説明

高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法及びその装置

【課題】高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法及びその装置を提供する。
【解決手段】連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を設け、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることからなる、高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法、及びその連続混合装置。
【効果】有機溶媒の排出が少ない、低環境負荷型の、高粘度有機性流体の加工方法及びその装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、高圧二酸化炭素連続混合による、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の加工方法であって、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させるための、上記高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合プロセス及び装置に関するものである。本発明は、多量の有機溶媒を使用する既存法による高粘度有機性流体の加工技術に代替することが可能で、有機溶媒の使用を劇的に低減することを実現可能とする新しい高粘度有機性流体の加工技術であって、有機溶媒の排出が少ない、低環境負荷型の、高圧二酸化炭素連続混合による新しい高粘度有機性流体の加工方法及びその装置に関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリマーをコーティングする方法として、噴霧技術が広く用いられており、該コーティング技術は、最終的な製品形態によって、製膜技術、若しくは微粒化技術に区分される。ポリマーの多くは、単体では流動性が乏しいため、真溶剤と言われる有機溶媒に溶解して、高粘度有機性流体として流動性を確保している。この状態でも、有機性流体は、粘度が高いことが多いため、更に、希釈溶剤として、同様に、有機溶媒を加えて、噴霧可能な粘度まで低下させて、連続噴霧をしている。この技術の代表例が、スプレー塗装や、スプレー塗工である。
【0003】
近年、有機溶媒の代替として、超臨界条件を含む高圧COを、高粘度有機性流体に混合し、有機性流体の粘性を低下させて、高圧条件から、塗装、若しくは塗工するプロセスが提案されている(特許文献1、非特許文献1)。本方式では、高圧COが、有機溶媒と同様な溶媒特性を有することから、スプレー塗装や、スプレー塗工では、塗料及び高圧COを連続的に供給し、塗料に対して、約30%程度の高圧COを混合・溶解して、塗料粘度を低下させ、高圧環境から、大気圧へ噴霧する、低環境負荷型の塗装装置を提案している。ここで示す塗料とは、一般的な塗装で用いられる塗料の他、有機及び無機を含む有機ポリマー単独、若しくはそれらのオリゴマーや有機溶媒で希釈されたものを広く含むものである。
【0004】
また、同様に、樹脂を溶融させた高粘度有機性流体を、高圧供給し、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体中に、高圧COを溶解して、粘性を低下させ、高圧環境から、大気圧へ噴霧して、樹脂の微粒子を製造するプロセスが提案されている(特許文献2、非特許文献2−4)。この方法は、PGSSTM(Particle from Gas−Saturated Solutions)と称されており、初期は、オートクレーブ中で、高圧COを飽和溶解させた溶融樹脂を、大気圧へ噴霧する方式が提案されていたが、近年、溶融樹脂及び高圧COを、それぞれ、連続的に供給する方式が報告されている(非特許文献5)。
【0005】
これらの技術は、両技術ともに、高圧COを、粘性低下媒体として、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体中に溶解させ、高圧環境から、大気圧へ噴霧するプロセスである。これらのプロセスでは、噴霧ノズルから大気放出の過程で、減圧を生じ、ほとんどのCOは、液体中から脱離する。また、大気中に噴出された液滴中にも、COは溶解しており、これらが気化することによる微細化効果も生じると考えられる。
【0006】
しかしながら、これらのプロセスは、両技術ともに、既存法では、多量の有機溶媒を使用するプロセスであり、これらのプロセスが、高圧COによる噴霧プロセスへの転換が可能となれば、有機溶媒の使用量を劇的に低減することができると考えられ、また、特に、スプレー塗装やスプレー塗工は、非常に多くの分野で使用されているため、広範囲における適用と展開が期待されると考えられることから、当技術分野においては、そのような有機溶媒の使用量を劇的に低減することを可能にする、高圧COによる噴霧、製膜、又は微粒化に関する新しいプロセス技術を開発することが強く要請されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−258770号公報
【特許文献2】Weidner,E.,Knez,Z and Novak,Z.,1994,欧州特許第940079号(日本特許第3510262号)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】鈴木ら、「塗装工学」、Vol.44、No.7、230−237 (2009)
【非特許文献2】Sencar−Bozic,P.,Srcic,S.,Knez,Z.and Kerc,J.,“Improvement of nifedipine dissolution characteristics using supercritical CO2”,Int.J.Pharm.148,123−130(1997)
【非特許文献3】Kerc,J.,Srcic,S.,Knez,Z.and Sencar−Bozic,P.,“Micronization of drugs using supercritical carbon dioxide”,Int.J.Pharm.182,33−39(1999)
【非特許文献4】Weidner,E.,“high pressure micronization for food applications”,J.Supercrit.Fluids 47,556−565(2009)
【非特許文献5】Weidner,E.,Petermann,M.and Knez,Z.,“Multifunctional composites by high−pressure spray processes”,Curr.Opin.Solid State Mat.Sci.7,385−390(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、多量の有機溶媒を使用する既存法による高粘度有機性流体の加工技術に代替することが可能で、有機溶媒の使用を劇的に低減することを実現可能とする新しい高粘度有機性流体の加工技術を開発することを目標として、鋭意研究を重ねた結果、高圧二酸化炭素連続混合による新しい高粘度有機性流体の加工方法を確立することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、高圧二酸化炭素連続混合による、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の加工方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させるための、上記高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合プロセス及び装置を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、上記高粘度有機性流体を、上記高圧二酸化炭素の連続混合により、高圧環境から噴霧するプロセス、製膜するプロセス、並びに微粒化するプロセスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、
高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を設け、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることを特徴とする高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法。
(2)上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力の1から5MPaの範囲の高い圧力に設定する、前記(1)に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(3)上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積を、最小化する、前記(1)又は(2)に記載の高粘度有機性流体との加工方法。
(4)上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブの圧力損失を付与する機構を設け、高圧二酸化炭素の供給流量が低流量条件の場合に、1次圧力調節弁の制御性を向上させる、前記(1)から(3)のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(5)連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を設け、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御することを特徴とする高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法。
(6)上記高圧プロセスにおいて、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力の上昇を回避する、前記(5)に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(7)上記高圧プロセスにおいて、
溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の場合に、混合前高圧二酸化炭素の1次圧力制御弁を有し、高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設ける、前記(1)から(4)のいずれかに記載の高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合方法。
(8)上記加工プロセスにおいて、
高粘度有機性流体を、高圧環境から噴霧・微粒化するプロセスで、高粘度有機性流体を加工する、前記(1)から(7)のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(9)上記加工プロセスにおいて、
高粘度有機性流体を、製膜するプロセスで、高粘度有機性流体を加工する、前記(1)から(7)のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(10)上記高圧プロセスにおいて、
高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素とを、連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーである、前記(1)から(9)のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(11)上記高圧プロセスにおいて、
高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、又はスワールミキサーである、前記(10)に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
(12)連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する高圧混合部を有する連続混合装置であって、
高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を有し、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、供給流量を安定化させるようにしたことを特徴とする高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合装置。
(13)上記装置において、
1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積が、最小化されている、前記(12)に記載の連続混合装置。
(14)上記装置において、
1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブの圧力損失を付与する機構が設けられている、前記(12)に記載の連続混合装置。
(15)連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する混合部を有する連続混合装置であって、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を有し、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御するようにしたことを特徴とする高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合装置。
(16)上記装置において、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力上昇を回避するようにした、前記(15)に記載の連続混合装置。
(17)上記装置において、
高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設けた、前記(12)から(16)に記載の連続混合装置。
(18)上記装置において、
高圧二酸化炭素を連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーである、前記(12)から(17)のいずれかに記載の連続混合装置。
(19)上記装置において、
高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、又はスワールミキサーである、前記(18)に記載の連続混合装置。
【0012】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を設け、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合器にて混合する高圧混合部を有する連続混合装置であって、高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を有し、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、供給流量を安定化させるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、本発明を開発するに至った背景について具体的に説明すると、一般に、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体は、COに比べて、高粘度である。このような高粘度有機性流体の多くは、任意の温度、例えば、塗装では、常温から40℃程度、溶融樹脂の微粒化では、100〜300℃程度、における圧力を変化させた場合の密度変化は、COに比べて、非常に小さいものである。更に、COの供給量は、高粘度有機性流体の供給量に対して、30wt%程度と低いのが通常である。このように、高粘度有機性流体及び二酸化炭素のような、粘度差、流量差を有する高粘度有機性流体及び二酸化炭素の2種類の流体混合においては、基本的問題として、安定的に、連続的に流体混合を行うことは困難であった。
【0015】
ここで、具体例に則して更に説明するために、図1に、スプレー塗装に関して、高粘度有機性流体と高圧COの混合プロセスの一例として、二酸化炭素塗装に用いる、既存の装置概略を示す。図1より、塗料は、塗料ポンプから供給し、塗料加熱器において、所定の温度まで加熱する。プロセス圧力P4の制御は、噴霧ノズル穴径、流体流量、及び粘度によって決定される。COは、COポンプで供給し、同様に、加熱器において、所定の温度まで加熱する。それぞれの流体は、ミキサーMX−1で混合される。塗料流量に対してCO流量は30wt%程度である。塗装の既往の報告では、このミキサーとして、スタティックミキサーを用いている(特許文献1)。
【0016】
図2に、溶融樹脂を含む高粘度有機流体へのCO混合、噴霧・微粒化技術に用いる、既存の装置概略を示す。図2より、ペレット状の樹脂を、樹脂ホッパーに投入し、エクストルーダーで加熱溶融させる。溶融樹脂を含む高粘度有機性流体を、ギアポンプで、高圧条件にて定量供給する。溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の通るラインは、CO混合後も含めて、ヒートトレースされている。COは、COポンプで供給し、任意の温度まで加熱した後、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、ミキサーMX−1で混合する。溶融樹脂を含む高粘度有機性流体流量に対して、CO流量は、30wt%程度である。このプロセスは、混合後流体を、大気圧に噴霧し、微粒子を得るプロセスを有している。本プロセスのミキサーにも、既往の報告では、スタティックミキサーが用いられている(非特許文献5)。
【0017】
スタティックミキサーは、流路を多段分割して混合を行うものであり、比較的高流量のケースには、広く用いられている。しかし、迅速混合性能は、それほど良くない。混合状態が不十分な場合、混合後流体において、例えば、上部をCOが、下部を有機性流体が2つの相を形成して流れることが見られ、あるいは、COが混合して、粘性が低下した有機性流体と、COの混合が悪くて、粘性が低下していない有機性流体が、交互に流れるような状態となる場合も見られる。この現象は、噴霧プロセスの場合においては、流体性状の不連続性に起因した間欠流となり、プロセス圧力の変動を生じ、その結果、安定した噴霧が行われない原因となる。
【0018】
図1の噴霧プロセスを例とした場合の、CO供給圧力P1、溶液供給圧力P2、プロセス圧力P4の関係について、図3に示す。高粘度有機性流体の粘度が高い場合は、COとの粘度差が大きくなるため、ミキサーの混合性能によって、プロセス圧力の変動は大きく影響を受ける。図3に示すように、プロセス圧力が変動した場合、高粘度である溶液供給圧力は、容易に変動に追従するが、COは低流量であり、かつ一定温度で圧力に対する密度変化量が大きいため、昇圧に時間を要する。例えば、35℃の条件で、12MPaから14MPaにプロセス圧力が変動した場合について、有機性流体をトルエンとして、COとの昇圧速度について、比較を行った。
【0019】
温度35℃、一定で、12MPaから14MPaの間の密度変化は、トルエンが0.00151g/cc、COが0.03434g/ccであり、COは、トルエンの密度変化に対して、23倍大きいことが分かる。更に、CO供給流量は、トルエン流量に対して、30wt%程度である。よって、COは、トルエンに対して、同じ容積を、12MPaから14MPaまで昇圧する時間は、76倍必要になる。
【0020】
具体例に則して説明するために、トルエン、COそれぞれの混合器までの配管内容積を100cc、トルエン流量を30g/min、CO流量を9g/min(トルエン流量の30wt%)、とする。35℃で、12MPaから14MPaまでの昇圧時間は、トルエンが0.3s、COが22sとなる。従って、トルエンは、プロセス圧力変動にほぼ追従して、連続的に30g/minの流量が混合器以降にも供給される。しかし、COは、トルエンに対して、昇圧時間が長くかかるため、プロセス圧力変動に追従することができない。
【0021】
すなわち、CO供給圧力が、プロセス圧力より低い区間は、COポンプから混合器までの容積の昇圧に、ポンプから供給されるCOは使用され、混合器以降に、COは流出しない。プロセス圧力が、CO供給圧力と同じ圧力まで下降した際に、COは、混合器以降に供給される。再度、プロセス圧力が上昇し始めると、CO昇圧速度が、プロセス圧力変動に追従できずに、混合器以降に、COは流れず、ポンプから混合器までの容積の昇圧に費やされる。
【0022】
このような現象を生じることにより、混合器以降の流体は、COを溶解している領域と、COを溶解していない領域が、間欠的に形成され、プロセス圧力P4は、変動し、噴霧状態は不安定となる。そこで、本発明では、このような現象を回避するために、以下のような構成を採用することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させる新しい技術を確立した。
【0023】
すなわち、本発明は、連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスにおいて、高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を設け、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることを特徴とするものである。
【0024】
本発明では、上記高圧プロセスにおいて、1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力の1から5MPa、好ましくは1から2MPaの範囲で高い圧力に制御すること、また、上記高圧プロセスにおいて、1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積を、極力最小化すること、また、上記高圧プロセスにおいて、1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブなどの圧力損失を付与する機構を設け、特に、高圧二酸化炭素の供給流量が低流量条件の場合に、1次圧力調節弁の制御性を向上させること、が必要とされる。
【0025】
また、本発明は、連続的に高圧供給する、上記高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスにおいて、高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を設け、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御することを特徴とするものである。
【0026】
本発明では、上記高圧プロセスにおいて、高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力の上昇を回避すること、また、上記高圧プロセスにおいて、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の場合に、混合前高圧二酸化炭素の1次圧力制御プロセスを有し、かつ高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設けることが必要とされ、また、上記高圧プロセスにおいて、高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合方法は、高粘度有機性流体を高圧環境から噴霧・微粒化するプロセス、又は製膜するプロセスに適用される。
【0027】
本発明において、塗料とは、一般的な塗装で用いられる任意の塗料、有機及び無機を含む有機ポリマー、及び、それらのオリゴマーや有機溶媒で希釈されたものを広く含むものであり、溶融樹脂とは、一般的な樹脂を高圧二酸化炭素に溶融させた有機性流体を広く含むものであることを意味する。また、本発明においては、上記高圧プロセスにおいて、高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素を連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーであること、また、高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、スワールミキサーであること、が好ましい。
【0028】
次に、上述のプロセスで使用する装置について具体的に説明すると、本発明は、連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する高圧混合部を有する連続混合装置であって、高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を有し、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定すること、それにより、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、供給流量を安定化させるようにしたことを特徴とするものである。
【0029】
本発明では、上記装置において、1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積が、最小化されていること、また、上記装置において、1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブなどの圧力損失を付与する機構が設けられていること、が必要とされる。
【0030】
また、本発明は、連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する混合部を有する連続混合装置であって、高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を有し、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0031】
本発明では、上記装置において、高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力上昇を回避するようにしたこと、また、上記装置において、高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設けたこと、また、上記装置において、高圧二酸化炭素を連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーであること、更に、上記装置において、高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、又はスワールミキサーであること、が必要とされる。
【0032】
本発明は、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の加工方法、特に、塗料を含む高粘度有機性流体を、高圧二酸化炭素の連続混合により、高圧環境から大気中に連続噴霧するプロセス、及び、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体を、高圧二酸化炭素の連続混合により、高圧環境から連続噴霧、連続製膜、又は連続微粒化するプロセスに適用される新しいプロセス及び装置を提供するものとして有用である。本発明は、高圧二酸化炭素の連続混合が可能なものであれば、塗料又は溶融樹脂の種類に制限されることなく、広く適用し得るものであり、それらの具体的条件及び装置の具体的形状、構造については、その実施に当り、適宜、設定、設計することが可能である。
【0033】
本発明は、高圧二酸化炭素連続混合による高圧プロセスに特徴的部分を有するものであり、当該高圧プロセスに続く、噴霧操作、微粒化操作、及び製膜操作のプロセス自体は、従来法を適宜利用することが可能であり、噴霧、微粒化、及び製膜操作の過程で用いられる、あらゆる既存の手段あるいは新規の手段並びに条件を適宜使用することが可能である。本発明は、上記高圧プロセスに続く、噴霧、微粒化、及び製膜操作、並びに、これらの操作で製造される製品形態については、あらゆる操作、製品形態を対象として含むものであり、これらについては、特に制限されるものではない。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、高粘度有機性流体と、高圧二酸化炭素を混合するプロセスにおいて、粘度差及び流量差がある2流体を混合する際に、プロセスの圧力変動を生じても、昇圧速度の遅い二酸化炭素供給ラインに圧力区分を設けているため、安定的に、高圧二酸化炭素を供給することが可能となる。
(2)従って、プロセス圧力の変動を最小限にとどめることができ、プロセスの安定化が達成される。
(3)塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の加工方法において、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることができる。
(4)多量の有機溶媒を使用する既存法による高粘度有機性流体の加工技術に代替することが可能で、有機溶媒の使用を劇的に低減することを実現可能とする新しい高粘度有機性流体の加工技術を提供することができる。
(5)有機溶媒の排出が少ない、低環境負荷型の、高圧二酸化炭素連続混合による新しい高粘度有機性流体の加工方法及びその装置に関する新技術・新製品を提供することができる。
(6)連続的に供給される高圧二酸化炭素は、低流量であっても、安定的に連続供給されるため、混合後の有機性流体性況が安定し、微粒化、噴霧、製膜のいずれであっても、性能が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】既存の二酸化炭素塗装装置の概略を示す。
【図2】既存の溶融樹脂へのCO混合、噴霧・微粒化技術の装置概略を示す。
【図3】プロセス圧力の変動を示す。
【図4】二酸化炭素塗装装置の実施形態の概略を示す。
【図5】既存法による運転トレンドを示す。
【図6】本発明による運転トレンドを示す。
【図7】溶融樹脂へのCO混合による噴霧・微粒化技術の実施形態の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
本発明の好適な実施形態の一例を、以下に示す。図4に、スプレー塗装に関する実施形態を示す。図4より、高圧二酸化炭素供給ラインに、1次圧力調節弁PCV−2を設け、かつ1次圧力調節弁PCV−2からミキサーMX−1までのラインの内容積を最小化した。PCV−2の設定圧力は、ミキサーでの圧力P−4に対して、1〜5MPa、より好ましくは1〜2MPa程度高圧とした。高粘度有機性流体と二酸化炭素の混合後流体の粘性変化や二酸化炭素の安定溶解性などに起因して、プロセス圧力P−4が変動する。その変動圧力幅以上の圧力差を、PCV−2上流に確保し、二酸化炭素供給ラインに、圧力区分を設けた。
【0038】
圧力変動によって、図3に示した変動は生じるものの、密度差が大きく、かつ低流量の二酸化炭素が昇圧をする必要がある容積を最小化し、圧力区分を設けることによって、PCV−2よりも、上流容積の昇圧時間を必要としないようにした。高圧二酸化炭素の粘性は低いため、PCV−2からミキサーまでの配管は、例えば、1/16インチなどの細管を用い、ミキサーに近接して、PCV−2を設置することにより、容積を最小化した。
【0039】
また、高粘度有機性流体側の供給ラインには、PCV−4に示す2次圧力調節弁を設け、混合部の圧力を一定にする機能を有するようにした。噴霧プロセスにおいては、一定の圧力で噴霧をすることにより、噴霧状態を安定化させることができることが分かった。具体的には、高粘度有機性流体のみを供給して、PCV−4にて、混合部の圧力を10MPaに調整した。次に、COを供給すると、混合後の流量は増加するが、粘度が低下するため、圧力損失が低下した。従って、同じプロセス圧力、すなわち、噴霧圧力を得るためには、流量を増加させることになる。
【0040】
これは、高粘度有機性流体のラインに、2次圧力調節弁が設けてあるため、混合部の圧力を一定に保つために、流量を増減させていることになる。図示していないが、高粘度有機性流体及び高圧二酸化炭素は、質量流量を把握できる構成を有した方が好ましい。流量を把握できる手段は、限定するものではないが、コリオリ式質量流量計や、サーマル流量計、差圧計による流量計、面積式流量計などを用いた。
【0041】
また、ミキサーには、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーを用い、高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の安定的な迅速混合を行った。具体的には、高圧マイクロミキサーとして、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、スワールミキサーを用いた。
【0042】
図5に、既存法による二酸化炭素塗装装置の運転データを示す。図5に示すように、圧力上昇時に、混合後圧力P−3よりも、混合前CO圧力P−2の方が低い。この区間は、供給しているCOは、昇圧に費やされ、混合器以降に流通していない。混合器流入前のCO温度(CO背圧弁出口温度T−5)からも明らかなように、COが昇圧に費やされ、混合器以降に流通していない区間では、CO加熱器で加熱されるはずのCO温度上昇が抑制され、温度が低下していることが分かる。その際、COが溶解していない高粘度流体が流れるため、圧力損失が大きくなり、混合後の塗料粘度を測定している差圧データは上昇する。また、COが流通すると、粘度が低下するため、差圧も低下している。
【0043】
一方、図6に、本発明による二酸化炭素塗装装置の運転データを示す。混合前のCOラインに背圧弁を設けることにより、混合前CO圧力P−2は、混合部圧力P−3よりも高圧で、一定制御されている。CO温度T−5についても、一定温度を示し、安定して連続供給されていることが分かる。その結果、混合後塗料の粘度を示す差圧データが、既存法で見られたような大きな変動は生じていない。従って、混合後流体の性状は、安定化されたことが分かる。本実施例により、プロセス圧力の変動は生じなくなり、非常に安定した高圧プロセス操作が実現された。
【実施例2】
【0044】
溶融樹脂を含む高粘度有機性流体へのCO混合、噴霧・微粒化技術に関する、本発明の実施形態を示す。図7に、本実施例に用いた装置概略を示す。図に示されるように、高圧COラインに、1次圧力調節弁PCV−2を設置した。PCV−2からミキサーMX−1の容積は、最小化した。具体的には、高圧二酸化炭素は、粘性が低く、圧力損失の問題も生じないと考えられるため、1/16インチの細管で施工した。混合器の下流に、オリフィスを設けて、前後差圧を測定し、溶融樹脂にCOが混合することによる粘度低下挙動を、オンラインで把握することができた。
【0045】
また、混合後流体の圧力を、一定に制御するために、1次圧力調節弁PCV−3を設けることができる。これは、必須ではないものの、前述の塗料を含む高粘度有機性流体よりも、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体は高粘度であるため、混合後流体の圧力変動を、最小限に制御することに寄与する。図示していないが、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体及び高圧二酸化炭素は、質量流量を把握できる構成を加えた方が好ましい。
【0046】
流量を把握できる手段は、限定するものではなく、コリオリ式質量流量計やサーマル流量計、差圧計による流量計、面積式流量計などを用いた。また、ミキサーには、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーを用い、溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の安定的な迅速混合を行った。具体的には、高圧マイクロミキサーとして、流路多段分割型の高圧マイクロミキサーを用いた。本実施例により、プロセス圧力の変動は生じなくなり、非常に安定した高圧プロセス操作が実現された。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上詳述したとおり、本発明は、高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法及びその装置に係るものであり、本発明により、高粘度有機性流体と、高圧二酸化炭素を混合するプロセスにおいて、粘度差及び流量差がある2流体を混合する際に、プロセスの圧力変動を生じても、昇圧速度の遅い二酸化炭素供給ラインに圧力区分を設けているため、安定的に、高圧二酸化炭素を供給することが可能となる。従って、プロセス圧力の変動を最小限にとどめることができ、プロセスの安定化が達成される。塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の加工方法において、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることができる。多量の有機溶媒を使用する既存法による高粘度有機性流体の加工技術に代替することが可能で、有機溶媒の使用を劇的に低減することを実現可能とする新しい高粘度有機性流体の加工技術を提供することができる。有機溶媒の排出が少ない、低環境負荷型の、高圧二酸化炭素連続混合による新しい高粘度有機性流体の加工方法及びその装置に関する新技術・新製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、
高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を設け、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、その供給流量を安定化させることを特徴とする高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項2】
上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力の1から5MPaの範囲の高い圧力に設定する、請求項1に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項3】
上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積を、最小化する、請求項1又は2に記載の高粘度有機性流体との加工方法。
【請求項4】
上記高圧プロセスにおいて、
1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブの圧力損失を付与する機構を設け、高圧二酸化炭素の供給流量が低流量条件の場合に、1次圧力調節弁の制御性を向上させる、請求項1から3のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項5】
連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を、混合部において混合器にて混合する高圧プロセスを含む高粘度有機性流体の加工方法において、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を設け、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御することを特徴とする高圧二酸化炭素の連続混合による高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項6】
上記高圧プロセスにおいて、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力の上昇を回避する、請求項5に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項7】
上記高圧プロセスにおいて、
溶融樹脂を含む高粘度有機性流体の場合に、混合前高圧二酸化炭素の1次圧力制御弁を有し、高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設ける、請求項1から4のいずれかに記載の高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合方法。
【請求項8】
上記加工プロセスにおいて、
高粘度有機性流体を、高圧環境から噴霧・微粒化するプロセスで、高粘度有機性流体を加工する、請求項1から7のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項9】
上記加工プロセスにおいて、
高粘度有機性流体を、製膜するプロセスで、高粘度有機性流体を加工する、請求項1から7のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項10】
上記高圧プロセスにおいて、
高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素とを、連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーである、請求項1から9のいずれかに記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項11】
上記高圧プロセスにおいて、
高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、又はスワールミキサーである、請求項10に記載の高粘度有機性流体の加工方法。
【請求項12】
連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する高圧混合部を有する連続混合装置であって、
高圧二酸化炭素の供給ラインで、混合部よりも上流に、1次圧力制御弁を有し、該1次圧力調節弁の設定圧力を、混合部の圧力に混合部以降のラインで生じる変動圧力値を加えた圧力よりも大きな圧力に設定することで、高圧二酸化炭素の断続的な供給を抑制し、供給流量を安定化させるようにしたことを特徴とする高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合装置。
【請求項13】
上記装置において、
1次圧力制御弁から混合器までの配管内容積が、最小化されている、請求項12に記載の連続混合装置。
【請求項14】
上記装置において、
1次圧力調節弁の下流に、メタリングニードルバルブ、若しくはキャピラリーチューブの圧力損失を付与する機構が設けられている、請求項12に記載の連続混合装置。
【請求項15】
連続的に高圧供給する、塗料又は溶融樹脂を含む高粘度有機性流体と、同じく連続的に供給する高圧二酸化炭素を混合器にて混合する混合部を有する連続混合装置であって、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に、2次圧力調節弁を有し、実質的に高粘度有機性流体の流量を調節することで、混合器の圧力を一定に制御するようにしたことを特徴とする高粘度有機性流体と高圧二酸化炭素の連続混合装置。
【請求項16】
上記装置において、
高粘度有機性流体の供給ラインで、混合部よりも上流に設置した2次圧力調節弁の上流に、リリーフバルブを設け、高圧ポンプ吐出圧力上昇を回避するようにした、請求項15に記載の連続混合装置。
【請求項17】
上記装置において、
高圧二酸化炭素を混合した後のラインに、混合後流体の1次圧力制御弁を設けた、請求項12から16に記載の連続混合装置。
【請求項18】
上記装置において、
高圧二酸化炭素を連続混合する混合器が、マイクロ流路を用いた高圧マイクロミキサーである、請求項12から17のいずれかに記載の連続混合装置。
【請求項19】
上記装置において、
高圧マイクロミキサーが、流路多段分割型の高圧マイクロミキサー、中心衝突型マイクロミキサー、T字型マイクロミキサー、又はスワールミキサーである、請求項18に記載の連続混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86145(P2012−86145A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234730(P2010−234730)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】