説明

高感度蛍光分析のための検出システム及び方法

【課題】蛍光分析において蛍光信号を測定する検出システムを提供すること。
【解決手段】このシステムは,蛍光標識と結合された小感知面を有するプローブと,基材の感知面に近い側にどちらも取り付けられた光源及び検出器とを備える。本発明はまた,小表面(≦5mm)を有するプローブチップを用いて,液体標本内の分析物を検出する方法と,複数の結合分子及び複数の蛍光標識を有する高分子量重合体(≧1MD)と,にも関する。結合反応は,反応溶液を横方向に流動させ,プローブチップを反応容器内で上下させることによって加速される。本発明は更に,複数の結合分子及び複数の蛍光標識を有する架橋フィコールを含む蛍光標識混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,蛍光分析(assay)における蛍光信号(signal)を測定する検出システムに関する。このシステムは,蛍光標識(label)と結合された感知面を有するプローブと,基材の感知面に近い側にどちらも取り付けられた光源及び検出器とを備える。本発明はまた,小表面を有するプローブを用いて,液体標本内の分析物を検出する方法と,複数の結合分子及び複数の蛍光標識を有する重合体と,にも関する。本発明は更に,複数の結合分子及び複数の蛍光標識を有する架橋多糖類バックボーン分子を含む蛍光標識混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫分析(immunoassay)システムの開発においては,多くの性能要求条件を満たす必要がある。分析は,サブピコグラムからナノグラムの非常に低いレベルで分析物を検出するために十分高感度でなければならない。看護状況の点で患者管理のために時を得た結果を提供し,バッチ分析器のスループット要求条件を満たすために,総分析時間は15分以下でなければならない。いくつかの場合において,結果を得る応答時間及び試験費用を最小化するために,同一の標本について複数の分析を同時に行う分析物パネルが有利である。
【0003】
多くの免疫分析は蛍光標識を用いる。なぜならば,そのような標識には多くの実践的利点があるからである。酵素に比べ,蛍光標識はずっと安定であり,追加の基質試薬を必要としない。多分析物パネルに関して,蛍光標識は,共通反応室(chamber)内で分離した結合ゾーンを利用できるようにする。なぜならば,隣接する結合ゾーンからの干渉を受けずに,各結合ゾーンを順に蛍光励起して発光を測定することができるからである。しかし,蛍光標識を用いる分析は,主に,酵素が基質を触媒的に変化させ,時間と共に多くの生成分子を累積させることができるという理由で,酵素を用いる分析よりも低感度である。
【0004】
アリールスルホン酸塩シアニン蛍光染料は,Mujumdar et al., Bioconjugate Chemistry, Vol.4, pp. 105‐111, 1993と,Southwick et al., Cytometry, Vol. 11, pp. 418‐430, 1990と,米国特許第5,268,486号とに記載されている。上記文献それぞれに記載されているCy5は,FLUOROLINK(登録商標) Cy5(登録商標)の商品名で,Biochemical Detection Systems, Inc., Pittsburgh, Pa.から商業的に入手することができる。アリールスルホン酸塩シアニン蛍光染料は,高消失係数(通常,130,000 l/molから250,000 l/mol)と,良好な量子収量と,ほとんどの生物学的物質及びプラスチックの自己蛍光波長外の範囲(500nmから750nm)における蛍光発光スペクトルと,良好な溶解性と,低い非特定結合特性とを有する。
【0005】
これらの優れた特性にもかかわらず,アリールスルホン酸塩シアニン蛍光染料はある制約を持つ。特にこれらの染料は比較的狭いストークスシフトを有し,染料の励起スペクトラムと発光スペクトラムとの間に大きな重複を生じる。励起スペクトラムと発光スペクトラムとの間の重複は,次に,染料分子が励起された場合,当該染料分子が互いに接近していると,蛍光の自己消光を起こすことがある。このような自己消光は,免疫分析に用いる単一抗体分子に対して抱合(conjugate)することができるアリールスルホン酸塩染料分子の数を制限する。アリールスルホン酸塩シアニン蛍光染料の例であるCy5の場合,ストークスシフトは17nmである(これは励起波長650nmと,発光波長667nmとの差である)。最適な蛍光収量は,単一抗体分子に2個から4個のCy5分子が抱合するときに得られる。蛍光信号出力は,4個を超える染料分子が単一抗体分子に抱合すると,急速に低下する。個々の抗体分子に4個を超える染料分子が抱合できないため,Cy5で標識付けされた抗体及びほかの結合物質を用いた免疫分析の感度は著しく制限される。
【0006】
したがって,蛍光免疫分析によって高感度で分析物を検出する改良された光学検出システム及び改良された方法が必要である。このシステム及び方法は,利用者が容易に扱うことができ,高い特定の信号及び最小の背景ノイズを提供できることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は,プローブチップ上の蛍光信号を測定するための蛍光検出システムに関する。このシステムは,(a)長さ対幅のアスペクト比が少なくとも5対1であるプローブであって,遠端及び近端を有し,該近端は蛍光標識と結合した感知面を有する,プローブと,(b)上記プローブの感知面に直接励起光を放出する光源と,(c)上記感知面に向けられた集光レンズと,(d)上記の放出蛍光光を検出する光学検出器と,を備え,上記集光レンズは上記放出蛍光光を集光して,上記光学検出器へ向ける。
【0008】
本発明はまた,蛍光免疫分析によって分析物を検出する方法にも関する。一実施形態(3ステップ結合)によれば,方法は,(a)プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,上記チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,(b)上記プローブチップを,分析物を有する標本溶液を入れた標本容器に浸し,上記プローブチップを上記標本容器内で上下させ,上記標本容器内の標本溶液を横方向に流動させるステップと(c)結合対の第1要素と抱合させた第2抗体分子を含む試薬溶液を入れた試薬容器に上記プローブチップを浸し,上記プローブチップを上記試薬容器内で上下させ,該試薬容器内の上記試薬溶液を横方向に流動させるステップと,(d)洗浄溶液を入れた洗浄容器に前記プローブチップを浸すステップと,(e)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む増幅溶液を入れた増幅容器に上記プローブチップを浸し,上記プローブチップを上記増幅容器内で上下させ,上記増幅容器内の増幅溶液を横方向に流動させて,上記プローブチップ上に,上記分析物と,上記第1抗体と,上記第2抗体と,上記結合対の第1要素及び第2要素との免疫複合体を形成するステップと,(f)第2洗浄溶液を入れた第2洗浄容器に上記プローブチップを浸すステップと,(g)上記プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,上記の形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,上記第1抗体及び上記第2抗体は,上記分析物に対する抗体である。
【0009】
本発明の方法は,(i)分析物分子を結合する小感知面を有するプローブを用いるステップと,(ii)反応容器内で上記プローブチップを上下させて,上記反応容器内の反応溶液を横方向へ流動させるステップと,(iii)複数の結合分子及び複数の蛍光標識と抱合する高分子量重合体を用いるステップと,の独特な組合せによって,高感度を達成する。
【0010】
本発明は更に,(a)少なくとも百万ダルトンの分子量を有する架橋フィコール(Ficoll)と,(b)少なくとも5個の結合分子と,(c)少なくとも25個の蛍光染料分子と,を有する蛍光標識混合物であって,上記結合分子と上記蛍光染料分子とが上記架橋フィコールに付着している混合物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】光学検出システムの第1実施形態を示す図である。
【図2】光学検出システムの第2実施形態を示す図である。
【図3】光学検出システムの第3実施形態を示す図である。
【図4】光学検出システムの第4実施形態を示す図である。
【図5】光学検出システムの第5実施形態を示す図である。
【図6】光学検出システムの第6実施形態を示す図である。
【図7】分析物を検出する2ステップ結合法を示す図である。
【図8】光源及び検出器がどちらもプローブの感知面の反対側に取り付けられている光学検出システムを示す図である。
【図9】プローブが分析物溶液に浸されている光学検出システムの別の視点の図である。
【図10】架橋フィコール400を調製するフローチャートである。
【図11】Cy5‐抗体‐架橋フィコール400を調製するフローチャートである。
【図12】セファロース4B CLクロマトグラフィによってSPDPで標識付けされた架橋フィコール400の溶離パターンを示す図である。
【図13】タンパク質Aを検出する免疫分析フォーマットを示す図であって,Ab:抗体,Ag:抗原(タンパク質A),Sa:ストレプトアビジン,B:ビオチン,F:蛍光標識である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<定義>
本願の特許請求の範囲及び明細書において用いる用語は,次に掲げるものを除き,当業者が理解する通常の意味に従って解釈するものとする。
【0013】
本願において,「約」は記載されている値の±15%以内を指す。
【0014】
本願において,「分析物結合」分子は,分析物分子との特定の結合反応に関係することができる任意の分子を指す。例として,限定するものではないが次のものがある。(i)抗原分子であって,当該抗原に対する特定の抗体の存在を検出するために用いる抗原分子。(ii)抗原の存在を検出するために用いる抗体分子。(iii)タンパク質分子であって,当該タンパク質の結合パートナの存在を検出するために用いるタンパク質分子。(iv)結合パートナの存在を検出するために用いるリガンド。(v)核酸結合分子の存在を検出するための単鎖核酸分子。
【0015】
形状の「アスペクト比」は,当該形状の長辺寸法対短辺寸法の比を指す。
【0016】
「結合分子」は,ほかの注目分子と結合できる分子を指す。
【0017】
本願において,「結合対」は互いに引き付け合い,特に結合する2個の分子を指す。結合対の例として,限定するものではないが次のものがある。抗原及び当該抗原に対する抗体,リガンド及びその受容体,核酸の相補鎖,ビオチン及びアビジン,ビオチン及びストレプトアビジン,並びにレクチン及び炭水化物。好適な結合対は,ビオチン及びストレプトアビジン,ビオチン及びアビジン,フルオレセイン及び抗フルオレセイン,ジゴキシゲニン及び抗ジゴキシゲニン。ビオチン及びアビジンは,ビオチン誘導体及びストレプトアビジンのようなアビジン誘導体を含み,複合結合シーケンスを用いる分析手順(protocol)における中間結合物質として用いてもよい。例えば抗体は,ビオチンによって標識が付けられ(「ビオチン化」され),先行して固相面に固定された対象物質に結合するために用いてもよい。そして,アビジン又はストレプトアビジンを用いる本発明による蛍光混合物を蛍光標識を導入するために用いてもよい。
【0018】
本願において,「固定された」は試薬が固体面に固定されていることを指す。試薬が固体面に固定されているとき,試薬は当該面に非共有結合しているか,共有結合しているかのいずれかである。
【0019】
本願において,「モノリシック基材」は,一つの屈折率を有するガラス,石英又はプラスチックのような固体物質の一片を指す。
【0020】
本願において,「開口数」はシステムが光を受容し,光を放射することができる角度範囲を特徴付ける無次元の数を指す。
【0021】
本願において,「光ファイバ」は長さ方向に光を搬送するガラス又はプラスチックのファイバである。光ファイバは通常,誘電物質(コア物質)と,該誘電物質を取り囲むより低い屈折率を有する別の誘電物質(クラッド)とからなる円形断面誘電導波路である。
【0022】
本願において,「プローブ」は感知側が分析物結合分子の薄膜層で覆われた基材を指す。プローブは遠端及び近端を有する。近端(本願においてはプローブチップとも呼ばれる)は,分析物結合分子の薄膜で覆われた感知面を有する。
【0023】
<蛍光検出システム>
本発明は,プローブチップ上の蛍光信号を測定する蛍光検出システムに関する。本発明は,光源及び検出器双方を,プローブの感知面に近い側に取り付けることによって,検出光学系に入射する不要な反射が減少し,検出効率が向上することを開示している。
【0024】
このシステムは,(a)長さ対幅のアスペクト比が少なくとも5:1であるプローブであって,第1端及び第2端を有し,第2端が蛍光標識と結合した感知面を有するプローブと,(b)プローブの感知面に直接励起光を放射する光源と,(c)感知面に向けられた集光レンズと,(d)発光蛍光光線を検出する光検出器と,を備え,集光レンズは発光蛍光光線を集光して,光検出器に向ける。
【0025】
プローブは,モノリシック基材であってもよいし,光ファイバであってもよい。プローブは,長さ対幅のアスペクト比が少なくとも5:1,好ましくは10:1である,棒状,円筒形,円形,正方形,三角形など任意の形状であってよい。免疫分析の際,プローブは標本溶液及び1又は複数の分析溶液に浸されるため,プローブチップが溶液に浸ることができるように,少なくとも5:1のアスペクト比を有する長いプローブを備えることが望ましい。長いプローブを種々の反応室に移動させることによって,異種の分析を行うことができる。分析の際に試薬及び標本を調合し,吸引することが避けられる。プローブの感知面は,分析物結合分子で覆われ,蛍光標識と結合している。
【0026】
本発明には,蛍光標識に対して適切な励起光を発光することができる任意の光源が適当である。好適な光源は,蛍光標識に適した波長の光を発光できるレーザである。例えば,Cy5蛍光染料に対してはレーザの中心波長が649nmであることが望ましい。発光光を検出するために適した光検出器は,光電子増倍管(PMT),電荷結合素子(CCD)又はフォトダイオードである。
【0027】
光源及び集光レンズを含む光検出器は,プローブチップ面(感知面)と同じ側に取り付けられる。感知面が下を向いているときは,それらは双方ともチップ面より下に取り付けられる。感知面が上を向いているときは,それらは双方ともチップ面より上に取り付けられる。それらはプローブの反対端よりも感知面に近い。感知面は常に集光レンズの開口数以内にある。プローブは集光レンズと中心をそろえてもよいが,必須ではない。
【0028】
図1は第1実施形態を示す図である。光学的に透明な棒(プローブ)は,ガラス又は石英でできている。棒の下端は感知面として用いられる。蛍光標識は感知面に結合されている。蛍光を検出するため,棒の感知端は蛍光発光に最適化された緩衝液を入れた透明底を有する容器に浸される。透明底の材料は,プラスチック,ガラス又は石英から選択してもよい。光検出器及び励起レーザは,容器と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の遠端面に,入射角αで投射されるように配置される。入射角は,棒の開口角θより大きいように設定されている。棒の屈折率は空気よりずっと大きく,緩衝液の屈折率に近いので,入射レーザ光の大部分は棒を通過する。少量のレーザ光は感知面で反射される。いくらかのレーザ光は棒内に結合して,棒の他の端で反射する。α>θのとき,反射光は棒の感知面から射出されて,環状明帯を形成する。この環の中心は,ずっと低い光強度を有する。集光レンズが環の中央に置かれるので,検出光学系に入射する不要な反射が減少する。この反射を更に減少させるため,棒の上端にテーパを付け,一定の粗さになるまで研磨してもよい。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0029】
図2は,容器内に入れられた緩衝液の中ではなく,空中で棒を測定する第2実施形態を示す図である。レーザ及び検出器の構成は第1実施形態に類似しており,光検出システム及び励起レーザは棒と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の感知面に,入射角αで投射されるように配置される。入射角は,棒の開口角θより大きいように設定されている。いくらかの入射レーザ光は棒を通過する。大部分のレーザ光は感知面で反射される。残りのレーザ光は棒内に結合して,棒の上端で反射する。α>θのとき,反射光は棒の感知面から射出されて,環状明帯を形成する。この環の中心は,ずっと低い光強度を有する。集光レンズが環の中央に置かれるので,検出光学系に入射する不要の反射は減少する。この反射を更に減少させるため,棒の上端にテーパを付け,一定の粗さになるまで研磨してもよい。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0030】
図3は,図1の実施形態の透明棒を不透明棒で置き換えた第3実施形態を示す図である。不透明棒の材料は,プラスチック,セラミックス又は金属であってよい。棒の下端は感知面として用いられる。蛍光を検出するため,棒の感知面は蛍光発光に最適化された緩衝液を入れた透明底を有する容器に浸される。透明底の材料は,プラスチック,ガラス又は石英から選択してもよい。光検出器及び励起レーザは,容器と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の感知面に,入射角αで投射されるように配置される。棒は不透明であるため,レーザビームは感知面で反射され吸収される。棒の材料は,励起レーザに対して最小の蛍光を発光することが好ましい。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0031】
図4は,容器内に入れられた緩衝液の中ではなく,空中で不透明棒を測定する第4実施形態を示す図である。不透明棒の材料は,プラスチック,セラミックス又は金属であってよい。棒の下端は感知面として用いられる。光検出器及び励起レーザは,容器と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の感知面に,入射角αで投射されるように配置される。棒は不透明であるため,レーザビームは感知面で反射され吸収される。棒の材料は,励起レーザに対して最小の蛍光を発光することが好ましい。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0032】
図5は,棒の感知面を覆う鏡様薄膜を有する第5実施形態を示す図である。棒は透明でもよいし,不透明でもよい。この鏡様薄膜コーティングは,励起又は発光いずれかの光を反射するために用いられる。鏡面コーティングにはアルミニウム,金又は銀を使うことができる。任意選択で,第1薄膜の上にSiO2でできた第2薄膜をコーティングしてもよい。不透明棒の材料は,プラスチック,セラミックス又は金属であってよい。透明棒の材料は,ガラス,石英又はプラスチックから選択される。蛍光標識は感知面に結合されている。蛍光を検出するため,棒の感知端は蛍光発光に最適化された緩衝液を入れた透明底を有する容器に浸される。透明底の材料は,プラスチック,ガラス又は石英から選択してもよい。光検出器及び励起レーザは,容器と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の感知面に,入射角αで投射されるように配置される。棒の感知面は第1鏡様薄膜で覆われているので,レーザビームは反射角αで反射される。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0033】
図6は,棒の感知面を覆う鏡様薄膜を有するが,測定は空中で行われる第6実施形態を示す図である。棒は透明でもよいし,不透明でもよい。この鏡様薄膜コーティングは,励起又は発光いずれかの光を反射するために用いられる。鏡面コーティングにはアルミニウム,金又は銀を使うことができる。任意選択で,SiO2でできた第2薄膜が第1薄膜の上にコーティングされる。不透明棒の材料は,プラスチック,セラミックス又は金属であってよい。透明棒の材料は,ガラス,石英又はプラスチックから選択される。蛍光標識は感知面に結合されている。蛍光を検出するために,棒の感知面と,光検出システムと,励起レーザは,棒の感知面と同じ側に取り付けられ,集光レンズは感知面より下にある。レーザは,レーザビームが棒の感知面に,入射角αで投射されるように配置される。棒の感知面は鏡様薄膜で覆われているので,レーザビームは反射される。感知面において発光を検出するために,光電子増倍管又はCCDを用いることができる。棒の感知面と集光レンズとの間の距離は,最良の検出効率を得るように調整可能である。
【0034】
図2,4及び6は,レーザ及び光検出器がプローブチップより下に取り付けられているように示されているが,蛍光信号を検出するために,プローブを逆さまにひっくり返し,レーザ及び光検出器を感知面より上に取り付けてもよいことを理解されたい。
【0035】
<蛍光免疫分析による分析物の検出>
本発明はまた,蛍光免疫分析によって,液体標本内の分析物を検出する方法にも関する。本発明は,(i)分析物分子を結合する小感知面を有するプローブを用いるステップと,(ii)プローブチップを反応容器内で上下させて,反応溶液を反応容器の横方向に流動させるステップと,(iii)少なくとも5個の結合分子と,少なくとも25個の蛍光標識とに抱合する高分子量重合体を用いるステップと,の組合せが,検出レベルの感度をpg/mlに改善することを開示している。
【0036】
図7は,本方法の一実施形態を示す図である。この実施形態(2ステップ結合)において,方法は,(a)プローブのチップ(感知面)上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,チップ面の直径は5mm以下であるステップと,(b)プローブチップを,分析物を有する液体標本を入れた標本容器に浸すステップと,(c)プローブチップを標本容器内で上下させ,標本容器内の試薬溶液を横方向に流動させて,第1抗体と分析物を結合させるステップと,(d)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む試薬溶液を入れた試薬容器にプローブチップを浸すステップと,(e)プローブチップを試薬容器内で上下させ,試薬容器内の試薬溶液を横方向に流動させて,プローブチップ上に,分析物と,第1抗体と,第2抗体との免疫複合体を形成するステップと,(f)洗浄溶液を入れた洗浄容器にプローブチップを浸すステップと,プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,第1抗体及び第2抗体は,分析物に対する抗体である。上記の方法において,結合ステップ(c)の後に,任意選択の洗浄ステップを加えてもよい。結合面が小さいために,持ち越し(carried over)溶液の量は最小であり,この追加洗浄ステップは必要でないこともある。
【0037】
別の実施形態(2ステップ結合)においては,方法は,(a)プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,(b)標本容器にプローブチップを浸すステップであって,標本容器には(i)分析物を有する液体標本と,(ii)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む試薬溶液とが入っているステップと,(c)プローブチップを標本容器内で上下させ,標本容器内の試薬溶液を横方向に流動させて,プローブチップ上に,分析物と,第1抗体と,第2抗体との免疫複合体を形成するステップと,(d)洗浄溶液を入れた洗浄容器にプローブチップを浸すステップと,(e)プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,第1抗体及び第2抗体は,分析物に対する抗体である。
【0038】
また別の実施形態(3ステップ結合)においては,方法は,(a)プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,(b)プローブチップを,分析物を有する液体標本を入れた標本容器に浸し,プローブチップを標本容器内で上下させ,標本容器内の標本溶液を横方向に流動させるステップと,(c)結合対の第1要素と抱合させた第2抗体分子を含む試薬溶液を入れた試薬容器にプローブチップを浸し,プローブチップを試薬容器内で上下させ,該試薬容器内の試薬溶液を横方向に流動させるステップと,(d)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む増幅溶液を入れた増幅容器にプローブチップを浸し,プローブチップを増幅容器内で上下させ,増幅容器内の増幅溶液を横方向に流動させて,プローブチップ上に,分析物と,第1抗体と,第2抗体と,結合対の第1要素及び第2要素との免疫複合体を形成するステップと,(e)第2洗浄溶液を入れた第2洗浄容器にプローブチップを浸すステップと,(f)プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,第1抗体及び第2抗体は,分析物に対する抗体である。上記の方法において,結合ステップ(b)及び(c)の後に任意選択の洗浄ステップを追加してもよい。結合面が小さいために,持ち越し溶液の量は最小であり,この追加洗浄ステップは必要でないこともある。
【0039】
固相(プローブチップの感知面)に試薬を固定させる方法は,免疫化学において普通であり,固相と試薬との間に共有結合性,疎水性又は静電性の結合を形成させることを含む。分析物結合分子は,感知面上に直接固定してもよい。あるいは,分析物結合分子を,結合対を介して感知面上に間接的に固定してもよい。例えば,まず抗フルオレセインを,固体面に吸収させるか,又は固体面上を覆うアミノプロピルシランに共有結合させることのいずれかによって,固定することができる。そして,フルオレセインで標識付けされた分析物結合分子を,フルオレセインと抗フルオレセインとの結合(結合対)によって,固体面に結合することができる。
【0040】
本発明の方法は,(i)分析物分子を結合する小感知面を有するプローブを用いるステップと,(ii)反応容器内でプローブチップを上下させて,反応容器内の反応溶液を横方向へ流動させるステップと,(iii)複数の結合分子及び複数の蛍光標識と抱合する高分子量重合体を用いるステップと,の独特な組合せによって,高感度を達成する。
【0041】
本発明の第1要因は,分析物を結合する小さなチップを有するプローブを用いることである。このチップは,直径5mm以下,好ましくは2mm又は1mm以下の小表面を有する。プローブチップの小表面はいくつかの利点を与える。固相免疫分析において小表面を持つことは,非特定結合が少なく,したがって背景信号が低くなるため,有利である。さらに,プローブチップ上の試薬又は標本の持ち越しは,チップが小表面であるために非常に少ない。この特徴によって,プローブチップは洗浄が容易であり,洗浄溶液はより容量が多いため,洗浄液内の汚染は無視できるようになる。プローブチップの小表面の別の側面は,結合容量が小さいことである。したがって,プローブチップが試薬溶液に浸されたとき,試薬の結合によって大容量の試薬が消費されることはない。試薬濃度は実効的に変わらない。洗浄溶液の汚染は無視でき,試薬の消費は少ないので,試薬溶液と,増幅溶液と,洗浄溶液とを何回も,例えば2〜8回,再使用することができる。
【0042】
しかし,プローブチップにおける表面との結合反応は遅い。プローブチップが溶液に浸されたとき,溶液容量に対する結合表面の比は小さく,したがって対象分子がプローブの感知面に拡散するために,非常に長い放置(incubation)時間が必要である。感度を増強するための本発明の第2要因は,プローブチップを横切る溶液の横方向の流動(環状流動)を起こすことであり,このことは,固相に固定された結合パートナによる対象分子の捕捉を加速する。例えば反応容器をオービタルシェーカ上に載せて,オービタルシェーカを少なくとも50rpm,好ましくは少なくとも200rpm,より好ましくは少なくとも500rpm,例えば500〜1000rpmの速度で回転させてもよい。さらに,プローブチップの上下の溶液を更に攪拌するために,0.01〜10mm/sの速度でプローブチップを環状流動面に垂直に上下させる。低背景にするために表面を小さくすることと,より急速な対象分子補足のために流動させることとを組み合せることによって,特定の分析信号が高くなり,背景ノイズが低くなる。このことが分析感度の決定要因である。
【0043】
感度を増強する本発明の第3要因は,複数の結合分子及び複数の蛍光染料で標識付けされた高分子量重合体を用いることである。蛍光染料は,免疫分析における標識として多くの実践的な利点を有する。まず,蛍光染料は非常に安定であり,結合タンパク質に容易に結合する。蛍光染料は,高感度分析に用いるために十分な蛍光信号を発生することができないという,大きな制約がある。したがって,蛍光信号を増加させるために,一つの重合体に複数の蛍光染料を標識付けすることが重要である。デキストラン重合体,フィコール重合体,核酸重合体のような多くの重合体が,染料担体として適当である。蛍光標識は,重合体に直接付着させてもよいし,抗体,すなわちストレプトアビジンのような結合分子を介して重合体に間接的に付着させてもよい。
【0044】
結合分子が抗体のようなポリペプチド又はタンパク質であるとき,科学文献及び特許文献に記載されている通常の抱合化学を用いて,ジスルフィド,ヒドロキシフェニル,アミノ,カルボキシル,インドール,又はほかの官能基を含む多様な部分(moiety)を介して,蛍光標識は結合分子と共有結合できる。あるいは,既知の技法によって抗体をビオチン化し(Wilchek and Byer, Analytical Biochemistry, vol. 171, pp. 1‐32, 1988参照),アビジン/ストレプトアビジン分子を介して蛍光標識に結合させてもよい。
【0045】
蛍光標識のポリヌクレオチドへの共有結合は,普通の抱合化学を用いて,アルデヒド,ケトン,イソチオシアナート,イミダート,イノシン,アシル及びアルキルを含む多様な部分を介して行われる。ここでビオチンの誘導体化は,多くの参考文献において教示されている(Leary et al, Proc. National Academy of Science of the USA, vol. 80, pp. 4045‐4049, 1983, WO 86/02929, EP 063 879, Langer et al, Proc. National Academy of Science of the USA, vol. 78, pp. 6633‐6637, 1981, EP 2009 996参照)。
【0046】
アリールスルホン酸塩シアニン蛍光染料標識を抗体及びほかのタンパク質に結合させる技法の例は,米国特許第5,268,486号及び第5,650,334号に記載されており,ここに参照する。好適なCy5蛍光標識を抗体及び核酸双方に結合させる技法は,Biological Detection Systems, Inc., Pittsburgh, Paによって発行された技術報,カタログ番号A25000に記載されている。
【0047】
本発明の方法は,本願明細書で説明した蛍光検出システムによって検出を行うステップを有し,光源及び検出器はプローブの感知面と同じ側(近い側)に取り付けられる。
【0048】
あるいは,本発明の方法は,光学系によって検出を行うステップを有し,光源及び検出器双方はプローブの感知面と反対側であって,プローブの反対端に近い位置に取り付けられる(図8〜9参照)。
【0049】
図8において,プローブは検出システムから取り外すことができる。レーザ光は,プローブの一端に直接結合する。プローブは,光検出システムに対してX−Y−Z方向に動かすことができる。この動きによって,プローブと光検出システムとの間の精密な位置合わせができる。プローブチップは,標準のマイクロタイタプレートの穴(well)に浸すことができる。プレートはオービタルシェーカの上に載せられる。プローブチップと,穴の中の標本溶液との間の相対運動によって,分析速度が速くなる。
【0050】
図9の拡大図に示すように,プローブチップは結合分析のための分析物標本に直接浸される。結合端は,光検出システムから離れている。光検出器として,光電子増倍管(PMT)が用いられる。
【0051】
プローブは,モノリシック基材又は光ファイバのいずれかでできたものでよい。プローブが光ファイバであるときは,ファイバプローブの結合端は,結合効率を改善するために反射防止コーティング層で覆ってもよい。
【0052】
一実施形態においては,レーザの前に偏光フィルタを置き,PMTの前に垂直偏光の第2偏光フィルタを置く。二枚の偏光フィルタによって,不要なレーザ反射が最小限になる。
【0053】
別の実施形態においては,偏光フィルタを,蛍光の波長だけを通過させる帯域通過フィルタで置き換えてもよい。
【0054】
プローブのコアは直径0.1mmを超えるが,5mm,好ましくは2mm又は1mmを超えない。好適な開口数は0.15と0.50との間である。
【0055】
<複数の結合分子及び蛍光標識を含む高分子量分枝多糖類>
本発明はまた,(a)少なくとも百万ダルトンの分子量を有する架橋フィコールと,(b)少なくとも5個の結合分子と,(c)少なくとも25個の蛍光染料分子と,を含む蛍光標識混合物にも関し,結合分子及び蛍光染料分子は架橋フィコールに付着している。この混合物は,5〜50個又は5〜100個の結合分子と,25〜100個又は25〜500個の蛍光染料分子とを有することが望ましい。
【0056】
一実施形態においては,蛍光染料分子は直接架橋フィコールに付着している。別の実施形態においては,蛍光染料分子は,抗体分子すなわちストレプトアビジンのような結合分子を介して間接的に架橋フィコールに付着している。蛍光消光を最小化するため,蛍光染料分子は架橋フィコールに沿って隙間を空けた位置に付着させられる。
【0057】
この蛍光標識構成は,本発明の上述の方法に好適な構成である。
【0058】
フィコールは,分子量70kダルトン及び400kダルトンのものが商業的に入手できる。フィコールは,高分子担体として役立つという利点がある。分析感度を上げる際の架橋蛍光タンパク質に関する一つの課題は,非特定の背景信号が増加することがあるという点である。同じ比率で特定分析信号と背景信号とが増加することは同一の信号対背景比に帰着し,感度の改善にはならない。一般に,多糖類の免疫分析に用いられる多くの固相物質に対する非特定結合は無視できる程度である。したがって,フィコール高分子担体は,固相に対する非特定結合を最小にしつつ,特定結合における信号を増加させる。したがって,感度を向上させる信号対背景比の改善になる。
【0059】
フィコールは,代替物である多糖類デキストランに対して有利である。デキストランは直鎖分枝点がわずかであるため,分子量分布の点で極めて多分散である。タンパク質を多糖類担体に結合させる際に,出発物質が規定された狭い分子量範囲のものであるとき,再現性のある結果が得られる。フィコールの分枝構造が,フィコールに化学的切断又は機械的せん断に対するいくらかの許容度を与え,したがって分子量に関する影響を最小化する。フィコールの分枝構造の別の側面は,重合体と免疫分析に用いられる固相物質との相互作用を最小化し,結果的にほかの多糖類に比べて非特定結合が低いことである。
【0060】
フィコール400(分子量)は多分散であり,この物質の大部分は,免疫グロブリンG(IgG)よりもずっと小さな分子に分かれる。理想的な多糖類担体は,百万ダルトンを超える分子量を有し,セファロース4B CLカラムの空隙容量又はその近傍で溶離することが望ましい。そのような高分子量重合体が実践的に利用価値のあることを示すフィコール400調製物は,極めてわずかである。
【0061】
本発明の一態様は,高分子重合体を生成するために,フィコールの架橋誘導体を調製することである。フィコールの架橋化は,重合体内の分枝の程度を更に増加させる。本発明のこの態様の利点は,架橋化学を制御することによってフィコール重合体を広範な分子量で準備できる点にある。百万ダルトンを超える分子量を有する架橋フィコールを得ることができ,この重合体は可溶性のままである。このような重合体は,蛍光染料及びタンパク質の抱合のために更に誘導体化できる。抱合重合体は,固相結合分析において単一増幅を示し,最も驚くことには,固相に対する非特定結合が低いことを示す。このような性能特徴は,フィコール400又はほかの多糖体類の商業的調製物には期待されない。
【0062】
架橋フィコール混合物は,次の特徴を有することが望ましい。(a)2.5,5又は10mg/mlを超える可溶性がある。(b)平均流体力学直径が100,150又は200nmを超える。(c)分子量が1,2,5又は10MDを超える。(d)結合分子及び/又は蛍光染料分子を付着させるために,フィコール当たり少なくとも25個の官能基を有する。
【0063】
フィコールのアミン誘導体は商業的に入手可能であり,架橋を可能にする。図10は架橋フィコールを調製するフローチャートである。
【0064】
多くの蛍光団(fluorophores)は,ストレプトアビジンすなわち抗体のようなタンパク質のアミン基への結合を可能にするN‐ヒドロキシスクシンイミド(NHS)として商業的に入手可能である。Cy5及びAlexa Fluor 647はよい例である。蛍光標識化タンパク質は,慣用のマレイミド/チオールタンパク質抱合手順又はほかの架橋法を用いてアミノフィコールに結合される。図11は,架橋フィコールへの抗体抱合のフローチャートである。
【0065】
架橋フィコールはCy5‐抗フルオレセインイソチオシアネート(FITC)の高分子担体として役立ち,このような抱合体は単量体Cy5‐抗FITCに比べて免疫分析感度を向上させるために用いることができる。
【0066】
本発明を以降の実施例によって更に説明するが,これは,本発明の範囲を記載された特定の手順に限定するものと解釈してはならない。
【実施例1】
【0067】
<架橋フィコール400の調製>
図10は,架橋フィコール400を調製するフローチャートである。
【0068】
リン酸緩衝溶液(PBS)中の,フィコール400kD(Skold Technology)当たり88アミンを含む,アミノ化された20mg/mlのフィコール400(Sigma/Aldrich)2mlに,N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)中の50mg/mlのSPDP(succinimydyl 6‐[3‐[2‐pyridyldithio]‐proprionamido]hexanoate, Invitrogen)10μlを加えた。フィコールに対するSPDPの分子結合比(MCR)は15であった。混合物は室温で1時間反応させ,その後透析された。チオールの取り込みは,標準の方法によって,フィコール400kD当たり5.5と推定された。
【0069】
SPDPで標識付けされたフィコール400上のチオールを脱保護するために,ジチオスレイトール(DTT,Thermo Scientific)の30μlを,1mlのPBS中の20mgに加え,室温で2時間反応させた。SH‐フィコールは,PD10カラムで精製した。
【0070】
次の二つの調製によって,アミン化したフィコール400(88アミン/フィコール)にSMCC(succinimidyl 4‐[N‐malemidomethyl]cyclohexan‐1‐carboxylate)が結合された。1.)1mlのPBS中の10mgのアミン化フィコール400を,DMF中の10mg/mlのSMCC(Pierce Chemical)25μlと混合し,SMCC/フィコールMCR30とした。混合物は室温で2時間反応させ,続いてPD10カラム(GE Healthcare)で精製した。2.)1mlのPBS中の10mgのアミン化フィコール400をDMF中の10mg/mlのSMCC12.5μlと混合し,SMCC/フィコールMCRを15とした。混合物は室温で2時間反応させ,続いてPD10カラムで精製した。
【0071】
SH‐フィコール400とSMCC‐フィコール400とを架橋させるために,次の二つの調製を行った。1.)1mlのPBS中の10mgのSH‐フィコール400を,1mlのPBS中の10mgのSMCC‐フィコール400と混合した(30MCR)。2.)1mlのPBS中の10mgのSH‐フィコール400を,1mlのPBS中の10mgのSMCC‐フィコールと混合した(15MCR)。各混合物は30°Cで一晩反応させた。
【0072】
架橋フィコール400への抗体抱合の結合場所を提供するために,残差アミンを過剰SPDPと反応させた。架橋フィコール400の20mgをDMF中の50mg/mlのSPDP75μlと混合した。混合物は室温で1時間反応させ,続いてPBSに対して透析した。
【0073】
SPDPで標識化した架橋フィコール400調製物は,セファロース4B CL(GE Healthcare)カラムで分画した。結果によると,架橋フィコールは,元のフィコール400よりもずっと大きな重合体であり,架橋の程度はSMCCのMCRに依存する。高分子重合体は4B CLの空隙容量又はその近傍で溶離され,フラクション40〜50,フラクションのピークは約45であり,SMCC MCR30が得られた(図12参照)。これらは,引き続いて結合タンパク質及び蛍光染料担体と抱合させるために好適な重合体である。比較のために,空隙フラクションはフラクション32であり,非架橋SPDP‐フィコールは高分散であり,ピークフラクション約98,フラクション50〜120で溶離された。
【実施例2】
【0074】
<Cy5‐抗体‐架橋フィコール抱合体の調製>
図11はCy5‐抗体‐架橋フィコール400を調製するフローチャートである。1mlの0.1M炭酸ナトリウム(pH9.5)中の3.2mg/mlの抗FITC(Biospacific)を,DMF中の10mg/mlのCy5‐NHS(GE Healthcare)10μlと混合し,30°Cで30分反応させた。次に混合物をPD10カラムで精製した。1mlのPBS中の1.5mg/mlのCy5‐抗FITCを,DMF中の5mg/mlのSMCC1.9μlと混合して,室温で1時間反応させ,続いてPD10カラムで精製した。
【0075】
架橋フィコール400‐SPDP上のチオールは,1mlのPBS中の0.7mgの架橋フィコール400‐SPDPに対して38mg/mlのDTT30μlを加えて脱保護し,室温で1時間反応させ,その後,架橋フィコールをPD10カラムで精製した。
【0076】
Cy5‐抗FITC‐SMCCを架橋フィコール400‐SHと混合して,室温で一晩反応させた。そして,12.5mg/mlのN‐エチルマレイミド(NEM,Aldrich)10μlを加え,室温で30分反応させた。そして抱合体はセファロース4B CLカラムで精製した。
【実施例3】
【0077】
<Cy5‐抗体デキストラン抱合体の調製>
Cy5‐抗体デキストラン(直鎖)抱合体(米国特許第5,650,334号に記載されている)を比較検討のために調製した。
【0078】
1mlの0.1M炭酸ナトリウム(pH9.5)中の3.2mg/mlの抗FITC(Biospacific)を,DMF中の10mg/mlのCy5‐NHS(GE Healthcare)10.6μlと混合し,30°Cで30分反応させた。そして混合物はPD10カラムで精製された。
【0079】
1mlのPBSに1.5mg/mlのCy5‐抗FITCを,DMF中の5mg/mlのSMCC1.9μlと混合し,室温で1時間反応させ,PD10カラムで精製した。
【0080】
デキストランをチオールと反応させるために,DMF中の34mg/mlのLC−SPDP(succinimydyl 6‐[3‐[2‐pyridyldithio]‐proprionamido]hexanoate)(Pierce #21651)の溶液150μlを,pH7.4のPBS中の20mg/mlのアミノデキストラン(Molecular Probes, #D‐7145, 130アミン/デキストラン, 分子量2000kダルトン)を含む5mlの溶液に加えた。反応は室温(RT)で30分行い,次に混合物をPBSに対してRTで一晩透析した。反応中に,アミノデキストラン中の95%以上のアミンがLC−SPDPで標識付けされた。そしてLC−SPDP‐デキストランをセファロース4B CLカラムで精製した。低分子量のデキストランフラクションを取り除くために,空隙ピークのフラクションだけを収集した。
【0081】
pH7.4のPBS中の2.6mg/mlのCy5‐抗FITCの溶液6.15mlを,DMF中の2.7mg/mlのSMCC(Pierce #22320)156μlと混合し,RTで30分反応させた。反応しなかったSMCCは,PD10カラムで生成して除去した。
【0082】
LC−SPDPデキストランは,3.1mg/mlのLC−SPDPデキストラン5.2mlに0.5Mのジチオストレイトール156μlを加え,RTにて15分放置することによって減少させた。そして,デキストランはPD10(Pharmacia #17‐0851‐01)カラムで精製した。
【0083】
減少したLC−SPDPをSMCC−抗FITCと混合し,RTにて一晩放置することによって抱合を行った。反応を停止させるために,最終濃度1.0mMでNEM(Sigma #12828‐7)を加えた。そして,抱合物をセファロース4B CLに加え,空隙容量に溶離しているフラクションを収集した。
【実施例4】
【0084】
<トロポニンI分析材料>
底面に固定されたベンゾフェノン‐ウシ血清アルブミン(BSA)‐ビオチンを有するポリメチルメタクリレート(PMMA)でできた反応ディスクを次のように調製した。ディスク当たり100μlのベンゾフェノンBSA‐ビオチンを60分間紫外線硬化させて,10μl/mlで固定した。
【0085】
ストレプトアビジン単一クローン抗体抗TnI抱合体(SA‐anti TnI)を,ヘテロ二機能性結合試薬と,S−アセチルチオグリコール酸N‐ヒドロキシスクシンイミドエステル(SATA, Pierce #26102)と,SMCC(Pierce #22320)とを用いて調製した。SATA(DMF中に5mg/mlで溶解)の15モル過量を,pH7.4のPBS中の0.74mg/mlの抗TnI(BioDesign)1mgと室温で3時間反応させた。また,SATA(DMF中に5mg/mlで溶解)の15モル過量を,PBS中の1.1mg/mlのストレプトアビジン1.1mgと室温で3時間反応させた。反応しなかったリンカは,抗TnI/SATA反応混合物及びストレプトアビジン/SMCC反応混合物双方から,PD10カラムを用いて除去した。精製した抗TnI‐SATA及びストレプトアビジン‐SMCCをタンパク質モル比1:3で混合した。1Mのヒドロキシルアミンを最終濃度100mMまで加えることによって,抱合反応を開始し,4°Cで18時間放置した反応混合物中の最終濃度1mMで100mMのNEM(Aldrich Chemical)を加えて反応を停止させ,室温で15分間放置した。NEMを加えた放置の後,セファクリルS300カラム(GE Healthcare)を用いて混合物を精製した。
【0086】
各ディスクに25μg/mlのSA−抗TnI40μlを加えて,室温にて1時間放置した。分析緩衝液はpH7.4のPBSに,1%のBSAと,0.1%のツイーン20とを加えたものであった。そして,ディスクを3回洗浄した。
【0087】
親和性精製したヤギ抗TnIペプチド3(Biospacific)に,次のようにフルオレセインで標識付けした。1.8mlのPBS中の抗体1mgを,DMF中の2mg/mlのフルオレセイン‐NHS(Invitrogen)64μlと混合させて,室温にて2時間反応させ,その後,PD10カラムで精製した。
【実施例5】
【0088】
<トロポニンI免疫分析におけるCy5‐抗FITCとCy5‐抗FITC‐架橋フィコールとの比較>
ディスクに40μlの標本容量中0ng/ml,10ng/ml及び50ng/mlのトロポニンIを加え,室温で1時間放置した。そのディスクを分析緩衝液中で3回洗浄した。各ディスクに10μg/mlのフルオルセインで標識付けした抗TnIペプチド3 40μlを加え,室温で25分間放置し,その後3回洗浄した。それぞれ抗体が10μg/mlであるCy5−抗FITC又はCy5抗FITC‐架橋(cx)フィコールいずれか40μlをディスクに加え,室温で25分間放置し,その後3回洗浄した。そして,各ディスク面のCy5フルオルセインを測定した(表1参照)。
【表1】

【実施例6】
【0089】
<トロポニンI免疫分析におけるCy5‐抗FITC‐架橋フィコールとCy5‐抗FITCデキストランとの比較>
ディスクに40μlの標本容量中0ng/ml及び100ng/mlのトロポニンIを加え,室温で1時間放置した。そのディスクを分析緩衝液中で3回洗浄した。10μg/mlのフルオレセインで標識付けした抗TnIペプチド3 40μlを各ディスクに加えて室温にて120分間放置し,その後3回洗浄した。それぞれ抗体が10μg/mlであるCy5−抗FITC‐デキストラン(実施例3参照)又はCy5‐抗FITC‐架橋フィコール(実施例2参照)いずれか40μlをディスクに加え,室温で25分間放置し,その後3回洗浄した。そして,各ディスク面のCy5フルオルセインを測定した(表2参照)。
【表2】

【実施例7】
【0090】
<Cy5‐ストレプトアビジン‐架橋フィコールの調製>
ストレプトアビジンのCy5による標識付け
DMF中の5mg/mlのCy5‐NHS(GE Healthcare)32μlをpH9.5の0.1M炭酸ナトリウム緩衝液中の2.4mg/mlのストレプトアビジン(Scripps Labs)1mlと30°Cで40分間反応させた。その混合物をPD10カラム(Pharmacia)に加えて,未抱合のCy5を除去した。スペクトル分析によれば,ストレプトアビジン分子当たり2.8個のCy5が結合した。
【0091】
架橋フィコールへのCy5‐ストレプトアビジンの抱合
DMF中の10mg/mlのSMCC(Pierce Chemical)5.8μlを,pH7.4のPBS1ml中のストレプトアビジン2mgと室温で1時間反応させた。その混合物をPD10カラムに加えて,未結合のSMCCを除去した。
【0092】
架橋フィコール400‐SPDP上のチオールを,1mlのPBS中の1mgの架橋フィコール400‐SPDPに38mg/mlのDTT30μlを加えて脱保護し,室温で1時間反応させ,その後,PD10カラムによって架橋フィコールを精製した。
【0093】
Cy5‐ストレプトアビジン‐SMCCを架橋フィコール400‐SHと混合して,室温で一晩反応させた。そして12.5mg/mlのNEM(Aldrich)10μlを加えて室温で30分間反応させた。そして抱合体をセファロース4B CLカラムで精製した。
【実施例8】
【0094】
<Cy5で標識付けした架橋フィコールの調製及びストレプトアビジンへの抱合>
上記の方法(実施例2,3及び7)は,結合タンパク質に二つの化学的修正を行う必要がある。一つ目はCy5による標識付けであり,二つ目はSMCCを架橋フィコールに抱合できるようにすることである。いくつかの場合,特に抗体については,二つの化学的修正は,結合能力が失われることになるので,望ましくないことがある。次の方法は,架橋フィコールをCy5で直接標識付けし,次いで結合タンパク質に抱合させる。したがって,この方法は結合タンパク質に一つの化学的修正しか必要としない。
【0095】
Cy5で標識付けされた架橋フィコールの調製
PBS中の20mg/mlのフィコール400kD(Skold Technology)当たり88個のアミンを含むようにアミノ化されたフィコール400(Sigma/Aldrich)2mlに,DMF中の50mg/mlのSPDP(Invitrogen)10μlを加えた。SPDP対フィコールの分子結合比(MCR)は15であった。混合物は室温で1時間反応させ,次いで透析した。チオールの取り込みは,標準の方法でフィコール400kD当たり5.5と推定された。
【0096】
SPDPで標識付けされたフィコール400上のチオールを脱保護するために,1mlのPBS中20mgに,PBS中の38mg/mlのDTT(Thermo Scientific)30μlを加え,室温で2時間反応させた。SH‐フィコールはPD10カラムで精製した。
【0097】
SMCCは,次のようにアミン化したフィコール400(88アミン/フィコール)に結合させた。1mlのPBS中の10mgのアミン化したフィコール400(88アミン/フィコール)を,DMF中の10mg/mlのSMCC(Pierce Chemical)25μlと混合して,SMCC/フィコールMCR30を得た。混合物を室温で2時間反応させ,その後PD10カラムで精製した。
【0098】
SH‐フィコール400とSMCC‐フィコール400とを架橋させるために,1mlのPBS中のSH‐フィコール400 10mgを,1mlのPBS中のSMCC‐フィコール400 10mgと混合させた(MCR30)。混合物は30°Cで一晩反応させた。
【0099】
架橋フィコール400へのタンパク質抱合の結合場所を提供するために,残留アミンをMCR30のSPDPと反応させた。架橋フィコール400 20mgをDMF中の10mg/mlのSPDP64μlと混合した。混合物を室温で1時間反応させ,次いでPBSに対して透析した。SPDPをMCR30に修正することによって,後に続くCy5‐NHSによる標識付けに十分な数のアミノ基が残る。SPDPで標識付けされた架橋フィコール400の調製物は,次にセファロース4B CL(GE Healthcare)カラムで分画した。
【0100】
Cy5標本付けのために,DMF中の5mg/mlのCy5‐NHS15μlを,pH9.0の0.1M炭酸ナトリウム1ml中のSPDP‐架橋フィコール1mgと室温で1時間反応させた。その混合物をPD10カラムで精製した。架橋フィコールは平均分子量4百万ダルトンであると仮定すると,スペクトル分析によれば,架橋フィコール当たり45個のCy5が取り込まれた。抗体及びストレプトアビジンは通常約2個のCy5で標本付けされる。
【0101】
Cy5‐架橋フィコールへのストレプトアビジンの抱合
DMF中の10mg/mlのSMCC(Pierce Chemical)5.8μlを,pH7.4のPBS1ml中のストレプトアビジン2mgと室温で1時間反応させた。混合物をPD10カラムに加えて未結合のSMCCを除去した。
【0102】
Cy5‐架橋フィコール400‐SPDP上のチオールを,1mlのPBS中の架橋フィコール400‐SPDP0.7mgに,38mg/mlのDTT30μlを加えて脱保護し,室温で1時間反応させ,次いでPD10カラムで架橋フィコールを精製した。
【0103】
ストレプトアビジン‐SMCCをCy5‐架橋フィコール400‐SHと混合し,室温で一晩反応させた。そして12.5mg/mlのNEM(Aldrich)10μlを加えて,室温で30分反応させた。そして抱合物をセファロース4B CLカラムで精製した。
【実施例9】
【0104】
<タンパク質Aの免疫分析:プローブフォーマット>
プローブの調製
直径1mm,長さ2cmの石英プローブを,製造業者の手順による化学蒸着処理(Yield Engieering Systems, 1224P)を用いてアミノプロピルシランで覆った。そしてプローブチップをpH7.4のPBS中の10μg/mlのマウス単一クローン抗フルオレセイン(Biospacific)の溶液に浸した。抗体がプローブに吸収されるのを5分間待ち,プローブチップをPBSで洗浄した。そしてプローブチップをPBS中の10μg/mlの親和性精製したフルオレセインで標識付けしたニワトリ抗タンパク質A(Cygnus Technologies)を含む溶液に浸した。抗体は標準の方法でフルオレセイン化した。10分後にプローブをPBSで洗浄した。
【0105】
タンパク質A免疫分析
分析フォーマットは図13に示されている。
【0106】
抗タンパク質Aで覆われたプローブチップを,分析緩衝液(10mg/mlのBSAと,0.1%のツイーン20とを含むPBS)に希釈した200μlのタンパク質Aを入れたマイクロウェルに浸した。マイクロウェルはオービタルミキサ(Big Bear Automation)の上に置き,プローブを静止状態に保ち,オービタルミキサを直径2mmの環状ストローク,250rpmで動かした。30分後にプローブチップをPBSで3回洗浄した。そしてプローブチップを分析緩衝液中の10μg/mlのビオチンで標識付けし,親和性精製したニワトリ抗タンパク質A(Cygnus Technologies)200μlを入れたマイクロウェルに浸した。抗タンパク質Aは,標準の方法でビオチン化した。250rpmの環状流動で5分間放置した後,プローブをPBSで3回洗浄した。そして,プローブチップを,分析緩衝液中の10μg/mlのCy5‐ストレプトアビジン‐架橋フィコールを入れたマイクロウェルに浸した。250rpmの環状流動で5分間放置した後,プローブチップをPBSで3回洗浄した。プローブチップに結合したCy5フルオレセインを,図1に示した光学系で測定した。表3に結果を示す。
【表3】

【0107】
本発明及び本発明を作成し使用する方法及び過程を,当業者が同じものを作成し使用できるために十分,明確,簡潔,かつ正確な用語で説明した。上記は本発明の公的な実施形態を説明したものであって,特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱すること泣く,修正を行ってもよいことを理解されたい。発明の主体を得に指摘し,はっきりと請求するために,次の各請求項が本明細書を完結する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光分析において蛍光信号を測定する検出システムであって,
長さ対幅のアスペクト比が少なくとも5:1であるプローブであって,遠端及び近端を有し,該近端は蛍光標識と結合した感知面を有する,プローブと,
前記プローブの感知面に直接励起光を放射する光源と,
前記感知面に向けられた集光レンズと,
前記の放射蛍光光を検出する光検出器と,を備え,
前記集光レンズは前記放射蛍光光を集光して,前記光検出器へ向ける,検出システム。
【請求項2】
前記プローブのチップ面は直径5mm以下である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プローブは透明である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プローブの前記遠端は,不要な反射を減少させるためにテーパが付けられているか,及び/又は粗面仕上げされている請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源は,前記チップ面に投射される光ビームが,前記プローブの開口数角より大きい入射角を有するように配置される請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プローブは,不透明なモノリシック棒である請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記感知面は,アルミニウム,金又は銀から選択された薄膜であり,該薄膜は約50nmから約500μmの厚みを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
溶液を入れた容器を更に備え,前記プローブの近端は該溶液に浸され,前記光源及び前記集光レンズは前記容器の底面に取り付けられている請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
液体標本内の分析物を検出する方法であって,
プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,前記チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,
前記プローブチップを,分析物を有する液体標本を入れた標本容器に浸すステップと,
前記プローブチップを前記標本容器内で上下させ,前記標本容器内の試薬溶液を横方向に流動させて,前記分析物と前記第1抗体とを結合させるステップと,
少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む試薬溶液を入れた試薬容器に前記プローブチップを浸すステップと,
前記プローブチップを前記試薬容器内で上下させ,該試薬容器内の前記試薬溶液を横方向に流動させて,前記プローブチップ上に,前記分析物と,前記第1抗体と,前記第2抗体との免疫複合体を形成するステップと,
洗浄溶液を入れた洗浄容器に前記プローブチップを浸すステップと,
前記プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,前記の形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,
前記第1抗体及び前記第2抗体は,前記分析物に対する抗体である,方法。
【請求項10】
液体標本内の分析物を検出する方法であって,
プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,前記チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,
(i)分析物を有する液体標本と,(ii)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む試薬溶液とを入れた標本容器に前記プローブチップを浸すステップと,
前記プローブチップを前記標本容器内で上下させ,前記標本容器内の試薬溶液を横方向に流動させて,前記プローブチップ上に,前記分析物と,前記第1抗体と,前記第2抗体との免疫複合体を形成するステップと,
洗浄溶液を入れた洗浄容器に前記プローブチップを浸すステップと,
前記プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,前記の形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,
前記第1抗体及び前記第2抗体は,前記分析物に対する抗体である,方法。
【請求項11】
液体標本内の分析物を検出する方法であって,
(a)プローブのチップ上に固定された第1抗体を有するプローブを取得するステップであって,前記チップの面の直径は5mm以下である,ステップと,
(b)前記プローブチップを,分析物を有する液体標本を入れた標本容器に浸し,前記プローブチップを前記標本容器内で上下させ,前記標本容器内の標本溶液を横方向に流動させるステップと,
(c)結合対の第1要素と抱合させた第2抗体分子を含む試薬溶液を入れた試薬容器に前記プローブチップを浸し,前記プローブチップを前記試薬容器内で上下させ,該試薬容器内の前記試薬溶液を横方向に流動させるステップと,
(d)少なくとも百万ダルトンの分子量を有し,少なくとも5個の第2抗体分子及び少なくとも25個の蛍光標識と抱合させた重合体を含む増幅溶液を入れた増幅容器に前記プローブチップを浸し,前記プローブチップを前記増幅容器内で上下させ,前記増幅容器内の増幅溶液を横方向に流動させて,前記プローブチップ上に,前記分析物と,前記第1抗体と,前記第2抗体と,前記結合対の第1要素及び第2要素との免疫複合体を形成するステップと,
(e)第2洗浄溶液を入れた第2洗浄容器に前記プローブチップを浸すステップと,
(f)前記プローブチップ上の蛍光信号を検出することによって,前記の形成された免疫複合体を検出するステップと,を有し,
前記第1抗体及び前記第2抗体は,前記分析物に対する抗体である,方法。
【請求項12】
前記チップ面は約2mm以下である請求項9,10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合対の第1要素はビオチンであり,前記結合対の第2要素はストレプトアビジンである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも百万ダルトンの分子量を有する架橋フィコールと,
少なくとも5個の結合分子と,
少なくとも25個の蛍光染料分子と,を有する混合物であって,
前記結合分子及び前記蛍光染料分子は,前記架橋フィコールに付着している混合物。
【請求項15】
前記蛍光染料分子は,前記結合分子を介して前記架橋フィコールに間接的に付着している請求項14に記載の混合物。
【請求項16】
前記結合分子は抗体分子すなわちストレプトアビジンである請求項14に記載の混合物。
【請求項17】
前記蛍光染料分子はアリールスルホン酸塩シアニンである請求項14に記載の混合物。
【請求項18】
前記アリールスルホン酸塩シアニンはCy5である請求項17に記載の混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−519850(P2012−519850A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553046(P2011−553046)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025938
【国際公開番号】WO2010/101931
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511214842)アクセス メディカル システム カンパニー,リミティド (1)
【Fターム(参考)】