高周波フィルタ
【課題】
バンドパスフィルタの通過帯域の両側に減衰極を有する小型の高周波フィルタ回路を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1は、所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタ40と、バンドパスフィルタ40と入力端子10との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタ20と、バンドパスフィルタ40と出力端子12との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタ30とを備える。本発明の一態様において、第1ローパスフィルタ20に含まれる分布定数線路23と第2ローパスフィルタ30に含まれる分布定数線路33とが電磁結合され、その結果、バンドパスフィルタ40の通過帯域の低周波側に第3の減衰極が形成される。
バンドパスフィルタの通過帯域の両側に減衰極を有する小型の高周波フィルタ回路を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1は、所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタ40と、バンドパスフィルタ40と入力端子10との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタ20と、バンドパスフィルタ40と出力端子12との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタ30とを備える。本発明の一態様において、第1ローパスフィルタ20に含まれる分布定数線路23と第2ローパスフィルタ30に含まれる分布定数線路33とが電磁結合され、その結果、バンドパスフィルタ40の通過帯域の低周波側に第3の減衰極が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の無線通信機器においては、入力信号のうち通過帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタが用いられる。近年、無線通信機器のマルチバンドが進んでいるため、通過帯域以外の阻止域の成分を広帯域にわたって減衰させ、当該阻止域の信号を利用する無線システムへの信号の混入を除去することが望まれている。
【0003】
通過帯域の高周波側を広域にわたり減衰させるには、ローパスフィルタ(LPF)が有効であり、逆に通過帯域の低周波側を広域にわたり減衰させるには、ハイパスフィルタ(HPF)が有効である。例えば、特開2003−163503号公報(特許文献1)に、LPFの一例が開示されている。
【0004】
また、飛び越し結合を用いて通過帯域の高周波側及び低周波側に減衰極を付加する方法も提案されている。例えば、H.Shaman and J.-S.Hong, “Input and output cross-coupled wideband bandpass filter, ” IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 55, no. 12, pp.2562-2568, Dec. 2007(非特許文献1)には、バンドパスフィルタと入力端子及び出力端子との間に通過周波数の1/4波長の分布定数線路をそれぞれ配置し、この一組の分布定数線路同士を電磁結合させることにより、通過帯域の低周波側及び高周波側に減衰極を付加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−163503号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H.Shaman and J.-S.Hong, “Input and output cross-coupled wideband bandpass filter, ” IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 55, no. 12, pp.2562-2568, Dec. 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載のバンドパスフィルタにおいては、通過帯域の中心周波数の3倍の周波数に高調波共振を発生してしまうため、通過帯域の高周波側を広域に渡って減衰させることができない。この非特許文献1に記載のバンドパスフィルタにLPFを設ければ、当該バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を両立できる可能性があるが、LPF及び結合用の分布定数線路を両方とも設けると、回路の大型化と大型化による挿入損失の劣化に繋がる。本発明の様々な実施形態によって、バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を実現する小型の高周波フィルタ回路を提供する。本発明のその他の課題は、本明細書及び添付図面の記載等から理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るフィルタ回路は、所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタと入力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタと、前記バンドパスフィルタと出力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタとを備える。本発明の一態様において、前記第1ローパスフィルタに含まれる第1フィルタ素子と前記第2ローパスフィルタに含まれる第2フィルタ素子とが、前記通過帯域の低周波側に第3の減衰極を形成するように電磁結合される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な実施態様によって、バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を実現する小型の高周波フィルタ回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図2】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路をより詳細に示す回路図
【図3】図2に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図4】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【図5】本発明の様々な実施形態に係る高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図6】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路の構造を示す平面図
【図7】図6に示す高周波フィルタ回路の周波数特性の電磁界シミュレーションの結果を示すグラフ
【図8】図6に示す高周波フィルタ回路の周波数特性の実験結果を示すグラフ
【図9】本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図10】図9に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図11】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【図12】本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図13】図12に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図14】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1を表す回路図である。図示のとおり、本発明の一実施形態におけるフィルタ回路1は、第1のローパスフィルタ20と、第2のローパスフィルタ30と、バンドパスフィルタ40とを備える。以下、省略のため、ローパスフィルタを「LPF」と表記し、バンドパスフィルタを「BPF」と表記することがある。第1のLPF20は、入力端子10とBPF40との間に配置され、第2のLPF30は、BPF40と出力端子12との間に配置される。第1のLPF20及び第2のLPF30は、第1のLPF20の一部と第2のLPF30の一部とが電磁結合するように配置される。このフィルタ回路1は、入力端子10より入力されたマルチバンド信号から通過帯域の信号を取り出し、出力端子12より後段の回路に出力する。フィルタ回路1は、例えば、UWB無線システム用の高周波モジュールに組み込んで用いられる。
【0012】
一態様において、フィルタ回路1は、入力端子10と出力端子10とを結ぶ線分の垂直二等分線(フィルタ回路1中心線)に対して線対称に構成される。例えば、第1のLPF20は第2のLPF30と、フィルタ回路1の中心線に対して線対称に構成され、BPF40を構成する各素子は、当該中心線に対して線対称となるように配置される。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1をさらに詳細に示す回路図である。第1のLPF20は、入力端子10とBPF40との間に、キャパシタ21と分布定数線路22〜24とを並列接続して構成される。LPF30は、BPF40と出力端子12との間に、キャパシタ31と分布定数線路32〜34とを並列接続して構成される。分布定数線路23と分布定数線路33とは電磁結合されており、この電磁結合により、バンドパスフィルタ40の通過帯域の低周波側に減衰極が形成される。本発明の一態様において、分布定数線路23、33は、フィルタ回路1の偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しくなるように配置される。
【0014】
BPF40は、第1の共振器50と、第2の共振器60と、第3の共振器80とを備える。第1の共振器50の一端は、第1のLPF20に接続され、他端はキャパシタ42を介して第2の共振器60に接続されている。第3の共振器80の一端は、第2のLPF30に接続され、他端はキャパシタ46を介して共振器60に接続されている。第2の共振器60は、広帯域にわたる通過帯域を有し、通過帯域の両端に減衰極を形成する。第1の共振器50及び第3の共振器80はそれぞれ、第2の共振器60の通過帯域の高周波側に減衰極を形成する。
【0015】
第1の共振器50は、ショートスタブ52とオープンスタブ54とを含み、第3の共振器80は、ショートスタブ82とオープンスタブ84とを含む。共振器50とキャパシタ42の接続点と接地との間には、インピーダンス整合用のキャパシタ44が接続されている。また、共振器80とキャパシタ46の接続点と接地との間には、インピーダンス整合用のキャパシタ48が接続されている。第2の共振器60は、分布定数線路62、64と、この分布定数線路62、64と並列に接続されたキャパシタ66と、分布定数線路62と分布定数線路64との接続点と接地との間に接続された分布定数線路68とを含む。また、分布定数線路68と接地との間には波長短縮用のキャパシタ70が配置されている。
【0016】
このように、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1においては、第1のLPF20及び第2のLPF30により、BPF40の通過帯域の高周波側に減衰極を形成するとともに、この第1のLPF20の一部(分布定数線路23)と第2のLPF30の一部(分布定数線路33)との電磁結合によりBPF40の通過帯域の低周波側にも減衰極を付加することができる。本発明の一態様においては、分布定数線路23と分布定数線路33を含むフィルタ回路1は、偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しいときに、BPF40の通過帯域の低周波側に減衰極が現れる。このように、本発明の一実施形態においては、飛び越し結合を発生させるための素子を追加することなく、高周波側を減衰するための第1のLPF20と第2のLPF30の一部同士を結合することにより、低周波側へ減衰極を付加することができるので、小型のフィルタ回路により低周波側へ減衰極を付加することができる。換言すれば、分布定数線路23及び分布定数線路33をLPFの素子及び電磁結合用の素子として併用しているので、電磁結合用の素子を新たに設ける必要がない。非特許文献1のフィルタ回路は、入力端子と出力端子のそれぞれに接続された1/4波長の分布定数線路同士を電磁結合させる低周波側に減衰極を形成しているが、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1は、非特許文献1のフィルタ回路と比べて、1/4波長の分布定数線路一組に相当する大きさの分だけ小型化可能である。
【0017】
図2に示す高周波フィルタ回路1をストリップラインで構成し、周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、入力端子10及び出力端子12のインピーダンスをいずれも50Ωとし、分布定数線路22、24、32、34、ショートスタブ52、82、分布定数線路68、及びオープンスタブ54、84の特性インピーダンスをいずれも46.3Ω、分布定数線路62、64の特性インピーダンスを38.6Ω、分布定数線路23、33の奇モードの特性インピーダンスを45.9Ω、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを45.7Ωとした。また、基準周波数を4.0GHzとし、分布定数線路22、32の電気長をいずれも5度、分布定数線路24、34の電気長をいずれも18度、分布定数線路23、33の電気長をいずれも10度、分布定数線路68の電気長を50.9度、ショートスタブ52、82の電気長をいずれも26.9度、オープンスタブ54の電気長を43.9度、オープンスタブ84の電気長を38.4度、分布定数線路62、64の電気長をいずれも15.7度とした。また、キャパシタ21の容量値を0.25pF、キャパシタ31の容量値を0.27pF、キャパシタ42、46の容量値をいずれも0.75pF、キャパシタ44、48の容量値をいずれも0.5pF、キャパシタ66の容量値を1.0pF、キャパシタ70の容量値を2.7pFとした。また、誘電率は7.1、誘電正接は0.005とした。
【0018】
このシミュレーションの結果を図3に示す。図3は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1の通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図4は、BPF40と第1のLPF20及び第2のLPF30を互いに電磁結合しないように配置した場合における通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。図3に示すとおり、通過帯域の両端に減衰極f1、f2が形成され、通過帯域の高周波側には減衰極f3、f4が形成されるとともに、通過帯域の低周波側に減衰極f5が形成されることが確認できた。減衰極f1、f2は第2の共振器60によって形成され、減衰極f3、f4は、第1の共振器50及び第3の共振器80によって形成されたものであり、減衰極f5は、分布定数線路23と分布定数線路33との電磁結合により形成されたものである。減衰極f1、f2、f3、f4に相当する減衰極は図4のグラフにおいても確認することができる。一方、図4のシミュレーション結果においては、通過帯域の低周波側に減衰極が形成されていない。このように、第1のLPF20の一部と第2のLPF30の一部とを電磁結合させることにより、BPF40の通過帯域の低周波側に減衰極f5を付加できることが確認された。
【0019】
この低周波側に付加される減衰極の位置は、分布定数線路23と分布定数線路33との間の結合度によって変化することを確認した。分布定数線路23と分布定数線路33との結合度は、分布定数線路23と分布定数線路33との間にグラウンド電極に接続されたビア電極を配置し、分布定数線路23、33の奇モードの特性インピーダンスを変化させることにより調整可能である。このビア電極の配置については後述する。図5は、高周波フィルタ回路1の通過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図5のグラフは、偶モードの特性インピーダンスZseが45.9Ωである分布定数線路23、33において、奇モードの特性インピーダンスZsoをそれぞれ45.7Ω、44.7Ω、43.7Ωとした場合におけるフィルタ回路1の通過特性をそれぞれ示す。図示のとおり、奇モードの特性インピーダンスZsoの値によって(つまり、ビア電極の配置によって)、通過帯域の低周波側に現れる減衰極の位置が変化することが確認できた。
【0020】
続いて、図6を参照し、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1を実現するフィルタ素子100の構造を説明する。本発明の本発明の一実施形態に係るフィルタ素子100は、例えば、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics、以下「LTCC」と称することがある)基板の内層に複数の絶縁体層を積層し、その絶縁体層の層間に導体パターンを形成して構成される。図6は、本発明の一実施形態に係るフィルタ素子100の構造を示す平面図である。図示のとおり、フィルタ素子100は、絶縁体層L1、L2、L3を積層して構成される。絶縁体層L1、L2、L3には、高周波フィルタ回路1を構成する導体パターンが形成される。図示を省略しているが、絶縁体層L3の下面にはグラウンド電極GND1が形成される。また、絶縁体層L1の上面には、上部カバーとして機能する不図示の絶縁体層L0が設けられ、この絶縁体層の上面にもグラウンド電極GND2が形成される。絶縁体層L3は下部カバーとして機能する。絶縁体層L1〜L3の各導体パターン及びグラウンド電極は、各絶縁体層を貫通し積層方向に伸びるビア電極により互いに接続される。
【0021】
絶縁体層L3の入力端側には、入力端子10に接続される引出導体102と、この引出導体102に近接して配置されたキャパシタ電極106とを含む導体パターン形成される。キャパシタ電極106は、ビア電極VH10を介して絶縁体層L3の下面に形成されたグラウンド電極GND1に接続されている。一方、絶縁体層L3の出力端側には、出力端子12に接続される引出導体104と、この引出導体104に近接して配置されたキャパシタ電極108とを含む導体パターンが形成される。キャパシタ電極108は、ビア電極VH11を介してグラウンド電極GND1に接続されている。この入力側と出力側の導体パターンとの間には、キャパシタ電極110が形成される。また、絶縁体層L3の右端には、キャパシタ電極112が形成されている。キャパシタ電極112は、ビア電極VH12を介してグラウンド電極GND1に接続されている。
【0022】
絶縁体層L2の入力端側には、ビア電極VH1を介して引出電極102と接続されたストリップ線路112と、ストリップ線路112の他端と接続されたキャパシタ電極116と、キャパシタ電極116から右端側へそれぞれ延伸するストリップ線路120、124とが形成される。ストリップ線路120の右端はビア電極VH4を介してグラウンド電極GND1に接続される。絶縁体層L2の出力端側には、ビア電極VH2を介して引出電極104と接続されたストリップ線路114と、ストリップ線路114の他端と接続されたキャパシタ電極118と、キャパシタ電極118から右端側へそれぞれ延伸するストリップ線路122、126とが形成される。ストリップ線路122の右端はビア電極VH5を介してグラウンド電極GND1に接続される。ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺とは、互いに対向する位置に配置され、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との間には、ビアホールVH3が形成される。ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との間隔は、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との結合度が所望の値となるように適宜調整される。また、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との結合度は、ビアホールVH3の位置によっても調整することができる。キャパシタ電極116とキャパシタ電極118との間には、キャパシタ電極128が配置される。また、キャパシタ電極128の右方には一組のストリップ線路130、132から成るコの字型のストリップ線路が形成されている。ストリップ線路130の左端は、キャパシタ電極128の右下端と接続されており、ストリップ線路132の左端はビア電極VH9を介して絶縁体層L3のキャパシタ電極110と接続されている。このビア電極VH9は、絶縁体層L1の方向にも延伸しており、絶縁体層L1において、後述するキャパシタ電極140とキャパシタ電極144との接続点に接続されている。ストリップ線路130とストリップ線路132との接続点から右方にストリップ線路134が延伸している。ストリップ線路134の右端には、キャパシタ電極136が接続されている。
【0023】
絶縁体層L1の入力端側には、ビア電極VH8を介してストリップ線路130の左端と接続されたキャパシタ電極138が形成されている。また、絶縁体層L1の出力端側には、キャパシタ電極140が形成されている。キャパシタ電極138とキャパシタ電極140との間には、キャパシタ電極144が配置されている。キャパシタ電極144は、キャパシタ電極140と電気的に接続されている。キャパシタ電極140とキャパシタ電極144との接続点は、ビア電極VH9を介して、絶縁体層L2のストリップ線路132の左端に接続されている。絶縁体層L1の右端にはキャパシタ電極142が形成されている。
【0024】
絶縁体層L0の上面にグラウンド電極GND2と、絶縁体層L3の下面に形成されたグラウンド電極GND1とは、ビア電極VH3、VH6、VH7を介して電気的に接続されている。また、グラウンド電極GND2と絶縁体層L1のキャパシタ電極142とは不図示のビア電極を介して互いに接続されている。
【0025】
以上のように構成されるフィルタ素子100の各素子と、図2のフィルタ回路1の各構成要素との対応関係を説明する。まず、第1のLPF20の分布定数線路22〜24は、引出電極102及びストリップ線路112によって構成され、キャパシタ21は、引出電極102の幅広に形成されている部分とキャパシタ電極116の左端近辺の部位とにより構成される。また、第2のLPF30の分布定数線路32〜34は、引出電極104及びストリップ線路114によって構成され、キャパシタ31は、引出電極104の幅広に形成されている部分とキャパシタ電極118の左端近辺の部位とにより構成される。
【0026】
第1の共振器50のショートスタブ52はストリップ線路120に対応し、オープンスタブ54はストリップ線路124に対応する。第3の共振器80のショートスタブ82はストリップ線路122に対応し、オープンスタブ84はストリップ線路126に対応する。キャパシタ42は、キャパシタ電極116の一部とキャパシタ電極138とにより構成され、キャパシタ46は、キャパシタ電極118の一部とキャパシタ電極140とにより構成される。キャパシタ44は、キャパシタ電極106とキャパシタ電極116の一部とにより構成され、キャパシタ48は、キャパシタ電極108とキャパシタ電極118の一部とにより構成される。第2の共振器60の分布定数線路62はストリップ線路130に対応し、分布定数線路64はストリップ線路132に対応し、分布定数線路68はストリップ線路134に対応する。キャパシタ66は、キャパシタ電極110、128、144により構成される。キャパシタ70は、キャパシタ電極112、136、142により構成される。
【0027】
上記のように構成されるフィルタ素子100の周波数特性の電磁界シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、フィルタ素子100の寸法を6.2x2.7x0.366mmとし、Ansys Inc.の電磁界シミュレータHFSSを用いて、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性をシミュレートした。図7は、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性のシミュレーション結果を示す。図示のとおり、フィルタ素子100は広い通過帯域を有し、通過帯域の高周波側を広帯域にわたって抑制できることが確認された。また、通過帯域の低周波側(約0.3GHzの位置)に減衰極が現れることが確認された。
【0028】
また、フィルタ素子100の周波数特性を調べる実験を行った。8.0x5.0x0.63mmの形状のLTCC基板に6.2x2.7x0.366mmのフィルタ素子100を内蔵し、Agilent Technologies Inc.社製のネットワークアナライザN5230A PNA-Lを用いて、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性を測定した。図8は、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性の測定結果を示す。図示のとおり、少なくとも16GHzまでは、通過信号の高調波成分を20dB未満に抑制できることが確認された。また、通過帯域の低周波側に減衰極が現れることが確認された。
【0029】
図9は、本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aを示す回路図である。高周波フィルタ回路1Aは、高周波フィルタ回路1のバンドパスフィルタ40に代えて、1段のチェビシェフフィルタから成るバンドパスフィルタ150を第1のLPF20と第2のLPF30との間に配置したものである。このLPF20は、図2に示すLPF20から分布定数線路22、24を除去して構成され、LPF30は、図2に示すLPF30から分布定数線路32、34を除去して構成される。つまり、LPF20は分布定数線路23及びキャパシタ21から成り、LPF30は分布定数線路33及びキャパシタ31から成る。高周波フィルタ回路1Aは、バンドパスフィルタ40に代えてバンドパスフィルタ150を備える点以外は、高周波フィルタ回路1と同様の構成を有する。バンドパスフィルタ150は、キャパシタ152と、キャパシタ154と、キャパシタ152とキャパシタ154との接続点と接地との間に並列に配置されたキャパシタ156及びインダクタ158とを含んで構成される。
【0030】
図9に示す高周波フィルタ回路1Aの周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、通過信号の中心周波数を2.45GHzとし、キャパシタ152、154の容量値をそれぞれ約0.91pF、キャパシタ156の容量値を約1.96pFとし、インダクタ158のインダクタンス値を約1.33nHとした。また、第1のLPF20のキャパシタ21及び第2のLPF30のキャパシタ31の容量値をそれぞれ0.9pFとし、分布定数線路23、33の電気長をいずれも50度とし、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを40Ω、奇モードの特性インピーダンスを36Ωとした。このシミュレーション結果を図10に示す。図10は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aの通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図11に、1段のバンドパスフィルタ150単体の周波数特性を示す。図示のとおり、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aにおいては、通過帯域の両端、通過帯域の高周波側、通過帯域の低周波側にそれぞれ減衰極が形成され、バンドパスフィルタ単体の場合と比較して、フィルタ特性が各段に向上することが確認された。
【0031】
図12は、本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bを示す回路図である。高周波フィルタ回路1Bは、高周波フィルタ回路1のバンドパスフィルタ40に代えて、バンドパスフィルタ160を第1のLPF20と第2のLPF30との間に配置したものである。このLPF20は、図2に示すLPF20から分布定数線路22、24を除去して構成され、LPF30は、図2に示すLPF30から分布定数線路32、34を除去して構成される。つまり、LPF20は分布定数線路23及びキャパシタ21から成り、LPF30は分布定数線路33及びキャパシタ31から成る。高周波フィルタ回路1Bは、バンドパスフィルタ40に代えてバンドパスフィルタ160を備える点以外は、高周波フィルタ回路1と同様の構成を有する。バンドパスフィルタ160は、第1のSAW共振子162と第2のSAW共振子164とを直列に接続し、第1のSAW共振子162と第2のSAW共振子164との接続点と接地との間にインダクタ166及びキャパシタ168をそれぞれ配置して構成される。
【0032】
図12に示す高周波フィルタ回路1Bの周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいては、通過信号の通過帯域を1.5GHz付近とし、インダクタ166のインダクタンス値を約2.3nHとし、キャパシタ168の容量値を約3.0pFとした。また、第1のLPF20のキャパシタ21及び第2のLPF30のキャパシタ31の容量値をそれぞれ1.0pFとし、分布定数線路23、33の電気長をいずれも25度とし、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを50Ω、奇モードの特性インピーダンスを40Ωとした。このシミュレーション結果を図13に示す。図13は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bの通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図14に、バンドパスフィルタ160単体の周波数特性のシミュレーション結果を示す。図示のとおり、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bにおいては、通過帯域の両端、通過帯域の高周波側、通過帯域の低周波側にそれぞれ減衰極が形成され、バンドパスフィルタ160単体の場合と比較して、フィルタ特性が各段に向上することが確認された。
【0033】
本発明の実施形態は、本明細書において明示的に述べた態様に限られるものではなく、明細書中の各実施形態には様々な変更を行うことができる。例えば、第1のLPF20及び第2のLPF30は、少なくとも第1のLPF20及び第2のLPF30の一部同士が電磁結合して通過帯域の低周波側に減衰極を形成できるものである限り、任意の構成をとることができる。また、本発明の高周波フィルタ回路には、本明細書中で明示したもの以外にも、様々なバンドパスフィルタを用いることができる。本明細書中で説明した特性インピーダンス、電気長、容量値、インダクタンス値、通過信号の中心周波数等はあくまで例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の高周波フィルタ回路は、LTCC以外の多層基板に実装することも可能である。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態に対して様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1、1A、1B 高周波フィルタ回路
20 第1のローパスフィルタ
30 第2のローパスフィルタ
40、150、160 バンドパスフィルタ
23、33 分布定数線路
100 フィルタ素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の無線通信機器においては、入力信号のうち通過帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタが用いられる。近年、無線通信機器のマルチバンドが進んでいるため、通過帯域以外の阻止域の成分を広帯域にわたって減衰させ、当該阻止域の信号を利用する無線システムへの信号の混入を除去することが望まれている。
【0003】
通過帯域の高周波側を広域にわたり減衰させるには、ローパスフィルタ(LPF)が有効であり、逆に通過帯域の低周波側を広域にわたり減衰させるには、ハイパスフィルタ(HPF)が有効である。例えば、特開2003−163503号公報(特許文献1)に、LPFの一例が開示されている。
【0004】
また、飛び越し結合を用いて通過帯域の高周波側及び低周波側に減衰極を付加する方法も提案されている。例えば、H.Shaman and J.-S.Hong, “Input and output cross-coupled wideband bandpass filter, ” IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 55, no. 12, pp.2562-2568, Dec. 2007(非特許文献1)には、バンドパスフィルタと入力端子及び出力端子との間に通過周波数の1/4波長の分布定数線路をそれぞれ配置し、この一組の分布定数線路同士を電磁結合させることにより、通過帯域の低周波側及び高周波側に減衰極を付加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−163503号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H.Shaman and J.-S.Hong, “Input and output cross-coupled wideband bandpass filter, ” IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 55, no. 12, pp.2562-2568, Dec. 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載のバンドパスフィルタにおいては、通過帯域の中心周波数の3倍の周波数に高調波共振を発生してしまうため、通過帯域の高周波側を広域に渡って減衰させることができない。この非特許文献1に記載のバンドパスフィルタにLPFを設ければ、当該バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を両立できる可能性があるが、LPF及び結合用の分布定数線路を両方とも設けると、回路の大型化と大型化による挿入損失の劣化に繋がる。本発明の様々な実施形態によって、バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を実現する小型の高周波フィルタ回路を提供する。本発明のその他の課題は、本明細書及び添付図面の記載等から理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るフィルタ回路は、所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタと入力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタと、前記バンドパスフィルタと出力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタとを備える。本発明の一態様において、前記第1ローパスフィルタに含まれる第1フィルタ素子と前記第2ローパスフィルタに含まれる第2フィルタ素子とが、前記通過帯域の低周波側に第3の減衰極を形成するように電磁結合される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な実施態様によって、バンドパスフィルタの通過帯域の低周波側での減衰と通過帯域の高周波側での広域に渡る減衰を実現する小型の高周波フィルタ回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図2】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路をより詳細に示す回路図
【図3】図2に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図4】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【図5】本発明の様々な実施形態に係る高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図6】本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路の構造を示す平面図
【図7】図6に示す高周波フィルタ回路の周波数特性の電磁界シミュレーションの結果を示すグラフ
【図8】図6に示す高周波フィルタ回路の周波数特性の実験結果を示すグラフ
【図9】本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図10】図9に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図11】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【図12】本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路を示す回路図
【図13】図12に示す高周波フィルタ回路の周波数特性を示すグラフ
【図14】比較例である高周波フィルタの周波数特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1を表す回路図である。図示のとおり、本発明の一実施形態におけるフィルタ回路1は、第1のローパスフィルタ20と、第2のローパスフィルタ30と、バンドパスフィルタ40とを備える。以下、省略のため、ローパスフィルタを「LPF」と表記し、バンドパスフィルタを「BPF」と表記することがある。第1のLPF20は、入力端子10とBPF40との間に配置され、第2のLPF30は、BPF40と出力端子12との間に配置される。第1のLPF20及び第2のLPF30は、第1のLPF20の一部と第2のLPF30の一部とが電磁結合するように配置される。このフィルタ回路1は、入力端子10より入力されたマルチバンド信号から通過帯域の信号を取り出し、出力端子12より後段の回路に出力する。フィルタ回路1は、例えば、UWB無線システム用の高周波モジュールに組み込んで用いられる。
【0012】
一態様において、フィルタ回路1は、入力端子10と出力端子10とを結ぶ線分の垂直二等分線(フィルタ回路1中心線)に対して線対称に構成される。例えば、第1のLPF20は第2のLPF30と、フィルタ回路1の中心線に対して線対称に構成され、BPF40を構成する各素子は、当該中心線に対して線対称となるように配置される。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路1をさらに詳細に示す回路図である。第1のLPF20は、入力端子10とBPF40との間に、キャパシタ21と分布定数線路22〜24とを並列接続して構成される。LPF30は、BPF40と出力端子12との間に、キャパシタ31と分布定数線路32〜34とを並列接続して構成される。分布定数線路23と分布定数線路33とは電磁結合されており、この電磁結合により、バンドパスフィルタ40の通過帯域の低周波側に減衰極が形成される。本発明の一態様において、分布定数線路23、33は、フィルタ回路1の偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しくなるように配置される。
【0014】
BPF40は、第1の共振器50と、第2の共振器60と、第3の共振器80とを備える。第1の共振器50の一端は、第1のLPF20に接続され、他端はキャパシタ42を介して第2の共振器60に接続されている。第3の共振器80の一端は、第2のLPF30に接続され、他端はキャパシタ46を介して共振器60に接続されている。第2の共振器60は、広帯域にわたる通過帯域を有し、通過帯域の両端に減衰極を形成する。第1の共振器50及び第3の共振器80はそれぞれ、第2の共振器60の通過帯域の高周波側に減衰極を形成する。
【0015】
第1の共振器50は、ショートスタブ52とオープンスタブ54とを含み、第3の共振器80は、ショートスタブ82とオープンスタブ84とを含む。共振器50とキャパシタ42の接続点と接地との間には、インピーダンス整合用のキャパシタ44が接続されている。また、共振器80とキャパシタ46の接続点と接地との間には、インピーダンス整合用のキャパシタ48が接続されている。第2の共振器60は、分布定数線路62、64と、この分布定数線路62、64と並列に接続されたキャパシタ66と、分布定数線路62と分布定数線路64との接続点と接地との間に接続された分布定数線路68とを含む。また、分布定数線路68と接地との間には波長短縮用のキャパシタ70が配置されている。
【0016】
このように、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1においては、第1のLPF20及び第2のLPF30により、BPF40の通過帯域の高周波側に減衰極を形成するとともに、この第1のLPF20の一部(分布定数線路23)と第2のLPF30の一部(分布定数線路33)との電磁結合によりBPF40の通過帯域の低周波側にも減衰極を付加することができる。本発明の一態様においては、分布定数線路23と分布定数線路33を含むフィルタ回路1は、偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しいときに、BPF40の通過帯域の低周波側に減衰極が現れる。このように、本発明の一実施形態においては、飛び越し結合を発生させるための素子を追加することなく、高周波側を減衰するための第1のLPF20と第2のLPF30の一部同士を結合することにより、低周波側へ減衰極を付加することができるので、小型のフィルタ回路により低周波側へ減衰極を付加することができる。換言すれば、分布定数線路23及び分布定数線路33をLPFの素子及び電磁結合用の素子として併用しているので、電磁結合用の素子を新たに設ける必要がない。非特許文献1のフィルタ回路は、入力端子と出力端子のそれぞれに接続された1/4波長の分布定数線路同士を電磁結合させる低周波側に減衰極を形成しているが、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1は、非特許文献1のフィルタ回路と比べて、1/4波長の分布定数線路一組に相当する大きさの分だけ小型化可能である。
【0017】
図2に示す高周波フィルタ回路1をストリップラインで構成し、周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、入力端子10及び出力端子12のインピーダンスをいずれも50Ωとし、分布定数線路22、24、32、34、ショートスタブ52、82、分布定数線路68、及びオープンスタブ54、84の特性インピーダンスをいずれも46.3Ω、分布定数線路62、64の特性インピーダンスを38.6Ω、分布定数線路23、33の奇モードの特性インピーダンスを45.9Ω、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを45.7Ωとした。また、基準周波数を4.0GHzとし、分布定数線路22、32の電気長をいずれも5度、分布定数線路24、34の電気長をいずれも18度、分布定数線路23、33の電気長をいずれも10度、分布定数線路68の電気長を50.9度、ショートスタブ52、82の電気長をいずれも26.9度、オープンスタブ54の電気長を43.9度、オープンスタブ84の電気長を38.4度、分布定数線路62、64の電気長をいずれも15.7度とした。また、キャパシタ21の容量値を0.25pF、キャパシタ31の容量値を0.27pF、キャパシタ42、46の容量値をいずれも0.75pF、キャパシタ44、48の容量値をいずれも0.5pF、キャパシタ66の容量値を1.0pF、キャパシタ70の容量値を2.7pFとした。また、誘電率は7.1、誘電正接は0.005とした。
【0018】
このシミュレーションの結果を図3に示す。図3は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1の通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図4は、BPF40と第1のLPF20及び第2のLPF30を互いに電磁結合しないように配置した場合における通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。図3に示すとおり、通過帯域の両端に減衰極f1、f2が形成され、通過帯域の高周波側には減衰極f3、f4が形成されるとともに、通過帯域の低周波側に減衰極f5が形成されることが確認できた。減衰極f1、f2は第2の共振器60によって形成され、減衰極f3、f4は、第1の共振器50及び第3の共振器80によって形成されたものであり、減衰極f5は、分布定数線路23と分布定数線路33との電磁結合により形成されたものである。減衰極f1、f2、f3、f4に相当する減衰極は図4のグラフにおいても確認することができる。一方、図4のシミュレーション結果においては、通過帯域の低周波側に減衰極が形成されていない。このように、第1のLPF20の一部と第2のLPF30の一部とを電磁結合させることにより、BPF40の通過帯域の低周波側に減衰極f5を付加できることが確認された。
【0019】
この低周波側に付加される減衰極の位置は、分布定数線路23と分布定数線路33との間の結合度によって変化することを確認した。分布定数線路23と分布定数線路33との結合度は、分布定数線路23と分布定数線路33との間にグラウンド電極に接続されたビア電極を配置し、分布定数線路23、33の奇モードの特性インピーダンスを変化させることにより調整可能である。このビア電極の配置については後述する。図5は、高周波フィルタ回路1の通過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図5のグラフは、偶モードの特性インピーダンスZseが45.9Ωである分布定数線路23、33において、奇モードの特性インピーダンスZsoをそれぞれ45.7Ω、44.7Ω、43.7Ωとした場合におけるフィルタ回路1の通過特性をそれぞれ示す。図示のとおり、奇モードの特性インピーダンスZsoの値によって(つまり、ビア電極の配置によって)、通過帯域の低周波側に現れる減衰極の位置が変化することが確認できた。
【0020】
続いて、図6を参照し、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1を実現するフィルタ素子100の構造を説明する。本発明の本発明の一実施形態に係るフィルタ素子100は、例えば、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics、以下「LTCC」と称することがある)基板の内層に複数の絶縁体層を積層し、その絶縁体層の層間に導体パターンを形成して構成される。図6は、本発明の一実施形態に係るフィルタ素子100の構造を示す平面図である。図示のとおり、フィルタ素子100は、絶縁体層L1、L2、L3を積層して構成される。絶縁体層L1、L2、L3には、高周波フィルタ回路1を構成する導体パターンが形成される。図示を省略しているが、絶縁体層L3の下面にはグラウンド電極GND1が形成される。また、絶縁体層L1の上面には、上部カバーとして機能する不図示の絶縁体層L0が設けられ、この絶縁体層の上面にもグラウンド電極GND2が形成される。絶縁体層L3は下部カバーとして機能する。絶縁体層L1〜L3の各導体パターン及びグラウンド電極は、各絶縁体層を貫通し積層方向に伸びるビア電極により互いに接続される。
【0021】
絶縁体層L3の入力端側には、入力端子10に接続される引出導体102と、この引出導体102に近接して配置されたキャパシタ電極106とを含む導体パターン形成される。キャパシタ電極106は、ビア電極VH10を介して絶縁体層L3の下面に形成されたグラウンド電極GND1に接続されている。一方、絶縁体層L3の出力端側には、出力端子12に接続される引出導体104と、この引出導体104に近接して配置されたキャパシタ電極108とを含む導体パターンが形成される。キャパシタ電極108は、ビア電極VH11を介してグラウンド電極GND1に接続されている。この入力側と出力側の導体パターンとの間には、キャパシタ電極110が形成される。また、絶縁体層L3の右端には、キャパシタ電極112が形成されている。キャパシタ電極112は、ビア電極VH12を介してグラウンド電極GND1に接続されている。
【0022】
絶縁体層L2の入力端側には、ビア電極VH1を介して引出電極102と接続されたストリップ線路112と、ストリップ線路112の他端と接続されたキャパシタ電極116と、キャパシタ電極116から右端側へそれぞれ延伸するストリップ線路120、124とが形成される。ストリップ線路120の右端はビア電極VH4を介してグラウンド電極GND1に接続される。絶縁体層L2の出力端側には、ビア電極VH2を介して引出電極104と接続されたストリップ線路114と、ストリップ線路114の他端と接続されたキャパシタ電極118と、キャパシタ電極118から右端側へそれぞれ延伸するストリップ線路122、126とが形成される。ストリップ線路122の右端はビア電極VH5を介してグラウンド電極GND1に接続される。ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺とは、互いに対向する位置に配置され、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との間には、ビアホールVH3が形成される。ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との間隔は、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との結合度が所望の値となるように適宜調整される。また、ストリップ線路112の上辺とストリップ線路114の下辺との結合度は、ビアホールVH3の位置によっても調整することができる。キャパシタ電極116とキャパシタ電極118との間には、キャパシタ電極128が配置される。また、キャパシタ電極128の右方には一組のストリップ線路130、132から成るコの字型のストリップ線路が形成されている。ストリップ線路130の左端は、キャパシタ電極128の右下端と接続されており、ストリップ線路132の左端はビア電極VH9を介して絶縁体層L3のキャパシタ電極110と接続されている。このビア電極VH9は、絶縁体層L1の方向にも延伸しており、絶縁体層L1において、後述するキャパシタ電極140とキャパシタ電極144との接続点に接続されている。ストリップ線路130とストリップ線路132との接続点から右方にストリップ線路134が延伸している。ストリップ線路134の右端には、キャパシタ電極136が接続されている。
【0023】
絶縁体層L1の入力端側には、ビア電極VH8を介してストリップ線路130の左端と接続されたキャパシタ電極138が形成されている。また、絶縁体層L1の出力端側には、キャパシタ電極140が形成されている。キャパシタ電極138とキャパシタ電極140との間には、キャパシタ電極144が配置されている。キャパシタ電極144は、キャパシタ電極140と電気的に接続されている。キャパシタ電極140とキャパシタ電極144との接続点は、ビア電極VH9を介して、絶縁体層L2のストリップ線路132の左端に接続されている。絶縁体層L1の右端にはキャパシタ電極142が形成されている。
【0024】
絶縁体層L0の上面にグラウンド電極GND2と、絶縁体層L3の下面に形成されたグラウンド電極GND1とは、ビア電極VH3、VH6、VH7を介して電気的に接続されている。また、グラウンド電極GND2と絶縁体層L1のキャパシタ電極142とは不図示のビア電極を介して互いに接続されている。
【0025】
以上のように構成されるフィルタ素子100の各素子と、図2のフィルタ回路1の各構成要素との対応関係を説明する。まず、第1のLPF20の分布定数線路22〜24は、引出電極102及びストリップ線路112によって構成され、キャパシタ21は、引出電極102の幅広に形成されている部分とキャパシタ電極116の左端近辺の部位とにより構成される。また、第2のLPF30の分布定数線路32〜34は、引出電極104及びストリップ線路114によって構成され、キャパシタ31は、引出電極104の幅広に形成されている部分とキャパシタ電極118の左端近辺の部位とにより構成される。
【0026】
第1の共振器50のショートスタブ52はストリップ線路120に対応し、オープンスタブ54はストリップ線路124に対応する。第3の共振器80のショートスタブ82はストリップ線路122に対応し、オープンスタブ84はストリップ線路126に対応する。キャパシタ42は、キャパシタ電極116の一部とキャパシタ電極138とにより構成され、キャパシタ46は、キャパシタ電極118の一部とキャパシタ電極140とにより構成される。キャパシタ44は、キャパシタ電極106とキャパシタ電極116の一部とにより構成され、キャパシタ48は、キャパシタ電極108とキャパシタ電極118の一部とにより構成される。第2の共振器60の分布定数線路62はストリップ線路130に対応し、分布定数線路64はストリップ線路132に対応し、分布定数線路68はストリップ線路134に対応する。キャパシタ66は、キャパシタ電極110、128、144により構成される。キャパシタ70は、キャパシタ電極112、136、142により構成される。
【0027】
上記のように構成されるフィルタ素子100の周波数特性の電磁界シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、フィルタ素子100の寸法を6.2x2.7x0.366mmとし、Ansys Inc.の電磁界シミュレータHFSSを用いて、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性をシミュレートした。図7は、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性のシミュレーション結果を示す。図示のとおり、フィルタ素子100は広い通過帯域を有し、通過帯域の高周波側を広帯域にわたって抑制できることが確認された。また、通過帯域の低周波側(約0.3GHzの位置)に減衰極が現れることが確認された。
【0028】
また、フィルタ素子100の周波数特性を調べる実験を行った。8.0x5.0x0.63mmの形状のLTCC基板に6.2x2.7x0.366mmのフィルタ素子100を内蔵し、Agilent Technologies Inc.社製のネットワークアナライザN5230A PNA-Lを用いて、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性を測定した。図8は、フィルタ素子100の通過特性及び反射特性の測定結果を示す。図示のとおり、少なくとも16GHzまでは、通過信号の高調波成分を20dB未満に抑制できることが確認された。また、通過帯域の低周波側に減衰極が現れることが確認された。
【0029】
図9は、本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aを示す回路図である。高周波フィルタ回路1Aは、高周波フィルタ回路1のバンドパスフィルタ40に代えて、1段のチェビシェフフィルタから成るバンドパスフィルタ150を第1のLPF20と第2のLPF30との間に配置したものである。このLPF20は、図2に示すLPF20から分布定数線路22、24を除去して構成され、LPF30は、図2に示すLPF30から分布定数線路32、34を除去して構成される。つまり、LPF20は分布定数線路23及びキャパシタ21から成り、LPF30は分布定数線路33及びキャパシタ31から成る。高周波フィルタ回路1Aは、バンドパスフィルタ40に代えてバンドパスフィルタ150を備える点以外は、高周波フィルタ回路1と同様の構成を有する。バンドパスフィルタ150は、キャパシタ152と、キャパシタ154と、キャパシタ152とキャパシタ154との接続点と接地との間に並列に配置されたキャパシタ156及びインダクタ158とを含んで構成される。
【0030】
図9に示す高周波フィルタ回路1Aの周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、通過信号の中心周波数を2.45GHzとし、キャパシタ152、154の容量値をそれぞれ約0.91pF、キャパシタ156の容量値を約1.96pFとし、インダクタ158のインダクタンス値を約1.33nHとした。また、第1のLPF20のキャパシタ21及び第2のLPF30のキャパシタ31の容量値をそれぞれ0.9pFとし、分布定数線路23、33の電気長をいずれも50度とし、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを40Ω、奇モードの特性インピーダンスを36Ωとした。このシミュレーション結果を図10に示す。図10は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aの通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図11に、1段のバンドパスフィルタ150単体の周波数特性を示す。図示のとおり、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Aにおいては、通過帯域の両端、通過帯域の高周波側、通過帯域の低周波側にそれぞれ減衰極が形成され、バンドパスフィルタ単体の場合と比較して、フィルタ特性が各段に向上することが確認された。
【0031】
図12は、本発明の他の実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bを示す回路図である。高周波フィルタ回路1Bは、高周波フィルタ回路1のバンドパスフィルタ40に代えて、バンドパスフィルタ160を第1のLPF20と第2のLPF30との間に配置したものである。このLPF20は、図2に示すLPF20から分布定数線路22、24を除去して構成され、LPF30は、図2に示すLPF30から分布定数線路32、34を除去して構成される。つまり、LPF20は分布定数線路23及びキャパシタ21から成り、LPF30は分布定数線路33及びキャパシタ31から成る。高周波フィルタ回路1Bは、バンドパスフィルタ40に代えてバンドパスフィルタ160を備える点以外は、高周波フィルタ回路1と同様の構成を有する。バンドパスフィルタ160は、第1のSAW共振子162と第2のSAW共振子164とを直列に接続し、第1のSAW共振子162と第2のSAW共振子164との接続点と接地との間にインダクタ166及びキャパシタ168をそれぞれ配置して構成される。
【0032】
図12に示す高周波フィルタ回路1Bの周波数特性のシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいては、通過信号の通過帯域を1.5GHz付近とし、インダクタ166のインダクタンス値を約2.3nHとし、キャパシタ168の容量値を約3.0pFとした。また、第1のLPF20のキャパシタ21及び第2のLPF30のキャパシタ31の容量値をそれぞれ1.0pFとし、分布定数線路23、33の電気長をいずれも25度とし、分布定数線路23、33の偶モードの特性インピーダンスを50Ω、奇モードの特性インピーダンスを40Ωとした。このシミュレーション結果を図13に示す。図13は、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bの通過特性(S21)及び反射特性(S11)のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図14に、バンドパスフィルタ160単体の周波数特性のシミュレーション結果を示す。図示のとおり、本発明の一実施形態に係る高周波フィルタ回路1Bにおいては、通過帯域の両端、通過帯域の高周波側、通過帯域の低周波側にそれぞれ減衰極が形成され、バンドパスフィルタ160単体の場合と比較して、フィルタ特性が各段に向上することが確認された。
【0033】
本発明の実施形態は、本明細書において明示的に述べた態様に限られるものではなく、明細書中の各実施形態には様々な変更を行うことができる。例えば、第1のLPF20及び第2のLPF30は、少なくとも第1のLPF20及び第2のLPF30の一部同士が電磁結合して通過帯域の低周波側に減衰極を形成できるものである限り、任意の構成をとることができる。また、本発明の高周波フィルタ回路には、本明細書中で明示したもの以外にも、様々なバンドパスフィルタを用いることができる。本明細書中で説明した特性インピーダンス、電気長、容量値、インダクタンス値、通過信号の中心周波数等はあくまで例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の高周波フィルタ回路は、LTCC以外の多層基板に実装することも可能である。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態に対して様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1、1A、1B 高周波フィルタ回路
20 第1のローパスフィルタ
30 第2のローパスフィルタ
40、150、160 バンドパスフィルタ
23、33 分布定数線路
100 フィルタ素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと入力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと出力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタと、
を備え、
前記第1ローパスフィルタに含まれる第1フィルタ素子と前記第2ローパスフィルタに含まれる第2フィルタ素子とが、前記通過帯域の低周波側に第3の減衰極を形成するように電磁結合されたフィルタ回路。
【請求項2】
偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しい請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタがSAW共振子を含む請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記第1フィルタ素子と前記第2フィルタ素子との結合度に応じて前記第3の減衰極の位置が変化する請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタ、並びに、第1及び第2ローパスフィルタが、複数の絶縁体層からなる多層基板の内部に形成され、前記多層基板内の前記第1フィルタ素子と前記第2フィルタ素子との間に、前記絶縁体層の積層方向に延伸するビアホールが形成された請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記多層基板の積層方向の両端面にグラウンド電極が設けられ、前記ビアホールが前記グラウンド電極の少なくとも一方に電気的に接続される請求項5に記載のフィルタ回路。
【請求項1】
所定の通過帯域を有するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと入力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第1の減衰極を形成する第1ローパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと出力端子との間に接続され、前記通過帯域の高周波側に第2の減衰極を形成する第2ローパスフィルタと、
を備え、
前記第1ローパスフィルタに含まれる第1フィルタ素子と前記第2ローパスフィルタに含まれる第2フィルタ素子とが、前記通過帯域の低周波側に第3の減衰極を形成するように電磁結合されたフィルタ回路。
【請求項2】
偶モードアドミタンスと奇モードアドミタンスとが等しい請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタがSAW共振子を含む請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記第1フィルタ素子と前記第2フィルタ素子との結合度に応じて前記第3の減衰極の位置が変化する請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタ、並びに、第1及び第2ローパスフィルタが、複数の絶縁体層からなる多層基板の内部に形成され、前記多層基板内の前記第1フィルタ素子と前記第2フィルタ素子との間に、前記絶縁体層の積層方向に延伸するビアホールが形成された請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記多層基板の積層方向の両端面にグラウンド電極が設けられ、前記ビアホールが前記グラウンド電極の少なくとも一方に電気的に接続される請求項5に記載のフィルタ回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−5121(P2013−5121A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132726(P2011−132726)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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