説明

高吸収性を有する吸水性ポリマー構造体

【課題】高い吸収能力を有する吸水性ポリマー構造体を提供すること。
【解決手段】I.少なくとも35g/gの本明細書に記載した試験方法によって測定した保持率を有する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を用意する工程と、II.未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を透過性向上剤と接触させる工程と、を含む吸水性ポリマー構造体の製造方法。上記方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、複合体、複合体の製造方法、上記方法によって得られる複合体、吸水性ポリマー構造体又は複合体を含む化学製品、化学製品における吸水性ポリマー構造体又は複合体の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー構造体の製造方法、本発明の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、吸水性ポリマー構造体、複合体、複合体の製造方法、本発明の方法によって得られる複合体、吸水性ポリマー構造体又は複合体を含む化学製品、化学製品における吸水性ポリマー構造体又は複合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、膨潤し、ヒドロゲルを形成することによって、大量の水性液体、特に体液、好ましくは尿又は血液を吸収し、所与の圧力下で保持することができる非水溶性架橋ポリマーである。この特性のために、これらのポリマーは、主に衛生用品、例えば、おむつ、失禁用品又は生理用ナプキンなどに使用されている。
【0003】
現在市販されている超吸収体は、主に架橋ポリアクリル酸又は架橋デンプン−アクリル酸グラフトポリマーであり、カルボキシル基が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによって部分的に中和されている。
【0004】
審美的・環境的な理由から、衛生用品をより小さく、薄くする傾向が高まっている。衛生用品の一定の保持能力を確保するためには、容積の大きい綿毛の割合を減少させることによってのみこうした要請に応えることができる。これは、超吸収体にさらなる液体の輸送能力及び分散性、すなわち透過性が必要とされることを意味する。
【0005】
超吸収体材料の透過性は、膨潤ゲル内に浸透した液体を膨潤した状態で輸送し、均一に分散させる能力である。この過程は、ゲル粒子間の隙間を介した毛管輸送によって生じる。膨潤した超吸収体粒子間における液体の輸送は拡散の法則に従うものであり、このプロセスは非常に時間を要し、衛生用品の使用時における液体の分散には全く寄与しない。ゲル安定性の不足のために毛管輸送を行うことのできない超吸収体材料の場合にはこれらの材料を繊維マトリックスに埋め込むことによってゲル閉塞現象を防止しながら粒子を分離させている。新世代のおむつ構造では、吸収層には液体の輸送を促すための繊維材料がほとんど又は全く設けられていない。したがって、超吸収体は、膨潤ゲルが液体を輸送できる十分な毛管空間を有するように、膨潤状態において十分に高い安定性を有することが必要である。
【0006】
高いゲル安定性を有する超吸収体材料を得るためにポリマーの架橋度を高めることができるが、必然的に膨潤能力と保持能力が減少することになる。
【0007】
また、超吸収体特性を向上させるために、ポリマー粒子の表面を後処理する方法を使用することができる。最新技術の表面処理としては、例えば、吸水性ポリマー構造体の表面の後架橋、吸水性ポリマー構造体の表面の無機化合物への接触、無機化合物の存在下での吸水性ポリマー構造体の表面の後架橋が挙げられる。
【0008】
ドイツ特許出願公開第100 16 041号は、少なくとも三価のカチオンの少なくとも1種の塩の溶液による後架橋後にポリマーを後処理することによって、機械的作用により損なわれた吸水性ポリマーのゲル透過性を回復させている。
【0009】
国際公開第WO98/48857号は、ポリマーを多価金属塩と乾燥混合し、その後混合物を結合剤と接触させることによって得られ、向上したゲル床弾力性(Gel Bed Resiliency)を有する超吸収体ポリマーを開示している。このようなポリマーを微粒子状無機物質と混合することは、例えば分離やダストなどの欠点を有する。
【0010】
国際公開第WO98/49221号は、熱処理後に吸水性ポリマーを一価又は多価金属塩を含む添加剤の水溶液で再湿潤させることを開示しており、これにより加工性の向上したポリマーが得られる。
【0011】
しかし、最新技術から公知の吸水性ポリマー構造体の欠点は、特におむつの吸収性コアなどの吸収構造体が、高い吸収能力を有する従来のポリマー構造体を吸収剤として含み、成人のおむつ着用者が使用した場合に特に大量の体液が突然流入したり、遺尿症(「夜尿症」)の年長児のおむつが濡れた場合に、特に横になったおむつ着用者による圧力下では、吸収構造体が大量の液体を完全に吸収し、分散させることができないことである。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第100 16 041号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の全体としての目的は、従来技術から生じる欠点を克服することにある。
【0013】
特に、本発明の目的は、高い吸収能力を有する吸水性ポリマー構造体であって、従来の吸収剤と比較して、例えばおむつなどの吸収構造体に使用した場合に液体の吸収及び分散を向上させることができる吸水性ポリマー構造体を提供することにある。特に、高い吸収能力を有する吸水性ポリマー構造体は、成人又は遺尿症のおむつ着用者のおむつに使用した際に、荷重下において突然流入する特に大量の体液を迅速に吸収し、さらに均一に分散させることもできるものである。
【0014】
本発明の別の目的は、簡単かつ可能な限り連続的に、最小限の有機溶媒を使用して、上述したような吸水性ポリマー構造体を製造することができる方法を提供することにある。この製造方法では、添加する粉末状添加剤がポリマー構造体から少量のみ分離し、ポリマーの特性に悪影響を及ぼさないものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的は、
I.少なくとも37.5g/g、好ましくは少なくとも38g/g、特に好ましくは少なくとも39g/g、より好ましくは少なくとも41g/g、最も好ましくは少なくとも43g/gであって、好ましくは75g/g未満、特に好ましくは70g/g未満、より好ましくは65g/g未満、さらに好ましくは60g/g未満、最も好ましくは55g/g未満の本明細書に記載した試験方法により測定した保持率を有する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を用意する工程と、
II.未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を好ましくはSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物である透過性向上剤と接触させる工程と、
を含む吸水性ポリマー構造体の製造方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
「未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)」とは、好ましくは、透過性向上剤、好ましくはSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物と接触させていないポリマー構造体を意味する。ただし、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、吸水性ポリマー構造体が例えば表面後架橋などの別の方法によって変性されている場合も含む。
【0017】
本発明に係る方法の一態様では、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の保持率は、37.1〜60g/g、特に好ましくは37.1〜55g/g、より好ましくは37.1〜50g/g、最も好ましくは40〜50g/gであることが好ましい。
【0018】
完全に予想外であり、有利なことに、通常はほとんど透過性を示さず、少なくとも37.5g/gの高い保持率を有する前駆体粒子を表面処理することによって、大量の超吸収体を含む吸収体構造において非常に良好な液体吸収性及び液体分散性を示す吸水性ポリマー構造体を得ることができる。
【0019】
本発明に係る好ましい吸水性ポリマー構造体は、繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。このような形態の吸水性ポリマー構造体は、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)として繊維、発泡体又は粒子を使用することによって得られる。
【0020】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に組み込むか、織物に直接組み込むことができる寸法を有する。本発明によれば、ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0021】
本発明に係る特に好ましい吸水性ポリマー粒子は、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μm又は150〜600μmのERT 420.2−02による平均粒径を有する。また、本発明によれば、本発明に係る吸水性ポリマー粒子は、300〜600μmの粒径を有する粒子を少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%含むことが好ましい。
【0022】
本発明の方法の工程Iで用意する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%の重合エチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、又はプロトン化又は四級化窒素を含有する重合エチレン性不飽和モノマー、又はそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、(α1)と共重合可能な重合モノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは3〜6重量%の水と、
(α6)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、からなるポリマー構造体であることが好ましい((α1)〜(α6)の合計重量は100重量%である)。
【0023】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。これに関しては、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照し、その開示内容はこの参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。また、重合後に部分的又は完全に中和を行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸とともに水溶性の塩を形成する塩基も使用することができる。複数の塩基を使用した混合中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0024】
遊離酸基がポリマー中に多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。この塩基性基含有ポリマーは、前記酸性ポリマーに比べて塩基性である。これらのポリマーは「混合床イオン交換性吸収性ポリマー」(MBIEAポリマー)として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843号に開示されている。国際公開第WO99/34843号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換できるポリマーとからなる組成物である。塩基性ポリマーは、塩基性基を含み、塩基性基又は塩基性基に変換できる基を有するモノマーを重合することによって通常は得られる。これらのモノマーは、とりわけ、一級、二級、又は三級アミン又は対応するホスフィン又はこれら官能基の少なくとも2つを含むものである。これらのモノマーとしては、特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシサイクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン(formaldacine)、メラミン、それらの第2級又は第3級アミン誘導体等が挙げられる。
【0025】
エチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)としては、好ましくは国際公開第WO2004/037903号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として言及されている化合物を使用する。国際公開第WO2004/037903号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、アクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0026】
本発明に係る方法の一実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0027】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0028】
本発明に係る方法の別の実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーであるポリマー構造体を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)として使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが好ましい。
【0029】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも好ましい。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリレート及びメタクリレートである。
【0030】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)には、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンがさらに含まれる。
【0031】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903号において架橋剤(α3)として言及されている化合物を使用する。これらの架橋剤の中では水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して製造されたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0032】
水溶性ポリマー(α4)として、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、部分的又は完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーを含むことができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成ポリマーは、重合するモノマーのグラフト基材としても使用することができる。
【0033】
添加剤(α6)として、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、好ましくは、懸濁化剤、臭気結合剤、界面活性剤、酸化防止剤を含むことができる。また、モノマー(α1)及び(α2)、架橋剤(α3)、必要に応じて含まれる水性ポリマー(α4)とは異なり、ラジカル重合で使用される成分を添加剤として未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)に好ましくは含有させる。特に、開始剤及び任意の連鎖調節剤がこれらの成分として挙げられる。
【0034】
本発明に係る方法の一実施形態では、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシル基含有モノマーを含むポリマー構造体を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)として使用する。また、本発明によれば、成分(α1)が、少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは60〜85モル%が好ましくは中和されたアクリル酸を、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の量で含むことが好ましい。
【0035】
未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、各種重合方法によって、上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー及び添加剤から製造することができる。重合方法としては、例えば、押出機などの混錬反応器内で好ましくは行われる塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0036】
溶液重合は、好ましくは水を溶媒として行う。溶液重合は、連続的又は非連続的に行うことができる。最新技術には、開始剤ならびに反応溶液の温度、種類、量などの反応条件に関して広範囲の変形が見られる。通常のプロセスは、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0037】
逆懸濁重合又は逆乳化重合では、保護コロイド又は乳化剤を使用して、部分的に中和されたアクリル酸水溶液を疏水性有機溶媒中に分散させ、ラジカル開始剤によって重合を開始させる。重合の終了後、反応混合物から水を共沸除去し、ポリマー生成物を濾別し、乾燥させる。架橋反応は、モノマー溶液に溶解した多官能性架橋剤内での重合及び/又は製造工程の一工程におけるポリマーの官能基と適当な架橋剤との反応によって行うことができる。当該プロセスの原理は、例えば、米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号に記載されている。
【0038】
重合は、通常は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でラジカルを生成する開始剤を使用することができ、それらの開始剤は従来から超吸収体の製造に使用されている。また、重合性水性混合物に対する電子線の作用によって重合を開始させることも可能である。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下におけるエネルギー光線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させることができる。開始剤としては、当業者に公知であり、ラジカルに分解する化合物を使用することができる。特に、国際公開第WO2004/037903号に開始剤として既に記載されている開始剤がこれらの化合物に該当する。
【0039】
吸水性ポリマー構造体(Pu)の製造には、特に好ましくは、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を使用する。
【0040】
重合後に得られたヒドロゲルの乾燥は、通常80〜200℃の温度で行うことが好ましい。乾燥は、ベルト乾燥器、箱型乾燥器、回転炉、流動床乾燥器、プレート乾燥器、パドル乾燥器、赤外線乾燥器などの当業者に公知のオーブン又は乾燥器を使用して行うことが好ましい。このようにして得られた乾燥ポリマーが粒子状ではない場合には、乾燥後に粉砕することが必要である。粉砕は、好ましくはハンマーミル、ピンディスクミル、ボールミル又はローラーミル内での乾式粉砕によって行うことが好ましい。粉砕後、ポリマー構造体を1,000μm以下、特に好ましくは850μm以下の篩分析によって測定した粒径に篩い分けし、粒径の重量平均を好ましくは150〜850μm、特に好ましくは200〜600μmとすることがさらに好ましい。
【0041】
本発明によれば、工程Iで使用される未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、国際公開第WO2004/037903号に記載されている架橋剤の存在下で、水溶液の重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜50重量%のアクリル酸を含有する水溶液中でアクリル酸を重合し、得られたヒドロゲルを粉砕し、粉砕したヒドロゲルを水分が1〜50重量%、好ましくは2.5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%となるまで乾燥し、乾燥したヒドロゲルを必要に応じてさらに粉砕することによって得られる粒子状の架橋ポリアクリレートであることが特に好ましい。
【0042】
また、本発明によれば、工程iiで使用する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)は、以下の特性の少なくとも1つを有することが好ましい。
(A)ERT 440.2−02による0.9重量%食塩水の最大吸収率(粒子の場合には粒子全量について測定)が少なくとも10〜1,000g/g、好ましくは20〜500g/g、より好ましくは50〜250g/g
(B)ERT 470.2−02による16時間後の抽出可能部分(粒子の場合には粒子全量について測定)が未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満
(C)ERT 460.2−02による嵩密度(粒子の場合には粒子全量について測定)が300〜1,000g/l、好ましくは400〜900g/l、より好ましくは500〜800g/l
(D)1リットルの水内での吸水性ポリマー前駆体1gのERT 400.2−02によるpH(粒子の場合には粒子全量について測定)が4〜10、好ましくは4.5〜9、より好ましくは5〜8
(E)本明細書に記載する試験方法によって測定したSFC値が40×10−7秒×cm/g以下、好ましくは30×10−7秒×cm/g以下、より好ましくは20×10−7秒×cm/g以下、さらに好ましくは10×10−7秒×cm/g以下、最も好ましくは5×10−7秒×cm/g以下
(F)ERT 442.2−02に準拠して測定した50g/cmの圧力下における吸収率(粒子の場合には粒子全量について測定)が、10〜26g/g、好ましくは13〜25g/g、最も好ましくは15〜24g/g
【0043】
本発明に係る方法の一実施形態では、工程Iにおいて以下の特性又は特性の組み合わせを有するポリマー構造体を用意する:(A),(B),(C),(D),(E),(F),(A)(E),(B)(E),(C)(E),(D)(E),(E)(F),(B)(E),(B)(F),(B)(E)(F)。これらのうち、(B),(E),(F),(E)(F),(B)(E)(F)が最も好ましい。
【0044】
ポリマー構造体が粒子の場合には、工程IIで使用する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)が、300〜600μmの粒径を有する粒子を少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%含むことが好ましい。
【0045】
本発明に係る方法の工程IIでは、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を透過性向上剤と接触させる。透過性向上剤は、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の重量に対して少なくとも0.001重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の量でポリマー構造体(Pu)と好ましくは接触させる。透過性向上剤は、好ましくはSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物である。
【0046】
SiO化合物としては、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の透過性特性に有利な影響を与えるSiO化合物が好ましい。好ましいSiO化合物としては、モノケイ酸を重縮合することによって得られる化合物及びケイ酸塩が挙げられる。ドイツ特許出願公開第102 49 821号に記載されているように、ポリケイ酸の中ではシリカゾルが特に好ましい。ドイツ特許出願公開第102 49 821号のシリカゾルに関する開示内容はこの参照によって本発明の開示内容の一部をなすものとする。ケイ酸塩の中では、特にゼオライトなどの骨格ケイ酸塩又はアエロジル(Aerosil)(登録商標)として市販されている発熱性ケイ酸などのケイ酸水溶液又はシリカゾルを乾燥することによって得られるケイ酸塩であって、好ましくは5〜50nm、特に好ましくは8〜20nmの粒径を有するケイ酸塩が好ましい。その他の好ましいSiO化合物は、例えばシペルナット(Sipernat)(登録商標)として市販されている沈降ケイ酸である。また、好ましいケイ酸塩としては、Hollemann,Wiberg共著、「無機化学教本(Lehrbuch der Anorganischen Chemie)」、Walter de Gruyter−Verlag、第91〜100版(Auflage)、750〜783頁に開示されている天然又は合成ケイ酸塩も挙げられる。上記書籍の該当部分は、この参照によって本発明の開示内容の一部をなすものとする。
【0047】
特に好ましいゼオライトは、ソーダ沸石、重土十字沸石、モデナイト(modenite)、カバサイト(chabasite)、フォージャサイト(方ソーダ石)、方沸石から得られる天然ゼオライトである。天然ゼオライトの例としては、方沸石、白榴石、ポルサイト、ワイラカイト、ベルバーガイト、ビキタアイト、ボグザイト、ブリュスター沸石、菱沸石、ウィルヘンダーソナイト、コウルス沸石、ダキアルディ沸石、エディントン沸石、剥沸石、エリオン沸石、フォージャ沸石、苦土沸石、アミカイト、ガロン沸石、ギスモンド沸石、ゴビンス沸石、グメリン沸石、ゴンナルド沸石、グースクリーカイト、重土十字沸石、灰十字沸石、ウェルサイト(Wellsite)、斜プチロル沸石、輝沸石、濁沸石、レビ沸石、マッチー沸石、メルリーノ沸石、マンテソマイト、モルデン沸石、中沸石、ソーダ沸石、スコレス沸石、オフレット沸石、パラソーダ沸石、ポーリング沸石、ペルリアライト、バラー沸石、束沸石、ステラ沸石、トムソン沸石、チャーニック沸石、湯河原沸石等が挙げられる。好ましい合成ゼオライトは、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトP又はABSCENTSである。
【0048】
ただし、SiO化合物の中でも、例えばアエロジル(登録商標)として入手可能な発熱性ケイ酸、シペルナット(登録商標)として市販されているような沈降ケイ酸、例えばレバシル(Levasil)(登録商標)として入手可能なシリカゾルが特に好ましい。
【0049】
好ましくは、SiO化合物を、未処理の吸水性ポリマー構造体に対して少なくとも0.001重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくはから0.5〜5重量%の量で未処理の吸水性ポリマー構造体と接触させる。接触は、SiO化合物を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と乾燥条件下で接触させるか、SiO化合物及び溶媒、好ましくは水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの水混和性有機溶媒、又はこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物を含む流体Fを未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させる方法で好ましくは行い、ポリマー粒子に流体Fを噴霧し、混合することによって行うことが好ましい。SiO化合物を流体Fとして使用する場合には、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の重量に対して10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下の溶媒を使用することがさらに好ましい。本発明に係る方法の好ましい実施形態によれば、好ましくは実質的に有機溶媒を含まず、特に多価アルコール及びポリアルキレングリコールエーテルを含まず、特に好ましくはジエチレングリコールモノメチルエーテル及び1,3−ブタンジオールを含まない水溶液としてのSiO化合物を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させる。
【0050】
多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩としては、Al3+イオンを含む塩を好ましくは使用する。これらの塩の中では、塩化物アニオン、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、硫化物アニオン、亜硫酸アニオン、硫酸アニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、水酸化物アニオン、酢酸アニオン又はシュウ酸アニオンを含む塩が特に好ましい。好ましい塩は、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ビス−アルミニウムカリウム、硫酸ビス−アルミニウムナトリウム、乳酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、グリオキシル酸アルミニウム、コハク酸アルミニウム、イタコン酸アルミニウム、クロトン酸アルミニウム、酪酸アルミニウム、ソルビン酸アルミニウム、マロン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、ピルビン酸アルミニウム、吉草酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、グルタール酸アルミニウム、プロピオン酸(propanate)アルミニウム又は酢酸アルミニウムであり、AlCl×6HO、NaAl(SO×12HO、KAl(SO×12HO、又はAl(SO×14−18HO及び対応する無水塩、MgSO×10HO又は無水硫酸マグネシウムが最も好ましい。塩として考えられる別の好ましい化合物はAl(O)OHである。
【0051】
多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の場合には、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の重量に対して少なくとも0.001重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の塩を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させることがさらに好ましい。
【0052】
未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩との接触は、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を塩と乾燥条件下で接触させるか、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を、塩及び溶媒、好ましくは水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの水混和性有機溶媒、又はこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物を含む流体Fと接触させることによって好ましくは行い、ポリマー粒子に流体Fを噴霧し、混合することによって行うことが好ましい。本発明に係る方法の好ましい実施形態によれば、好ましくは実質的に有機溶媒を含まず、特に多価アルコール及びポリアルキレングリコールエーテルを含まず、特に好ましくはジエチレングリコールモノメチルエーテル及び1,3−ブタンジオールを含まない水溶液としての塩を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させる。
【0053】
また、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と塩を含む流体Fとの接触は、2段階のプロセスによって行うことが好ましい。2段階のプロセスは、複数の吸収性ポリマー構造体を流体と混合する第1の混合工程と、流体をポリマー粒子の内部で均一化させる第2の混合工程とを含み、第1の混合工程では、各ポリマー粒子の運動エネルギーが平均して各ポリマー粒子間の付着エネルギーよりも大きくなる速度でポリマー粒子を混合し、第2の混合工程では、第1の混合工程よりも低い速度でポリマー粒子を混合する。
【0054】
未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)をSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩と接触させる場合には、
i)未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を両成分と順番に接触させ、各成分との接触は乾燥条件下又は流体を使用して行うことができ、
ii)未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を両成分と同時に接触させることができ、例えば両成分を最初に乾燥条件下で混合し、得られた混合物を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させるか、共通の流体としてで両成分を未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させる。
【0055】
未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と、SiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はこれらの成分の2種の混合物との乾燥条件下又は流体を使用する接触は、当業者に公知の混合装置、例えば、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、プレートミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)内で行うことができる。
【0056】
本発明によれば、表面後架橋を工程IIにおいて行わない場合には、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と、SiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はこれらの成分の2種の混合物との接触は、10〜100℃、特に好ましくは15〜60℃、より好ましくは20〜40℃の温度で行うことが好ましく、室温で接触させることが最も好ましい。
【0057】
また、本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造は、好ましくは表面後架橋する。表面後架橋は、工程IIの前、工程IIの実施中又は工程IIの後に行うことができ、後架橋のために好ましくは化学的後架橋剤を使用する。
【0058】
化学的後架橋剤の中では、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマーの官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。
【0059】
架橋剤としては、ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はプロパノールアミン、ポリアミン化合物、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリグリシジルエーテル化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、1,4−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、グリシドール、ポリイソシアネート、好ましくは2,4−トルエンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネ−トなどのジイソシアネ−ト、ポリアジリジン化合物、例えば2,2−ビスヒドキシメチル−ブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレン−ジエチレン尿素及びジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレン尿素、ハロゲン化エポキシド、例えばエピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン及びα−メチルエピクロルヒドリン、アルキレン炭酸塩、例えば1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジメチルアミン及びエピクロルヒドリンの縮合生成物などのポリ四級アミンが特に好ましい。また、後架橋剤としては、1,2−エチレンビスオキサゾリンなどのポリオキサゾリン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン基を有する架橋剤、2−オキサゾリジノン、ビス−2−オキサゾリジノン、ポリ−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン、ケイ酸ジグリコールも好ましい。
【0060】
上記化合物のうち、後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー又はオキシプロピレン−ブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン又はポリ−1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましく、炭酸エチレンが後架橋剤として最も好ましい。
【0061】
本発明に係る方法では、後架橋剤は、吸水性ポリマー構造体(Pu)に対して好ましくは0.01〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.3〜5重量%の量で使用する。
【0062】
特に、後架橋剤が後架橋時の圧力及び温度条件下で液体ではない場合には、後架橋剤は後架橋剤及び溶媒を含む流体Fとして使用し、溶媒としては、好ましくは水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどの水混和性有機溶媒、又は水及びこれらの有機溶媒の混合物を使用する。後架橋剤は、溶媒と共に使用する場合には、流体Fの合計重量に対して好ましくは5〜75重量%、特に好ましくは20〜40重量%、最も好ましくは5〜25重量%の量で流体Fに含有させる。
【0063】
流体Fと吸水性ポリマー構造体との接触は、未処理吸水性ポリマー構造体(Pu)と、SiO化合物又は多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩との接触に関連して述べた混合装置内で好ましくは行う。
【0064】
後架橋剤又は流体Fを吸水性ポリマー構造体と接触させた後、吸水性ポリマー構造体を40〜300℃、好ましくは80〜275℃、特に好ましくは125〜250℃に加熱することによって後架橋反応を生じさせる。後架橋の最適な持続時間は、各後架橋剤の種類に応じて容易に決定することができる。後架橋の持続時間の上限は、吸水性ポリマー構造体の所望の特性プロファイルが熱によるダメージによって再び損なわれる時である。熱処理は、回転炉、流動床オーブン、プレート乾燥器、ペダル(pedal)乾燥器、赤外線乾燥器などの一般的に入手可能な乾燥器又はオーブンを使用して行うことができる。
【0065】
後架橋を工程IIの前に行う場合、最初に未処理の吸水性ポリマー構造体を上述したように後架橋させる。次に、上述した工程IIに係る方法で、後架橋後のポリマー構造体を、SiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び塩の混合物と接触させる。
【0066】
後架橋を工程IIの実施時に行う場合、後架橋剤を、SiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び塩の混合物と共に、未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と接触させる。乾燥条件下でポリマー構造体をSiO化合物又は塩と接触させない場合、流体F又は流体Fに後架橋剤を溶解又は分散させることもできる。未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)と流体F又はFとを接触させた後に、上述した温度に加熱することによってポリマー構造体を後架橋させる。
【0067】
後架橋を工程IIの後に行う場合、最初に未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)をSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、またはSiO化合物及び塩の混合物と上述したように接触させる。次いで、ポリマー構造体を後架橋剤と接触させ、その後加熱することによって表面後架橋を行う。
【0068】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の一実施形態によれば、工程ii)において、未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を粉末状の透過性向上剤と接触させる。
【0069】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の本実施形態では、方法は、
i)未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
ii)未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を、好ましくは30〜300℃、特に好ましくは100〜300℃、より好ましくは125〜250℃、最も好ましくは150〜200℃の温度で、SiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物を含む微粒子成分と接触させる工程と、
を好ましくは含む。
【0070】
この場合、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%の多価(好ましくは三価)カチオンを含む粉末状の塩が、10〜1000μm、好ましくは50〜800μm、特に好ましくは100〜600μm、最も好ましくは200〜400μm(重量平均)の、例えば篩分析又はコールターカウンタによる当業者に公知の粒径測定方法によって測定した粒径を有することが特に好ましい。また、SiO化合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%が、10〜1,000,000nm、特に好ましくは12〜500,000nm、最も好ましくは15〜5,000nmの、篩分析(10μmを超える粒径に対して)又はレーザー回析(10μm未満の粒径に対して)によって測定した粒径を有することが好ましい。また、SiO化合物が、15〜5,000nm、好ましくは20〜3000nm、最も好ましくは100〜2,000nmの重量平均粒径を有することが好ましい。
【0071】
また、本発明に係る方法の本実施形態では、微粒子成分が、粉末状の塩、粉末状のSiO化合物、又は塩及びSiO化合物の粉末状混合物に加えて結合剤を含む場合には、結合剤も好ましくは粒子状であって、10〜1,000μm、好ましくは50〜800μm、特に好ましくは100〜600μm、最も好ましくは200〜400μm(重量平均)の、例えば篩分析又はコールターカウンタによる当業者に公知の粒径測定方法によって測定した平均粒径を有する粒子を、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%含むことが好ましい。
【0072】
この場合、結合剤が、結合剤の主成分として有機化合物を含み、有機化合物が好ましくは20℃で固体であることが特に好ましい。
【0073】
有機化合物は、好ましくは直鎖状ポリマー、好ましくはポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオレフィン、ポリビニルエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイミド(特にポリエーテルイミド)、ポリイミン、硫黄含有ポリマー(特にポリスルホン)、ポリアセタール(特にポリオキシメチレン)、フッ素含有プラスチック(特にポリフッ化ビニリデン)、スチレン−オレフィンコポリマー、ポリアクリレート、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、これらのポリマーの2種以上の混合物を含む群から選択される直鎖状ポリマーであることが特に好ましく、重縮合体、特にポリエーテルが特に好ましく、直鎖状ポリエーテルが最も好ましい。
【0074】
特に好適な直鎖状ポリエーテルは、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン又はプロピレンモノマーの統計学的(statistical)又はブロック状配置を有するポリ(エチレン又はプロピレン)グリコール、あるいはこれらのポリアルキレングリコールの少なくとも2種の混合物である。
【0075】
その他の好適な直鎖状ポリエーテルとしては、ドイツ特許出願公開第103 34 286号において「熱可塑性接着剤」として言及されているポリマーが挙げられる。ドイツ特許出願公開第103 34 286号の熱可塑性接着剤に関する開示内容はこの参照によって本発明の開示内容の一部をなすものとする。
【0076】
SiO化合物及び/又は塩に加えて結合剤を使用する場合には、未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体の表面と微粒子成分との接触は、30〜200℃、特に好ましくは50〜160℃、最も好ましくは70〜140℃の温度で行うことが特に好ましい。これらの温度において、特に未処理の吸水性ポリマー構造体の表面に微粒子が固定される。
【0077】
結合剤を使用する場合、結合剤の量は、吸水性ポリマー構造体の重量に対して0.0001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜2重量%であることが好ましい。微粒子成分と結合剤との重量比(微粒子成分:結合剤)は、20:1〜1:20、特に好ましくは10:1〜1:10、最も好ましくは10:1〜2:1であることが好ましい。
【0078】
粉末状のSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む粉末状の塩、又はこれらの成分の粉末状混合物を使用する本発明に係る方法の上記実施形態では、方法は、工程i)において、未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を用意することに加えて、粉末状のSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む粉末状の塩、又はこれらの成分の粉末状混合物を含む微粒子成分並びに粉末状結合剤を用意することも含む。微粒子成分と未処理の吸水性ポリマー構造体との接触方法に関しては、様々な方法が考えられる。
【0079】
変形Vによれば、工程ii)において、最初に微粒子成分及び未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体の混合物を調製し、混合物を上述した温度に加熱して微粒子を固定させる。それにより吸水性ポリマー構造体の表面を後架橋することができる。すわなち、吸水性ポリマー構造体を後架橋剤と既に接触させたことになるが、表面後架橋に必要な温度には加熱してはいない。
【0080】
変形Vによれば、工程ii)の前に、未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を上述した温度に加熱し、工程ii)において、予め加熱した吸水性ポリマー構造体を予め加熱していない微粒子成分と混合する。
【0081】
変形Vによれば、工程ii)の前に、未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体及び微粒子成分を別々に上述した温度に加熱し、工程ii)において、予め加熱した吸水性ポリマー構造体を予め加熱した微粒子成分と混合する。変形Vの一実施形態によれば、加熱後であって予め加熱した吸水性ポリマー構造体との混合前に、微粒子成分を好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜75℃、最も好ましくは20〜60℃に冷却し、その後必要に応じて、例えば乳棒と乳鉢を使用して粉砕した後、冷却され、必要に応じて粉砕した微粒子成分を予め加熱した吸水性ポリマー構造体と混合することが好ましい。
【0082】
変形Vによれば、工程ii)の前に、微粒子成分を上述した温度に加熱し、工程ii)において、予め加熱した微粒子成分を予め加熱していない未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体と混合する。変形Vの一実施形態によれば、加熱後であって予め加熱していない吸水性ポリマー構造体との混合前に、微粒子成分を好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜75℃、最も好ましくは20〜60℃に冷却し、その後必要に応じて、例えば乳棒と乳鉢を使用して粉砕した後、冷却され、必要に応じて粉砕した微粒子成分を予め加熱していない吸水性ポリマー構造体と混合することが好ましい。
【0083】
また、粉末状のSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む粉末状の塩、又はこれらの成分の粉末状混合物を使用する本発明に係る方法の上記実施形態に関しては、微粒子及び吸収性ポリマー構造体を可能な限り均一に分散させるために、工程ii)の後に、未処理の吸水性ポリマー構造体及び微粒子成分の混合物を、10分〜5時間、特に好ましくは30分〜3時間にわたってさらに混合する工程iii)を行うことが有利である。混合には当業者に公知の混合装置を使用することができる。この工程では、未処理の吸水性ポリマー構造体及び微粒子成分の混合物を、工程ii)における固定後の温度を有するミキサーに導入し、好ましくは、混合しながら混合物を低温、好ましくは室温に冷却することができる。
【0084】
また、上述した目的は、以下の特性を有する吸水性ポリマー構造体によって達成される。
a.少なくとも32g/g、好ましくは少なくとも33g/g、より好ましくは少なくとも34g/g、より好ましくは少なくとも35g/g、より好ましくは少なくとも36g/g、より好ましくは少なくとも37g/g、より好ましくは少なくとも38g/g、より好ましくは少なくとも40g/g、特に好ましくは33.2〜45g/g、さらに好ましくは34〜40g/gの本明細書に記載した試験方法により測定した保持率
b.本明細に記載した試験方法により測定した20g/cmの圧力下における以下の群から選択される時間依存吸収率(0.3psiにおけるTAAP)
b1.ポリマー構造体の最大吸収量の50%に達する時間が20分間以内、好ましくは15分間以内、最も好ましくは10分間以内
b2.ポリマー構造体の最大吸収量の90%に達する時間が40分間以内、好ましくは30分間以内、最も好ましくは20分間以内
【0085】
上記吸収特性a.b.を有する吸水性ポリマー構造体は、例えば本発明に係る上記方法によって得ることができる。したがって、本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、好ましくは繊維、発泡体または粒子であり、繊維および粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。繊維又は粒子は、本発明に係る吸水性ポリマーの製造方法に関連して述べた繊維の寸法又は粒経分布をそれぞれ有する。
【0086】
また、本発明に係る吸水性ポリマー構造体及び本発明の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体は、好ましくは少なくとも0.001重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の透過性向上剤がポリマー構造体の表面に固定されていることを特徴とする。透過性向上剤は、好ましくはSiO化合物、多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩、又はSiO化合物および多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物である。
【0087】
好ましいSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法に関連して上述したSiO化合物及び塩である。
【0088】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態によれば、ポリマー構造体は、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μmの篩分析によって測定した粒径を有するポリマー粒子であって、ポリマー粒子は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のカルボキレート基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含み、カルボキレート基含有モノマーは、少なくとも20モル%、特に少なくとも50モル%、より好ましくは60〜85モル%が好ましくは中和されている。また、ポリマー構造体が粒子の場合、本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、300〜600μmの粒径を有する粒子を少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%含むことが好ましい。
【0089】
また、本発明によれば、吸水性ポリマー構造体は、少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも12g/g、特に好ましくは少なくとも14g/g、より好ましくは少なくとも15g/gであって、好ましくは35g/g未満、特に好ましくは30g/g未満のERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psi(50g/cm)の圧力下における吸収率(粒子の場合には粒子全量について測定)を有することが好ましい。
【0090】
また、本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態によれば、吸水性ポリマー構造体は、本明細書に記載する試験方法によって測定したSFC値が40×10−7秒×cm/g以下、好ましくは30×10−7秒×cm/g以下、より好ましくは20×10−7秒×cm/g以下、さらに好ましくは10×10−7秒×cm/g以下、最も好ましくは5×10−7秒×cm/以下であることを特徴とする。
【0091】
吸水性ポリマー構造体の一実施形態によれば、吸水性ポリマー構造体は、350g/mのセルロース繊維、18g/mの二成分繊維、350g/mの本発明に係る吸水性ポリマー構造体、36g/mの薄織物からなり、本明細書に記載した試験方法によって製造したエアレイド複合体が、以下の特性の少なくとも1つを有することを特徴とする。
(γ1)本明細書に記載した試験方法によって測定した3回目の湿潤後の再湿潤値が3g以下、好ましくは2.9g以下、特に好ましくは2.8g以下
(γ2)本明細書に記載した試験方法によって測定した2回目の湿潤後の吸収(acquisition)時間が450秒以下、好ましくは400秒以下、特に好ましくは380秒以下
(γ3)本明細書に記載した試験方法によって測定した3回目の湿潤後の吸収時間が少なくとも1500秒、好ましくは1400秒以下、特に好ましくは1300秒以下
【0092】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の一実施形態によれば、本明細書に記載した試験方法によって製造したエアレイド複合体は、(γ1),(γ2),(γ3),(γ1)(γ2),(γ1)(γ3),(γ2)(γ3),(γ1)(γ2)(γ3)の特性又は特性の組み合わせを有する。
【0093】
また、上述した目的は、上記吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体及び基材を含む複合体によって達成される。好ましくは、本発明に係る吸水性ポリマー構造体と基材とを互いに熱的に結合させる。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのポリマー、金属、不織布、綿毛、薄織物、織布、天然または合成繊維、その他の発泡体からなるシートが好ましい。また、本発明に係る複合体は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体及び基材に加えて、熱可塑性材料などの添加剤も含むことができる。
【0094】
本発明に係る複合体の好ましい実施形態によれば、複合体は吸収層、コア又はワイプ(wipe)である。
【0095】
本発明に係る複合体が吸収層である場合には、吸収層は、以下の特性の少なくとも1つを有することが有利である。
(γ1)本明細書に記載した試験方法によって測定した3回目の湿潤後の再湿潤値が3g以下、好ましくは2.9g以下、特に好ましくは2.8g以下
(γ2)本明細書に記載した試験方法によって測定した2回目の湿潤後の吸収時間が450秒以下、400秒以下、特に好ましくは380秒以下
(γ3)本明細書に記載した試験方法によって測定した3回目の湿潤後の吸収時間が1500秒以下、好ましくは1490秒以下、特に好ましくは1480秒以下
【0096】
本発明に係る吸収層の好ましい実施形態によれば、吸収層は、(δ1),(δ2),(δ3),(δ1)(δ2),(δ1)(δ3),(δ2)(δ3),(δ1)(δ2)(δ3)の特性又は特性の組み合わせを有する。
【0097】
本発明に係る特に好ましい吸収層は、米国特許第5,599,335号に「吸収材」として記載されている吸収層であり、米国特許第5,599,335号の特に吸収層内に含まれる繊維及び添加剤及び吸収層の製造方法に関する開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0098】
本発明に係る複合体、好ましく本発明に係る吸収層の好ましい実施形態によれば、複合体又は吸収層は、全重量の約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の量で本発明に係る吸水性ポリマー構造体を含む少なくとも1つの領域を含み、当該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0099】
また、本発明に係る吸収層は、少なくとも0.02g/cm、好ましくは少なくとも0.03g/cm、特に好ましくは0.02〜0.12g/cm、より好ましくは0.03〜0.11g/cmの単位面積あたりの質量を有し、約20mm以下、好ましくは15mm以下、最も好ましくは10mm以下の厚みを有することが好ましい。
【0100】
本発明に係る吸収層の好ましい実施形態によれば、吸収層は、約500cm以下、好ましくは約350cm以下、特に好ましくは約300cm以下の表面積を有する。
【0101】
本発明に係る複合体は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体と、基材と、必要に応じて添加剤とを接触させることによって製造することが好ましい。接触は、ウェットレイド法、エアレイド法、圧縮、押出、混合によって行うことが好ましい。
【0102】
本発明に係る複合体の製造方法の一実施形態によれば、方法は、
A)基材を用意する工程と、
B)未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
C)微粒子成分を用意する工程と、
D)基材を吸水性ポリマー構造体と接触させる工程と、
E)吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる工程と、
F)微粒子の少なくとも一部を吸水性ポリマー構造体の表面上に固定する工程と、を含む。
【0103】
微粒子成分としては、粉末状SiO化合物及び/又は粉末状の塩を使用する本発明に係る吸水性ポリマー構造体の製造方法の一実施形態に関連して好ましい微粒子として上述した微粒子成分が好ましい。特に、粉末状SiO化合物、粉末状の塩、又はこれらの2つの成分の粉末状混合物と粉末状結合剤との混合物が特に好ましい。
【0104】
本発明に係る複合体の製造方法の本実施形態の変形によれば、最初に基材を用意し、ポリマー構造体を基材の表面の全体又は所定領域に塗布(好ましくは散布)することによって基材と未処理の好ましくは表面後架橋された吸水性ポリマー構造体とを接触させる。次いで、例えば基材表面の表面後架橋されたポリマー構造体上に微粒子成分を散布することによって基材表面の吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる。その後、微粒子成分をポリマー構造体の表面上に固定する。固定は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体の表面の処理方法に関連して上述した加熱によって行うことが好ましい。したがって、本発明に係る複合体の製造方法の一実施形態の本変形では、工程E)は工程D)の後に行われる。
【0105】
本発明に係る複合体の製造方法の本実施形態の別の変形によれば、最初に基材を用意する。好ましくは最初に基材を用意し、表面後架橋されたポリマー構造体を基材の表面の全体又は所定領域に塗布(好ましくは散布)することによって表面後架橋されたポリマー構造体を基材と接触させる。ポリマー構造体を基材表面に接触させる前に、例えば、微粒子成分を基材表面に散布する前に微粒子成分を表面後架橋されたポリマー構造体と混合することによって吸水性ポリマー構造体を微粒子成分と接触させる。ポリマー構造体を基材と接触させた後に、微粒子成分をポリマー構造体の表面に固定する。そのため、本発明に係る複合体の製造方法の一実施形態の本変形では、工程E)は工程D)の前に行われる。
【0106】
また、本発明は上述した方法によって得られる複合体に関する。
【0107】
また、本発明は、本発明に係るポリマー構造体又は複合体を含む化学製品に関する。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品、植物/菌類生育調節剤・植物保護活性物質の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0108】
また、本発明は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体、本発明に係る方法によって得られる吸水性ポリマー構造体、複合体又は上述した方法によって得られる複合体の、上述した化学製品、特に衛生製品、洪水対策、水の遮断、土壌の水管理の制御又は食品処理における使用に関する。
【0109】
本発明を図面、試験方法及び実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0110】
試験方法
【0111】
SFC値の測定
【0112】
膨潤状態における透過性(生理食塩水透過率=SFC)の測定は、国際公開第WO95/22356号に記載された方法に準拠して行う。すなわち、約0.9gの超吸収体材料(粒子の場合は全粒子部分)を篩分底面を有するシリンダーに秤量し、篩の表面上に慎重に散布する。超吸収体材料を20g/cmの圧力下でJAYCO合成尿内で1時間にわたって膨張させる。超吸収体の膨張高さを測定した後、目盛り付きの容器から0.118M NaCl溶液を一定の静水圧で膨潤ゲル層に通過させる。測定時には膨潤ゲル層を特別なシリンダーで覆い、ゲル上で0.118M NaCl溶液が均一に散在し、ゲル床特性の条件(測定温度:20〜25℃)が測定時に一定になるようにする。膨潤した超吸収体に作用する圧力は常に20g/cmとする。コンピュータと秤を使用して、ゲル層を通過する液体の量を時間の関数として20秒間隔で10分間にわたって測定する。膨潤ゲル層内における流速(g/秒)を、勾配外挿法による回帰分析及び2〜10分間における流量の時間点t=0における中間点の測定によって決定する。SFC値(K)はcm3×秒×g−1で表され、以下のように計算する。
【0113】
【数1】

(t=0):流速(g/秒)
:ゲル層の厚み(cm)
r:NaCl溶液の濃度(1.003g/cm3
A:測定シリンダー内のゲル層の上面の面積(28.27cm2
ΔP:ゲル層に作用する静圧(4,920dyne/cm2
K:SFC値
【0114】
保持率の測定
【0115】
吸水性ポリマー材料(粒子の場合は全粒子部分)の保持率を測定するために、いわゆるティーバッグ試験を行う。試験溶液としては0.9重量%のNaCl溶液を使用する。
【0116】
約1gの吸水性ポリマー材料をティーバッグ内に秤量し(W)、ティーバッグを密封する。ティーバッグを試験溶液内に30分間入れ、スピナー(直径23cm、1000rpm)で3分間回転させ、再秤量する(W)。吸水性ポリマー材料を入れていないティーバッグの回転後の重量(W)を同様に測定し、ブラインド値として同時に使用する。保持率はg/gで表し、以下のように計算する。
【0117】
【数2】

【0118】
圧力下における時間依存吸収率(TAAP)の測定
【0119】
試験対象の吸収体材料を、床3としてスチール製の篩布(メッシュ400個)を有するプレキシガラスシリンダー2(内径:60mm、高さ:50mm)を含む装置1の床3に散布し、規定の重り4(重り4はプレキシガラスシリンダー2内に挿入し、嵌合させることができ、金属製の重りを内部に挿入することができる円筒状のスタンプである)を載せる。重り4の総重量は、超吸収体材料に20g/cmの圧力が印加されるように選択する。装置1を、ガラスフリット8(Schott−Keramikfilter Duran社製、ドイツ、直径:70mm、気孔率=0)を収容する円筒型凹部7を有し、秤5の上に配置された支持体6上に配置する。ガラスフリット8とプレキシガラスシリンダー2の篩床3の間には、濾紙9(Schleicher&Schull社製、Schwarzband 589/1、直径45mm)を配置し、濾紙9の中央には直径20mmのガラスフリット10を配置し、内径が60mm、厚さが5mmであり、ガラスフリット10の高さに正確に対応する高さを有する間隔リング11をガラスフリット8上に配置する。ガラスフリット8は、シリコンチューブ12によって液体貯蔵容器13(ガラスチューブを有する500mlの滴下漏斗)と流体接続されており、貯蔵容器13には0.9重量%NaCl溶液が収容されている。さらに、弁14,15を開閉することによって、NaCl溶液を貯蔵容器13から凹部7及びガラスフリット8に選択的に輸送することができる。
【0120】
まず、装置1を支持体6上に配置せず、支持体6の凹部7内にガラスフリット8を配置しない状態で弁14,15を開き、好ましくは凹部7が縁まで試験液で満たされるようにする。その後、ガラスフリット8を凹部7内に配置し、濾紙9をガラスフリット8上に置き、ガラスフリット8及び濾紙9に液体を十分に吸収させる。過剰な試験液は吸収体材料で吸収する。次に、ガラスフリット10を濾紙9の中央に配置する。ガラスフリット10も試験液で完全に飽和状態とさせる。
【0121】
次に、試験対象の吸収体材料1.8g±0.005gを装置1の篩床3上に均一に散布し、サンプルに重り4を載せる。秤5とは異なる秤(測定精度:0.01g)によって、装置の重量を測定する(m)。次に、装置1を秤5上の支持体6上に配置する。秤5で重量を測定する。
【0122】
次に、装置1をガラスフリット10及び間隔リング11の上に配置した状態で測定を開始する。間隔リングは、濾紙9が上に配置され、凹部7の中に配置されたガラスフリット8の上に配置されている。装置1を配置した後、吸収体材料による試験液の各吸収量mabs 0秒〜mabs 3600秒を10秒間隔で観察する。これは、コンピュータ支援表示プログラム(例えば、Weighing Inn 1.0、Herbert Werth 1999(登録商標);マイクロソフト(登録商標)エクセル(登録商標)用「VBA(ビジュアル・ベーシック・フォー・アプリケーション)」モデルも使用することができる)を使用して行う。測定は1時間にわたって行う。測定の結果から得られた吸収曲線が、測定終了時の測定値の変化が0.1g/60秒未満となる最大吸収率に達しない場合には、ガラスフリット8と同一のガラスフリット上に装置を配置する。このガラスフリットは、ガラスフリットの上端まで試験液で満たされたペトリ皿(最小直径:150mm)内に配置されている。試験液の吸収率を、吸収率が0.1g/60秒未満となるまで1〜60分遅れで確認する。その後、秤5とは異なる秤(精度:0.01g)で装置1の重量を測定する(m)。最大吸収率を以下の式から計算する。
【0123】
【数3】

【0124】
秤5を使用した重量測定により、所定時間での試験液の絶対吸収量を記録する。吸収量絶対/時間のダイヤグラムには、所与の時間における液体吸収量mabsXsを時間tに対してプロットする。また、吸収量相対/時間のダイヤグラムも作成する。このために、Abs.maxに基づき、各測定値mabsXs(%)を時間tに対してプロットする。
【0125】
【数4】

【0126】
吸収量相対/時間のダイヤグラムから、最大吸収量(Abs.max)の50%又は90%に達したか否か及び達した時間を知ることができる。
【0127】
吸収時間及び再湿潤値の測定
【0128】
ドイツ特許出願公開第102 49 822号に記載された試験手順に準拠して、吸収時間及び再湿潤値を測定した。
【0129】
まず、M&J Fibretch Technologyに基づいてエアレイド複合体を製造する。プレスしたセルロース繊維(単位面積あたりの質量:m(綿毛パルプ)、幅:b(綿毛パルプ)、製造会社:ストゥーラ エンソ(Stora Enso)、フィンランド、型番:Store EF半加工済)を速度v(綿毛パルプ−ハンマーミル)のハンマーミルに供給し、繊維を分離する。送風機で連続的に繊維を放出する。同一の気流内に、二成分繊維(製造者:Danaklon、現在のFibre Visions、デンマーク、型番:AL−Thermal−C phil 6mm、3.3デシックス、40ローホワイト)を投入する。この場合、繊維を量m(二成分繊維放出量)で自動計量装置に投入する。自動計量装置は、二成分繊維を40cm(計量装置の長さ)毎に、速度v(二成分繊維投入)で連続運転するコンベアベルトに放出する。吸水性ポリマー構造体を、質量流量m(吸水性ポリマー構造体)を有する重量測定式投入スクリューによって導入装置(ベンチュリシステム)内に投入し、送風機の圧力側の気流内に導入する。繊維/吸水性ポリマー構造体の混合物を連続的にコンベアベルトに送り、その上に薄織物を配置する(単位面積あたりの質量:m(薄織物)、製造会社:Finess Hygiene AB、スウェーデン、型番:Art.−No.50330、品質:KB 1800 Diapor−Tissue−Open、エアレイド装置(速度v(エアレイド−コンベアベルト)、幅b(エアレイド))。コンベアベルトの端部において巻取る前に、別の薄織物(単位面積あたりの質量:m(薄織物)、製造会社:Finess Hygiene AB、スウェーデン、型番:Art.−No.50330、品質:KB1800、Diapor−Tissue−Open)をエアレイド複合体上に配置し、ダンボールロールに巻き取る。その後、連続運転する循環空気乾燥器内でエアレイド複合体を熱によって固定する(パラメータ:流速v(乾燥器)、温度T(乾燥器)、気流速度v(乾燥器空気)、滞留時間t(乾燥器))。
【0130】
各パラメータも以下の表にまとめる。
【0131】
【表1】

*1分間あたりの2回の放出に対応する
【0132】
(実施例)
【0133】
未処理の吸水性ポリマーの製造
【0134】
アクリル酸1200g、50%水酸化ナトリウム溶液932.56g、脱イオン水1,732.92g、モノアリルポリエチレングリコール−750−モノアクリルレート1.8996g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート0.6192g、ポリエチレングリコール−750−メトキシモノメタクリレート24gからなるモノマー溶液に窒素を通過させて溶存酸素を除去し、開始温度の4℃に冷却した。開始温度に達した後に、開始剤溶液(HO 38.8gに溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2g、HO 7.72gに溶解した35.5%過酸化水素溶液0.028g、HO 19.94gに溶解したアスコルビン酸0.06g)を添加した。最終温度約103℃に達した後、得られたゲルを粉砕し、150℃で120分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末(=粉末A)を篩い分けた。このプロセスでは、得られた粉末Aが以下の粒径分布となるように粉砕及び篩い分けを行った:150〜300μmの粒子:10〜20重量%、300〜600μmの粒子:40〜60重量%、600〜850μmの粒子:15〜40重量%。
【0135】
粉末Aは45g/gの保持率及び0秒×cm3/gのSFC値を有していた。
【0136】
表面後架橋
【0137】
粉末A100gを炭酸エチレン1g及び水2.5gの溶液で塗布し、170℃で40分間加熱して後架橋させた。その結果、粉末Bを得た。粉末Bは、約42分後に20g/cmの圧力下において最大吸収量の50%を示し、1時間以上経過した後には20g/cmの圧力下において最大吸収量の90%を示した。
【実施例1】
【0138】
粉末A100gを炭酸エチレン1g、水2.5g及びAl(SO0.75gの溶液で塗布し、170℃で40分間加熱して後架橋させた。その結果、粉末Cを得た。粉末Cは、約10分後に20g/cmの圧力下において最大吸収量の50%を示し、約23分後に20g/cmの圧力下において最大吸収量の90%を示した。
【実施例2】
【0139】
粉末A100gを炭酸エチレン1g、水2.5g、ZP30(バイエル社製シリカゾルレバシル(登録商標)200/30)1g、Al(SO0.75gの溶液で塗布し、170℃で40分間加熱して後架橋させた。その結果、粉末Dを得た。粉末Dは、約13分後に20g/cmの圧力下において最大吸収量の50%を示し、約27分後に20g/cmの圧力下において最大吸収量の90%を示した。
【0140】
吸水性ポリマー粉末A〜Dは、以下の吸収特性によって特徴付けられる。
【0141】
【表2】

【実施例3】
【0142】
粉末A100gを乾燥器内で130℃まで予め加熱した。
【0143】
遠心ミルで粉砕し、300〜400μmの粒径に篩分けしたAl(SO)×14HO 24g、ナノックス(Nanox)(登録商標)200(Elementis Specialities社(米国)製酸化亜鉛粉末、BET表面積17m/g、平均粒径60nm)30g、同様に遠心ミルで粉砕し、300μmの粒径に篩分けしたポリエチレングリコール10,000(10,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール)3.6gの混合物を準備した。この混合物1.15gをクラップス(Krups)ミキサー内で予め加熱した吸水性ポリマー構造体と撹拌しながら混合した。
【実施例4】
【0144】
吸収時間及び再湿潤値の測定で使用する試験手順に関する詳細に従って、粉末B、C、Dを使用して、セルロース繊維(綿毛)から成るエアレイド複合体350g/m、二成分繊維18g/m、本発明に係る吸水性ポリマー構造体350g/m、薄織物36g/mを準備し、吸収時間及び再湿潤値を測定した。以下の測定値を得た。
【0145】
【表3】

【0146】
本発明に係る粉末C及びDは、観察可能な透過性を有しないが、複合体に進入する大量の液体をより良好に拡散させることができる(吸収時間の比較可能な小さい値で認識可能である)。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、本明細書に記載する試験方法によるTAAP値の測定のための装置を示す。
【符号の説明】
【0148】
1 圧力下吸収率の測定装置
2 プレキシガラスシリンダー
3 篩繊維からなる床
4 重り
5 秤
6 支持体
7 凹部
8 ガラスフリット(直径70mm)
9 濾紙
10 ガラスフリット(直径20mm)
11 間隔リング
12 シリコンチューブ
13 上昇管を有する液体保存容器
14 弁
15 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性ポリマー構造体の製造方法であって、
I.少なくとも35g/gの本明細書に記載した試験方法により測定した保持率を有する未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を用意する工程と、
II.前記未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)を透過性向上剤と接触させる工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記透過性向上剤がSiO化合物又は多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記透過性向上剤がSiO化合物及び多価(好ましくは三価)カチオンを含む塩の混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記保持率が38〜55g/gである、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記SiO化合物がモノオルトケイ酸を重縮合することによって得られた化合物である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記SiO化合物がシリカゾルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記三価カチオンがAl3+イオンである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩がAlCl×6HO、NaAl(SO×12HO、KAl(SO×12HO、Al(SO×14−18HOからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)が以下の特性の少なくとも1つを有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
(A)ERT 440.2−02による0.9重量%食塩水の最大吸収率(粒子の場合には粒子全量について測定)が少なくとも10〜1,000g/g
(B)ERT 470.2−02による16時間後の抽出可能部分(粒子の場合には粒子全量について測定)が前記未処理の吸水性ポリマー構造体(Pu)の30重量%未満
(C)ERT 460.2−02による嵩密度(粒子の場合、全ての粒径部分に対して測定)が300〜1,000g/l
(D)1リットルの水内での前記吸水性ポリマー前駆体1gのERT 400.2−02によるpH(粒子の場合には粒子全量について測定)が4〜10
(E)本明細書に記載する試験方法によって測定したSFC値が40×10−7秒×cm/g以下
(F)ERT 442.2−02に準拠して測定した50g/cmの圧力下における吸収率(粒子の場合には粒子全量について測定)が、10〜26g/g
【請求項10】
前記吸水性ポリマー構造体を前記工程IIの前、前記工程IIの実施中又は前記工程IIの後に後架橋させる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸水性ポリマー構造体。
【請求項12】
以下の特性を有する吸水性ポリマー構造体。
a.少なくとも32g/gの本明細書に記載した試験方法により測定した保持率
b.本明細書に記載した試験方法により測定した20g/cmの圧力下における時間依存吸収率(0.3psiにおけるTAAP)が以下の群から選択される
b1.ポリマー構造体の最大吸収量の50%に達する時間が20分間以内
b2.ポリマー構造体の最大吸収量の90%に達する時間が40分間以内
【請求項13】
前記ポリマー構造体の表面に、少なくとも0.001重量%のSiO化合物、少なくとも0.001重量%の多価(好ましくは三価)カチオン又はそれらの少なくとも2種が固定されている、請求項11又は12のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項14】
少なくとも10g/gのERT 442.2−02に準拠して測定した0.7psi(50g/cm)の圧力下における吸収率を有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体、基材及び必要に応じて添加剤を含む複合体。
【請求項16】
前記複合体が吸水性コアである、請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
以下の特性の少なくとも1つを有する、請求項16に記載の複合体。
(δ1)3回目の湿潤後の再湿潤値が3g以下
(δ2)2回目の湿潤後の吸収時間が450秒以下
(δ3)3回目の湿潤後の吸収時間が1500秒以下
【請求項18】
少なくとも1つの領域を含み、前記領域が前記領域の全重量に対して約15〜100重量%の量で前記吸水性ポリマー構造体を含む、請求項17に記載の複合体。
【請求項19】
少なくとも0.02g/cmの単位面積あたりの質量を有する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項20】
約20mm以下の厚みを有する、請求項15〜19のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、請求項9〜12に記載の吸水性ポリマー構造体と、基材と、必要に応じて添加剤を接触させる方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法により得られる複合体。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項15〜20及び22のいずれか1項に記載の複合体を含む化学製品。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸水性ポリマー構造体又は請求項15〜20及び22のいずれか1項に記載の複合体の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−536987(P2008−536987A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507011(P2008−507011)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003694
【国際公開番号】WO2006/111402
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】