説明

高圧放電ランプ及びこれを用いた光照射装置

【課題】
本願の目的は、加熱による破損を防止すると共に、過冷却による水銀未蒸発を防止した高圧放電ランプ及び光照射装置を提供することにある。
【解決手段】
第1の発明に係る高圧放電ランプは、内部に一対の電極が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部と該発光部の両端から伸びると共に箔を埋設する封止部とからなる放電管と、該封止部の両端から突出する外部リードと、該外部リードに接続された給電線と、からなる高圧放電ランプにおいて、前記放電管の外周面の少なくとも一部が外管の内周面に接触状態で配置され、前記電極の径方向にある前記放電管と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙が形成され、前記封止部の一方と外管との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射するため高圧放電ランプと、これを水冷する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤などの樹脂の硬化処理やプリント基板の露光処理のような紫外線を用いる装置には、高圧放電ランプを用いた光照射装置がある。このような光照射装置として特許文献1に記載されるものがあった。
図9は、特許文献1に記載される従来の光照射装置91のための説明図である。図9(a)は高圧放電ランプ92の長手方向に沿った断面図であり、(b)は高圧放電ランプ92の長手方向に対して垂直方向に沿ったG−G断面図である。
光照射装置91は、後述する高圧放電ランプ92を具えており、その長手方向に沿った外方に筒状のジャケット93を配置したものである。
ジャケット93は冷却水Lの流路として機能するため、小径の石英ガラス931と大径の石英ガラス932の間に流路が形成されるように小径の石英ガラス931と大径の石英ガラス932との管軸方向の両端を封止される。さらに、ジャケット93に冷却水Lを供給・排出するため、ジャケット93の両端には冷却水Lの供給路・排出路となる管状の接続管が接続される。
【0003】
高圧放電ランプ92は、放電容器として放電管を有する。放電管は発光管921と封止部922とからなる。
管状の石英ガラスからなる発光部921の内部926には、水銀などの発光金属と希ガスが封入される。発光部921の内部には、一対の電極923が放電管の中心軸に延在するように配置される。放電管の管軸方向の両端は、電極に電気的に接続される外部リード925が突出する封止部922が形成される。
【0004】
高圧放電ランプ92は、ジャケット93の中心軸に延在するように配置される。封止部922の外周には、円環状の支持部材94が配置される。これにより、高圧放電ランプ92は、小径の石英ガラス931の内周面に支持される。
【0005】
従来の高圧放電ランプ92の外部リード925には図示しない電源が接続される。ランプ92点灯時、給電された高圧放電ランプ92は電極923間の放電による発熱によって高温となる。図9に示すように高圧放電ランプ92の外方に配置されたジャケット93の内部の流路に冷却水Lを流すことによって、高温になった高圧放電ランプ92は冷却される。
【0006】
【特許文献1】特開平08−148121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9に示した光照射装置91は、高圧放電ランプ92の発光部921とジャケット93との間に長手方向に伸びる隙間があるため、高圧放電ランプ92が充分に冷却されない問題があった。このため、高圧放電ランプ92の発光部921とジャケット93とを接するように設けることが考えられる。
高圧放電ランプ92は電極923間の放電により、放電管における電極923間の径方向にある部分は加熱されるが、放電管における電極923の径方向にある部分はそれほど加熱されない。このため、単に高圧放電ランプ92とジャケット93を接するように設けた場合、放電管における電極923間の径方向にある部分は充分に冷却されるが、放電管における電極923の径方向にある部分が過冷却される。この過冷却により、電極923の周辺に水銀が未蒸発のまま残ってしまい、高圧放電ランプ92の照度低下を招く問題があった。
【0008】
そこで、本願の目的は、加熱による破損を防止すると共に、過冷却による水銀未蒸発を防止した高圧放電ランプ及び光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る高圧放電ランプは、内部に一対の電極が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部と該発光部の両端から伸びると共に箔を埋設する封止部とからなる放電管と、該封止部の両端から突出する外部リードと、該外部リードに接続された給電線と、からなる高圧放電ランプにおいて、前記放電管の外周面の少なくとも一部が外管の内周面に接触状態で配置され、前記電極の径方向にある前記放電管と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙が形成され、前記封止部の一方と外管との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る高圧放電ランプは、内部に一対の電極が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部と該発光部の両端から伸びると共に箔を埋設する封止部とからなる放電管と、該封止部の両端から突出する外部リードと、該外部リードに接続された給電線と、からなる高圧放電ランプにおいて、前記放電管の外周面の少なくとも一部が外管の内周面に接触状態で配置され、前記電極の径方向にある前記放電管と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙が形成され、前記封止部の一方の外周と外管の内周との間にベースを設け、前記ベースと前記封止部の一方との間に無機接着剤を設け、前記ベースと前記外管との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る高圧放電ランプは、第1又は第2の発明に係る高圧放電ランプにおいて、前記封止部の他方側の給電線と外管との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る高圧放電ランプは、第1又は第2の発明に係る高圧放電ランプにおいて、前記封止部の他方と外管との間にベースを設け、前記ベースと前記封止部の他方側の給電線との間に無機接着剤を設け、前記ベースと前記外管との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係る光照射装置は、第1〜4に係る高圧放電ランプを具備し、前記高圧放電ランプの外方にジャケットが配置され、前記高圧放電ランプに沿って反射鏡が配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係る高圧放電ランプは、上記特徴により、ランプ点灯時、放電管における電極間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管の破損を防止することができる。さらに、放電管における電極の径方向にある部分が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、放電管と外管の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。
【0015】
第2の発明に係る高圧放電ランプは、上記特徴により、ランプ点灯時、放電管における電極間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管の破損を防止することができる。さらに、放電管における電極の径方向にある部分が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、放電管と外管の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。また、ベースを介することにより、封止部の一方と外管とを少量の無機接着剤で固定することができるので、無機接着剤を短時間で固定することができる。このため、無機接着剤を所望の位置に設けることができ、所望の接着強度を得ることができる。
【0016】
第3の発明に係る高圧放電ランプは、上記特徴により、放電管の膨張を妨げることなく、封止部の他方からの外部リードの他方の抜けを防止することができる。
【0017】
第4の発明に係る高圧放電ランプは、上記特徴により、放電管の膨張を妨げることなく、封止部の他方からの外部リードの他方の抜けを防止することができる。
【0018】
第5の発明に係る光照射装置は、上記特徴により、高圧放電ランプから照射される紫外線を充分な照度でワークに照射することができ、所期の紫外線照射を確実に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る高圧放電ランプ2及び光照射装置1の第1の実施例を図1〜3を用いて説明する。
【0020】
図1及び図2は本発明に係る光照射装置1の説明図である。図1は高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図であり、図2は図1の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿った断面図(図1のA−A断面図)である。図2は、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0021】
本発明に係る光照射装置1は、後述する二重管構造を有する棒状の高圧放電ランプ2が光源として用いられる。高圧放電ランプ2の外方には、高圧放電ランプ2を中心軸に延在させるように円筒状のジャケット3が設けられる。これにより、図2に示すように高圧放電ランプ2の外周面とジャケット3の内周面の間に、周方向に伸びる流路31が形成される。高圧放電ランプ2の外周面の周方向に伸びる流路31は、高圧放電ランプ2を冷却するため、図1に示すように、高圧放電ランプ2の長手方向に沿って設けられる。ジャケット3は紫外線を透過する例えば石英ガラスからなる。
高圧放電ランプ2とジャケット3との間に形成された流路31に冷却水Lを供給・排出するため、高圧放電ランプ2とジャケット3の両端には、内部に冷却水Lの流路415,425を有したL字状の流路形成部材41,42が配置される。
流路形成部材41,42は、大径の口締め部411,421と小径の口締め部412,422を有しており、各口締め部411,412,421,422にはOリング413,414,423,424が設けられる。高圧放電ランプ2の長手方向において、ジャケット3は高圧放電ランプ2よりも短い。このため、高圧放電ランプ2とジャケット3の両端に配置された流路形成部材41,42は、大径の口締め部411,421のOリング413,423を介してジャケット3の外周面を保持固定し、小径の口締め部412,422のOリング414,424を介して高圧放電ランプ2の外周面を保持固定する。これにより、流路形成部材41,42の有する流路415,425は、高圧放電ランプ2とジャケット3との間に形成された流路31に連続される。
【0022】
光照射方向(図1及び図2において、高圧放電ランプ2からマスクMに向かう方向)に対して高圧放電ランプ2の背面側には、図2に示すように、例えば高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿った断面が放物状の反射面51を有する樋状の反射鏡52が配置される。樋状の反射鏡52は、その焦点を高圧放電ランプ2の中心軸に一致させ、高圧放電ランプ2の長手方向に沿うように配置される。反射鏡52の反射面51は、例えばチタニア及びシリカなどの異なる反射層を交互に蒸着させて形成した多層膜によって形成される。
【0023】
光照射方向(図1及び図2において、高圧放電ランプ2からマスクMに向かう方向)には、マスクステージ6に載置されたマスクMが配置される。高圧放電ランプ2から照射された光及び反射面51に反射された光はマスクMを透って、ワークステージ7に載置された例えばレジスト等の感光剤が塗布された液晶パネルや半導体素子などのワークWを照射する。
【0024】
図3は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図である。図3(a)は高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の高圧放電ランプ2の一方の電極231側の一部拡大図である。(c)は(a)の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿ったB−B断面図であり、(d)は(a)の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿ったC−C断面図である。図3は、図1に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0025】
本発明に係る高圧放電ランプ2は、棒状の放電管21を覆うように棒状の外管22が配置された二重管構造を有する。
放電管21は、発光部211と発光部211の両端に設けられた封止部212とからなる。例えば石英ガラスからなる発光部211の内部214には、水銀などの発光金属と希ガスが封入され、長手方向の両端に一対の例えばタングステンからなる電極231,232が対向配置される。発光部211の長手方向の両端には、封止部212,213が設けられる。放電管21の封止部212,213は、放電管21の長手方向の両端から伸びる例えば石英ガラスのパイプ体を溶融状態にして内部を減圧することにより形成されたものであり、すなわちシュリンクシール法により形成されたものである。封止部212,213の内部には電極231,232と外部リード251,252とを電気的に接続する例えばモリブデンからなる箔241,242が埋設される。封止部212,213の端部から突出する外部リード251,252には給電線261,262が電気的に接続される。
【0026】
外管22は、その中央に円筒状の中央部221と、その両端部に中央部221に比して内径寸法の大きな円筒状の拡径部222,223とからなるパイプ状である。
外管22は、その中央部221の内周面が放電管21の外周面に接触状態になるように設けられる。外管22の両端部にある拡径部222,223は電極231,232の径方向に設けられる。これにより、外管22と電極231,232の径方向にある放電管21との間に周方向に伸びる空隙27が形成され、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。すなわち、放電管21において、発光部211の内部214に位置される電極231,232(発光部211の内部214にある電極231,232の先端部から発光部211の端部まで)の外方に、過冷却防止部分217が周方向に伸びるように形成される。
外管22の拡径部223の内周面と放電管21の一方の封止部212の外周面との間には、無機接着剤281が設けられる。
【0027】
外管22は、その中央部221の内径寸法R1が放電管21の発光部211の外径寸法と同等の大きさをもつ主パイプ体と、主パイプ体より内径寸法R2が大きい拡径部222,223形成用パイプ体とからなり、拡径部222,223形成用パイプ体が主パイプ体の中心軸に一致するようにその両端に接続されることにより形成される。
外管22の内部に放電管21が挿入され、外管22の中央部221の内周面は、放電管21の外周面における電極231,232間の径方向にある部分が接触状態になる。また、外管22の拡径部222,223の内方には、電極231,232の径方向にある放電管21の過冷却防止部分217が配置される。これにより、過冷却防止部分217と拡径部222,223との間には周方向に伸びる空隙27が形成される。
外管22と放電管21における一方の外部リード251の外方にある一方の封止部212との間には、無機接着剤281が充填され、外管22と放電管21とを固定する。
【0028】
なお、上記高圧放電ランプ2の一構成例を示すと、放電管21の発光部211の内径寸法がφ3.4mm、放電管21の発光部211の外径寸法がφ7.4mm、封止部212,213の外径寸法がφ6mm、放電管21の全長が150mm、電極231,232間距離が100mm、放電管21の発光部211の内部214に位置される電極231,232部分の長さ3mm、水銀の封入量が44mg/mmであり、外管22の中央部221の外径寸法がφ9.5mm、外管22の中央部221の内径寸法R1がφ7.4mm、拡径部222,223と放電管21の過冷却防止部分217との間の大きさが3.6mmである。
ランプ2点灯時における高圧放電ランプ2の定格電圧が2000V、定格電流が1.25Aであり、ランプ2電力が2500Wである。
【0029】
高圧放電ランプ2の給電線261,262には図示しない電源に接続される。高圧放電ランプ2は、図示しない電源から給電されると、電極231,232間で放電が起きて点灯する。
ランプ2点灯時、図示しない電源から給電された高圧放電ランプ2は、電極231,232間で放電が起きることによって点灯する。ランプ2点灯時、図1に示す一対の流路形成部材41,42には図示しないポンプが接続されており、図示しないポンプによって一方の流路形成部材41の内部の流路415に冷却水Lが供給される。冷却水Lは、一方の流路形成部材41の内部の流路415と連続した高圧放電ランプ2の外面とジャケット3の内面との間の流路31に供給される。ジャケット3の流路31を流れる冷却水Lは、ジャケット3の流路31に連続した他方の流路形成部材42の内部の流路425へ排出される。
【0030】
高圧放電ランプ2の発光部211は、その内部の電極231,232間の放電によって加熱される。放電管21の外周面は外管22の中央部221の内周面に接触状態にあるため、加熱された発光部211の熱は外管22に伝熱される。外管22は、その外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、発光部211からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、放電管21の発光部211の熱は、冷却水Lによって冷却される。これにより、放電管21の発光部211における電極231,232間の径方向にある加熱される部分を充分に冷却することができ、放電管21の発光部211の加熱による破損を防止することができる。
なお、放電管21及び外管22を各々例えば石英ガラスから形成すると、その表面に微細な凹凸を有するものである。このため、放電管21の発光部211の外周面と外管22の内周面との接触状態とは、放電管21と外管22との間に微小な隙間が点在している点接触又は線接触している状態である。高圧放電ランプは、ランプ点灯時の管壁負荷が100W/cm以上であって、放電管21と外管22との間の隙間が例えば最大で100μm程度のものであっても、充分な冷却効果を得ることができる。
【0031】
電極231,232の径方向にある放電管21と外管22との間に、周方向に伸びる空隙27が形成されることにより、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。過冷却防止部分217は、その周方向にある空隙27により外管22への伝熱作用を弱められるので、冷却水Lによる過冷却を防止することができ、水銀の未蒸発による照度低下を防止できる。
【0032】
ランプ2点灯時、放電管21は電極231,232間の放電により加熱されているのに対して、外管22は冷却水Lによって冷却されている。このため、放電管21と外管22を例えば石英ガラスのように同じ材質で形成しても、電極231,232間の加熱の影響が大きい放電管21の膨張量は外管22よりも大きい。例えば、外管22と放電管21との両端を強固に固定すると膨張量の差により、高圧放電ランプ2が破損する場合があった。
このため、本実施例に係る高圧放電ランプ2は一方の封止部212と一方の拡径部222との間に無機接着剤281を充填して固定しており、他方の封止部213の外周面には無機接着剤を充填せず固定しない。これにより、ランプ2点灯時に、放電管21は他方の封止部213側に膨張することができ、放電管21の膨張を許容できる。また、ランプ2点灯時、放電管21が他方の封止部213側に膨張した状態において、電極231,232間の径方向にある外周面の部分と外管22の内周面とが接触状態になるように外管22を形成しておけば、膨張後の放電管21を好適に冷却することができる。
【0033】
高圧放電ランプ2の放電管21の内部214の電極231,232間での放電によって、発光金属から紫外線が照射される。高圧放電ランプ2から照射される紫外線には、光照射方向に向かうものと反射面51に向かうものがある。反射面51に向かった紫外線は、反射面51によって反射されることで、光照射方向に向かって照射される。このため、高圧放電ランプ2からの紫外線は結果的に光照射方向に照射される。光照射方向に向かって紫外線は、マスクMを透ってワークステージ7に載置されたワークWを照射することができる。
【0034】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、内部に一対の電極231,232が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部211と発光部211の両端から伸びると共に箔241,242を埋設する封止部212,213とからなる放電管21と、封止部212,213の両端から突出する外部リード251,252と、外部リード251,252に接続された給電線261,262と、からなる高圧放電ランプ2において、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置され、電極231,232の径方向にある放電管21と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成され、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことを特徴とする。
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置されることにより、放電管21における電極231,232間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管21の破損を防止することができる。さらに、電極231,232の径方向にある放電管21と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成されることにより、放電管21における電極231,232の径方向にある過冷却防止部分217が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことにより、放電管21と外管22の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。
【0035】
本実施例に係る光照射装置1は、上述の高圧放電ランプ2を具備し、高圧放電ランプ2の外方にジャケット3が配置され、高圧放電ランプ2に沿って反射鏡52が配置されたことを特徴とする。これにより、高圧放電ランプ2から照射される紫外線を充分な照度でワークWを照射することができ、所期の紫外線照射を確実に行なうことができる。
【0036】
本発明に係る高圧放電ランプ2の第1の実施例の別の実施例を図4を用いて説明する。
【0037】
図4は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図である。図4(a)は高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の高圧放電ランプ2の一方の電極231側の一部拡大図であり、(c)は(a)の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿ったD−D断面図である。図4は、図3に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0038】
図4に示す高圧放電ランプ2は、外管22がその内径が軸方向に向かって均一な直管状のものである点で、図3と相違する。図4の説明として、図3との相違点について述べる。
【0039】
放電管21の発光部211の直管状の中央部2111と封止部212,213との間には、発光部211の中央部2111の外径寸法R4より封止部212,213の外径寸法R3が小さくなるように、縮径部2112が設けられる。放電管21の内部に設けた電極231,232は、その径方向に放電管21の縮径部2112が位置するように配置される。
外管22は、放電管21の発光部211の中央部2111の外径寸法R4と同等の内径寸法をもつ直管状であり、放電管21の発光部211の中央部2111の外周面に設けられて接触状態になる。電極231,232の径方向にある放電管21の縮径部2112は外管22と接触しないので、縮径部2112の外周面と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成され、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。すなわち、放電管21において、発光部211の内部214に位置される電極231,232(発光部211の内部214にある電極231,232の先端部から発光部211の端部まで)の外方に、過冷却防止部分217が周方向に伸びるように形成される。
外管22と放電管21における一方の外部リード251の外方にある一方の封止部212との間には、無機接着剤281が充填され、外管22と放電管21とを固定する。これにより、外管22の内周面と放電管21の一方の封止部212の外周面との間には、無機接着剤281が設けられる。
【0040】
ランプ2点灯時、高圧放電ランプ2の発光部211は、その内部の電極231,232間の放電によって加熱される。放電管21の外周面は外管22の中央部221の内周面に接触状態にあるため、加熱された発光部211の熱は外管22に伝熱される。外管22は、その外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、発光部211からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、放電管21の発光部211の熱は、冷却水Lによって冷却される。これにより、放電管21の発光部211における電極231,232間の径方向にある加熱される部分を充分に冷却することができ、放電管21の発光部211の加熱による破損を防止することができる。
【0041】
電極231,232の径方向にある放電管21と外管22との間に、周方向に伸びる空隙27が形成されることにより、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。過冷却防止部分217は、その周方向にある空隙27により外管22への伝熱作用を弱められるので、冷却水Lによる過冷却を防止することができ、水銀の未蒸発による照度低下を防止できる。
【0042】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は一方の封止部212と外管22との間に無機接着剤281を充填して固定しており、他方の封止部213の外周面には無機接着剤を充填せず固定しない。これにより、ランプ2点灯時に、放電管21は他方の封止部213側に膨張することができ、放電管21の膨張を許容できる。また、ランプ2点灯時、放電管21が他方の封止部213側に膨張した状態において、電極231,232間の径方向にある外周面の部分と外管22の内周面とが接触状態になるように外管22を形成しておけば、膨張後の放電管21を好適に冷却することができる。
【0043】
高圧放電ランプ2の放電管21の内部214の電極231,232間での放電によって、発光金属から紫外線が照射される。高圧放電ランプ2から照射される紫外線には、光照射方向に向かうものと反射面51に向かうものがある。反射面51に向かった紫外線は、反射面51によって反射されることで、光照射方向に向かって照射される。このため、高圧放電ランプ2からの紫外線は結果的に光照射方向に照射される。光照射方向に向かって紫外線は、マスクMを透ってワークステージ7に載置されたワークWを照射することができる。
【0044】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、内部に一対の電極231,232が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部211と発光部211の両端から伸びると共に箔241,242を埋設する封止部212,213とからなる放電管21と、封止部212,213の両端から突出する外部リード251,252と、外部リード251,252に接続された給電線261,262と、からなる高圧放電ランプ2において、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置され、電極231,232の径方向にある放電管21と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成され、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことを特徴とする。
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置されることにより、放電管21における電極231,232間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管21の破損を防止することができる。さらに、電極231,232の径方向にある放電管21と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成されることにより、放電管21における電極231,232の径方向にある過冷却防止部分217が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことにより、放電管21と外管22の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。
【0045】
本実施例に係る光照射装置1は、上述の高圧放電ランプ2を具備し、高圧放電ランプ2の外方にジャケット3が配置され、高圧放電ランプ2に沿って反射鏡52が配置されたことを特徴とする。これにより、高圧放電ランプ2から照射される紫外線を充分な照度でワークWを照射することができ、所期の紫外線照射を確実に行なうことができる。
【0046】
本発明に係る高圧放電ランプ2の第1の実施例の別の実施例を図5を用いて説明する。
【0047】
図5は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図ある。図5(a)は高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の高圧放電ランプ2の一方の電極231側の一部拡大図であり、(c)は(a)の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿ったE−E断面図である。図5は、図3に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0048】
図5に示す高圧放電ランプ2は、一方の封止部212と外管22とを無機接着剤282,283によって直接固定しない点で、図3と相違する。図5の説明として、図3との相違点について述べる。
【0049】
外管22は、その中央に円筒状の中央部221と、その両端部に中央部221に比して内径寸法の大きな円筒状の拡径部222,223とからなるパイプ状である。
外管22は、その中央部221の内周面が放電管21の外周面に接触状態になるように設けられる。外管22の両端部にある拡径部222,223は電極231,232の径方向に設けられる。これにより、外管22と電極231,232の径方向にある放電管21との間に周方向に伸びる空隙27が形成され、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。すなわち、放電管21において、発光部211の内部214に位置される電極231,232(発光部211の内部214にある電極231,232の先端部から発光部211の端部まで)の外方に、過冷却防止部分217が周方向に伸びるように形成される。
【0050】
一方の外部リード251の外方にある一方の封止部212の外周と外管22の内周との間にセラミックスからなる円筒状のベース284を設けた。外管22の中央部221側におけるベース284の端部に無機接着剤282が設けられ、一方の封止部212とベース284が固定される。一方の拡径部222の端部側におけるベース284の端部の外周に無機接着剤283が設けられ、外管22とベース284が固定される。これにより、結果として、一方の封止部212と外管22は、ベース284と無機接着剤282,283を介して固定される。
【0051】
ランプ2点灯時、高圧放電ランプ2の発光部211は、その内部の電極231,232間の放電によって加熱される。放電管21の外周面は外管22の中央部221の内周面に接触状態にあるため、加熱された発光部211の熱は外管22に伝熱される。外管22は、その外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、発光部211からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、放電管21の発光部211の熱は、冷却水Lによって冷却される。これにより、放電管21の発光部211における電極231,232間の径方向にある加熱される部分を充分に冷却することができ、放電管21の発光部211の加熱による破損を防止することができる。
【0052】
電極231,232の径方向にある放電管21と外管22との間に、周方向に伸びる空隙27が形成されることにより、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。過冷却防止部分217は、その周方向にある空隙27により外管22への伝熱作用を弱められるので、冷却水Lによる過冷却を防止することができ、水銀の未蒸発による照度低下を防止できる。
【0053】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、一方の封止部212と外管22は、ベース284と無機接着剤282,283を介して固定しており、他方の封止部213の外周面には無機接着剤を充填せず固定しない。これにより、ランプ2点灯時に、放電管21は他方の封止部213側に膨張することができ、放電管21の膨張を許容できる。また、ランプ2点灯時、放電管21が他方の封止部213側に膨張した状態において、電極231,232間の径方向にある外周面の部分と外管22の内周面とが接触状態になるように外管22を形成しておけば、膨張後の放電管21を好適に冷却することができる。
【0054】
図3のように、一方の外部リード251の外方にある一方の封止部222と外管22との間に無機接着剤281を充填するためには、多量の無機接着剤281が必要である。多量の無機接着剤281を充填すると乾燥させるのに時間が掛かる。無機接着剤281は乾燥が完了するまで柔らかいので、所望の位置に無機接着剤281を充填しても、乾燥が完了するまでに無機接着剤281が変形してしまい、無機接着剤281を所望の位置に設けることができず、所望の接着強度が得られないことがある
このため、図5に示す本実施例における高圧放電ランプ2は、一方の外部リード251の外方にある一方の封止部212と外管22との間にベース284を設け、ベース284の両端部に無機接着剤282,283を設けることにより、ベース284と一方の封止部212とを固定する無機接着剤282は少量であり、ベース284と外管22とを固定する無機接着剤283は少量であるので、無機接着剤282,283を短時間で乾燥することができ、無機接着剤282,283を所望の位置に設けることができ、所望の接着強度を得ることができる。
【0055】
高圧放電ランプ2の放電管21の内部214の電極231,232間での放電によって、発光金属から紫外線が照射される。高圧放電ランプ2から照射される紫外線には、光照射方向に向かうものと反射面51に向かうものがある。反射面51に向かった紫外線は、反射面51によって反射されることで、光照射方向に向かって照射される。このため、高圧放電ランプ2からの紫外線は結果的に光照射方向に照射される。光照射方向に向かって紫外線は、マスクMを透ってワークステージ7に載置されたワークWを照射することができる。
【0056】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、内部に一対の電極231,232が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部211と発光部211の両端から伸びると共に箔241,242を埋設する封止部212,213とからなる放電管21と、封止部212,213の両端から突出する外部リード251,252と、外部リード251,252に接続された給電線261,262と、からなる高圧放電ランプ2において、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置され、電極231,232の径方向にある放電管21と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成され、封止部の一方212の外周と外管22の内周との間にベース284を設け、ベース284と封止部の一方212との間に無機接着剤282を設け、ベース284と外管22との間に無機接着剤283を設けたことを特徴とする。
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置されることにより、放電管21における電極231,232間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管21の破損を防止することができる。さらに、電極231,232の径方向にある放電管21と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成されることにより、放電管21における電極231,232の径方向にある過冷却防止部分217が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、封止部の一方212の外周と外管22の内周との間にベース284を設け、ベース284と封止部の一方212との間に無機接着剤282を設け、ベース284と外管22との間に無機接着剤283を設けたことにより、放電管21と外管22の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。また、ベース284を介することにより、封止部の一方212と外管22とを少量の無機接着剤282,283で固定することができるので、無機接着剤282,283を短時間で固定することができる。このため、無機接着剤282,283を所望の位置に設けることができ、所望の接着強度を得ることができる。
【0057】
本実施例に係る光照射装置1は、上述の高圧放電ランプ2を具備し、高圧放電ランプ2の外方にジャケット3が配置され、高圧放電ランプ2に沿って反射鏡52が配置されたことを特徴とする。これにより、高圧放電ランプ2から照射される紫外線を充分な照度でワークWを照射することができ、所期の紫外線照射を確実に行なうことができる。
【0058】
本発明に係る高圧放電ランプ2の第1の実施例の別の実施例を図6を用いて説明する。
【0059】
図6は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図であり、高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図である。図6は、図3に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0060】
図6に示す高圧放電ランプ2は、他方の封止部213とその外方に設けられた他方の拡径部223との間に有機接着剤291を設けた点で、図3と相違する。図6の説明として、図3との相違点について述べる。
【0061】
外管22は、その中央に円筒状の中央部221と、その両端部に中央部221に比して内径寸法R1の大きな円筒状の拡径部222,223とからなるパイプ状である。
外管22は、その中央部221の内周面が放電管21の外周面に接触状態になるように設けられる。外管22の両端部にある拡径部222,223は電極231,232の径方向に設けられる。これにより、外管22と電極231,232の径方向にある放電管21との間に周方向に伸びる空隙27が形成され、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。すなわち、放電管21において、発光部211の内部214に位置される電極231,232(発光部211の内部214にある電極231,232の先端部から発光部211の端部まで)の外方に、過冷却防止部分217が周方向に伸びるように形成される。
外管22と放電管21における一方の外部リード251の外方にある一方の封止部212との間には、無機接着剤281が充填され、外管22と放電管21とを固定する。これにより、外管22の内周面と放電管21の一方の封止部212の外周面との間には、無機接着剤281が設けられる。
【0062】
ランプ2点灯時の放電管21の膨張量の許容は、図6に示すように、他方の外部リード252の外方にある他方の封止部213と他方の拡径部223との間に例えばシリコーン接着剤のような有機接着剤291を充填することにより実現してもかまわない。
【0063】
ランプ2点灯時、高圧放電ランプ2の発光部211は、その内部の電極231,232間の放電によって加熱される。放電管21の外周面は外管22の中央部221の内周面に接触状態にあるため、加熱された発光部211の熱は外管22に伝熱される。外管22は、その外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、発光部211からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、放電管21の発光部211の熱は、冷却水Lによって冷却される。これにより、放電管21の発光部211における電極231,232間の径方向にある加熱される部分を充分に冷却することができ、放電管21の発光部211の加熱による破損を防止することができる。
【0064】
電極231,232の径方向にある放電管21と外管22との間に、周方向に伸びる空隙27が形成されることにより、電極231,232の径方向にある放電管21に過冷却防止部分217が形成される。過冷却防止部分217は、その周方向にある空隙27により外管22への伝熱作用を弱められるので、冷却水Lによる過冷却を防止することができ、水銀の未蒸発による照度低下を防止できる。
【0065】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、一方の封止部212と外管22との間に無機接着剤281を充填して固定している。これに対し、他方の外部リード252の外方にある他方の封止部213と外管22との間には、有機接着剤291が充填されている。シリコーン接着剤のような有機接着剤291は無機接着剤281に比べて、柔軟性を有している。このため、ランプ2点灯時、一方の封止部212と外管22とが無機接着剤281で強固に固定されているので、放電管21は他方の封止部213側に膨張し、放電管21の膨張量は有機接着剤291の柔軟性により吸収することができる。また、ランプ2点灯時、放電管21が他方の封止部213側に膨張した状態において、電極231,232間の径方向にある外周面の部分と外管22の内周面とが接触状態になるように外管22を形成しておけば、膨張後の放電管21を好適に冷却することができる。
【0066】
高圧放電ランプ2は、その封止部212,213に例えばモリブデンからなる箔241,242が埋設され、この箔241,242に外部リード251,252が例えば溶接により電気的に接続される。このため、封止部212,213には、外部リード251,252が一部埋設される。外部リード251,252は箔241,242に比して厚みの大きな棒状であるため、外部リード251,252の封止部212,213に埋設された部分と封止部212,213との間には、充分に密着されない部分がある。
封止部212,213の管軸方向の端部が大気にさらされる環境で使用される場合、外部リード251,252の外方にある充分に密着されていない部分から大気が進入することになる。
図3に示す高圧放電ランプ2の他方の封止部213側のように、他方の封止部213の外周面と外管22の拡径部223との間に何も設けていないので、ランプ2点灯中、導電された他方の外部リード252は高温となる。このため、高温となった他方の外部リード252と箔242との溶接部分が進入した大気によって酸化され、破損する問題があった。
図6に示す高圧放電ランプ2のように、少なくとも一方の外部リード251と一方の箔241とが溶接された部分の外方にある一方の封止部222の外周面と外管22の内周面との間に周方向に伸びる無機接着剤281が設けられる。また、少なくとも他方の外部リード252と他方の箔242とが溶接された部分の外方にある他方の封止部223の外周面と外管22の内周面との間に周方向に伸びる有機接着剤291が設けられる。これらにより、封止部222,223において、外部リード251,252の電極231,232側の端部から箔241,242のその近傍にある給電線261,262側の端部までの外方に、過熱防止部分218が周方向に伸びるように形成される。すなわち、外部リード251,252と箔241,242との溶接部分の外方にある封止部222,223に過熱防止部分218が形成される。ランプ2点灯中、電極231,232周囲で発生した熱が封止部222,223に伝熱される。封止部222,223の外周面において、少なくとも過熱防止部分218の外周面に無機接着剤281及び有機接着剤291を設けたことにより、封止部の222,223の熱が無機接着剤281及び有機接着剤291を介して外管22に伝熱される。外管22はその外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、外部リード251,252からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、外部リード251,252の熱は冷却水Lによって冷却される。これにより、外部リード251,252と箔241,242とが溶接された部分を充分に冷却することができ、溶接部分の過熱による酸化を防止すると共に、酸化による破損を防止することができる。
【0067】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、内部に一対の電極231,232が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部211と発光部211の両端から伸びると共に箔241,242を埋設する封止部212,213とからなる放電管21と、封止部212,213の両端から突出する外部リード251,252と、外部リード251,252に接続された給電線261,262と、からなる高圧放電ランプ2において、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置され、電極231,232の径方向にある放電管21と外管22の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成され、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことを特徴とする。
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、放電管21の外周面の少なくとも一部が外管22の内周面に接触状態で配置されることにより、放電管21における電極231,232間の径方向にある部分を充分に冷却することができ、加熱による放電管21の破損を防止することができる。さらに、電極231,232の径方向にある放電管21と外管の内周面との間に全周に伸びる空隙27が形成されることにより、放電管21における電極231,232の径方向にある過冷却防止部分217が過冷却されることを防止でき、水銀未蒸発による照度低下を防止することができる。その上、封止部の一方212と外管22との間に無機接着剤281を設けたことにより、放電管21と外管22の膨張量の差を許容でき、膨張量の差による破損を防止することができる。
【0068】
本実施例に係る光照射装置1は、上述の高圧放電ランプ2を具備し、高圧放電ランプ2の外方にジャケット3が配置され、高圧放電ランプ2に沿って反射鏡52が配置されたことを特徴とする。これにより、高圧放電ランプ2から照射される紫外線を充分な照度でワークWを照射することができ、所期の紫外線照射を確実に行なうことができる。
【0069】
本発明に係る高圧放電ランプ2の第2の実施例を図7を用いて説明する。
【0070】
図7は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図である。図7(a)は高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の高圧放電ランプ2の長手方向に対して垂直方向に沿ったF−F断面図である。図7は、図3に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0071】
図7に示す高圧放電ランプ2は、他方の給電線262が外管22に固定された点で、図3と相違する。図7の説明として、図3との相違点について述べる。
【0072】
他方の給電線262の外周と外管22の内周との間に無機接着剤292が設けられる。これにより、他方の給電線262と外管22とが固定される。
【0073】
図3〜6に示した高圧放電ランプ2は、ランプ2点灯時、放電管21が他方の封止部213側に膨張すると、他方の封止部213の端部から突出する他方の外部リード252とこれに接続された他方の給電線262が、放電管21の他方の封止部213方向に移動される。ランプ2消灯時、冷却された放電管21が膨張前の状態に戻るとき、他方の給電線の自重などにより、他方の給電線262に引っ張られて他方の外部リード252に負荷がかかる場合がある。他方の外部リード252と他方の電極232とが他方の封止部213に埋設された他方の箔242により電気的に接続されていると、他方の外部リード252と他方の箔242との接続は弱い。このため、他方の外部リード252が他方の給電線262側に引っ張られると、他方の封止部213から他方の外部リード252が抜けてしまうという問題があった。
このため、図7に示すように、他方の給電線262の外周と外管22の内周との間に無機接着剤292が設けられることにより、ランプ2点灯時に放電管21が膨張しても、他方の給電線262は他方の外部リード252と無機接着剤292との間で撓むことになる。このため、他方の給電線262を外管22に固定しても、ランプ2点灯時の放電管21の膨張量を許容することができる。さらに、ランプ2消灯時に放電管21が冷却されても、撓んだ他方の給電線262がランプ2点灯前の状態に戻るので、他方の外部リード252が他方の給電線262側に引っ張られることを防止することができる。
【0074】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、封止部の他方213側の給電線262と外管22との間に無機接着剤を設けたことを特徴とする。これにより、放電管21の膨張を妨げることなく、他方の封止部213からの他方の外部リード252の抜けを防止することができる。
【0075】
なお、他方の給電線262の外周と外管22の内周との間に無機接着剤292を設けたことは、図3〜6の高圧放電ランプ2にいずれにおいても、他方の外部リード252の抜け防止として用いることができる。
【0076】
また、図3〜図7の高圧放電ランプ2において、一方の外部リード241に一方の給電線261の自重による負荷が大きい場合、一方の給電線261の外周と外管22の内周との間に無機接着剤292を設けることにより、負荷軽減を図ることができる。
【0077】
本発明に係る高圧放電ランプ2の第2の実施例の別の実施例を図8を用いて説明する。
【0078】
図8は図1及び図2に示した光照射装置1に用いられる高圧放電ランプ2の説明図であり、高圧放電ランプ2の長手方向に沿った断面図である。図8は、図5に示したものと同じものには同一の符号が付されている。
【0079】
図8に示す高圧放電ランプ2は、他方の封止部213の外周と外管22の内周との間にベース293を設けた点で、図5と相違する。図8の説明として、図5との相違点について述べる。
【0080】
他方の外部リード252の外方にある他方の封止部213の外周と外管22の他方の拡径部223の内周との間にセラミックスからなる円筒状のベース293を設けた。ベース293の内周と他方の給電線262の外周との間に無機接着剤294を充填して固定した。さらに、他方の拡径部223の端部側におけるベース293の端部の外周に無機接着剤295が設けられ、外管22とベース293が固定される。これにより、結果として、他方の給電線262と外管22は、ベース293と無機接着剤295を介して固定される。これにより、ランプ2点灯時に放電管21が膨張しても、他方の給電線262は他方の外部リード252と無機接着剤294との間で撓むことになる。このため、他方の給電線262を外管22に固定しても、ランプ2点灯時の放電管21の膨張量を許容することができる。さらに、ランプ2消灯時に放電管21が冷却されても、撓んだ他方の給電線262がランプ2点灯前の状態に戻るので、他方の外部リード252が他方の給電線262側に引っ張られることを防止することができる。
【0081】
本実施例に係る高圧放電ランプ2は、封止部の他方213と外管22との間にベース293を設け、ベース293と封止部の他方213側の給電線262と間に無機接着剤294を設け、ベース293と外管22との間に無機接着剤295を設けたことを特徴とする。これにより、放電管21の膨張を妨げることなく、他方の封止部213からの他方の外部リード252の抜けを防止することができる。
【0082】
図8に示す高圧放電ランプ2のように、少なくとも一方の外部リード251と一方の箔241とが溶接された部分の外方にある一方の封止部222の外周面と外管22の内周面との間に周方向に伸びる無機接着剤282及びベース284が接するように設けられる。また、少なくとも他方の外部リード252と他方の箔242とが溶接された部分の外方にある他方の封止部223の外周面と外管22の内周面との間に周方向に伸びるベース293が接するように設けられる。これらにより、封止部222,223において、外部リード251,252の電極231,232側の端部から箔241,242のその近傍にある給電線261,262側の端部までの外方に、過熱防止部分218が周方向に伸びるように形成される。すなわち、外部リード251,252と箔241,242との溶接部分の外方にある封止部222,223に過熱防止部分218が形成される。ランプ2点灯中、電極231,232周囲で発生した熱が封止部222,223に伝熱される。封止部222,223に外周面において、少なくとも過熱防止部分218の外周面に無機接着剤282及びベース284,293を接するように設けたことにより、封止部の222,223の熱が無機接着剤282及びベース284,293を介して外管22に伝熱される。外管22はその外方の流路31に冷却水Lが流れることにより、外部リード251,252からの熱を冷却水Lに伝熱する。結果として、外部リード251,252の熱は冷却水Lによって冷却される。これにより、外部リード251,252と箔241,242とが溶接された部分を充分に冷却することができ、溶接部分の過熱による酸化を防止すると共に、酸化による破損を防止することができる。
【0083】
本発明に係る高圧放電ランプ2を例えば1000時間のランプ2点灯中における溶接部分の酸化を防止するためには、溶接部分が350℃以下になるように設定することが好ましい。例えばベース284,293を設けない場合、溶接部分は約500℃まで加熱される。
このため、ベース284,293を例えばムライト(酸化アルミニウム(Al)と二酸化ケイ素(SiO)からなる化合物)で形成すれば、大気より熱伝導性が良好であるため、過熱防止部分218の熱を外管22に好適に伝熱することができる。これにより、溶着部分を約250℃にすることができ、溶接部分の酸化による破損を防止することができる。
【0084】
ベース284,293の材質としては、大気より熱伝導性が良好のものが用いられ、例えばアルミナ(Al)や窒化アルミ(AlN)のようなセラミックスが挙げられる。また、ベース284,293と給電線261,262との間に絶縁処理が施された場合、金属材料を用いることもできる。絶縁処理として、例えば給電線261,262に図示しない絶縁性の被覆材を設けることが挙げられる。また、絶縁処理として、ベース284,293を過熱防止部分218から封止部222,223の管軸方向の端部まで伸びるように設け、給電線261,262の径方向にはベース284,293を設けないことも挙げられる。
【0085】
なお、他方の外部リード252の外方にある他方の封止部213の外周と外管22の他方の拡径部223の内周との間にベース293を設け、他方の給電線262と外管22とをベース293を介して固定することは、図3〜6の高圧放電ランプ2にいずれにおいても、他方の外部リード252の抜け防止として用いることができる。
【0086】
また、図3〜8の高圧放電ランプ2において、一方の外部リード241に一方の給電線261の自重による負荷が大きい場合、一方の給電線261の外周と外管22の内周との間にベース293(図5ではベース284を用いてかまわない)を設け、一方の給電線262と外管22とをベース293(図5ではベース284を用いてかまわない)を介して固定することにより、負荷軽減を図ることができる。
【0087】
なお、上述の高圧放電ランプ2は水銀と希ガスが封入されたものに限定されるものではなく、発光金属に水銀と共に金属ハロゲン化物(ヨウ化鉄)が封入され、希ガスとしてアルゴンが封入されたものであってもかまわない。
【0088】
また、放電管21の封止方法は、石英ガラスのパイプ体を溶融状態にして圧潰するピンチシール法により形成してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る光照射装置の説明図である。
【図2】本発明に係る光照射装置の説明図である。
【図3】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図4】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図5】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図6】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図7】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図8】本発明に係る高圧放電ランプの説明図である。
【図9】従来に係る高圧放電ランプの説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 光照射装置
2 高圧放電ランプ
21 放電管
211 発光部
2111 中央部
2112 縮径部
212 一方の封止部
213 他方の封止部
214 発光部の内部
215 中央部
216 縮径部
217 過冷却防止部分
218 過熱防止部分
22 外管
221 中央部
222 一方の拡径部
223 他方の拡径部
231 一方の電極
232 他方の電極
241 一方の箔
242 他方の箔
251 一方の外部リード
252 他方の外部リード
261 一方の給電線
262 他方の給電線
27 空隙
281,282,283 無機接着剤
284 ベース
291 有機接着剤
292,294,295 無機接着剤
293 ベース
3 ジャケット
31 流路
41 一方の流路形成部材
411 大径の口締め部
412 小径の口締め部
413 Oリング
414 Oリング
415 流路
42 他方の流路形成部材
421 大径の口締め部
422 小径の口締め部
423 Oリング
424 Oリング
425 流路
51 反射面
52 反射鏡
6 マスクステージ
7 ワークステージ
R1 外管の中央部の内径寸法
R2 外管の拡径部の内径寸法
R3 放電管の発光部の外径寸法
R4 放電管の封止部の外径寸法
L 冷却水
M マスク
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一対の電極が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部と該発光部の両端から伸びると共に箔を埋設する封止部とからなる放電管と、
該封止部の両端から突出する外部リードと、
該外部リードに接続された給電線と、
からなる高圧放電ランプにおいて、
外管が前記放電管を覆うように設けられ、
前記発光部の外周面の少なくとも一部が前記外管の内周面に接触状態で配置され、
前記電極の径方向にある前記放電管と前記外管の内周面との間に全周に伸びる空隙が形成され、
前記封止部の一方と前記外管との間に無機接着剤を設けた
ことを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
内部に一対の電極が対向配置されると共に少なくとも水銀が封入される発光部と該発光部の両端から伸びると共に箔を埋設する封止部とからなる放電管と、
該封止部の両端から突出する外部リードと、
該外部リードに接続された給電線と、
からなる高圧放電ランプにおいて、
外管が前記放電管を覆うように設けられ、
前記発光部の外周面の少なくとも一部が前記外管の内周面に接触状態で配置され、
前記電極の径方向にある前記放電管と前記外管の内周面との間に全周に伸びる空隙が形成され、
前記封止部の一方の外周と外管の内周との間にベースを設け、
前記ベースと前記封止部の一方との間に無機接着剤を設け、
前記ベースと前記外管との間に無機接着剤を設けた
ことを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記封止部の他方側の給電線と外管との間に無機接着剤を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記封止部の他方と外管との間にベースを設け、
前記ベースと前記封止部の他方側の給電線との間に無機接着剤を設け、
前記ベースと前記外管との間に無機接着剤を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の高圧放電ランプを具備し、
ランプ点灯時において前記高圧放電ランプを冷却する冷却水が前記外管の外周面に沿って流れる流路を形成するジャケットが前記外管の外方に配置された
ことを特徴とする光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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