説明

高分散性沈降珪酸

【課題】PKW−タイヤ中で使用される珪酸をLKW−タイヤ、オートバイタイヤ及びPKW用の高速タイヤ中で使用することは、異なる仕様プロフィルに基づき不適当であるため、特別にこれらの車両に適合された特性プロフィルを有する沈降珪酸を提供する。
【解決手段】178〜302m/gのBET−表面積、≧170m/gのCTAB―表面積、200〜300g/(100g)有利に207〜276g/(100g)のDBP−数及び10〜25ml/(5g)、10〜20ml/(5g)、10〜16ml/(5g)のシェアズ(Sears)−数Vを有する沈降珪酸によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い表面積を有する高分散性の沈降珪酸、その製法及び商業用車両、オートバイ及び高速車両用のタイヤ充填剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのようなエラストマー混合物中での沈降珪酸の使用は、久しく公知である。タイヤ中で使用される珪酸には、高い必要条件が課される。これは、容易にかつ良好にゴム中に分散可能であり、ゴム中に含有されているポリマー連鎖又は他の充填剤と良好に結合し、かつ高いカーボンブラックに類似の摩耗抵抗を有すべきである。従って、とりわけ珪酸の分散性と並んで、比表面積(BET又はCTAB)及び油吸収能(DBP)が重要である。珪酸の表面積特性は、かなりその可能な用途を決定し、又は珪酸の特定の用途(例えばエラストマー混合物用の担体系又は充填剤)は、特定の表面積特性を要求する。
【0003】
US6013234は、それぞれ100〜350m/gのBET−及びCTAB−表面積を有する沈降珪酸の製造を開示している。この珪酸は特にエラストマー混合物中への導入のために好適であり、この際、BET/CTAB−比は1〜1.5である。EP0937755中には、約180〜約430m/gのBET−表面積及び約160〜340m/gのCTAB―表面積を有する種々の沈降珪酸が開示されている。これらの珪酸は特に担体材料として好適であり、1.1〜1.3のBET−対CTAB−比を有する。EP0647591には、0.8〜1.1のBET−対CTAB−表面積の比を有する沈降珪酸が開示されており、この際、この表面積特性は350m/gまでの絶対値をとることができる。EP0643015中には、練り歯磨き中の研磨−及び/又は粘凋化成分として使用されうる沈降珪酸が開示されており、これは、10〜130m/gのBET−表面積及び10〜70m/gのCTAB−表面積、即ち約1〜5.21のBET−対CTAB−比を有する。
【0004】
特にエラストマー混合物用の、ここでは特にPKW−タイヤ用の充填剤として好適である珪酸が、次の特性を有してEP0901986に記載されている:
BET−表面積 120−300m/g
CTAB−表面積 100〜300m/g
BET/CTAB−比 0.8〜1.3
シェアズ−数V(0.1NNaOH消費) 6〜25ml/(5g)
DBP−数 150〜300g/(100g)
WK−係数 <3.4
崩壊された粒子の粒径 <1.0μm
崩壊されなかった粒子の粒径 1.0〜100μm。
【0005】
車両タイヤには、使用目的に応じて非常に異なる必要条件が課される。PKW−及びLKW−タイヤ中でのおおざっぱな分類では、少なくとも次の違いに注目できる:
【表1】

【0006】
本発明の意味におけるPKWとは、主として個人利用のための人搬送用の車両であり、即ち商業用車両、例えば貨物用車両ではない。この中には、その構造様式によりPKWに相当することがありうるとしても、通常高速度で駆動される車両は入らない。これらの車両は、同様に、この表中に記載のPKW−タイヤとは異なるタイヤの必要条件を有する。
【0007】
オートバイ及び高速―PKW用のタイヤは、同様に高速時の高い負荷及び非常に良好な乾燥―及び湿式滑り特性(Traktion:牽引)を示すべきである。しかしながら、良好な牽引は増加された摩耗性又は高いころがり抵抗と結びつくべきではない。
【0008】
車両のタイヤの種々の必要条件は、タイヤ中で使用される充填剤に相応する作用を有する。PKW−タイヤ中で従来から確立されている充填剤系としての珪酸及び有機珪素化合物の混入は、低下されたころがり抵抗、改良された牽引特性及び低い摩耗性をもたらす。この改善された特性を、LKWのような商業用車両用のタイヤに移行することが望ましいはずである。それというのも、低いころがり抵抗と低い燃料消費量とは結びついているからである。しかしながら、記載の車両のタイヤの種々異なる必要条件は、必然的に使用充填剤の種々異なる必要条件をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US6013234
【特許文献2】EP0937755
【特許文献3】EP0647591
【特許文献4】EP0643015
【特許文献5】EP0901986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
PKW−タイヤ中で使用される珪酸をLKW−タイヤ、オートバイタイヤ及びPKW用の高速タイヤ中で使用することは、異なる仕様プロフィルに基づき不適当であることは明らかである。従って、本発明の課題は、特別にこれらの車両に適合された特性プロフィルを有する沈降珪酸を提供することであった。当業者にとって、活性カーボンブラックをタイヤ−充填剤として使用する際に、表面積の増大に伴い、タイヤの強度及びそれに伴う摩耗抵抗の改善が得られることは公知である。しかしながら、高い表面積(CTAB表面積>130m/g)を有するカーボンブラックの使用は、このように充填された混合物中の著しく増大された熱形成(DIN53535もしくはこのDINに挙げられる参考文献により記載され、そして測定可能なヒステリシス挙動)に基づき、制限されている。
【0011】
ところで、高いCTAB―表面積を有する沈降珪酸が、特に商業用車両タイヤの、オートバイタイヤ及び高速−PKW用のタイヤのエラストマー混合物中の充填剤として特に好適であることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の目的物は、178〜302m/gのBET−表面積、≧170m/gのCTAB―表面積、200〜300g/(100g)有利に207〜276g/(100g)のDBP−数及び10〜25ml/(5g)、10〜20ml/(5g)、10〜16ml/(5g)のシェアズ(Sears)−数Vを有する沈降珪酸である。
【0013】
従って、充填剤としての本発明による珪酸の使用の際の明らかに低いヒステリシスに基づき、これを用いて、カーボンブラックの場合には高いヒステリシスに基づき不可能である表面も実現化することができ、摩擦抵抗の改善をもたらすことができる。
【0014】
EP1186629は、タイヤの充填剤として好適である高いCTAB−表面積を有する珪酸を開示している。シェアズ−数又はそれに伴う珪酸表面のヒドロキシ基の濃度に関する記載はEP1186629には見いだせない。
【0015】
本発明による沈降珪酸は、300m/gの最大CTAB−表面積、殊に170〜220m/g又は245〜300m/gのCTAB−表面積を有することができる。
【0016】
本発明による沈降珪酸は、178〜257m/g又は257〜300m/g又は190〜230m/gの有利な範囲のBET表面積を有してよい。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、
BET−表面積 178〜302m/g
CTAB―表面積 ≧170m/g
DBP−数 200〜300g/(100g)
シェアズ−数V 10〜35ml/(5g)
を有する沈降珪酸の製造法であり、この際、
a)アルカリ金属−又はアルカリ土類金属珪酸塩及び/又は有機及び/又は無機の塩基の水溶液をpH7〜8.5で前装入し、
b)この前装入物に、攪拌下に55〜95℃で10〜120、有利に10〜60分間に同時的に水ガラス及び酸性化剤を配量し、
e)酸性化剤で約3.5のpH値まで酸性にし、かつ
f)濾過し、かつ乾燥させる。
【0018】
本発明により製造される沈降珪酸は、BET−及びCTAB−表面に関する既に記載の有利な範囲と並んで、それぞれ独立して次の有利な範囲の特性を有することができる:
DBP−吸収 200〜300g/(100g)、殊に207〜276g/(100g)
WK−係数 ≦3.4、有利に≦3.0、殊に≦2.5
シェアズ−数V 10〜25,殊に10〜20、有利に10〜16ml/(5g)。
【0019】
WK−係数は、1.0〜100μmの粒径範囲の超音波により崩壊不能(nicht abbaubauren)な粒子のピーク値対<1.0μmの粒径範囲の崩壊された(abgebauten)粒子のピーク値の比として定義される(図1参照)。
【0020】
前装入物は、沈殿物の最終体積の20、30、40、50、60、70、80又は90%であってよい。前装入物に加えられる塩基性化合物は、殊にアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩及びアルカリ金属珪酸塩の群から選択される。水ガラス及び/又は苛性ソーダが有利に使用される。前装入物のpH値は7.0〜8.5、有利に7.5〜8.5の間にある。
【0021】
場合により本発明の方法は、停止点(Haltepunkt)を有することができる。この場合に、工程b)とe)の間に、次の工程:
c)温度の保持下での30〜90分間の配量添加の停止及び
d)同じ温度で攪拌下での水ガラス及び酸性化剤、有利には硫酸の同時的配量添加を、20〜120、有利に20〜80分間
実施する。
【0022】
場合により、工程b)及びd)の間に有機又は無機の塩の付加的添加を行うことができる。このことは、溶解して又は固体として、それぞれ連続的に水ガラス及び酸性化剤、有利には硫酸の添加時間に渡り、又はバッチ法添加により実施することができる。塩を1方又は双方の成分中で溶解させ、次いで、同時にこれらと共に添加することも可能である。
【0023】
無機塩としては、有利に、アルカリ金属−又はアルカリ土類金属塩が使用される。殊に次のイオンの全ての組み合わせを使用することができる:
Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、H、F、Cl、Br、I、SO2−、SO2−、HSO、PO3−、PO3−、NO、NO、CO2−、HCO、OH、TiO2−、ZrO2−、ZrO4−、AlO、Al2−、BO3−
【0024】
有機塩としては、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸の塩が好適である。カチオンとしては、記載のアルカリ金属―又はアルカリ土類金属イオンが挙げられる。添加溶液中のこれらの塩の濃度は、0.01〜5モル/lであってよい。無機塩としてNaSOが有利に使用される。
【0025】
工程b)及びd)における酸性化剤は、同じ又は異なる方法で、即ち同じ又は異なる濃度及び/又は流入速度で供給することが可能である。
【0026】
同様に、工程b)及びd)での水ガラスも同じ又は異なる方法で反応に供給することができる。
【0027】
特別な1実施形では、工程b)及びd)で成分酸性化剤及び水ガラスを、工程d)における流入速度が、工程d)における流入速度の125〜140%になるように実施し、この際、双方の工程の成分をそれぞれ当モル濃度で使用する。成分を同じ濃度及び流入速度で添加するのが有利である。
【0028】
水ガラス(珪酸ナトリウム−溶液)と並んで、他の珪酸塩、例えばカリウム−又はカルシウム珪酸塩も使用することができる。酸性化剤としては、硫酸と並んで他の酸性化剤、例えばHCl、HNO、HPO又はCOも使用することができる。
【0029】
本発明による珪酸の濾過及び乾燥は、当業者にとっては慣用であり、例えば前記の文献中に見ることができる。沈殿法による珪酸は、流動乾燥機(Stromtrockner)、スプレー乾燥機、多段乾燥機(Etagentrockner)、ベルト乾燥機、回転管乾燥機、フラッシュ−乾燥機、スピン−フラッシュ−乾燥機又はノズル塔中で乾燥させるのが有利である。これらの乾燥変法に、アトマイザー、1成分−又は2成分ノズル又は集積流動床(integrierten Fliessbett)を用いる操作が結びつく。本発明による沈降珪酸は、有利に、乾燥工程の後に15μm以上、殊に80μm以上、特に有利には200μm以上の平均直径を有する粒子形を有する。平均粒径は、粒子の50質量%が大きい方の直径又は小さい方の直径を有することと定義される。
【0030】
乾燥後に、ローラコンパクター(Walzenkompaktor)を用いる造粒を実施することもできる。ここでは、平均直径は≧1mmである。
【0031】
本発明による珪酸は、有利に、商業用車両LKW、高速−PKW及びオートバイ用のタイヤ中で使用される。
【0032】
本発明の意味における商業用車両としては、そのタイヤに走行能又は摩耗性に関して高い要求が課される全ての車両がこれに該当する。高い走行能の仕様に関連して、殊にバス、LKW及び/又は運搬車(Lieferfahrzeuge)及びトレーラーのタイヤが挙げられる。オフ−ロード−車両、建築用及び土木機械、坑内車両及びトラクター用のタイヤは、摩耗強度、例えばバー引裂強度(Stolleneinreissfestigkeit)、チッピング、チャンキングに関連して挙げることができる。ここでは、特に1トンよりも大きい軸負荷(Achslasten)又は2、4、7.5又は15トンを超える許容全重量を有する車両を意図している。本発明による珪酸は、殊に重いLKW又はそのトレーラーの牽引タイヤ中で使用することができる。このような車両は、屡々5トンを超える軸負荷又は17"より大きいタイヤ直径を有する。
【0033】
LWKのような実用車両用のタイヤは、速度分類により分類される。本発明による珪酸は、特に、約80〜140km/hの速度を許容し、記号F、G、J、K、L、M又はNを有する(LKW−)タイヤに好適である。
【0034】
高速車両(オートバイ又はPKW)用のタイヤは、180km/hを超える速度を許容する様なものである。これは、記号S、T、U、V、W、Y及びZRを有する(PKW−)タイヤである。
【0035】
従って、本発明のもう一つの目的物は、本発明による珪酸を含有するエラストマー混合物、加硫可能なゴム混合物及び/又はその他の加硫物、例えば空気タイヤ、タイヤ走行面、ケーブルジャケット、ホース、駆動ベルト、コンベアベルト、ローラライニング(Walzenbebelaege)、タイヤ、靴底、パッキンリング及び制動素子(Daempfungselement)のような成形体である。
【0036】
更に、本発明による珪酸は、通常珪酸が使用される全ての用途分野で、例えばバッテリーセパレータ中で、抗−ブロッキング−剤として、インキ及びラッカー中の艶消し剤として、農業製品及び食料品のキャリアとして、被覆中、印刷インキ中、消火粉剤中、プラスチック中、ノンインパクトプリンテイングの分野で、紙料中で、人的介護及び特別用途の分野で使用することができる。
【0037】
非衝撃式印刷の範囲、例えばインクジェット法で使用することとは、本発明による珪酸を
− 印刷インキにおいて増粘のため又は飛散及びオフセットの抑制のために、
− 紙において、充填剤として、被覆顔料として、複写紙、感熱紙において、熱昇華に際して印刷インキのにじみを抑えるために、輪郭可認性(Bildgrundruhe)及びコントラストの改善のために、点鮮明度(Punktschaerfe)及び鮮色性の改善のために使用することを意味し、
− パーソナルケアの範囲での使用とは、本発明による珪酸を、例えば薬学又は体の手入れの範囲での充填剤又は増粘剤として使用することを意味する。
【0038】
場合により、本発明による珪酸は、式I〜III:
[SiR(RO)(Alk)(Ar)[B] (I)
SiR(RO)3−n(Alkyl) (II)
又は
SiR(RO)3−n(Alkenyl) (III)
[式中、Bは−SCN、−SH、−Cl、−NH、−OC(O)CHCH、−OC(O)C(CH)CH(q=1のとき)又は−S−(q=2のとき)であり、その際、BはAlkと化学的に結合されており、
R及びRは、C−原子数2〜30を有する脂肪族、オレフィン系、芳香族又はアリール芳香族基を表し、この基は場合により次の基:ヒドロキシ−、アミノ−、アルコレート−、シアニド−、チオシアニド−、ハロゲン−、スルホン酸−、スルホン酸エステル−、チオール−、安息香酸−、安息香酸エステル−、カルボン酸−、カルボン酸エステル−、アクリレート−、メタクリレート−、オルガノシラン基で置換されていてよく、この際、R及びRは同じ又は異なるものを表すか又は置換基を有していてよく、
nは0、1又は2であり、
Alkは炭素原子数1〜6を有する2価の非分枝の又は分枝した炭化水素基を表し、
mは0又は1であり、
ArはC−原子6〜12、有利にC−原子6を有するアリール基を表し、これは、次の基:ヒドロキシ−、アミノ−、アルコレート−、シアニド−、チオシアニド−、ハロゲン−、スルホン酸−、スルホン酸エステル−、チオール−、安息香酸−、安息香酸エステル−、カルボン酸−、カルボン酸エステル−、オルガノシラン基で置換されていてよく、
pは0又は1である、但し、pとnは同時に0を意味しないことを条件とする
qは1又は2であり、
wは2〜8の数であり、
rは1、2又は3である、但しr+n+m+p=4であることを条件とする、
Alkylは炭素原子数1〜20、有利に炭素原子数2〜8を有する1価の非分枝の又は分枝した飽和の炭化水素基を表し、
Alkenylは炭素原子数2〜20、有利に炭素原子数2〜8を有する1価の非分枝の又は分枝した不飽和の炭化水素基を表す]のシラン又はオルガノシランで変性されていてよい。
【0039】
本発明による珪酸は、組成:
SiR4−n(n=1、2、3)、[SiRO](0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、その際、x+y=2)、[SiRN](0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、その際、x+y=2)、SiROSiR(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、その際、n+m=3、o+p=3)、SiRNSiR(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、その際、n+m=3、o+p=3)、SiR[SiRO]SiR(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦3;1≦z≦10000、その際、n+m=3、x+y=2、o+p=3)を有する有機珪素含有化合物で変性されていてもよい。これらの化合物は、直線状、環状及び分枝したシラン−、シラザン−及びシロキサン化合物であってよい。Rは、炭素原子数1〜20を有するアルキル−及び/又はアリール基であってよく、これらは官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、ポリエーテル、例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及びハロゲニド基、例えばフルオリドで置換されていてよい。Rは、アルコキシ−、アルケニル−、アルキニル−及びアリール基の様な基及び硫黄含有基を含有していてもよい。Xは、反応性基、例えばシラノール−、アミノ−、チオール−、ハロゲニド−、アルコキシ−、アルケニル−及びヒドリド基であってよい。
【0040】
組成:
SiR[SiRO]SiR(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦3;1≦z≦10000、その際、n+m=3;x+y=2;o+p=3)[式中、Rは有利にメチル基を表す]の線状ポリシロキサンが有利に使用される。
【0041】
組成:
SiR[SiRO]SiR(0≦n≦3;0≦m≦1;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦1;1≦z≦10000、その際、n+m=3;x+y=2;o+p=3)[式中、Rは有利にメチル基を表す]のポリシロキサンが特に有利に使用される。
【0042】
記載のオルガノシランの1種以上を用いる、場合により造粒された、未造粒の、粉砕及び/又は未粉砕の沈降珪酸の変性は、沈降珪酸100部当たり0.5〜50部、殊に沈降珪酸100部当たり1〜15部の混合により行うことができ、この際、沈降珪酸とオルガノシランとの反応を、混合物製造の間に(その場で)、又は外で混合物のスプレー及び引き続く熱処理により、オルガノシラン及び珪酸懸濁液の混合に引き続く乾燥及び熱処理(例えばDE3437473及びDE19609619による)により、又はDE19609169又はDE−PS4004781に記載の方法により実施することができる。
【0043】
有機珪素化合物としては、原則的に、一方でシラノール基含有充填剤へのカップリング及び他方でポリマーへのカップリングを実行することができる全ての2官能性シランが好適である。有機珪素化合物の慣用量は、沈降珪酸の全量に対して1〜10質量%である。
【0044】
これら有機珪素化合物の例は、次のものである:
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン。更なる有機珪素化合物は、WO99/09036、EP1108231、DE10137809、DE10163945、DE10223658に記載されている。
【0045】
本発明の有利な1実施形では、シランとして、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラシランを使用することができる。
【0046】
本発明による珪酸は、エラストマー混合物、タイヤ又は加硫可能なゴム混合物中で強化充填剤として、ゴム100部当たり5〜200部の量で、粉末、球状生成物又は顆粒として、シラン変性されて又はシラン変性しないで混入することができる。ゴム混合物及びエラストマー混合物は、本発明の範囲では同等のものとしてみなす。
【0047】
充填剤としての前記のオルガノシランと共に又はそれなしで、もっぱら本発明による珪酸を含有する混合物と並んで、これらのエラストマー混合物又はゴム混合物は、付加的に1種以上の多かれ少なかれ強化性の充填剤で充填されていてよい。更なる充填剤として、次の物質を使用することができる:
−カーボンブラック:ここで使用すべきカーボンブラックは、フレームブラック−、ファーネス−又はガスブラック−法で製造されており、20〜200m/gのBET−表面積を有する、例えばSAF−、ISAF−、HSAF−、HAF−、FEF−又はGPF−ブラック。これらのカーボンブラックは場合によってはヘテロ原子、例えば珪素を含有していてもよい、
−例えばハロゲン化珪素の炎内加水分解により製造される高分散性の熱分解法珪酸。この珪酸は場合によっては、他の金属酸化物、例えばAl−、Mg−、Ca−、Ba−、Zn−及びチタン酸化物との混合酸化物として存在することもできる、
−他の市販の珪酸、
−合成珪酸塩、例えば珪酸アルミニウム、アルカリ土類金属珪酸塩、例えば20〜400m/gのBET−表面積及び10〜400nmの一次粒径を有する珪酸マグネシウム又は珪酸カルシウム、
−合成又は天然の酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウム、
−天然珪酸塩、例えばカオリン、他の天然産の二酸化珪素化合物、
−ガラス繊維及びガラス繊維製品(マット、ストランド)又はマイクロガラス球
−澱粉及び変性澱粉タイプ、
−天然充填剤、例えばクレー及びシリカ質チョーク(Kieselkreide)。
【0048】
ここでも、配合割合は、オルガノシランの配量時におけると同様に、最終ゴム混合物の所望特性像に左右される。本発明による珪酸と他の前記の充填剤(混合物としても)との間の5〜95%の割合が考慮可能であり、この範囲内で実現される。
【0049】
特に有利な1実施形では、全て又は部分的に本発明による珪酸から成る珪酸10〜150質量部を、場合によってはそれぞれゴム100質量部当たりカーボンブラック0〜100質量部及び有機珪素化合物1〜10質量部と一緒に、混合物の製造のために使用することができる。
【0050】
本発明による珪酸、オルガノシラン及び他の充填剤と並んで、これらのエラストマーは、ゴム混合物の他の重要な成分を成す。ここで、天然及び合成の、油展又は非油展のエラストマーが、単独ポリマー又は他のゴム、例えば天然ゴム、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン含量1〜60質量%、有利には2〜50質量%を有する、特に溶液重合法により製造されたスチレン/ブタジエン−コポリマー(SBR)、ブチルゴム、イソブチレン/イソプレン−コポリマー(IIR)、アクリルニトリル含量5〜60質量%、有利には10〜50質量%を有するブタジエン/アクリルニトリル−コポリマー(NBR)、部分水素化又は完全水素化されたNBRゴム(HNBR)、エチレン/プロピレン/ジエン−コポリマー(EPDM)を有するブレンド並びに前記のゴムの混合物として挙げられる。
【0051】
更に、記載のゴムとのゴム混合物を得るために、次の付加的ゴムが使用される:カルボキシルゴム、エポキシドゴム、トランス−ポリペンテナマー、ハロゲン化ブチルゴム、2−クロル−ブタジエンからのゴム、エチレン−酢酸ビニル−コポリマー、エチレン−プロピレン−コポリマー、場合により天然ゴムの化学的誘導体並びに変性天然ゴム。
【0052】
有利な合成ゴムは、例えばW.Hofmannの"Kautschuktechnologie",Genter Verlag,Stuttgart 1980に記載されている。本発明によるタイヤの製造のために、特にガラス転移温度が−50℃より高いアニオン重合されたL−SBRゴム(溶液SBR)並びにジエンゴムとのその混合物が関心が持たれている。
【0053】
シランを有する又は有しない本発明による珪酸は、全てのゴム用途で、例えば成形体、タイヤ、タイヤトレッド、コンベア、コンベアベルト、パッキン、駆動ベルト、ホース、靴底、ケーブルジャケット、ローラライニング、制動素子など中で使用できる。
【0054】
この珪酸の導入及びこの珪酸を含有する混合物の製造は、ゴム工業で慣用の方法で密閉式ミキサー(Innenmischer)中又はローラミル中で有利に80〜200℃で行なわれる。この珪酸の提供−又は使用形は、粉末、球状生成物としても又は顆粒としても行うことができる。ここでも、本発明による珪酸は、公知の淡色充填剤と異ならない。
【0055】
本発明によるゴム加硫物は、他のゴム助剤を慣用の配量で、例えば反応促進剤、老化防止剤、熱安定化剤、遮光剤、オゾン防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、希釈剤(Streckmittel)、有機酸、遅延剤、金属酸化物並びに活性化剤、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールを含有していてよい。これら化合物は、ゴム工業で公知である。
【0056】
ゴム助剤は、特に使用目的に適合する公知量で使用することができる。慣用量は、例えばゴムに対して0.1〜50質量%の量である。架橋剤としては、硫黄又は硫黄含有物質を使用することができる。本発明によるゴム混合物は、更に加硫促進剤を含有していてよい。好適な主促進剤の例は、0.5〜3質量%の量でのメルカプトベンズチアゾール、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバメートである。助促進剤(Cobeschleuniger)の例は、0.5〜5質量%の量でのグアニジン、チオ尿素及びチオカーボネートである。硫黄は、通常、ゴムに対して0.1〜10質量%、有利に1〜3質量%の量で使用することができる。
【0057】
本発明による珪酸は、促進剤及び/又は硫黄によるが、またペルオキシドによっても架橋可能なゴム中で使用できる。
【0058】
本発明によるゴム混合物の加硫は、100〜200℃、有利に130〜180℃の温度で、場合により10〜200バールの圧力下に行うことができる。ゴムと充填剤、場合によってはゴム助剤及び有機珪素化合物との混合は、公知の混合装置中、例えばローラ、密閉式ミキサー及び混合押出し機中で実施することができる。
【0059】
本発明による高分散性で高表面積の珪酸は、それがゴム加硫物に、その高いCTAB−表面積に基づく改善された摩耗抵抗を提供する利点を有する。更に、その乾燥取り扱い性は、0℃及び60℃におけるその高い動的剛性に基づき改善されており、その転がり抵抗(低いtan δ(60℃)−値により示される)は低い。カーボンブラックと類似して、この本発明による高分散性の高表面積の珪酸を使用するとチップ及びカット特性(Cut & Chip Verhaltes)及びチャンキング特性の改善が達成される(定義及びその他の構成は、Tire Tech 2003 ハンブルク Dr.W.Niedermeier著における"New insights into the tear mechanism"及びその参考文献を参照)。
【0060】
本発明によるゴム混合物は、成形体の製造のために、例えば空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブルジャケット、ホース、駆動ベルト、コンベアベルト、ローラライニング、タイヤ、靴底、パッキンリング及び制動素子の製造のために好適である。
【0061】
本発明によるゴム混合物は、殊に、従来公知の珪酸を有する同じゴム混合物に比べて改善された低い転がり抵抗、改善された湿式滑り強度、改善された乾燥特性及び良好な摩耗抵抗を有するタイヤトレッドの製造のために好適である。このトレッド混合物は、特に高速−PKW−及びオートバイタイヤのために、更に良好な摩耗抵抗及び改善されたチップ及びカット特性及びチャンキング特性での低い転がり抵抗を有する商業用車両用のタイヤにも好適である。
【0062】
更に、本発明による珪酸は、有機珪素化合物の添加なしで、典型的なトレッドカーボンブラックとのブレンド中で、建築−、農業機械−及び坑内車タイヤのチップ及びカット特性の改善のためにも好適である。
【0063】
ポリマー混合物中の良好な特性像を得るためには、マトリックス、ポリマー中の沈降珪酸の分散液が決定的に重要である。これは、WK−係数により見積もることができる。
【0064】
図1は、WK−係数の計算に必要な値を示す概略図である。
【0065】
この曲線は1.0〜100μmの範囲内に粒径分布の第1の最大を示し、<1.0μmの範囲内にもう一つの最大を示している。1.0〜100μmの範囲内のピークは、超音波処理の後に粉砕されなかった珪酸粒子の部分を示している。このかなり粗大な粒子は、ゴム混合物中で分散性が悪い。明らかにより小さい粒子(<1.0μm)を有する第2のピークは、超音波処理の間に粉砕されている珪酸の粒子の部分を示している。この非常に小さい粒子はゴム混合物中で優れて分散される。
【0066】
ところで、このWK−係数は、その最大が1.0〜100μmの範囲(B‘)内にある崩壊不可能な粒子のピーク値(B)とその最大が<1.0μの範囲(A’)内にある崩壊された粒子のピーク値(A)との比である。
【0067】
従ってこのWK−係数は、沈降珪酸の崩壊可能性(=分散性)の尺度である。WK−係数が小さいほど、沈降珪酸が容易に分散可能である、即ちゴム中に導入する際により多くの粒子が崩壊されることに当てはまる。
【0068】
本発明による珪酸は、≦3.4、有利に≦3.0、特に有利に≦2.5のWK−係数を有する。公知の沈降珪酸は、他のWK−係数及びクールター(Coulter)LS230を用いて測定される粒度分布における他の最大を有し、従って、より劣悪に分散可能である。
【0069】
本発明による沈降珪酸の物理的/化学的データは次の方法で測定される:
珪酸の湿分の測定
この方法により、ISO787−2に従って105℃で2時間乾燥させた後の珪酸の揮発成分(簡素化のため以下に湿分と呼称する)を測定する。この乾燥減量は一般に主に水分からなる。
【0070】
実施
すり合わせ蓋を有する乾式のはかりびん(直径8cm、高さ3cm)に、10gの粉末状の、球状の又は顆粒状のケイ酸を0.1mgに正確に秤量する(初期秤量E)。該試料を蓋を開けた状態で105±2℃で2時間乾燥室中で乾燥させる。引き続きはかりびんを閉じ、そしてデシケータ室中で乾燥剤としてのシリカゲルと一緒に室温に冷却する。はかりびんを最終秤量Aを重量法で測定する。湿分を%で((E(g)−A(g))*100%)/(E(g))に従って測定する。
【0071】
珪酸の改変されたシェアズ数の測定
pH6〜pH9の範囲の水酸化カリウム溶液による珪酸の滴定によって、改変されたシェアズ数(以下にシェアズ数Vと呼ぶ)を遊離のヒドロキシ基の数についての尺度として規定できる。測定法は、以下の化学反応に基づき、その際、"Si"−OHは珪酸のシラノール基を抽象化するものである:
"Si"−OH+NaCl→"Si"−ONa+HCl
HCl+KOH→KCl+H
実施
10.00gの粉末状の、球状の又は顆粒状の5±1%の湿分を有する珪酸をIKAユニバーサルミルM20(550W、20000回転/分)で60秒間微粉砕する。場合により、出発物質の湿分含有率を乾燥室中での105℃での乾燥又は同時の湿潤化によって調整し、そして微粉砕を繰り返さねばならない。2.50gのこうして処理された珪酸を、室温で250mlの滴定容器中に秤量し、60.0mlのメタノール(p.A.)を混合する。試料の完全な湿潤化後に、40.0mlの脱イオン水を添加し、そしてウルトラ−ツラックスT25撹拌機(Ruehrwelle KV-18G、18mmの直径)を用いて18000回転/分の回転数で30秒間分散させる。100mlの脱イオン水で容器の縁及び撹拌機に付着した試料粒子を懸濁液中にすすぎ、そして熱恒常性の水浴中で25℃に加熱する。pH測定装置(Knick社、型:766の温度センサを有するpH計Calimatic)及びpH電極(Schott社のEinstab測鎖、N7680型)をバッファー溶液(pH7.00及び9.00)を使用して室温で較正する。pH計を用いて、まず懸濁液の出発pH値を25℃で測定し、次いで水酸化カリウム溶液(0.1モル/l)もしくは塩酸溶液(0.1モル/l)での結果に応じてpH値を6.00に調整する。KOH溶液もしくはHCl溶液のpH6.00までの消費量(ml)はV′に相当する。次いで20.0mlの塩化ナトリウム溶液(250.00gのNaCl(p.A.)を脱イオン水で1lにまで補充する)を計量供給する。次いで0.1モル/lのKOHでpH値9.00までの滴定を継続する。KOH溶液のpH9.00までの消費量(ml)はV′に相当する。引き続き容量V′もしくはV′をまず1gの理論上の初期秤量に規格化し、そして5をかけ、そこからV及びシェアズ数Vを単位ml/(5g)という結果にする。
【0072】
BET表面積の測定
粉末状、球状又は顆粒状の珪酸の窒素比表面積(以下にBET表面積と呼ぶ)はISO5794−1/付録Dに従って面積計(Stroehlein社、JUWE)を用いて測定する。
【0073】
CTAB表面積の測定
該方法はASTM3765もしくはNFT45−007(5.12.1.3章)に従った、"ゴム有効表面"とも呼ばれる珪酸の"外"表面上でのCTAB(N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド)の吸着に基づくものである。
CTABの吸着は、撹拌下及び超音波処理下に水溶液中で行われる。吸着されていない過剰のCTABをNDSS(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート溶液、"Aerosil OT"溶液)での逆滴定によって滴定処理装置を用いて測定し、その際、最終点は溶液の混濁の最大値によって与えられ、それはホトトロード(Phototrode)で測定される。全ての実施される作業の間の温度は、CTABの再結晶を抑制するために23〜25℃である。逆滴定は、以下の反応式を基礎とするものである:
【化1】

【0074】
装置
滴定処理装置METTLER Toledo DL55型及び滴定処理装置METTLER Toledo DL70型、それぞれpH電極、製品Mettler DG111型及びホトトロード、製品Mettler DP550型を備えている
滴定ビーカ、100mlでポリプロピレン製
滴定ガラス容器、150mlで蓋付
圧力濾過装置、100mlの内容量
硝酸セルロースからなり、細孔サイズ0.1μm、径47mmの膜フィルタ、例えばWhatman(整理番号7181−004)
試薬
CTABの溶液(脱イオン水中0.015モル/l)及びNDSSの溶液(脱イオン水中0.00423モル/l)を、即使用可のものとして取り寄せ(Kraft社、デュースブルク:整理番号6056.4700、CTAB溶液 0.015モル/l;整理番号6057.4700、NDSS溶液 0.00423モル/l)、25℃で貯蔵し、そして1ヶ月以内に消費する。
【0075】
実施
盲目滴定
5mlのCTAB溶液の滴定のためのNDSS溶液の消費量は毎日1回、各々の測定前に試験すべきである。このためにホトトロードを滴定の開始前に1000±20mVに調整する(100%の透明度に相当する)。正確に5.00mlのCTAB溶液を滴定ビーカ中にピペット導入し、そして50.0mlの脱イオン水を添加する。撹拌しながらNDSS溶液での滴定を当業者によく知られた測定法に従って滴定処理装置DL55を用いて溶液の最大の混濁度にまで行う。NDSS溶液の消費量Vをmlで規定する。各滴定は三重測定として行うべきである。
【0076】
吸着
10.0gの粉末状、球状又は顆粒状の湿分5±2%(場合によりその湿分は105℃での乾燥室での乾燥又は同時の湿潤によって調整する)を有する珪酸をミル(Krups社、モデルKM75、商品番号2030−70)を用いて30秒間微粉砕する。微粉砕された試料の正確に500.0mgをマグネットスターラを有する150mlの滴定容器中に移し、そして正確に100.0mlのCTAB溶液を計量供給する。滴定容器の蓋を閉め、そしてマグネットスターラーで15分間撹拌する。疎水性の珪酸をウルトラ−ツラックスT25撹拌機(Ruehrwelle KV−18G、18mmの直径)を用いて18000回転/分で完全に湿潤するまで最大で1分間撹拌する。滴定容器を滴定処理装置DL70に固定し、そして懸濁液のpH値をKOH(0.1モル/l)で9±0.05の値にまで調整する。懸濁液を滴定容器中で超音波浴(Bandelin社、Sonoerx RK 106S、35kHz)において25℃で4分間超音波処理する。引き続き直ちに圧力濾過を膜フィルタを通して窒素圧1.2バールで行う。最初の5mlの流出物は避ける。
【0077】
滴定
5.00mlの残りの濾液を100mlの滴定ビーカ中にピペット導入し、そして脱イオン水で50.00mlにまで補充する。該滴定ビーカを滴定処理装置DL55に固定し、そして撹拌しながらNDSS溶液での滴定を最大の混濁度にまで行う。NDSS溶液の消費量VIIをmlで規定する。各混濁は三重測定として行うべきである。
【0078】
計算
測定値
=盲目試料の滴定におけるNDSS溶液の消費量(ml)
II=濾液の使用におけるNDSS溶液の消費量(ml)
を用いて、
/VII=盲目試料の物質量CTAB/濾液試料中になおも存在する物質量CTAB
を得る。
【0079】
そこから吸着されたCTABの物質量N(g):
N=((V−VII)*5.5g*5ml)/(V*1000ml)
を得る。
【0080】
100mlの濾液のうち5mlだけが滴定されたにすぎず、規定の湿分を有する0.5gの珪酸が使用され、1gのCTABの所要床面積が578435*10−3であるので、そこから
CTAB表面積(水分補正されていない)(m/g)=(N*20*578.435m/g)/(0.5g)及び
CTAB表面積(水分補正されていない)(m/g)=((V−VII)*636.2785m/g)/V
を得る。
【0081】
該CTAB表面積は水不含の珪酸に対するものであり、従って以下の補正を実施する
CTAB表面積(m/g)=(CTAB表面積(水分補正されていない)(m/g)*100%)/(100%−湿分(%))。
【0082】
DBP吸収の測定
沈降珪酸の吸収度のための尺度であるDBP吸収(DBP数)を基準DIN53601に従って以下のように測定する:
実施
12.50gの粉末状又は球状の、0〜10%の湿分含有率(場合により湿分含有率は乾燥室中での105℃での乾燥によって調整される)を有する珪酸をブラベンダー吸収計"E"の混練室(商品番号279061)に投入する。粒質物の場合に3.15〜1mmの篩分級物(Retsch社の特殊鋼製シーブ)を使用する(3.15mmの細孔幅を有するシーブを通してのプラスチックへらによる粒質物の緩やかな圧力の印加による)。永続的に混合して(混練ブレードの回転速度 125回転/分)、室温で"Dosimaten Brabender T 90/50"によってジブチルフタレートを4ml/分の速度で混合物中に滴加する。混入を低い所要エネルギーでのみ行い、そしてデジタルディスプレイをもとに追跡する。測定の終わりに向かって混合物はペースト状になり、これは所要エネルギーの急上昇により示される。600桁(0.6Nmのトルク)を指示した場合に、電気接点を通じて混練機もDBP計量供給も切断する。DBP供給のためのシンクロ受信機がデジタル計数器と連結されているので、DBPの消費量をmlで読み取ることができる。
【0083】
評価
DBP吸収量はg/(100g)で示され、そして以下の式をもとに計算される。DBPの密度は20℃で一般に1.047g/mlである。
DBP吸収(g/(100g))=((DBPの消費量(ml)))*(DBPの密度(g/ml))*100)/(12.5g)
DBP吸収量は水不含の乾燥された珪酸について定義されている。湿式の沈降珪酸を使用する場合にはその値は以下の補正表により補正される。含水率に相当する補正値を実験的に規定されたDBP値に加算する;例えば珪酸の含水率5.8%はDBP吸収量について33g/(100g)の上乗せを意味する。
【0084】
ジブチルフタレート吸収(無水)についての湿分補正表
【表2】

【0085】
WK係数の測定:レーザ回折による凝集物粒度分布
試料準備
測定されるべき珪酸が粒質物である場合に、5gの粒質珪酸をガラスビーカに入れ、そして粗大粒状顆粒片を乳棒で加圧粉砕するが、磨りつぶさない。1.00gの加圧粉砕された粉末状の又は球状の5±1%の湿分含有率(場合によりその湿分含有率は105℃での乾燥室での乾燥又は同時の湿潤によって調整する)を有する製造後最大10日経過している珪酸を丸底の30ml遠心分離ガラス容器(高さ7cm、直径3cm、凸型の丸みの深さ1cm)中に秤量し、そして20.0mlの分散液(親水性珪酸:20.0gのヘキサメタ燐酸ナトリウム(Baker社)を1000mlの脱イオン水上に充填;疎水性珪酸:200.0mlのエタノール(p.A.)を2.0mlの25%アンモニア液及び0.50gのトライトンX100(Merck社)と一緒に1000mlの脱イオン水上に充填)を加える。引き続き、該遠心分離ガラス容器を、水道水(20℃)のための冷却水接続部を有する二重壁のガラス製冷却容器(80ml容量、高さ9cm、直径3.4cm)中に置き、そして試料を270秒間超音波フィンガー(Bandelin社、UW型であって、Horn DH13G及びダイヤモンドディスク直径13mmを有する)で処理する。このために超音波フィンガーの電源(Sonopuls、Bandelin社、HD2200型)で50%出力及び80%パルスに調節する(0.8秒出力及び0.2秒休止に相当する)。水冷により、最大で8℃の懸濁液の加熱が保証される。レーザ回折装置の送液モジュールへの試料の添加を15分以内に行うまで、起こりうる沈殿を回避するために懸濁液をマグネットスターラーで撹拌する。
【0086】
実施
測定開始前に、レーザ回折装置LS230(Coulter社)及び送液モジュール(超音波フィンガーCV181が組み込まれたLS可変速送液モジュールプラス(LS Variable Speed Fluid Module Plus)、Coulter社)を2時間加温させ、そして該モジュールを(メニューリスト"コントロール/すすぎ")10分間すすぐ。装置ソフトウェアのコントロールバーで、メニューポイント"測定"を介してデータウインドウ"光学モデルを計算する"を選択し、そして計算指数をrfdデータに以下の通り固定する:液体計算指数B.I実部=1.332;材料計算指数実部=1.46;虚部=0.1。データウインドウ"測定サイクル"で、ポンプ速度の出力を26%に調整し、そして組み込まれた超音波フィンガーCV181の超音波出力を3に調整する。超音波のポイント"試料添加の間"、"各測定の10秒前"及び"測定の間"をアクティブにすべきである。前記のデータウインドウにおいて以下のポイントを選択する:オフセット測定、調整、バックグラウンド測定、測定濃度の調節、試料情報の入力、測定情報の入力、2回測定の開始、自動すすぎ、PIDSデータで。
【0087】
LSサイズコントロールG15スタンダード(LS Size Control G15 Standard)(Coulter社)による較正測定及びバックグラウンド測定の完了後に試料添加を行う。吸光45〜55%が達成され、装置が"OK"を報告するまで懸濁された珪酸を供給する。
【0088】
測定は室温で前記の固定されたrfdデータの評価モデルで行う。各珪酸試料について、それぞれ60秒間で待ち時間0秒で3回の二重測定を実施する。
【0089】
生データカーブから、そのソフトウェアは、Mie理論及び光学モデルパラメータを考慮して容量分布を基礎として粒度分布を計算する。一般に、0〜1μmのモードA(約0.2μmで最大)及び1〜100μmのモードB(約5μmで最大)を有する二峰性の分布カーブが見出される。図1によればそこからWK係数を測定でき、これは6つの個別測定からの平均値として示される。
【0090】
pH値の測定
DIN EN ISO787−9に従う方法を20℃での珪酸の水性懸濁液のpH値測定のために用いる。このために調査されるべき試料の水性懸濁液を製造する。該懸濁液の短時間の振盪後に、そのpH値を事前に較正されたpH計を用いて測定する。
【0091】
実施
pH測定の実施前に、pH測定装置(Knick社、型:766の温度センサを有するpH計Calimatic)及びpH電極(Schott社のEinstab測鎖、N7680型)をバッファー溶液を使用して20℃で較正する。較正関数は、2種の使用されるバッファー溶液が見込まれる試料のpH値(pH4.00及び7.00、pH7.00及びpH9.00及び場合によりpH7.00及び12.00を有するバッファー溶液)を計算に入れるように選択する。粒質物を使用する場合に、まず20.0gの珪酸をミル(Krups社、モデルKM75、商品番号2030−70)により20秒間微粉砕する。
【0092】
5.00gの粉末状又は球状の、5±1%の湿分含有率(場合により湿分含有率は乾燥室における105℃での乾燥又は場合により微粉砕前の同時の湿潤化によって調整される)を有する珪酸を精密計量器で0.01gにまで、事前に補正されたガラス製の広口フラスコ中に秤量する。95.0mlの脱イオン水を該試料に添加する。引き続き該懸濁液を閉容器中で5分間にわたり振とう器(Gerhardt社、モデルLS10、55W、ステップ7)を用いて室温で振盪する。pH値の測定は引き続いてすぐ行われる。このために電極をまず脱イオン水ですすぎ、次いで懸濁液の一部ですすぎ、そして引き続き懸濁液中に浸漬する。懸濁液中にマグネットフィッシュ(Magnetfisch)を添加した後に、懸濁液が軽く渦を形成する一定の撹拌速度でpH測定を実施する。pH計が不変の値を示したら、pH値をディスプレイ上で読み取る。
【0093】
疎水性の珪酸を使用する場合には同様に実施するが、5.00gの場合により微粉砕された、5±1%の湿分含有率を有する試料を精密計量器で0.01gにまで、事前に補正されたガラス製の広口フラスコ中に秤量する。50.0mlのメタノール(p.A.)及び50.0mlの脱イオン水を添加し、引き続き該懸濁液を閉容器中で5分間にわたり振とう器(Gerhardt社、モデルLS10、55W、ステップ7)を用いて室温で振盪する。pH値の測定は、同様に撹拌下に、しかしながら正確に5分後に実施する。
【0094】
濾過ケークの固体含有率の測定
この方法により、濾過ケークの固体含有率を105℃で揮発性成分を除去することによって測定する。
【0095】
実施
乾式の補正された磁製シャーレ(直径20cm)に100.00gの濾過ケークを秤量する(初期秤量E)。場合により濾過ケークを最大で1cmの緩い破片を得るためにへらで砕く。該試料を105±2℃で乾燥室中で質量が一定になるまで乾燥させる。引き続き試料をデシケータ室中で乾燥剤としてのシリカゲルと一緒に室温に冷却する。最終秤量Aは重量法で測定する。
【0096】
固体含有率を%で100%−(((E(g)−A(g)*100%)/(E(g)))に従って測定する。
【0097】
導電率の測定
珪酸の導電率(LF)の測定を水性懸濁液中で実施する。
【0098】
実施
粒質物を使用する場合に、20.0gの珪酸をミル(Krups社、モデルKM75、商品番号2030−70)を用いて20秒間微粉砕する。4.00gの粉末状又は球状の、5±1%の湿分含有率(場合により湿分含有率は乾燥室における105℃での乾燥又は場合により微粉砕前の同時の湿潤化によって調整される)を有する珪酸を50.0mlの脱イオン水中に懸濁し、100℃に1分間加熱する。20℃に冷却された試料を正確に100mlにまで補充し、そして再度振盪して均質化する。
【0099】
導電率測定装置LF530(WTW社)の測定セルを少量の試料量ですすぎ、それから測定セルLTA01を懸濁液中に浸す。ディスプレイ上に示された値は20℃での導電率に相当する。それというのも外部温度センサTFK530は自動的な温度補正を行うからである。この温度係数もセル係数kも各測定過程の前に調べる。較正溶液として0.01モル/lの塩化カリウム溶液を使用する(20℃でのLF=1278μS/cm)。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、WK−係数の計算に必要な値を示す概略図である。
【0101】
以下の実施例は本発明を詳細に説明するものであり、その範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0102】
実施例1
プロペラ型撹拌装置及び二重壁加熱装置を備えたステンレス鋼製の反応器中に、43.8lの水並びに0.01kgの水ガラス(密度1.348kg/l、SiO27.1%、NaO 8.00%)を前装入する。引き続き75℃で50分かかって7.20l/時間の水ガラス及び約1.79l/時間の硫酸(密度1.40kg/l、50.6%HSO)を配量添加する。この硫酸配量を、反応媒体において7.5のpH値(室温で測定して)となるように制御される。引き続き、水ガラス添加を停止し、約3.3のpH(室温で測定して)に達するまで硫酸を更に導入する。
【0103】
得られた懸濁液を常法で濾過し、水で洗浄する。固体含有率18%を有する濾過ケークを水性硫酸と剪断装置を用いて液状化する。固体含有率16%を有する珪酸供給物を引き続き噴霧乾燥する。
【0104】
得られた粉末状の生成物は、BET表面積211m/g、CTAB表面積198m/g、DBP吸収295g/(100g)、シェアズ数V 16.0ml/(5g)及び導電率1600μS/cmを有する。
【0105】
例2
エマルジヨン−SBRゴム混合物中の例1からの本発明により得られた沈殿法による珪酸の検査。技術の標準として、分散容易なトレッド珪酸ウルトラシル7000GR及び高表面積珪酸ゼオシル1205MPを選択した。ウルトラシル7000GRは、160±10m/gのCTAB−表面積を有するDegussa AGの良好に分散可能な沈殿法による珪酸である。ゼオシル1205MPは、200±10m/gのCTAB−表面積を有するRhodiaの高表面積珪酸である。
【0106】
ゴム混合物のために使用される処方が次の第1表に挙げられている。ここで、単位phrは、使用原料ゴムの100部に対する質量部を意味する。混合物Aは、本発明による珪酸を含有し、混合物R1及びR2を技術水準に依る参照として使用する。分散液品質を評価するために、混合の際に使用される剪断力をできるだけ一定に保持すべきである。このことは、CTAB−表面積に適合されたシランの配量により達成できるが、変動性シラン量の際での架橋密度をも比較可能に保持するために、シランの硫黄含量に相応する硫黄補正が必要である(H.-D.Luginsland,J.Froehlich,A.Wehmeier,paper No.59 ACS-Meeting提供,April 24-27,2001,Providence/Rhode Island,USA)。ゴム混合物及びその加硫物を製造するための一般的方法は、"Rubber Technology Handbook",W.Hofmann,Hanser Verlag 1994に記載されている。
【0107】
第1表
【表3】

【0108】
ポリマーブナ1500は、23.5質量%のスチレン含有率を有するBayer AGのエマルジヨン重合されたSBR−コポリマーである。Si 69はDegussa AGのカップリング試薬ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンである。レノパールNSは、Fuchs Mineraloelwerkeの鉱油である。ブルカノックスHS/LG(TMQ)、ブルカシットCZ/EG(CBS)及びブルカシット チウラム/C(TMTD))は、Bayer AGの市販品である。
【0109】
ゴム混合物を、第2表中に記載の混合指示に従って密閉式ミキサー中で製造する。第3表中にはゴム試験の方法がまとめられている。こうして得られた混合物を165℃で15分間加硫させる。第4表は、ゴム工業試験の結果を示している。
【0110】
第2表
【表4】

【0111】
【表5】

【0112】
第3表
【表6】

【0113】
分散係数は光学的に測定される。この測定はDeutschen Institut fuer Kautschuktechnologie e.V.,Hannover/Deutschlandにより実施することができる。更に、その方法は、DIK-Workshop,27-28.November 1997,Hannover/Germany提供のH.Geister,"Bestimmung der Mischguete"に記載されている。
【0114】
第4表
【表7】

【0115】
第4表中のデータから理解されるように、本発明による珪酸を含有する混合物Aは、参照混合物R1よりも高いムーニイ−粘度を有する。このことは、参照珪酸ウルトラシル700GRに比べた本発明による珪酸の高い珪酸表面積により限定されているより強い珪酸ネットワークに基因する。しかしながら、参照混合物R2中の慣用の高表面積珪酸ゼオシル1205MPに比べて、粘度は有利に低く、これは改良された加工可能性を包含している。加硫時間t90%は、不足の促進剤適合に基づきウルトラシル7000GRに比べて延長されており、本発明による珪酸の高い表面積に基因している;同様にトルク差Dmax−Dminとして測定される架橋密度は低い。不足の促進剤適合にも拘わらず、本発明による混合物Aの引張強さ、張力値及び硬度は良好な強化を示している。混合物Aの硬度はR3に対して4ポイントだけ高められている。混合物R2の硬度は8ポイントで実質的に明らかに高められている。このことは、既に、R2中の慣用の高表面積珪酸の不充分な分散性を示している。混合物Aの分散性は、91%を上回って優れているが、技術水準による高表面積珪酸を有するR2中の分散性は明らかに劣っている。
【0116】
例3
S−SBR/BRゴム混合物中の本発明による沈殿法での珪酸の検査。技術水準として、再び珪酸ウルトラシル7000GR及びゼオシル1205MPを選択した。
【0117】
ゴム混合物を得るために使用される処方を、次の第5表に挙げる。混合物R3中の参照珪酸ウルトラシル7000GRはSi69 6.4phrで変性されていた。参照珪酸ゼオシル1205MP及び本発明による珪酸の高い表面積を考慮するために、混合物R4及びB中でシラン量を8phrまで高め、相応して硫黄量を低めた。硫黄補正はシランの硫黄含有率に相応して必須である(ACS-Meeting, April 24-27, 2001, Providence/Rhode Island, USAで公開されたH.-D.Luginsland, J.Froehlich, A.Wehmeier, paper No. 59)。
【0118】
第5表
【表8】

【0119】
ポリマーVSL5025−1は、25質量%のスチレン含有率及び75質量%のブタジエン含有率を有するBayer AGの溶液重合されたSBR−コポリマーである。このコポリマーは、油37.5phrを含有し、50±4のムーニイ−粘度(ML1+4/100℃)を有する。
【0120】
ポリマーブナCB24は、少なくとも97%のシス1,4−含有率及び44±5のムーニイ−粘度を有するBayer AGのシス1,4−ポリブタジエン(ネオジムタイプ)である。芳香性油として、ChemetallのナフトレンZDを使用する。ブルカノックス4020は、Bayer AGの6PPDであり、プロテクターG35Pは、HB-Fuller GmbHのオゾン防止ワックスである。ブルカシットD/C(DPG)及びブルカジットCZ/EG(CBS)は、Bayer AGの市販品である。ペルカジットTBZTDは、Akzo Chemie GmbHから入手可能である。
【0121】
ゴム混合物は、第6表中の混合指示に応じて密閉式ミキサー中で製造される。第3表中には、ゴム試験用の更なる方法がまとめられている。混合物を165℃で20分間加硫する。第7表は、このゴム工業試験の結果を示している。
【0122】
第6表
【表9】

【0123】
【表10】

【0124】
第7表
【表11】

【0125】
第7表のデータから明らかなように、本発明による珪酸の高い表面積に基づき、混合物Bのムーニイ−粘度はR3に比べて僅かに高められているが、更に技術水準を代表する高い粘度を有する劣悪に加工可能な参照混合物R4のそれよりも良好である。R3及びBの張力値100%は比較可能であるが、R4は明らかに高い硬度及び張力値100%を有し、このことはより劣った分散性に基づく明らかに高い珪酸ネットワークを示している。参照R3に比べた混合物Bの利点は、高い動的弾性率E0℃及び60℃に認められる。これらの高い剛性は、殊に高速−PKW−及びオートバイタイヤにとって重要である。それというのも、これらは改善された乾燥取り扱い性及び高いカーブ安定性を示すからである。混合物Bで使用されるより高いCTAB表面積を有する珪酸にも拘わらず、tan δ(60℃)は混合物R3に対して殆ど変わらず、これは匹敵する転がり抵抗を予測できるが、技術水準による混合物R4は有意に高いtan δ(60℃)、更に転がり抵抗を有する。本発明による珪酸の高いCTAB−表面積と組み合わされたこの良好な強化は、混合物Bの改善された路面摩耗性を可能にする。路面摩耗性のこの改善は、LKW−トレッド混合物中で使用されるように、天然ゴム混合物中の本発明による高表面積の珪酸の使用の際にも達成できる。殊に、N121のような高表面積の高構造カーボンブラックと組み合わせる際に、LKW−タイヤにおける優れた路面摩耗性が達成できる。その適用範囲でもまさに、チップ及びカット特性及びチャンキング特性の改善に特に関心が持たれており、そして本発明による高表面積の珪酸の使用によって実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET−表面積 178−302m/g
CTAB−表面積 ≧170m/g
DBP−数 200〜300g/(100g)
シェアズ−数V 10〜35ml/(5g)
を特徴とする、沈降珪酸。
【請求項2】
CTAB―表面積が最大300m/gであることを特徴とする、請求項1に記載の沈降珪酸。
【請求項3】
沈降珪酸は≦3.4のWK−係数(1.0〜100μmの粒径範囲の超音波により崩壊不能な粒子のピーク値対<1.0μmの粒径範囲の崩壊された粒子のピーク値の比)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の沈降珪酸。
【請求項4】
その表面が、式I〜III:
[SiR(RO)(Alk)(Ar)[B] (I)
SiR(RO)3−n(Alkyl) (II)
又は
SiR(RO)3−n(Alkenyl) (III)
[式中、Bは−SCN、−SH、−Cl、−NH、−OC(O)CHCH、−OC(O)C(CH)CH(q=1のとき)又は−S−(q=2のとき)であり、その際、BはAlkと化学的に結合されており、
R及びRは、C−原子数2〜30を有する脂肪族、オレフィン系、芳香族又はアリール芳香族基を表し、この基は場合により次の基:ヒドロキシ−、アミノ−、アルコレート−、シアニド−、チオシアニド−、ハロゲン−、スルホン酸−、スルホン酸エステル−、チオール−、安息香酸−、安息香酸エステル−、カルボン酸−、カルボン酸エステル−、アクリレート−、メタクリレート−、オルガノシラン基で置換されていてよく、この際、R及びRは同じ又は異なるものを表すか又は置換基を有していてよく、
nは0、1又は2であり、
Alkは炭素原子数1〜6を有する2価の非分枝の又は分枝した炭化水素基を表し、
mは0又は1であり、
ArはC−原子6〜12、有利にはC−原子6を有するアリール基を表し、これは、次の基:ヒドロキシ−、アミノ−、アルコレート−、シアニド−、チオシアニド−、ハロゲン−、スルホン酸−、スルホン酸エステル−、チオール−、安息香酸−、安息香酸エステル−、カルボン酸−、カルボン酸エステル−、アクリレート−、メタクリレート−、オルガノシラン基で置換されていてよく、
pは0又は1である、但し、pとnは同時に0を表さないことを条件とし、
qは1又は2であり、
wは2〜8の数であり、
rは1、2又は3である、但し、r+n+m+p=4であることを条件とする、
Alkylは炭素原子数1〜20、有利には2〜8を有する1価の非分枝の又は分枝した飽和炭化水素基を表し、
Alkenylは炭素原子数2〜20、有利には2〜8を有する1価の非分枝の又は分枝した不飽和の炭化水素基を表す]のオルガノシランで変性されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の沈降珪酸。
【請求項5】
BET−表面積 178−302m/g
CTAB−表面積 ≧170m/g
DBP−数 200〜300g/(100g)
シェアズ−数V 10〜35ml/(5g)
を有する沈降珪酸を製造する方法において、この際、
a)アルカリ金属−又はアルカリ土類金属珪酸塩及び/又は有機及び/又は無機塩基の水溶液をpH7〜8.5で前装入し、
b)この前装入物に、攪拌下に55〜95℃で10〜120分間、同時的に水ガラス及び酸性化剤を配量し、
e)酸性化剤で約3.5のpH値まで酸性にし、かつ
f)濾過し、かつ乾燥させることを特徴とする、沈降珪酸の製法。
【請求項6】
工程b)とe)の間に、次の工程:
c)温度の保持下に30〜90分間配量添加を停止し、かつ
d)水ガラスと酸性化剤の同時的配量添加を、同じ温度で攪拌下に20〜120分間実施することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程b)とd)における酸性化剤及び/又は水ガラスは、それぞれ同じ濃度又は流入速度を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程b)とd)における酸性化剤及び/又は水ガラスは、それぞれ異なる濃度又は流入速度を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程b)及びd)における酸性化剤及び/又は水ガラスが同じ濃度である場合に、工程d)における流入速度は、工程b)における流入速度の125〜140%であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
乾燥のために、流動乾燥機、スプレー乾燥機、多段乾燥機、ベルト乾燥機、回転管乾燥機、フラッシュ−乾燥機、スピン−フラッシュ−乾燥機又はノズル塔を使用することを特徴とする、請求項5から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
乾燥後にローラ圧縮機を用いて造粒を実施することを特徴とする、請求項5から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程b)及び/又はd)の間に、有機又は無機の塩の添加を行うことを特徴とする、請求項5から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
造粒された又は造粒されていない沈降珪酸を、オルガノシランを用いて沈降珪酸100部当たり0.5〜50部、殊に沈降珪酸100部当たり1〜15部の混合により変性し、この際、沈降珪酸とオルガノシランとの間の反応を、混合物製造の間に(その場で)、又は外で混合物のスプレー及び引き続く熱処理により、又はオルガノシランと珪酸懸濁液との混合に引き続く乾燥及び熱処理により実施することを特徴とする、請求項5から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸を含有する、エラストマー混合物、加硫可能なゴム混合物及び/又は加硫物。
【請求項15】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸を含有する、タイヤ。
【請求項16】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸を含有する、実用車両用のタイヤ。
【請求項17】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸を含有する、オートバイタイヤ。
【請求項18】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の沈降珪酸を含有する、高速車両用のタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−270001(P2010−270001A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163360(P2010−163360)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2004−526755(P2004−526755)の分割
【原出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】