高周波回路コンポーネント
【課題】高周波回路素子と基板との間の寄生容量を低減し、しかも、機械的な強度を高める。
【解決手段】導電性を有する基板1と、高周波回路素子としてのコイル2と、誘電体からなる薄膜で構成されコイル2を搭載した搭載板3と、基板1と搭載板3との間を機械的に接続して搭載板3を基板1から浮いた状態に支持する支持板4と、を備える。
【解決手段】導電性を有する基板1と、高周波回路素子としてのコイル2と、誘電体からなる薄膜で構成されコイル2を搭載した搭載板3と、基板1と搭載板3との間を機械的に接続して搭載板3を基板1から浮いた状態に支持する支持板4と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数(RF)などの高周波の回路に用いられる高周波回路コンポーネントに関するものである。なお、本願の特許請求の範囲及び明細書において、高周波回路コンポーネントは、高周波回路の一部の構成要素でもよいし、高周波回路の全体であってもよい。
【背景技術】
【0002】
携帯電話で代表される携帯機器などの無線通信技術では、日増しに通信速度が高速化し、用いられる周波数も数百MHzからGHzと高速化するとともに、海外ローミングサービスなどの場合は一つの機器で複数の周波数を切り替えて用いられている。
【0003】
従来、このような機器の高周波回路で用いられるコイル(インダクタ)を有する物品として、シリコン基板等の基板、導電性ループ及び2個の導電性サポートからなる物品(下記特許文献1の図1)や、シリコン基板等の基板、導電性スパイラル、2個の導電性サポート及び2個の導電性ヒンジ付きプレートからなる物品(下記特許文献1の図5)が、提案されている。前記導電性ループや前記導電性スパイラルが、コイル(インダクタ)を構成している。
【0004】
特許文献1の図1に開示された物品では、導電性ループの一端と基板との間が一方の導電性サポートで機械的に接続されるとともに、導電性ループの他端と基板との間が他方の導電性サポートで機械的に接続されている。これにより、導電性ループは、2個の導電性サポートによって、基板から浮いた状態に支持されている。この物品では、導電性ループに対する機械的な接続は、前記導電性ループの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって、行われている。
【0005】
また、特許文献1の図5に開示された物品では、基板にヒンジ結合された一方の導電性ヒンジ付きプレートと導電性スパイラルの一端との間が一方の導電性サポートで機械的に接続されるとともに、基板にヒンジ結合された他方の導電性ヒンジ付きプレートと導電性スパイラルの他端との間が他方の導電性サポートで機械的に接続されている。これにより、前記導電性スパイラルは、2個の導電性サポート及び2個の導電性ヒンジ付きプレートによって、基板から浮いた状態に支持されている。この物品では、導電性スパイラルに対する機械的な接続は、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって、行われている。
【0006】
このような従来の物品では、コイル(導電性ループ、導電性スパイラル)が基板から浮いた状態に支持されているので、基板としてシリコン基板などの導電性基板を用いた場合であっても、コイルと基板との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0007】
また、下記特許文献2には、薄膜で構成されたミラー板を基板に対して垂直などの非平行に支持する種々の構造が開示されている。
【特許文献1】特開2000−150251号公報
【特許文献2】国際公開第03/060592号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の物品では、コイルに対する機械的な接続が、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって行われているので、コイルの機械的な強度が低かった。したがって、例えば、製造後の検査時に発生する空気の流れなどによって、コイルが破損してしまうおそれがあった。
【0009】
また、高周波回路を構成する素子(高周波回路素子)としては、コイル以外にも、コンデンサ、抵抗、信号経路の切り替え等を行うスイッチ、特定の周波数成分だけを取り出すためのメカニカルフィルタなどがあるが、従来は、これらに関する寄生容量については、全く看過されており、コイルのように基板から浮いた状態に支持するような発想は全く存在しなかった。したがって、コイル以外の他の高周波回路素子については、当該素子と基板との間の寄生容量が大きく、その寄生容量によって電気損失が生じていた。
【0010】
さらに、特許文献1に開示された従来の物品では、コイルに対する機械的な接続が、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって行われているので、高周波回路において2つ以上のコイルを用いる場合には、各コイルをそれぞれ別々の2組の導電性サポートで支持してそれぞれ独立して基板から浮かすことになる。その場合において、2つ以上のコイル間を電気的に接続するには、両者の間の接続経路の一部は、基板上に形成された配線パターンとせざるを得ない。したがって、その配線パターンと基板との間に比較的大きな浮遊容量が生じてしまう。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高周波回路素子と基板との間の寄生容量を低減することができ、しかも機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、コイル以外の高周波回路素子について基板との間の寄生容量を低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、高周波回路素子と基板との間の寄生容量のみならず複数の高周波回路素子間の接続経路と基板との間の寄生容量も低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による高周波回路コンポーネントは、基板と、1つ以上の高周波回路素子と、誘電体からなる薄膜で構成され前記1つ以上の高周波回路素子を搭載した搭載板と、前記基板と前記搭載板との間を機械的に接続して前記搭載板を前記基板から浮いた状態に支持する支持部と、を備えたものである。
【0015】
本発明の第2の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1の態様において、前記基板が導電性を有するものである。
【0016】
本発明の第3の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1又は第2の態様において、前記1つ以上の高周波回路素子及び前記支持部が薄膜で構成されたものである。
【0017】
本発明の第4の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記搭載板の周縁部の全体又は一部に沿って段差が形成されたことものである。
【0018】
本発明の第5の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子の数が2つ以上であり、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも2つの高周波回路素子の間が、前記搭載板上において電気的に接続されたものである。
【0019】
本発明の第6の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、コイルであるものである。
【0020】
本発明の第7の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、固定又は可変のコンデンサであるものである。ここで、固定とは当該コンデンサの容量値が固定である意味であり、可変とは当該コンデンサの容量値が可変である意味である。
【0021】
本発明の第8の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、メカニカルスイッチであるものである。
【0022】
前記第6乃至第8の態様は、高周波回路素子の例を挙げたものであるが、本発明ではこれらの例に限定されるものではない。本発明では、高周波回路素子は、例えば、抵抗やメカニカルフィルタなどでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板との間の寄生容量を低減することができ、しかも機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、コイル以外の高周波回路素子について基板との間の寄生容量を低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、高周波回路素子と基板との間の寄生容量のみならず複数の高周波回路素子間の接続経路と基板との間の寄生容量も低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明による高周波回路コンポーネントについて、図面を参照して説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図2は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。図3は、図2中のA−A’線に沿った概略断面図である。図4は、図2中のB−B’線に沿った概略断面図である。図5は、図2中のC−C’線に沿った概略断面図である。ただし、図2乃至図5は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層21〜23を除去する前の状態を示している。なお、図2では、犠牲層21〜23の図示は省略している。
【0029】
説明の便宜上、図1乃至図5に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する(後述する図についても同様である。)。基板1の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。なお、以下に説明する材料等は例示であり、これに限定されるものではない。
【0030】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板(例えば、GaAs基板等でもよい。)1と、高周波回路素子としてのコイル(インダクタ)2と、誘電体からなる薄膜で構成されコイル2を搭載した搭載板3と、基板1と搭載板3との間を機械的に接続して搭載板3を基板1から浮いた状態に支持する支持板4と、を備えている。
【0031】
本実施の形態では、搭載板3及び支持板4は、それぞれ長方形状とされている。搭載板3の−Y側の端部と支持板4の+Y側の端部とが一体的に機械的に接続されている。支持板4の−Y側の端部には、2つの脚部5,6が設けられている。脚部5,6はいずれも基板1に固定されており、搭載板3及び支持板4は、脚部5,6を固定端として、図1に示すように、搭載板3側が持ち上がるようになっている。
【0032】
搭載板3は、誘電体からなる薄膜としての窒化珪素膜11で構成されている。搭載板3の周縁部の3辺(+X側の辺、−X側の辺、+Y側の辺)に沿って段差3aが形成されている。この段差3aが搭載板3の主面部を補強する補強部となり、窒化珪素膜11の内部応力による搭載板3の湾曲が抑制され、搭載板3の主面部の平面性が維持されている。
【0033】
本実施の形態では、コイル2は、搭載板3の上面に形成され渦巻き状にパターンニングされた薄膜のアルミニウム膜によって、構成されている。もっとも、コイル2は、必ずしも渦巻き状に形成する必要はなく、1ターンのみでもよい。
【0034】
支持板4は、搭載板3を構成する窒化珪素膜11がそのまま延びることによって構成されている。支持板4には、段差が形成されていない。したがって、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを完成させるべく犠牲層21〜23が除去されると、支持板4は、窒化珪素膜11の内部応力によって、図1に示すように上方に湾曲する。これにより、図1に示すように、支持板4が脚部5,6を固定端として搭載板3側が持ち上がり、搭載板3が支持板4によって基板1から浮いた状態に非平行に支持される。
【0035】
なお、図面には示していないが、窒化珪素膜11は、それぞれ窒化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。膜11として2層膜を用いる場合、上層と下層とで材料を変えてもよい。もっとも、膜11として単層膜を用いても、上方へ湾曲するような応力を持たせることは可能である。
【0036】
搭載板3及び支持板4上には、コイル2の両端にそれぞれ接続された配線7,8が形成されている。配線7は、アルミニウム膜で構成され、アルミニウム膜からなるアーチ状の立体配線9を介してコイル2の一端に接続されている。配線7は、コイル2を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。
【0037】
本実施の形態では、脚部5,6は、支持板4を構成する窒化珪素膜11及び配線7又は8を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。配線7,8を構成するアルミニウム膜は、それぞれ脚部5,6において、アルミニウム膜からなる配線14,15にそれぞれ接続されている。基板1上には、基板1側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜12,13が積層され、配線14,15は、絶縁膜12,13間に形成されている。配線14,15の先端部は、それぞれ信号接点14a及びグランド接点15aとなっている。これらの接点14a,15aは、絶縁膜12,13にそれぞれ形成された開口から外部に露出している。先の説明からわかるように、接点14a,15aは、コイル2の両端にそれぞれ電気的に接続されている。したがって、これらの接点14a,15aを利用して、コイル2を高周波回路の一部として用いることができる。なお、グランド接点15aを2つ設け、特許文献1に開示されているような公知のグランド−信号−グランド配置を採用してもよい。
【0038】
ここで、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造方法の一例について、簡単に説明する。
【0039】
まず、シリコン基板上1に、酸化珪素膜等の絶縁膜12を成膜する。次いで、アルミニウム膜を成膜し、フォトリソエッチング法により、そのアルミニウム膜を、配線14,15及び接点14a,15aの形状にパターニングする。
【0040】
次に、絶縁膜13を成膜した後、フォトリソエッチング法により、絶縁膜13における脚部5,6を形成すべき位置に開口を形成する。このとき、絶縁膜13には、接点14a,15aを露出させる開口も形成する。次いで、フォトレジスト等の犠牲層21,22を順次形成する。このとき、犠牲層21,22には、脚部5,6を形成すべき位置に開口を形成しておく。また、犠牲層22は、搭載板3及び支持板4の形状に合わせて島状に形成しておく。
【0041】
その後、窒化珪素膜11の下層及び上層を順次成膜する。このとき、その成膜条件等は、犠牲層21〜23を除去した後に支持板4が上方へ湾曲するように設定する。引き続いて、フォトリソエッチング法により、窒化珪素膜11を搭載板3及び支持板4の形状にパターニングする。このとき、窒化珪素膜11には、脚部5,6においてコンタクトホールを形成しておく。
【0042】
次いで、アルミニウム膜を成膜し、そのアルミニウム膜を、フォトリソエッチング法により、コイル2及び配線7,8の形状にパターニングする。引き続いて、立体配線9に相当する箇所に、フォトレジスト等の犠牲層23を島状に形成する。その後、アルミニウム膜を成膜し、そのアルミニウム膜を、フォトリソエッチング法により、立体配線9の形状にパターニングする。この状態が、図2乃至図5に示す状態である。
【0043】
最後に、アッシング等により、犠牲層21〜23を除去する。これにより、図1に示すように支持板4が上方へ湾曲して搭載板3が持ち上がり、本実施の形態による高周波回路コンポーネントが完成する。
【0044】
本実施の形態によれば、図1に示すように、コイル2が基板1から浮いた状態に支持されているので、コイル2と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0045】
そして、本実施の形態によれば、前述した特許文献1に開示された物品と異なり、自立したコイル2に対する機械的な接続がコイル2の両端のみで行われるわけではなく、搭載板3が用いられ、コイル2が搭載板3に搭載され搭載板3によって保持されているので、コイル2の機械的な強度が格段に高まる。したがって、本実施の形態によれば、製造後の検査時に発生する空気の流れなどによって、コイル2が破損してしまうおそれを低減することができる。
【0046】
ここで、本実施の形態の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。本発明では、本実施の形態を、図6及び図7にそれぞれ示すように変形してもよい。図6は、本実施の形態の変形例による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図7は、本実施の形態の他の変形例による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図6及び図7は、図5に対応しており、製造途中において犠牲層21〜23を除去する前の状態を示している。図6及び図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0047】
これらの変形例では、本実施の形態に対して、搭載板3の補強構造を変更している。図6に示す例では、搭載板3の周縁部に沿って、凸部3bを形成することによって段差3aを形成している。図7に示す例では、搭載板3の周縁部に沿って、凹部3cを形成することによって段差3aを形成している。
【0048】
なお、このような変形は、後述する各実施の形態についても同様に適用することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
【0050】
図8は、本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図であり、図1に対応している。図9は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図9は、図4に対応しており、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層21,22を除去する前の状態を示している。
【0051】
図8及び図9において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0052】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、高周波回路素子として、コイル2に代えて、固定のコンデンサ31が搭載板3に搭載されている点のみである。
【0053】
コンデンサ31は、搭載板3上に形成された第1の電極32と、第1の電極32上に形成された窒化珪素膜又は酸化珪素膜等の誘電体層33と、誘電体層33上に形成され誘電体層33を介して第1の電極32と対向する第2の電極34と、から構成されている。本実施の形態では、第1の電極32は、配線8を構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。第2の電極34は、配線7を構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。
【0054】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントも、前記第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントと同様の製造方法により製造することができる。
【0055】
本実施の形態によれば、図8に示すように、コンデンサ31が基板1から浮いた状態に支持されているので、コンデンサ31と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。特に、コンデンサ31では、第1及び第2の電極32,34の面積が比較的大きくなるので、本実施の形態による寄生容量低減効果は大きい。なお、コンデンサ31を基板1から浮かせる点については、従来は全く看過されていたものである。
【0056】
また、本実施の形態によれば、搭載板3が用いられ、コンデンサ31が搭載板3に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0057】
[第3の実施の形態]
【0058】
図10は、本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図11は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。図12は、図11中のD−D’線に沿った概略断面図である。図13は、図11中のE−E’線に沿った概略断面図である。図14は、図11中のF−F’線に沿った概略断面図である。ただし、図11乃至図14は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層71〜73を除去する前の状態を示している。なお、理解を容易にするため、図10及び図11において、一部の要素にはハッチングを付している。また、図11では、犠牲層71〜73の図示は省略している。
【0059】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板(例えば、GaAs基板等でもよい。)41と、高周波回路素子としてのメカニカルスイッチ42と、誘電体からなる薄膜で構成されメカニカルスイッチ42を搭載した搭載板43と、基板41と搭載板43との間を機械的に接続して搭載板43を基板41から浮いた状態に支持する2本の帯板状の支持板44,45と、を備えている。
【0060】
本実施の形態では、搭載板43は、長方形状に対して両側(+X側及び−X側)に突出した突出部43a,43bを有するような形状とされている。搭載板43の+X側の突出部43aと支持板44の+Y側の端部とが、一体的に機械的に接続されている。搭載板43の−X側の突出部43bと支持板45の+Y側の端部とが、一体的に機械的に接続されている。支持板44の−Y側の端部には、2つの脚部46,47が設けられている。支持板45の−Y側の端部には、2つの脚部48,49が設けられている。脚部46〜49はいずれも基板41に固定されており、搭載板43及び支持板44,45は、脚部46〜49を固定端として、図10に示すように、搭載板43側が持ち上がるようになっている。
【0061】
搭載板43は、誘電体からなる薄膜としての窒化珪素膜51で構成されている。搭載板43の周縁部の全体に沿って段差43cが形成されている。この段差43cが搭載板43の主面部を補強する補強部となり、窒化珪素膜51の内部応力による搭載板43の湾曲が抑制され、搭載板43の主面部の平面性が維持されている。
【0062】
本実施の形態では、メカニカルスイッチ42は、搭載板43の下面(犠牲層71〜73除去前の−Z側の面)に形成された第1の駆動電極52と、搭載板43の上面に形成された第1及び第2の信号接点53,54と、搭載板43の上面に脚部55を介して一端が固定された片持ち梁をなす可動板56と、可動板56の上面に形成された第2の駆動電極57と、可動板56の下面に形成された可動接点58と、を備えている。
【0063】
第1及び第2の駆動電極52,57、第1及び第2の信号接点53,54、並びに可動接点58は、アルミニウム膜で構成されている。第1の駆動電極52と第2の駆動電極57とは、対向している。第1及び第2の信号接点53,54は、互いに分離されているが、両方とも可動接点58と対面している。
【0064】
脚部55及び可動板56は、酸化珪素膜61によって連続して構成されている。第1及び第2の駆動電極52,57間に静電力が作用していない場合は、可動板56は、酸化珪素膜61の内部応力によって、図1に示すように、搭載板43から遠ざかる方向に湾曲するようになっている。この状態では、可動接点58が第1及び第2の信号接点53,54から離れ、第1及び第2の信号接点53,54間は電気的に開く。一方、第1及び第2の駆動電極52,57間に所定値以上の電圧を印加して両者の間に静電力を作用させると、可動板56は、搭載板43側へ移動して、可動接点58が第1及び第2の信号接点53,54に接触する。その結果、第1及び第2の信号接点53,54間は、可動接点58によって短絡され、電気的に閉じる。
【0065】
なお、図面には示していないが、酸化珪素膜61は、それぞれ酸化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。膜61として2層膜を用いる場合、上層と下層とで材料を変えてもよい。もっとも、膜61として単層膜を用いても、搭載板43から遠ざかる方向に湾曲するような応力を持たせることは可能である。また、本実施の形態では、可動板56は、前述したように片持ち梁となっているが、例えば、両持ち梁として構成することも可能である。
【0066】
支持板44,45は、搭載板43を構成する窒化珪素膜51がそのまま延びることによって構成されている。支持板44,45には、段差が形成されていない。したがって、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを完成させるべく犠牲層71〜73が除去されると、支持板44,45は、窒化珪素膜51の内部応力によって、図10に示すように上方に湾曲する。これにより、図10に示すように、支持板44,45が脚部46〜49を固定端として搭載板43側が持ち上がり、搭載板43が支持板44,45によって基板41から浮いた状態に非平行に支持される。本実施の形態では、搭載板43は基板41に対してほぼ垂直に支持されている。
【0067】
搭載板43をより安定してほぼ垂直に支持するためには、支持板44,45を90度よりも大きい角度に湾曲するような内部応力を持つように構成し、搭載板43が垂直になった所で搭載板43に当接して搭載板43を保持するストッパを、基板41上に設けることが、好ましい。このようなストッパの例は、前記特許文献2の図10に開示されている。
【0068】
なお、図面には示していないが、窒化珪素膜51は、それぞれ窒化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。
【0069】
搭載板43及び支持板44上には、第2の駆動電極57に接続された配線62が形成されている。配線62は、第2の駆動電極57を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。搭載板43及び支持板44下には、第1の駆動電極52に接続された配線63が形成されている。配線63は、第1の駆動電極52を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。搭載板43及び支持板45上には、第1及び第2の信号接点53,54にそれぞれ接続された配線64,65が形成されている。配線64,65は、第1の信号接点53を構成するアルミニウム膜及び第2の信号接点54を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによってそれぞれ構成されている。
【0070】
本実施の形態では、脚部46〜49は、支持板43を構成する窒化珪素膜51及び配線62,63,64又は65を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。配線62〜65を構成するアルミニウム膜は、それぞれ脚部62〜65において、アルミニウム膜からなる配線66〜69にそれぞれ接続されている。基板41上には、基板41側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜78,79が積層され、配線62〜65は、絶縁膜78,79間に形成されている。
【0071】
先の説明からわかるように、配線67,66がそれぞれ第1及び第2の駆動電極52,57に接続され、配線68,69は第1及び第2の信号接点53,54に接続されている。配線67,66は、第1及び第2の駆動電極52,57間に印加する電圧を制御する駆動回路(図示せず)に接続される。配線68,69は、高周波回路の他の所要箇所に接続される。
【0072】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、前記第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントと同様に、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、図11乃至図14に示す状態とする。最後に、アッシング等により、犠牲層71〜73を除去する。これにより、図10に示すように支持板44,45が上方へ湾曲して搭載板43が持ち上がり、本実施の形態による高周波回路コンポーネントが完成する。
【0073】
本実施の形態によれば、図11に示すように、メカニカルスイッチ42が基板41から浮いた状態に支持されているので、メカニカルスイッチ42と基板41との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。なお、メカニカルスイッチ42を基板41から浮かせる点については、従来は全く看過されていたものである。
【0074】
また、本実施の形態によれば、搭載板43が用いられ、メカニカルスイッチ42が搭載板43に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0075】
[第4の実施形態]
【0076】
図15は、本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略正面図である。図16は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図17は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図18は、図15中のG−G’線に沿った概略断面図である。図19は、搭載板81に搭載された回路を示す回路図である。
【0077】
なお、図16及び図17では、搭載板81に搭載されている高周波回路素子91〜95の図示は省略している。また、図15乃至図17では、配線等の図示も省略している。さらに、図15乃至図18では、各1本の支持部82の一端に1つの脚部82cが設けられているものとして簡略化して示しているが、実際には、図19に示すような基板80上への電気的な接続を実現できるように、各1本の支持部82の一端には4つの脚部82cが設けられている。
【0078】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板80と、複数の高周波回路素子としての、2つのメカニカルスイッチ91,92、互いにインダクタンス値の異なる2つのコイル93,94及び1つの可変コンデンサ95と、誘電体からなる薄膜で構成されメカニカルスイッチ91,92、コイル93,94及び可変コンデンサ95を搭載した搭載板81と、基板80と搭載板81との間を機械的に接続して搭載板81を基板80から浮いた状態に支持する支持機構100と、を備えている。
【0079】
搭載板81は、窒化珪素膜で構成され、その周縁部の全体に沿って段差81aが形成されている。
【0080】
本実施の形態では、支持機構100は、図15乃至図17に示すように、2本の支持部(第1の膜部材)82と、2つの接続部84と、2本の支持部(第2の膜部材)83と、搭載板81を直接的に支持する搭載板支持部85とを有している。支持部82と支持部83は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部84と搭載板支持部85と搭載板81には、剛性を高めるために、縁に段差84a,85a,81aが形成されている。2本の支持部82の一方の端部は、脚部82cにより基板80に固定されている。2本の支持部82の先端には、それぞれ接続部84を介して支持部83の上端が接続されている。2本の支持部83は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、搭載板支持部85の両端を支持している。搭載板支持部85には、搭載板81が搭載されている。これにより、搭載板81を搭載した搭載板支持部85は、2本の支持部83によって吊り下げられた構成となっている。搭載板81に一体に形成された接続部85bによって、搭載板81が搭載板支持部85に固定されている。
【0081】
湾曲した支持部82は、図17に示すように窒化珪素膜82aと酸化珪素膜82bとを積層した2層膜である。一方、支持部83は、酸化珪素膜83aと窒化珪素膜83bとを積層した2層膜である。支持部82,83は、いずれも、酸化珪素膜と窒化珪素膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図16及び図17に示すように、支持部82は、基板80に突出する様に湾曲しているのに対して、支持部83は、支持部82とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持部82は、基板80側から窒化珪素膜82a、酸化珪素膜82bの順に積層され、支持部83は、基板80側から酸化珪素膜83a、窒化珪素膜83bの順に積層されている。
【0082】
さらに、基板80上には、図16に示すように、搭載板支持部85の片面側(脚部82cが配置されている側とは逆の側)に、2つの薄膜立体構造体90がストッパとして搭載されている。薄膜立体構造体90は、その突起部90aが搭載板支持部85の両脇を図21中の−Y方向に押して支える位置に配置されている。このように薄膜立体構造体65が光学膜支持部85を図16の−Y方向に支えることにより、温度変化により支持部82,83の湾曲状態が変化しても、搭載板81の位置及び向きを安定して一定に維持することができる。
【0083】
基板80上には、基板80側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜98,99が積層され、図19中の8本の配線にそれぞれ接続される図示しない配線が絶縁膜98,99間に形成されている。搭載板81の各部から絶縁膜98,99間の配線に至る配線が、支持機構100の各部に形成されるが、その具体的な説明及び図示は省略する。
【0084】
前述した支持機構100及び薄膜立体構造体90は、基本的に、特許文献2の図26に開示されているミラーの支持機構及び薄膜立体構造体と同様であり、それらの製造方法と同様に、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
【0085】
メカニカルスイッチ91,92は、図15では簡略化して示しているが、前述した図10乃至図14に示すメカニカルスイッチ42と同様に構成されている。図19に示すメカニカルスイッチ91,92のスイッチ部91a,92aは、メカニカルスイッチ42の接点53,54,58に相当し、メカニカルスイッチ91,92の駆動部91b,92bはメカニカルスイッチ42の第1及び第2の駆動電極52,58に相当している。
【0086】
コイル93,94は、図15では簡略化して示しているが、前述した図1乃至図5に示すコイル2と同様に構成されている。
【0087】
可変コンデンサ95は、図18に示すように、搭載板81の−Y側の面に形成された第1の駆動電極101a,101b及びそれらの間の第1の容量電極102と、これらを覆う酸化珪素膜等の絶縁膜103と、搭載板81の−Y側の面に脚部104,105を介して両端が固定された両持ち梁をなす可動板106と、可動板106の+Y側の面に形成された第2の駆動電極107a,107b及び第2の容量電極108と、を備えている。
【0088】
電極101a,101b,102と電極107a,107b,108とはそれぞれ対向している。これらの電極は、アルミニウム膜で構成されている。可動板106は、酸化珪素膜等の絶縁膜で構成されている。第1の駆動電極101a,101b間は電気的に接続され、第2の駆動電極107a,107b間は電気的に接続されている。
【0089】
第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間に印加する電圧値に応じて両者の間の静電力の大きさが決定され、これに応じて、第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間の間隔が決定され、ひいては、第1及び第2の容量電極102,108間の間隔が決定されて両者の間の容量値が定まる。よって、第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間に印加する電圧値を変えることで、第1及び第2の容量電極102,108間の容量値を変えることができる。
【0090】
図19に示す可変コンデンサ95の可変容量部95aが図18中の第1及び第2の容量電極102,108に相当し、可変コンデンサ95の駆動部95bが第1及び第2の駆動電極101a,101b,107a,107bに相当している。
【0091】
そして、搭載板81において、図示しない配線によって、図19に示す電気的な接続がなされている。図19に示す例では、2種類のLC共振回路が選択できる構成となっている。
【0092】
本実施の形態によれば、複数の高周波回路素子91〜95が基板1から浮いた状態に支持されているので、コイル2と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、搭載板81において図19に示すような電気的な接続が行われているので、搭載板81において接続されている高周波回路素子91〜95間の配線と基板80との間の寄生容量が低減され、ひいては、より一層電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0094】
さらに、本実施の形態によれば、搭載板81が用いられ、高周波回路素子91〜95が搭載板81に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0095】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0096】
例えば、搭載板に搭載する高周波回路素子としては、例えば、抵抗やメカニカルフィルタなどでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントの犠牲層の除去前の状態を示す概略平面図である。
【図3】図2中のA−A’線に沿った概略断面図である。
【図4】図2中のB−B’線に沿った概略断面図である。
【図5】図2中のC−C’線に沿った概略断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の他の変形例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。
【図12】図11中のD−D’線に沿った概略断面図である。
【図13】図11中のE−E’線に沿った概略断面図である。
【図14】図11中のF−F’線に沿った概略断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略正面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。
【図18】図15中のG−G’線に沿った概略断面図である。
【図19】図15中の搭載板に搭載された回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0098】
1,41 基板
2,93,94 コイル
3,43 搭載板
4 支持板
31 コンデンサ
42,91,92 メカニカルスイッチ
95 可変コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数(RF)などの高周波の回路に用いられる高周波回路コンポーネントに関するものである。なお、本願の特許請求の範囲及び明細書において、高周波回路コンポーネントは、高周波回路の一部の構成要素でもよいし、高周波回路の全体であってもよい。
【背景技術】
【0002】
携帯電話で代表される携帯機器などの無線通信技術では、日増しに通信速度が高速化し、用いられる周波数も数百MHzからGHzと高速化するとともに、海外ローミングサービスなどの場合は一つの機器で複数の周波数を切り替えて用いられている。
【0003】
従来、このような機器の高周波回路で用いられるコイル(インダクタ)を有する物品として、シリコン基板等の基板、導電性ループ及び2個の導電性サポートからなる物品(下記特許文献1の図1)や、シリコン基板等の基板、導電性スパイラル、2個の導電性サポート及び2個の導電性ヒンジ付きプレートからなる物品(下記特許文献1の図5)が、提案されている。前記導電性ループや前記導電性スパイラルが、コイル(インダクタ)を構成している。
【0004】
特許文献1の図1に開示された物品では、導電性ループの一端と基板との間が一方の導電性サポートで機械的に接続されるとともに、導電性ループの他端と基板との間が他方の導電性サポートで機械的に接続されている。これにより、導電性ループは、2個の導電性サポートによって、基板から浮いた状態に支持されている。この物品では、導電性ループに対する機械的な接続は、前記導電性ループの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって、行われている。
【0005】
また、特許文献1の図5に開示された物品では、基板にヒンジ結合された一方の導電性ヒンジ付きプレートと導電性スパイラルの一端との間が一方の導電性サポートで機械的に接続されるとともに、基板にヒンジ結合された他方の導電性ヒンジ付きプレートと導電性スパイラルの他端との間が他方の導電性サポートで機械的に接続されている。これにより、前記導電性スパイラルは、2個の導電性サポート及び2個の導電性ヒンジ付きプレートによって、基板から浮いた状態に支持されている。この物品では、導電性スパイラルに対する機械的な接続は、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって、行われている。
【0006】
このような従来の物品では、コイル(導電性ループ、導電性スパイラル)が基板から浮いた状態に支持されているので、基板としてシリコン基板などの導電性基板を用いた場合であっても、コイルと基板との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0007】
また、下記特許文献2には、薄膜で構成されたミラー板を基板に対して垂直などの非平行に支持する種々の構造が開示されている。
【特許文献1】特開2000−150251号公報
【特許文献2】国際公開第03/060592号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の物品では、コイルに対する機械的な接続が、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって行われているので、コイルの機械的な強度が低かった。したがって、例えば、製造後の検査時に発生する空気の流れなどによって、コイルが破損してしまうおそれがあった。
【0009】
また、高周波回路を構成する素子(高周波回路素子)としては、コイル以外にも、コンデンサ、抵抗、信号経路の切り替え等を行うスイッチ、特定の周波数成分だけを取り出すためのメカニカルフィルタなどがあるが、従来は、これらに関する寄生容量については、全く看過されており、コイルのように基板から浮いた状態に支持するような発想は全く存在しなかった。したがって、コイル以外の他の高周波回路素子については、当該素子と基板との間の寄生容量が大きく、その寄生容量によって電気損失が生じていた。
【0010】
さらに、特許文献1に開示された従来の物品では、コイルに対する機械的な接続が、導電性スパイラルの両端が2個の導電性サポートの端部にそれぞれ機械的に接続されることのみによって行われているので、高周波回路において2つ以上のコイルを用いる場合には、各コイルをそれぞれ別々の2組の導電性サポートで支持してそれぞれ独立して基板から浮かすことになる。その場合において、2つ以上のコイル間を電気的に接続するには、両者の間の接続経路の一部は、基板上に形成された配線パターンとせざるを得ない。したがって、その配線パターンと基板との間に比較的大きな浮遊容量が生じてしまう。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高周波回路素子と基板との間の寄生容量を低減することができ、しかも機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、コイル以外の高周波回路素子について基板との間の寄生容量を低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、高周波回路素子と基板との間の寄生容量のみならず複数の高周波回路素子間の接続経路と基板との間の寄生容量も低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による高周波回路コンポーネントは、基板と、1つ以上の高周波回路素子と、誘電体からなる薄膜で構成され前記1つ以上の高周波回路素子を搭載した搭載板と、前記基板と前記搭載板との間を機械的に接続して前記搭載板を前記基板から浮いた状態に支持する支持部と、を備えたものである。
【0015】
本発明の第2の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1の態様において、前記基板が導電性を有するものである。
【0016】
本発明の第3の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1又は第2の態様において、前記1つ以上の高周波回路素子及び前記支持部が薄膜で構成されたものである。
【0017】
本発明の第4の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記搭載板の周縁部の全体又は一部に沿って段差が形成されたことものである。
【0018】
本発明の第5の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子の数が2つ以上であり、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも2つの高周波回路素子の間が、前記搭載板上において電気的に接続されたものである。
【0019】
本発明の第6の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、コイルであるものである。
【0020】
本発明の第7の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、固定又は可変のコンデンサであるものである。ここで、固定とは当該コンデンサの容量値が固定である意味であり、可変とは当該コンデンサの容量値が可変である意味である。
【0021】
本発明の第8の態様による高周波回路コンポーネントは、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、メカニカルスイッチであるものである。
【0022】
前記第6乃至第8の態様は、高周波回路素子の例を挙げたものであるが、本発明ではこれらの例に限定されるものではない。本発明では、高周波回路素子は、例えば、抵抗やメカニカルフィルタなどでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板との間の寄生容量を低減することができ、しかも機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、コイル以外の高周波回路素子について基板との間の寄生容量を低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、高周波回路素子と基板との間の寄生容量のみならず複数の高周波回路素子間の接続経路と基板との間の寄生容量も低減することができるとともに、機械的な強度を高めることができる高周波回路コンポーネントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明による高周波回路コンポーネントについて、図面を参照して説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図2は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。図3は、図2中のA−A’線に沿った概略断面図である。図4は、図2中のB−B’線に沿った概略断面図である。図5は、図2中のC−C’線に沿った概略断面図である。ただし、図2乃至図5は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層21〜23を除去する前の状態を示している。なお、図2では、犠牲層21〜23の図示は省略している。
【0029】
説明の便宜上、図1乃至図5に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する(後述する図についても同様である。)。基板1の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。なお、以下に説明する材料等は例示であり、これに限定されるものではない。
【0030】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板(例えば、GaAs基板等でもよい。)1と、高周波回路素子としてのコイル(インダクタ)2と、誘電体からなる薄膜で構成されコイル2を搭載した搭載板3と、基板1と搭載板3との間を機械的に接続して搭載板3を基板1から浮いた状態に支持する支持板4と、を備えている。
【0031】
本実施の形態では、搭載板3及び支持板4は、それぞれ長方形状とされている。搭載板3の−Y側の端部と支持板4の+Y側の端部とが一体的に機械的に接続されている。支持板4の−Y側の端部には、2つの脚部5,6が設けられている。脚部5,6はいずれも基板1に固定されており、搭載板3及び支持板4は、脚部5,6を固定端として、図1に示すように、搭載板3側が持ち上がるようになっている。
【0032】
搭載板3は、誘電体からなる薄膜としての窒化珪素膜11で構成されている。搭載板3の周縁部の3辺(+X側の辺、−X側の辺、+Y側の辺)に沿って段差3aが形成されている。この段差3aが搭載板3の主面部を補強する補強部となり、窒化珪素膜11の内部応力による搭載板3の湾曲が抑制され、搭載板3の主面部の平面性が維持されている。
【0033】
本実施の形態では、コイル2は、搭載板3の上面に形成され渦巻き状にパターンニングされた薄膜のアルミニウム膜によって、構成されている。もっとも、コイル2は、必ずしも渦巻き状に形成する必要はなく、1ターンのみでもよい。
【0034】
支持板4は、搭載板3を構成する窒化珪素膜11がそのまま延びることによって構成されている。支持板4には、段差が形成されていない。したがって、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを完成させるべく犠牲層21〜23が除去されると、支持板4は、窒化珪素膜11の内部応力によって、図1に示すように上方に湾曲する。これにより、図1に示すように、支持板4が脚部5,6を固定端として搭載板3側が持ち上がり、搭載板3が支持板4によって基板1から浮いた状態に非平行に支持される。
【0035】
なお、図面には示していないが、窒化珪素膜11は、それぞれ窒化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。膜11として2層膜を用いる場合、上層と下層とで材料を変えてもよい。もっとも、膜11として単層膜を用いても、上方へ湾曲するような応力を持たせることは可能である。
【0036】
搭載板3及び支持板4上には、コイル2の両端にそれぞれ接続された配線7,8が形成されている。配線7は、アルミニウム膜で構成され、アルミニウム膜からなるアーチ状の立体配線9を介してコイル2の一端に接続されている。配線7は、コイル2を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。
【0037】
本実施の形態では、脚部5,6は、支持板4を構成する窒化珪素膜11及び配線7又は8を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。配線7,8を構成するアルミニウム膜は、それぞれ脚部5,6において、アルミニウム膜からなる配線14,15にそれぞれ接続されている。基板1上には、基板1側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜12,13が積層され、配線14,15は、絶縁膜12,13間に形成されている。配線14,15の先端部は、それぞれ信号接点14a及びグランド接点15aとなっている。これらの接点14a,15aは、絶縁膜12,13にそれぞれ形成された開口から外部に露出している。先の説明からわかるように、接点14a,15aは、コイル2の両端にそれぞれ電気的に接続されている。したがって、これらの接点14a,15aを利用して、コイル2を高周波回路の一部として用いることができる。なお、グランド接点15aを2つ設け、特許文献1に開示されているような公知のグランド−信号−グランド配置を採用してもよい。
【0038】
ここで、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造方法の一例について、簡単に説明する。
【0039】
まず、シリコン基板上1に、酸化珪素膜等の絶縁膜12を成膜する。次いで、アルミニウム膜を成膜し、フォトリソエッチング法により、そのアルミニウム膜を、配線14,15及び接点14a,15aの形状にパターニングする。
【0040】
次に、絶縁膜13を成膜した後、フォトリソエッチング法により、絶縁膜13における脚部5,6を形成すべき位置に開口を形成する。このとき、絶縁膜13には、接点14a,15aを露出させる開口も形成する。次いで、フォトレジスト等の犠牲層21,22を順次形成する。このとき、犠牲層21,22には、脚部5,6を形成すべき位置に開口を形成しておく。また、犠牲層22は、搭載板3及び支持板4の形状に合わせて島状に形成しておく。
【0041】
その後、窒化珪素膜11の下層及び上層を順次成膜する。このとき、その成膜条件等は、犠牲層21〜23を除去した後に支持板4が上方へ湾曲するように設定する。引き続いて、フォトリソエッチング法により、窒化珪素膜11を搭載板3及び支持板4の形状にパターニングする。このとき、窒化珪素膜11には、脚部5,6においてコンタクトホールを形成しておく。
【0042】
次いで、アルミニウム膜を成膜し、そのアルミニウム膜を、フォトリソエッチング法により、コイル2及び配線7,8の形状にパターニングする。引き続いて、立体配線9に相当する箇所に、フォトレジスト等の犠牲層23を島状に形成する。その後、アルミニウム膜を成膜し、そのアルミニウム膜を、フォトリソエッチング法により、立体配線9の形状にパターニングする。この状態が、図2乃至図5に示す状態である。
【0043】
最後に、アッシング等により、犠牲層21〜23を除去する。これにより、図1に示すように支持板4が上方へ湾曲して搭載板3が持ち上がり、本実施の形態による高周波回路コンポーネントが完成する。
【0044】
本実施の形態によれば、図1に示すように、コイル2が基板1から浮いた状態に支持されているので、コイル2と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0045】
そして、本実施の形態によれば、前述した特許文献1に開示された物品と異なり、自立したコイル2に対する機械的な接続がコイル2の両端のみで行われるわけではなく、搭載板3が用いられ、コイル2が搭載板3に搭載され搭載板3によって保持されているので、コイル2の機械的な強度が格段に高まる。したがって、本実施の形態によれば、製造後の検査時に発生する空気の流れなどによって、コイル2が破損してしまうおそれを低減することができる。
【0046】
ここで、本実施の形態の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。本発明では、本実施の形態を、図6及び図7にそれぞれ示すように変形してもよい。図6は、本実施の形態の変形例による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図7は、本実施の形態の他の変形例による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図6及び図7は、図5に対応しており、製造途中において犠牲層21〜23を除去する前の状態を示している。図6及び図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0047】
これらの変形例では、本実施の形態に対して、搭載板3の補強構造を変更している。図6に示す例では、搭載板3の周縁部に沿って、凸部3bを形成することによって段差3aを形成している。図7に示す例では、搭載板3の周縁部に沿って、凹部3cを形成することによって段差3aを形成している。
【0048】
なお、このような変形は、後述する各実施の形態についても同様に適用することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
【0050】
図8は、本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図であり、図1に対応している。図9は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図9は、図4に対応しており、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層21,22を除去する前の状態を示している。
【0051】
図8及び図9において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0052】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、高周波回路素子として、コイル2に代えて、固定のコンデンサ31が搭載板3に搭載されている点のみである。
【0053】
コンデンサ31は、搭載板3上に形成された第1の電極32と、第1の電極32上に形成された窒化珪素膜又は酸化珪素膜等の誘電体層33と、誘電体層33上に形成され誘電体層33を介して第1の電極32と対向する第2の電極34と、から構成されている。本実施の形態では、第1の電極32は、配線8を構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。第2の電極34は、配線7を構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。
【0054】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントも、前記第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントと同様の製造方法により製造することができる。
【0055】
本実施の形態によれば、図8に示すように、コンデンサ31が基板1から浮いた状態に支持されているので、コンデンサ31と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。特に、コンデンサ31では、第1及び第2の電極32,34の面積が比較的大きくなるので、本実施の形態による寄生容量低減効果は大きい。なお、コンデンサ31を基板1から浮かせる点については、従来は全く看過されていたものである。
【0056】
また、本実施の形態によれば、搭載板3が用いられ、コンデンサ31が搭載板3に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0057】
[第3の実施の形態]
【0058】
図10は、本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図11は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。図12は、図11中のD−D’線に沿った概略断面図である。図13は、図11中のE−E’線に沿った概略断面図である。図14は、図11中のF−F’線に沿った概略断面図である。ただし、図11乃至図14は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントの製造途中において、犠牲層71〜73を除去する前の状態を示している。なお、理解を容易にするため、図10及び図11において、一部の要素にはハッチングを付している。また、図11では、犠牲層71〜73の図示は省略している。
【0059】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板(例えば、GaAs基板等でもよい。)41と、高周波回路素子としてのメカニカルスイッチ42と、誘電体からなる薄膜で構成されメカニカルスイッチ42を搭載した搭載板43と、基板41と搭載板43との間を機械的に接続して搭載板43を基板41から浮いた状態に支持する2本の帯板状の支持板44,45と、を備えている。
【0060】
本実施の形態では、搭載板43は、長方形状に対して両側(+X側及び−X側)に突出した突出部43a,43bを有するような形状とされている。搭載板43の+X側の突出部43aと支持板44の+Y側の端部とが、一体的に機械的に接続されている。搭載板43の−X側の突出部43bと支持板45の+Y側の端部とが、一体的に機械的に接続されている。支持板44の−Y側の端部には、2つの脚部46,47が設けられている。支持板45の−Y側の端部には、2つの脚部48,49が設けられている。脚部46〜49はいずれも基板41に固定されており、搭載板43及び支持板44,45は、脚部46〜49を固定端として、図10に示すように、搭載板43側が持ち上がるようになっている。
【0061】
搭載板43は、誘電体からなる薄膜としての窒化珪素膜51で構成されている。搭載板43の周縁部の全体に沿って段差43cが形成されている。この段差43cが搭載板43の主面部を補強する補強部となり、窒化珪素膜51の内部応力による搭載板43の湾曲が抑制され、搭載板43の主面部の平面性が維持されている。
【0062】
本実施の形態では、メカニカルスイッチ42は、搭載板43の下面(犠牲層71〜73除去前の−Z側の面)に形成された第1の駆動電極52と、搭載板43の上面に形成された第1及び第2の信号接点53,54と、搭載板43の上面に脚部55を介して一端が固定された片持ち梁をなす可動板56と、可動板56の上面に形成された第2の駆動電極57と、可動板56の下面に形成された可動接点58と、を備えている。
【0063】
第1及び第2の駆動電極52,57、第1及び第2の信号接点53,54、並びに可動接点58は、アルミニウム膜で構成されている。第1の駆動電極52と第2の駆動電極57とは、対向している。第1及び第2の信号接点53,54は、互いに分離されているが、両方とも可動接点58と対面している。
【0064】
脚部55及び可動板56は、酸化珪素膜61によって連続して構成されている。第1及び第2の駆動電極52,57間に静電力が作用していない場合は、可動板56は、酸化珪素膜61の内部応力によって、図1に示すように、搭載板43から遠ざかる方向に湾曲するようになっている。この状態では、可動接点58が第1及び第2の信号接点53,54から離れ、第1及び第2の信号接点53,54間は電気的に開く。一方、第1及び第2の駆動電極52,57間に所定値以上の電圧を印加して両者の間に静電力を作用させると、可動板56は、搭載板43側へ移動して、可動接点58が第1及び第2の信号接点53,54に接触する。その結果、第1及び第2の信号接点53,54間は、可動接点58によって短絡され、電気的に閉じる。
【0065】
なお、図面には示していないが、酸化珪素膜61は、それぞれ酸化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。膜61として2層膜を用いる場合、上層と下層とで材料を変えてもよい。もっとも、膜61として単層膜を用いても、搭載板43から遠ざかる方向に湾曲するような応力を持たせることは可能である。また、本実施の形態では、可動板56は、前述したように片持ち梁となっているが、例えば、両持ち梁として構成することも可能である。
【0066】
支持板44,45は、搭載板43を構成する窒化珪素膜51がそのまま延びることによって構成されている。支持板44,45には、段差が形成されていない。したがって、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを完成させるべく犠牲層71〜73が除去されると、支持板44,45は、窒化珪素膜51の内部応力によって、図10に示すように上方に湾曲する。これにより、図10に示すように、支持板44,45が脚部46〜49を固定端として搭載板43側が持ち上がり、搭載板43が支持板44,45によって基板41から浮いた状態に非平行に支持される。本実施の形態では、搭載板43は基板41に対してほぼ垂直に支持されている。
【0067】
搭載板43をより安定してほぼ垂直に支持するためには、支持板44,45を90度よりも大きい角度に湾曲するような内部応力を持つように構成し、搭載板43が垂直になった所で搭載板43に当接して搭載板43を保持するストッパを、基板41上に設けることが、好ましい。このようなストッパの例は、前記特許文献2の図10に開示されている。
【0068】
なお、図面には示していないが、窒化珪素膜51は、それぞれ窒化珪素からなる上層及び下層の2層膜となっている。この場合、上層と下層の成膜条件等を適宜変えることで、上方へ湾曲する応力を持たせることができる。
【0069】
搭載板43及び支持板44上には、第2の駆動電極57に接続された配線62が形成されている。配線62は、第2の駆動電極57を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。搭載板43及び支持板44下には、第1の駆動電極52に接続された配線63が形成されている。配線63は、第1の駆動電極52を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。搭載板43及び支持板45上には、第1及び第2の信号接点53,54にそれぞれ接続された配線64,65が形成されている。配線64,65は、第1の信号接点53を構成するアルミニウム膜及び第2の信号接点54を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによってそれぞれ構成されている。
【0070】
本実施の形態では、脚部46〜49は、支持板43を構成する窒化珪素膜51及び配線62,63,64又は65を構成するアルミニウム膜がそのまま延びることによって構成されている。配線62〜65を構成するアルミニウム膜は、それぞれ脚部62〜65において、アルミニウム膜からなる配線66〜69にそれぞれ接続されている。基板41上には、基板41側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜78,79が積層され、配線62〜65は、絶縁膜78,79間に形成されている。
【0071】
先の説明からわかるように、配線67,66がそれぞれ第1及び第2の駆動電極52,57に接続され、配線68,69は第1及び第2の信号接点53,54に接続されている。配線67,66は、第1及び第2の駆動電極52,57間に印加する電圧を制御する駆動回路(図示せず)に接続される。配線68,69は、高周波回路の他の所要箇所に接続される。
【0072】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、前記第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントと同様に、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、図11乃至図14に示す状態とする。最後に、アッシング等により、犠牲層71〜73を除去する。これにより、図10に示すように支持板44,45が上方へ湾曲して搭載板43が持ち上がり、本実施の形態による高周波回路コンポーネントが完成する。
【0073】
本実施の形態によれば、図11に示すように、メカニカルスイッチ42が基板41から浮いた状態に支持されているので、メカニカルスイッチ42と基板41との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。なお、メカニカルスイッチ42を基板41から浮かせる点については、従来は全く看過されていたものである。
【0074】
また、本実施の形態によれば、搭載板43が用いられ、メカニカルスイッチ42が搭載板43に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0075】
[第4の実施形態]
【0076】
図15は、本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略正面図である。図16は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。図17は、本実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。図18は、図15中のG−G’線に沿った概略断面図である。図19は、搭載板81に搭載された回路を示す回路図である。
【0077】
なお、図16及び図17では、搭載板81に搭載されている高周波回路素子91〜95の図示は省略している。また、図15乃至図17では、配線等の図示も省略している。さらに、図15乃至図18では、各1本の支持部82の一端に1つの脚部82cが設けられているものとして簡略化して示しているが、実際には、図19に示すような基板80上への電気的な接続を実現できるように、各1本の支持部82の一端には4つの脚部82cが設けられている。
【0078】
本実施の形態による高周波回路コンポーネントは、導電性を有する基板としてのシリコン基板80と、複数の高周波回路素子としての、2つのメカニカルスイッチ91,92、互いにインダクタンス値の異なる2つのコイル93,94及び1つの可変コンデンサ95と、誘電体からなる薄膜で構成されメカニカルスイッチ91,92、コイル93,94及び可変コンデンサ95を搭載した搭載板81と、基板80と搭載板81との間を機械的に接続して搭載板81を基板80から浮いた状態に支持する支持機構100と、を備えている。
【0079】
搭載板81は、窒化珪素膜で構成され、その周縁部の全体に沿って段差81aが形成されている。
【0080】
本実施の形態では、支持機構100は、図15乃至図17に示すように、2本の支持部(第1の膜部材)82と、2つの接続部84と、2本の支持部(第2の膜部材)83と、搭載板81を直接的に支持する搭載板支持部85とを有している。支持部82と支持部83は、例えば、帯状に形成され、いずれも長手方向に円弧状に湾曲している。また、接続部84と搭載板支持部85と搭載板81には、剛性を高めるために、縁に段差84a,85a,81aが形成されている。2本の支持部82の一方の端部は、脚部82cにより基板80に固定されている。2本の支持部82の先端には、それぞれ接続部84を介して支持部83の上端が接続されている。2本の支持部83は下向きに垂れ下がり、それらの先端は、搭載板支持部85の両端を支持している。搭載板支持部85には、搭載板81が搭載されている。これにより、搭載板81を搭載した搭載板支持部85は、2本の支持部83によって吊り下げられた構成となっている。搭載板81に一体に形成された接続部85bによって、搭載板81が搭載板支持部85に固定されている。
【0081】
湾曲した支持部82は、図17に示すように窒化珪素膜82aと酸化珪素膜82bとを積層した2層膜である。一方、支持部83は、酸化珪素膜83aと窒化珪素膜83bとを積層した2層膜である。支持部82,83は、いずれも、酸化珪素膜と窒化珪素膜との熱膨張係数の差異によって生じる応力並びに成膜時に生じる応力によって円弧状に湾曲している。このとき、図16及び図17に示すように、支持部82は、基板80に突出する様に湾曲しているのに対して、支持部83は、支持部82とは逆向きに湾曲している。このような湾曲を実現するために、支持部82は、基板80側から窒化珪素膜82a、酸化珪素膜82bの順に積層され、支持部83は、基板80側から酸化珪素膜83a、窒化珪素膜83bの順に積層されている。
【0082】
さらに、基板80上には、図16に示すように、搭載板支持部85の片面側(脚部82cが配置されている側とは逆の側)に、2つの薄膜立体構造体90がストッパとして搭載されている。薄膜立体構造体90は、その突起部90aが搭載板支持部85の両脇を図21中の−Y方向に押して支える位置に配置されている。このように薄膜立体構造体65が光学膜支持部85を図16の−Y方向に支えることにより、温度変化により支持部82,83の湾曲状態が変化しても、搭載板81の位置及び向きを安定して一定に維持することができる。
【0083】
基板80上には、基板80側から順に酸化珪素膜や窒化珪素膜などの絶縁膜98,99が積層され、図19中の8本の配線にそれぞれ接続される図示しない配線が絶縁膜98,99間に形成されている。搭載板81の各部から絶縁膜98,99間の配線に至る配線が、支持機構100の各部に形成されるが、その具体的な説明及び図示は省略する。
【0084】
前述した支持機構100及び薄膜立体構造体90は、基本的に、特許文献2の図26に開示されているミラーの支持機構及び薄膜立体構造体と同様であり、それらの製造方法と同様に、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
【0085】
メカニカルスイッチ91,92は、図15では簡略化して示しているが、前述した図10乃至図14に示すメカニカルスイッチ42と同様に構成されている。図19に示すメカニカルスイッチ91,92のスイッチ部91a,92aは、メカニカルスイッチ42の接点53,54,58に相当し、メカニカルスイッチ91,92の駆動部91b,92bはメカニカルスイッチ42の第1及び第2の駆動電極52,58に相当している。
【0086】
コイル93,94は、図15では簡略化して示しているが、前述した図1乃至図5に示すコイル2と同様に構成されている。
【0087】
可変コンデンサ95は、図18に示すように、搭載板81の−Y側の面に形成された第1の駆動電極101a,101b及びそれらの間の第1の容量電極102と、これらを覆う酸化珪素膜等の絶縁膜103と、搭載板81の−Y側の面に脚部104,105を介して両端が固定された両持ち梁をなす可動板106と、可動板106の+Y側の面に形成された第2の駆動電極107a,107b及び第2の容量電極108と、を備えている。
【0088】
電極101a,101b,102と電極107a,107b,108とはそれぞれ対向している。これらの電極は、アルミニウム膜で構成されている。可動板106は、酸化珪素膜等の絶縁膜で構成されている。第1の駆動電極101a,101b間は電気的に接続され、第2の駆動電極107a,107b間は電気的に接続されている。
【0089】
第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間に印加する電圧値に応じて両者の間の静電力の大きさが決定され、これに応じて、第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間の間隔が決定され、ひいては、第1及び第2の容量電極102,108間の間隔が決定されて両者の間の容量値が定まる。よって、第1の駆動電極101a,101bと第2の駆動電極107a,107bとの間に印加する電圧値を変えることで、第1及び第2の容量電極102,108間の容量値を変えることができる。
【0090】
図19に示す可変コンデンサ95の可変容量部95aが図18中の第1及び第2の容量電極102,108に相当し、可変コンデンサ95の駆動部95bが第1及び第2の駆動電極101a,101b,107a,107bに相当している。
【0091】
そして、搭載板81において、図示しない配線によって、図19に示す電気的な接続がなされている。図19に示す例では、2種類のLC共振回路が選択できる構成となっている。
【0092】
本実施の形態によれば、複数の高周波回路素子91〜95が基板1から浮いた状態に支持されているので、コイル2と基板1との間の寄生容量が低減され、ひいては、電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、搭載板81において図19に示すような電気的な接続が行われているので、搭載板81において接続されている高周波回路素子91〜95間の配線と基板80との間の寄生容量が低減され、ひいては、より一層電気損失が低減されるなどの利点が得られる。
【0094】
さらに、本実施の形態によれば、搭載板81が用いられ、高周波回路素子91〜95が搭載板81に搭載されているので、その機械的強度を高めることができる。
【0095】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0096】
例えば、搭載板に搭載する高周波回路素子としては、例えば、抵抗やメカニカルフィルタなどでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による高周波回路コンポーネントの犠牲層の除去前の状態を示す概略平面図である。
【図3】図2中のA−A’線に沿った概略断面図である。
【図4】図2中のB−B’線に沿った概略断面図である。
【図5】図2中のC−C’線に沿った概略断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の他の変形例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略平面図である。
【図12】図11中のD−D’線に沿った概略断面図である。
【図13】図11中のE−E’線に沿った概略断面図である。
【図14】図11中のF−F’線に沿った概略断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略正面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを模式的に示す概略斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態による高周波回路コンポーネントを示す概略断面図である。
【図18】図15中のG−G’線に沿った概略断面図である。
【図19】図15中の搭載板に搭載された回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0098】
1,41 基板
2,93,94 コイル
3,43 搭載板
4 支持板
31 コンデンサ
42,91,92 メカニカルスイッチ
95 可変コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、1つ以上の高周波回路素子と、誘電体からなる薄膜で構成され前記1つ以上の高周波回路素子を搭載した搭載板と、前記基板と前記搭載板との間を機械的に接続して前記搭載板を前記基板から浮いた状態に支持する支持部と、を備えたことを特徴とする高周波回路コンポーネント。
【請求項2】
前記基板が導電性を有することを特徴とする請求項1記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項3】
前記1つ以上の高周波回路素子及び前記支持部が薄膜で構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項4】
前記搭載板の周縁部の全体又は一部に沿って段差が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項5】
前記1つ以上の高周波回路素子の数が2つ以上であり、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも2つの高周波回路素子の間が、前記搭載板上において電気的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項6】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、コイルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項7】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、固定又は可変のコンデンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項8】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、メカニカルスイッチであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項1】
基板と、1つ以上の高周波回路素子と、誘電体からなる薄膜で構成され前記1つ以上の高周波回路素子を搭載した搭載板と、前記基板と前記搭載板との間を機械的に接続して前記搭載板を前記基板から浮いた状態に支持する支持部と、を備えたことを特徴とする高周波回路コンポーネント。
【請求項2】
前記基板が導電性を有することを特徴とする請求項1記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項3】
前記1つ以上の高周波回路素子及び前記支持部が薄膜で構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項4】
前記搭載板の周縁部の全体又は一部に沿って段差が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項5】
前記1つ以上の高周波回路素子の数が2つ以上であり、前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも2つの高周波回路素子の間が、前記搭載板上において電気的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項6】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、コイルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項7】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、固定又は可変のコンデンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【請求項8】
前記1つ以上の高周波回路素子のうちの少なくとも1つの高周波回路素子は、メカニカルスイッチであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高周波回路コンポーネント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−324494(P2007−324494A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155497(P2006−155497)
【出願日】平成18年6月3日(2006.6.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月3日(2006.6.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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