説明

高圧空間形成装置

【課題】大気圧を超える設定気圧にされる内部空間に人間(人体)や小動物を収容して、体内に酸素を取り込むための高圧空間形成装置。
【解決手段】高圧空気を耐圧ボックス31外側に排気して内部空間を設定気圧に調整する空気調整穴35と、高圧空気を耐圧ボックス31外側に排気して内部空間を大気圧にする空気抜き窓口33と、内部空間に配置され空気抜き窓口33を内側から閉鎖又は開放する空気抜き窓体34と、を備え、空気抜き窓体34は高圧空気供給手段6による高圧空気の供給前に空気抜き窓口を閉じるように配置され、高圧空気の供給に伴って大気圧を超えて設定気圧未満の開閉気圧を受けると、空気抜き窓口33を気密に閉鎖するとともに、高圧空気供給手段による高圧空気の供給停止に伴って内部空間が設定気圧から開閉気圧に達すると、空気抜き窓体34の重量によって空気抜き窓口33から離間して、空気抜き窓口33を開放する高圧空間形成装置X。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧を超える設定気圧にされる内部空間に人間(人体)や小動物を収容して、体内に酸素を取り込むための高圧空間形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大気圧を超える高圧空間の環境においては、大気圧に比べて酸素濃度が増加する。この高圧空間の環境に人間(人体)を曝すことで、通常の呼吸によって酸素を体内に取り込むことに加えて、血液の血漿、体液及びリンパ液に溶け込む酸素を体内に取り込むことができ、老化防止、疲労回復、病気や怪我の治療に効果があることが知られている。
【0003】
人間(人体)を高圧空間に曝す技術として、特許文献1に開示する技術は、高加圧容器内に人間を収容して、圧縮空気コンプレッサから高加圧容器に高圧空気を供給することで、人間を高圧空気の環境に曝している。この高加圧容器は、下タンク部及び上カバー部で構成され、上カバー部は下タンク部の上方側に回動自在にされて、下タンク部を開閉する。
この特許文献1に開示する技術では、高加圧容器に高圧空気を供給して、加圧する時に、上カバー部が不用意に開くことを防止するため、係止部材を上カバー部及び下タンク部に掛け渡して閉鎖している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示する技術は、係止部材を高加圧容器の外側に配置しているので、人間(人体)を収容した高加圧容器を閉鎖するには、外部補助者によって係止部材を上カバー部及び下タンク部に掛け渡す必要がある。
従って、緊急時等に、高加圧容器内の人間が外側に脱出するには、外部補助者の協力が必要となり、外部補助者がいない時は、高加圧容器内の人間は外側に脱出できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−65726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、外部補助者の協力を必要とすることなく、内部空間の気圧を設定気圧から大気圧にすることができ、内部空間内の人間が耐圧ボックス外側に脱出することのできる高圧空間形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1は、大気圧を超える設定気圧の環境にされる内部空間に開口する出入口を有し、該内部空間に人体を収容する耐圧ボックスと、前記内部空間に大気圧を超える気圧の高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、前記内部空間に空気を供給する空気供給手段と、前記出入口の内側を開閉自在に配置され、前記内部空間に供給される高圧空気によって、前記出入口を気密に閉じる開閉扉体と、前記内部空間の高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気して、前記内部空間を設定気圧に調整する空気調整穴と、前記内部空間の高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気して、前記内部空間を大気圧にする空気抜き窓口と、前記内部空間に配置され、前記空気抜き窓口を内側から閉鎖又は開放する空気抜き窓体と、を備え、前記空気抜き窓体は、前記高圧空気供給手段による高圧空気の供給前に、前記空気抜き窓口を閉じるように配置され、前記内部空間への高圧空気の供給に伴って、大気圧を超えて設定気圧未満の開閉気圧を受けると、前記空気抜き窓口を気密に閉鎖するとともに、前記高圧空気供給手段による高圧空気の供給停止に伴って、前記内部空間が設定気圧から開閉気圧に達すると、該空気抜き窓体の重量によって前記空気抜き窓口から離間して、該空気抜き窓口を開放することを特徴とする高圧空間形成装置に関する。
【0008】
本発明に係る請求項2は、前記高圧空気供給手段を制御する制御手段と、前記耐圧ボックス外側の大気圧を検出して、大気圧情報を前記制御手段に出力する大気圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記大気圧情報に85〜90hPsの気圧値を加算して、前記設定気圧を決定するとともに、前記内部空間が前記設定気圧となるように、前記高圧空気供給手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の高圧空間形成装置に関する。
【0009】
本発明に係る請求項3は、前記空気抜き窓口は、前記開閉扉体に形成され、前記高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気し、前記空気調整穴は、前記開閉扉体に形成され、前記高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気するとともに、前記空気抜き窓口を間に配置する両側に夫々設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧空間形成装置に関する。
【0010】
本発明に係る請求項4は、前記空気抜き窓体は、透明樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は3記載の高圧空間形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1によれば、内部空間に供給される高圧空気によって、耐圧ボックスの出入口を開閉扉体で気密に閉じることができ、内部空間の気圧が設定気圧未満の開閉気圧に達すると、空気抜き窓口を空気抜き窓体で気密に閉鎖できる。この状態で、高圧空気供給手段により内部空間に高圧空気を供給し、空気調整穴から内部空間の高圧空気を排気することで、内部空間の気圧を設定気圧に調整、維持できるので、内部空間の気圧を制御する構成が簡単になる。
また、高圧空気供給手段による高圧空気の供給停止に伴って、内部空間の気圧を設定気圧から大気圧まで減圧するとき、内部空間の高圧空気は、空気調整穴から耐圧ボックス外側に排気され、この排気によって設定気圧から開閉気圧に達すると、空気抜き窓体が窓体の重量によって空気抜き窓口から離間することで、空気抜き窓口が開放されて、内部空間の高圧空気を瞬時に排気できる。
従って、内部空間の人体(人間)、耐圧ボックス外側にいる外部補助者は、何ら作業、操作することなく、内部空間を設定気圧から大気圧にすることができる。また、通常時及び緊急時に、外部補助者がいなくても、内部空間を設定気圧から大気圧まで戻すことができる。これにより、内部空間の人間(人体)は、開閉扉体を開いて、耐圧ボックス外側に脱出できるので、安全な高圧空間形成装置を提供することが可能となる。
更に、空気供給手段によって内部空間に、常時、空気(酸素)を供給することができるので、内部空間の人間(人体)が酸欠になることが防止できる。
【0012】
本発明に係る請求項2によれば、内部空間の気圧を1.09〜1.10気圧の設定気圧まで加圧するので、人間に作用する気圧による疲れを誘発することなく、人間の耳抜きも容易にできる。
【0013】
本発明に係る請求項3によれば、高圧空気供給手段による高圧空気の供給に伴って、内部空間を加圧すると、内部空間の高圧空気は、空気抜き窓口の両側に配置される空気調整穴から耐圧ボックス外側に排気されるので、この排気される高圧空気の流動によって、空気抜き窓体は開閉扉体に吸引される。従って、空気抜き窓体は、開閉気圧及び高圧空気の流動によって、開閉扉体に押付けられ、確実に、空気抜き窓口を気密に閉鎖させることができる。
【0014】
本発明に係る請求項4によれば、空気抜き窓体で空気抜き窓口を閉鎖しても、耐圧ボックス外側から内部空間を照明でき、しかも、内部空間の人間(人体)を空気抜き窓体から認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る高圧空間形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】耐圧ボックスを示す正面図である。
【図3】耐圧ボックスを示す側面図である。
【図4】耐圧ボックスを示す背面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】図2のB−B断面図である。
【図7】図2のA−A断面拡大図であって、空気抜き窓口の開放を示す図である。
【図8】図2のA−A断面拡大図であって、空気抜き窓口の閉鎖を示す図である。
【図9】図2のB−B断面拡大図であって、空気抜き窓口の開放を示す図である。
【図10】図2のB−B断面拡大図であって、空気抜き窓口の閉鎖を示す図である。
【図11】図2のB−B断面拡大図である。
【図12】高圧空間形成装置の加圧動作及び減圧動作の手順を示すフローチャート図である。
【図13】高圧空間形成装置の加圧動作及び減圧動作の手順を示すフローチャート図である。
【図14】高圧空間形成装置の加圧動作及び減圧動作を示すタイムチャート図である。
【図15】他の実施形態における高圧空間形成装置の耐圧ボックスを示す正面図である。
【図16】他の実施形態における高圧空間形成装置の耐圧ボックスを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の係る高圧空間形成装置について、図1乃至図16を参照して説明する。
【0017】
先ず、高圧空間形成装置の全体構成について、図1を参照して説明する。
【0018】
<高圧空間形成層貯の全体構成>
図1において、高圧空気形成装置(X)は、耐圧ボックス(31)、制御手段(2)、大気圧検出手段(3)、内気圧検出手段(5)、高圧空気供給手段(6)及び空気供給手段(7)を備えている。
【0019】
耐圧ボックス(31)は、人間(人体)や小動物(犬、猫等のペット)を収容する内部空間(A)を区画しており、内部空間(A)は大気圧(P)を超える設定気圧(Ps)の環境にされる。また、耐圧ボックス(31)の内部空間(A)には、空気管路(71)が接続され、この空気管路(71)は耐圧ボックス(31)外側に延びて、安全弁(72)に接続されている。
【0020】
制御手段(2)は、制御部(8)、設定記憶部(ROM)、作業記憶部(RAM)及びタイマ(9)を備えている。
制御部(8)は、各記憶部(ROM)、(RAM)及びタイマ(9)に接続され、設定記憶部(ROM)に格納された制御プログラムに基づいて、高圧空気供給手段(6)及び空気供給手段(7)の駆動/停止を制御し、更にタイマ(9)の計時開始を制御する。設定記憶部(ROM)には、制御プログラム、気圧値(Pi:85〜90hPa)、及び演算式等が格納、記憶されている。作業記憶部(RAM)は、演算結果等を一時的に格納、記憶する。タイマ(9)は、制御部(8)の開始指令に基づいて、設定時間(Ts)、例えば15分、30分の時間を計時する。
【0021】
また、制御部(8)は、操作パネル(10)及びリモコン(11)に接続されている。
操作パネル(10)は、耐圧ボックス(31)外側に設置され、電源スイッチ(12)及び空気スイッチ(13)を備えている。操作パネル(10)は、各スイッチ(12)、(13)が操作されると、電源信号、空気要求信号を制御部(8)に出力する。
リモコン(11)は、耐圧ボックス(31)の内部空間(A)に設置され、高圧空気スイッチ(14)、停止スイッチ(15)及びタイマ設定スイッチ(16)を備えている。リモコン(11)は、各スイッチ(14)〜(16)が操作されると、高圧空気要求信号、停止信号及びタイマ設定信号を制御部(8)に出力する。なお、タイマ設定スイッチ(10)の操作によって、所望の設定時間(Ts)、例えば15分、30分の時間を設定できる。この設定時間(Ts)は、人間(人体)や小動物を内部空間(A)の気圧(Pa)に曝す時間である。
【0022】
大気圧検出手段(3:以下、「大気圧センサ(3)」と称する)は、耐圧ボックス(31)外側に設置され、例えば、耐圧ボックス(31)外側の大気圧(P)を電気的に検出する。この大気圧センサ(3)は、制御部(8)に接続されており、大気圧(P)を検出して、大気圧情報(P)である大気圧信号を制御部(8)に出力する。
【0023】
内気圧検出手段(5:以下、「内気圧センサ(5)」と称する)は、耐圧ボックス(31)の内部空間(A)に設置され、例えば、内部空間(A)の気圧(Pa)を電気的に検出する。この内気圧センサ(5)は、制御部(8)に接続されており、内部空間(A)の気圧(Pa)を検出して、内気圧信号を制御部(8)に出力する。
【0024】
高圧空気供給手段(6:以下、「高圧空気コンプレッサ(6)」と称する)は、空気を圧縮して、大気圧を超える気圧の高圧空気を吐出する。
また、高圧空気コンプレッサ(6)は、空気管路(17)に接続され、この空気管路(17)は耐圧ボックス(31)の内部空間(A)に接続されている。
高圧空気コンプレッサ(6)は、高圧空気を空気管路(17)に吐出して、空気管路(17)から高圧空気を内部空間(A)に供給する。
また、高圧空気コンプレッサ(6)は、制御部(8)に接続されており、制御部(8)の駆動/停止指令に基づいて、制御される。
【0025】
空気供給手段(7:以下、「空気コンプレッサ(7)」と称する)は、空気を吐出する。
また、空気コンプレッサ(7)は、空気管路(18)に接続され、この空気管路(18)は、耐圧ボックス(31)の内部空間(A)に接続されている。
この空気コンプレッサ(6)は、空気を空気管路(18)に吐出して、空気管路(18)から空気を内部空間(A)に供給する。
また、空気コンプレッサ(6)は、制御部(8)に接続されており、制御部(8)の駆動/停止指令に基づいて、制御される。
【0026】
上記構成の制御手段(2)の制御部(8)は、大気圧センサ(3)の大気圧情報(P)である大気圧信号を入力すると、演算処理を実行して、設定気圧(Ps)を設定する。この設定気圧(Ps)は、耐圧ボックス(31)外側の大気圧(P)に85〜90hPaの気圧値(Pi)を加算した値であり、設定気圧(Ps)=大気圧(P)+気圧値(Pi)である。
制御手段(2)の制御部(8)は、高圧空気コンプレッサ(6)の駆動を制御することで、耐圧ボックス(31)の内部空間(A)を設定気圧(Ps)に調整、維持する。
【0027】
また、高圧空間形成装置(X)は、図2乃至図11に示すように、耐圧ボックス(31)、開閉扉体(32)、空気抜き窓口(33)、空気抜き窓体(34)及び空気調整穴(35)を備えている。
開閉扉体(32)、空気抜き窓口(33)、空気抜き窓体(34)及び空気調整穴(35)は、耐圧ボックス(31)に形成、又は設置されている。
【0028】
<耐圧ボックス(31)の構成>
図2乃至図9において、耐圧ボックス(31)は、複数の壁板(36)で構成されている。複数の壁板(36)は、床壁板(36A)、前後壁板(36B)、(36C)、左右壁板(36D)、(36E)及び天井壁板(36F)を備え、これら各壁板(36A)〜(36F)で内部空間(A)を区画している。これら各壁板(36A)〜(36F)は、軽量、耐圧を図るため、例えば、アルミ合金で形成されている。
この耐圧ボックス(31)は、基本構造として、前後方向に延びる長方体に構成され、後壁板(36C)を後方側に突出する円弧状に形成している。また、天井壁板(36F)は、上方側に突出する円弧状に形成され、前壁板(36B)から前後方向に向かって上方側に傾斜し、更に下方側に傾斜して後壁板(36C)まで延設されている。
各壁板(36A)〜(36F)は、アルミ溶接されて、内部空間(A)を密閉している。
また、床底板(36A)の内面には、図6に示すように、アルミ合金製の補強部材(37A)、(37B)、(37C)、(37D)がアルミ溶接され、補強部材(37A)は、X状に形成されて、前後方向に延設されている。また、各補強部材(37B)、(37C)は、左右方向において、補強部材(37A)の両側に設置されて、前後方向に延設されている。また、補強部材(37D)は、前後方向において、補強部材(37A)の前方に設置されて、左右方向に延設されている。
前壁板(36B)の外面には、図2及び図3に示すように、アルミ合金製の補強部材(37E)がアルミ溶接され、補強部材(37E)は、開閉扉体(32)の上方に設置されて、左右方向に延設されている。
また、左右壁板(36D)、(36E)の内面には、図3及び図5に示すように、アルミ合金製の補強部材(37F)、(37G)、(37H)、(37I)がアルミ溶接され、各補強部材(37F)、(37G)は、上下方向において、間隔を隔てて設置されて、前後方向に延設されている。また、各補強部材(37H)、(37I)は、上下方向において、間隔を隔てて設置されて、前後方向に延設されている。
これら各補強部材(37A)〜(37I)は、耐圧ボックス(31)が設定気圧(Ps)によって膨張して破壊することを防止している。
【0029】
耐圧ボックス(31)は、内部空間(A)に開口する出入口(38)を有し、出入口(38)は前壁板(36B)に形成されている。この出入口(38)は、人間(人体)が四つん這いで内部空間(A)に出入りできる開口面積を有している。また、出入口(38)の縁周には、ゴム等の弾力性を有するシール部材(39)が嵌め込まれている。このシール部材(39)は、図6及び図7に示すように、内部空間(A)及び前壁板(36B)外側に突出している。
【0030】
耐圧ボックス(31)の内部空間(A)は、大気圧(P)を超える設定気圧(Ps)の環境にされ、人間(人体)や小動物(犬、猫等のペット)を収容する。この内部空間(A)は、腰を下ろした人間(人体)を収容できる容積にされている(図6参照)。
また、内部空間(A)には、各種の空気管路(17)、(18)、(71)が接続され、内気圧センサ(5)及びリモコン(11)が設置されている。
更に、内部空間(A)には、図6に示すように、安全弁(73)が設置され、安全弁(73)は空気管路(74)に接続されている。空気管路(74)は、内部空間(A)から耐圧ボックス(31)外側に延びており、安全弁(73)の開弁によって、耐圧ボックス(31)外側に内部空間(A)の高圧空気を排気する。
【0031】
<開閉扉体(32)の構成>
開閉扉体(32)は、図5、図6乃至図8に示すように、内部空間(A)に設置されている。
この開閉扉体(32)は、出入口(38)の内側を開閉自在にするもので、複数の蝶番(40)で回転自在に支持さている。これら各蝶番(40)は、図5に示すように、出入口(38)の左壁板(36D)に配置されて、前壁板(36B)に取付けられている。
開閉扉体(32)は、図6及び図9に示すように、内部空間(A)から前壁板(36B)の内側に回転することで、シール部材(39)に当接される。これにより、開閉扉体(32)は、出入口(38)を内側から閉じる。
一方、開閉扉体(32)は、前壁板(36B)の内側から内部空間(A)に回転することで、出入口(38)を開く。
【0032】
<空気抜き窓口(33)の構成>
空気抜き窓口(33)は、図2、図5及び図7に示すように、開閉扉体(32)に形成され、内部空間(A)及び耐圧ボックス(31)外側に開口している。この空気抜き窓口(33)は、内部空間(A)に供給される高圧空気を一瞬に、耐圧ボックス(31)外側に排気する開口面積を有し、内部空間(A)を大気圧(P)にする。なお、空気抜き窓口(33)は、矩形状に形成され、開閉扉体(32)上方側の中心に配置されている。
また、空気抜き窓口(33)の縁周には、ゴム等の弾力性を有するシール部材(41)が嵌め込まれている。このシール部材(41)は、図7に示すように、内部空間(A)及び開閉扉体(32)外側に突出している。
【0033】
<空気抜き窓体(34)の構成>
空気抜き窓体(34)は、図2、図5、図7及び図10に示すように、内部空間(A)に配置され、空気抜き窓口(33)を内側から閉鎖又は開放する。この空気窓体(34)は、アクリル等の透明樹脂によって矩形状に形成されている。
また、空気抜き窓体(34)は、高圧空気コンプレッサ(6)による高圧空気の供給前に、空気抜き窓口(33)を閉鎖するように配置される。この状態で、内部空間(A)への高圧空気の供給に伴って、大気圧(P)を超えて設定気圧(Ps)未満の開閉気圧(Pk)を受けると、窓体(34)の重量に抗して、空気抜き窓口(33)の内側からシール部材(41)に押付けられて、空気抜き窓口(33)を閉鎖する(図10参照)。
一方、内部空間(A)の気圧(Pa)が減圧されて設定気圧(Ps)から開閉気圧(Pk)に達すると、空気抜き窓体(34)は、該窓体(34)の重量によって床壁板(36A)側に落下して、空気抜き窓口(33)から離間される。これにより、空気抜き窓体(34)は、空気抜き窓口(33)を開放して、内部空間(A)を耐圧ボックス(31)外側に連通させる(図7参照)。
以上のように、空気抜き窓体(34)の重量は、開閉気圧(Pk)の関係で決定され、重量を重くすると、設定気圧(Ps)近傍の開閉気圧(Pk)によって空気抜き窓口(33)を閉鎖及び開放でき、重量を軽くすると大気圧(P)近傍の開閉気圧(Pk)によって空気抜き窓口(33)を閉鎖及び開放できる。
なお、空気抜き窓体(34)の重量は、大気圧(P)近傍の開閉気圧(Pk)によって空気抜き窓口(33)を閉鎖及び開放できるものとすることが好ましい。
【0034】
更に、空気抜き窓体(34)は、重量により落下すると、保持手段(51)によって保持される。この保持手段(51)は、図5及び図7に示すように、窓体受け部(52)及び窓体保持部(53)で構成されている。
窓体受け部(52)は、空気抜き窓口(33)の下方側に配置されて、開閉扉体(32)の内側に取付けられている。この窓体受け部(52)は、落下する空気抜き窓体(34)の下端を受けて保持する。
窓体保持部(53)は、開閉扉体(32)の間に空気抜き窓体(34)を配置して、開閉扉体(32)の内側に取付けられている。この窓体保持部(53)は、開閉扉体(32)から内部空間(A)内に傾斜する空気抜き窓体(34)を保持する。
【0035】
<空気調整穴(35)の構成>
空気調整穴(35)は、図2に示すように、開閉扉体(32)に形成され、空気抜き窓口(33)を間に配置する両側の夫々に設けられている。両側の空気調整穴(35)は、内部空間(A)及び耐圧ボックス(31)外側に開口している。
これにより、空気調整穴(35)は、高圧空気コンプレッサ(6)から内部空間(A)に供給される高圧空気を排気することで、内部空間(A)の気圧(Pa)を設定気圧(Ps)に調整、維持する。
なお、空気調整穴(35)は、高圧空気コンプレッサ(6)が内部空間(A)に供給する高圧空気よりも、少ない流量の高圧空気を排気する開口面積にされている。
従って、空気調整穴(35)の開口面積を大きくする程、排気される高圧空気の流量も多くなるので、内部空間(A)はゆっくりと設定気圧(Ps)まで加圧される。逆に、開口面積を小さくする程、排気される高圧空気の流量も少なくなるので、内部空間(A)は急激に設定気圧(Ps)まで加圧される。
また、空気調整穴(35)の開口面積は、空気抜き窓口(35)の開口面積に対して十分に小さくされている。
【0036】
次に、高圧空間形成装置(X)による加圧動作、及び減圧動作について、図1乃至図14を参照して説明する。
なお、説明の便宜上、空気抜き窓体(34)は、図7及び図8に示すように、窓体受け部(52)及び窓体保持部(53)で保持されて、空気抜き窓口(33)を開放している。
【0037】
<高圧空間形成装置(X)の加圧動作>
高圧空間形成装置(X)のユーザである人間(以下、「ユーザ」と称る)は、操作パネル(10)の電源スイッチ(12)をON操作すると(図12及び図14:ST01)、操作パネル(10)は電源信号を制御手段(2)に出力する。制御手段(2)の制御部(8)は、電源信号を入力すると、大気圧センサ(3)による大気圧の検出を開始させる(図12:ST02)。
【0038】
続いて、制御部(8)は、大気圧センサ(3)から大気圧信号の大気圧情報(P)を入力すると(図12:ST03、Y)、設定記憶部(ROM)から気圧値(Pi)及び演算式を読出し、演算処理を実行する(図12:ST04)。
この演算処理は、設定気(Ps)を設定するもので、大気圧信号の大気圧情報(P)に、例えば、90hPaの気圧値(Pi)を加算する(Ps=P+Pi)。
大気圧センサ(3)は、耐圧ボックス(31)外側において、実際の大気圧(P)を検出しており、例えば、大気圧情報(P)が1013hPaであれば、設定気圧(Ps)は1013hPa+90hPa=1103hPa(約1.1気圧)となり、大気圧情報(P)が1005hPaであれば、設定気圧(Ps)は1005hPa+90hPa=1095hPaとなる。
このように、演算処理では、日々変動する大気圧(P)に、気圧値(Pi:85〜90hPa)を加算するもので、設定気圧(Ps)は、大気圧(P)に加算する気圧値(Pi)を適宜選択することで、1.09〜1.10気圧に設定される。
【0039】
一方、操作パネル(10)の空気スイッチ(11)をON操作すると(図12及び図14:ST05、)、操作パネル(10)は、空気要求信号を制御手段(2)に出力する。制御手段(2)の制御部(8)は、空気要求信号を入力すると、空気コンプレッサ(7)に駆動指令を出力して、空気コンプレッサ(7)を駆動させる(図12:ST06)。
これにより、空気コンプレッサ(7)は、図14に示すように、空気を空気管路(18)に吐出して、空気管路(18)から空気を耐圧ボックス(31)の内部空間(A)に供給する。
【0040】
内部空間(A)に空気が供給されると、開閉扉体(32)を内部空間(A)側に回転させて、耐圧ボックス(31)の出入口(38)を開く。
ユーザは、四つん這いの状態で、出入口(38)から内部空間(A)に入り、図6に示すように、耐圧ボックス(31)の後壁板(36C)側で腰を下ろして座る。
続いて、開閉扉体(32)を前壁板(36B)側に向けて回転して、出入口(38)を閉じる。
【0041】
出入口(38)を開閉扉体(32)で閉じた後、ユーザは、リモコン(11)のタイマ設定スイッチ(16)を操作することで(図12:ST07、Y)、所望の設定時間(Ts)、例えば15分の時間を設定する(図12:ST08)。リモコン(11)は、タイマ設定信号を制御手段(2)に出力する。
【0042】
続いて、高圧空気スイッチ(14)をON操作すると(図12及び図14:ST09)、リモコン(11)は高圧空気要求信号を制御手段(2)に出力する。
また、ユーザは、高圧空気コンプレッサ(6)による高圧空気の供給前に、図10に示すように、空気抜き窓体(34)を窓体受け部(51)から持ち上げて、空気抜き窓口(33)を閉じるように配置する。
【0043】
制御部(8)は、タイマ設定信号及び高圧空気要求信号を入力すると、タイマ(9)に開始指令を出力し、高圧空気コンプレッサ(6)に駆動指令を出力する(図12及び図14:ST10)。
これにより、タイマ(9)は、設定時間(Ts)の計時を開始する。一方、高圧空気コンプレッサ(6)は、空気を圧縮して、大気圧を超える気圧の高圧空気を空気管路(17)に吐出し、空気管路(17)から高圧空気を内部空間(A)に供給する。
【0044】
高圧空気コンプレッサ(6)による高圧空気の供給に伴って、内部空間(A)に供給される高圧空気よりも少ない高圧空気が、空気調整穴(35)から排気されるので、内部空間(A)の気圧(Pa)は、急激に設定気圧(Ps)まで加圧されることなく、図14に示すように、除々に昇圧、加圧される。
一方、高圧空気の供給に伴って、内部空間(A)の気圧(Pa)が大気圧(P)から開閉気圧(Pk)に達すると、空気抜き窓体(34)は、内側全体で開閉気圧(Pk)を受ける。
これにより、空気抜き窓体(34)は、図10に示すように、開閉気圧(Pk)の作用によって、窓体(34)の重量に抗して、空気抜き窓口(33)の内側からシール部材(41)に押付けられて、空気抜き窓口(33)を閉鎖する。
また、内部空間(A)に供給される高圧空気よりも少ない高圧空気は、空気抜き窓口(33)の両側に配置される空気調整穴(35)から排気されるので、この排気される高圧空気の排気流動によって、空気抜き窓体(34)はシール部材(41)側に吸引される。
従って、空気抜き窓体(34)は、開閉気圧(Pk)及び高圧空気の流動による吸引によって、確実にシール部材(41)に押付けられ、空気抜き窓口(33)を気密に閉鎖する。
そして、高圧空気の供給に伴って、内部空間(A)が開閉気圧(Pk)を超える気圧になると、空気抜き穴(34)は、窓体(34)の重量に抗して、シール部材(41)に強く押付けられるので、ユーザが空気抜き窓体(34)を離しても落下することがない。
【0045】
制御手段(2)の制御部(8)は、内気圧センサ(5)の内気圧信号(Pa)を逐次、入力して、内部空間(A)の気圧(Pa)を監視している。
内部空間(A)の気圧(Pa)が設定気圧(Ps)に達すると(図13及び図14:ST11)、制御部(8)は、高圧空気コンプレッサ(6)の駆動を制御して(図13:ST12)、内部空間(A)に供給する高圧空気を制御する。
これにより、内部空間(A)は、図14に示すように、高圧空気コンプレッサ(6)により供給する高圧空気と空気調整穴(35)から排気する高圧空気が一定となり、1.09〜1.10気圧の設定気圧(Ps)に調整、維持される。
【0046】
そして、内部空間(A)の気圧(Pa)を、大気圧近傍の1.09〜1.10気圧の設定気圧(Ps)に加圧すると、人間(人体)及び小動物に作用する気圧による疲れを少なくでき、人間の耳抜きも容易にできる。
しかも、内部空間(A)を1.09〜1.10気圧の設定気圧(Ps)まで加圧すると、内部空間(A)の酸素濃度(酸素含有率(%))を増加できる。例えば、1気圧の酸素濃度は約20%であり、内部空間(A)を1.10気圧に加圧すると、酸素濃度は約23%になる。
内部空間(A)の酸素濃度を増加すると、人間や小動物は、結合型酸素のみならず、溶解型酸素も体内に取り込むことができ、老化防止、疲労回復、病気や怪我の治療に効果を奏する。
ここで、「結合型酸素」とは、通常の呼吸によって体内に取り込んで、血液中のヘモグロビンと結合して細胞に運ばれる酸素であり、「溶解型酸素」とは、血液の血漿、体液及びリンパ液に溶け込んで毛細血管から細胞に運ばれる酸素である。
また、内部空間(A)には、空気コンプレッサ(7)から空気が常時、供給されているので、人間(人体)や小動物が酸欠になることもない。
更に、耐圧ボックス(31)は、図2乃至図4に示すように、前後方向に異なる断面形状(図3のC−C断面)を構成しているので、人間(人体)や小動物に作用する設定圧力(Ps)は内部空間(A)の前後方向で均一にならない。
従って、人間(人体)や小動物の頭、胸又は腰等から取り込まれる溶解型酸素の量も相違することになり、人体の特定部位から多くの溶解型酸素を取り込ませることができる。
【0047】
<高圧空間形成装置(X)の減圧動作>
制御手段(2)は、タイマ(9)の計時を監視し、タイマ(9)は設定時間(Ts)を計時すると、タイマ終了信号を制御手段(2)に出力する(図13及び図14:ST13)。
制御部(8)は、タイマ終了信号を入力すると、高圧空気コンプレッサ(6)に停止指令を出力し、高圧空気コンプレッサ(6)の駆動を停止させる(図13及び図14:ST14)。
【0048】
高圧空気の供給停止に伴って、内部空間(A)の高圧空気は、空気調整穴(35)から耐圧ボックス(31)外側に排気されるので、内部空間(A)の気圧(Pa)は、図14に示すように、除々に減圧される。
続いて、内部空間(A)の気圧(Pa)が設定気圧(Ps)から開閉気圧(Pk)に達すると(図13:ST15 Y)、空気抜き窓体(34)は、図7に示すように、窓体(34)の重量によって空気抜き窓口(33)から離間して、床壁板(36A)側に落下する(図13:ST116)。
そして、空気抜き窓体(34)は、窓体受け部(52)で受け止められ保持されて、開閉扉体(32)の内側から内部空間(A)に傾斜する。
これにより、空気抜き窓体(34)は、空気抜き窓口(33)を開放するので、内部空間(A)の高圧空気は、瞬時に耐圧ボックス(31)外側に排気される。この高圧空気の排気によって、内部空間(A)の気圧(Pa)は大気圧(P)にされる(図7及び図14参照)。
【0049】
また、内部空間(A)の気圧(Pa)が開閉気圧(Pk)に達すると、空気抜き窓体(34)は、落下した後、傾斜して、窓体保持部(53)に当接する。そして、開閉扉体(32)は、窓体保持部(53)に当接する空気抜き窓体(34)の重量によって、前壁板(36B)の内側から内部空間(A)に回転され、シール部材(41)から離間する。これにより、開閉扉体(32)は、出入口(38)を幾分、開く。
続いて、ユーザは、開閉扉体(32)を更に、内部空間(A)に回転させることで、耐圧ボックス(31)の出入口(38)を完全に開く。
出入口(38)を開くと、ユーザは、出入口(38)から耐圧ボックス(31)外側に出て、操作パネル(10)の空気スイッチ(13)をOFF操作する(図13及び図14:ST17)。
制御手段(2)の制御部(8)は、空気スイッチ(13)のOFF操作に基づいて、空気コンプレッサ(7)の駆動を停止する(図13:ST18)。
これにより、内部空間(A)への空気の供給が停止され、電源(12)のOFF操作によって高圧空間形成装置(X)の起動が停止される(図13及び図14:ST19)。
【0050】
一方、緊急時等において、ユーザが停止スイッチ(15)をON操作すると、リモコン(11)は停止信号を制御手段(2)に出力する。制御部(8)は、停止信号を入力すると、高圧空気コンプレッサ(6)に停止指令を出力して、高圧空気コンプレッサ(6)の駆動を停止する。これにより、緊急時等に、内部空間(A)を減圧して、大気圧にできる。
また、緊急時等において、耐圧ボックス(31)外側にいる外部補助者が安全弁(72)を開弁し、又は内部空間(A)のユーザが安全弁(73)を開弁することで、内部空間(A)の高圧空気を瞬時に排気して、内部空間(A)を大気圧にできる。
【0051】
以上のように、高圧空間形成装置(X)によれば、耐圧ボックス(31)の出入口(38)を閉じ、空気抜き窓口(34)を閉鎖した状態において、高圧空気コンプレッサ(6)による高圧空気の供給、及び空気調整穴(35)による高圧空気の排気によって、内部空間(A)の気圧(Pa)を調整、維持できるので、内部空間(A)の気圧(Pa)を制御する構成が簡単になる。
また、内部空間(A)の気圧(Pa)を設定気圧(Ps)から大気圧(P)まで減圧するとき、内部空間(A)の高圧空気は、空気調整穴(35)から排気でき、しかも、この排気によって設定気圧(Ps)から開閉気圧(Pk)に達すると、空気抜き窓口(33)が開放されて、内部空間(A)の高圧空気を瞬時に排気できる。従って、内部空間(A)の人間、耐圧ボックス(31)外側にいる外部補助者は、何ら作業、操作する必要がなく、内部空間(A)の気圧(Pa)を設定気圧(Ps)から大気圧(P)にすることができる。また、外部補助者がいなくても、内部空間(A)の気圧(Pa)を設定気圧(Ps)から大気圧(P)に戻すことができる。
更に、空気コンプレッサ(7)の駆動によって、内部空間(A)に、常時、空気(酸素)を供給することができ、内部空間(A)に収容される人間(人体)や小動物が酸欠になることを防止できる。
【0052】
次に、他の実施形態における高圧空間形成装置(X)の耐圧ボックス(61)について、図15及び図16を参照して説明する。
図15は他の実施形態における高圧空間形成装置の耐圧ボックスを示す正面図であり、図16は他の実施形態における高圧空間形成装置の耐圧ボックスを示す側面図である。なお、図15及び図16において、図2乃至図11と同一符号は、同一構成、部材を示すので、その説明は省略する。
【0053】
図15及び図16において、耐圧ボックス(61)は、左右壁板(36D)、(36E)に複数のディンプル(62)を形成している。複数のディンプル(62)は、左右壁板(36D)、(36E)を部分的に円形状に凹まして形成されている。これら各ディンプル(62)は、内部空間(A)から耐圧ボックス(31)外側に向けて凹まされて、耐圧ボックス(31)外側に突出している。
また、各ディンプル(62)は、図16に示すように、左右壁板(36D)、(36E)の全体にわたって均一に配置され、設定圧力(Ps)による耐圧ボックス(61)の耐圧性能を向上している。
なお、図15及び図16の耐圧ボックス(61)は、図2乃至図6の耐圧ボックス(31)と同一の各補強部材(37A)〜(37I)を備え、各補強部材(37F)、(37G)は、図16に示すように、上下方向において、各ディンプル(62)の間に配置されて、前後方向に延設されている。また、各補強部材(37H)、(37I)は、上下方向において、各ディンプル(62)の間に配置されて、前後方向に延設されている。
耐圧ボックス(61)では、図16に示すように、複数のディンプル(62)の間に補強部材(37A)〜(37I)を配置することで、設定圧力(Ps)による左右壁板(36E)、(36D)の膨張、収縮を減少させている。
このように、耐圧ボックス(61)は、複数のディンプル(62)及び補強部材(37A)〜(37I)によって耐圧ボックス(61)の耐圧性能を向上している。
【0054】
本発明に係る高圧空間形成装置(X)は、空気抜き窓口(33)、空気抜き窓体(34)及び空気調整穴(35)を開閉扉体(32)に形成、設置しているが、これに限定されるものでなく、耐圧ボックス(31)、(61)の各壁板(36A)〜(36F)に形成、設置しても良い。
また、空気調整穴(35)は、1又は複数形成することができ、何らかの原因で閉塞されることを考慮すると、2以上形成することが好ましい。
更に、内部空間(A)を加圧する設定時間(Ts)が経過したとき、音楽によって内部空間(A)の人間(人体)に対して、減圧に入ることを報知しても良い。
また、耐圧ボックス(31)、(61)の内部空間(A)にLED等の照明機器を設置しても良い。
【0055】
本発明に係る高圧空間形成装置(X)では、設定気圧(Ps)を1.09〜1.10気圧にすることについて説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、1.1気圧を超えて2.0気圧の範囲に設定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、人間(人体)や小動物を大気圧を超える気圧に曝すための内部空間を有する高圧空間形成装置に好適である。
【符号の説明】
【0057】
A 内部空間
X 高圧空間形成装置
2 制御手段
3 大気圧検出手段(大気圧センサ)
6 高圧空気供給手段(高圧空気コンプレッサ)
7 空気供給手段(空気コンプレッサ)
31、61 耐圧ボックス
32 開閉扉体
33 空気抜き窓口
34 空気抜き窓体
35 空気調整穴
38 出入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧を超える設定気圧の環境にされる内部空間に開口する出入口を有し、該内部空間に人体を収容する耐圧ボックスと、
前記内部空間に大気圧を超える気圧の高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、
前記内部空間に空気を供給する空気供給手段と、
前記出入口の内側を開閉自在に配置され、前記内部空間に供給される高圧空気によって、前記出入口を気密に閉じる開閉扉体と、
前記内部空間の高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気して、前記内部空間を設定気圧に調整する空気調整穴と、
前記内部空間の高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気して、前記内部空間を大気圧にする空気抜き窓口と、
前記内部空間に配置され、前記空気抜き窓口を内側から閉鎖又は開放する空気抜き窓体と、を備え、
前記空気抜き窓体は、
前記高圧空気供給手段による高圧空気の供給前に、前記空気抜き窓口を閉じるように配置され、前記内部空間への高圧空気の供給に伴って、大気圧を超えて設定気圧未満の開閉気圧を受けると、前記空気抜き窓口を気密に閉鎖するとともに、
前記高圧空気供給手段による高圧空気の供給停止に伴って、前記内部空間が設定気圧から開閉気圧に達すると、該空気抜き窓体の重量によって前記空気抜き窓口から離間して、該空気抜き窓口を開放する、
ことを特徴とする高圧空間形成装置。
【請求項2】
前記高圧空気供給手段を制御する制御手段と、
前記耐圧ボックス外側の大気圧を検出して、大気圧情報を前記制御手段に出力する大気圧検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記大気圧情報に85〜90hPsの気圧値を加算して、前記設定気圧を決定するとともに、
前記内部空間が前記設定気圧となるように、前記高圧空気供給手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の高圧空間形成装置。
【請求項3】
前記空気抜き窓口は、
前記開閉扉体に形成され、前記高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気し、
前記空気調整穴は、
前記開閉扉体に形成され、前記高圧空気を前記耐圧ボックス外側に排気するとともに、前記空気抜き窓口を間に配置する両側に夫々設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧空間形成装置。
【請求項4】
前記空気抜き窓体は、
透明樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は3記載の高圧空間形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−143346(P2012−143346A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3050(P2011−3050)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(505295938)株式会社ミッション・ロイヤー (2)
【Fターム(参考)】