説明

高強度高延性難燃性マグネシウム合金及びその製造方法

【課題】高強度高延性の難燃性マグネシウム合金の製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウムあるいはマグネシウム合金に0.5〜5.0重量%のカルシウムが添加された難燃性マグネシウム合金の粉砕物、又は切削屑等をボールミルで粉状にして、パルス通電焼結法で成形及び焼結し、その焼結された難燃性マグネシウム合金に塑性加工を施して、粉砕物を成形、焼結した高強度高延性難燃性マグネシウム合金を製造する。難燃性マグネシウム合金内部に存在する金属間化合物が微細・均質にマグネシウムマトリックス中に分散した組織形態を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性マグネシウム合金において、強度及び延性等の機械的特性を高めた高強度高延性難燃性マグネシウム合金及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金は、極めて軽量であるため、アルミニウムやその合金の代替材として注目されている。マグネシウム合金は、実用金属の中では最も軽量に属し、強度や弾性率を密度で除した比強度、比弾性率等がかなり高い。このため、軽量化が要求される産業分野において、将来その需要が高まることが予想される。チタンやアルミニウム合金は、十分な強度を有しているものの、マグネシウム合金に比して、軽量性や緩衝性等の特性が低いという欠点がある。
【0003】
通常のマグネシウム合金は、比強度は比較的高いもののチタンやアルミニウム合金に比して絶対的な強度が低いとともに、発火点が低いので発火しやすい欠点があることは従来から知られている。このため難燃性にするために、マグネシウム合金にカルシウムを添加して発火点を高め、押し出しや圧延等の塑性加工により、発火し難いものにした難燃性マグネシウム合金が開発されている(特許文献1)。
【0004】
チタンやアルミニウム合金に対応する強度を求めるための改良がなされたマグネシウム合金も種々提案されている。例えば、強度及び比強度が高く、塑性変形後の結晶粒度が小さい特性を有し、MgにCa、Zn、及びX(ただし、Xは希土類元素であり、Y、Ce、La、Nd、Pr、Sm、Mmからなる群から選ばれる1種以上の元素)を所定量添加し、これらの化合物が微細に分散した組織を有するマグネシウム合金とその製造技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、希土類元素を所定量添加し、急冷凝固アトマイズ法により組織の微細化を図ったものである。
【0005】
又、高強度と高延性とを兼ね備えるマグネシウム合金として、1.0〜4.0原子%のZnと、1.0〜4.5原子%のYとを所定の組成比でマグネシウムに含有させ、金属間化合物MgZnと長周期構造のMg12YZnとを同時に含む組織にしたものが開示されている(例えば特許文献3参照)。これは、金属間化合物MgZnと長周期相Mg12YZnとが同時に存在することにより、耐力、引張強さ、伸びを向上させたものである。
【0006】
一方、マグネシウム合金製部材の製造においては、素材から最終部品形状への加工に切削加工が用いられる場合が多く、多量の切削屑を発生する。この切削屑をリサイクルする技術に関して種々の提案がなされている。マグネシウム合金の切削屑を、そのままの状態で室温の下で圧縮成形して先ず圧密体を作製し、その圧密体を623K〜723Kの温度範囲で、又押し出し比400以上の条件で、さらに大気中の諸条件のもとで熱間押し出し成形を行って、結晶粒微細化による強化と切削屑表面の酸化物を均一に分散させることによる強化を行ったマグネシウム合金を製造する技術が開示されている(例えば特許文献4参照)。
【0007】
又他の方法として、米国材料試験協会(ASTM)規格表示のマグネシウム合金AZ31B及びマグネシウム合金AZ91Dに関し、これらの切削屑を用いて室温の下で圧粉体を先ず作製し、次いで押し出し温度を623Kと573K、押し出し比を19、33、47、100の各諸条件の下で熱間押し出しを行い成形する技術が開示されている(非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−109963号公報
【特許文献2】特開平9−41065号公報
【特許文献3】特開2006−97037号公報
【特許文献4】特開2006−70332号公報
【非特許文献1】「Mg−Al−Zn系合金切削チップ熱間押出材の表面性状の改善」會田哲夫、高辻則夫、松木賢司、小原卓、鎌土重晴、「塑性と加工」第55巻、第9号(2005)、P.400−404
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、マグネシウム合金の機械的特性を向上させる改良技術は種々提案されている。しかしながら現状のマグネシウム合金はまだ多くの問題点を抱えており、満足すべきものとはなっておらず、製品化に適用するためにはまだ不十分である。すなわち、特許文献2や特許文献3では高価な希土類元素の添加を必要とし、因って得られた合金も高コストなものにならざるを得ない。更には、特許文献2では急冷凝固アトマイズ法といった特殊、且つ高度な技術を用いなければならない。特許文献2による合金の耐力は510〜635MPaを示し、高強度化が図られているものの、破断伸びは1.0〜4.0%と極めて小さく、非常に脆性的な材料となっている。
【0010】
又、特許文献3による合金では、金属間化合物MgZnと長周期相Mg12YZnとが同時に存在する場合にのみ、390〜520MPaの引張強さと4.5〜10.3%の破断伸びが得られるというものであり、金属間化合物あるいは長周期相のどちらか片方の存在では、高強度と高延性を兼ね備えることはできないことが示されている。このように、高度な組織制御が必須である。
【0011】
一方、特許文献4に記載の技術は、切削屑を圧密体として押し出し比が400以上という加工度の非常に厳しい条件の下で、押し出し加工を施すものである。このような大きな押し出し比では、押し出し金型への過度の負荷及びそれに伴う金型破損や押し出し設備の大型化等々といった問題点を包含しており、製造方法として安定したものとは言いがたい。
【0012】
又、非特許文献1に記載の技術は、切削チップから圧粉体を作製し、それに熱間押し出し加工を施したものであるが、得られた合金の機械的強度は引張強度が230MPa程度、耐力が120MPa程度と小さく、高強度化を図る製造手段として効果のある方法とは言いがたい。
【0013】
本発明は、このような従来の技術背景のもとになされたものであり、次の目的を達成する。
本発明の目的は、マグネシウム又はマグネシウム合金にカルシウムが添加された難燃性マグネシウム合金素材の粉砕物を成形、焼結した高強度高延性難燃性マグネシウム合金を提供することにある。
本発明の他の目的は、難燃性マグネシウム合金内部に存在する金属間化合物が微細・均質にマグネシウムマトリックス中に分散した組織形態を有した高強度高延性難燃性マグネシウム合金を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、難燃性マグネシウム合金粉砕物に成形、焼結及び塑性加工を施して高強度高延性の難燃性マグネシウム合金を製造する高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の高強度高延性難燃性マグネシウム合金は、マグネシウム又はマグネシウム合金に、0.5〜5.0重量%のカルシウムが添加された難燃性マグネシウム合金素材の粉砕物を成形し焼結したものであることを特徴とする。
【0015】
本発明2の高強度高延性難燃性マグネシウム合金は、本発明1において、生成する金属間化合物相がマグネシウムマトリックス中に2μm以下のサイズで、微細且つ均質に分散していることを特徴とする。
【0016】
本発明3の高強度高延性難燃性マグネシウム合金は、本発明1又は2において、前記マグネシウム合金は、0〜12.0重量%のアルミニウムと0〜5.0重量%の亜鉛と0.5重量%以下のマンガンを含むマグネシウム合金であることを特徴とする。
【0017】
本発明4の高強度高延性難燃性マグネシウム合金は、本発明1又は2において、前記マグネシウム合金は、AZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系、及びAM100系から選択されるいずれか1種のマグネシウム合金であることを特徴とする。
【0018】
本発明5の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明1又は2に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法であって、その製造方法は、難燃性マグネシウム合金素材を粉砕する工程と、前記粉砕された前記難燃性マグネシウム合金の粉砕物を成形及び焼結する工程と、前記成形及び焼結された前記難燃性マグネシウム合金の焼結物に塑性加工を施す工程とからなることを特徴とする。粉砕物の平均粉砕粒径は10μm以上、60μm以下が好適である。
【0019】
本発明6の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明5において、前記成形及び焼結する工程は、熱間成形により施されることを特徴とする。
【0020】
本発明7の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明5において、前記成形及び焼結する工程は、パルス通電焼結法により施されることを特徴とする。
【0021】
本発明8の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明5において、前記塑性加工は、押し出し加工、引き抜き加工、回転鍛造加工及び圧延加工から選択される1種、若しくは2種以上の組み合わせであることを特徴とする。
【0022】
本発明9の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明5において、前記マグネシウム合金は、0〜12.0重量%のアルミニウムと0〜5.0重量%の亜鉛と0.5重量%以下のマンガンを含むものであることを特徴とする。
【0023】
本発明10の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法は、本発明5において、前記マグネシウム合金は、AZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系、及びAM100系から選択されるいずれか1種であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、難燃性マグネシウム合金素材から先ず粉砕物を作製し、次にこれを成形・焼結し、次いで塑性加工を施すことによって、高価な希土類元素等の追加物添加を要しないで、又、金属間化合物と長周期構造相とが同時に存在しなければならないというような高度な組織制御技術を必要とすることなく、高強度高延性の難燃性マグネシウム合金を製造することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[高強度高延性難燃性マグネシウム合金]
以下、本発明に関わる高強度高延性難燃性マグネシウム合金の実施の形態について詳細に説明する。先ず、本発明の理解を容易にするため、マグネシウム合金について説明する。マグネシウム合金については、米国材料試験協会(以下、「ASTM」と称す。)あるいは日本工業規格(以下、「JIS」と称す。)等により規格化されている。マグネシウム合金は大別して、鋳造用マグネシウム合金と展伸用マグネシウム合金がある。各々について、ASTM及びJISで規格化されている機械的特性の最小値から最大値の範囲は以下のとおりである。これら規格化された合金の化学成分の組成は、規格化され、かつ公知技術であるのでその説明は省略する。
【0026】
鋳造用マグネシウム合金の機械的特性は、次の通りである。引張強さ:140MPa(AM100A―F材)〜270MPa(ZK61A―T5、T6処理材)。耐力:70MPa(AM100A―F材)〜180MPa(ZK61A―T5、T6処理材)。伸び:ほぼ0%(AM100A―F材)〜10%(AM50A―F材)。
【0027】
一方、展伸用マグネシウム合金の機械的特性は、次の通りである。引張強さ:190MPa(AZ31C―O材)〜310MPa(ZK60A―T5処理材)。耐力:90MPa(AZ31C―O材)〜230MPa(ZK60A―T5処理材)。伸び:4%(AZ31C―H14処理材)〜13%(AZ31C―O材)。
【0028】
一般に、金属の場合、展伸用合金は鋳造用合金に比して、塑性加工や加工熱処理の効果によって、強度や延性等の機械的性質が大幅に向上する。マグネシウム合金においても前述のように向上はしているものの、強度、延性のいずれにおいてもその向上程度は少ないのが現状である。このため、さらなる技術開発が求められ、前述の特許技術の事例のように開示されている。
【0029】
本実施の形態は、特に難燃性マグネシウム合金の粉砕物を利用し、この粉砕物を焼結を行ってから塑性加工を施し、室温において415MPa以上の引張強さ、360MPa以上の耐力および8%以上の破断伸びを有する高強度高延性難燃性マグネシ金及びその製造方法を提供するものである。ここで、本発明において引張強さを415MPa以上、耐力を360MPa以上とした理由は以下の通りである。代表的な軽量・高強度型のアルミニウム合金としてジュラルミンが知られている。ジュラルミンはAl−Cu−Mg系合金であり、例えばその中の1種であるA2024−T3あるいはT4熱処理の押出し材(棒径6mm以下)の引張強さは390MPa以上、耐力295MPa以上と規定されている(JIS H4040−2006)。これらの数値に鑑みて、本発明における合金では、引張強さを415MPa以上、耐力を360MPa以上とした。次に本発明における合金及びその製造技術について説明する。
【0030】
本実施の形態で使用したマグネシウム合金は、ASTMの[AM60B]等で表示される鋳造用マグネシウム合金である。例えば、鋳造用マグネシウム合金[AM60B]の場合は、ダイカスト用合金であり、その基本化学組成は、Al5.6〜6.4重量%、Mn0.26〜0.50重量%、及び残部マグネシウムからなるものである。この合金に0.5〜5.0重量%のCaを添加する。本実施の形態においては2重量%のCaを添加し、難燃性マグネシウム合金としている。また、「AZ91D」の場合は、鋳造用マグネシウム合金であり、ダイカスト用合金であり、その基本化学組成は、Al8.5〜9.5重量%、Zn0.45〜0.9重量%、Mn0.17〜0.40重量%、及び残部マグネシウムからなるものである。
【0031】
マグネシウムは、結晶構造が稠密六方晶であるため、室温のもとでは塑性加工性が極めて悪く、冷間加工は極めて困難であるのが現状である。熱間では塑性加工性もかなり向上するが、他の金属と比較すると精緻な形状の加工はやはり容易ではない。従って、マグネシウム合金製の製品の製造には鋳造法が主に用いられる。又、鋳造法で得られた鋳造品や、あるいは塑性加工で得られた鍛造品や展伸品等の最終形状への仕上げには切削加工、研削加工等の機械加工が施される場合が多い。
【0032】
しかしながら、これらの機械加工で発生する切削屑等の処理はコスト等が嵩む制約があり、一方、リサイクル材としてこのままで再利用するには多くの問題を抱えている。近年、この切削屑の有効利用を図る研究が先に記述(例えば、特許文献4、非特許文献1等)のように行われているが、得られた合金の機械的強度や製造技術の点から、実用に供せる決定的な事例はまだ開示されていない。
【0033】
難燃性マグネシウム合金の粉砕物としては、種々の機械加工で排出される切削屑や研削屑、切断・打抜き等のプレス屑、破砕機による破砕屑、鋳物・鋳造材の小片状ブロック等を粉砕したもの等々が挙げられるが、本実施の形態においては、切削加工によって発生する切削屑を用いた。これは、前記のようにマグネシウム合金の仕上げでは切削加工が多用され、多量の切削屑が排出されるためである。
【0034】
[高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造]
次に、本実施の形態の高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造について説明する。ベースとなるマグネシウム合金は、Caが2重量%添加された「AM60B+2Ca合金」である。AM60Bは本来鋳造用のマグネシウム合金であるが、熱間においては押し出し等の塑性加工を可能とするものである。このAM60Bに2重量%のCaを添加することにより、マグネシウム合金の発火温度を200〜300℃上昇させることができる。
【0035】
このため、大気中での溶解作業も安全に行うことができる。電気炉にAM60B合金を入れ溶解し、酸化物を取り除き、2重量%のCaを添加し難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」とする。その後、不純物を取り除き型に入れ鋳造品とする。本発明の実施の形態では、この難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」から粉砕物の原料とするために、前述したように便宜的に切削屑を用いるが、粉砕物の原料は切削屑に限定されず、小片状ブロックであればよい。
【0036】
この切削屑から粉砕物を得るが、これをボールミル等で行う。この粉砕により、切削屑が本来有する凝固組織を破壊させる。すなわち、鋳造材では凝固速度が遅いために非常に粗大、且つ不均質な凝固組織を呈する。切削屑においてもその凝固組織は切削によって若干の分断はなされているものの、凝固時に生成した金属間化合物等は粗大なままで存在する。粉砕により、切削屑の金属組織の微細・均質化を図る。すなわち、合金内部に不均質に生成している金属間化合物は微細に分断・破壊され、また同様に、合金の凝固組織の結晶粒界に存在していた金属間化合物も分断・破壊される。
【0037】
この粉砕は、微粉化させるものでなく、ある程度の粗さを残し均質化させるものである。粉砕物における平均粒径は10μm以上、60μm以下がよい。10μm以下の平均粒径の粉砕物を得ようとすると、粉砕時間が長くなり加工コストの増大を招くとともにハンドリングにも問題を生じる。一方、60μm以上の平均粒径では素材が有する粗大な凝固組織の破壊が未だ十分に進んでいない。因って粉砕物の平均粒径は10μm以上、60μm以下が好適である。
【0038】
本実施の形態における難燃性マグネシウム合金の場合、Caの添加によって難燃化が図られているので、粉砕物の状態においても安全である。例えば、146μmの平均粒度を有する難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca合金」の粉砕物の爆発下限濃度の値は100mg/mであり、アルミニウム粉末(35mg/m)よりも大きく、鉄粉末(<120mg/m)程度になり、爆発の危険性は大幅に軽減され取り扱いが容易となっている。このように、通常のマグネシウム合金に比べると発火点が200〜300℃向上していることから、仮に微粉化しても通常の処理工程において安全上問題はない。
【0039】
次に、このように微細均質な組織になった難燃性マグネシウム合金の粉砕物を成形及び焼結する。この粉砕物の成形は、室温の下での冷間成形、或いは再結晶温度以上の温度域での熱間成形のいずれも可能であるが、工程の短縮化を考慮すると、焼結も同時に行える熱間成形が好ましい。更に、熱間成形にはパルス通電焼結法が適する。パルス通電焼結法は、黒鉛モールドに対象となる試料を充填し、加圧しながらパルス状に通電を行って焼結する公知の処理方法である。本例においては、この試料は前述の難燃性マグネシウム合金製の粉砕物となる。この処理方法は粉砕物を効率よく加熱し、短時間で焼結できる利点がある。
【0040】
次にこの成形及び焼結された難燃性マグネシウム合金粉砕物の焼結体をビレットとして塑性加工を施す。この塑性加工は、焼結体に外力を加えて永久変形を起こさせる塑性変形を付与することによって、粉砕物同士の固着を焼結体以上により強固にするとともに、焼結体のミクロ組織も微細化する効果がある。塑性加工を施す手段として、押し出し、圧延、引き抜き、鍛造、回転鍛造等の各種加工法があるが、本例においては熱間押し出し加工を用いる。これは、押し出し加工では大きな塑性変形を加工物に付与することができるためである。
【0041】
又、この際の押し出し比は、ある程度高い方が得られる材料の機械的強度が増すが、いたずらに大きくすると押し出し金型の寿命低下や破損、押し出し設備の大型化等を招くため、押し出し比の最高は120程度が好ましい。この押し出し成形により、焼結体中の粉砕物同士は、塑性変形を受けてより強固に結合し、金属間化合物の粒子がマグネシウムマトリックス中に均一に分散した組織形態となる。又、熱間押し出し加工中に再結晶が生じて、マグネシウムのマトリックス結晶粒は微細化される。これらによって機械的特性が向上し、高強度になるとともに高延性化が図られる。
【0042】
このように、難燃性マグネシウム合金素材の粉砕、次いで粉砕物の成形と焼結、及びその後の塑性加工の製造工程を経ることによって、難燃性マグネシウム合金は完全に緻密化されるとともに、マグネシウムマトリックス組織の微細・均質化が達成される。又、内在する金属間化合物相は2μm以下のサイズにまで微細化され、且つ、それが均質に分散した組織となる。このような組織形態によって、難燃性マグネシウム合金の強度と延性の両者が増すことになる。
【0043】
このような製造方法により、粉砕物による難燃性マグネシウム合金は、高強度高延性の特性を有する難燃性マグネシウム合金になる。ここで、難燃性マグネシウム合金に内在する金属間化合物相のサイズが2μmを越えると、外力が作用した場合に、化合物相とマトリックスとの界面が破壊の起点となり、十分な強度と延性を達成することは不可能となる。
【0044】
又、使用するマグネシウム合金は、前述の実施の形態で開示した以外に、0〜12.0重量%のアルミニウムと、0〜5.0重量%の亜鉛と、0.5重量%以下のマンガンを含むマグネシウム合金でも有効な結果が可能である。更に、マグネシウム合金は、米国材料試験協会(ASTM)規格表示のAZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系およびAM100系から選択されるいずれか1種を使用しても有効な結果が可能である。以上、実施の形態について説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0045】
以下、本発明の実施例1を実験例で示す。試験材は、難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材の切削屑を粉砕した粉砕物であり、これをパルス通電焼結法による成形を行い熱間押し出し加工を施したものである。本実施例1の合金は、マグネシウム合金に難燃性を付与するために2重量%のCaが添加された難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材をベースにしたものであり、この合金から旋削加工によって排出される切削屑を出発原料とした。この切削屑に遊星型ボールミルを用いて粉砕処理を施し、粉砕物とした。この粉砕処理は微細粉末にするものではなく、本実施の形態における粉砕物の平均粒径は50μm程度であった。
【0046】
この粉砕処理によって、切削屑は切削屑が本来有する粗大・不均質な凝固組織は分断・破壊され、微細・均質なミクロ組織からなる粉砕物となる。次いで、この粉砕物をパルス通電焼結法によって黒鉛モールドを用いて、大気中、温度480℃、保持時間20分の間、圧力35MPaの条件下で成形及び焼結を同時に行った。得られた焼結体に温度480℃、押し出し比110の下で熱間押し出し加工を施した。
【0047】
得られた押し出し合金の組織を走査型電子顕微鏡で観察した結果の写真を、比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4の結果とともに図1(a)〜(e)に示す。本実施例1における押し出し合金は、顕著に微細・均質化された組織を呈する。これに対して比較例1(図1(b))の合金においては、4〜10μmのサイズの晶出物が点在するとともに、ラメラー組織のAl−Ca化合物がマグネシウムマトリックスの粒界に生成し、極めて粗大・不均質な組織形態である。又、比較例2(図1(c))、比較例3(図1(d))及び比較例4(図1(e))の合金では比較例1と同様な4〜10μmのサイズの粗大な晶出物が点在している。それに対して、本実施例1の合金ではそのような粗大な晶出物は全く存在していない。
【0048】
本実施例1における押し出し合金をX線分析した結果を図2(a)〜(e)に示す。図2(a)は二次電子線像である。図2(b)マグネシウム、図2(c)アルミニウム、図2(d)カルシウム及び図2(e)マンガンの各元素からの特性X線による分析図が示すように、各元素は極めて均質に分布しており、本実施例1の合金が非常に微細・均質な組織であることを示している。図1(a)及び図2(a)〜(e)の結果から2μmを越えるサイズの化合物は存在していないことが分かる。後述の比較例3の合金におけるX線分析結果を示した図5とは著しい違いを示している。
【0049】
得られた押し出し合金を室温下で引張強度試験を行った。その結果である引張強さ、耐力、破断伸びを比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4と対比して図に示す。図3は、実施例1を比較例1と比較例2に対応し比較させた図であり、図4は実施例1を比較例3と比較例4に対応し比較させた図である。結果は、引張強さが415MPa、耐力が364MPa、破断伸びが23%であり、強度と延性のいずれにおいても優れた特性を示す。
【0050】
(比較例1)
比較例1の試験材は、常法により製造された鋳造材である。実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材を、実施例1と同じ条件の下で引張試験を行った。鋳造材の室温における機械的特性は図3に示すように、引張強さが157MPa、耐力が89MPa、破断伸びが3%に過ぎなかった。比較例1における合金のミクロ組織は図1(b)に示すとおりであり、粗大且つ不均質な組織形態である。
【0051】
(比較例2)
比較例2の試験材は、常法により製造されたマグネシウム合金鋳造材に、熱間押し出し加工を施したものである。実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材に対し、実施例1と同じ条件の下で熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図3に示すように、引張強さが305MPa、耐力が242MPa、破断伸びが18%に過ぎなかった。比較例2における合金のミクロ組織は図1(c)に示すとおりであり、4〜10μmの粗大な化合物が生成した不均質な組織形態である。
【0052】
(比較例3)
比較例3の試験材は、常法により製造された鋳造材の切削屑に、熱間押し出し加工を施したものである。実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材から、実施例1と同じ条件の下で切削屑を作製した。この切削屑に対して何ら粉砕処理を施すことなく、実施例1と同じ条件の下で直接、熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図4に示すように、引張強さが353MPa、耐力が290MPa、破断伸びが14%に過ぎなかった。
【0053】
比較例3の押し出し合金をX線分析した結果を、図5(a)〜(e)に示す。比較例3の合金においては、図5(a)の二次電子線像に示すように4〜10μmのサイズの塊状の晶出物が極めて不均質に存在している。この晶出物は、図5(c)のアルミニウム特性X線と図5(e)のマンガン特性X線とに反応していることからAl−Mn系化合物と判定される。
【0054】
又、図5(a)の二次電子線像において、サイズが2μm程度の粒状の晶出物が押し出し方向(写真中の横方向)に配列しているが、これは図5(c)のアルミニウム特性X線と図5(d)のカルシウム特性X線とに反応していることから、Al−Ca化合物と判定される。図5(a)〜(e)に示す比較例3の合金におけるX線分析結果は、図2に示した実施例1の合金におけるX線分析結果とは顕著な違いを示し、著しく粗大且つ不均質な組織となっている。なお、比較例2及び比較例4の合金においても図5(a)〜(e)のX線分析の結果と同様の結果である。
【0055】
(比較例4)
比較例4の試験材は、常法により製造された鋳造材の切削屑を、パルス通電焼結法で成形し熱間押し出し加工を施したものである。実施例1と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AM60B+2Ca」の鋳造材から実施例1と同じ条件の下で切削屑を作製した。この切削屑に対して何ら粉砕処理を施すことなく、実施例1と同じ条件の下でパルス通電焼結法による成形及び焼結を施した後に、実施例1と同じ条件の下で熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図4に示すように、引張強さが325MPa、耐力が255MPa、破断伸びが16%に過ぎなかった。比較例4における合金のミクロ組織は図1(e)に示すとおりであり、4〜10μmの粗大な化合物が生成した不均質な組織形態である。
【実施例2】
【0056】
以下、本発明の実施例2を実験例で示す。試験材は、難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材の切削屑を粉砕した粉砕物であり、これをパルス通電焼結法による成形を行い熱間押し出し加工を施したものである。本実施例2の合金は、マグネシウム合金に難燃性を付与するために2重量%のCaが添加された難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材をベースにしたものであり、この合金から旋削加工によって排出される切削屑を出発原料とした。この切削屑に遊星型ボールミルを用いて粉砕処理を施し、粉砕物とした。この粉砕処理は微細粉末にするものではなく、本実施の形態における粉砕物の平均粒径は約50μmであった。
【0057】
この粉砕処理によって、切削屑は切削屑が本来有する粗大・不均質な凝固組織は分断・破壊され、微細・均質なミクロ組織からなる粉砕物となる。次いで、この粉砕物をパルス通電焼結法によって黒鉛モールドを用いて、大気中、温度450℃、保持時間20分の間、圧力35MPaの条件下で成形及び焼結を同時に行った。得られた焼結体に温度400℃、押し出し比110の下で熱間押し出し加工を施した。
【0058】
得られた押し出し合金を室温下で引張強度試験を行った。その結果である引張強さ、耐力、破断伸びを比較例5、比較例6、比較例7及び比較例8と対比して図に示す。図6は、実施例2を比較例5と比較例6に対応し比較させた図であり、図7は実施例2を比較例7と比較例8に対応し比較させた図である。本実施例2における結果は、引張強さが461MPa、耐力が451MPa、破断伸びが8%であり、強度と延性のいずれにおいても優れた特性を示す。
【0059】
(比較例5)
比較例5の試験材は、常法により製造された鋳造材である。実施例2と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材を、実施例2と同じ条件の下で引張試験を行った。鋳造材の室温における機械的特性は図6に示すように、引張強さが166MPa、耐力が87MPa、破断伸びが3%に過ぎなかった。
【0060】
(比較例6)
比較例6の試験材は、常法により製造されたマグネシウム合金鋳造材に、熱間押し出し加工を施したものである。実施例2と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材に対し、実施例2と同じ条件の下で熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図6に示すように、引張強さが360MPa、耐力が260MPa、破断伸びが10%に過ぎなかった。
【0061】
(比較例7)
比較例7の試験材は、常法により製造された鋳造材の切削屑に、熱間押し出し加工を施したものである。実施例2と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材から、実施例2と同じ条件の下で切削屑を作製した。この切削屑に対して何ら粉砕処理を施すことなく、実施例2と同じ条件の下で直接、熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図7に示すように、引張強さが348MPa、耐力が235MPa、破断伸びが13%に過ぎなかった。
【0062】
(比較例8)
比較例8の試験材は、常法により製造された鋳造材の切削屑を、パルス通電焼結法で成形し熱間押し出し加工を施したものである。実施例2と全く同じ化学組成の難燃性マグネシウム合金「AZ91D+2Ca」の鋳造材から実施例2と同じ条件の下で切削屑を作製した。この切削屑に対して何ら粉砕処理を施すことなく、実施例2と同じ条件の下でパルス通電焼結法による成形及び焼結を施した後に、実施例2と同じ条件の下で熱間押し出し加工を施した。得られた押し出し合金の室温における機械的特性は、図7に示すように、引張強さが347MPa、耐力が230MPa、破断伸びが15%に過ぎなかった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1(a)】図1(a)は、本実施例1の押し出し合金の走査型電子顕微鏡による組織写真である。
【図1(b)】図1(b)は、AM60Bの鋳造品である比較例1の走査型電子顕微鏡による組織写真である。
【図1(c)】図1(c)は、AM60Bの鋳造品を熱間押し出しした加工品である比較例2の走査型電子顕微鏡による組織写真である。
【図1(d)】図1(d)は、AM60Bの鋳造品の切削屑を熱間押し出しした加工品である比較例3の走査型電子顕微鏡による組織写真である。
【図1(e)】図1(b)は、AM60Bの鋳造品の切削屑をパルス通電焼結し、次いで熱間押し出しした加工品である比較例4の走査型電子顕微鏡による組織写真である。
【図2(a)】図2(a)は、実施例1の合金におけるX線分析の結果を示す組織写真であり、二次電子線像である。
【図2(b)】図2(b)は、実施例1の合金におけるマグネシウム元素の特性X線分析図である。
【図2(c)】図2(c)は、実施例1の合金におけるアルミニウム元素の特性X線分析図である。
【図2(d)】図2(d)は、実施例1の合金におけるカルシウム元素の特性X線分析図である。
【図2(e)】図2(e)は、実施例1の合金におけるマンガン元素の特性X線分析図である。
【図3】図3は、比較例1と比較例2と対比させて示した実施例1の機械的特性のデータ図である。
【図4】図4は、比較例3と比較例4と対比させて示す実施例1の機械的特性のデータ図である。
【図5(a)】図5(a)は、比較例3の合金におけるX線分析の結果を示す二次電子線像の組織写真である。
【図5(b)】図5(b)は、比較例3の合金におけるマグネシウム元素の特性X線分析図である。
【図5(c)】図5(c)は、比較例3の合金におけるアルミニウム元素の特性X線分析図である。
【図5(d)】図5(d)は、比較例3の合金におけるカルシウム元素の特性X線分析図である。
【図5(e)】図5(e)は、比較例3の合金におけるマンガン元素の特性X線分析図である。
【図6】図6は、比較例5と比較例6と対比させて示した実施例2の機械的特性のデータ図である。
【図7】図7は、比較例7と比較例8と対比させて示す実施例2の機械的特性のデータ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム又はマグネシウム合金に、0.5〜5.0重量%のカルシウムが添加された難燃性マグネシウム合金素材の粉砕物を成形し焼結したものである高強度高延性難燃性マグネシウム合金。
【請求項2】
請求項1に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金において、
前記マグネシウム合金は、生成する金属間化合物相がマグネシウムマトリックス中に2μm以下のサイズで、微細且つ均質に分散していることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金において、
前記マグネシウム合金は、0〜12.0重量%のアルミニウムと0〜5.0重量%の亜鉛と0.5重量%以下のマンガンを含むマグネシウム合金であることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金において、
前記マグネシウム合金は、AZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系、及びAM100系から選択されるいずれか1種のマグネシウム合金であることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法であって、前記難燃性マグネシウム合金素材を粉砕する工程と、
前記粉砕された前記難燃性マグネシウム合金の粉砕物を成形及び焼結する工程と、
前記成形及び焼結された前記難燃性マグネシウム合金の焼結物に外力を加えて永久変形を起こさせる塑性加工を施す工程と
からなることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法において、
前記成形及び焼結する工程は、熱間成形により施されることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法において、
前記成形及び焼結する工程は、パルス通電焼結法により施されることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法において、
前記塑性加工は、押し出し加工、引き抜き加工、回転鍛造加工及び圧延加工から選択される1種、若しくは2種以上の組み合わせであることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。
【請求項9】
請求項5に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法において、
前記マグネシウム合金は、0〜12.0重量%のアルミニウムと0〜5.0重量%の亜鉛と0.5重量%以下のマンガンを含むものであることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。
【請求項10】
請求項5に記載された高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法において、
前記マグネシウム合金は、AZ31系、AZ61系、AZ80系、AZ91系、AZ92系、AM50系、AM60系、及びAM100系から選択されるいずれか1種であることを特徴とする高強度高延性難燃性マグネシウム合金の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図1(e)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図2(e)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図5(e)】
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【公開番号】特開2008−81842(P2008−81842A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224833(P2007−224833)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】