説明

高周波回路及びテレビジョンチューナ

【課題】集積回路に外付けされるフィルタでの入出力端子間の容量結合を回避してフィルタ本来の伝送特性を確保すると共に実装スペースを有効活用すること。
【解決手段】このテレビジョンチューナは、それぞれ対向する2つの長辺10a,10b並びに2つの短辺10c,10dからなる方形状の集積回路10と、集積回路10の短辺10dに隣接して設けられ前記長辺10a側に入力端子24a,24bが位置すると共に他方の長辺10b側に出力端子28a,28bが位置するように配置されたSAWフィルタ15とを備える。集積回路10の一方の長辺10aであってSAWフィルタ15寄りの位置にSAWフィルタ15の入力端子24a,24bに接続されるIC出力端子22a,22bを設け、集積回路10の他方の長辺10bであってSAWフィルタ15寄りの位置にSAWフィルタ15の出力端子28a,28bに接続されるIC入力端子26a,26bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路に高周波フィルタを併設する高周波回路及び該高周波回路を備えたテレビジョンチューナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、UHF帯のテレビジョンまたはVHF帯のテレビジョン信号を中間周波帯のテレビジョン信号に周波数変換する混合器と、前記中間周波数帯のテレビジョン信号を増幅する中間周波増幅器とを備え、前記中間周波帯に隣接するチャンネルの映像中間周波信号と音声中間周波信号とを減衰するトラップを有するSAWフィルタを前記混合器と前記中間周波増幅器との間に設けたテレビジョンチューナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2は、特許文献1に記載されたテレビジョンチューナの構成図である。図示しない同調回路等によって選択されたUHF帯またはVHF帯の特定チャンネルのテレビジョン信号が入力端101aから混合器101に入力され、局部発振器102からの局部発振信号が当該混合器101に入力される。混合器101では入力されたUHF帯のテレビジョン信号あるいはVHF帯のテレビジョン信号が局部発振信号と混合されることによって中間周波帯のテレビジョン信号に周波数変換される。ここで、中間周波帯のテレビジョン信号を単に中間周波信号という。混合器101からの中間周波信号は、中間周波バンドパスフィルタであるSAW(表面弾性波)フィルタ103を経て中間周波増幅器104に入力される。中間周波増幅器104に入力された中間周波信号は、増幅された後、同期検波回路を有する映像検波器105で検波され、映像検波器105から映像信号Vが出力される。
【0004】
図3に示すように、混合器101、中間周波増幅器104、映像検波器105を一つの集積回路108で構成し、この集積回路108に混合器101の出力端子101b、101cおよび中間周波増幅器104の入力端子104a、104bを設ける。SAWフィルタ103の入力端103a、103bは、コンデンサ106を介して混合器101の出力端101b、101cに接続し、また、SAWフィルタ103の出力端103c、103dはコンデンサ107を介して中間周波増幅器104の入力端104a、104bに接続する。
【0005】
このような構成を採用することにより、SAWフィルタ103を簡単に接続できる構成となると共に、中間周波増幅器104と映像検波器105とを直結可能となり集積回路108の構成も簡単になる。
【特許文献1】特開平11−69245号公報
【特許文献2】特開2003−318754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のテレビジョンチューナは、集積回路108の片側辺に出力端子101b、101cと入力端子104a、104bとを隣接して設けているので、SAWフィルタ103の入力側と出力側とが容量結合して、SAWフィルタ本来の伝送特性を得ることができないという問題があった。
【0007】
また、集積回路108の片側辺に設けられた出力端子101b、101c及び入力端子104a、104bの端子ピッチ(例えば、0.5mm〜0.65mm)に比べて、SAWフィルタ103の端子ピッチ(例えば、1.78mm〜2.5mm)の方が大幅に大きい為、SAWフィルタ103及び周辺部品の配置を行う上で実装スペースを有効に活用することが難しいといった問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、集積回路に外付けされるフィルタにおける入出力端子間の容量結合を回避してフィルタ本来の伝送特性を確保できると共に実装スペースを有効活用可能な高周波回路及びテレビジョンチューナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高周波回路は、それぞれ対向する第一及び第二の辺並びに第三及び第四の辺からなる方形状の集積回路と、前記集積回路の一辺であって前記第一及び第二の辺に挟まれた前記第三の辺に隣接して設けられ前記第一の辺側に入力端子が位置すると共に前記第二の辺側に出力端子が位置するように配置された高周波フィルタとを備え、前記集積回路の第一の辺であって高周波フィルタ寄りの位置に前記高周波フィルタの入力端子に接続される第一の端子を設け、前記集積回路の第二の辺であって高周波フィルタ寄りの位置に前記高周波フィルタの出力端子に接続される第二の端子を設けたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、全体が方形状をなす集積回路の対向する第一の辺に第一の端子を設け、集積回路の第二の辺に第二の端子を設けたので、集積回路の入出力端子となる第一の端子と第二の端子との間に容量結合回路が形成されなくなり、高周波フィルタの入出力端が容量結合して伝送特性が劣化するといった不具合を防止できる。また、第一の端子と第二の端子とは少なくとも第三の辺と同程度の間隔が確保されるので、集積回路の入出力端子を隣接して設ける構造に比べて、端子ピッチを高周波フィルタの寸法に適した間隔にすることができ、実装スペースを有効に活用することができる。
【0011】
上記高周波回路において、前記高周波フィルタをSAWフィルタで構成することができる。また、前記第一の端子及び前記第二の端子に隣接する各周辺端子をローインピーダンスにすることが望ましい。
【0012】
本発明のテレビジョンチューナは、上記高周波回路を備え、前記集積回路においてテレビジョン信号を中間周波信号に変換した後、前記第一の端子から前記高周波フィルタへ入力し、当該高周波フィルタで不要周波数成分を除去した後、前記第二の端子から再び前記中間周波信号を前記集積回路に取り込み、デジタルテレビの信号処理に最適な出力信号を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、集積回路に外付けされるフィルタでの入出力端子間の容量結合を回避してフィルタ本来の伝送特性を確保できると共に実装スペースを有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るテレビジョンチューナの集積回路及びその周辺回路の配置図である。なお、テレビジョンチューナ全体の構成は、図2に示すものと基本的に同じであるので、説明は省略する。
【0015】
集積回路10は、図示していないテレビジョンチューナの回路基板上に設置されている。この集積回路10は、左右一対の長辺10a,10bと上下一対の短辺10c,10dとを有する長方形状をなしている。本例では一対の長辺10a,10bが第一及び第二の辺となり、一対の短辺10c,10dが第4及び第3の辺となる。なお、集積回路10が正方形の場合は長辺、短辺の区別は無くなる。集積回路10内には、混合器11、第1の中間周波増幅器12、第2の中間周波増幅器13、可変利得増幅器14及びその他のビデオ信号を得るための回路要素が組み込まれている。
【0016】
集積回路10と同一回路基板上であって集積回路10の短辺10dと対向する近接位置にはSAWフィルタ15が配置されている。
【0017】
集積回路10の一方の長辺10aには、アンテナ側から供給されるRF信号が印加されるRF入力端子21と、第2の中間周波増幅器13の平衡出力を集積回路外へ取り出すための第一の端子となるIC出力端子22a,22bと、が設けられている。また、IC出力端子22a,22bを挟むようにしてグラウンド端子23a,23bが設けられている。IC出力端子22a,22bはSAWフィルタ15の入力端子24a,24bに対して配線パターン25a,25bを介して接続されている。
【0018】
一方、集積回路10の他方の長辺10bには、SAWフィルタ15の出力信号を集積回路内に取り込むための第二の端子となるIC入力端子26a,26bが所定の端子ピッチにて設けられている。また、IC入力端子26a,26bを挟むようにグラウンド端子27a,27bが設けられている。SAWフィルタ15の出力端子28a,28bは配線パターン29a,29bを介してIC入力端子26a,26bに接続される。
【0019】
集積回路10の他方の長辺10bに対向する近接位置に結合回路30が配置されている。第1の中間周波増幅器12の不平衡出力を集積回路外へ取り出す出力端子31aと、結合回路30の不平衡出力を集積回路内に取り込む入力端子31bとが設けられている。
【0020】
図1に示すように、集積回路10内において、混合器11、第1の中間周波増幅器12及び第2の中間周波増幅器13は、一方の長辺10a側に配置され、可変利得増幅器14は他方の長辺10b側に配置されている。そして、集積回路10の背面には一方の長辺10a側と他方の長辺10b側とを中央から分離するようにグラウンドパターン41が形成されている。このグラウンドパターン41はSAWフィルタ15まで延長されていて、SAWフィルタ15の一方の短辺(一方の長辺10aと同一側)に設けた入力端子24a、24bと、他方の短辺(他方の長辺10bと同一側)に設けた出力端子28a、28bとをSAWフィルタ15の中央から分離している。
【0021】
また、一方の長辺10a側のグラウンド端子23aと他方の長辺10b側のグラウンド端子27aとを結ぶグラウンドパターン42が水平方向に形成されている。さらに、一方の長辺10a側のグラウンド端子23bと中央のグラウンドパターン41とを連結するグラウンドパターン43が水平方向に形成されている。他方の長辺10b側のIC入力端子26bに隣接するグラウンド端子27bはコンデンサ44を介してグラウンドパターン41に接続することで高周波的に接地されている。
【0022】
以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
特定チャンネルのテレビジョン信号がRF入力端子21から集積回路10内に取り込まれ、混合器11において局部発振信号と混合されることによって中間周波信号に周波数変換される。混合器101から出力された中間周波信号は、第1の中間周波増幅器12で増幅された後、出力端子31aから結合回路30へ不平衡出力される。結合回路30において受信選択チャンネルの下側隣接チャンネル周波数成分を除去した後、再び中間周波信号が集積回路10の入力端子31bに不平衡入力される。集積回路10の入力端子31bに印加された中間周波信号は第2の中間周波増幅器13に入力される。そして、第2の中間周波増幅器13で増幅された中間周波信号はIC出力端子22a,22bから集積回路10外のSAWフィルタ15へ平衡出力される。SAWフィルタ15において中間周波信号からデジタルテレビ信号成分が抽出される。SAWフィルタ15において抽出されたデジタルテレビ信号成分の中間周波信号は出力端子28a,28bから出力されて集積回路10のIC入力端子26a,26bに印加される。集積回路10のIC入力端子26a,26bに印加された中間周波信号は可変利得増幅器14でゲイン調整された後、不図示のデジタルテレビ用検波回路へ供給されて復調される。
【0023】
本実施の形態では、SAWフィルタ15の入力端子24a,24bに接続される集積回路10のIC出力端子22a,22bを集積回路10の一方の長辺10aに設けると共に、SAWフィルタ15の出力端子28a,28bに接続される集積回路10のIC入力端子26a,26bを集積回路10の他方の長辺10bに設けている。したがって、集積回路10のIC出力端子22a,22bと集積回路10のIC入力端子26a,26bとが反対側の長辺10a,10bに分離して配置されるので、集積回路10のIC出力端子22a,22bとIC入力端子26a,26bとが容量結合する不具合を解消でき、SAWフィルタ15の入力端子24a,24bと出力端子28a,28bとの間に容量結合回路が構成されることによる、SAWフィルタ15の伝送特性の劣化を防止することができる。
【0024】
また、集積回路10のIC出力端子22a,22bとIC入力端子26a,26bとを反対側の長辺10a,10bに分離して配置したことで、集積回路側の入出力端子の端子ピン間隔を、SAWフィルタ15の寸法に適した大きさにすることができ、実装スペースを有効活用することができるようになった。
【0025】
また、本実施の形態では、IC出力端子22a,22bとIC入力端子26a,26bとの間にグラウンドパターン41を配置し、しかもIC出力端子22a,22bに隣接する端子(グラウンド端子23a,23b)を接地する共に入力端子26aに隣接する端子(グラウンド端子27a)は接地し、入力端子26bに隣接する端子(グラウンド端子27b)は高周波的に接地した。これにより、IC出力端子22a,22b及びIC入力端子26a,26bに隣接する端子をローインピーダンス化することができ、回路間の干渉を防止することができる。
【0026】
以上の説明では、集積回路10のIC出力端子22a,22bとIC入力端子26a,26bとの間に接続されるフィルタとしてSAWフィルタ15を例にして説明したが、その他のフィルタであっても良い。また、本発明はテレビジョンチューナの集積回路に限定されず、集積回路に対して所望特性の高周波フィルタが接続される高周波回路であれば同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、集積回路に高周波フィルタを併設するテレビジョンチューナに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態に係るテレビジョンチューナの集積回路及びその周辺回路の構成図
【図2】従来のテレビジョンチューナの機能ブロック図
【図3】図2に示すテレビジョンチューナの集積回路及びその周辺回路の構成図
【符号の説明】
【0029】
10…集積回路、10a,10b…集積回路の長辺、10c,10d…集積回路の短辺、11…混合器、12…第1の中間周波増幅器、13…第2の中間周波増幅器、14…可変利得増幅器、15…SAWフィルタ、21…RF入力端子、22a,22b…IC出力端子、23a,23b…グラウンド端子、24a,24b…SAWフィルタの入力端子、25a,25b…配線パターン、26a,26b…IC入力端子、27a,27b…グラウンド端子、28a,28b…SAWフィルタの出力端子、29a,29b…配線パターン、30…結合回路、31a…出力端子、31b…入力端子、41、42、43…グラウンドパターン、44…コンデンサ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ対向する第一及び第二の辺並びに第三及び第四の辺からなる方形状の集積回路と、前記集積回路の一辺であって前記第一及び第二の辺に挟まれた前記第三の辺に隣接して設けられ前記第一の辺側に入力端子が位置すると共に前記第二の辺側に出力端子が位置するように配置された高周波フィルタと、を備え
前記集積回路の第一の辺であって高周波フィルタ寄りの位置に前記高周波フィルタの入力端子に接続される第一の端子を設け、前記集積回路の第二の辺であって高周波フィルタ寄りの位置に前記高周波フィルタの出力端子に接続される第二の端子を設けたことを特徴とする高周波回路。
【請求項2】
前記高周波フィルタは、SAWフィルタであることを特徴とする請求項1記載の高周波回路。
【請求項3】
前記第一の端子及び前記第二の端子に隣接する各周辺端子をローインピーダンスにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高周波回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の高周波回路を備え、前記集積回路においてテレビジョン信号を中間周波信号に変換した後、前記第一の端子から前記高周波フィルタへ入力し、当該高周波フィルタで不要周波数成分を除去した後、前記第二の端子から再び前記中間周波信号を前記集積回路に取り込み、デジタルテレビの信号処理に最適な出力信号を得ることを特徴とするテレビジョンチューナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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