説明

高効率の突極型機およびこれを形成する方法

回転磁界アセンブリならびに回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つの極間キャップおよび/または回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つのコイル端部キャップを備える突極型機およびその形成方法。各々の極間キャップが、好ましくは、曲率および/または少なくとも1つの空洞を有する上面を含む。各々のコイル端部キャップが、少なくとも1つの支持部を含むことができる。突極型機は、回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリをさらに含むことができる。好ましい実施形態においては、突極型機が、少なくとも1つの取り付け板を含み、各々のファンアセンブリが、取り付け板に取り付けられる。極間キャップおよびコイル端部キャップは、好ましくは、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、または天然由来の材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機およびモータなどの突極型機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、発電機およびモータなどの突極型機の初期コストは、設計および筐体とともに、適切な信頼性および入手性を提供することが知られている供給者の中からの所与のkWの電気突極型機の購入における主たる因子であった。突極型機は、通常は最低のコストにおいて購入され、多くの場合、動作時の損失は大体は無視されている。
【0003】
しかしながら、原油の価格が上昇を続け、これらの装置の運転コストが、今や突極型機の選択における重要な因子となっている。突極型機からの電気エネルギの生成に関する運転コストを、無視することができない。さらに、電気のより効率的な生成に関する温室効果ガスの削減も望まれる。
【0004】
原動力の用途が、高効率の発電機ユニットが本発明の教示から利益を得る1つの分野である。この効率向上からの利益は、ユニットのコストの上昇に対して、比較的乏しい可能性があり、経済的に大いに注目される。したがって、突極型機の効率を向上させるというニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風損は、突極型機の分野の冷却ファンおよび突極子の設計に関係する損失である。いくつかの用途においては、風損が、ユニットに存在する個々の損失成分のうちで最大になり得る。これは、過剰な温度上昇を避けるために必要な大量の気流が必要とされるためである。さらに、好ましくない形状によって引き起こされる大きな圧力低下も存在する。これらの現象の両者が、従来技術におけるきわめて乏しいファンの効率につながっており、多大な損失をもたらしている。したがって、風損を少なくし、結果として突極型機の効率を改善するというニーズが存在する。
【0006】
燃料の使用の節約が望まれる場合、発電機などの高効率の突極型機が選択されなければならない。しかしながら、高効率の突極型機は、燃料の節約を超える利益をもたらす。より損失の少ない機械は、生み出す熱が少なく、したがって、より低い効率の型よりもはるかに低い温度で動作する。絶縁材料の寿命は、温度が高くなるにつれて短くなるため、そのような低い温度は、突極型機の寿命を大幅に長くする。
【0007】
シャフト取り付けの冷却ファンに関係する損失を少なくするために、小型の誘導モータ駆動のファンという新たな考え方が、ユニットを冷却するために使用されている。突極型機の乱流損失を最小限にするために、複合材料の極間キャップおよび複合材料のコイル端部キャップが、空気抵抗を少なくするために使用されている。さらに、ファンアセンブリが、回転磁界アセンブリとは別個独立であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回転磁界アセンブリならびに回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つの極間キャップおよび/または回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つのコイル端部キャップを備える突極型機。各々の極間キャップが、好ましくは、曲率および/または少なくとも1つの空洞を有する上面を含む。コイル端部キャップが、少なくとも1つの支持部を含むことができる。突極型機は、回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリをさらに含むことができる。好ましい実施形態においては、突極型機が、少なくとも1つの取り付け板を含み、各々のファンアセンブリが、取り付け板に取り付けられる。極間キャップおよびコイル端部キャップは、好ましくは、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、または天然由来の材料を含む。
【0009】
回転磁界アセンブリを有する突極型機を形成する方法であって、少なくとも1つの極間キャップを回転磁界アセンブリへと接続するステップを含む方法。方法が、少なくともコイル端部キャップを回転磁界アセンブリへと接続するステップ、および/または回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリを突極型機へと接続するステップをさらに含むことができる。好ましい実施形態においては、極間キャップが、上面を備え、各々の極間キャップの上面が、曲率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】回転磁界アセンブリの従来技術の斜視図を示している。
【図2】回転磁界アセンブリの実施形態の部分分解斜視図を示している。
【図3】回転磁界アセンブリの実施形態の組み立てられた状態の斜視図を示している。
【図4】極間キャップの実施形態の斜視図を示している。
【図5】コイル端部キャップの外側の実施形態の斜視図を示している。
【図6】少なくとも1つのファンアセンブリの実施形態の分解斜視図を示している。
【図7】ファンアセンブリの実施形態の斜視図を示している。
【図8】組み立てられた突極型機の実施形態の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される本発明は、さまざまな変更および代案の形態を受け入れる余地を有するが、少数の具体的な実施形態のみが、例として図面に示され、以下で詳しく説明される。これらの具体的な実施形態の図および詳細な説明は、本発明の考え方または添付の特許請求の範囲の広がりまたは技術的範囲を、いかなる形式でも限定しようとするものではない。むしろ、図面および明細書に記載される詳細な説明は、本発明の考え方を当業者に説明し、本発明の考え方を当業者にとって実行および使用可能にするために提示されている。
【0012】
本明細書に開示される本発明を取り入れてなる1つ以上の例示の実施形態が、以下に提示される。本出願においては、分かり易さの目的のために、実際の実施例のすべての特徴が説明または図示されるわけではない。本発明を取り入れてなる実際の実施形態の開発においては、実施例ごとにさまざまであり、その時々でさまざまであるシステム関連、ビジネス関連、政府関連、および他の制約への準拠など、開発者の目標を達成するために、実施例ごとに特有の多数の決定を行わなければならないことを理解されたい。開発者の取り組みは、複雑かつ時間のかかるものである場合があるが、それにもかかわらず、そのような取り組みは、本明細書の開示の利益を手にする当業者にとって、当たり前の仕事であると考えられる。
【0013】
従来技術の突極型機(発電機)は、いくつかの部分で効率を失っている。図1が、発電機の回転磁界アセンブリ100を示している。回転磁界アセンブリ100は、回転子極102、巻線104、およびコイル支持バー106を含む。巻線104が、巻線支持具108によって所定の位置に保持されている。巻線支持具108が位置している回転子極102の間の領域の開いた性状が、風損が生じる領域になりがちである。
【0014】
ファンアセンブリ112が、シャフト110に取り付けられている。従来技術は、ファンアセンブリ112が大量の機械的エネルギを必要とするため、かなりの風損を招いている。冷却のために空気を移動させるために必要とされる機械的エネルギが、システムの効率における損失の大きな部分を構成している。
【0015】
巻線104のうち、回転子極102を過ぎて延びている部分114が、風損のもう1つの原因である。回転磁界アセンブリ100が回転するとき、巻線104の部分114およびコイル支持バー106が、効率の損失を大いに助長する空気抵抗を引き起こす。
【0016】
当業者であれば、突極型機、すなわち発電機の好ましい実施形態が、本明細書に記載されることを理解できる。しかしながら、すべての突極型機が、本開示の教示から利益を得ることができ、本明細書および特許請求の範囲に記載される本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。突極型機は、発電機およびモータを含むものと考えられる。
【0017】
図2は、回転磁界アセンブリ200の実施形態である。回転子極202の間の開放領域および巻線支持具208が、極間キャップ216によって閉じられている。コイル支持バー206および巻線214のうちの回転子極202を過ぎて延びている部分は、コイル端部キャップ218によって覆われている。この実施形態においては、シャフト210へと取り付けられるファンアセンブリが存在していない。
【0018】
図3は、回転磁界アセンブリ300の実施形態の組み立てられた状態の斜視図を示している。図示のとおり、回転子極302の間の開放領域が、極間キャップ316によって閉じられている。巻線314のうちの回転子極302を過ぎて延びている部分は、コイル端部キャップ318によって覆われている。この実施形態においては、シャフト310へと取り付けられるファンアセンブリが存在していない。
【0019】
図4は、極間キャップ416の実施形態の斜視図を示している。極間キャップ416は、隣り合う回転子極の間を仲立ちするように設計されている。好ましい実施形態においては、極間キャップ416の上面420が、組み立てられたときに回転磁界アセンブリの全体が風損の低減に有利な円柱形の表面に近付くことができるように、曲率を有することができる。好ましい実施形態においては、使用される材料のコストの削減および極間キャップ416の総質量の軽減の両者のために、少なくとも1つの空洞422を極間キャップ416に形成することができる。
【0020】
極間キャップ416を、動作時の回転に関係する力に耐えるための適切な構造特性を有する任意の材料で形成することができる。これは、金属、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、天然由来の材料、および同様の材料を含むことができるが、これらに限られるわけではない。好ましい実施形態においては、ガラス補強エポキシ複合材料が、電気、質量、および強度の特性ゆえに好ましい。最も好ましい実施形態においては、極間キャップ416を、G−11ガラス補強エポキシ複合材料から形成できるが、かなりさまざまな材料が本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、当業者であれば理解できる。
【0021】
図5は、コイル端部キャップ518の実施形態の斜視図を示している。コイル端部キャップ518の外径524は、好ましくは、回転磁界アセンブリの外径と同様または同じである。この直径を実質的に等しくする目的は、表面間の段差のある接合部分からの風損を減らすことにある。コイル端部キャップ518の奥行きは、巻線およびコイル支持バーを完全に囲むことができるような奥行きである。巻線の適切な内側すき間が好ましい。コイル端部キャップ518の取り付け面526は、コイル支持バーと接続することができるような取り付け面である。好ましい実施形態においては、コイル端部キャップ518が、軸方向においてコイル支持バーへとボルトで取り付けられる。さらに、コイル端部キャップ518は、回転磁界アセンブリの内部部品に干渉しない方法で形成されつつ、さらなる剛性を提供する構造支持部528を含むことができる。
【0022】
コイル端部キャップも、動作時の回転に関係する力に耐えるための適切な構造特性を有する任意の材料で形成することができる。これは、金属、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、天然由来の材料、および同様の材料を含むことができるが、これらに限られるわけではない。好ましい実施形態においては、ガラス補強エポキシ複合材料が、電気、質量、および強度の特性ゆえに好ましい。最も好ましい実施形態においては、極間キャップ518、618を、G−11ガラス補強エポキシ複合材料から形成できるが、かなりさまざまな材料が本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、当業者であれば理解できる。
【0023】
図6は、回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリの実施形態の分解斜視図を示している。図示のとおり、複数のファンアセンブリ630が、取り付け板632と接続している。スクリーン634を、ファンアセンブリ630の外側において取り付け板632に配置することができる。好ましい実施形態においては、アクセスカバー636を、取り付け板632にさらに配置することができる。この構成は、シャフトに取り付けられるファンに対して、より低負荷の代案を提供する。
【0024】
図7は、ファンアセンブリ730の実施形態の斜視図を示している。ファンアセンブリ730が、取り付け板732と接続している。これらのファンアセンブリ730は、好ましくは取り付け板732へとボルトで取り付けられる。スクリーン734を、ファンアセンブリ730の外側において取り付け板732に配置することができる。これらのスクリーン734は、好ましくは取り付け板732へとボルトで取り付けられる。
【0025】
この実施形態においては、4つのファンアセンブリが示されているが、突極型機の内部部品に気流をもたらすことができる任意の数のファンアセンブリが、本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、当業者であれば理解できる。突極型機の必要に応じて、必要とされる気流の量は幅広くさまざまであると予想されるが、最も好ましい実施形態は、少なくとも約2000CFMの気流を生成することができる。これは、フレームのサイズ、スタックの長さ、使用されるファンの種類、動作環境、および同様の変数にもとづいて変化する。取り付け板は、好ましくは、動作時に各々のファンアセンブリを構造的に支持することができる鋼または同様の剛体材料で製作される。取り付け板についてかなりさまざまな材料が本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、当業者であれば理解できる。
【0026】
図8は、組み立てられた突極型機800の実施形態の斜視図を示している。突極型機800が、電機子アセンブリ838へと接続されたファンアセンブリハウジング836を示している。回転子840(本明細書において、回転磁界アセンブリとも称される)を、電機子アセンブリ838の内部に見て取ることができる。
【0027】
本発明を、好ましい実施形態および他の実施形態の文脈において説明したが、本発明のすべての実施形態を説明したわけではない。上述した実施形態の自明な変更および代案が、当業者にとって利用可能である。開示された実施形態および開示されていない実施形態は、本出願の出願人が考える本発明の技術的範囲または応用範囲を限定または制限しようとするものではなく、むしろ、本出願の出願人は、特許法に従って、以下の特許請求の範囲の均等物の技術的範囲または範ちゅうに包含されるようなすべての変更および改善を完全に保護することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転磁界アセンブリと、
回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つの極間キャップとを備える突極型機。
【請求項2】
各々の極間キャップが、上面を備え、各々の極間キャップの上面が、曲率を有する、請求項1に記載の突極型機。
【請求項3】
各々の極間キャップが、少なくとも1つの空洞を備える、請求項1に記載の突極型機。
【請求項4】
各々の極間キャップが、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、または天然由来の材料を含む、請求項1に記載の突極型機。
【請求項5】
回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つのコイル端部キャップをさらに備える、請求項1に記載の突極型機。
【請求項6】
各々のコイル端部キャップが、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、または天然由来の材料を含む、請求項5に記載の突極型機。
【請求項7】
回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリをさらに備える、請求項1に記載の突極型機。
【請求項8】
少なくとも1つの取り付け板をさらに備え、各々のファンアセンブリが、取り付け板に取り付けられている、請求項7に記載の突極型機。
【請求項9】
回転磁界アセンブリと、
回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つのコイル端部キャップとを備える、突極型機。
【請求項10】
各々の極端部キャップが、少なくとも1つの支持部を備える、請求項9に記載の突極型機。
【請求項11】
各々のコイル端部キャップが、複合材料、ポリマー、合金、セラミクス、または天然由来の材料を含む、請求項9に記載の突極型機。
【請求項12】
回転磁界アセンブリへと接続された少なくとも1つの極間キャップをさらに備える、請求項9に記載の突極型機。
【請求項13】
各々の極間キャップが、上面を備え、各々の極間キャップの上面が、曲率を有する、請求項12に記載の突極型機。
【請求項14】
各々の極間キャップが、少なくとも1つの空洞を備える、請求項12に記載の突極型機。
【請求項15】
回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリをさらに備える、請求項10に記載の突極型機。
【請求項16】
少なくとも1つの取り付け板をさらに備え、各々のファンアセンブリが、取り付け板に取り付けられている、請求項15に記載の突極型機。
【請求項17】
回転磁界アセンブリを有する突極型機を形成する方法であって、少なくとも1つの極間キャップを回転磁界アセンブリへと接続するステップを含む、方法。
【請求項18】
少なくともコイル端部キャップを回転磁界アセンブリへと接続するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
回転磁界アセンブリから別個独立した少なくとも1つのファンアセンブリを突極型機へと接続するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
各々の極間キャップが、上面を備え、各々の極間キャップの上面が、曲率を有する、請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−541535(P2010−541535A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528055(P2010−528055)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/078135
【国際公開番号】WO2009/045958
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(500510010)エマーソン エレクトリック カンパニー (73)
【Fターム(参考)】