説明

高尿酸血症と関連病態の治療の方法

本開示は、尿酸レベルを抑えることを必要とする患者において、尿酸レベルを抑えるための組成物及び方法に関する。さらに本開示は、シロイノシトールを使用する、高尿酸血症と高尿酸レベルに関連した疾患の哺乳動物における治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本出願は、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号:61/097,023(2008年9月15日出願)の利益を特許請求する。
【背景技術】
【0002】
[002] 尿酸(7,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6,8(3H)-トリオン;UA)は、いくつかの疾患又は病態の危険因子として示唆されてきた。Kutzing, M.K. et al., JPET Vol. 324, No. 1, 1-7 (2008) (doi:10.1124/jpet.107.129031)。
【0003】
[003] 異常に高い血中UAレベル(即ち、高尿酸血症レベル)は、数多くの病態、例えば、痛風、腎疾患(Johnson, R.J., et al., Hypertension. 2003 Jun;41(6):1183-90)、アテローム性動脈硬化症(Hayden, M.R., Nutr Metab (Lond).2004 Oct 19;1(1):10)、心臓血管系疾患(Hayden 2004; Alderman, M., Curr Med Res Opin. 2004 Mar; 20(3):369-79)、代謝症候群(Hayden, 2004; Lin, J.D., Metabolism, 2007 Jun;56(6):751-6)、尿酸結石症(Shekarriz B. et al., J Urol., 2002 Oct;168(4 Pt 1):1307-14)、及び高血圧症(Johnson 2003)へ寄与する。当該技術分野では、高尿酸血症が上記の病態のいくつかの原因又は結果のいずれであるのかについて必ずしも決着していないが、UAの存在をこの病態の結果として続く生体マーカー(即ち、指標)とみるのではなく、UAは上記疾患における危険因子であるとする見解及び証拠が高まっている。
【0004】
[004] 数多くの研究が高尿酸血症と、関節内でのUAの結晶化より生じる炎症性の関節炎(Choi et al., 2005)である、痛風の間の関連を実証している(例えば、Lin, K.C. et al., J. Rheumatol., 2000; 27:1501-1505; Choi, H.K. et al., Ann Intern Med., 2005; 143:499-516 を参照のこと)。さらに、諸研究は、血清尿酸塩レベルと痛風の将来リスクの間の直接的な正の関連性について報告している。具体的には、尿酸塩濃度が増加するにつれて結晶形成のリスクが増加して、痛風の発症への患者の易罹患性を高める(Lin et al., 2000)。
【0005】
[005] 痛風と尿酸結石症は、他の危険因子の中でもとりわけ高尿酸血症に関連していることが一般に受け容れられている。原発性痛風と尿酸結石症を関連付けた研究もある(Pak, C.Y. et al., Kidney Int., 2001 Aug; 60(2):757-61)。
【0006】
[006] 男性の高尿酸血症は、ある研究(Klemp P. et al., Ann Rheum Dis. 56:22-26(1997))では血清中386μM(これは、1リットルあたりのマイクロモル数、又はマイクロモル濃度である)より高くて、別の研究(Johnson, R.J. et al., Hypertension 41:1183-1190 (2003))では420μMより高いUA濃度であり得る。女性では、ほとんどの研究が高尿酸血症をほぼ360μMより高い濃度として定義している(Klemp 1997 and Johnson 2003)。UA濃度の正常範囲は、約120μMと約380μMの間のどこかに該当して、性別に依存してわずかに変動する(Kutzing 2008)。いくつかの事例では、血液又は血清中の尿酸濃度をデシリットルあたりのミリグラム数(mg/dL)で表すが;尿酸値をマイクロモル/リットルからmg/dLへ変換するには、その値を59.48で割る。
【0007】
[007] 罹患した個体のために食事、アルコール摂取、及び運動のレベルを改善した後で、現在好まれている高尿酸血症の治療法には2種類の薬物:キサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸排泄薬が含まれる。例えば、それらは、現下では、痛風の第一選択治療薬である。アロプリノールのようなキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、尿酸塩合成の最後の2工程を遮断することによってUAの産生を阻害する。結果として、尿酸塩前駆体であるキサンチン及びヒポキサンチンのプールが増加する。キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、標準と比べて尿酸塩産生が増加している患者に主に使用されている。
【0008】
[008] あるいは、上昇したUA濃度が低い尿酸塩クリアランスに続発するのであれば、プロベネシド、スルフィンピラゾン、及びベンズプロマロンのような尿酸排泄薬を使用して、尿細管からのUAを再吸収する腎臓トランスポーターの阻害を介して血清UA濃度を低下させて、UA排出の増加をもたらす(Emmerson, 1996; Choi et al., 2005)。しかしながら、痛風の尿酸排泄薬での治療は、尿酸腎結石症(腎結石)をもたらす可能性がある。別のより旧式でさほど使用されていない痛風への治療法は、コルヒチンの投与である。これらの既存治療薬には副作用が報告されていて、高尿酸血症と高尿酸血症に関連した疾患への安全で有効な治療薬への未充足ニーズが依然としてある。
【0009】
[009] シロ-イノシトールは、患者の尿酸レベルを低下させることが見出されて、シロ-イノシトールは、血中の尿酸の量を用量依存的なやり方で低下させることが見出されている。故に、シロ-イノシトールは、組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せにおいて尿酸レベルを低下させるのに有用で有り得て、上昇した尿酸のレベルを特徴とする症状のような、尿酸の異常レベルに関連した症状を治療するのに有用性を有し得る。尿酸の異常レベルに関連した症状には、尿酸の過剰産生、尿酸の低排出、腫瘍溶解、血液障害、又はこれらの組合せを伴う場合がある。
【0010】
[010] シロ-イノシトールは、異常に高い血中尿酸レベル(高尿酸血症)を低下させることに有用性を有して、高尿酸血症に関連しているか又は高尿酸血症を危険因子として有する疾患、又は高尿酸血症の存在によって増悪される疾患を治療することに有用性を有する。このような疾患には、限定されないが、痛風、アテローム性動脈硬化症、細動脈硬化症、腎疾患、心臓血管系疾患、代謝症候群、尿酸結石症、及び高血圧症が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kutzing, M.K. et al., JPET Vol. 324, No. 1, 1-7 (2008)
【非特許文献2】Johnson, R.J., et al., Hypertension. 2003 Jun;41(6):1183-90
【非特許文献3】Hayden, M.R., Nutr Metab (Lond). 2004 Oct 19;1(1):10
【非特許文献4】Hayden 2004; Alderman, M., Curr Med Res Opin. 2004 Mar; 20(3):369-79
【非特許文献5】Lin, J.D., Metabolism, 2007 Jun;56(6):751-6
【非特許文献6】Shekarriz B. et al., J Urol., 2002 Oct;168(4 Pt 1):1307-14
【非特許文献7】Lin, K.C. et al., J. Rheumatol., 2000; 27:1501-1505
【非特許文献8】Choi, H.K. et al., Ann Intern Med., 2005; 143:499-516
【非特許文献9】Pak, C.Y. et al., Kidney Int., 2001 Aug; 60(2):757-61)。
【非特許文献10】Klemp P. et al., Ann Rheum Dis. 56:22-26(1997)
【発明の概要】
【0012】
[011] 本開示は、1以上の組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せ中の尿酸レベルを減少させることを必要とする患者において、尿酸レベルを減少させる方法に関し、該方法は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールを該患者へ投与することを含む。
【0013】
[012] 本開示はまた、尿酸の異常レベルに関連した症状に罹患している患者を治療する方法に関し、該方法は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールを該患者へ投与することを含む。少なくとも1つの態様において、症状は、痛風;再発性痛風発作;痛風結節;痛風性関節炎;痛風性腎症;子癇;アテローム性動脈硬化症;細動脈硬化症;代謝症候群;血球の加速形成及び破壊を伴う疾患;高尿酸血症;真正赤血球増加症、骨髄性異形成、又は血液疾患の慢性高尿酸血症;高血圧症;心臓血管系疾患;冠動脈性心疾患;腎症状及び痛風様症状の程度までのレッシュ-ナイハン又はケリー-シーグラー症候群;腎疾患;腎結石;腎不全;急性腎不全;関節炎症;関節炎;尿路結石症;尿酸結石症;鉛中毒;上皮小体機能亢進症;乾癬;及びサルコイドーシスより選択される。
【0014】
[013] さらに本開示は、尿酸の異常レベルに関連した症状を、前記症状を発症するリスクが増加した個体において治療する方法に関し、該方法は、治療有効量のシロ-イノシトールを該個体へ投与することを含む。
【0015】
[014] 本開示は、血清尿酸レベルを抑えることを必要とする個体において、血清尿酸レベルを低下させる量のシロ-イノシトールを投与することによって、血清尿酸レベルを抑える方法に関する。本開示の別の態様において、治療されるべき個体は、治療前に、7 mg/dL(420マイクロモル/L)以上の血清尿酸レベルを有する。本開示の方法を使用して治療される少なくとも1つの症状は、痛風、又は関節又は腎臓中の高い尿酸レベル又は9 mg/dL(530マイクロモル/L)より高い血清尿酸レベルによってもたらされるあらゆる症状である。
【0016】
[015] 別の態様において、本開示は、治療有効量のシロ-イノシトールを個体へ投与することを含む、個体における1又は複数の痛風結節の形成を抑える方法に関する。
[016] 本開示は、高尿酸血症を治療することを必要とする患者において、高尿酸血症を治療する方法に関し、該方法は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールを該患者へ投与することを含む。
【0017】
[017] 本開示の別の態様において、高尿酸血症の患者へ投与されるシロ-イノシトールの量は、約150 mg/日〜7000 mg/日、約150 mg/日〜6000 mg/日、約200 mg/日〜6000 mg/日、400 mg/日〜6000 mg/日、150 mg/日〜約4000 mg/日、そしてさらに、例えば、200 mg/日〜3000 mg/日の範囲である。
【0018】
[018] 別の態様において、シロ-イノシトールは、患者へ単位剤形で投与される。別の態様において、単位剤形は、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される。本開示の別の態様において、単位剤形は、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ-イノシトールを含む。
【0019】
[019] 本開示の別の態様において、痛風を治療することを必要とする患者において、痛風を治療する方法を提供し、該方法は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールを該患者へ投与することを含む。別の態様において、本開示は、痛風を治療する方法に関し、ここで患者へ投与されるシロ-イノシトールの量は、約150 mg/日〜約7000 mg/日、約150 mg/日〜約6000 mg/日、そして例えば、約150 mg/日〜約4000 mg/日の範囲である。別の態様において、シロ-イノシトールは、痛風の治療において、単位剤形で患者へ投与される。別の態様において、単位剤形は、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される。本開示の一側面において、単位剤形は、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、又は1000 mgのシロ-イノシトールを含む。
【0020】
[020] 本開示の別の態様は、高尿酸血症を危険因子として有する病態を治療することを必要とする患者において、そのような病態を治療することに関し、該方法は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールを該患者へ投与することを含む。別の態様において、病態は、アテローム性動脈硬化症、細動脈硬化症、腎疾患、心臓血管系疾患、代謝症候群、尿酸結石症、及び高血圧症より選択される。別の態様において、投与されるシロ-イノシトールの量は、約150 mg/日〜約7000 mg/日、そしてさらに、例えば、約150 mg/日〜約6000 mg/日の範囲である。病態の治療の方法における別の態様では、シロ-イノシトールを単位剤形で投与する。別の態様において、単位剤形は、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される。病態の治療の方法における別の態様において、単位剤形は、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ-イノシトールを含む。
【0021】
[021] 本開示はまた、個体の平均血清尿酸レベルを定量すること、そしてその個体の血清尿酸レベルを5 mg/dLか又は6 mg/dL、またはそれ未満に維持するのに有効な処方に従ってシロ-イノシトールを該個体へ投与することを含む、尿酸の異常レベルに関連した症状を個体において治療する方法に関する。平均血清尿酸レベルは、一般に、個体より得られる2以上の尿酸読取り値の平均である。複数の読取りは、相互に数時間、数日、又は数週以内に入手してよい。本開示の少なくとも1つの態様において、2以上の読取りは、少なくとも1週空けて入手する。
【0022】
[022] 本開示の方法はまた、高尿酸血症によって一部媒介される疾患のような、尿酸の異常レベルに関連した症状の治療に有効な第二の治療薬剤のような第二の治療薬を、シロ-イノシトールと組み合わせて投与することを含む場合がある。故に、本開示は、投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ-イノシトールと第二の治療薬剤を該患者へ投与することを含む、尿酸の異常レベルに関連した症状への組合せ治療に関する。本開示の少なくとも1つの態様において、第二の治療薬剤は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤のような、尿酸低下剤である。故に、本開示はまた、治療有効量のシロ-イノシトール及び尿酸低下剤を投与することを含む、尿酸産生を減少させるか、尿酸排出を増加させるか、又はその両方のための方法に関する。尿酸低下剤の例には、限定されないが、アロプリノール、フェブキソスタット、4-(5-ピリジン-4-イル-1/f-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-カルボニトリル(FYX-051)、又はこれらの組合せが含まれる。
【0023】
[023] 本開示はまた、そのベースラインレベルと比較して、哺乳動物の血中尿酸レベルを低下させるのに有効な量のシロ-イノシトールと、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬成分を含む医薬組成物に関する。追加の態様において、医薬組成物は、痛風を治療するのに有用である。追加の態様において、医薬組成物は、高血圧症又は心臓血管系イベントを抑えるのに有用である。追加の態様において、医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形である。追加の態様において、単位剤形に存在するシロ-イノシトールの量は、150 mg〜1500 mgのように、100 mg〜2000 mgのように、100 mg〜1500 mgのように、又は100 mg〜1000 mgのように、約150 mg〜2000 mgの範囲である。追加の態様において、シロ-イノシトールは、単回用量において、1日1回投与される。追加の態様において、シロ-イノシトールは、1日2回投与される。さらなる、又は追加の態様において、シロ-イノシトールは、1日3回投与される。追加の態様において、シロ-イノシトールは、1日4回投与される。
【0024】
[024] 本開示の医薬組成物はまた、尿酸低下剤のような第二の治療薬剤を含む場合がある。本開示の組成物中のシロ-イノシトールと尿酸低下剤のような第二の治療薬剤の組合せは、相加効果又は相加より大きい効果、例えば、相乗効果をもたらすように選択することができる。1つの態様において、本開示は、シロ-イノシトールと尿酸低下剤のような第二の治療薬剤を、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分と組み合わせて含む医薬組成物に関し、ここでシロ-イノシトールと第二の治療薬剤の量は、尿酸の異常レベルに関連した症状の治療における同時的、分離的、又は連続的な使用のための組合せ調製物として、本明細書に開示の症状を治療するのに相加効果又は相乗効果をもたらすように選択される。別の態様において、本開示は、シロ-イノシトールと第二の治療薬剤を担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分と組み合わせて含む医薬組成物に関し、ここでシロ-イノシトールと第二の治療薬剤は、尿酸の異常レベルに関連した症状の治療における同時的、分離的、又は連続的な使用のための組合せ調製物として、相乗効果をもたらすように選択される。別の態様において、本開示は、シロ-イノシトールと第二の治療薬剤を含む医薬組成物に関し、ここで前記組成物は、高尿酸血症が危険因子である病態を治療することを必要とする哺乳動物において、そのような病態を治療するのに相乗効果を達成する。本開示はまた、別々の容器中にあって、被検者への同時的又は連続的な投与用に、特に有益な効果を提供するために企図された、シロ-イノシトールと尿酸低下剤のような第二の治療薬剤(いずれも医薬的に許容される担体、賦形剤、又はビヒクルと一緒であってもよい)を含む、医薬組成物に関する。
【0025】
[025] 本開示は、1以上の組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せにおいて尿酸レベルを減少させるための医薬品の製造におけるシロ-イノシトールの使用に関する。本開示はまた、尿酸産生を減少させるか、尿酸排出を増加させるか、又はその両方のための医薬品の製造におけるシロ-イノシトールの使用に関する。本開示は、さらに、尿酸の異常レベルに関連した症状を治療するための医薬品の製造におけるシロ-イノシトールの使用に関する。本開示は、なおさらに、痛風;再発性痛風発作;痛風結節;痛風性関節炎;痛風性腎症;子癇;アテローム性動脈硬化症;細動脈硬化症;代謝症候群;血球の加速形成及び破壊を伴う疾患;高尿酸血症;真正赤血球増加症、骨髄性異形成、又は血液疾患の慢性高尿酸血症;高血圧症;心臓血管系疾患;冠動脈性心疾患;腎症状及び/又は痛風様症状の程度までのレッシュ-ナイハン症候群又はケリー-シーグラー症候群;腎疾患;腎結石;腎不全;急性腎不全;関節炎症;関節炎;尿路結石症;尿酸結石症;代謝症候群;鉛中毒;上皮小体機能亢進症;乾癬;及びサルコイドーシスより選択されるより選択される症状を治療するための医薬品の製造におけるシロ-イノシトールの使用に関する。
【0026】
[026] 本開示はまた、本明細書に開示する症状の疾患重症度、疾患症候、及び/又は再発の周期性を改善するための、本開示のシロ-イノシトールと少なくとも1つの第二の治療薬剤、組成物、又は組合せ治療薬の使用に関する。さらに、本開示は、シロ-イノシトールと第二の治療薬剤の医薬品としての使用に関する。この医薬品は、本明細書に開示の症状を治療するときの使用に適している可能性があるか、又は本明細書に開示の症状を発症するリスク状態にある患者における使用に適している。
【0027】
[027] 本開示は、そのベースラインレベルと比較して、哺乳動物の血中尿酸レベルを低下させるのに有効な量のシロ-イノシトールと、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分を含む医薬組成物を含む第一の容器を含むキットへさらに向けられる。キットはさらに、第二の治療薬剤を含む第二の容器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】[028] 図1は、シロ-イノシトールのヒト健常被検者への異なる投与量での投与下での「UAの血清レベル」対「時間」のプロットを示す。註は、1日あたり0 mg(対照)、200 mg、700 mg、1500 mg、及び3000 mgであった用量を示す。測定値は、0日目(ベースライン)、4日目、7日目、及び12日目に取った。
【図2】[029] 図2は、図1に要約されるのと同じ試験での、被検者における血清尿酸レベルの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[030] 本開示の特定の側面について以下により詳しく記載する。本出願に使用されそして本明細書に明確化される用語と定義は、本開示内でその意味を表すように企図される。本明細書に言及されて上記に参照される特許及び科学文献は、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる用語及び/又は定義と抵触する場合は、本明細書に提供する用語及び定義が基準となる。他に定義されなければ、本明細書に使用するすべての技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0030】
[031] 本明細書において終点によって引用される数的範囲には、その範囲内のすべての数字と包含される分数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、及び5が含まれる)。また、すべての数字とその分数は、「約」という用語によって修飾されることが推定されると理解されよう。「約」という用語は、参照がなされる数字の10〜20%のように、10%又は15%のように、プラス又はマイナス0.1〜50%、5〜50%、又は10〜40%を意味する。さらに、不定冠詞「a」、「an」と定冠詞「the」には、文脈が明らかに他のことを指示しなければ、複数の指示物が含まれると理解されたい。被検者の特別な数値が求められる本開示の側面は、本明細書において、その関連する数値が被検者集団の有意限界であると評価される集団データによって実質的に裏付けられる。
【0031】
[032] 「尿酸の異常レベルに関連した症状(1または複数)」という句は、少なくとも1つの組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せにおける尿酸の上昇レベルを特徴とする場合がある。一般に、尿酸(UA)濃度は、通常、約120μM〜約380μM(例、約2mg/dL〜約7又は8 mg/dL)の範囲であり、性別に依ってわずかに変動する。UAの上昇レベルは、例えば、5、6、7、又は8 mg/dLより高い場合がある。この異常レベルは、尿酸の過剰産生、尿酸の低排出、腫瘍溶解、血液障害、又はこれらの組合せより生じる可能性がある。尿酸の異常レベルに関連した症状の例には、制限なしに、痛風;再発性痛風発作;痛風結節;痛風性関節炎;痛風性腎症;子癇;アテローム性動脈硬化症;細動脈硬化症;代謝症候群;血球の加速形成及び破壊を伴う疾患;高尿酸血症;薬物関連の高尿酸血症;真正赤血球増加症、骨髄性異形成、又は血液疾患の慢性高尿酸血症;高血圧症;心臓血管系疾患;冠動脈性心疾患;腎症状及び/又は痛風様症状の程度までのレッシュ-ナイハン又はケリー-シーグラー症候群;腎疾患;腎結石;腎不全;急性腎不全;関節炎症;関節炎;尿路結石症;尿酸結石症;鉛中毒;上皮小体機能亢進症;乾癬;ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)欠乏症;及びサルコイドーシスより選択されるものが含まれる。
【0032】
[033] 少なくとも1つの態様において、症状は、痛風;再発性痛風発作;痛風性関節炎;痛風腎;子癇;又は真正赤血球増加症、骨髄性異形成、及び血液疾患の慢性高尿酸血症より選択される。
【0033】
[034] 1つの態様において、症状は、薬物関連性の高尿酸血症であり、ここで薬物は、核酸代謝アンタゴニスト、降圧利尿薬、抗結核薬、抗炎症鎮痛薬、高脂血症薬、喘息の治療薬、免疫抑制薬、細胞傷害薬、サリチル酸、ピラジンアミド、エタンブトール、ニコチン酸、エタノール、シクロスポリン、等の1以上であり得る。
【0034】
[035] 本開示の他の態様において、症状は、高尿酸血症を危険因子として有する病態である。危険因子は、特定の疾患又は症候群に関連している(必ずしもその直接の原因ではない)ことが示唆又は実証された特徴である。危険因子は、特定の危険因子又は危険因子の組合せを有することに基づいて疾患又は症候群の危険状態に特にあり得る個体の治療努力を標的指向するために使用することができる。高尿酸血症が危険因子である病態には、制限なしに、アテローム性動脈硬化症、細動脈硬化症、腎疾患、心臓血管系疾患、代謝症候群、尿酸結石症、及び高血圧症が含まれる。当業者には、腎疾患、アテローム性動脈硬化症、細動脈硬化症、心臓血管系疾患、代謝症候群、及び高血圧症が、1より多い危険因子と一連の病理プロセスが存在する、複雑な病態であることが理解されよう。シロ-イノシトールの投与によるこれら病態の治療は、高尿酸血症に関連しているか又はそれによって影響を受ける病態のその部分を治療するように企図される。
【0035】
[036] 本開示の少なくとも1つの態様において、症状は、痛風と関連症候である。
[037] 本開示の別の態様において、症状は、遺伝子変異によって引き起こされるヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)欠損である。
【0036】
[038] 本開示の別の態様において、症状は、高血圧症又は浮腫である。
[039] 本開示の別の態様において、症状は、急性腎不全である。
[040] 「治療すること」という用語は、そのような用語が適用される、症状、又はそのような症状の1以上の症候を逆転させる、軽減する、又はその進行を阻害することを意味する。この用語は、症状及び/又は症候が重症度において進行しないように、症状及び/又は症候をそのまま維持することを意味する。治療は、急性的又は慢性的なやり方のいずれで実施してもよい。この用語は、症状又はそのような症状に関連した症候の重症度をその疾患での苦痛に先立って抑制することも意味する。苦痛に先立つ、そのような症状の重症度の抑制は、投与の時点ではその症状に苦しんでいない被検者への本開示のシロ-イノシトール、又は組成物、又は組合せを投与することに関連する。「治療」及び「療法的」という用語は、治療することの行為を意味して、ここで「治療すること」は上記に定義される。介入の目的は、その症状と戦うことであって、症候又は合併症の発現を遅らせるための活性化合物の投与、又はその症候又は合併症を軽減すること、又はその症状を消失させることが含まれる。例えば、本明細書に開示される化合物、組成物、又は組合せを使用して、筋肉痙攣、局所腫脹、炎症、関節痛、筋肉疲労、ストレス感、又は心筋梗塞のような、尿酸の上昇レベルに関連した症候を改善することができる。
【0037】
[041] 「投与すること」又は「投与」という用語は、本明細書に開示するシロ-イノシトール、組成物、及び/又は組合せを治療又は予防の目的にために被検者へ送達する方法に言及する。シロ-イノシトール、組成物、及び/又は組合せは、被検者の臨床症状、投与の部位及び方法、投与量、被検者の年齢、性別、体重、及び医師に知られた他の要因を考慮して、良好な医療実践に従って投与される。例えば、「投与すること」又は「投与」という用語は、本明細書に使用する場合、(1)医療実践者又はその委任代理人のいずれかによるか又はその指示の下に、シロ-イノシトールを提供する、供与する、投薬する、及び/又は処方すること、そして(2)その患者又は人物が彼自身又は彼女自身で、シロ-イノシトールを注入する、服用する、又は消費することを意味する。
【0038】
[042] 「組合せ治療」、「組み合わせて投与すること」又は「組み合わせて投与される」は、治療される患者へ同時に投与される活性成分として、組み合わされた多数の医薬品としての使用を意味する。この用語には、組合せ薬としての使用、キットとしての使用、及び同じ又は異なる投与経路によるそれぞれの独立した投与を特徴とする組合せにおける使用、等が含まれる。組み合わせて投与されるとき、各成分は、同時に投与されても、異なる時点で任意の順序で連続的に投与されてもよい。故に、各成分は、別々に、しかし、相加効果又は相乗効果のような所望の効果をもたらすのに十分接近した時間のうちに投与してよい。第一の化合物は、第二の治療薬剤での治療をさらに含む処方において投与してよい。本開示の態様において、この用語は、シロ-イノシトールと第二の薬剤の投与を意味して、その化合物の1つをそれぞれ含有する医薬品の分離的な投与、並びに、化合物が1つの製剤に組み合わされているかいないか、又はそれらが別個の製剤にあるかないかに拘らない、同時的な投与が含まれる。
【0039】
[043] シロ-イノシトールと第二の治療薬剤の「相加効果」は、2つの個別薬剤の効果の和に等しい効果を意味する。
[044] シロ-イノシトールと第二の治療薬剤の「相乗効果」は、2つの個別薬剤の効果の和より生じる相加効果より大きい効果を意味する。
【0040】
[045] 「尿酸低下剤」は、組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せにおける尿酸レベルを抑えるのに有効な薬剤を意味して、血液又は血清の尿酸レベルを抑えることが知られている薬剤を意味する。尿酸低下剤には、制限なしに、NSAID、コルヒチン、シンコフェン、ブコローム、コルチコステロイド、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、スルフィンピラゾン、ArcalystTM(リロナセプト)、XOMA 052、4-(5-ピリジン-4-イル-1/f-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-カルボニトリル(FYX-051)のようなキサンチンオキシドレダクターゼ阻害剤、アロプリノール、チソプリン、ヒドロキシアカロン、TEI-6720、フェブキソスタット(AdenuricTM、Uloric(登録商標))、及びY-700のようなキサンチンオキシダーゼ阻害剤;ベンジオダロン、ベンズブロマロン、プロベネシド、及びRDEA594のような尿酸排泄促進薬;ウリカーゼタンパク質の補助剤、腎臓において作用する有機アニオン輸送チャネル及び/又は電圧感受性輸送チャネルの阻害剤(限定されないが、ロサルタン、ベンズブロマラオン、ベンジオダロン、プロベネシド、スルフィンピラゾンエテベネシド、オロト酸、チクリナフェン、及びゾキサゾラミンが含まれる);ポリエチレングリコールとのコンジュゲート又は別の送達系として送達され得るウリカーゼタンパク質の補助剤、尿酸塩チャネル阻害剤、ラスブリカーゼ(Rasburicase)及びペジル化(Pegylated)ウリカーゼのようなウリカーゼ誘導体;ウリカーゼの過剰発現又はURAT-1の遮断のような遺伝子ベースの療法、又はこれらの組合せが含まれる。
【0041】
[046] 「被検者」、「個体」、及び「患者」という用語は、哺乳動物のような温血動物が含まれる動物に言及する。哺乳動物には、制限なしに、哺乳動物界のどの成員も含まれる。哺乳動物にはヒトが含まれるが、この用語には、食料用に、又はペットとして飼育される、ウマ、ウシ、ヒツジ、トリ、魚、ブタ、ネコ、イヌのような家畜動物と、動物園の動物、ヤギ、サル(例、ゴリラ又はチンパンジー)、並びにラット及びマウスのような齧歯動物も含まれる。治療のための被検者には、本明細書に開示される症状に罹りやすい(例えば、素因がある)、罹患している、又は罹患したことがある、ヒトのような哺乳動物が含まれる。
【0042】
[047] 「担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分」という句は、概して安全、無毒性で、生物学的にもその他の点でも望ましいことがない、医薬組成物を製造するのに有用である媒質を意味する。一般に、それは、それが有効成分の有効性にも活性にも干渉せず、それが投与される宿主にとって有害でないように選択される。本明細書と特許請求の範囲に使用される場合のこの句には、1つだけでなく、1より多いそのような担体、賦形剤、又はビヒクルが含まれる。許容される担体、賦形剤、又はビヒクルは、当該技術分野で商業使用されているもののいずれよりも選択してよい。例を挙げると、担体、賦形剤、又はビヒクルには、限定されないが、希釈剤、結合剤、接着剤、滑沢剤、崩壊剤、増量剤、湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び特定の組成物を製造するために必要とされる場合がある、吸収剤のような他の材料が含まれる。担体、賦形剤、及びビヒクルの例には、限定されないが、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組合せが含まれる。このような媒質及び薬剤の活性物質への使用については、当該技術分野でよく知られている。
【0043】
[048] 「有効量」という用語は、1以上の所望の効果、特に治療効果をもたらす、本開示の活性化合物(1または複数)又は組成物の量又は用量を意味する。この用語はまた、尿酸レベルを、例えば、5 mg/dLか又は6 mg/dL、またはそれ未満のような尿酸の正常レベルに維持する量又は用量を意味する可能性がある。ある物質の有効量又は治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重や、個体において所望の応答を誘発するその物質の能力といった要因によって変動する可能性がある。投与量の処方は、最適の治療応答(持続される有益効果のような)をもたらすように調整してよい。例えば、いくつかの分割用量を1日で投与してよく、あるいは、用量は、治療状況の緊急事態によって指示されるように、比例的に減らしてよい。
【0044】
[049] いくつかの態様において、有効量は、尿酸の血清レベルを減少させて、正常な血清尿酸レベルを達成する。例えば、有効量は、尿酸レベルを少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、又はその間のどの百分率でも減少させることができる。本開示の態様において、有効量は、尿酸を約5%〜50%、5%〜95%、10%〜50%、10%〜20%、10%〜30%、10%〜40%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜95%、15%〜50%、15%〜95%、20%〜40%、又は20%〜60%減少させる。あるいは、有効量は、血清尿酸レベルを少なくとも約0.5 mg/dL(約30μM)、1 mg/dL(約60μM)、2 mg/dL(約119μM)、2.5 mg/dL(約149μM)、又は3 mg/dL(約178μM)減少させることができる。本開示の態様において、有効量は、血液尿酸レベルを約0.5 mg/dL(約30μM)〜3 mg/dL(約178μM)、1 mg/dL(約60μM)〜3 mg/dL(約178μM)、又は2 mg/dL(約119μM)〜3 mg/dL(約178μM)へ減少させることができる。
【0045】
[050] シロ-イノシトールは、シクロヘキサンポリオールであり、ミオイノシトールの異性体であるが、環周囲の6つのヒドロキシル基の配向が異なる。シロ-イノシトールの構造式は、3次元と平面の両方の図で以下に図示される。
【0046】
【化1】

【0047】
[051] それは、シリトール、クエルシニトール、及び1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンへキソール(1α,2β,3α,4β,5α,6β)としても知られている。シロ-イノシトールは、シグマ・アルドリッチ社のカタログにおいてCAS番号488-59-5の下で市販されているか、又は既知の手順に従った、ミオ-イノシトールのシロ-イノソースへの酸化と金属触媒及び水素を使用する立体特異的な還元によって作製することができる。あるいは、シロ-イノシトールは、Sarmah M. and Shashidhar, M., Carbohydrate Research, 2003, 338, 999-100, Husson, C., et al, Carbohydrate Research 307 (1998) 163-165, Weissbach, A., J Org Chem (US), 1958, 23: 329-330; Chung, S. K. et al., Bioorg Med Chem. 1999, 7(11): 2577-89; 又は Kiely D. E., and Fletcher, H. G., J. American Chemical Society (US) 1968, 90: 3289-3290 によって記載されて、DE3,405,663(Merck Patent GMBH)に記載される方法工程を使用して生成することができる。シロ-イノシトールはまた、北興化学工業(Hokko Chemical Industries)へ譲渡された、米国特許出願公開公報番号2006/0240534(WO05035774、EP1674578、JP2003102492、及びJP09140388も参照のこと)中の手順に従って作製することができる。
【0048】
[052] 本開示のいくつかの態様において、本明細書に開示する方法、組成物、及び組合せは、シロ-イノシトールの類似体又は誘導体、例えば、国際公開出願WO2007/041855及びWO2007/119108に開示されるような類似体又は誘導体を含む場合がある。
【0049】
[053] 尿酸は、以下の体系的な命名法:7,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6,8(3H)-トリオンによって示される。尿酸イオン(urate)は尿酸のアニオンであって、生理学的には、他の可能な生理学的対イオンの中でも特に、アンモニウム、カルシウム、又はナトリウム塩として見出され得る。尿酸は、生理学的には、イオン化した尿酸イオンの形態とともに存在する。それが使用される文脈によって他に束縛されなければ、尿酸には、尿酸イオンの塩が含まれる。
【0050】
[054] シロ-イノシトールは、経口、皮下、筋肉内、非経口、及び他の全身投与経路が含まれる、受容された全身投与形式のいずれによっても投与してよい。例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁液剤、等のような、固体、半固体、又は液体の剤形が含まれる、医薬的に許容されるどの投与形式も使用することができる。これらの剤形は、即時放出形態として、又は化合物の所定速度での長期化投与用の延長放出形態のような持続又は制御放出形態において、正確な投与量の投与に適した単位剤形であってよい。シロ-イノシトールを含有する持続又は連続放出組成物については、例えば、WO2007/101353に記載されている。
【0051】
[055] 本開示における使用のためのシロ-イノシトールの組成物には、典型的には、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分と活性化合物が含まれて、加えて、他の薬用剤、医薬品、担体、アジュバント、等を含めてよい。担体、賦形剤、及びビヒクルは、企図される投与形態に基づいて概して選択されて、慣用の製剤実践に合致している。好適な医薬品の担体、賦形剤、及びビヒクルは、標準のテキスト、「レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」(第21版、Popovich, N(監修), Advanced Concepts Institute, フィラデルフィア科学大学、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア、2005)に記載されている。
【0052】
[056] 組成物は、投薬と患者コンプライアンスをより簡便にするために、活性化合物の所定標準量を含有する単位剤形へ調合される。例えば、200 mg、250 mg、350 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ-イノシトールを含むように、例えば、カプセル剤、錠剤、又は制御放出送達形態を製剤化及び製造してよい。このような錠剤又は制御放出送達形態は、処方医によって決定されるように求められる全投与量を達成するために、1つの単位剤形又は単位剤形のあらゆる組合せ(つまり、1より多い単位剤形)の投与に使用することができる。
【0053】
[057] 投与される活性化合物の量は、治療される被検者、症状(例、高尿酸血症)の量又は重症度、高尿酸血症が原因又は危険因子である、治療される特定の病態、投与のやり方、及び処方医の判断に依存するものである。しかしながら、有効な投与量は、約150 mg/日〜7000 mg/日、例えば、約150 mg/日〜約6000 mg/日、約150 mg/日〜約4000 mg/日、約150 mg/日〜約3000 mg/日、約150 mg/日〜約2000 mg/日、約200 mg/日〜約3000 mg/日、約150 mg/日〜約4000 mg/日、約200 mg/日〜約4000 mg/日、又は約500 mg/日〜約3000 mg/日などの範囲である。1日投与量は、1日1回、1日2回、1日3回、又は1日4回の投与によって達成してよい。治療の期間は、長期の正常な尿酸レベルを得ることを目的として、患者の症状へ適応させることができる。
【0054】
[058] シロ-イノシトールは、治療される病態の同じか又は他の側面を治療する他の医薬品(第二の治療薬剤のような)又は他の医療手技と組み合わせて投与してよい。第二の治療薬剤は、処方医の判断に求められるように、同じ医薬組成物(組合せ組成物)の内部にあっても、2つの薬剤が別々の組成物において実質的に同じ時間か又は異なる時間で投与されてもよい。本開示のいくつかの態様において、第二の治療薬剤は、高尿酸血症;痛風性関節炎;痛風性腎症;尿路結石症;高血圧症又は高血圧症の合併症;高脂血症又は高脂血症の合併症;腎不全;心臓血管系障害;癌;又は脳血管系障害の予防及び/又は治療用の薬剤であり得る。さらなる態様において、第二の治療薬剤は、被検者において尿酸レベルを増加させる薬剤であり得る。本開示の少なくとも1つの態様において、第二の治療薬剤は、利尿剤(例、ヒドロクロロチアジド、フロセミド)、ループ利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、レニンアンジオテンシン系阻害剤(例、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、及びバルサルタン)、CAアンタゴニスト、β-ブロッカー、α,β-ブロッカー、α-ブロッカー、スタチン、陰イオン交換樹脂、プロブコール、フィブラート剤、エイコサペンタエン酸調製品、トロンボキサン合成酵素阻害剤、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、クエン酸調製物及び重炭酸ナトリウムのような尿アルカリ化剤、陽イオン交換樹脂、水酸化アルミニウム、アルファカルシドール、ACE阻害剤、サリチル酸塩、ピラジンアミド、エタンブトール、NSAID(例、インドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、コルヒチン、コルチコステロイド、等)、ニコチン酸、シクロスポリン、2-エチルアミノ-1,3,4-チアジアゾール、抗新生物剤、免疫抑制剤、細胞傷害剤、降圧剤、及び尿酸低下剤より選択される。
【0055】
[059] 本開示のさらなる態様において、第二の治療薬剤は、高脂血症又は高脂血症の合併症の治療用の薬剤であり、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、コレスチミド、コレスチラミン、ニセリトロール、ニコモール、フェノフィブラート、ベザフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、イコサペント酸エチル、等が制限なしに含まれる。
【0056】
[060] 本開示のなお別の態様において、第二の治療薬剤は、糖尿病及び糖尿病合併症の治療用の薬剤であり、インスリン調製品、スルホニル尿素、インスリン分泌促進薬、スルホンアミド、ビグアニド、αグルコシダーゼ阻害剤、インスリン増感剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、抗不整脈薬、等、特に、インスリン、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミド、グリクロピラミド、アセトヘキサミド、グリメピリド、トラザミド、グリクラジド、ナテグリニド、グリブゾール、塩酸メトホルミン、塩酸ブホルミン、ボグリボース、アカルボース、塩酸ピオグリタゾン、メキシレチン、等が制限なしに含まれる。
【0057】
[061] 本開示のさらなる態様において、第二の治療薬剤は、高尿酸血症によって引き起こされる、腎不全、心臓血管系障害、脳血管系障害の治療用の薬剤であり、ループ利尿剤(例、フロセミド)、クエン酸調製品、重炭酸ナトリウム、陽イオン交換樹脂、水酸化アルミニウム、アルファカルシドール、β-ブロッカー(例、塩酸プロプラノロール)、ACE阻害剤(例、カプトプリル)、強心薬(例、ジゴキシン)、狭心症治療薬剤(例、硝酸イソソルビド)、Caアンタゴニスト(例、塩酸ジルチアゼム)、尿酸産生抑制薬(例、アロプリノール)、アミノ酸調製品、高アンモニア血症改善薬、不整脈の治療薬剤(例、メキシレチン)、及び貧血の治療薬剤(例、メピチオスタン、エリスロポエチン)が制限なしに含まれる。
【0058】
[062] 第二の治療薬剤の用量は、臨床的に利用される用量に従って、そして投与の被検者の年齢及び体重、症状、投与時間、剤形、投与法、組合せ、等に配慮して決定することができる。第二の治療薬剤の投与形式は、特に限定されない。
【0059】
[063] シロ-イノシトールと組み合わせて使用し得る医療手技には、他の中でも特に、心臓血管系手術、長期の整形外科手術、臓器移植、腹部/GI関連手術、産婦人科関連手術のように、血清尿酸レベルの術後上昇をもたらす可能性がある外科手術と、急性腎不全のリスクを高める可能性がある、造影剤又はネフロトキシンの投与のような手技が制限なしに含まれる。
【0060】
[064] シロ-イノシトールは、散剤として、又は、例えばゼラチンカプセル剤に含有される散剤として実質的に純粋な形態で投与してよい。それはまた、慣用の非毒性担体、例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、ブドウ糖、ショ糖、炭酸マグネシウム、等と一緒の固体組成物において投与してよい。液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、上記に定義されるようなシロ-イノシトールと、任意選択の医薬アジュバントを、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール、鉱油又は植物油、等のような無菌担体に溶解すること、分散させること、又は他のやり方で混合することにより溶液剤又は懸濁液剤を生成することによって調製することができる。所望されるならば、投与される医薬組成物はまた、少量の非毒性の補助pH緩衝化剤、等、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、又はオレイン酸トリエタノールアミンを含有してよい。このような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、又は当業者には明らかであろう;例えば、「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」(Mack Publishing Company, ペンシルヴェニア州イーストン、第15版、1975)を参照のこと。
【0061】
[065] シロ-イノシトールを0.25%〜100%の範囲で含有して、100%未満であるときの残りは非毒性の賦形剤及び担体より構成される剤形又は組成物を、調製することができる。経口投与には、医薬的に許容される非毒性組成物を生成して、通常利用される医薬賦形剤のいずれの取込みを伴ってもよく、25%〜75%のように、1%〜100%の有効成分を含有してよい。本明細書と特許請求の範囲の組成物に引用する百分率は、重量百分率又はw/wである。
【0062】
[066] 非経口投与は、一般に、皮下又は筋肉内であれ、注射を特徴とする。注射剤は、液体溶液剤又は懸濁液剤として、注射に先立つ液体中での溶解又は懸濁に適した固体形態として、又は乳剤として、慣用の形態で調製することができる。好適な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール、等が含まれる。その上、所望されるならば、医薬組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、補助pH緩衝化剤、等のような非毒性物質、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、又はオレイン酸トリエタノールアミンの少量を含有してよい。
【0063】
[067] 遅延又は延長放出用には、当該技術分野で知られた方法に従って、シロ-イノシトールを、生体適合性ポリマー、ポリマーコートされた微粒子剤とともに生成するマイクロカプセル剤、又はリポソーム担体系などの、遅い放出用に製剤化される医薬組成物中に含めてよい。組成物はまた、有利にも、即時放出成分と遅延放出成分を含有する二層錠剤として投与することができる。
【0064】
[068] 活性薬剤の延長放出のために、シロ-イノシトールは、米国特許第5,320,840号に記載のように、両親媒性ブロック共重合体より誘導されるポリラクチド又は生分解性ヒドロゲルのような水溶性ポリマーへ共有結合させることができる。シロ-イノシトールはまた、マトリックスからの拡散、マトリックスの浸食、又は拡散及び浸食の組合せを介して活性化合物を放出する特性を有するポリマー又はマルチポリマーマトリックスの中へ取り込んでよい。
【0065】
[069] さらに本開示は、哺乳動物の血中尿酸レベルをベースラインレベルと比較して低下させるのに有効な量のシロ-イノシトールと、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分を含む医薬組成物を含む第一の容器を含むキットに関する。このキットは、第二の治療薬剤を含む第二の容器をさらに含む。キットは、本明細書に開示するシロ-イノシトール又は医薬組成物を含有する容器を収容して、本明細書に開示するシロ-イノシトール又は医薬組成物を投与するための説明書も収容するパッケージであり得る。本開示はさらに、本明細書に開示するシロ-イノシトール又は医薬組成物を、同時的、分離的、又は連続的に使用するための説明書と一緒に含む市販パッケージに関する。ラベルには、投与の量、頻度、及び方法をさらに含めてよい。
【0066】
[070] 本開示を、具体的な実施例を通してより詳しく記載する。以下の実施例は、例示目的のために提示するのであって、本開示をいかなるやり方でも限定することを企図しない。当業者は、変化又は変更させて本質的に同じ結果を得ることができる多様なパラメータを容易に認識されよう。
【実施例】
【0067】
実施例1
[071] シロ-イノシトール製剤について評価する、フェーズ1の単一施設で非盲検の反復投薬試験を健常成人被検者において行った。ほぼ8名の健常男性被検者に、10日間、2000 mgのシロ-イノシトールを1日2回与えた(4個の500 mg錠剤を1日2回経口投与した)。初回投薬の12時間前(0日目)と6、14、及び21日目に血液試料を採取した。
【0068】
[072] シロ-イノシトール500 mgカプセル剤は、BSE/TSEフリーの白色不透明な軟ゼラチンカプセル剤であり、この最終製品には賦形剤を使用しなかった。カプセル剤は、白い蓋の付いた60 mLで楕円形の白い医薬用高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルで提供した。各60 mLボトルには、500 mg含量シロ-イノシトールカプセル剤が30個含まれた。
【0069】
[073] 全8名の被検者において、尿酸が0日目と6日目の間に減少し;この減少は、ほぼ12〜175μモル/Lの範囲であり、その後最後のフォローアップ来診の21日目には、0日目の数値へ戻った。血清尿酸レベルは、すべての被検者において処置の開始に続いて減少したが、平均尿酸レベルは、この試験の間、正常範囲内に留まった。最大の減少が6日目に見られて、0日目と6日目の間でほぼ12〜ほぼ172μモル/Lの範囲であり、21日目までにはベースラインへ戻った。
【0070】
[074] すべての被検者についての平均尿酸値とベースライン値からの変化を表1に示す。全体的には、すべての被検者において、シロ-イノシトール投与に続いて血清尿酸レベルの減少が観測された。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例2-健常高齢被検者にシロ-イノシトールを12時間ごとに7日間経口投与する反復投薬漸増試験
[075] シロ-イノシトール製剤について評価する単一施設、無作為化、プラセボ対照の反復投薬漸増試験を健常高齢被検者において実施した。ほぼ32名の健常被検者(男性と女性)が各8名の被検者(即ち、活性薬の6名とプラセボの2名)からなる4つのコホートの1つに参加した。被検者は、薬物を1日2回(BID)(12時間ごとに)、7日間服用した。シロ-イノシトールの投与量レベルは、12時間ごとに投与する、200 mg BID(全部で400 mg/日)、700 mg BID(全部で1400 mg/日)、1500 mg BID(全部で3000 mg/日)、及び3000 mg BID(全部で6000 mg/日)であった。各被検者より血液試料を0、4、7、及び12日目に採取した。尿酸レベルを血液試料において測定して、その結果を図1及び図2に示す。
【0073】
[076] シロ-イノシトールの200 mgカプセル剤と500 mgカプセル剤は、ウシ海綿状脳症(BSE)/伝達性海綿状脳症(TSE)フリーの白色不透明の軟ゼラチンカプセル剤であり、この最終製品には賦形剤を使用しなかった。カプセル剤は、白い蓋の付いた60 mLで楕円形の白い医薬用高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルで提供した。各60 mLボトルには、200又は500 mgのシロ-イノシトールカプセル剤が30個含まれた。
【0074】
[077] 平均尿酸レベルの用量関連性の減少が4日目と7日目に観測されて、これは12日目までに一部解消された。シロ-イノシトールで処置した全被検者のベースライン平均尿酸は、297.2μモル/L-5 mg/dL(正常範囲:269.6〜316.2μモル/L)であり、プラセボ被検者では、270.3μモル/Lであった。4日目には、すべてのシロ-イノシトール処置群でベースラインからの平均値減少が観測された:200 mg(-7.9μモル/L-0.1 mg/dL)、700 mg(-51.5μモル/L-0.87 mg/dL)、1500 mg(-70.4μモル/L-1.2 mg/dL)、及び3000 mg(-83.3μモル/L-1.4 mg/dL)。この時点で、プラセボ群では、ベースラインから-9.9μモル/L-0.1 mg/dLの平均値減少が観測された。
【0075】
[078] 7日目までに、シロ-イノシトールで処置した被検者の間ではベースラインからの減少が続いたが、用量応答効果は、明らかでなかった:200 mg(-25.8μモル/L)、700 mg(-70.4μモル/L)、1500 mg(-88.2μモル/L)、及び3000 mg(-85.3μモル/L)。7日目に、プラセボで処置した被検者におけるベースラインからの平均値減少は、-24.5μモル/Lであった。
【0076】
[079] 12日目までに、シロ-イノシトール200 mg群(+25.8μモル/L)とプラセボ群(+29.0μモル/L)において、尿酸のベースラインからの平均値増加が見られた。シロ-イノシトール700 mg、1500 mg、及び3000 mg群の12日目での平均値減少は、それぞれ-1.0、-27.8、及び-29.7μモル/Lであった。結果を表2〜表5に要約する。
【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
[084] ベースラインから7日目へのプラセボに対する平均値変化を使用して、統計学的有意差を判定した。ANCOVAモデルと単純t検定により、両群でp<0.003を得て、平均値の差(PLC-TRT)の95%信頼区間(CI)は、(0.34、1.37)であり、点推定値は0.85であった。ANCOVAは、尿酸の出発レベルからの対照における尿酸レベルの変化に注目して、使用したソフトウェアは、SAS 9.1.3であった。信頼区間には0を含めないで、処置とプラセボとの間の95%CIの差は統計学的有意差を示した。0.85の点推定値は、投薬した被検者における母数である。単純t検定は、変数を制限しなかった。
【0082】
実施例3-医薬組成物
[085] シロ-イノシトール250 mgカプセル剤と500 mgカプセル剤は、ウシ海綿状脳症(BSE)/伝達性海綿状脳症(TSE)フリーで、即時放出性(IR)、灰色不透明の硬ゼラチンカプセル剤で製造した。この最終製品には賦形剤としてタルクを使用する。加えて、微結晶性ヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム、及びポリビニルアルコール(PVA)ベースのコーティング剤を含む、シロ-イノシトール1000 mg IR錠剤を製造した。
【0083】
[086] 本開示とそれを使用するやり方及び方法について、このように完全、明瞭、及び簡明な用語で記載しているので、本開示が関連する技術分野の当業者は、それを作製及び使用することが可能である。また、先の記載は、本開示の例示の態様であって、特許請求項に示すような本開示の範囲又は精神より逸脱することなく、その様々な変更がなし得ると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せ中の尿酸レベルを減少させることを必要とする患者において、その中の尿酸レベルを減少させる方法であって:
投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ−イノシトールを該患者へ投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
シロ−イノシトールを第二の治療薬剤と組み合わせて投与する、請求項1の方法。
【請求項3】
シロ−イノシトールを単位剤形で投与する、請求項1の方法。
【請求項4】
投与されるシロ−イノシトールの量が150 mg/日〜約7000 mg/日の範囲である、請求項1の方法。
【請求項5】
尿酸の異常レベルに関連した症状に罹患している患者を治療する方法であって:
投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ−イノシトールを該患者へ投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
症状が、痛風;再発性痛風発作;痛風結節;痛風性関節炎;痛風性腎症;子癇;アテローム性動脈硬化症;細動脈硬化症;代謝症候群;血球の加速形成及び破壊を伴う疾患;高尿酸血症;真正赤血球増加症、骨髄性異形成、又は血液疾患の慢性高尿酸血症;高血圧症;心臓血管系疾患;冠動脈性心疾患;腎症状及び痛風様症状の程度までのレッシュ−ナイハン又はケリー−シーグラー症候群;腎疾患;腎結石;腎不全;急性腎不全;関節炎症;関節炎;尿路結石症;尿酸結石症;代謝症候群;鉛中毒;上皮小体機能亢進症;乾癬;及びサルコイドーシスより選択される、請求項5の方法。
【請求項7】
高尿酸血症を治療することを必要とする患者において、高尿酸血症を治療する方法であって:
投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ−イノシトールを該患者へ投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
投与前の血清で測定するときに、患者の血中尿酸レベルが約360μM以上である、請求項7の方法。
【請求項9】
症状が、アテローム性動脈硬化症;細動脈硬化症;代謝症候群;高血圧症;心臓血管系疾患;冠動脈性心疾患;尿路結石症;及び尿酸結石症より選択される、請求項7の方法。
【請求項10】
投与されるシロ−イノシトールの量が約150 mg/日〜約7000 mg/日の範囲である、請求項7の方法。
【請求項11】
シロ−イノシトールを単位剤形で投与する、請求項7の方法。
【請求項12】
単位剤形が、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される、請求項11の方法。
【請求項13】
単位剤形が、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ−イノシトールを含む、請求項11の方法。
【請求項14】
痛風を治療することを必要とする患者において、痛風を治療する方法であって:
投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ−イノシトールを該患者へ投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
投与されるシロ−イノシトールの量が約150 mg/日〜約7000 mg/日の範囲である、請求項14の方法。
【請求項16】
シロ−イノシトールを単位剤形で投与する、請求項14の方法。
【請求項17】
単位剤形が、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される、請求項16の方法。
【請求項18】
単位剤形が、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ−イノシトールを含む、請求項16の方法。
【請求項19】
高尿酸血症を危険因子として有する病態を治療することを必要とする患者において、そのような病態を治療する方法であって:
投与前の患者の尿酸レベルと比較して、患者の尿酸レベルを減少させるのに有効な量のシロ−イノシトールを該患者へ投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
病態が、アテローム性動脈硬化症、細動脈硬化症、腎疾患、心臓血管系疾患、代謝症候群、尿酸結石症、及び高血圧症より選択される、請求項19の方法。
【請求項21】
投与されるシロ−イノシトールの量が約150mg/日〜約7000 mg/日の範囲である、請求項19の方法。
【請求項22】
シロ−イノシトールを単位剤形で投与する、請求項19の方法。
【請求項23】
単位剤形が、即時放出剤形及び延長放出剤形より選択される、請求項22の方法。
【請求項24】
単位剤形が、150 mg、250 mg、500 mg、750 mg、800 mg、1000 mg、又は2000 mgのシロ−イノシトールを含む、請求項22の方法。
【請求項25】
哺乳動物の血中尿酸レベルをベースラインレベルと比較して低下させるのに有効な量のシロ−イノシトールと、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分を含む医薬組成物。
【請求項26】
1以上の組織又は臓器、血液、血清、尿、又はこれらの組合せ中の尿酸レベルを減少させるか又は尿酸の異常レベルに関連した症状を治療するための医薬品の製造におけるシロ−イノシトールの使用。
【請求項27】
哺乳動物の血中尿酸レベルをベースラインレベルと比較して低下させるのに有効な量のシロ−イノシトールと、担体、賦形剤、及びビヒクルより選択される少なくとも1つの医薬的に許容される成分を含む医薬組成物を含む第一の容器を含むキット。
【請求項28】
第二の治療薬剤を含む第二の容器をさらに含む、請求項27のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−502914(P2012−502914A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527043(P2011−527043)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/056985
【国際公開番号】WO2010/031051
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(399013971)エラン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (75)
【Fターム(参考)】