説明

高効率的な梱包装置および方法

【課題】複数の梱包資材を同時に梱包する高効率的な梱包装置および方法の提供。
【解決手段】梱包資材5、5’を収納したカートリッジ4、4’を旋回リング1の対角に配置すると共に、巻き始め押さえロール7を押し付け、旋回リング1の回転を開始し、梱包資材5、5’がお互いに張力が加わった時点をもって押さえロール7を外し梱包を開始することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の梱包資材を同時に梱包する高効率的な梱包装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包資材を梱包する場合、スパイラル型梱包装置などでは、1種類の梱包資材を梱包する。例えば図4に示すように、従来の梱包装置においては旋回リング1が旋回ギア2によって旋回するように構成し、この旋回リング1には梱包体3に巻き付ける梱包資材5が梱包資材を収納したカートリッジ4から供給される。一方、旋回リング1に設けた梱包資材を収納したカートリッジ4は、旋回リング垂直方向からθの角度に傾いた状態で、梱包資材5がらせん状に梱包体3に連続的にスムーズに供給され巻かれて行く。図4は、従来のスパイラル型梱包装置を示す図である。図4(a)は正面図であり、図4(b)は横断面図である。なお、符号6は搬送ローラを示す。
【0003】
また、特開2007−175964号公報(特許文献1)に開示されているように、特に、基材が発砲樹脂成形品である輸送用梱包資材、運送容器、パレット、ヘルメットなどであって、その表面を表皮シートで被覆することにより、繰り返しの使用を可能とし、また発砲樹脂が飛散して周囲を汚染するのを防止することができるようにした表皮シート付き発砲樹脂成形品とその製造方法が提案されている。
【特許文献1】特開2007−175964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のスパイラル型梱包方法や特許文献1に開示されている発砲樹脂成形品とその製造方法は、いずれも、より効率的に梱包を行うために、複数の梱包資材を同時に梱包することができるものではなく、また、梱包資材を2重にして、2重の梱包を1回で実施する方法でもない。そのため、複数の梱包資材を同時に梱包するためには、梱包機構が2つ必要である。しかも単に2台設置するだけではなく、その配置は材料の寸法と梱包資材の軌跡を考慮した上で決定しなければないらないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、より効率的に梱包を行うために、梱包資材を同時に複数の梱包をすることができると共に、2種類の梱包資材をも1回の梱包によって同時に梱包することができる経済的に極めて優れた梱包体ができる高効率的な梱包装置およびその方法を提供するものである。その発明の要旨とするところは、
(1)高効率的な梱包装置において、梱包資材を収納したカートリッジを対角に配置すると共に、巻き始め押さえロールを押し付け、解除可能に配設したことを特徴とする高効率的な梱包装置。
【0006】
(2)高効率的な梱包方法において、梱包資材を収納したカートリッジを対角に配置し同時に梱包を行うに当たり先ず回転し、お互いのスタート時の梱包資材がお互いに張力が加わった時点をもって押さえロールを外し梱包を開始することを特徴とする高効率的な梱包方法。
(3)前記(2)に記載の梱包方法において、梱包装置の軌跡となる円弧と、梱包材料の形を楕円となる両者の干渉を確認しながらスパイラル状に梱包することを特徴とする高効率的な梱包方法にある。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、本発明により複数の梱包資材を同時に梱包できると共に2種類の梱包資材をも1回の梱包によって同時に梱包することができる、経済的に優れた梱包装置およびその方法を提供できる極めて優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスパイラル型梱包装置を示す図である。図1(a)は正面図であり、図1(b)は横断面図である。この図に示すように、旋回リング1に設けた梱包資材を収納したカートリッジ4、4´、例えば梱包紙を収納したカートリッジを対角に配置する構造とし、この各々の梱包資材を収納したカートリッジ4、4´から2種類の梱包資材5、5´、例えば梱包紙を連続的に供給され、梱包体3にらせん状に巻き付けることができる。
【0009】
図1に示したように、梱包紙を収納したカートリッジを対角に配置するような構造とした理由は、それぞれの両側の空間が広くなり、機器配置が容易となる。また、それぞれの位相差は0.5回転となり、制御的にも大変単純に行うことができる。例えば、0.333回転などとなると、その端数によって、制御上に累積誤差が生じて、微妙に梱包紙を止める位置が狂うなどの不具合がでてくるが、対角にすることで単純な制御が可能になるからである。
【0010】
図2は、本発明に係るスタート時の梱包資材先端の押さえ方法を示す図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は横断面図である。この図(b)に示すように、スタート位置においては、各々の梱包資材を収納したカートリッジ4、4´から巻き戻された梱包資材5、5´を巻き始め押さえロール7にてそれぞれの巻き戻された梱包資材5、5´の先端を押さえる状態を示している。
【0011】
図3は、本発明に係るスタート後の梱包資材が巻かれた状態を示す図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は横断面図である。この図(a)に示すように、図2のように、各々の梱包資材5、5´が巻き始め押さえロール7にてそれぞれの巻き戻された梱包資材5、5´の先端を押さえながら、半回転し、お互いのスタート時の梱包資材5、5´がお互いに張力が加わり、梱包資材5、5´の先端がほどけなくなった時点で巻き始め押さえロール7の押さえから解除させた後に梱包資材を梱包体3に連続的に巻き付けるものである。なお、図3(b)に示す符号8は、巻き始め押さえロールの押さえる点を示している。
【0012】
このようにして、梱包動作は、材料を移動させながら、梱包紙を巻き付けていくものである。つまり、材料は移動しなければならず、梱包品質を確保するためには、高速で材料移動することが難しい。すなわち、高速で行うと梱包紙がよじれてしまう。そこで、本装置のように、2種類同時梱包をすることで、材料移動は1回でよく、しかも生産性は倍になることから、本装置はより高効率的な設備と言うことができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
梱包資材により巻き付ける梱包体として、高さ250mm、幅420mm、長さ5.5mの対象物体に対し、幅500mmの2種の梱包資材をそれぞれ半回転した後、押さえロールを解除して、梱包を開始した結果、1回の梱包によって2種類の2重の梱包資材を同時に良好に梱包することができた。
【0014】
以上のように、本発明による複数の梱包資材で同時に梱包できると共に、2種類の梱包資材をも1回の梱包によって同時に梱包することにより、従来、梱包紙1種について梱包装置1台を設けていたために、梱包装置は駆動装置、伝達装置などを構成し、大型ギヤなどを必要とし、高価であったものが、上記のように、1台で2種を梱包することから、駆動装置、伝達装置は共通となり、経済的に極めて優れた安価な梱包装置にある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るスパイラル型梱包装置を示す図である。
【図2】本発明に係るスタート時の梱包資材先端の押さえ方法を示す図である。
【図3】本発明に係るスタート後の梱包資材が巻かれる状態を示す図である。
【図4】従来のスパイラル型梱包装置を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 旋回リング
2 旋回ギア
3 梱包体
4 、4´ 梱包資材を収納したカートリッジ
5、5´ 梱包資材
6 搬送ローラ
7 巻き始め押さえロール
8 押さえる点


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高効率的な梱包装置において、梱包資材を収納したカートリッジを対角に配置すると共に、巻き始め押さえロールを押し付け、解除可能に配設したことを特徴とする高効率的な梱包装置。
【請求項2】
高効率的な梱包方法において、梱包資材を収納したカートリッジを対角に配置し同時に梱包を行うに当たり先ず回転し、お互いのスタート時の梱包資材がお互いに張力が加わった時点をもって押さえロールを外し梱包を開始することを特徴とする高効率的な梱包方法。
【請求項3】
請求項2に記載の梱包方法において、梱包装置の軌跡となる円弧と、梱包材料の形を楕円となる両者の干渉を確認しながらスパイラル状に梱包することを特徴とする高効率的な梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−292525(P2009−292525A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150065(P2008−150065)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【Fターム(参考)】