説明

高周波リレーおよびそれを用いるテレビジョンチューナ

【課題】高周波リレーにおいて、アイソレーションを向上する。
【解決手段】単に固定接点15,16,17間に、それよりも長い接地端子51,52を設けるだけでなく、前記接地端子51,52を、各固定接点15,16,17の端子P1,P2,P3よりも幅広に形成する。したがって、固定接点15,16,17(端子P1,P2,P3)間の浮遊容量を一層減少させ、アイソレーションをさらに向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送の受信信号の切換えに用いられる高周波切換え装置などに内蔵される高周波リレーおよびそれを用いるテレビジョンチューナに関する。
【背景技術】
【0002】
前記テレビジョンチューナでは、前記高周波リレーを内蔵する高周波切換え装置が搭載される製品がある。たとえば、北米向けの製品では、地上波のテレビジョン信号とケーブルテレビの信号との切換を行うようになっている。その場合、接点端子間のアイソレーションが規格によって定められており、たとえば216MHzの信号で80dB、864MHzの信号で55dBのアイソレーションが必要となっている。
【0003】
そこで、特許文献1による従来技術では、図9で示すように、接点端子T1〜T3間の接地端子E1〜E4を、接点端子T1〜T3より長く形成することで、各接点端子T1〜T3の先端を介する浮遊容量を減少させ、高周波信号の漏れを低減している。
【特許文献1】特開平7−240138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、衛星放送の中間周波信号などのように、2GHzを超える信号を扱う構成もあり、さらに部品の小型化の要求によって端子ピッチが狭くなっており、上述の従来技術の対応だけでは、充分なアイソレーションを確保するのが困難になってきている。
【0005】
本発明の目的は、アイソレーションをさらに向上することができる高周波リレーおよびそれを用いるテレビジョンチューナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高周波リレーは、接点端子間に、その接点端子以上の長さに形成される接地端子を有して成る高周波リレーにおいて、前記接地端子は前記接点端子よりも幅広に形成されることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、接点端子間に、その接点端子以上の長さに形成される接地端子を設けることで、接点端子の先端を介する浮遊容量を減少させ、高周波信号の漏れを低減するようにした高周波リレーにおいて、さらに前記接地端子を前記接点端子よりも幅広に形成する。
【0008】
したがって、前記接点端子間の浮遊容量を一層減少させ、アイソレーションをさらに向上することができる。
【0009】
また、本発明の高周波リレーでは、前記接地端子は、2股に分割形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、上述のように接地端子を幅広に形成しても、従来と同様に、スポンジ状の静電マットに刺し込んで取り扱うことができる。
【0011】
さらにまた、本発明のテレビジョンチューナは、前記の高周波リレーを用いることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、高周波信号を扱うテレビジョンチューナにおいて、上述のようなアイソレーションをさらに向上することができる本件高周波リレーを用いることは、高周波化や小型化に好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高周波リレーは、以上のように、接点端子間に、その接点端子以上の長さに形成される接地端子を設けることで、接点端子の先端を介する浮遊容量を減少させ、高周波信号の漏れを低減するようにした高周波リレーにおいて、さらに前記接地端子を前記接点端子よりも幅広に形成する。
【0014】
それゆえ、前記接点端子間の浮遊容量を一層減少させ、アイソレーションをさらに向上することができる。
【0015】
さらにまた、本発明のテレビジョンチューナは、以上のように、前記の高周波リレーを用いる。
【0016】
それゆえ、高周波信号を扱うテレビジョンチューナにおいて、上述のようなアイソレーションをさらに向上することができる本件高周波リレーを用いることは、高周波化や小型化に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の第1の形態に係る高周波リレー3の構造を示す分解斜視図である。この高周波リレー3は、大略的に、接点機構11に、その接点機構11を駆動する駆動機構21が並列に配置されて構成されている。
【0018】
前記接点機構11は、シールドボックス12内に可動接点13,14が設けられ、その可動接点13,14が前記駆動機構21によって参照符号X方向に変位駆動されることで、固定接点15,16;16,17と接触/離反し、高周波信号の切換えを行う。したがって、前記可動接点13,14が中心導体、シールドボックス12が外部導体とした同軸線路を構成する。前記可動接点13,14は、前記駆動機構21によって変位駆動される駆動部材18,19にそれぞれ保持されている。前記各固定接点15,16,17は、図2で拡大して示すシールドボックス12内で電気的に絶縁されて立設され、前記可動接点13,14とは反対側が、ベース20の裏面から突出して、端子P1,P2,P3となる。
【0019】
図3に、前記接点機構11を模式的に示す。中間の固定接点16(端子P2)は、前記可動接点13,14の何れとも接触できる共通接点となる。一方、両端の固定接点15,17(端子P1,P3)は、それぞれ前記可動接点13,14とだけ接触できる個別接点となる。図3の例では、固定接点15は駆動機構21の非駆動時に可動接点13が接触して固定接点16に接続されるノーマリーオンの接点となり、固定接点17は駆動機構21の非駆動時に可動接点14が離反して固定接点16から遮断されるノーマリーオフの接点となっている。
【0020】
前記シールドボックス12には、図2で示すように、その長手方向の両端および中央位置で、固定接点15,16,17から離反している際の可動接点13,14をグランドに接続し、アイソレーションを確保するための固定接点12a,12b,12cが設けられているとともに、前記各固定接点15,16,17の端子P1,P2,P3間に、接地端子51,52が設けられている。また、シールドボックス12には、上述のように可動接点13,14を収納する関係上、前記駆動部材18,19との干渉を避けるために、切り欠き12eが形成されている。
【0021】
前記駆動機構21は、電磁石22と変位部材23とを備えて構成される。電磁石22は、コイル24の巻回されたボビン25内に鉄心26が挿通されるとともに、その鉄心26の一方の端部と他方の端部との間に、継鉄27によって磁路が形成されて構成されている。前記コイル24の各端部は、外部から励磁電流が与えられる端子28,29にそれぞれ接続されている。
【0022】
一方、前記変位部材23は、前記駆動部材18,19を介して可動接点13,14を支持するカード31と、前記カード31の一端に設けられる磁石32と、その磁石32の両端にそれぞれ接触し、前記鉄心26を挟み込む一対の接極子33,34と、前記カード31の他端から延びる一対の平衡ばね35,36と、その平衡ばね35,36の他端を前記ベース20に取付ける平衡ばね保持板37とを備えて構成される。したがって、前記電磁石22が消磁/励磁することで、カード31は、図4(a)および図4(b)で示すように、平衡ばね35,36部分が変形して前記X方向に変位し、前記可動接点13,14を変位駆動することができる。
【0023】
前記ベース20内に、前記固定接点15,16,17、シールドボックス12および電磁石22を収納し、電磁石22上に変位部材23を搭載した後、樹脂筐体38が被せられる。
【0024】
上述のように構成される高周波リレー3において、注目すべきは、本実施の形態では、図5で示すように、前記シールドボックス12の接地端子51,52は、各固定接点15,16,17の端子P1,P2,P3よりも幅広に形成されていることである。
【0025】
このように構成することで、図6において、参照符号γ1で示す単に固定接点15,16,17間にそれよりも長い接地端子51,52を設けた場合に比べて、前記接地端子51,52を各固定接点15,16,17の端子P1,P2,P3よりも幅広に形成した場合には、固定接点15,16,17間の浮遊容量を一層減少させ、参照符号γ2で示すように、アイソレーションをさらに向上することができる。
【0026】
図7は、上述のように構成される高周波リレー3を用いて構成される高周波切換え装置1の上蓋を外して示す斜視図である。この高周波切換え装置1は、金属筐体2内に前記高周波リレー3およびプリント基板4を備えるとともに、金属筐体2に高周波コネクタ5,6,7が取付けられて構成され、テレビジョンチューナに搭載されて、地上波のテレビジョン放送の信号と、ケーブルテレビの信号との切換えに用いられる。前記プリント基板4には、必要に応じて、アンプやインピーダンスマッチングのための素子などが設けられる。
【0027】
この図7の例では、高周波コネクタ5,6はF型コネクタであり、高周波コネクタ7はピン型コネクタであり、高周波コネクタ5,6の中心導体は前記高周波リレー3の固定接点15,17(端子P1,P3)にそれぞれ接続され、高周波コネクタ7の中心導体は前記高周波リレー3の固定接点16(端子P2)に接続される。したがって、前記高周波コネクタ5,6の何れか一方からの入力信号を前記高周波リレー3によって選択して高周波コネクタ7へ出力し、または高周波コネクタ7からの入力信号を前記高周波リレー3によって高周波コネクタ5,6の何れか一方へ出力することができる。
【0028】
このように構成されるアイソレーションを向上することができる高周波切換え装置1をテレビジョンチューナに用いることで、高周波化および小型化に好適である。
【0029】
なお、接地端子51,52の一方の幅が広く形成されるだけでも前記の効果を得ることができる。
【0030】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の第2の形態に係る高周波リレー3aにおける固定接点15,16,17および接地端子51a,52aの配列状態を示す図であり、前述の図5に対応している。この高周波リレー3aは、前述の高周波リレー3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この高周波リレー3aでは、接地端子51a,52aが、2股に分割形成されていることである。
【0031】
このように接地端子51a,52aを2股に分割形成することで、該接地端子51a,52aを前述のように幅広に形成しても、前記図9で示す従来の高周波リレーと同様に、スポンジ状の静電マットに刺し込んで取り扱うことができる。
【0032】
この接地端子51a,52aにおいても、一方の幅が広く形成されるだけでも前記の効果を得ることができ、また分割された部分の一方のみが固定接点15〜17の端子P1〜P3)よりも長く形成されるだけでも、前記の効果を得ることができる。
【0033】
なお、電子部品は、プリント基板4に装着され、半田付けされた後には、余剰となったその端子(基板裏面の半田層から突出した部分)は切除されることもあるが、前記高周波リレー3,3aの場合、固定接点15〜17の端子P1〜P3の余剰分については切除されることが望ましく、接地端子51,52;51a,52aについては、切除されない、或いは前記固定接点15〜17の端子P1〜P3より長くなるように切除される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係る高周波リレーの構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1で示す高周波リレーにおけるシールドボックスを拡大して示す斜視図である。
【図3】図1で示す高周波リレーにおける接点機構を模式的に示す図である。
【図4】図1で示す高周波リレーにおける変位部材の変位の様子を示す平面図である。
【図5】図1で示す高周波リレーにおける固定接点および接地端子の配列状態を示す図である。
【図6】本件発明者の実験結果によるアイソレーション特性を示すグラフである。
【図7】図1で示す高周波リレーを搭載する高周波切換え装置の上蓋を外して示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の第2の形態に係る高周波リレーにおける固定接点および接地端子の配列状態を示す図である。
【図9】従来技術のリレーの構造を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 高周波切換え装置
2 金属筐体
3,3a 高周波リレー
4 プリント基板
5,6,7 高周波コネクタ
11 接点機構
12 シールドボックス
12a,12b,12c 固定接点
12e 切り欠き
13,14 可動接点
15,16,17 固定接点
18,19 駆動部材
20 ベース
21 駆動機構
22 電磁石
23 変位部材
24 コイル
25 ボビン
26 鉄心
27 継鉄
31 カード
32 磁石
33,34 接極子
35,36 平衡ばね
51,52;51a,52a 接地端子
P1,P2,P3 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点端子間に、その接点端子以上の長さに形成される接地端子を有して成る高周波リレーにおいて、
前記接地端子は前記接点端子よりも幅広に形成されることを特徴とする高周波リレー。
【請求項2】
前記接地端子は、2股に分割形成されていることを特徴とする請求項1記載の高周波リレー。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の高周波リレーを用いることを特徴とするテレビジョンチューナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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