説明

高効率製造中の衛生用物品へインクジェット印刷する方法

高効率製造中の衛生用物品(10)への階調及び/又はカラー画像をインクジェット印刷する方法が開示される。本方法は、階調印刷画像及び/又はカラー印刷画像を有する衛生用物品を製造する加工ライン上で、インクジェット印刷する工程を加工工程と組み合わせる、信頼性の高いシステムを提供する。前記方法は、印刷ヘッドの1つが故障中又はメンテナンス処置中に印刷ヘッド間で切り換えができ、衛生用物品の最低の生産損失で生産を継続できる、少なくとも2つのインクジェット印刷ヘッド(112、114)を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高効率製造中の衛生用物品へ印刷画像をインクジェット印刷する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
女性用衛生物品、乳幼児用おむつ、乳幼児用プルオン式物品、成人失禁用物品などを包含する使い捨て吸収性物品などの衛生用物品で、その内側及び/又は外側表面に印刷された画像を有するものが、同時係属中の、同一出願人による米国特許出願第10/025059号(2001年12月19日出願)に開示されており、これを本明細書に参考として組み込む。
【0003】
印刷画像は、単階調、多階調、単色、又は多色であることができる。これらの画像は、改善された美観、製品の機能的利益、又は製品がいかに優れているかを消費者に認識させるなど、多種多様な所望の利益を消費者に提供するために、消費者の目に見えるものでなくてはならない。例えば、図1〜3に示す二階調の画像によって奥行感が出るため、これは、製品に十分な液体の吸収及び保持能力を求める消費者にとって、重要であり得る。奥行感によって、製品が薄くても、その製品の性能が薄さによって損なわれないであろうと見なされる。
【0004】
印刷画像は、一般に、フレキソ印刷、輪転グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの多様な印刷方法で、基材材料にインクを転写することによって提供される。通常、印刷工程は、使い捨て吸収性物品の製造用に設けられる加工ラインとは離間して別に、高速印刷ライン上で実施される。印刷ライン上での印刷後、印刷された基材は、通常は印刷された画像をその上に含む連続ウェブの形態で、加工ラインに供給される。しかしながら、加工ラインとは別に基材の印刷を行う上述のやり方では、通常、基材の取扱い、巻取り、巻戻し、保管、配送に関連する追加費用が必要となる。加えて、上述の工程は、印刷された基材の品質に悪い影響をもたらす可能性があり、結果として、ロールに巻かれた基材に不均等に圧縮力がかかるために、ロール内の層が、不均一に、またしばしば過剰に変形してしまう。さらに、基材の印刷を別に行うため、加工工程の適切な段階に印刷画像を確実に配して、製造する物品内で印刷画像を所望するように、かつ一定して配置するために、特別な位置合わせ制御方法が必要となる場合が多い。
【0005】
しかしながら、使い捨て吸収性物品を高速かつ高製造効率で製造する加工ライン上で、印刷工程を加工工程と組み合わせることにより、多くの場合、加工ラインの全体的な効率が低下するため、大幅な製造損失を招く可能性がある。これは一般に、加工工程が多様かつ複雑なことに起因するもので、加工工程中のどこかで何らかの誤動作が生じた場合に印刷工程の性能に影響する可能性があり、また逆に、印刷工程中で誤動作が生じた場合に加工工程に影響する可能性がある。加えて、印刷工程には、定期的な整備が必要な場合が多く、これもまた加工ラインの製造効率に影響する可能性がある。加工ラインは、一分間に数百あるいは数千の衛生用物品を製造する高速工程であり得るため、製造プロセスが中断されることがあれば、大幅な製造損失につながる可能性がある。
【0006】
したがって、印刷画像を有する衛生用物品を高効率で製造するための加工ライン上で、印刷工程を加工工程と組み合わせる、信頼性の高い方法を提供することが有益である。
【発明の概要】
【0007】
各々が少なくとも2つのインクジェット印刷ヘッドを含んだ少なくとも2つのインクジェット印刷機構を備えた加工ラインで、高効率製造中の衛生用物品へ印刷画像をインクジェット印刷する方法を提供することができる。前記方法は、
(a)第1の速度でウェブ方向に移動する基材を準備する工程と、
(b)基材に近接して配置された第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッド及び基材に近接して配置された第2の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドにより、第1の複数の画像をウェブ方向に互いからピッチ間隔離間させて基材上に印刷する工程と、
(c)基材を継続して移動させながら、第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドから第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッドに切り換える工程と、
(d)基材に近接して配置された第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッド及び基材に近接して配置された第2の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドにより、第2の複数の画像を互いからピッチ間隔離間させて基材上に印刷する工程とを含み、
前記第1の複数の画像は、印刷されていない領域を介し、前記第2の複数の画像からウェブ方向に離間しており、前記印刷されていない領域は、前記ピッチ間隔の50倍未満である。
【0008】
本発明の別の態様では、印刷されていない領域は、ピッチ間隔の10倍未満である。本発明のさらに別の態様では、印刷されていない領域は、ピッチ間隔の1倍未満である。
【0009】
本発明の一態様では、インクジェットヘッド間の切り換える工程は、
(a)第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッドを起動するために、操作者により変換器コントローラへの第2の起動信号を発信する工程と、
(b)変換器コントローラからインクジェットコントローラへの第1の出力信号の送信を停止する工程と、
(c)変換器コントローラからインクジェットコントローラに第2の出力信号を送信する工程とを含むことができる。
【0010】
本発明の別の態様においてインクジェットヘッド間の切り換える工程は、
(a)第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドのフェイルモード(障害モード)に応答し、インクジェットコントローラからの第1のOK信号の送信を停止する工程と、
(b)変換器コントローラからインクジェットコントローラへの第1の出力信号の送信を停止する工程と、
(c)変換器コントローラからインクジェットコントローラへの第2の出力信号の送信を開始する工程とを含むことができる。
【0011】
本発明の更に別の態様では、第1の印刷機構及び第2の印刷機構は、異なるカラーインクを含む異なるインクを印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書は、本発明を形成すると見なされる主題を詳細に示し、明確に請求する請求項によって完結するが、添付図面を用いた以下の説明によってさらに理解しやすくなると考えられる。図面における同種の表記番号は実質的に同じ要素を示すために用いる。図面には以下のものがある。
【0013】
本発明は、同時係属中の同一出願人による米国特許出願第10/025059号(2001年12月19日出願)に開示されている、吸収性物品のトップシート表面上に印刷された、少なくとも一色の多階調標識を有する使い捨て吸収性物品に関して説明される。具体的には、本発明は、上述の特許出願に開示されている女性用衛生物品に関して説明される。しかしながら、本発明は、外側及び/又は内側表面に印刷された、単色及び/又は多色及び/又は単階調及び/又は多階調の画像を有する使い捨て吸収性物品であって、改善された製品性能、製品の美観、消費者の認識、消費者の認知などを包含する多種多様な所望の利益を提供する、いずれの使い捨て吸収性物品にも適用可能である。
【0014】
定義
本明細書において、「衛生用物品」、「使い捨て吸収性物品」、又は「吸収性物品」という用語は、一般に流体を吸収して保持する手段を指す。場合によっては、この用語は、着用者の身体に対して又は近接して配置されて、身体から排泄された排出物及び/又は滲出物を吸収し収容するための手段を指し、女性用衛生物品、乳幼児用おむつ、乳幼児用プルオン式物品、乳幼児水泳用物品、成人失禁用物品などのパーソナルケア物品を包含する。他の場合には、この用語は、保護物品、例えば食品を吸収して着用者の衣類に染みが付くのを防ぐ能力を有する食事用胸当てなどを指す。さらに他の場合には、この用語は、例えば、痛みの緩和、傷の被覆などの治療的効果を提供する手段、あるいは別の手段又は物品を身体の近くに保持するための手段を指す。
【0015】
本明細書において、「使い捨て」という用語は、洗濯するないしは再生するか、又はその本来の機能で広範囲に再利用することを通常は意図しない製品、すなわち好ましくは数回の使用後又は一回の使用後に廃棄することを意図する製品を説明するために使用される。
【0016】
本明細書において、「基材」という用語は、好ましくは連続ウェブの形態の、その対向する表面の少なくとも一つの上に画像を印刷するのに好適なあらゆる材料を意味する。「基材」という用語には、フィルム(通気性又は非通気性)、不織布材料、織布材料、発泡体材料、又はそれらのいずれかの組み合わせを包含することができる。基材は、合成及び/又は天然材料を含む、単層又は多層であることができる。基材はまた、単層又は多層を有する、木材パルプなどが挙げられるドライラップ材料を包含することができる。さらに、基材は、例えばトップシートの一部、第2トップシートの一部、挿入物の一部、バックシートの一部、吸収性コアの一部、又はそれらのいずれかの組み合わせなどの、衛生用物品のいずれかの構成要素の一部分であることができる。
【0017】
本明細書において、「色」という用語は、いずれかの原色、すなわち、白色、黒色、赤色、青色、紫色、オレンジ色、黄色、緑色、及び藍色、ならびにそれらの淡色又は混合色のいずれかを包含し得る。「ノンカラー」又は「非着色」という用語は、白色を指し、少なくとも90のL*値、0±2に等しいa*値、及び0±2に等しいb*値を有する色としてさらに定義される。本明細書で使用されるカラースケール値は、ハンター式色反射率計を用いて作成することができ、この反射率計の説明は、R.S.ハンター(R.S.Hunter)による「光電色差計(Photoelectric color difference Meter)」という論文(米国光学学会誌(Journal of the Optical Society of America)、第48巻、985〜95頁、1958年)に見出すことができる。ハンター等級で色を測定するために特別に設計された装置が、米国特許第3,003,388号(ハンター(Hunter)ら、1961年10月10日発行)に記載されている。
【0018】
本明細書において、「女性用衛生物品」という用語は、経血ならびに他の膣からの滲出物及び失禁による滲出物を吸収して収容するために女性が着用する、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、及び失禁用物品を指す。奥行感を作り出すのに作用する多階調の標識を備えることができる、女性用衛生物品の非限定的な例としては:米国特許第4,324,246号、同4,463,045号、及び同6,004,893号にしたがって製造されたDriWeave(登録商標)を有するALWAYS(登録商標)パンティライナー;米国特許第4,342,314号、同4,463,045号、同4,556,146号、同B1 4,589,876号、同4,687,478号、同4,950,264号、同5,009,653号、同5,267,992号、及び同Re.32,649号にしたがって製造されたウィング(羽根)付きのALWAYS(登録商標)超薄スレンダーマキシ(Ultrathin Slender Maxi);ALWAYS(登録商標)レギュラーマキシ(Regular Maxi);ALWAYS(登録商標)羽根付きウルトラマキシ(Ultra Maxi with Wings);ALWAYS(登録商標)羽根付きマキシ(Maxi with Wings);ALWAYS(登録商標)羽根付きウルトラロングマキシ(Ultra Long Maxi with Wings);ALWAYS(登録商標)羽根付きロングスーパーマキシ(Long Super Maxi with Wings);及び、ALWAYS(登録商標)羽根付きオーバーナイトマキシ(Overnight Maxi with Wings)などの、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company、オハイオ州シンシナティ)によって製造されるものが挙げられ、上述の発行物の各々は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0019】
本明細書において、「ピッチを空けた単位操作」という用語は、使い捨て吸収性物品の製造において、1つ又はそれ以上のウェブを操作するための、ピッチに関連する機能を有する加工ライン上のいずれかの装置を指す。例えば、単位操作としては、これらに限定されないものの、切断装置(例、仕上げナイフ)、個別パッチ配置装置(例、カット−アンド−スリップユニット、切断・配置ユニット)、ピッチを空けた型押しパターンを有するエンボス加工装置、ウェブ活性化装置(例、米国特許第5,151,092号(ブエル(Buell)ら)、同第5,156,793号(ブエル(Buell)ら)、及び米国特許第5,518,801号(シャペル(Chappell)ら)に開示される付加的伸縮の活性化装置)、回転式印刷装置などの、ピッチに関連したウェブ操作装置を挙げることができ、上述のものはすべて、ウェブが個々の製品に切断される前の加工ライン上におけるウェブの形態での製品の長さである、製品のピッチ長さに対応する、製造サイクルを包含するという共通点を有する。
【0020】
本明細書において、製造工程の「効率」又は「信頼性」という用語は、連続する稼働日7日間(1日24時間)の間に製造される生産高の、加工ラインの単位操作のいずれにおいても誤動作や整備などによる製造機能の停止がなかった場合の理論上の生産高に対する、百分率で表した比を指す。
【0021】
本明細書において、「高効率製造」という用語は、衛生用物品を製造する加工ラインの効率又は信頼性を指し、ここで加工ラインの効率は、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも85%である。加工ラインの効率は、加工ラインの各単位操作の効率に依存する。例えば、本発明の印刷操作の効率は、約99.7%である。
【0022】
説明
図1は、吸収性物品10の斜視図であり、ここでは女性用衛生物品の形態で示されている。図2は、図1の吸収性物品10の平面図である。ここに示す吸収性物品10は、上面又はユーザに面する表面13、下面又は衣類に面する表面14、及び周辺部12を有する。吸収性物品10は、上面13に向かって上側を向いて見える表面28を有するトップシート25を含む。吸収性物品10はさらに、トップシート25に対向して配置されたバックシート15を含む。バックシート15は、好ましくは少なくとも部分的に、周辺部12でトップシート25に接合される。吸収性物品10はまた、トップシート25とバックシート15との間に配置された吸収性コア20を含む。本発明の好ましい実施形態では、吸収性物品10はまた、トップシート25の下に、すなわち少なくとも部分的に、トップシート25と吸収性コア20との間に配置された、第2のトップシート又は挿入物26も含む。
【0023】
図1及び図2に示した実施形態では、吸収性物品10は、少なくとも2つの部分、すなわち着色部分40と非着色部分50を有する。着色部分40及び非着色部分50は、トップシート25の見える表面28から見ることが可能である。着色部分40は、本発明の好ましい実施形態では印刷画像40であり、第1色調42と第2色調44の、少なくとも2つの色調を有する。好ましくは、図1及び2に示すように、第1色調42は実質的に第2色調44内に配置されるが、必ずしもそうでなくてもよい。第2色調44は、明るさ、暗さ、及び/又は色のいずれかにおいて、第1色調42と異なる。ユーザがトップシート25の見える表面28上を見ると、多数の色調が作用して吸収性物品内で奥行感が作り出される。図1及び2に示す実施形態では、印刷画像40の第1色調42は、印刷画像40の第2色調44よりも暗い。
【0024】
あるいは、吸収性物品10Aの別の実施形態では、図3に示すように、印刷画像又は着色部分40Aは、第2色調44Aよりも明るい第1色調42Aを含むことができる。色調の明るさ及び暗さは、色調が2又はそれ以上であっても、ユーザが吸収性物品10Aの見える表面28上を見ると、奥行感が作り出されるように構成される。
【0025】
上述のように、本発明の一実施形態では、印刷画像40は、トップシート25と吸収性コア20との間に配置された、第2トップシート又は挿入物26であることができる。別の実施形態では、着色部分40がトップシート25の一部分を形成することができる。さらに別の実施形態では、印刷画像40が吸収性コア20の一部分を形成することができ、それによって、印刷画像40をトップシート25の見える表面28から見ることができる。あるいは、印刷画像40は、トップシート28の下に配置された多層の挿入物であることができる。
【0026】
トップシート25の見える表面28から印刷画像40が容易に見えるようにできる、あらゆるトップシート材料が好適である。例えば、成形フィルム材料、不織布材料、又はそれらの組み合わせが好適である。
【0027】
上述したカラースケール値のかわりに、二階調部分40及び40Aをグレースケール画像として示すことができる。例えば、図4は、暗めの部分60Aと明るめの部分60Bとを有する二階調画像60を示す。本発明の二階調グレースケール画像は、アドビシステムズ社(Adobe Systems Incorporated)(本社、カリフォルニア州サンノゼ)から入手可能なアドビイラストレーター(Adobe Illustrator)(登録商標)を使用して測定された。一実施形態では、暗めの部分60Aはグレースケールで45と測定され、明るめの部分60Bはグレースケールで20と測定された。
【0028】
グレースケール画像は、これもアドビシステムズ社(Adobe Systems Incorporated)から入手可能なアドビフォトショップ(Adobe Photoshop)(登録商標)を使用することにより、pcx画像に変換されることができる。図5は、図4のグレースケール画像60から変換されたpcx画像である、画像70を示す。pcx画像は個々のピクセル及びドットから成っているため、インクジェット画像を作り出すのに有用な場合があり、pcx画像の各ドットは、印刷ヘッドのインクジェットによって形成されるインクドットを表す。図6は、画像70の拡大図を示しており、ここで暗めの部分70Aは、明るめの部分70Bよりも多数のドットから成っている。参照目的のため、図7は、グレースケール値10、25、40、55、70、85、及び100を有する複数のグレースケール画像を、対応するpcx画像と並列させて比較したものを示しており、ここでグレースケール値100は完全に黒い画像を表す。
【0029】
図8は本発明における方法100の一実施形態の簡略化した立面図であって、図1、2及び3の吸収性物品、ならびに、多色、多階調、又は多グレー値の画像を包含するあらゆる所望の印刷画像を有する、上記で定義された他のいずれかの吸収性物品を製造するために設計されている。
【0030】
方法100は、基材102上に所望の画像を印刷することが可能な、インクジェット印刷機構101を包含する。基材102は、上述した基材の定義にしたがった、いずれの基材であることもできる。また、上述のように、基材102は、使い捨て吸収性物品10のいずれの構成要素又は一部分を形成することもできる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、基材102は、図1及び2に示したような、第2のトップシート又は挿入物26として使用するための不織布ウェブである。
【0031】
基材102は、例えば、計量装置104(例、オメガ形状のロール又はS字状の装置)、一連のアイドルローラ106及び108、及び計量装置110(例、真空コンベヤー)などのいずれかの好適な手段によって、印刷機構102に供給することができる。計量装置104及び110はどちらも、基材102に所望の張力を作り出し、本発明の高速製造方法では約6メートル/秒又はそれ以上の速度が可能である所望の線速度Vで、基材102をウェブ方向又は機械方向111に移動させる。しかしながら、本発明は、例えば、少なくとも5メートル/秒、少なくとも4メートル/秒、少なくとも3メートル/秒、少なくとも2メートル/秒、及びそれより遅い速度(基材102の線速度Vを包含する加工ライン速度が、ゼロから所望の製造速度まで徐々に上昇する、加工ラインの始動時に生じる速度)などの、基材のあらゆる他の線速度Vで適用可能である。
【0032】
図8に示すように、印刷機構101は好ましくは、ウェブ方向111に延びる空間距離116をとって配置された第1のインクジェット印刷ヘッド112及び第2のインクジェット印刷ヘッド114を備える、デュアルヘッド装備を包含する。しかしながら、第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114は、互いにいかなる所望の空間距離をとって配置されてもよいことに留意されたい。
【0033】
第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114は、所望の画像を印刷するのに好適ないかなるタイプのものが可能であり、好ましくは、基材102から、すなわち印刷ヘッド112及び114に向いた基材102の第1表面118から、特定の好適な距離をとって配置された、非接触インクジェット印刷ヘッドである。
【0034】
印刷ヘッド112及び114は、好ましくは、共通のインク供給源から供給されたインクで充填することができるが、所望であれば、別個のインク供給源を利用することもできる。
【0035】
印刷ヘッド112及び114の各々は、実質的に均一な多数のインクドットを分配する多数のノズルを包含する。本発明の一実施形態では、印刷ヘッド112及び114のそれぞれは、長さが約50.8mm(2インチ)の線状の配置を形成する256個のノズルを含む。したがって、印刷ヘッド112及び114の各々は、基材102を横断して約50.8mmの直線状に延在する、256個のインクドットを含むインク画像を印刷することができる。この配置は、基材102を横断して計測した、図1、2及び3の印刷画像40及び40A各々の幅Wとして示される、約50.8mm幅までのあらゆる画像を印刷するのに十分である。しかしながら、所望であれば、例えば、本発明の女性用衛生物品では5mm〜85mmの範囲で変化し得、所望の画像の所望の幅Wを印刷するために、一つの印刷ヘッド当りいかなる数のノズルを設けることもできる。上述の他のタイプの衛生用物品では、印刷画像の幅Wは、さらに大きくなる場合もある。
【0036】
256個のノズルを有する印刷ヘッドに関して、このような印刷ヘッドは、イリノイ州ウッドデール(Wood Dale)に本社を有するビデオジェットテクノロジーズ社(Videojet Technologies,Inc.)から入手可能である。印刷機構101は、インク供給源と、インクを供給して個々のインク液滴を形成するノズルを制御するためのコントローラとを包含する、PrintPro(商標)インクジェット印刷システムとしてビデオジェットテクノロジーズ社(Videojet Technologies,Inc.)からやはり入手可能な、インクジェット印刷システムの一部分であることができる。
【0037】
PrintPro(商標)インクジェット印刷システムでは、インク液滴は、印刷ヘッド112及び114のすべてのノズルから連続的に分配されるが、特定のインク液滴のみが所望の位置で基材102に達して、印刷画像を形成することができる。他のインク液滴は、継続して再利用するための循環フローにインク液滴を偏向させることによって、基材102に達しないようにすることができる。各印刷ヘッドの個々のインクのノズルの操作は、プリントプロ(PrintPro)(商標)システムに含まれるコントローラにより制御されることができる。
【0038】
本発明の一実施形態における連続タイプのインクジェット印刷システムの代わりに、インクジェット印刷システムは、インクが通常は再利用されず、インク液滴が連続的ではなく要求に応じて所望の順序で形成されて所望の画像を印刷する、オンデマンド式のインクジェット印刷システムであることもできる。
【0039】
再び図8を参照すると、本発明の方法では、第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114の各々は、図1、2及び3の画像40及び40A、又はいずれかの他の所望の画像を、互いに離間させて印刷することができる。例えば、第1の印刷ヘッド112が印刷モードにあるとき(すなわち、基材102上の所望の位置に画像40を印刷しているとき)、第2の印刷ヘッド114は待機モード又は休止モードにある(すなわち、基材102上に画像40を印刷していない)。逆に、第1の印刷ヘッド112が待機モードにあるとき、第2の印刷ヘッド114は印刷モードにあって、画像40を印刷する。上述したように、印刷モード及び待機モードのどちらの動作モードでも、印刷ヘッド112及び114各々の256個の各ノズルによって液滴は連続的に形成される。一方で、待機モードでは、分配された液滴はすべて偏向されて循環インクフローに再循環されるが、印刷モードでは、偏向されなかった液滴は基材102上に置かれ、偏向された液滴は循環インクフローに再循環される。
【0040】
本発明の方法では、第1の印刷ヘッド112の印刷モードから第2の印刷ヘッド114の印刷モードに、またその逆に、切り換えることによって、製造プロセスの所望の連続性を提供することができる。印刷ヘッド112と114とを切り換えることによって、何らかの誤動作又は清掃などの予定された整備など、印刷ヘッドの印刷モードを何らかの理由で中止する必要がある時に、加工ライン上の衛生用物品を連続的に中断せずに製造することができる。第2の印刷ヘッドは、待機モードから製造モードに自動的に切り換えることによって、所望の補助を提供する。
【0041】
このような高速及び高製造速度において生じ得るかなりの製造損失を避けるために、この連続性は、上述したように6メートル/秒又はそれ以上が可能である高速で、また少なくとも600製品/分が可能である高製造速度で、衛生用物品を製造する加工ラインの高製造効率を維持するために重要である。(本発明の方法は、少なくとも600製品/分より少ない、又は3,000製品/分程度まで多い、いかなる製造速度にも適用可能であることに留意されたい。)
【0042】
本発明の使い捨て吸収性物品においては、衛生用物品の所望の、予め定められた、及び一定の位置に印刷画像が配置されることが重要である。したがって、本発明の方法では、第1の印刷ヘッド112が印刷を停止し、第2の印刷114が印刷を開始する場合、第2の印刷ヘッド114は、第1の印刷ヘッド112が印刷したのと同一の位置に印刷することができる。さらに、本発明の一実施形態では、印刷ヘッドの切り換えは、好ましくは切り換え中における衛生用物品の製造損失を最低限に抑えて、同時に行われる。この工程を、以下により詳細に説明する。
【0043】
再び図8を参照すると、インクジェット印刷後、基材102は、基材102を第2のトップシート26を含む個々のシートに分断し、次いで第2のトップシート26を、所望の速度でウェブ方向124に移動するトップシートウェブ122上に、所望のピッチ間隔Pでの配置が可能な切断・配置装置120まで移動する。トップシートウェブ122は、当業者にとって既知のいずれかの好適な手段によって、所望の速度で供給し、計量することができる。次に、吸収性コアウェブ126(やはりいずれかの好適な手段によって供給し、計量することができる)は、個々の吸収性コア20に切断され、これが次に、既にトップシートウェブ122上に配置されている第2のトップシート26上に配置される。吸収性コア20の切断及び配置工程は、カット−アンド−スリップ装置128、又は当該技術分野において既知のいずれかの好適なウェブ切断・配置装置によって、提供することができる。さらに、バックシートウェブ130(やはりいずれかの好適な手段で供給し、計量することができる)がコア20上に置かれて、サンドイッチ式のウェブ132が供給され、これが続いて共に接合されて本発明の個々の衛生用物品10に切断される。サンドイッチ式ウェブ132の接合、切断、及び配置工程は、例えば仕上げナイフ134など、当該技術分野において既知のいずれかの好適な手段によっても提供可能である。個々の物品10は次に、コンベヤー136などのいずれかの好適な手段によって、折り畳み、包装、梱包などの他の後処理工程に移送される。
【0044】
図9は、本発明の制御システムの一実施形態のブロック図200を示す。図表200は、第1のインクジェット印刷ヘッド112及び第2のインクジェット印刷ヘッド114を有する印刷機構101を包含する。ブロック図200はまた、印刷ヘッド112及び114各々の256個の各ノズルからの、インク液滴各々の偏向を算出するためのインクジェットコントローラ211も包含する。算出された情報は次に、インクジェットコントローラ211から、第1の通信回線230及び第2の通信回線231それぞれを用いてインクジェット印刷ヘッド112及び114に転送される。インクジェットコントローラ211はまた、第1のエンコーダ202から、基材102の速度を表すいずれかの好適な速度基準から提供され得る、変換器の速度基準(例えば、移動する基材102の線速度)に関する情報を受け取る。本発明の一実施形態では、速度基準212は、切断・配置装置120に接続された第1のエンコーダ202を介して、切断・配置装置120から提供される。インクジェットコントローラ211はさらに、印刷ヘッド112及び114に関してトリガ情報を受け取るが、ここで印刷ヘッド112及び114各々は、独自のトリガ信号、すなわち第1のトリガ信号215及び第2のトリガ信号216をそれぞれ有する。
【0045】
第1の印刷ヘッド112の制御に関して、図9に示すように、第1のトリガ信号215は、第1の起動サイクル信号217及び第1の出力信号219を受け取る第1の算出ユニット222で算出された情報の結果である。第1の算出ユニット222は、例えば光結合デバイスなど、二値のAND論理関数を算出可能ないずれかの好適な電子デバイスであることができる。第1の起動サイクル信号217は、本発明の好ましい実施形態では仕上げナイフ134に接続された、第2のエンコーダ203から供給される。しかしながら、第2のエンコーダ203は、第1のエンコーダ202及び第2のエンコーダ203の両方に取り付けることができる切断・配置装置120などを含む、上記で定義したピッチを空けた単位操作のいずれかに接続することもできる。第1の出力信号219は、変換器論理コントローラ210(以下、変換器コントローラ210と称される)から供給される。第1の出力信号219を供給するために、変換器コントローラ210は、インクジェットコントローラ211から第1のOK信号225と第2のOK信号226の両方を受け取る。
【0046】
同様に、第2の印刷ヘッド112の制御に関して、図9に示すように、第2のトリガ信号216は、第2の起動信号218及び第2の出力信号220を受け取る第2の算出ユニット223で算出された情報の結果である。第2の算出ユニット223は、第1の算出ユニット222と同様に、二値のAND論理関数を算出可能ないずれかの好適な電子デバイスであることができる。第2の起動サイクル信号218は、第2のエンコーダ203によって供給される。第2の出力信号220は、変換器コントローラ210から供給される。第2の出力信号220を供給するために、変換器コントローラ210は、インクジェットコントローラ211から第1のOK信号225と第2のOK信号226の両方を受け取る。
【0047】
第1の起動サイクル信号217と第2の起動サイクル信号218は互いに関連しており、第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114の各ノズル間の空間距離116を表す。空間距離240は、第1の印刷ヘッド112と第2の印刷ヘッド114との間のサイクル距離に対応する、一つの製品サイクルの一部分を表す。
【0048】
図10は、第1のインクジェット印刷ヘッド112と第2のインクジェット印刷ヘッド114の3つの動作モードを切り換えるための、変換器コントローラ210内の論理を図示するブロック図300を示す。印刷ヘッド112及び114各々の3つの動作モードは、待機又は休止モード301、実行モード302、及び障害モード303を表す3つの円で示されている。
【0049】
待機モード301では、第1の印刷ヘッド112又は第2の印刷ヘッド114(あるいは印刷ヘッド112及び114の両方)が、いつでも印刷可能な状態になっており、再循環するインク液滴を循環インクフロー内に連続的に形成している。
【0050】
実行モード302では、第1の印刷ヘッド112又は第2の印刷ヘッド114が、基材102上に画像を印刷する。(上述したように、本発明の好ましい実施形態では、一度に印刷ヘッド112又は114のうち一つだけが、実行モード302で作動することができる。)待機モード301及び実行モード302の両方において、変換器コントローラ210はOK信号215又は216を受け取り、出力信号219又は220を送信する(図9を参照)。
【0051】
障害モード303では、変換器コントローラ210は、OK信号215又は216を受け取らず、出力信号219又は220を送信しない(図9を参照)。
【0052】
図10を参照すると、印刷ヘッドは待機モード301から、移行311によって実行モード302に、又は移行314によって障害モード303に切り換わることができる。移行311は、次の2つの異なる状況の結果として起こり得る:(1)操作者が、第1の印刷ヘッド112に対する起動信号228又は第2の印刷ヘッド114に対する起動信号229(図9を参照)を、変換器コントローラ210に対して発信することによって、それぞれ印刷ヘッドを切り換える;あるいは、(2)移行311が、他方の印刷ヘッドを実行モード302から障害モード303に切り換えた移行313の直後に発生する、自動手順である。移行314に関して、やはり次の2つの異なる状況の結果として起こり得る:(1)休止している印刷ヘッドに清掃などの整備が必要なときに、操作者が、休止している印刷ヘッドを障害モード303に切り換える;あるいは、(2)休止している印刷ヘッドが何らかの理由で機能しなくなり、したがって、変換器コントローラ210にOK信号225又は226を送信していない。
【0053】
図10を参照すると、印刷ヘッドは実行モード302から、移行312によって待機モード301に、又は移行313によって障害モードに切り換わることができる。移行312及び313の優先度は同等なので、移行312又は313のどちらが最初に発生したかによって、各々一つずつ実行される。移行312は、操作者が印刷ヘッドを切り換えることによって発生する可能性があり、移行313は、印刷ヘッドが実行モード302中に機能しなくなって(すなわち、変換器コントローラ210にOK信号225又は226を送信しない)、操作者による点検が必要なときに発生する可能性がある。印刷ヘッドが実行モード302中に機能しなくなった場合、他方の休止している印刷ヘッドが、移行311によって実行モード302に切り換わる。
【0054】
図10を参照すると、障害モード303からは、印刷ヘッドは移行315によって待機モード301にのみ切り換わることができる。これは、機能しなくなった印刷ヘッドが点検された後、動作できる状態になってから生じる。
【0055】
操作手順
再び図9及び10を参照して、第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114を連続的に動作させる多様な手順を以下に説明する。
【0056】
最初に、第1の印刷ヘッド112及び第2の印刷ヘッド114は、好ましくは変換器PLC210で制御されて待機モード301にある。印刷ヘッド112及び114の両方が待機モード301にあるとき、インクジェットコントローラ211は、OK信号225及び226の両方を変換器コントローラ210に送る。ここで操作者は、印刷ヘッド112又は114のいずれか一つを選択して、第1の印刷ヘッド112を起動するための第1の起動信号228か、第2の印刷ヘッド114を起動するための第2の起動信号229を発信することによって、印刷を開始することができる。操作者が第1の起動信号228を発信することによって第1の印刷ヘッド112の起動を選択した場合、変換器コントローラ210は第1の出力信号219を送り、これが第1の算出ユニット222内の第1のサイクル起動信号217と組み合わされて、第1のトリガ信号215をインクジェットコントローラ211に送って、第1の印刷ヘッド112が起動される。第1の印刷ヘッド112が実行モード302にあって印刷中の間、第2の印刷ヘッド114は待機モード301にあって、必要な場合に実行モード302に切り換わることができる。第1の印刷ヘッド112が実行モード302にあって印刷を行い、第2のヘッド114が待機モード301にある場合、インクジェットコントローラ211は、第1及び第2のOK信号の両方を変換器コントローラ210に送っている。
【0057】
第1の印刷ヘッド112が機能しなくなった場合、インクジェットコントローラ211は、第1の印刷ヘッド112を障害モード303に切り換えて、第1のOK信号225を変換器コントローラ211に送信するのを停止し、それに応答して変換器コントローラ211は、第1の出力信号219の送信を停止して第2の出力信号220の送信を開始する。第2の出力信号220は次に、第2の算出ユニット223内の第2の起動サイクル信号219と組み合わされて、第2のトリガ信号216をインクジェットコントローラ211に送り、第2の印刷ヘッド114が実行モード302に切り換えられる。
【0058】
同様に、第2の印刷ヘッド114が機能しなくなった場合、インクジェットコントローラ211は、第2の印刷ヘッド114を障害モード303に切り換えて、第1のOK信号225を変換器コントローラ211に送信するのを停止し、それに応答して変換器コントローラ211は、第1の出力信号220の送信を停止して第1の出力信号219の送信を開始する。第1の出力信号219は次に、第1の算出ユニット222内の第1の起動サイクル信号218と組み合わされて、第1のトリガ信号215をインクジェットコントローラ211に送り、第1の印刷ヘッド112が実行モード302に切り換えられる。
【0059】
印刷ヘッドの一つが機能しなくなった場合、上述した印刷ヘッドの自動切り換えに代えて、変換器PLCがOK信号225及び226の両方を受け取っているときにはいつでも、操作者が印刷ヘッドを切り換えることができる。例えば、第1の印刷ヘッド112が実行モード302で動作し、第2の印刷ヘッド114が待機モード301にある場合(このような状況では、変換器PLCは、インクジェットコントローラ210からOK信号225及び226の両方を受け取っている)、操作者は、第2の起動信号229を発信することによって、任意の時に第1のヘッド112から第2の印刷ヘッド114に印刷を切り換えることができる。この場合、変換器PLCは、第1の出力信号219の送信を停止して第2の出力信号220の送信を開始し、この出力信号220が次に第2の算出ユニット223内の第2の起動サイクル信号219と組み合わされて、第2のトリガ信号216をインクジェットコントローラ211に送り、第2の印刷ヘッド114が実行モード302に切り換えられる。変換器PLC210が上述の第1の出力信号219の送信を停止した場合、それに応答してインクジェットコントローラ210は第1のトリガ信号215の受信を停止し、第1のOK信号225を変換器PLC210に送信するのを停止する。この操作者による印刷ヘッドの手動切り換えは、操作者が、実行モード302で作動している印刷ヘッドに対して点検作業(例えば、清掃など)を必要とするときに、求められる場合がある。また、操作者は、新たなデータをロードすることによって印刷画像を切り換える必要があるときに、印刷ヘッドの切り換えを必要とする場合がある。この機能によって、操作者が、変換器の製造プロセスを中断することなく「すぐさま」印刷画像を切り換えることが可能になる。
【0060】
図11は、第1の複数351の画像40及び第2の複数352の画像40を有する基材102の一部分を示す平面図である。第1の複数351の画像40及び第2の複数352の画像40において、画像40は、衛生用物品の長さであるピッチ間隔Pで互いに離間している。ピッチ間隔Pは、特定の衛生用物品に応じて変化することができ、例えば、一般に約100mm〜約400mmである。具体的には、女性用衛生物品に関して、ピッチ間隔Pは、約220mm〜約320mmの範囲で変化できる。(上述したように、本発明の実施形態では、印刷画像40の長さ及び幅は変化することができる。具体的には、本発明の女性用衛生物品に関して、印刷画像40の長さLは約10mm〜約300mmの範囲で変化することができ、印刷画像40の幅は約5mm〜約85mmの範囲で変化することができる。しかしながら、印刷画像40のいかなる所望の長さ及び幅も、本発明で使用できる。)
【0061】
再び図11を参照すると、第1の複数351の画像40は、印刷されていない領域Bを介し第2の複数352の画像40から離間されている。印刷されていない領域Bは、本明細書に記載の方法による印刷画像40を有さない、基材102の一部分を表す。(印刷されていない領域Bは印刷画像を含むことができるが、その印刷画像の質は満足できるものでない可能性があることに留意すべきである。)印刷されていない領域Bはまた、第1の印刷ヘッド112から第2の印刷ヘッド114へ、又はその逆への切り換え中に、印刷機構101(図8及び9を参照)に関漣して移動した基材102の一部分を表す。本発明の一実施形態では、印刷されていない領域Bは、ピッチ間隔Pの50倍未満である、又はピッチ間隔Pの10倍未満である、又はピッチ間隔Pの1倍未満である。。
【0062】
第1の複数351の画像及び/又は第2の複数352の画像は、同一の画像40又は異なる画像を包含することができ、インクジェットコントローラ211に記録されている異なる画像を、要求に応じていずれかの所望の手順で印刷できることに留意されたい。
【0063】
別の実施形態
図8Aは、図1、2、及び3の衛生用物品、並びに、多色、多階調、又は多グレー値の画像を含む、望まれる印刷画像を有する上述の他のいかなる衛生用物品をも製造するために設計された、本発明の方法700の別の実施形態の簡略化した立面図である。
【0064】
図8A(方法700を図解)は、図8(方法100を図解)と似ているが、図8Aは1を超えるインクジェット印刷機構101を示す。例として、図8Aは、第1の印刷機構101(前に図8で図示)及び第2の印刷機構701の、2つの印刷機構を示す。しかしながら、方法700の印刷機構の数は、2、3、4など、いかなる好適な数を含んでもよいことに留意すべきである。
【0065】
印刷機構101及び701は、いかなる点においても同一であることができ、かつ印刷機構101の制御に関して上述され図9及び図10で図解された方法で別個に制御されることができる。各印刷機構101及び701は、好ましくは2つのインクジェット印刷ヘッドを含むことができ、これらは、印刷機構101に関して上記に詳述された印刷ヘッド112及び114と同じようであることができる。
【0066】
図8Aに示されるように、第1の印刷機構101は、ウェブ方向111に延びる空間距離116をとって配置された第1のインクジェット印刷ヘッド112及び第2のインクジェット印刷ヘッド114を含む。同様に、第2の印刷機構701は、空間距離716をとって配置された第1のインクジェット印刷ヘッド712及び第2のインクジェット印刷ヘッド714を含む。第2の印刷機構701の空間差716は、印刷機構101の空間差116と同じであることもできるし、異なっていてもよい。
【0067】
本発明の方法700は、画像40(図11)を形成するために、複数のカラーインクを含む複数のインクを印刷するのに特に好適であることができる。しかしながら、上述したように、方法100と同様に方法700は、多階調又は多グレー値の画像のインクジェット印刷にも好適である。
【0068】
カラー画像の印刷に関して、方法700は、それぞれが特定のカラーインクを印刷する、いかなる好適な数の印刷機構を含むこともできる。簡単にするために、方法700は、それぞれが特定のカラーインクを印刷する2つの印刷機構101及び701を有するとして記述される。例えば、印刷機構101は、黄色のインクを印刷することができ、印刷機構701は、青色のインクを印刷することができる。この場合、得られる画像40(図11)は、2つのカラーインクを含む。
【0069】
例えば、黄色のインクを印刷する第1の印刷機構101の第1の印刷ヘッド112が不良になると、制御システムは、第1の印刷ヘッド112から、これも黄色のインクを印刷する第2の印刷ヘッド114に切り換える。同様に、例えば、青色のインクを印刷する第2の印刷機構701の第1のヘッド712が不良になると、制御システムは、第1の印刷ヘッド712から、これも青色のインクを印刷する第2のヘッド714に切り換える。方法700の複数の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドから第2のインクジェット印刷ヘッドへの切り換え(逆もまた同様)により、例えば、カラー画像40を含む衛生用物品の継続した途切れない生産が可能になる。
【0070】
印刷機器に関して克服される制限
衛生用物品を製造する加工ライン上で、2つのインクジェット印刷ヘッドの効率的かつ中断のない操作を提供することに加えて、本発明の方法は、特に、加工ライン上でインクジェット画像を印刷するのに利用される特定の印刷機器の、一定の制限のもとで実行しなければならない場合に、製品設計段階と製品製造段階との有効な結合を提供する。例えば、基材が高速で移動し、また特に1ドット当りにインク液滴が1つではなく複数(すなわち、1ドットを形成する複数の液滴が、基材表面上の単一のピクセルに配される)必要な場合、特定の印刷機器が求められる速度でインク液滴を印刷できず、その結果、印刷画像の解像度が低下し、そのため画像を見る消費者に与える視覚的印象が低下することがある。本発明の方法は、図12、13、及び14に示すように、解像度が低下した画像の視覚的レベルを調整することによって、そのような消費者にとっての視覚的印象の低下に対する補正を提供する。
【0071】
図12は、解像度XのグレーレベルAを有するインクジェット印刷画像400を示しているが、説明目的のため、この画像は基材が特定の高速で移動する所与の印刷機器では提供できないと仮定する。この速度制限を克服するため、図12の画像400の解像度Xは、例えば30%、あるいはいずれか他の好適な数値だけ拡張することができる。図13は、より低い解像度X−30%の、当初の画像400と同等のグレーレベルAを有する印刷画像500を示す。図12及び13のグリッドを比較することにより、図13のグリッドが図12のグリッドサイズに比べて一方向に長く(この場合、約30%)なっており、その結果、図13のインクジェット液滴の密度が図12の液滴の密度より低く、消費者に対する視覚的印象が弱くなっていることが、明確に分かる。視覚的印象の損失を補うために、例えば、図14に示す、グレーレベルA+30(図12の当初の画像400における当初のグレーレベルAよりも大きい)を有する、解像度X−30%(図12の当初の画像400における当初の解像度Xよりも低い)の印刷画像600のように、図13の拡張されたグリッドの空白になっているピクセルに、追加の液滴を配することができる。図14の改変された画像600は、当初設計された図12の画像400と比較して、同程度の視覚的印象を消費者に提供するため、上述の印刷機器に関する速度の制限が克服される。
【0072】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0073】
本発明の特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】印刷画像を有する代表的な衛生用物品の斜視図。
【図2】図1の衛生用物品の平面図。
【図3】衛生用物品の代替実施形態の平面図。
【図4】グレースケール画像として示した代表的な二階調の画像。
【図5】pcx画像として示した図4の二階調の画像。
【図6】図5のpcx画像の一部分の拡大図。
【図7】多様なグレースケール画像及びpcxスケール画像を並列させて比較した図。
【図8】図1、2及び3の衛生用物品、ならびに本明細書で定義された他のいかなる衛生用物品をも製造するために設計された、本発明の方法の一実施形態の、簡略化した立面図。
【図8A】図1、2及び3の衛生用物品、並びに本明細書で定義された他のいかなる衛生用物品をも製造するために設計された、本発明の方法の別の実施形態の簡略化した立面図。
【図9】本発明の方法における制御システムの一実施形態のブロック図。
【図10】本発明の方法にしたがった、インクジェット印刷ヘッドの動作モードを切り換える論理のブロック図。
【図11】第1の複数の画像、及び印刷されていない領域Bを介し第1の複数の画像から離間された第2の複数の画像を有する、基材の一部分の平面図。
【図12】解像度XのグレーレベルAを有する印刷画像を示す。
【図13】解像度X−30%のグレーレベルAを有する印刷画像を示す。
【図14】解像度X−30%のグレーレベルA+30を有する印刷画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が少なくとも2つのインクジェット印刷ヘッドを含んだ少なくとも2つのインクジェット印刷機構を備えた加工ラインで、高効率製造中の衛生用物品へ印刷画像をインクジェット印刷する方法であって、
(a)第1の速度でウェブ方向に移動する基材を準備する工程と、
(b)基材に近接して配置された第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッド及び基材に近接して配置された第2の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドにより、第1の複数の画像をウェブ方向に互いからピッチ間隔離間させて基材上に印刷する工程と、
(c)基材を継続して移動させながら、第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドから第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッドに切り換える工程と、
(d)基材に近接して配置された第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッド及び基材に近接して配置された第2の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドにより、第2の複数の画像を互いからピッチ間隔離間させて基材上に印刷する工程と、を含み、
前記第1の複数の画像は、印刷されていない領域を介し、前記第2の複数の画像からウェブ方向に離間しており、前記印刷されていない領域は前記ピッチ間隔の50倍未満である、方法。
【請求項2】
前記印刷されていない領域はピッチ長さの10倍未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷されていない領域はピッチ長さの1倍未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記切り換える工程は、
(a)第1の印刷機構の第2のインクジェット印刷ヘッドを起動するために、変換器コントローラへ第2の起動信号を発信する工程と、
(b)前記変換器コントローラからインクジェットコントローラへの第1の出力信号の送信を停止する工程と、
(c)前記変換器コントローラから前記インクジェットコントローラに第2の出力信号を送信する工程と、を更に含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記切り換える工程は、
(a)第1の印刷機構の第1のインクジェット印刷ヘッドのフェイルモードに応答し、インクジェットコントローラからの第1のOK信号の送信を停止する工程と、
(b)変換器コントローラから前記インクジェットコントローラへの第1の出力信号の送信を停止する工程と、
(c)前記変換器コントローラから前記インクジェットコントローラへの第2の出力信号の送信を開始する工程と、を更に含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
移動する基材の第1の速度が、少なくとも2メートル/秒、少なくとも3メートル/秒、少なくとも4メートル/秒、少なくとも5メートル/秒、又は少なくとも6メートル/秒である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のインクジェット印刷ヘッド又は前記第2のインクジェット印刷ヘッドは、少なくとも600画像/分で印刷する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基材は、フィルム、不織布材料、織布材料、発泡体材料、又はこれらのいずれかの組み合わせである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材は、トップシートの一部、第2トップシートの一部、挿入物の一部、バックシートの一部、吸収性コアの一部、又はこれらのいずれかの組み合わせである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
衛生用物品は、女性用衛生物品、乳幼児用おむつ、乳幼児用プルオン式物品、乳幼児水泳用物品、成人失禁用物品、及び食事用胸当てである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の印刷機構及び前記第2の印刷機構は、異なるインクを印刷する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の印刷機構及び前記第2の印刷機構は、異なるカラーインクを印刷する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2008−516807(P2008−516807A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537038(P2007−537038)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037883
【国際公開番号】WO2006/047282
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】