説明

高性能二酸化バナジウム系自動調光材料及び調光材料の性能向上方法

【課題】気温に応じて自動的に太陽光熱を調節し、快適さと冷暖房負荷低減を同時に達成できる多機能自動調光薄膜及びそれを被覆した調光ガラス等であって、調光薄膜の光学定数の制御により更に高性能化を達成した、建築物、車両その他移動体に適用できる新規調光材料や調光窓ガラス等を提供する。
【解決手段】可視光を常に透過するが、環境温度の変化に応じて自動的に主に赤外線の透過率を調節できる二酸化バナジウム系自動調光膜であって、二酸化バナジウム系調光膜に、空孔を導入する及び/又は屈折率の低い透明体材料を混合することによりその屈折率を制御し、反射を抑制することで、可視光透過率や太陽光調節率など調光薄膜の諸性能を高度に向上させた自動調光膜及びそれを利用した製品、及び調光薄膜の性能を高度に向上させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能二酸化バナジウム系自動調光材料及び調光材料の性能向上方法に関するものであり、更に詳しくは、二酸化バナジウム系調光薄膜に、空孔を導入及び/又は透明体材料を混入することにより調光薄膜の屈折率を制御してその光学定数を変えることで、調光薄膜の可視光透過率や太陽光調節率などの調光性能を高度に向上させることを可能とする新規高性能二酸化バナジウム系自動調光材料、該調光材料を被覆した調光ガラス、及び調光フィルム等の調光部材、及び調光材料の調光性能向上方法に関するものである。本発明は、可視光を透過しながら太陽光を環境温度に応じて自動的に調節し、紫外線遮断、熱線反射、更に環境浄化等の多数の機能を高度に集約した建築物や車体の窓用ガラスやフィルムとして、省エネルギー、健康快適、及び環境に優しい新製品への応用及び波及を実現可能にする実用化技術として高い技術的意義を有する高性能二酸化バナジウム系自動調光材料に関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の調光可能な省エネルギー窓ガラスとして、動的に調光を行うガラス、例えば、エレクトロクロミック(EC:電圧の印加により可逆的に着色と消色を繰り返す)ガラスや、ガソクロミック(GC:水素ガスの導入により着色と消色を繰り返す)ガラスが研究されている。しかし、それらの窓ガラスでは、高い調光能力を持つものの、構造が複雑であり、結局高価になったり、また、調光するためには追加の設備(電圧印加系やガス導入系)が必要であったりするなど、なかなか普及できない欠点がある。
【0003】
最も普及している省エネガラスの市販品として、Low−Eガラスが挙げられる。このガラスは、金属薄膜と誘電体薄膜から構成される多層薄膜系もしくは透明導電体薄膜系によって、可視光を透過させるが、赤外線を大きく反射する。従って、このガラスは、夏の日射遮蔽や冬の赤外輻射の反射による断熱性の向上により快適性と省エネの両方で働く。しかし、これらのガラスは、高日射遮蔽性による夏の冷房負荷低減や、高断熱性による冬の暖房負荷低減に有効である一方、薄膜系の光学特性が一定であるため、夏でも冬でも太陽熱エネルギーの取り込み量は一定であり、季節の変化や居住者の需要に応じて太陽熱の取得量が変化する機能はない。従って、この種の製品は、地域によって、夏の冷房負荷低減を重視するか、冬の暖房負荷低減を重視するかを区別して使用するしかなかった。
【0004】
一方、二酸化バナジウム(VO)結晶は、68℃で半導体・金属相転移によりサーモクロミック(温度による光特性の可逆な変化)特性を示し、また、タングステン(W)などの金属元素の添加で、転移温度を室温まで好適に下げることが知られている。二酸化バナジウム系材料は、その光学特性の温度変化を利用して、環境温度のみで自律的に太陽光を調節できる窓コーティング材料として研究されている(非特許文献1)。二酸化バナジウム系調光ガラスについては、構造が非常に簡単な上、環境温度の変化によって、自然に、且つ自動的に調光を行うため、余分な作動設備を必要としない。
【0005】
ここで、本発明では、二酸化バナジウム系の定義としては、二酸化バナジウム単一化合物、又は周知の知識により元素添加したもの、例えば、転移温度制御のための金属元素、非金属元素、又はそれらの任意の組み合わせにより元素添加したものが全て含まれる(非特許文献1、特許文献1、2)。
【0006】
二酸化バナジウムによるサーモクロミック調光ガラスの研究に関する先行技術として、例えば、本発明者らの製造技術(特許文献3、4)、サーモクロミック体及びその製造方法(特許文献5)、及びその他(特許文献6、特許文献1、特許文献7、特許文献2)等により、その製造法や転移温度制御のための元素添加法などが提案されている。
【0007】
従来型の二酸化バナジウム系サーモクロミック調光材料には、(1)もともと可視光を含め短波長での強い吸収により可視光透過率が小さいこと、(2)常温輻射熱に対する反射率が小さく断熱性に乏しいこと、(3)バナジウム酸素系の相図が非常に複雑で、二酸化バナジウム単一相薄膜の形成が非常に難しく、特に、単一相大面積、且つ光学的均一被膜が極めて困難であること、(4)工業生産に適切な二酸化バナジウム薄膜の形成法、特に効率の高いDCスパッタ法による工業生産が確立されていないこと、更に、(5)二酸化バナジウム系薄膜の固有吸収による強い黄色着色の問題があること、などの点で実用化には極めて困難な問題があった。
【0008】
そこで、本発明者が、長年にわたって二酸化バナジウム系薄膜による自動調光ガラスの研究を絶えず励行してきた結果、以上の問題点のいくつかを解決することができた。例えば、新しい複層構造を創出することにより、可視光透過率が大きく向上し、それと同時に、紫外線完全カット、熱線反射機能の強化、及び光触媒効果等の複数の機能の追加により、付加価値の高いガラスを開発している(特許文献8、特許文献9)。
【0009】
また、二酸化バナジウム系薄膜の形成の困難性について、構造テンプレート設計により断熱効果を飛躍的に向上させるとともに、二酸化バナジウム系調光膜を今までになく低い基板温度で、大面積、且つ光学的に均一に形成する有効な製造方法等を開発している(特許文献9)。しかし、これまでの本発明者の発明を含む研究開発による大きな進歩にもかかわらず、(1)可視光透過率が低い、(2)二酸化バナジウム系調光膜の強い黄色着色、その消去や色調調和、(3)工業生産にも適切な製造方法、及び、(4)最も適切な使い道、すなわち製品化、などの課題は、依然として解決しておらず、これらが、当材料の実用化に大きな障害となっていた。
【0010】
しかし、以上の問題点は、本発明者による最近の研究により解決されることに至った。すなわち、市販の建築物や自動車等の遮光やプライバシー保護をするための濃色遮光ガラスの例に鑑みて、従来のサーモクロミック調光ガラスの弱点、すなわち、可視光透過率が低いという特性を、優れた遮光特性として発想を逆転させて利用し、更に、今まで解決され得なかった、二酸化バナジウム薄膜の最大の問題である強い黄色着色の問題を、補色原理に基づいて解決し、着色物質や着色基材を活用することによって、ガラスの色調を自由に調和できるようにすることに成功した。
【0011】
そして、そのことで、本発明者は、夏には過剰の日射熱の遮蔽、冬には日射熱の導入、そして、それらの機能を環境温度により自動的に行うことができる、また、好みや環境の外装によって色調が自由に選べる、更に、多数の機能を追加できるガラス製品に関する新技術を提案した。すなわち、自動調光、色調調和、紫外線カット、断熱、快適照度、プライバシー保護等の多彩な機能を持ち合わせたガラス、特にその可視光透過率が70%以下と低く、建築物、車両その他移動体の窓ガラスに、省エネルギー、健康快適、プライバシー保護、及び色調調和機能などをともに持つ、全く新規なガラス製品及びその製造法を提案することができた(特許文献10)。
【0012】
以上のように、本発明者の研究による一連の成果により、二酸化バナジウム系の緻密な単一相薄膜による多層薄膜構造において、可視光透過率、及び太陽光調光率などの調光ガラスの特性をほぼ最大限に近づけることができ、実用化可能なまでの特性を得ることができた。これまでに行われてきた緻密な酸化バナジウム薄膜を用いた調光ガラスの研究について、本発明者の一連の研究成果により、単層及び特に複層系において、ほぼ最大限に可視光透過率・太陽光調節率などの優れた性能が達成されたものと認識される。
【0013】
しかし、製品の市場化を実現するためには、大面積の調光薄膜の形成技術の確立が不可欠であると同時に、より一層の快適さ及び省エネ効果が得られるようにするためには、可視光透過率・太陽光調節率の更なる増大が求められる。それにもかかわらず、今まで、可視光透過率・太陽光調節率を更に向上させるための方法及び手段がなかったというのが実情である。
【0014】
【特許文献1】特開昭50−50294号公報
【特許文献2】特表2002−516813号公報
【特許文献3】特許第2735147号明細書
【特許文献4】特許第2600117号明細書
【特許文献5】特開2000−137251号公報
【特許文献6】特開2000−273619号公報
【特許文献7】特開平8−40749号公報
【特許文献8】特開2004−004795号公報
【特許文献9】特開2003−094551号公報
【特許文献10】特願2005−076377号
【非特許文献1】S.M.Babulanam,T.S.Eriksson,G.A.Niklasson and C.G.Granqvist:Solar Energy Matrials, 16(1987)347
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような状況の中で、本発明者が長年にわたって二酸化バナジウム調光薄膜に関して鋭意研究や実験を行った結果、そして、窓ガラスに関する知識、及び光学基礎知識を活用して、二酸化バナジウム系調光層をはじめ、調光ガラスを構成する複数物質の層の屈折率の制御技術を創出し、理論計算、構造設計、薄膜形成、更に実測を積み重ねることで、今まで最大級の可視光透過率や調光特性が得られることを実証し、本発明に至った。本発明は、二酸化バナジウム系調光薄膜に、空孔(porosity)を導入及び/又は屈折率が小さい透明体材料(n<3.0)を混入することにより、調光薄膜の屈折率を制御することで、可視光透過率や太陽光調節率などの調光性能を高度に向上させることを可能にする、高性能二酸化バナジウム系自動調光材料に関する新技術・新製品を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)二酸化バナジウム系調光材料に、空孔(porosity)を導入及び/又は透明体材料を混入することにより、調光材料の屈折率を制御することで調光性能を向上させたことを特徴とする高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
(2)二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入し、その体積空孔率が2〜98%の範囲にある、前記(1)記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
(3)二酸化バナジウム系薄膜に、二酸化バナジウム系薄膜より屈折率が小さい(n<3.0)透明体材料を少なくとも1種類以上混入し、透明体材料の体積分率が5〜95%の範囲にある、前記(1)記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
(4)二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入及び/又は透明体材料(n<3.0)を混入することにより、薄膜の等価光学定数(n)を、緻密な二酸化バナジウム材料の理論値(n=3.0)より小さく制御することで高性能を達成した、前記(2)又は(3)記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
(5)空孔及び/又は透明体材料が、二酸化バナジウム系薄膜に均一及び/又は不均一(傾斜等)分布している、前記(2)又は(3)記載の高性能自動調光材料。
(6)反射防止及び/又は多機能化のために、少なくとも1層以上の透明体薄膜が更に付加されている、前記(1)から(5)のいずれかに記載の高性能自動調光材料。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料を被覆したことを特徴とする高性能自動調光部材。
(8)調光部材が、上記高性能二酸化バナジウム系自動調光薄膜をガラスに被覆した調光ガラスである、前記(7)記載の高性能自動調光部材。
(9)調光部材が、上記高性能二酸化バナジウム系調光薄膜をフィルムに被覆した調光フィルムである、前記(7)記載の高性能自動調光部材。
(10)二酸化バナジウム系調光材料に、空孔を導入及び/又は透明体材料(n<3.0)を混入することにより、調光材料の等価光学定数を制御することで可視光透過率及び/又は太陽光調節率の調光性能を向上させることを特徴とする調光性能向上方法。
【0017】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、二酸化バナジウム系調光材料に、空孔(porosity)を導入及び/又は透明体材料を混入することにより、調光材料の屈折率を制御することで調光性能を向上させた高性能二酸化バナジウム系自動調光材料の点に、特徴を有するものである。本発明では、二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入し、その体積空孔率を2〜98%の範囲にすること、二酸化バナジウム系薄膜に、二酸化バナジウム系薄膜より屈折率が小さい(n<3.0)透明体材料を少なくとも1種類以上混入し、透明体材料の体積分率を5〜95%の範囲にすることを好ましい実施の態様としている。
【0018】
また、本発明では、二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入及び/又は透明体材料(n<3.0)を混入することにより、薄膜の等価光学定数(n)を、緻密な二酸化バナジウム材料の理論値(n=3.0)より小さく制御することで高性能を達成することができる。また、本発明では、空孔及び/又は透明体材料を、二酸化バナジウム系薄膜に均一及び/又は不均一(傾斜等)分布させることができる。本発明で、不均一(傾斜等)分布させるとは、傾斜分布やランダム分布のように不均一に分布させることを意味する。また、本発明では、反射防止及び/又は多機能化のために、少なくとも1層以上の透明体薄膜を更に付加することができる。本発明において、調光材料に空孔を導入するとは、気孔を形成することを意味する。また、本発明において、透明体材料を混入するとは、透光性材料や光の吸収がほとんどないか又は少ない適宜の材料を混入することを意味する。しかし、透光性、透明性の材料と同等ないし類似の材料でVOの屈折率を小さくできるものであれば任意に使用することができる。
【0019】
次に、本発明の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料について説明する。
(1)表面の反射と屈折率
光が屈折率の異なる物質の界面に入射すると、その界面において光の反射が生じる。例えば、光が屈折率1の空気を通してガラス基板又は薄膜の表面に到達したとき、その表面に反射光が見られ、反射光の強さが基板や薄膜の屈折率に関係している。光が、屈折率が1である空気から屈折率がnの基板又は薄膜の表面に垂直入射する場合を考えると、その表面でのエネルギー反射率Rは、フレネルの式で、次のように表される。
R = {(1−n)/(1+n)} (1)
【0020】
すなわち、表面からの反射の強さが、物質の屈折率nに関係し、明らかに、nの値が小さいほど表面の反射が抑制されることになる。例えば、nがSiO(n≒1.5)の場合、Rが0.04となる。すなわち、薄膜の場合の干渉効果等を考慮しない場合、約4%の光が表面で反射されることになる。ここで、nがVO(n≒3.0)の場合、Rが0.25となり、約25%の光が表面で反射されることとなってしまう。
【0021】
物質系が透明体(吸収がない)と仮定する場合、光の総エネルギーが通過する前後に変化がなく、すなわち、透過率をTとすると、T+R=1となる。すなわち、調光薄膜と基板で構成される薄膜系において、VOの屈折率を小さくなるように制御することで、VO膜の表面反射を抑制することができ、相当の透過率の増加が期待される。
【0022】
このように、本発明では、調光薄膜のVOの屈折率を小さくした上で、必要により、更に多層構造による反射防止を施し、VO調光ガラスの可視光透過率・太陽光調節率が低い欠点を大きく改善し、今までなかった優れた特性を創出することができることが重要な知見として得られた。
【0023】
(2)複合物質薄膜の屈折率
一般に、薄膜中にミクロな空孔などが含まれたり、複数の物質からなる混合体であったりする場合、ミクロの構造が波長よりも十分小さい場合には、有効媒質理論を用いて、見かけ上に等価な均質な光学薄膜として取り扱うことができ、光学定数を求めることができる(「薄膜・光デバイス」吉田貞史 矢嶋弘義著 東京大学出版社 1994年9月20日初版、第34頁)。
【0024】
本発明では、薄膜の構造制御によって、例えば、空孔率を増やしたり、屈折率の低い誘電体物質との複合体を形成したりすることなどにより、VO調光層の屈折率を減らす方向へ有利に、且つ高精密に制御することができる。複数物質の混合物からなる薄膜系の等価な光学定数を求めるには、例えば、Lorentz−Lorenz理論、Maxwell−Garnet理論、Drude理論、又は有効媒質近似理論(effective media approximation expression;EMA or Burggeman expression)等、幾つかの方法を使うことができる。
【0025】
更に、最も便利な方法として、複合材料薄膜系の光学定数測定でたびたび証明されている、下記の簡単な形を持つ線形近似法(式2)を使用することができる。[1)A.Feldman,E.N.Farabaugh,and W.K.Haller:J.Vac.Sci.Technol.A4(6)(1986)pp.2969−2974、2)K.Kinosita and M.Nishibori:J.Vac.Sci.Technol.6(1969)pp.730−733、3)B.J.Pond,J.I.DeBar,C.K.Carniglia, and T.Raj:Appl.Opt.28(1989)pp.2800−2805]
n = Σ f (2)
【0026】
ここで、nは複合系の等価屈折率、n及びfはそれぞれ物質iの屈折率及び体積分率である。本発明では、二酸化バナジウムの屈折率を構造制御や他の材料との複合化により小さくし、制御することができる。
【0027】
(3)二酸化バナジウム系薄膜の屈折率の制御
本発明において、VO薄膜の屈折率を適切に下げるためには、薄膜制作中に構造制御を加えること、具体的には、1)薄膜中に空孔(Porosity、n=1)を導入すること、2)他の誘電体等の透明物質と複合すること、が必要とされる。すなわち、構造制御や複合化により屈折率が制御されたVO調光薄膜、そして、任意の構成として、更に反射防止や他の機能性複層薄膜を形成することが本発明の最も重要なポイントであり、それにより、従来の緻密なVO系単一相薄膜からなる調光ガラスの限界に近い可視光透過率・太陽光調節率を更に増加させることが実現可能となる。本発明において、薄膜構造の制御による屈折率の制御方法としては、次の方法が例示される。
【0028】
1)薄膜構造への空孔の導入
スパッタ法による成膜の場合を例に説明すると、一般的なスパッタ薄膜の構造モデル(J.A.Thornton:J.Vac.Sci.Technol.11(1974)666)によれば、スパッタ薄膜の構造(空孔率)制御が、基板温度とスパッタ圧力又は基板バイアスなど、基板に到達するスパッタ粒子の移動度を調節することにより達成される。一例として、本発明者らの研究が挙げられ、空孔率とスパッタ圧力及び基板バイアスの関係が明らかにされている(P.Jin,S.Nakao,S.Tanemura,S.Maruno:Thin Solid Films 271(1995)19)。すなわち、この文献では、(TiZr)Nスパッタ薄膜において、全圧及び基板バイアスにより、薄膜の空孔率をややマイナス(過緻密)から2割以上制御できることが示されている。
【0029】
スパッタプロセスを例として説明したが、本発明は、いかなる他の成膜法による気孔の形成法をも排除するものではない。例えば、文献記載の方法により、例えば、真空蒸着により空孔率を更に85%以上にすることも可能である(K.Robbie,L.J.Friedrich, and S.K.Dew,T.Smy,M.J.Brett:J.Vac.Sci.Technol.A13(1995)1032)。
【0030】
2)複合・混合薄膜の作製
例えば、スパッタ法では、複数ターゲットによる同時スパッタ、複数材料の混合・複合物ターゲットによるスパッタ、或いはスパッタと他の成膜法、例えば、真空蒸着法等による同時、或いは交替使用による方法などが挙げられる。しかし、本発明では、いかなる他の成膜法による複合薄膜の形成法をも排除するものではない。その他、任意の複合・混合薄膜を作製する方法として、文献記載の方法(例えば、藤原史郎編、石黒浩三/池田英生/横田英嗣著、「光学薄膜」第9章、共立出版社、1986年10月)を適宜応用することができる。
【0031】
次に、空孔率50%としたVO薄膜の可視光透過率及び太陽光調光率について説明する。すなわち、例えば、エリプソメトリを用いて二酸化バナジウム緻密薄膜の屈折率の決定を行うことができる。更に、低温半導体相と高温金属相の屈折率を求めるために、試料温度の制御を行い、例えば、低温半導体相の測定は20℃で、高温金属相の測定は90℃で行う。他の透明導電体や酸化チタンなど関連物質の光学定数をエリプソメトリで決めることができる。
【0032】
本発明では、薄膜の光学定数を使って光学計算を行うことができる。光学計算には、特性マトリックス(Transfer−Matrix)法を使用できる。薄膜及びガラスの光学定数を使って、透過及び反射スペクトルが形成される。自作プログラムにより最適化し、性能の最も高い多層薄膜の構造及び厚さを求めることができる。性能を求めるとき、例えば、可視光透過率は、透過スペクトルを明所視標準比視感度曲線上で積分した値を、同じく太陽光透過率は透過スペクトルを太陽光スペクトルAM1.5上で積分した値を使うことが好適である。
【0033】
薄膜作製には汎用型マグネトロンスパッタ装置が用いられる。当該装置には、例えば、カソード3基まで配置でき、それぞれに高周波電源又は直流電源で任意に電力制御ができる。基板が回転でき、基板温度が室温から800℃まで精密に設定される。例えば、真空系を2.5×10−6Pa以下に排気した後、アルゴン及び酸素ガスを導入して成膜が行われる。基板温度を室温から500℃までの範囲に設定し、基板として、石英ガラス、シリコン単結晶、サファイア、耐熱ガラスなどが使用される。好適には、例えば、ターゲットは、直径5センチのものを使い、約12センチ離れた基板に薄膜が堆積される。基板の大きさは、1センチ角のものと2.5センチ角のものを使用することが例示されるが、これらに制限されるものではない。
【0034】
光学計算から求めた最適構造の幾つかが、上述のスパッタ法により基板上に形成される。本発明の実施例では、石英ガラス基板上に形成した薄膜を、温度制御可能な分光光度計を用いて、20℃(二酸化バナジウム系半導体相)及び80℃(同金属相)での分光透過率、同反射率を測定した。更に波長2000nmの透過率の温度変化を取り、透過率・温度曲線から材料の調光温度を決めた。それらについては、後記する実施例で具体的に説明する。
【0035】
本発明では、上記高性能二酸化バナジウム系自動調光材料をガラス又はフィルムの表面に被覆することで高性能調光ガラス又は調光フィルムを構築することができる。この場合、上記ガラス又はフィルムは特に制限されるものではなく、本発明は、適宜の種類、形状及び構造のガラス又はフィルムに適用することができる。それにより、可視光透過率、太陽光調節率を任意に制御した調光ガラス又は調光フィルムを構築し、提供することが実現できる。
【0036】
本発明により、例えば、建築物、車両その他移動体の窓ガラス、特に省エネルギー、健康快適、及び環境保護など複合的に機能するガラスの性能を向上させる方法及びその材料を提供することが実現できる。本発明は、ガラス等の透明又は透光性基材に被覆する調光薄膜において、可視光が常に透過するが、主に赤外線が環境温度の変化に応じて自動的に透過率を調節できる二酸化バナジウム系自動調光膜に、空孔の導入や屈折率の低い透明体材料の混入により複合化することにより、屈折率を適切に制御し、表面反射を最大限に抑制することで、可視光透過率や太陽光調節率などの調光性能を高度に向上させた自動調光膜及び自動調光ガラス、及び二酸化バナジウム調光材料の性能を高度に向上できる方法を提供するものであり、それにより、建築物や自動車などの移動体に、省エネルギー、健康快適、及び環境に優しい新しい高性能調光材料や調光ガラスを適用することを実現可能とするものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)二酸化バナジウム系自動調光材料において、その屈折率を制御することで、該調光材料の調光性能を高度に向上させることができる。
(2)二酸化バナジウム系調光膜に、空孔を導入及び/又は屈折率の低い透明体材料を混入して複合化することにより、屈折率を制御した調光膜を提供できる。
(3)光の反射を抑制して、可視光透過率や太陽光調節率などの調光薄膜の諸性能を高度に向上させた二酸化バナジウム系調光膜を提供できる。
(4)調光薄膜の光学定数の制御により、調光薄膜の性能を向上させることで、可視光透過率・太陽光調節率を大幅に向上させた調光薄膜製品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
ガラス基板と空孔を含むVO薄膜系(VO+Air on glass)複合材料:
(1)屈折率
上述の式(2)により空孔を含めたVO薄膜のスペクトル屈折率を計算した。ただし、空孔の屈折率を空気のものと見なした。その結果は、次の通りであった。ただし、屈折率を波長588nmの値で表す。
空気の屈折率:n=1、k=0
緻密なVO薄膜半導体相(VO100%)の屈折率:n=3.04、k=0.383(測定値)
式(2)によって空孔を含めた複合薄膜の屈折率を計算した。一例として、空孔が50%含まれるVO薄膜(VO 50%:Air 50%)の半導体相の屈折率は、式(2)により、n=2.02、k=0.192である。
【0040】
(2)空孔を50%まで含めたVO薄膜の透過率
空孔を50%まで含めたVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率及びそれらの差の膜厚依存性を光学計算により算出した。その結果を図1に示す。そこでは、Tlum:可視光分光透過率;Tsol:太陽光分光透過率;s:半導体相;m:金属相;delta:半導体相と金属相との透過率の差、である。
【0041】
比較例1
ガラス基板と空孔を含まないVO薄膜系(VO 100% on glass)材料:
空孔を含まないVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率、及びそれらの差の膜厚依存性を図2に示す。図1と図2は、質量膜厚を一致させることでより直感的に比較できる。すなわち、空孔率50%含むVO薄膜の見かけ上の厚さが、質量膜厚として空孔を含まないVO薄膜の値の丁度半分であるため、横軸の長さのスケールを倍にすることで並べることができる。これらの図より、全ての膜厚に対して、空孔を含むVO薄膜系の可視光透過率・太陽光透過率、及びそれらの差は、空孔を含まないVO薄膜系よりはるかに高いことが明らかである。
【0042】
具体的には、空孔を含まない厚さ50nmのVO薄膜系において、半導体相の可視光透過率が32%であるのに対して、空孔を50%含む厚さ100nmのVO薄膜系の可視光透過率が52%であり、可視光透過率が62%以上増加した結果となった。同様に、太陽光調光の能力(太陽光領域における半導体相と金属相の透過率の差で、図の灰色影部分で表す)が、図1の空孔を50%含むVO薄膜系の方が、図2の空孔を含まないVO薄膜よりはるかに高いことが分かった。
【実施例2】
【0043】
ガラス基板とSiOを含むVO複合体薄膜系(VO40%+SiO60%)材料:
(1)屈折率
式(2)によりSiOを混在させたVO薄膜のスペクトル屈折率を計算した。その結果は、次の通りであった。ただし、波長588nmの値で表す。
緻密なVO薄膜半導体相(VO100%)の屈折率:n=3.04、k=0.383(測定値)
緻密なSiO薄膜(SiO100%)の屈折率:n=1.52、k=0(測定値)
式(2)によってSiOを含むVO複合薄膜の屈折率の計算を行った。その結果、一例として、SiOを60%含むVO複合薄膜(VO 40%:SiO60%)の半導体相の屈折率の値は、n=2.12、k=0.156であった。
【0044】
(2)SiOを60%含めたVO薄膜の透過率
SiOを60%含めたVO薄膜の可視光及び太陽光透過率、及びそれらの差の膜厚依存性について光学計算を行った。その結果を図3に示す。空孔を含まないVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率、及びそれらの差の膜厚依存性を示す図2と比べると、空孔を50%含めたVO薄膜の結果(図1)と同じように、屈折率の値を小さくすることで、極めて大きな可視光透過率・太陽光調光率の増加が確認された。
【実施例3】
【0045】
ガラス基板上に形成された、SiOを含むVO複合体薄膜(VO40%+SiO60%)、厚さ175nm(VO質量膜厚70nm相当)を、2層の透明体材料や誘電体薄膜で挟む構造系について、系の可視光透過スペクトルを計算し、半導体相及び金属相のそれぞれを赤い曲線として図4に示す。そこでは、T_s:半導体相の分光透過率;T_m:金属相の分光透過率。また、調光能力(半導体相と金属相の透過率の差)を赤い影で図5に示す。ただし、透明体層を屈折率n=1.75、k=0の同一物質としたが、状況によって、他に適切な値にすることができるのは言うまでもない(光学計算過程が省略される)。
【0046】
また、透明体材料や誘電体層の屈折率を、空孔及び/又は複合材料により任意制御できることは言うまでもない(任意の屈折率を作成する方法として、例えば、藤原史郎編、石黒浩三/池田英生/横田英嗣著、「光学薄膜」第9章、共立出版社、1986年10月)。また、透明体材料や誘電体の層の数、及び所用材料の選択を制限するものではない。
【0047】
比較例2
ガラス基板上に形成された、VO薄膜(VO100%、70nm)を、2層の誘電体反射防止薄膜(AR)で挟む複層構造系について、系の可視光透過スペクトルとして、半導体相及び金属相のそれぞれを青い曲線で図4に示す。また、調光能力(半導体相と金属相の透過率の差)を青い影として図5に示す。
【0048】
ただし、このVO膜厚の場合、太陽光調光率が最大になるように反射防止の誘電体膜の屈折率を最適値(約n=2.2)で選び、また、その膜厚は光学設計により最適化された構造である。すなわち、70nm厚さの緻密なVO薄膜に対して、反射防止膜の厚さを変化させて太陽光調光率を求め、その値からほぼ最大値に当たる構造を選んだ。すなわち、これらは、最適構造でさえ、太陽光調光率等の調光ガラスの特性をこれ以上に向上させることが困難であることを意味する。
【0049】
また、実施例3と比較例2のVO層の質量膜厚が同じであることが明らかである。上記実施例3と比較例2を比べると、前者の方が、可視光透過率、太陽光調光率がともに優れていることが明らかである。特に、緻密なVO薄膜を使った多層構造において、それ以上上げるのは非常に困難とされてきた太陽光調光率(図5にある青の影部分)を、SiOと複合させることでVO薄膜の屈折率を制御することにより、更に大きく向上させることに成功したことを強調したい。
【実施例4】
【0050】
スパッタ法で全圧制御によるVO薄膜の空孔率/可視光透過率制御
二酸化バナジウム(純度99.5%、直径50mm、厚さ5mm)化合物ターゲットを使って、アルゴンガス中にスパッタすることで、また、全圧を制御することで、空孔を含む二酸化バナジウム薄膜を作製した。バックグランドの真空度2×10−6Paにしてから、アルゴンガスを導入し、基板温度400−600℃、RF電力100Wなどの他の条件を一定にしながら、全圧を0.1Paから10Paまで変化させてスパッタ成膜を行い、石英ガラス、耐熱ガラス、シリコン単結晶及びサファイア単結晶基板上に二酸化バナジウム薄膜を約100nm厚さで(質量薄膜)形成した。
【0051】
図6に、二酸化バナジウム薄膜の透過率スペクトルの全圧依存性を示す。図6に示すように、全圧の増加に従い、基板上に到達するまでの衝突回数の増加とともにスパッタ粒子のエネルギーが低下し、影効果により薄膜の内部に空孔が増加することにより、可視光透過率が増加した。これにより、理論計算の結果が実験で証明された。図7に、一例として、高い全圧で異なる基板上に作製した酸化バナジウム薄膜の透過電子顕微鏡(表面、断面)写真を示す。粒子の間に気孔が多く含まれることが分かる。
【実施例5】
【0052】
バックグランドの真空度2×10−6Pa、アルゴン流量30sccm、全圧0.6Pa、基板温度200−600℃、RF電力100Wの条件で、VO薄膜のスパッタによる形成を行った。また、二酸化バナジウムターゲットに対してRF電力を100Wと一定にし、酸化チタンターゲット(TiO99.9%)に対してRF電力を変化させながら、同時、又は交替スパッタすることにより、石英ガラス、耐熱ガラス、シリコン単結晶及びサファイア単結晶基板上に酸化チタンを含む二酸化バナジウム薄膜を作製した。
【0053】
酸化チタンターゲットに対してRF電力を変化させて形成した、酸化チタンを混合した二酸化バナジウム薄膜の分光透過率(20℃半導体相のみ)の変化を図8に示す。明らかに、二酸化バナジウム(n=3.04半導体相)に酸化チタン(n=2.2)を混入することにより、複合体薄膜の屈折率が低下し、その結果として、可視光透過率の大きな増加につながることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上詳述したように、本発明は、高性能二酸化バナジウム系自動調光材料に係るものであり、本発明により、二酸化バナジウム系自動調光材料の屈折率を制御して、その光学定数を調節することにより、可視光透過率や太陽光調節率などの調光材料の諸性能を高度に向上させることが可能であり、それにより、調光特性を大幅に向上させた高性能二酸化バナジウム系自動調光材料を提供することが実現できる。本発明は、二酸化バナジウム系自動調光材料の調光性能を、その屈折率を制御することで高度に向上させる新技術及びそれに基づく新製品を提供するものであり、例えば、二酸化バナジウム系自動調光ガラスの実用化のプラットホーム技術を提供するものとして高い技術的意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】空孔を50%まで含めたVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率及びそれらの差の膜厚依存性の光学計算による算出結果を示す。
【図2】空孔を含まないVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率及びそれらの差の膜厚依存性の光学計算による算出結果を示す。
【図3】SiOを60%含めたVO薄膜の半導体相、金属相の可視光及び太陽光透過率及びそれらの差の膜厚依存性の光学計算による算出結果を示す。
【図4】実施例3の構造系の可視光透過スペクトルを計算し、半導体相及び金属相のそれぞれを赤い曲線として示す。
【図5】実施例3の構造系の調光能力を赤い影で示す。
【図6】実施例4の二酸化バナジウム薄膜の透過率スペクトルの全圧依存性を示す。
【図7】実施例4の酸化バナジウム薄膜の透過電子顕微鏡(表面、断面)写真を示す。
【図8】実施例5の酸化チタンを混合した二酸化バナジウム薄膜の分光透過率(20℃半導体相のみ)の変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化バナジウム系調光材料に、空孔(porosity)を導入及び/又は透明体材料を混入することにより、調光材料の屈折率を制御することで調光性能を向上させたことを特徴とする高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
【請求項2】
二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入し、その体積空孔率が2〜98%の範囲にある、請求項1記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
【請求項3】
二酸化バナジウム系薄膜に、二酸化バナジウム系薄膜より屈折率が小さい(n<3.0)透明体材料を少なくとも1種類以上混入し、透明体材料の体積分率が5〜95%の範囲にある、請求項1記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
【請求項4】
二酸化バナジウム系薄膜に、空孔を導入及び/又は透明体材料(n<3.0)を混入することにより、薄膜の等価光学定数(n)を、緻密な二酸化バナジウム材料の理論値(n=3.0)より小さく制御することで高性能を達成した、請求項2又は3記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料。
【請求項5】
空孔及び/又は透明体材料が、二酸化バナジウム系薄膜に均一及び/又は不均一(傾斜等)分布している、請求項2又は3記載の高性能自動調光材料。
【請求項6】
反射防止及び/又は多機能化のために、少なくとも1層以上の透明体薄膜が更に付加されている、請求項1から5のいずれかに記載の高性能自動調光材料。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の高性能二酸化バナジウム系自動調光材料を被覆したことを特徴とする高性能自動調光部材。
【請求項8】
調光部材が、上記高性能二酸化バナジウム系自動調光薄膜をガラスに被覆した調光ガラスである、請求項7記載の高性能自動調光部材。
【請求項9】
調光部材が、上記高性能二酸化バナジウム系調光薄膜をフィルムに被覆した調光フィルムである、請求項7記載の高性能自動調光部材。
【請求項10】
二酸化バナジウム系調光材料に、空孔を導入及び/又は透明体材料(n<3.0)を混入することにより、調光材料の等価光学定数を制御することで可視光透過率及び/又は太陽光調節率の調光性能を向上させることを特徴とする調光性能向上方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−171759(P2007−171759A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371750(P2005−371750)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】