、さらにその外側にセパレーター4が配置されている。セパレーター4には、燃料ガスまたは液体(メタノール水溶液等)、並びに、酸化剤を送り込むための流路5が形成されている。これらの部材は、固体高分子形燃料電池10のセルとして構成されていると換言できる。
【0072】
一般的に、高分子電解質膜1に触媒層2を接合したものや、高分子電解質膜1に触媒層2と拡散層3を接合したものは、MEAと言われ、固体高分子形燃料電池(直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池)の基本部材として使用される。
【0073】
MEAを作製する方法は、従来検討されている、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜やその他の炭化水素系高分子電解質膜(例えば、スルホン酸化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン酸化ポリエーテルスルホン、スルホン酸化ポリスルホン、スルホン酸化ポリイミド、スルホン酸化ポリフェニレンサルファイド等)で行われる公知の方法が適用可能である。
【0074】
MEAの具体的作製方法の一例を下記に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
触媒層2を形成するために、まず、高分子電解質の溶液または分散液に、金属担持触媒を分散させて、触媒層形成用の分散溶液を調合する。つまり、高分子電解質は、触媒のバインダーとして機能する。この分散溶液をポリテトラフルオロエチレン等の離型フィルム上にスプレーで塗布して、分散溶液中の溶媒を乾燥・除去し、離型フィルム上に所定の触媒層2を形成させる。この離型フィルム上に形成した触媒層2を、高分子電解質膜1の両面に配置し、所定の加熱・加圧条件下でホットプレスし、高分子電解質膜1と触媒層2を接合し、離型フィルムをはがすことによって、高分子電解質膜1の両面に触媒層2が形成されたMEAを作製できる。
【0075】
また、上記分散溶液を、コーター等を用いて拡散層3上に塗工して、分散溶液中の溶媒を乾燥・除去し、拡散層3上に触媒層2が形成された触媒担持ガス拡散電極を作製し、さらに、高分子電解質膜1の両側にその触媒担持ガス拡散電極の触媒層2側を配置し、所定の加熱・加圧条件下でホットプレスすることによって、高分子電解質膜1の両面に触媒層2と拡散層3とが形成されたMEAを製造できる。なお、上記触媒担持ガス拡散電極としては、市販のガス拡散電極(米国E−TEK社製等)を使用しても構わない。
【0076】
上記高分子電解質の溶液としては、本発明の高分子電解質以外に、パーフルオロカーボンスルホン酸高分子化合物のアルコール溶液(アルドリッチ社製ナフィオン(登録商標)溶液等)や、スルホン酸化された芳香族高分子化合物(例えば、スルホン酸化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン酸化ポリエーテルスルホン、スルホン酸化ポリスルホン、スルホン酸化ポリイミド、スルホン酸化ポリフェニレンサルファイド等)の有機溶媒溶液等が使用できる。
【0077】
上記金属担持触媒としては、高比表面積の導電性粒子を担体として使用可能である。
担体としては、例えば、活性炭、カーボンブラック、ケッチェンブラック、バルカン、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素材料が例示できる。
【0078】
金属触媒としては、燃料の酸化反応および酸素の還元反応を促進するものであれば使用可能であり、燃料極と酸化剤極で同じであっても異なっていても構わない。例えば、白金、ルテニウム等の貴金属や、それらの合金等が例示できる。
また、それらの触媒活性の促進や、反応副生物による被毒を抑制するための助触媒を添加しても構わない。助触媒としては、例えば、金、金属酸化物、カーボンアロイ等が挙げられる。
【0079】
上記触媒層形成用の分散溶液は、スプレーで塗布したり、コーターで塗工したりしやすい粘度に調整するため、水や有機溶媒で適宜希釈しても構わない。また、必要に応じて触媒層2に撥水性を付与するため、テトラフルオロエチレン等のフッ素系化合物を混合してもよい。
【0080】
上記拡散層3としては、カーボンクロスやカーボンペーパー等の多孔質の導電性材料が使用可能である。これらは燃料や酸化剤の拡散性や反応副生物や未反応物質の排出性を促進するため、テトラフルオロエチレン等で被覆して撥水性を付与したものを使用するのが好ましい。また、高分子電解質膜1と触媒層2との間に、必要に応じて前述したような高分子電解質からなる接着層を設けてもよい。
【0081】
高分子電解質膜1と触媒層2を加熱・加圧条件下でホットプレスする条件は、使用する高分子電解質膜1や触媒層2に含まれる高分子電解質の種類に応じて適宜設定する必要がある。
上記加熱条件としては、一般的に高分子電解質膜1や触媒層2に含まれる高分子電解質の熱劣化や熱分解温度以下であって、高分子電解質膜1または触媒層2に含まれる高分子電解質のガラス転移点や軟化点以上の温度であることが好ましい。
上記加圧条件としては、概ね0.1MPa以上20MPa以下であることが、高分子電解質膜1と触媒層2が充分に接触するとともに、使用材料の著しい変形に伴う特性低下がなく、好ましい。特にMEAが高分子電解質膜1と触媒層2とからのみ形成される場合は、拡散層3を触媒層2の外側に配置して特に接合することなく接触させるのみで使用しても構わない。
【0082】
上記のような方法で得られたMEAを、燃料ガスまたは液体、並びに、酸化剤を送り込むための流路5が形成された一対のセパレーター4等の間に挿入することにより、本実施の形態にかかる固体高分子形燃料電池10が得られる。
【0083】
上記セパレーター4としては、カーボングラファイトやステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。特にステンレス鋼等の金属製材料を使用する場合は、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。
【0084】
上記の固体高分子形燃料電池10に対して、燃料ガスまたは液体として、水素を主たる成分とするガスや、メタノールを主たる成分とするガスまたは液体を、また、酸化剤として、酸素を含むガス(酸素または空気)を、それぞれ別個の流路5より、拡散層3を経由して触媒層2に供給することにより、固体高分子形燃料電池は発電する。このとき燃料として、例えば、含水素液体を使用する場合には直接液体形燃料電池となるし、メタノールを使用する場合には直接メタノール形燃料電池となる。
つまり、固体高分子形燃料電池10について例示した上記実施形態は、そのまま直接液体形燃料電池、直接メタノール形燃料電池についても適用可能といえる。
【0085】
なお、本実施の形態にかかる固体高分子形燃料電池10を、単独で、または、複数積層して、スタックを形成し使用することや、それらを組み込んだ燃料電池システムとすることもできる。
【0086】
なお、上述した例以外にも、本発明の高分子電解質膜は、特開2000−90944号公報、特開2001−313046号公報、特開2001−313047号公報、特開2001−93551号公報、特開2001−93558号公報、特開2001−93561号公報、特開2001−102069号公報、特開2001−102070号公報、特開2001−283888号公報、特開2000−268835号公報、特開2000−268836号公報、特開2001−283892号公報等で公知になっている固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として、使用可能である。本発明の高分子電解質を用いて、これらの公知文献に基づいて固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池を構成することもできる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0088】
以下の実施例で得られた高分子電解質(ブロック共重合体)の重量平均分子量および数平均分子量は、GPC法により測定した(数平均分子量、重量平均分子量のいずれも、一度の測定で算出できる)。条件は以下の通り。なお、分子量はポリスチレン換算である。
GPC測定装置:日本分光社製805UV
カラム:SHODEX KF−805L 1本
カラム温度:50℃
移動相溶媒:THF(LiBrを10mmol/dmになるように添加)
溶媒流量:0.5mL/min
【0089】
[実施例1]
<親水部オリゴマーの作製>
ディーンスタークと窒素出入口を供えた100mLフラスコに、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン4.53g(17.8mmol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン5.00g(14.3mmol)および炭酸カリウム3.95g(28.6mmol)を、脱水N,N−ジメチルアセトアミド30mLとトルエン15mLの混合溶媒に溶かした。この溶液を145℃で3時間、160℃でさらに3時間加熱することにより、重合反応を行った。反応後、混合物を緩やかに1Lの純水で析出、沈殿させた後、さらに純水で2回洗浄を行った。またさらに1Lのメタノールで2回洗浄を行い、60℃で16時間乾燥することにより、目的の親水部オリゴマー前駆体を得た。この親水部オリゴマー前駆体は白色の固形物であり、収率は約92%であった。
300mLの三口フラスコに、ジクロロメタン100mLを入れ、さらにクロロスルホン酸4.4mL(64.0mmol)を加えた。先の親水部オリゴマー前駆体2.00g(0.662mmol)をジクロロメタン60mLに溶かした溶液を、クロロスルホン酸/ジクロロメタン溶液の入った三口フラスコに、滴下漏斗にてゆっくりと滴下した。滴下後、室温にて24時間攪拌し、スルホン酸化反応を行った。この溶液を、冷やした純水100mLに緩やかに加えた後、析出物が得られるまで塩化ナトリウムを添加した。吸引濾過後、沈殿物をもう一度純水100mLに溶解させ、この混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液をpHが7になるまで加えることにより中和し、24時間攪拌を行った。得られた透明な溶液を濾過にて分離し、60℃で16時間乾燥することにより、親水部オリゴマーを得た。この親水部オリゴマーは黄色の固形物であり、収率は約86%であった。
【0090】
<親水部オリゴマーの末端カルボン酸化>
ディーンスタークと窒素出入口を供えた100mLの三口丸底フラスコに、4−ヒドロキシベンゾイックアシッド0.120g(0.871mmol)、ポタシウムターシャリブトキサイド0.20g(1.74mmol)を、ジメチルスルホキシド10mLの溶媒に溶かした。これに、先の親水部オリゴマー2.000g(0.436mmol)を少量のジメチルスルホキシドに溶かした溶液を加えた。この混合物を120℃にて3時間加熱し、オリゴマーの末端反応を行った。この反応物を0.5M塩酸エタノール溶液に注ぎ込み、濾過を行うことにより、(末端カルボン酸化)親水部オリゴマーを得た。この親水部オリゴマーは白色の固形物であり、収率は約94%であった。
【0091】
<疎水部オリゴマーの作製及びブロック共重合体の作製>
メカニカルスターラーと窒素出入口を供えた100mLの三口丸底フラスコに、ポリリン酸15gを入れ、80℃に加熱した。さらに4,4’−ビフェニルジカルボキシリックアシッド0.669g(2.76mmol)と3,3’−ジアミノベンジジン0.740g(3.45mmol)を加え、90℃に加熱、溶解した。この溶液を110℃で8時間、130℃で16時間、160℃で10時間、さらに190℃で15時間加熱することにより、疎水部オリゴマーの重合反応を行った。
これを90℃に冷却した後、先の(末端カルボン酸化)親水部オリゴマーを系中に添加し、110℃で8時間、130℃で16時間、160℃で10時間加熱することにより、ブロック共重合体化を行った。これにより得た粘性の液体を、1Lの純水に注ぎ込み、固形物を析出させ、濾過した。得られた固形物を1Mの水酸化ナトリウム水溶液中に添加し、24時間攪拌した。その後、純水で中性になるまで洗浄し、100℃で48時間乾燥することにより、目的のブロック共重合体(高分子電解質)を得た。図3に、その化学構造及びプロトンNMRチャートを示す。GPCによる分子量は、重量平均分子量295,000g/mol、数平均分子量44,000g/molであった。
【0092】
<製膜>
ジメチルスルホキシドを溶媒として、ブロック共重合体(高分子電解質)5%溶液を作製した。溶液は均一で粘調な液体であった。この溶液をガラス基材上にキャストし、80℃で24時間、真空乾燥を行った。乾燥後、ガラス基材から膜をはがし、これを、充分量の1規定硫酸水溶液に24時間浸漬し、スルホン酸基を完全な酸型とした。その後、純水に1時間ずつ2回浸漬することにより、余分な酸を取り除き、紙ワイパーに緩やかに挟み、室温で放置することにより、高分子電解質膜を得た。図2に、当該高分子電解質膜の断面STEM写真を示す。これにより、数ナノ〜数十ナノの親水部と疎水部の相分離が確認できる(親水部が写真の黒い部分であり、疎水部が写真の白い部分である)。
【0093】
[実施例2]
<親水部オリゴマーの作製>
実施例1の<親水部オリゴマーの作製>と同様の方法で、(末端処理なしの)親水部オリゴマー、つまり親水部オリゴマーを得た。
<疎水部オリゴマーの作製>
メカニカルスターラーと窒素出入口を供えた100mLの三口丸底フラスコに、ポリリン酸15gを入れ、80℃に加熱した。さらに4,4’−ビフェニルジカルボキシリックアシッド0.669g(2.76mmol)と3,3’−ジアミノベンジジン0.740g(3.45mmol)を加え、90℃に加熱、溶解した。この溶液を190℃まで緩やかに加熱した後、90℃まで冷却することにより、疎水部オリゴマーの重合反応を行った。4−ヒドロキシベンゾイックアシッド0.382g(2.76mmol)をこの系中に添加し、緩やかに190℃まで加熱した。これにより得た粘性の液体を、1Lの純水に注ぎ込み、固形物を析出させ、濾過した。得られた固形物を1Mの水酸化ナトリウム水溶液中に添加し、24時間攪拌した。その後、純水で中性になるまで洗浄し、100℃で48時間乾燥することにより、目的の(ヒドロキシ末端)疎水部オリゴマーを得た。
【0094】
<ブロック共重合体の作製>
メカニカルスターラーと窒素出入口を供えた100mLの三口丸底フラスコに、(末端処理なしの)親水部オリゴマー0.709g(0.223mmol)、(ヒドロキシ末端)疎水部オリゴマー0.500g(0.223mmol)、炭酸カリウム0.12g(0.894mmol)、炭酸カルシウム0.89g(8.94mmol)を、ジメチルスルホキシド10mLとトルエン5mLの混合溶媒に溶かした。この溶液を140℃で48時間加熱し、ブロック共重合体化を行った。この溶液を1Lの純水に注ぎ込み、固形物を析出させ、濾過した。得られた固形物を1Mの水酸化ナトリウム水溶液中に添加し、24時間攪拌し、その後、純水で中性になるまで洗浄し、100℃で48時間乾燥することにより、目的のブロック共重合体(高分子電解質)を得た。図4に、その化学構造及びプロトンNMRチャートを示す。GPCによる分子量は、重量平均分子量284,000g/mol、数平均分子量78,000g/molであった。
<製膜>
実施例1と同様の方法で製膜を行い、高分子電解質膜を得た。
【0095】
[比較例1]
<親水部オリゴマーの作製と末端化反応>
リービッヒ冷却管とディーンスタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.7g、10.5mmol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(4.0g、11.4mmol)、炭酸カリウム(3.2g、22.8mmol)を加え、さらに脱水N,N−ジメチルアセトアミド20mLと脱水トルエン10mLを加えた混合溶液を、140℃のオイルバス加熱条件下にて3時間攪拌した後、さらに165℃にて2時間攪拌した。ここに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(0.4g、1.14mmol)を追加し、165℃にて1時間攪拌した。反応液を純水中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。固体を温水とメタノールにて洗浄後、再度濾取し、60℃にて真空乾燥することにより、目的物の親水部用オリゴマーを白色固体として6.1g得た。
次に、リービッヒ冷却管とマグネチックスターラーを備え、窒素パージしている三口フラスコ中に、得られた親水部用オリゴマー(3g、1.15mmol)、デカフルオロビフェニル(1.9g、5.75mmol)、炭酸カリウム(0.32g、2.3mmol)を加えた。ここに脱水N,N−ジメチルアセトアミド30mlと脱水シクロヘキサン(5ml)を加えた後、この混合溶液を100℃のオイルバス加熱条件下にて12時間攪拌した。反応終了後、反応液を純水中に滴下し、白色沈殿を濾取した。固体を温水とメタノールにて洗浄後、再度濾取し、60℃にて真空乾燥することにより、目的物のデカフルオロビフェニル由来の末端基を有するオリゴマーを白色固体として4.7g得た。
最後に実施例1の<親水部オリゴマーの作製>と同様の方法でスルホン酸化反応を行い、親水部オリゴマーを得た。
【0096】
<疎水部オリゴマーの作製>
リービッヒ冷却管とディーンスタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(4.8g、18.8mmol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(3.2g、20mmol)、炭酸カリウム(5.5g、40mmol)、脱水N,N−ジメチルアセトアミド40mlおよび脱水トルエン20mlを加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて3時間攪拌した後、さらに165℃にて2時間攪拌した。ここに2,7−ジヒドロキシナフタレン(0.3g、2mmol)を追加し、165℃にて1時間攪拌した。反応液を純水中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。固体を温水とメタノールにて洗浄後、再度濾取し、60℃にて真空乾燥することにより、目的物の疎水部オリゴマーを白色固体として7.0g得た。
<ブロック共重合体の作製>
実施例2の<ブロック共重合体の作製>と同様の方法で、ブロック共重合体(高分子電解質)を得た。
<製膜>
実施例1と同様の方法で製膜を行い、高分子電解質膜を得た。
【0097】
上記実施例および比較例で得られた高分子電解質膜について、その特性を評価した。その方法は以下のとおりである。
(イオン交換容量の測定)
上記実施例および比較例で得られた高分子電解質膜(0.10mg)をジメチルスルホキシドに溶解させ、既知の方法でプロトンNMRの測定を行った。イオン交換容量は、親水部オリゴマーと疎水部オリゴマーから由来するNMRのピーク面積比を計算し、その計算結果とブロック長に基づいて求めた。なお、ブロック長は、予めそれぞれのオリゴマーをNMRで分析し、末端の割合から計算すること等により求めた。
【0098】
(プロトン伝導度の測定)
各試験試料(高分子電解質膜)を、10×40mmの大きさに裁断し、恒温恒湿オーブン中で4端子法により交流インピーダンスを測定した。測定は、温度は80℃、湿度は40、80%RHの各条件で2時間放置、電流値として0.005mAの定電流、掃引周波数は10〜20000Hzで行った。得られたインピーダンスと膜端子間距離(10mm)と膜厚(ダイヤルゲージで測定、約40μm)からプロトン伝導度を算出した。
【0099】
表1に、実施例1、2および比較例1のイオン交換容量、プロトン伝導度を示す。
【0100】
【表1】

【0101】
本発明の実施例は、高いイオン交換容量を有し、高温低加湿下でも高い伝導度を示した。比較例は、疎水部オリゴマーがポリエーテル系構造であり、高いイオン交換容量を有するが、プロトン伝導度測定時には、含水時の強度が低いために電極に挟まれる部分で破れが発生し、正確な測定が不可能であった。
以上から、本発明の高分子電解質は、優れたプロトン伝導性と機械強度を兼ね備え、固体高分子形燃料電池の材料として優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0102】
1:高分子電解質膜
2:触媒層
3:拡散層
4:セパレーター
5:流路
10:固体高分子形燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖がポリベンズイミダゾールおよび/またはポリイミドからなる疎水部オリゴマーと、スルホン酸基を有し主鎖が主に芳香環からなる親水部オリゴマーとからなる、高分子電解質。
【請求項2】
上記疎水部オリゴマーが、ポリベンズイミダゾールのみからなる、請求項1に記載の高分子電解質。
【請求項3】
上記ポリベンズイミダゾールの構造が、下記一般式群(1)に記載の構造の少なくとも1つを繰り返し単位として含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の高分子電解質。
【化1】

(式中、Arは、下記式群(2)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。)
【化2】

【請求項4】
上記親水部オリゴマーの構造が、主鎖にイミダゾール構造およびイミド構造を含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質。
【請求項5】
上記親水部オリゴマーの構造が、下記一般式群(3)に記載の構造の少なくとも1つを繰り返し単位として含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質。
【化3】

(式中、Arは、下記式群(4)に記載の構造を有する2価の基を表し、当該2価の基は置換基を有していてもよく、複数あるArは互いに同じであっても異なっても良い。Arは、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基、nは1〜4の整数、Xは−O−または−S−、Yは−SO−または−CO−を表す。)
【化4】

【請求項6】
上記親水部オリゴマーが、側鎖を形成する芳香族基を有し、かつ、少なくとも側鎖を形成する芳香族基にスルホン酸基を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質。
【請求項7】
上記Arが、下記式群(5)に記載の構造を有し、かつ、スルホン酸基を少なくとも1つ有する2価の芳香族基であることを特徴とする、請求項5に記載の高分子電解質。
【化5】

【請求項8】
イオン交換容量が、1.5〜4.0meq./gであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子電解質。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質を含むことを特徴とする、燃料電池用高分子電解質膜。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質を含むことを特徴とする、燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダー。
【請求項11】
請求項9に記載の燃料電池用高分子電解質膜および/または請求項10に記載の燃料電池用電極形成用高分子電解質バインダーを含むことを特徴とする、固体高分子形燃料電池。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−252914(P2012−252914A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125517(P2011−125517)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構固体高分子形燃料電池実用化推進技術開発/劣化機構解析とナノテクノロジーを融合した高性能セルのための基礎的材料研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【Fターム(参考)】