説明

高圧放電ランプ及びその製造方法

本発明は、イオン化可能な充満物を含むセラミック気密高圧放電電球(1)、セラミック気密高圧放電電球(1)の製造方法及びセラミック気密高圧放電電球(1)を含むランプに関し、セラミック気密高圧放電電球(1)は、3mm〜30mmの範囲の容積を備える放電キャビティ(3)を有する放電管(2)と、放電キャビティ(3)の内部充満圧が、室温で、0.1MPa〜4MPaの範囲である。さらに、本発明は、3つの部材、2つの部材又は1つの部材から成る端部封鎖装置(4)として設計され、且つ、クレバス(11)が低減された端部封鎖構造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヘッドライトに用いられる自動車用ランプのような高圧放電ランプに関する。高圧放電ランプは、放電キャビティを囲むセラミック放電管を含み、且つ、小さな容積及び大きな充満圧を有する。よって、充満物はイオン化されるのが好ましい。より正確には、本発明は、セラミック壁を有する実質的に円筒形の放電管を含むハロゲン化金属ランプに関し、セラミック壁は内径によって特徴付けられた放電空間を囲む。放電管は端部封鎖装置によって封鎖され、電極が端部封鎖装置の内部に配置され、電極の先端部は共通の空間を有し、先端部の間に放電が保持される。電極は貫通接続部材によって電流導体に接続され、貫通接続部材は端部封鎖装置内に気密に取り付けられて突出し、接続手段によって端部封鎖装置に気密に接続される。放電管はイオン化可能な充満物で充満される。充満物は、例えばキセノンのような挿入ガスと、イオン化可能な塩とを含む。より詳細には、本発明は、放電キャビティ容積を減少し且つ室温で充満ガス圧を増大する高圧放電電球に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧放電ランプ及び関連する製造方法は従来技術から既知である。それにも拘わらず、前記従来技術の幾つかの欠点を回避する高圧放電ランプの製造方法を提供することが依然として必要である。高圧充満物の故に、放電の気密封鎖は数々の問題を引き起こす。気密封止のための放電管の加熱は、内部充満物の膨張又は蒸発を引き起こす。その結果、充満ガスの膨張は粗悪な封止の原因となり、充満塩蒸発は予期しないランプ特性をもたらす。膨張ガスは封止を放電管から外方に押し出す傾向にあるため、封止は再生不可能な長さとなることによって特徴付けられる。その上、封止は気泡のような欠陥を包含し、それはクラックの原因となり、封止の機械的強度を弱め、漏れの原因となる。
【0003】
充満物の膨張又は蒸発を防止するために、代替的な封止方法及び設計を見い出すための数々の試みがなされてきた。
【0004】
国際公開公報第WO00/67294号は高圧放電ランプを記載し、より詳細には、極めて小さく且つ極めて高圧充満された管を備え、ガス充満された外部電球によって囲まれたハロゲン化金属ランプを記載している。
【0005】
前記ランプは極めてコンパクトな寸法の放電管を有するという利点を有し、それは放電管を自動車で用いられるヘッドライトに極めて適したものとする。電極空間に比べて小さな放電間の内径のお陰で、放電アークは十分に直線的であり、且つ、その光放射面は十分に鋭く限定的であり、よって、自動車ヘッドランプ、特に、複合的な形状の反射器を備えたヘッドランプにおける光源として用い得る。
【0006】
しかしながら、既知のランプの欠点は、気密封鎖の故のランプ放電管の加熱中における初期充満物の相対的損失である。それは間違った色彩点設定及び色彩不安定性の原因となる。欠点は、放電管を気密封鎖するが再生不可能な初期封止セラミック長と、高ランプ動作温度範囲内における封止セラミックのクラック挙動を含み、それらは漏れ易い封止の原因となる。さらに、前記放電管の端部構造の設計は、貫通接続部材外面とセラミックプラグ内壁との間の広い間隙を含み、それは色彩の不安定性の原因となる。これらの欠点は現在の封止方法によって引き起こされており、或いは、現在の封止設計に関係している。実際には、前記方法は充満放電管の多過ぎる表面を加熱しており、前記設計は貫通接続部材とセラミックプラグとの間に広過ぎる間隙を残している。さらに、貫通接続部材及びセラミックプラグの双方は不適切な熱機械的適合材料で形成されている。
【0007】
米国特許第5,810,635号は高圧放電ランプのためのセラミック放電管を記載している。このセラミック放電管は、プラグに挿入されたピン状の貫通接続部材を含み、熱機械的に適合した合成材料で形成されている。貫通接続部材はプラグ内に直接焼結されている。加えて、貫通接続部材は、放電管から離れて面する周辺領域をセラミック封止材料で被覆することによって、プラグに封止されている。この発明の主たる目的は、長時間の機密性を得ることであり、それ故に、それは、先ず、合成材料プラグに焼結された貫通接続部材の気密取付によって確実にされ、次に、放電管から離れて面する封止セラミック材料によって確実にされる。何故ならば、焼結取付は緩むからである。セラミック放電管封鎖に関する以下の順序は第一義的に重要である。即ち、先ず、焼結された貫通接続部材を備えた合成材料プラグが管の端部に焼結され、次に、管状の貫通接続部材に位置する小さな孔を通じて、或いは、放電管の側の孔を通じて、充満がなされる。最後に、小さな孔は閉じられる。本発明は、封止取付の長さ、貫通接続部材とセラミックプラグとの間の間隙及びプラグ封鎖中における充満された放電管の加熱の問題に向けられている。
【0008】
しかしながら、米国特許第5,810,635号で記述されている端部構造の設計及び方法は、2つの大きな欠点を有する。第一に、孔を通じて充満物が放電キャビティに取り入れられ得る管形状貫通接続部材の設計又は側部開口放電管の設計は、極めて小さく且つコンパクトな放電電球において極めて困難である。その上、管状の貫通接続部材の設計は極めて困難である。何故ならば、その部品の1つはサーメットのような薄い合成材料で形成されるのが普通だからである。その結果、記述されているランプ製造に関する提案されている方法の順序、即ち、先ず放電管を封鎖し、次にそれを充満するという順序は、極めてコンパクトな放電電球には適用し得ない。
【0009】
上述のランプは、自動車の用途としては、内部ガス充満圧が極めて低く、且つ、容積が極めて高いという欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第一の特徴において、小さな容積及び高い内部充満圧を備えた放電キャビティを有するセラミック気密高圧放電電球が記述されている。この放電電球は、上記要約された従来技術における既知の欠点を解決し、さらに、耐食性を向上する。
【0011】
本発明の第二の特徴は、セラミック気密高圧放電管を含むランプを提供することである。
【0012】
本発明の第三の特徴は、大量生産で利用し得る上記セラミック気密高圧放電電球の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
セラミック気密高圧放電電球は、特定の容積を備えた放電管内に配置された特定の圧力を備えたイオン化可能な充満物を含むことによって特徴付けられている。放電管のキャビティの容積は、3mm〜30mmの範囲にある。放電管充満ガス圧力は、室温で、0.1MPa以上、好ましくは、0.5MPa〜4MPaの範囲にあることを特徴とする。
【0014】
放電電球の設計のさらなる小型化は、イオン化可能な充満物が加えられる放電キャビティの容積を、3mm〜20mmの範囲、より好ましくは、3mm〜15mmの範囲にする。
【0015】
前記イオン化可能な充満物はHgを含んでよく、或いは、完全にHgなしでもよい。
【0016】
水銀なし、且つ、イオン化可能な充満物を用いることによって、環境汚染の危険性が低減される。
【0017】
Hgをイオン化可能な充満物の複合材料として導入することは、一定容積で、Hgなしに比べ、より低い内部ガス充満圧を用いることを可能にする。
【0018】
放電キャビティ内の内部ガス充満圧は、室温で、0.1MPa以上であり、好ましくは、0.3MPa〜5.84MPaの範囲、好ましくは、0.4MPa〜5MPaの範囲、最も好ましくは、0.5MPa〜4MPaの範囲にある。
【0019】
本明細書において用いられている「室温」という用語は、21℃として定められる。
【0020】
放電電球の電力は5W〜50Wの範囲にあり、好ましくは、20W〜35Wの範囲、最も好ましくは、22W〜32Wの範囲にある。
【0021】
本発明の好適実施態様において、放電電球は少なくとも1つの端部封鎖装置を含み、端部封鎖装置は貫通接続部材を放電管に気密に接続する少なくとも1つの接続手段を含む。
【0022】
ランプは、少なくとも1つの端部封鎖装置を含み、端部封鎖装置は少なくとも1つの貫通開口を有する少なくとも1つの端部封鎖部材を含み、貫通接続部材は貫通開口内に配置される。それ故に、接続手段によって、端部封鎖部材は放電管に直接気密に接続され、貫通接続部材は端部封鎖部材に気密に接続される。
【0023】
本発明の他の実施態様によれば、気密高圧放電電球は、少なくとも1つの端部封鎖装置を含み、端部封鎖装置は少なくとも1つの端部封鎖部材を含む。端部封鎖部材は少なくとも1つの貫通開口を有し、貫通接続部材は貫通開口内に配置される。接続手段は、端部封鎖部材を放電管に気密に接続し、接続手段は、貫通接続部材を端部封鎖部材を気密に接続する。
【0024】
放電管のための適切な材料は多結晶アルミニウム(PCA)であり、実質的にAlから成る。このPCA材料は約8・10−6−1の熱膨張係数を有し、普通は溶接可能でない。
【0025】
意図的に、セラミック気密高圧放電電球はクレバスを含む。クレバスは管形状であり、及び/又は、0mm以上且つ1.7mm以下であり得る。クレバスは、好ましくは、0mm〜1.2mm、最も好ましくは、0mm〜0.3mmの容積を有し、クレバスは放電管に面する開放端部を有する。
【0026】
本発明によれば、クレバスは、気密封止された貫通接続部材と、貫通接続部材が配置され且つ封止される部分との間の空隙である。クレバスの他の定義は、貫通接続部材が貫通開口内に配置され且つ気密封止された後、貫通開口に残る空隙である。より正確には、クレバスは、貫通接続部材部分の容積を貫通開口の容積から減じた残余の容積である。実際には、貫通開口の容積から、貫通接続部材の接続工程後の接続手段の容積も減じられる。
【0027】
クレバスの形状は管形状と記述され得る。内部突出部の中心は、管外部の中心でもあるのが好ましい。管形状は、長さのような幾つかのパラメータで決定され得る。クレバスの長さは、貫通開口内にある接続手段によって満たされる長さを、貫通開口の入口と貫通開口の出口との間の長さから減じた結果として得られる長さである。他のパラメータは幅である。クレバスの幅は、貫通接続部材の外面の半径を、貫通開口の表面の半径から減じた結果として得られる長さである。クレバスの幅は以下の式に従って算出される。
【0028】
幅=0.5×(「貫通開口の直径」-「貫通接続部材の直径」)
【0029】
クレバスの容積は以下の式で算出される。
【0030】
容積=0.25π×((「貫通開口の直径」)-(「貫通接続部材の直径」))×(「突出部の長さ」)
【0031】
クレバスの長さ(L)、貫通接続部材の直径(Di)及び貫通開口の直径(Da)の典型的な値は以下の表から得られる。
【0032】
【表1】

【0033】
クレバスによって引き起こされる欠点を回避するために、その容積は0であるべきである。好ましくは、クレバスの長さ(L)は0であるべきである。
【0034】
本発明によれば、接続手段は、高圧放電電球の少なくとも2つの部材を気密に接続するために用いられる手段である。応力の蓄積及び材料内のクラックを回避するために、接続部材が、接続されるべき部材と概ね同一の熱膨張係数有することが重要である。本発明において取り入れられているような接続手段は、溶接、レーザ溶接、抵抗溶接、半田付け、ろう付け、接着剤による接合、主要成形、焼結又は封止のために用いられる材料、或いは、上記材料の任意の組み合わせを含む。
【0035】
本発明の他の実施態様によれば、放電管と端部封鎖部材との間の接続は純粋な焼結によって、即ち、特別な接続手段なしに達成し得る。この場合、端部封鎖部材はプラグ又はコルクのような形状とされる。これは製造工程を単純化し、材料の節約がなされる。
【0036】
しかしながら、如何なる端部封鎖装置もなしに接続手段を用いることは、気密な放電電球を得るために、製造工程をより一層単純化すると共に、追加的な材料の節約が得られる。
【0037】
貫通接続部材を端部封鎖部材に気密に接続するための、及び/又は、端部封鎖部材を放電管に気密に接続するための接続手段は、シーラント、溶接線及び/又は接着剤を含む群から選択される。これらの材料及び方法を用いることによって、気密接続が達成され得る。
【0038】
貫通接続部材の端部封鎖装置への接続は、端部封鎖装置の貫通開口の幾つかの位置において達成され得る。接続位置が放電管から離れれば離れる程、クレバスは大きくなる。ランプの動作中、イオン化可な塩は分解されて凝縮される。多少の化合物が放電管の隅に凝縮する。一部はクレバス内に位置する放電電球の最も低音のスポットに向かって移動し得る。これらの塩は、クレバスに沿った幾つかの場所及び封止に対するクレバスの最端部に位置するランプの最も低温のスポットにあり、塩プールを形成する。プールはランプの色彩点を不安定にする。この主要な問題以外に、封止に対して位置する塩プールは封止を腐食しがちである。まさに、クレバスは放電電球内の温度勾配を強調し、塩が分解を促し、色彩の不安定性を招く。さらに、クレバス内の塩プールは封止を腐食しがちなので、それらは放電電球の短い製品寿命の原因となる。クレバスの形成を回避するために、貫通接続部材の接続は、放電管に面する貫通開口の最も内側、即ち、放電キャビティの端部開口に位置するのが理想的である。
【0039】
セラミック気密高圧放電電球は端部封鎖部材を有するのが好ましく、端部封鎖部材は少なくとも1つの貫通する貫通開口を有し、貫通する貫通開口の断面はその対称軸に沿って変化する。
【0040】
クレバスによって引き起こされる色彩安定性及び腐食問題は、端部封鎖装置の貫通開口の外部断面が、端部封鎖装置の貫通開口の内部断面よりも大きいときに減衰或いは回避し得ることが分かった。そのような貫通開口のジオメトリは、放電管に面する端部封鎖部材の最も内側の貫通開口部に位置する、端部封鎖部材内の貫通接続部材の気密な接続を可能にする。対称軸に沿った貫通開口の好適な形状は、コーン形状、楕円形状、放物線形状、双曲線形状、半球形状、T形状及び/又はそれらの組み合わせである。
【0041】
本発明の好適実施態様において、放電管に面する側の端部封鎖部材の最も内側で、即ち、電極の近傍で、端部封鎖部材と貫通接続部材との間の気密な接続を可能とし、よって、基本的にクレバスが形成されないようにするために、貫通開口はV形状に形成されているのが好ましい。
【0042】
主たる対称軸に直交する平面に沿った貫通開口の断面は如何なる形状をも取り得る。好ましくは、それは円形、楕円形、三角形又は四角形である。最も内側及び最も外側の断面も適合する形状又は同様な形状であり得る。
【0043】
端部封鎖装置の材料は、放電管の1つに適合する熱膨張係数を有すべきであり、よって、封止工程及びその後に動作中の放電電球の熱サイクルの間に、応力又はクラックが蓄積しない。よって、端部封鎖装置、好ましくは、端部封鎖部材及び/又は接続手段は、好ましくはMoのような金属、好ましくはMo又はAlによって被覆されたTaのような被覆金属、好ましくはMoAlのような相互金属(inter-metallic)のような金属合金、サーメット及び/又は好ましくはAlのようなセラミックから成る。端部封鎖装置がサーメット材料で形成されるならば、それは機能的に等級付けされた材料であるのが好ましい。
【0044】
本発明に従って用いられる適切なサーメット材料は、少なくとも化合物A及びBの実質的に連続的な勾配を有し、よって、材料化合物Aの濃度は同一程度で実質的に増大するのに対し、材料化合物Bの濃度は減少する。濃度勾配は如何なる一次関数又は非一次関数でも記述され得るのが好ましい。
【0045】
化合物A及びBの重量比が増大することで、1つの端部が放電管の熱膨張係数に適合するのが好ましい。例えば、もし放電管がAlから成るならば、その熱膨張係数は8・10−6−1であり、前記化合物の1つはこの係数に適合するであろう。もし放電管が、例えば、YAG、YbAG又はAINのような他の材料から成るならば、前記化合物の1つはその熱膨張係数に適合するよう選択されるであろう。他の端部は溶接可能でなければならない。
【0046】
少なくとも化合物A及びBの勾配を含むサーメット材料は外側層を有し、この外側層において、材料化合物A及びBの凝縮が一定であることによって特徴付けられる。対向する最上部及び最下部層のセットにおける化合物A及びBの重量%比は、最上部層が100%以下の重量-%A及び0%以上の重量-%Bを含み、最下部層が100%以下の重量-%B及び0%以上の重量-%Aを含み、代替的に、最下部層が100%以下の重量-%A及び0%以上の重量-%Bを含み、最上部層が100%以下の重量-%B及び0%以上の重量-%Aを含むのが好ましい。
【0047】
前記層は、0μm〜500μmの厚さ、好ましくは、0μm〜50μmの厚さ、最も好ましくは、0μm〜5μmの厚さを有し得る。
【0048】
化合物AはAl、化合物BはMoであり得る。同一等級で、或いは、等級付けされないで、他の化合物をA及びBに追加的に混合し得る。
【0049】
膨張係数がα(T)が約8・10−6−1の多結晶アルミニウム放電管の膨張係数と適合する材料も本発明のために用い得る。そのような材料は、それらの膨張係数α(T)が、298K≦T≦2174Kの範囲にある温度Tに関して4・10−6−1≦α(T)≦12・10−6−1の範囲にあることによって特徴付けられる。
【0050】
本発明に従って用いられる材料は、端部封鎖装置及び接続材料から派生した金属ハロゲン化ヨウ化物又は酸化物に対して耐性を有するのが好ましい。
【0051】
有利に、放電管の少なくとも1つは、層によって少なくとも部分的に被覆されている。層は接続手段の結合を強化し、それ故に、放電管と端部封鎖装置との間の接着強度に比べると、層は、放電管と接続材手段との間及び/又は接続手段と端部封鎖装置との間に高い接着強度をもたらす。
【0052】
層は、少なくとも部分的に、放電管の端部と端部封鎖装置との間に位置するのが好ましい。
【0053】
この被覆層は、放電管の焼結工程の焼成ステップの前に、未焼結状態の放電管上に適用される。そのような層は端部封鎖装置と放電管との間のより強力な気密接続をもたらす。
【0054】
本発明の第二の特徴は、前記セラミック気密高圧放電電球を含むランプを提供することである。前記放電電球を含むランプは、ヘッドランプ内に配置される好ましい。そのようなヘッドランプは、自動車産業部門、特に乗用車業界で用いられるのが好ましいが、それのみに限定されない。
【0055】
本発明の第三の特徴は、少なくとも1つの端部封鎖装置と、少なくとも2つの貫通接続部材と、少なくとも1つの端部開口を備えた少なくとも1つの放電管とを含むセラミック気密高圧放電電球の製造方法を提供することであり、当該方法は、
i)少なくとも1つの開口を通じて、放電管をイオン化可能な充満物で充満するステップと、
ii)開口に貫通接続部材を配置することによって開口を閉鎖した後、貫通接続部材を端部封鎖装置及び/又は放電管に気密に接続することでによって、気密高圧放電電球を得るステップと、
を含む。
【0056】
開口は貫通開口であるのが好ましい。貫通開口を通じて放電管を充満すし、次に、貫通開口を気密封鎖することによって、接続工程によって引き起こされる熱の影響は、放電管の端部開口上に端部封鎖装置を取り付ける類似の封鎖工程によって引き起こされる熱の影響に比べて低い。まさに、貫通開口の封鎖は、局地的且つ極めて迅速な加熱を必要とする。
【0057】
高い内部ガス充満圧を達成し、封止中の熱の影響を低減するために、封鎖工程、即ち、封止工程のための所要時間を最小限化することが必要である。
【0058】
上記方法の封止時間は、0秒〜10秒の範囲であり、好ましくは、0秒〜5秒の範囲、最も好ましくは、0秒〜2.5秒の範囲である。
【0059】
本発明は図1乃至11によってさらに以下に例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1は第一のセラミック気密高圧放電電球1を示し、放電電球は、放電キャビティ3を備えた放電管2と、2つの端部封鎖装置4と、電極6を各々備えた2つの貫通接続部材5とを有している。放電管2は3つの部材、即ち、放電管2の端部7とカップ形状の端部封鎖部材9との間に位置し且つ接続手段10aとして作用するシーラントと、カップ形状の端部封鎖部材9と、端部封鎖部材9と貫通接続部材5とを接続し且つ第二接続手段10bとして作用するレーザ溶接線とから構成され、それによって、放電管2の中央部は放電キャビティ3を形成し、2つの残りの周辺部は端部開口8を備えた端部7を形成している。端部開口8を備えた端部7は管を形成している。管状の端部7及び2つの端部開口8は、放電管2の両側部に位置している。セラミック気密放電電球を得るために、各端部開口8は対応する端部封鎖装置4によって気密に封鎖されている。端部封鎖装置4は、端部封鎖部材9と、接続手段10a,10bとを含む。端部封鎖装置、より正確には、端部封鎖装置4の端部封鎖部材9は、第一接続手段10aによって、放電管2、或いは、より正確には、放電管2の端部7に接続されている。端部封鎖装置4は、その内部に貫通接続部材5を配置するために、貫通開口を有している。貫通接続部材5は、第二接続手段10bによって、端部封鎖装置4に気密に接続されており、よって、室温で容積V及び内部気圧pを備えるセラミック気密高圧放電電球1が得られる。
【0061】
図2は第二のセラミック気密高圧放電電球1を示し、放電電球は、放電キャビティ3を備えた放電管2と、2つの端部封鎖装置4と、電極6を各々備えた2つの貫通接続部材5とを有している。放電管2は一体型管状放電管2であり、放電キャビティ3と、端部開口8を各々備えた2つの管状の端部7とを備えている。管状端部7及び2つの端部開口8は放電管2の両側部に位置している。気密放電電球1を得るために、各端部開口8は、対応する端部封鎖装置4によって、気密に封鎖されている。端部封鎖装置4は、1つの端部封鎖部材9と、接続手段10bとを含む。端部封鎖装置4、より正確には、端部封鎖装置4の端部封鎖部材9は、放電管2、或いは、より正確には、放電管2の端部7に、第一接続手段なしに、即ち、焼結によって接続されている。端部封鎖装置4は端部開口8に嵌入している。端部封鎖装置4は貫通開口を有し、貫通接続部材5は貫通開口の内部に配置されている。貫通接続部材5は、第二接続手段10bによって、端部封鎖装置4に気密に接続されおり、よって、容積V及び内部気圧pを有するセラミック気密高圧放電電球が得られる。製造公差の故に、貫通接続部材5と端部封鎖部材4の貫通開口12との間には、クレバスと呼ばれる小さな間隙がある。
【0062】
図3には、第三のセラミック気密高圧放電電球1が示されている。放電電球の構造は図1に示されているものと類似する。図1と比較すると、図3に示されている放電管2は管状の一体型放電管2であり、放電キャビティ3と、端部開口8を有する管状の端部7とを備えている。各端部開口8は、端部封鎖装置4によって被覆され、且つ、端部封鎖装置4に接続されている。開口端部封鎖装置4は貫通開口を有し、貫通開口はその内部に電極6を備えた貫通接続部材5を配置している。端部封鎖装置4は、端部封鎖部材9と、接続手段10a,10bとを含む。端部封鎖部材9は、端部開口8を完全に被覆し、放電管2の端部7を部分的に囲んでいる。端部封鎖部材9は、第一接続手段10aによって、放電管2に気密に接続されている。第一接続手段は、放電管の膨張係数と類似の膨張係数を有し且つ高温及び腐食に耐え得るシーラント又は他の任意の接続手段であり得る。第一接続手段10aは端部封鎖部材9と放電管2の端部7との間に位置している。貫通接続部材5も、第二接続手段10bによって、端部封鎖部材9に気密に接続されており、それによって、貫通接続部材5は端部封鎖装置4の貫通開口12内に配置されている。図3に従った端部封鎖装置4のクレバスは、図1に示される端部封鎖装置のクレバスよりも小さな容積を有し、貫通接続部材5を端部封鎖部材9に接続するための接続手段10bは、電極6の近傍に位置している。よって、クレバス11は事実上ゼロに低減されている。接続手段10bは接続工程中にクレバスを充満する。
【0063】
図4には、第四のセラミック気密高圧放電電球1が示されている。セラミック気密高圧放電電球は端部封鎖装置4を有する。端部封鎖装置4は、端部封鎖部材9が図2に示されている端部封鎖部材に比べずっと小さいことを除き、図2に示されている端部封鎖装置と類似しており、従って、クレバス11はより小さな容積を有し、クレバスは第二接続手段10bで完全に充満されているのが好ましい。
【0064】
図5は、スリップ注型法によって成形された第五のセラミック気密高圧放電電球1を示している。その端部封鎖装置4は端部封鎖部材を有さないが、1つの接続手段10bを有している。貫通接続部材5は、第二接続手段10bによって放電管2に直接的に気密接続され、端部開口8に沿ってクレバス11を形成している。
【0065】
図6には、放電管2の端部7に対する端部封鎖部材9の接続が詳細に示されている。端部開口8を包含する端部7は、外径dを備えた管状形状である。端部封鎖部材9は、内径Dを備えたキャップのような形状であり、放電管の端部7の外径dよりも僅かに大きい。エンドキャップのような形状であり、且つ、外部断面13及び内部断面14を備えた有心の貫通開口12を有する端部封鎖部材9は、端部封鎖部材9が少なくとも部分的に端部7を囲むように端部7を被覆している。端部7と端部封鎖部材9との間に軸方向に小さな間隙があるのが分かる。この間隙に、第一接続手段10aが位置する。
【0066】
図7は、図6に示されている端部封鎖装置と貫通接続部材5との接続が示されている。図7において、貫通接続部材5は、端部封鎖装置4の貫通開口12内に配置されている。貫通接続部材は、第二接続手段10bによって、端部封鎖装置4の端部封鎖部材9に気密接続されている。この図面では、接続はレーザ溶接によって実現されており、よって、第二接続手段10bは溶接線である。貫通接続部材5と放電管の端部7との間に小さな間隙があるのが分かる。この間隙は端部7の端部開口8に沿ったクレバス11である。
【0067】
図8乃至11には、異なる端部封鎖部材の形状が示されている。
【0068】
図8は、ディスク形状を有する端部封鎖部材9を示している。端部封鎖部材9は、貫通接続部材を内部に配置可能な貫通開口12を備えている。端部封鎖部材9は管状の端部7の外径と同一の大きさの外径を有し、よって、端部開口8は、貫通開口12によって被覆されている部分を除き、端部封鎖部材9によって完全に被覆されている。
【0069】
図9は、コルク形状を有する端部封鎖部材9を示している。端部封鎖部材9は、貫通接続部材を内部に配置可能な貫通開口12を備えている。端部封鎖部材9は異なる外径を備えた2つの管状領域を有し、それによって、小さな径を備えた管状領域は端部開口8に嵌入する。
【0070】
図10は、キャップ形状を有する端部封鎖部材9を示している。端部封鎖部材9は、貫通接続部材を内部に配置可能な貫通開口12を備えている。端部封鎖部材9は2つの領域、即ち、1つの管状領域及び1つの底部領域を有している。管状領域は放電管の端部を少なくとも部分的に被覆可能な内径を有する。
【0071】
図11は、管形状を有する端部封鎖部材9を示している。端部封鎖部材9は、内部に貫通接続部材を配置するための貫通開口12を備えている。端部封鎖部材9の外径は放電管の端部に嵌入可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第一のセラミック気密高圧放電電球の長手軸に沿った断面図である。
【図2】第二のセラミック気密高圧放電電球の長手軸に沿った断面図である。
【図3】第三のセラミック気密高圧放電電球の長手軸に沿った断面図である。
【図4】第四のセラミック気密高圧放電電球の長手軸に沿った断面図である。
【図5】第五のセラミック気密高圧放電電球の長手軸に沿った断面図である。
【図6】放電管に接続された端部封鎖装置の詳細を示す断面図であり、貫通接続部材は示されていない。
【図7】放電管及び貫通接続部材に接続された端部封鎖装置の詳細を示す断面図である。
【図8】第一の端部封鎖部材の形状を示す断面図である。
【図9】第二の端部封鎖部材の形状を示す断面図である。
【図10】第三の端部封鎖部材の形状を示す断面図である。
【図11】第四の端部封鎖部材の形状を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化可能な充満物を有するセラミック気密高圧放電電球であって、
3mm〜30mmの範囲の容積を備える放電キャビティを有する放電管を有し、前記放電キャビティの内部充満圧が、室温で、0.1MPa以上、好ましくは、0.5MPa〜4MPaの範囲にあることを特徴とする放電電球。
【請求項2】
クレバスが管状であり、及び/又は、0mm以上且つ1.7mm以下、好ましくは、0mm〜1.2mm、最も好ましくは、0mm〜0.3mmの容積を有し、前記クレバスは前記放電管に面する開放端部を有することを特徴とする請求項1に記載の放電電球。
【請求項3】
少なくとも1つの端部封鎖装置と、
貫通接続部材を前記放電管に気密に接続する少なくとも1つの接続手段と、
前記貫通接続部材が配置される少なくとも1つの貫通開口を有する少なくとも1つの端部封鎖部材と、
該端部封鎖部材を前記放電管の端部に気密に接続する接続手段と、
前記貫通接続部材を前記端部接続部材に気密に接続する接続手段と、
を有する請求項1又は2に記載の放電電球であって、
前記接続部材によって、前記端部封鎖部材は放電管に直接気密に接続され、前記貫通接続部材は前記端部封鎖部材に気密に接続されていることを特徴とする放電電球。
【請求項4】
前記接続手段は、シーラント及び/又は溶接線を含む群から選択されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の放電電球。
【請求項5】
前記端部封鎖部材は、少なくとも1つの貫通する貫通開口を有し、貫通する貫通開口の断面は、長手方向で端部封鎖部材に沿って変化することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の放電電球。
【請求項6】
前記端部封鎖装置の前記貫通開口の外部断面は、前記貫通開口の内部断面よりも大きく、前記貫通開口は、好ましくは、円筒形、コーン形状、楕円形状、放物線形状、双曲線形状、半球形状、T形状及び/又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の放電電球。
【請求項7】
前記端部封鎖装置、好ましくは、前記端部封鎖部材はサーメット材料であり、より好ましくは、前記サーメット材料は勾配を有することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の放電電球。
【請求項8】
前記放電管の前記少なくとも1つの端部は、少なくとも部分的に、前記接続部材の接合強度を向上する層で被覆されており、該層は、好ましくは、少なくとも部分的に、前記放電管の前記端部と前記端部封鎖装置との間に位置することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の放電電球。
【請求項9】
好ましくは自動車ヘッドランプユニットに配置されていることを特徴とするセラミック気密高圧放電電球を有するランプ。
【請求項10】
少なくとも1つの端部封鎖装置と、
少なくとも2つの貫通接続部材と、
少なくとも1つの端部開口を備えた少なくとも1つの放電管と、
を有するセラミック気密高圧放電電球を製造する方法であって、
少なくとも1つの開口を通じて、前記放電管をイオン化可能な充満物で充満するステップと、
前記開口に貫通接続部材を配置することによって前記開口を閉鎖した後、前記貫通接続部材を前記端部封鎖装置及び/又は前記放電管に気密に接続することによって、気密高圧放電電球を得るステップと、を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−507644(P2006−507644A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554806(P2004−554806)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005225
【国際公開番号】WO2004/049391
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】