説明

高度に枝分かれしたポリエステルアミドの製造法

高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリエステルアミドの製造法あって、少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸を、少なくとも1個のアミノ基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアミノアルコールと反応させ、その際a)カルボン酸とアミノアルコールとを1.1:1〜1.95:1のモル比で直接に最終製品に反応させるか、またはb)最初にカルボン酸とアミノアルコールとを2:1〜10:1のモル比でプレポリマーに反応させ、その後にこのプレポリマーを少なくとも1個の官能基を有するモノマーMと反応させることによって特徴付けられる、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリエステルアミドの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリエステルアミドの製造法に関し、この方法は、少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸を、少なくとも1個のアミノ基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアミノアルコールと反応させ、その際
a)カルボン酸とアミノアルコールとを1.1:1〜1.95:1のモル比で直接に最終製品に反応させるか、または
b)最初にカルボン酸とアミノアルコールとを2:1〜10:1のモル比でプレポリマーに反応させ、その後にこのプレポリマーを少なくとも1個の官能基を有するモノマーMと反応させることによって特徴付けられる。
【0002】
更に、本発明は、前記方法により得ることができるポリエステルアミド、該ポリエステルアミドの、成形体、フィルム、繊維およびフォームを製造するための使用、ならびに該ポリエステルアミドからなる成形体、フィルム、繊維およびフォームに関する。
【0003】
デンドリマーは、中心分子から出発して、それぞれ2つ以上の二官能性または多官能性のモノマーと全ての既に結合されたモノマーと制御しながら段階的に結合させることによって製造することができる。この場合、全ての結合段階でモノマー末端基の数は、指数的に増加し、球状の樹木構造を有するポリマーを得ることができ、このポリマーの枝は、正確に同数のモノマー単位を含む。前記の完全な構造のために、ポリマー特性は好ましいものであり、例えば意外なことに、球表面上の官能基の高い数のために、僅かな粘度および高い反応性が観察される。しかし、全ての結合工程で保護基が導入され、再び除去されなければならないので、製造は、複雑化され、デンドリマーは、通常、実験室規模でのみ製造されるので、精製操作が必要とされる。
【0004】
しかしながら、大工業的方法では、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリマーを製造することができる。この高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリマーは、完全なデンドリマー構造と共に、線状のポリマー鎖および不均一なポリマー枝を有するが、しかし、このことは、完全なデンドリマーと比較して、ポリマーの性質を本質的には劣化しない。超枝分かれしたポリマーは、2つの合成方法により製造することができ、この場合これらの合成方法は、AB2法およびA2+B3法として公知である。その中で、官能基のためのAおよびBは、1つの分子中に存在する。AB2法の場合、三官能性モノマーは、1個の官能基Aおよび2個の官能基Bと反応し、超枝分かれしたポリマーに変わる。A2+B3合成の場合には、最初に2個の官能基Aを有するモノマーは、3個の官能基Bを有するモノマーと反応する。理想的な場合には、なお1個だけの官能基Aおよび2個の官能基Bを有する1:1付加物が生成され、次にこの付加物は、超枝分かれしたポリマーにさらに反応する。
【0005】
本発明は、少なくとも二官能性のカルボン酸を少なくとも三官能性のアミノアルコールと反応させるようなA2+B3合成に関する。
【0006】
欧州特許出願公開第1295919号明細書には、なかんずくポリエステルアミドを、sが2以上であり、tが3以上であるモノマー対AsとBtとから製造することが述べられている。ポリエステルアミドとして、1つの市販製品が使用されているが、ポリエステルアミドの製造、殊にモル比については、さらには記載されていない。この欧州特許出願公開明細書中に同様に述べられたポリアミドは、実施例で2:1のトリアミン:ジカルボン酸のモル比で、即ち過剰量の三官能性モノマーを用いて製造される。
【0007】
WO 00/56804には、アルカノールアミンをモル過剰量の環式無水物と反応させることによってエステルアルキルアミド酸基を有するポリマーを製造することが記載されており、この場合無水物:アルカノールアミンの当量比は、2.0:1〜3.0:1である。即ち、無水物の過剰量は、少なくとも2倍である。
【0008】
また、無水物の代わりに、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸無水物またはジカルボン酸チオエステルが使用されてもよく、この場合カルボン酸化合物:アルカノールアミンの比は、2.0:1〜3.0:1である。
【0009】
WO 99/16810には、ジカルボン酸のモノヒドロキシルアルキルアミドまたはビスヒドロキシアルキルアミドを重縮合させるかまたは環式無水物をアルカノールアミンと反応させることによってヒドロキシアルキルアミド基ポリエステルアミドを製造することが記載されている。無水物:アルカノールアミンの当量比は、1.0:1.0〜1.0:1.8であり、即ちこの無水物は、不足量の成分である。
【0010】
Muscat他は、Topics in Current Chemistry 2001, 第212巻, 第41〜80頁に超枝分かれしたポリエステルアミドを開示している。第54〜57頁には、ジイソプロパノールアミン(DIPA)を過剰量の環式無水物または不足量のジカルボン酸、例えばアジピン酸と反応させることによって、超枝分かれしたポリエステルアミドを製造することが記載されており、この場合には、3.2:1のアジピン酸:DIPAのモル比で初めてポリエステルアミドを得ることができるが、しかし、2.3:1では、未だ得ることができない。
【0011】
公知技術水準の方法は、多数の反応工程を必要とするので煩雑であるか、または"風変わり(exotic)"であり、それによって高価なモノマーを使用する。更に、得られた枝分れしたポリマーは、不十分な枝分れ度を有する構造を有し、したがって不十分な性質を有する。
【0012】
記載された欠点を排除するという課題が課された。殊に、超枝分かれしたポリエステルアミドを簡単な方法で、できるだけ一槽法による反応で製造することができるような方法を提供する。
【0013】
この方法は、市販の安価なモノマーから出発する。
【0014】
更に、得られたポリエステルアミドは、改善された構造、殊に理想的な枝分れ度を示す。
【0015】
それに応じて、冒頭に定義された方法、ならびにそれによって得られたポリマーが見い出された。更に、述べられた使用ならびに記載された成形体、フィルム、繊維およびフォームが見い出された。本発明の好ましい実施態様は、従属請求項の記載から認めることができる。
【0016】
この方法は、少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸(ジカルボン酸、トリカルボン酸または多官能性カルボン酸)および少なくとも1個のアミノ基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアミノアルコール(アルカノールアミン)から出発する。
【0017】
適当なカルボン酸は、通常、2〜4個、殊に2または3個のカルボキシル基および1〜30個のC原子を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を有する。
【0018】
ジカルボン酸としては、例えば次のものがこれに該当する:蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピペリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸およびトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸およびトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸およびトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸およびトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸ならびにシス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸およびトランスシクロペンタン−1,3−ジカルボン酸、この場合上記のジカルボン酸は、
1〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、第二ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシル、
3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル;有利には、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、
アルキレン基、例えばメチレンまたはエチリデン、または
6〜C14−アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリルおよび9−フェナントリル、有利にフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、特に有利にフェニルから選択された1個以上の基で置換されていてよい。
【0019】
置換ジカルボン酸の例としては、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸および3,3−ジメチルグルタル酸が挙げられる。
【0020】
同様に、エチレン系不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸およびフマル酸ならびに芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸が適当である。
【0021】
トリカルボン酸またはテトラカルボン酸としては、例えばトリメシン酸、トリメリット酸、ブタントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸およびシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸が適当である。
【0022】
更に、前記カルボン酸の2つまたはそれ以上の混合物は、使用することができる。カルボン酸は、それ自体として使用されてもよいし、誘導体の形で使用されてもよい。このような誘導体は、殊に
記載されたカルボン酸の無水物であり、実際にモノマーの形であり、またはポリマーの形でもあり;
記載されたカルボン酸のエステル、例えば
ジアルキルエステル、有利にジメチルエステル、または相応するモノエチルエステルまたはジエチルエステル、他に高級アルコール、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールから誘導されたジアルキルエステル、
ジビニルエステルならびに
混合されたエステル、有利にメチルエチルエステルである。
【0023】
1つのカルボン酸と1つ以上のその誘導体との混合物、または1つ以上のジカルボン酸の多数の異なる誘導体の混合物が使用されてもよい。
【0024】
特に有利には、カルボン酸として、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらのジメチルエステルが使用されてよい。特に好ましいのは、アジピン酸である。
【0025】
少なくとも1個のアミノ基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアミノアルコール(アルカノールアミン)としては、特にジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンが適当である。ジアルカノールアミンとしては、例えば式1
【化1】

〔式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに無関係に水素、C1〜C6−アルキル、C3〜C12−シクロアルキル基またはC6〜C14アリール(アリールアルキルを含む)を表わす〕で示されるジアルカノールアミンがこれに該当する。
【0026】
適当なジアルカノールアミンは、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、ジイソブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ブチル)アミン、ジイソプロパノールアミン、ビス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)アミンおよびジシクロヘキサノールアミンである。
【0027】
トリアルカノールアミンとしては、式2
【化2】

〔式中、R1、R2およびR3は、式1で記載された意味を有し、l、mおよびnは、互いに無関係に1〜12の整数である〕で示されるトリアルカノールアミンが適当である。例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが適当である。
【0028】
好ましくは、アミノアルコールとしてジエタノールアミン(DEA)が使用される。
【0029】
1つの好ましい実施態様において、本発明による方法は、カルボン酸としてジカルボン酸を使用し、アミノアルコールとして1個のアミノ基および2個のヒドロキシル基を有するアルコールを使用する。
【0030】
多数のカルボン酸またはカルボ酸誘導体の混合物または多数のアミノアルコールの混合物が使用されてもよい。この場合、種々のカルボン酸またはアミノアルコールの官能性は、同一でも異なっていてもよい。
【0031】
カルボン酸のカルボキシル基の反応性は、同一でも異なっていてもよい。同様に、アミノアルコールの官能基(アミノ基およびヒドロキシル基)の反応性は、同一でも異なっていてもよい。
【0032】
本発明による反応は、一段階(これは、変法a)である)で実施されてもよいし、二段階(これは、変法b)である)で実施されてもよい。一段階の変法a)の場合、カルボン酸とアミノアルコールは、1.1:1〜1.95:1のモル比で直接に最終製品に変換される。これは、無水物:アルカノールアミンの比が少なくとも2.0:1であるような前記のWO 00/55804とは異なる。
【0033】
好ましくは、変法a)でカルボン酸:アミノアルコールの本発明によるモル比は、1.2:1〜1.5:1である。
【0034】
二段階の変法b)の場合、第1の段階でカルボン酸とアミノアルコールとは、2:1〜10:1のモル比でプレポリマーに変換される。その後に、第2の段階でプレポリマーは、モノマーMと反応され、この場合Mは、少なくとも1個の官能基を有する。
【0035】
好ましくは、変法b)でカルボン酸:アミノアルコールの本発明によるモル比は、2.5:1〜10:1、殊に2.7:1〜5:1、特に有利に2.9:1〜3.5:1である。
【0036】
第1段階の生成物として、僅かな分子量を有するポリエステルアミドプレポリマーを得ることができる。第1の段階の高いカルボン酸過剰量のために、プレポリマーは、未反応の遊離カルボキシル末端基を有し、この遊離カルボキシル末端基は、さらに第2の段階で少なくとも一官能価のモノマーMと反応し、最終製品、高分子量のポリエステルアミド、に変わる。モノマーMが鎖長末端変性剤(所謂末端変性剤)として作用することは、紹介されている。
【0037】
モノマーMは、有利にアルコール、アミンおよびアミノアルコール(アルカノールアミン)から選択されている。
【0038】
適当なアルコールは、モノアルコール、ジアルコール(ジオール)および高級アルコール(例えば、トリオールまたはポリオール)である。モノアルコールMは、通常、1〜30個、有利に3〜20個のC原子を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を有する。適当なモノアルコールは、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、4−第三ブチル−シクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2−メチル−3−フェニルプロパン−1−オールおよびフェニルグリコールである。
【0039】
適当なジオールMは、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサンジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサン−ジオール、イノシトールおよび誘導体、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CH2CH2O)n−HまたはポリプロピレングリコールHO(CH[CH3]CH2O)n−Hまたは前記化合物の2つ以上の代表例の混合物であり、この場合nは、整数であり、nは4を上廻る。この場合、1個のヒドロキシル基または2個のヒドロキシル基は、前記ジオール中でSH基によって置換されていてもよい。好ましいのは、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオールならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。
【0040】
ポリオールMとしては、次のものがこれに該当する:グリセリン、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパンまたはジ−トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリットまたはジペンタエリトリット;糖アルコール、例えばメソエリトリット、トレイトール、ソルビット、マンニットまたは前記の少なくとも三官能価のアルコールの混合物。好ましくは、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンおよびペンタエリトリットが使用される。
【0041】
更に、ポリオールMとしては、次のものも適当である:例えば、2〜50,有利に2〜7の重合度を有するオリゴグリセロール;100〜1000g/molの分子量を有するエトキシル化グリセロール(例えば、BASFのLupranol(登録商標));ヒドロキシル基1個当たり0.1〜10個、有利に2.5〜4.6個の酸化エチレン単位を有するエトキシル化トリメチロールプロパン;ヒドロキシル基1個当たり0.1〜10個、有利に0.75〜3.75個の酸化エチレン単位を有するエトキシル化ペンタエリトリトール;またはポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド−ブロックコポリマー(PPO−ブロック−PEO)からの少なくとも3個のポリマー分枝を有する、星状に形成された、有利に水溶性のポリオール。
【0042】
アミンMとしては、モノアミン、ジアミン、トリアミンまたは多官能価のアミン(ポリアミン)が使用される。モノマーMは、通常、1〜30個のC原子を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を有し;適当なモノアミンは、例えば第1アミン、例えばモノアルキルアミンおよび第2アミン、例えばジアルキルアミンである。適当な第1モノアミンは、例えばブチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、テトラヒドロフルフリルアミンおよびフルフリルアミンである。第2モノアミンとしては、例えばジエチルアミン、ジブチルアミン、ジ−n−プロピルアミンおよびN−メチルベンジルアミンがこれに該当する。
【0043】
ジアミンMとしては、例えば式R1−NH−R2−NH−R3〔式中、R1、R2およびR3は、互いに無関係に水素または1〜20個のC原子を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表わす〕で示されるジアミンが使用される。アルキル基は、線状であってもよいし、殊にR2に関しては、環状であってもよい。
【0044】
適当なジアミンMは、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン(1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン)、N−メチル−エチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン(1,4−ジアミノブタン)、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノ−2,2−ジエチルプロパン、1,3−ビス(メチルアミノ)−プロパン、ヘキサメチレンジアミン(1,6−ジアミノヘキサン)、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、3−(プロピルアミノ)−プロピルアミン、N,N′−ビス−(3−アミノプロピル)−ピペラジン、N,N′−ビス−(3−アミノ−プロピル)−ピペラジンおよびイソホロンジアミン(IPDA)である。
【0045】
トリアミン、テトラミンまたは多官能性アミンMとしては、例えばトリス(2−アミノーエチル)アミン、トリス(2−アミノプロピル)アミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、イソプロピレントリアミン、ジプロピレントリアミンおよびN,N′−ビス(3−アミノプロピル−エチレンジアミン)が適当である。2個以上のアミノ基を有するアミノベンジルアミンおよびアミノヒドラジドは、同様に適当である。
【0046】
更に、モノマーMとして当てはまるアミノアルコール(アルカノールアミン)は、上記に既に記載された。更に、別のモノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンも適当である。このようなモノアルカノールアミンは、例えばエタノールアミン(即ちモノエタノールアミン、MEA)、イソプロパノールアミン、モノ−第二ブタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−1−デオキシ−D−ソルビトールおよび2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールである。適当なジアルカノールアミンは、例えばジエタノールアミン(DEA)、ジイソプロパノールアミンおよびジ−第二ブタノールアミンである。
【0047】
記載されたモノマーMの混合物、例えば一官能価のモノマーMと二官能価のモノマーMとの混合物も使用することができる。
【0048】
モノマーMの量は、なかんずくプレポリマー中のカルボキシル末端基の数により左右される。プレポリマーの前記のカルボキシル基含量は、例えばDIN 53402−2による酸価の滴定によって測定されてよい。通常、カルボキシル末端基1モル当たりモノマーM0.6〜2.5モル、有利に0.7〜1.7モル、殊に0.7〜1.5モルが使用される。モノマーMは、例えば1回で非連続的に多数の分量で添加されてよいし、連続的に、例えば線状の官能基、上昇する官能基、降下する官能基、または階段状の官能基に沿って添加されてよい。
【0049】
変法b)の2つの段階は、簡単な方法で同じ反応器中で実施することができ;プレポリマーの単離または保護基の導入および再除去は、不要である。勿論、第2の段階には、別の反応器が使用されてもよい。
【0050】
変法b)において、第1の段階、カルボン酸およびアミノアルコールの反応ならびに第2の段階、プレポリマーとモノマーMとの反応は、多数の部分的段階で実施することができ、したがって全体的に3以上の段階が生じる。
【0051】
よりいっそう高い分子量を有する超枝分かれしたポリエステルアミドは、2段階の反応b)によって製造することができる。この場合、モル比の変動によって、定義された末端のモノマー単位(ポリマー分枝の末端基)を有するポリマーを得ることができる。
【0052】
更に、2段階の反応でよりいっそう高い枝分れ度(DB、degree of branching)を有するポリマーを製造することができ、それというのも、このポリマーは、極めて高い枝分れ度を有するからである。枝分れ度は、
【数1】

として定義され、この場合Tは、末端のモノマー単位の数を表わし、Zは、枝分れしたモノマー単位の数を表わし、Lは、線状のモノマー単位の数を表わす。
【0053】
一段階の反応a)によって得ることができるポリエステルアミドの場合、枝分れ度DBは、通常、0.2〜0.6である。二段階の反応によって得ることができるポリエステルアミドの場合、枝分れ度DBは、通常、0.3〜0.8、有利に0.4〜0.7、殊に0.45〜0.6である。
【0054】
方法が変法a)により実施されるか、変法b)により実施されるかとは無関係に、反応は、有利にポリマーのゲル化点(架橋反応によって不溶性のゲル粒子が形成される時点、例えばFlory, Principles of Polymer Chemistry, Cornell Univerity Press, 1953, 第387〜398参照)の達成前に、例えば冷却によって中断される。ゲル化点の達成は、しばしば反応混合物の突然の粘度上昇で確認することができる。
【0055】
本発明による方法により、官能化されたポリエステルアミドを製造することができる。そのために、コモノマーCが共用され、このコモノマーCは、カルボン酸、アミノアルコールおよび場合によるモノマーMの反応前、反応中または反応後に添加されてよい。こうして、コモノマー単位およびその官能基と化学的に変性されたポリマーを得ることができる。
【0056】
それに応じて、方法は、1つの好ましい実施態様において、カルボン酸、アミノアルコールおよび場合によってはモノマーMの反応前、反応中または反応後にコモノマーCを共用し、それによって変性されたポリエステルアミドを生成することによって特徴付けられる。コモノマーは、一価、二価または多価の基を含有することができる。
【0057】
適当なコモノマーCは、例えば飽和または不飽和のモノカルボン酸、また脂肪酸およびその無水物またはエステルである。適当なのは、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、カプリル酸、ヘプタン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、モンタン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸および不飽和モノカルボン酸、例えばメタクリル酸ならびに記載されたモノカルボン酸の無水物およびエステルである。
【0058】
不飽和脂肪酸Cとしては、例えば油酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ダイズ、亜麻の種、トウゴマおよびヒマワリからの脂肪酸が適当である。適当なカルボン酸エステルCは、殊にメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0059】
コモノマーCとしては、アルコールも脂肪アルコールもこれに該当し、例えばグリセロールモノラウレート、グリセロールモノステアレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレンモノメチルエーテル、ベンジルコール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノールおよび不飽和脂肪アルコールがこれに該当する。
【0060】
更に、適当なコモノマーCは、アクリレート、殊にアルキルアクリレート、例えばn−ブチルアクリレート、イソアクリレートおよび第三ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートまたはヒドロキシアルキルアクリレート、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートおよびヒドロキシブチルアクリレートである。アクリレートは、特に簡単な方法で超枝分かれしたポリエステルアミドのアミノ基へのマイケル付加によってポリマー中に導入することができる。
【0061】
他のコモノマーとしては、既に記載された一官能価または多官能価のアルコール(またジオール、ポリオール)、アミン(またジアミン、トリアミン)およびアミノアルコール(アルカノールアミン)がこれに該当する。特に好ましいコモノマーCは、ジエタノールアミンである。
【0062】
コモノマーCの量は、通常、どの程度のポリマーが変性されるのかにより左右される。一般に、コモノマーCの量は、使用されるモノマーのカルボン酸およびアミノアルコールの総和に対して0.5〜40質量%、有利に1〜35質量%である。
【0063】
最終製品のポリエステルアミドの遊離OH基の数(ヒドロキシル価)は、一般にポリマー1グラム当たりKOH50〜500mg、有利に70〜450mgであり、例えばDIN 53240−2による滴定によって測定されることができる。
【0064】
最終製品のポリエステルアミドの遊離COOH基の数(酸価)は、一般にポリマー1グラム当たりKOH0〜400mg、有利に0〜200mgであり、同様にDIN 53240−2による滴定によって測定されることができる。
【0065】
反応条件に関しては、次のことを云うことができる:
カルボン酸とアミノアルコールとの反応は、一般に高められた温度、例えば80〜250℃、殊に90〜220℃、特に有利に95〜180℃で行なわれる。ポリマーが変性のためにコモノマーCと反応され、そのために触媒が使用される(さらに下記参照)場合には、反応温度は、それぞれの触媒に適合させることができ、一般に90〜200℃、有利に100〜190℃、殊に110〜180℃で作業される。
【0066】
好ましくは、不活性ガス下、例えば窒素下または真空下で溶剤、例えば1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルアセトアミド(DMAC)の存在または不在で作業される。しかし、溶剤が不要である場合には、例えばカルボン酸は、アミノアルコールと混合することができ、場合によっては触媒の存在で高められた温度で反応させることができる。重合(重縮合)の経過中に形成される反応水は、例えば真空下で取り出されるかまたは適当な溶剤、例えばトルエンを使用した際に共沸蒸留によって除去される。
【0067】
カルボン酸およびアミノアルコールの反応の終結は、しばしば反応混合物の粘度が突然急速に上昇を開始することから確認することができる。粘度上昇が開始した場合には、反応は、例えば冷却によって停止させることができる。その後に、混合物の試料につき、(プレ)ポリマー中のカルボキシル基の数は、例えばDIN 53402−2による酸価の滴定によって測定することができ、引続き場合によってはモノマーMおよび/またはコモノマーCを添加することができ、反応させることができる。
【0068】
圧力は、一般に重要ではなく、例えば1ミリバール〜100バール絶対である。溶剤を使用しない場合には、真空下、例えば1〜500ミリバール絶対で作業することによって、反応水は、簡単に除去されうる。
【0069】
反応時間は、通常、5分間〜48時間、有利に30分間〜24時間、特に有利に1時間〜10時間である。
【0070】
前記したように、重合前、重合中または重合後に、記載されたコモノマーCは、添加することができ、超枝分かれしたポリエステルアミドは、化学的に変性される。
【0071】
本発明による方法の場合には、カルボン酸とアミノアルコールとの反応(エステル化)を促進させ、および/または二段階の反応b)の場合には、モノマーMとの反応および/またはコモノマーCとの反応(変性)をも促進させる触媒を共用することができる。エステル化、モノマーMとの反応またはコモノマーCでの変性が促進されるかどうかに応じて、触媒を既に開始時にかまたは後の時点で初めて添加することができる。
【0072】
触媒としては、酸性触媒、有利に無機触媒、有機金属触媒または酵素が適当である。
【0073】
酸性無機触媒としては、例えば硫酸、燐酸、ホスホン酸、次亜燐酸塩、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH=6以下、殊にpH=5以下)および酸性酸化アルミニウムを挙げることができる。更に、例えば一般式Al(OR)3のアルミニウム化合物および一般式Ti(OR)4のチタン酸塩は、酸性無機触媒として使用可能であり、この場合基Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに無関係に次のもの:
1〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、第二ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、第二ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシル;ならびにC3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル;有利には、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル。好ましくは、基Rは、Al(OR)3またはTi(OR)4中でそれぞれ等しく、イソプロピルまたは2−エチルヘキシルから選択される。
【0074】
好ましい酸性の金属有機触媒は、例えばジアルキル錫オキシドR2SnOから選択され、この場合Rは、上記の記載と同様に定義されている。酸金属有機触媒のための特に好ましい代表例は、所謂オキソ錫として商業的に入手可能であるジ−n−ブチル錫オキシドである。適当なのは、例えばFascat(登録商標)4201、Atofina社のジ−n−ブチル錫オキシドである。
【0075】
好ましい酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基またはホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。特に好ましいのは、スルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸である。また、酸性有機触媒としての酸性イオン交換体、例えばジビニルベンゼン約2モル%で架橋されているスルホン酸基含有ポリスチレン樹脂が使用されてよい。
【0076】
触媒を使用する場合には、触媒の量は、通常、カルボン酸およびアミノアルコールの総和に対して1〜5000質量ppm、有利に10〜1000質量ppmである。
【0077】
特に、コモノマーCの反応は、必要な場合には、通常のアミド化触媒によって促進されてもよい。このような触媒は、例えば燐酸アンモニウム、亜燐酸トリフェニルまたはジシクロヘキシルカルボジイミドである。殊に、感温性コモノマーCの場合およびコモノマーCとしてのメタクリレートまたは脂肪アルコールの場合には、酵素によっても促進されることができ、この場合には、通常、40〜90℃、有利に50〜85℃、殊に55〜80℃でラジカル抑制剤の存在で作業される。
【0078】
抑制剤および不活性ガス下での場合による作業は、ラジカル重合を抑制し、さらに不飽和官能基の望ましくない架橋反応を抑制する。このような抑制剤は、カルボン酸およびアミノアルコールの総和に対して50〜2000質量ppmの量の例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、フェノール誘導体、例えば2−第三ブチル−4−メチルフェニール、6−第三ブチル−2,4−ジメチルフェノールまたはN−オキシル化合物、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル(ヒドロキシ−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)である。
【0079】
本発明による方法は、例えば静的混合機または動的混合機および圧力制御および温度制御のための通常の装置ならびに不活性ガス下で作業する通常の装置を装備していてよい攪拌容器、管状反応器、塔型反応器または別の通常の反応器中で非連続的に実施されてよいが、しかし、連続的に実施されてもよい。
【0080】
溶剤なしの作業の場合には、一般に直接に最終製品を得ることができ、この最終製品は、必要な場合には、通常の精製操作によって精製されることができる。溶剤を共用する場合には、この溶剤は、反応後に常法で、例えば真空蒸留によって反応混合物から除去されることができる。
【0081】
本発明による方法により得ることができるポリエステルアミドは、同様に本発明の対象であり、さらに成形体、フィルム、繊維およびフォームを製造するための該ポリエステルアミドの使用、ならびに本発明によるポリエステルアミドからなる成形体、フィルム、繊維およびフォームも本発明の対象である。
【0082】
本発明による方法は、大きな簡易性を示す。本発明による方法は、簡単な一槽法反応での超枝分かれしたポリエステルアミドの製造を可能にする。中間段階または中間段階のための保護基の単離または精製は、不要である。本方法は、経済的に有利であり、それというのも、モノマーは、市販されており、安価であるからである。
【0083】
得られたポリエステルアミドの分子構造は、反応の一段階または二段階の構成によって生じることができ、コモノマーCの導入によって、ポリマーは、寸法通りに化学的に変性させることができる。
【0084】
実施例:
全ての試験を、内部温度計を備えた温度調節可能で排気可能な三口丸底フラスコ中で攪拌しながら窒素雰囲気中で実施した。反応混合物の粘度を目視的にかまたは試料採取および測定によって制御し、同様に酸価を試料採取および測定によって制御した。反応の際に生じる水を真空に引くことによって除去し、蒸留装置中に捕集した。
【0085】
DEAは、ジエタノールアミンを意味する。Fascat(登録商標)4201は、Atofina社のジ−n−ブチル錫オキシドを意味する。
【0086】
得られたポリマーまたはプレポリマーに関連して、表中に記載されている次の性質を測定した:
表中に記載された温度でResearch Equipment London, REL-ICI社の特殊な形の回転粘度計(Kegel-Platte-Viskosimeter)を用いてのISO 2884による粘度。
【0087】
ポリマー1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム数としてのDIN 53240−2によるヒドロキシル価。
【0088】
ポリマー1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム数としてのDIN 53240−2による酸価。
【0089】
分子量:40℃で流入液としてのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中のトリフルオロ酢酸カリウム塩の0.05質量%の溶液およびカラムとしてのHFIPゲルカラム(ポリスチレン/ジビニルベンゼン、Polymer Laboratories社製)を用いてのゲル浸透クロマトグラフィー/ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC/SEC)による数平均分子量Mnおよび質量平均分子量Mw
【0090】
校正は、M=505〜M=2740000の分子量を有する狭く分布されるPMMA標準を用いて行なわれた。
【0091】
実施例1:変法b)
1)DEA30g(0.285モル)およびアジピン酸125g(0.855モル)を130℃で装入し、Fasicat0.16gを添加し、150℃で2時間反応させ、この場合には、反応水を真空(30ミリバール)中で除去した。反応混合物の試料について測定された酸価が一定のままになったら直ちに、反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミド−プレポリマーは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0092】
2)得られたプレポリマー140gにプレポリマーの酸価に相応して1.1倍モル量のDEA(99g、0.94モル)を添加し、水を真空(10〜20ミリバール)中で除去した。反応混合物の粘度がもはやさらには上昇せず(このことは、反応の終結を示した)、酸価がKOH15mg/gになったら直ちに、反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミドは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0093】
実施例2:変法a)
DEA719g(6.84モル)およびアジピン酸1200g(8.21モル)を110℃で装入し、Fasicat1.91gを添加し、115℃で2.5時間反応させ、この場合には、反応水を真空(100ミリバール)中で除去した。この反応混合物の粘度は、最初、徐々に均一に上昇した。この粘度が著しく上昇したら(即ち、ゲル化点への達成前)直ちに、反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミドは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0094】
実施例3:変法a)、DEAでのポリマーの変性
DEA828g(7.875モル)およびアジピン酸1380g(9.44モル)を130℃で装入し、Fasicat2.25gを添加し、135℃で2時間反応させ、この場合には、反応水を真空(300ミリバール)中で除去した。この反応混合物の粘度は、最初、徐々に均一に上昇した。粘度が著しく上昇したら(即ち、ゲル化点への達成前)直ちに、酸価KOH170mg/gを測定した。その後に、得られたポリエステルアミドにDEA445g(4.23モル)を添加した。真空中で135℃で3時間反応させ、その後に反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミドは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0095】
実施例4:変法a)、ステアリン酸およびDEAでのポリマーの変性
DEA60g(0.57モル)、ステアリン酸1.6g(0.0057モル)およびアジピン酸100g(0.684モル)を130℃で装入し、2質量%の硫酸0.16mlを添加し、130℃で2時間反応させ、この場合には、反応水を真空(50ミリバール)中で除去した。この反応混合物の粘度は、最初、徐々に均一に上昇した。粘度が著しく上昇したら(即ち、ゲル化点への達成前)直ちに、酸価KOH155mg/gを測定した。その後に、得られたポリエステルアミドにDEA47g(0.45モル)を添加した。真空中で135℃で2.5時間反応させ、その後に反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミドは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0096】
実施例5:変法a)、グリセロールモノステアレートおよびDEAでのポリマーの変性
DEA60g(0.57モル)、グリセロールモノステアレート2g(0.0057モル)およびアジピン酸100g(0.684モル)を130℃で装入し、2質量%の硫酸0.16mlを添加し、130℃で2時間反応させ、この場合には、反応水を真空(50ミリバール)中で除去した。この反応混合物の粘度は、最初、徐々に均一に上昇した。粘度が著しく上昇したら(即ち、ゲル化点への達成前)直ちに、酸価KOH174mg/gを測定した。その後に、得られたポリエステルアミドにDEA53g(0.50モル)を添加した。真空中で135℃で5時間反応させ、その後に反応を20℃に冷却することによって停止させた。得られたポリエステルアミドは、淡黄色であり、粘稠であった。
【0097】
表には、結果がまとめられている。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリエステルアミドの製造法において、少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸を、少なくとも1個のアミノ基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアミノアルコールと反応させ、その際
a)カルボン酸とアミノアルコールとを1.1:1〜1.95:1のモル比で直接に最終製品に反応させるか、または
b)最初にカルボン酸とアミノアルコールとを2:1〜10:1のモル比でプレポリマーに反応させ、その後にこのプレポリマーを少なくとも1個の官能基を有するモノマーMと反応させることを特徴とする、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれしたポリエステルアミドの製造法。
【請求項2】
変法a)でモル比が1.2:1〜1.5:1である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
変法b)でモル比が2.9:1〜3.5:1である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
カルボン酸としてジカルボン酸およびアミノアルコールとして1個のアミノ基および2個のヒドロキシル基を有するアルコールを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
カルボン酸としてアジピン酸を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アミノアルコールとしてジエタノールアミンを使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
モノマーMをアルコール、アミンおよびアミノアルコールから選択する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カルボン酸、アミノアルコールおよび場合によってはモノマーMの反応前、反応中または反応後にコモノマーCを共用し、それによって変性されたポリエステルアミドを生成する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法により得ることができるポリエステルアミド。
【請求項10】
成形体、フィルム、繊維およびフォームを製造するための請求項9記載のポリアミドまたはポリアミドアミンの使用。
【請求項11】
請求項9記載のポリアミドまたはポリアミドアミンからの成形体、フィルム、繊維およびフォーム。

【公表番号】特表2008−509260(P2008−509260A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525221(P2007−525221)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008338
【国際公開番号】WO2006/018126
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】