高所作業車の作業台装置
【課題】スライド作業台と昇降作業台の両床面を略同一高さに設定でき、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る高所作業車の作業台装置を提供する。
【解決手段】スライド作業台Psは、昇降作業台Pmの外方へ引き出し自在なスライド体20と、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が昇降作業台Pmの床面と略同一高さとなるようにスライド体20に保持される第1作業床部21とを有する。第1作業床部21の先端部には把持部24が設けられている。
【解決手段】スライド作業台Psは、昇降作業台Pmの外方へ引き出し自在なスライド体20と、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が昇降作業台Pmの床面と略同一高さとなるようにスライド体20に保持される第1作業床部21とを有する。第1作業床部21の先端部には把持部24が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台を備えた高所作業車の作業台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、この昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた、高所作業車は知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1では、主としてトンネル内の換気装置(ジェットファン)の据付、点検、清掃等の作業に使用可能な高所作業車として、スライド作業台の外側両端部に立設された一対の支柱と、これらの支柱に昇降自在に設けられた昇降体と、この昇降体に支持された補助昇降作業台とを備えた高所作業車の作業台装置が開示されている。この作業台装置では、スライドシリンダによってスライド作業台を張出・格納自在にスライド駆動させると共に補助昇降作業台を昇降駆動させている。また、スライド作業台は、スライドフレームと、その外側縁に若干の間隙を存して片持状に支持されるスライドデッキとを備えており、スライドフレーム上のスライドデッキは、主昇降作業台のデッキ上をスライド可能に構成されている。
【0004】
また、特許文献2の作業台装置では、昇降作業台の側端部に回動自在に軸支される作業床と、昇降作業台の側方へ引き出した状態にして作業床を保持させるスライド体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−067493号公報
【特許文献2】実用新案登録第3077226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スライド作業台のスライドデッキが主昇降作業台のデッキ上をスライドする特許文献1のような従来の作業台装置では、スライド作業台の床面と主昇降作業台の床面とを略同一高さにすることはできず、作業者が作業中にその段差でつまずき転倒するおそれがあった。
【0007】
また、従来、特許文献1のようにスライドシリンダによって自動的にスライド作業台を張出・格納させるのではなく、作業者が手動でスライド作業台を張出させる作業台装置も存在する。この場合、作業者は昇降作業台に立ち、スライド作業台の外側端部に設けられた手摺りを持ってスライド作業台を外側へ押し出すようにしていた。逆に、スライド作業台を格納させるときには、作業者は手摺りを内側へ引き寄せるようにしていた。
【0008】
しかしながら、スライド作業台の張出量が多くなると作業者の手がスライド作業台の手摺りに届かなくなって張出・格納作業が困難になるという問題点があった。また、スライドシリンダによって自動的にスライド作業台を張出・格納させる作業台装置において、故障のため手動でスライド作業台を張出させる場合にも同様の問題点があった。
【0009】
また、特許文献2の作業台装置では、作業床とスライド体とを別体で構成したため、上記特許文献1の構成と異なり、スライド作業台の使用状態では作業床の床面と昇降作業台の床面とを略同一高さに設定することができる。
しかしながら、特許文献2の構成では、作業床は一定形状のため、使用状態でスライド作業台の張出量を複数段階に設定することができなかった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スライド作業台と昇降作業台の両床面を略同一高さに設定でき、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る高所作業車の作業台装置を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、スライド作業台と昇降作業台の両床面を略同一に設定できるものにおいて、スライド作業台の張出量を複数段階に設定し得る作業台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本請求項1記載の発明では、車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、前記昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた高所作業車の作業台装置において、前記スライド作業台は、前記昇降作業台の外方へ引き出し自在なスライド体と、前記スライド体の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持される第1作業床部とを有し、さらに、前記第1作業床部の先端部には把持部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
上記構成によると、作業者がスライド作業台を手動で張出させる作業を行う際、作業者は昇降作業台におけるスライド作業台側の側端部に立ち、スライド作業台のスライド体を第1作業床部の把持部を掴んで外側へ押し出すことができる。また、スライド体の張出量が増大するに従って第1作業床部を伏倒方向へ持っていくことにより、第1作業床部の先端部を昇降作業台の側端部付近に位置させつつスライド体の張出量を増大できるので、作業者は手を昇降作業台の外側へ大きく伸ばすことなく張出作業を行い得る。しかも、スライド体の張出作業と第1作業床部の伏倒作業を同時に行い得る。そして、第1作業床部を伏倒させると共にスライド体に保持させた際には、第1作業床部の床面と昇降作業台の床面が略同一高さとなる。一方、張出状態からスライド作業台を手動で格納する場合には、上記と逆の動作をすればよい。即ち、伏倒状態となっているスライド作業台の第1作業床部の把持部を掴み、起立方向へ持ち上げて行くと同時に第1作業床部ごとスライド体を引き寄せるようにしてスライド体を昇降作業台に収納させることができる。これにより、作業者は、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る。
【0013】
また、本請求項2記載の発明では、前記スライド作業台は、前記昇降作業台の側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部を有し、前記第2作業床部は、伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持されるように構成されている。
【0014】
上記構成によると、第2作業床部の厚み分(伏倒時の横幅分)だけスライド体を昇降作業台から引出した第1張出状態と、この第1張出状態からさらに第1作業床部の厚み分(伏倒時の横幅分)だけスライド体を引き出した第2張出状態との2種類に、スライド作業台の張出量を設定できる。また、第1作業床部と第2作業床部は別体で構成されているので、上記第1張出状態に設定する際、作業者は、第1作業床部を動かすことなく第2作業床部を伏倒させることができる。また、第1張出状態から第2張出状態に変更する際、作業者は、第2作業床部を伏倒させたまま第1作業床部を伏倒させればよい。そのため、作業者は、容易にスライド作業台の張出量を変更できる。
【0015】
また、本請求項3記載の発明では、前記第2作業床部または前記スライド体には、前記第2作業床部を保持すると共に前記第2作業床部と前記スライド体との間の摺動を補助する摺動部が設けられている。
【0016】
上記構成によると、上記第1張出状態(第2張出状態)から上記第2張出状態(第1張出状態)へと変更する際、作業者は、第2作業床部上に立ったまま、スライド体の引き出し(収納)をスムーズに行い得る。そのため、作業者は、容易にスライド作業台の張出量を変更できる。
【0017】
また、本請求項4記載の発明では、前記第1作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の外方への回動が第1規制部により規制され、前記第2作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の内方への回動が第2規制部により規制され、起立状態で前記第1作業床部と前記第2作業床部が合わせ面状となるように構成した。
【0018】
上記構成によると、スライド体を昇降作業台に全て収納したスライド作業台の格納状態では、第1作業床部の伏倒方向への回動が第2作業床部を介して第2規制部により規制される。また、第2作業床部の伏倒方向への回動が第1作業床部を介して第1規制部により規制される。これにより、簡単な構成にて、スライド作業台の格納状態での第1作業床部及び第2作業床部の起立状態を維持できる。また、スライド作業台の格納状態では、第1作業床部と第2作業床部とを密着させることができるので、コンパクトに格納できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、スライド作業台のスライド体に保持される第1作業床部を有し、この第1作業床部の先端部に、昇降作業台に対するスライド体の引き出しまたは収納を行う際の把持部を設けたことにより、作業者は、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置を備えた高所作業車を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の要部拡大側面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態に係る高所作業車を示している。
【0022】
図1及び図2において、高所作業車の車体フレームFは、メインフレーム1上にサブフレーム2を一体に結合して高剛性に構成され、その前部左右および後部左右には、それぞれジャッキシリンダCj,Cjが設けられ、高所作業車の作業時には、それらのジャッキシリンダCj…は、地上に接地するまで伸長されて車体フレームFを安定的に支持するようになっている。車体フレームF上には、リフトリンク機構Lを介して昇降作業台Pmが略水平に昇降可能に支持されている。
【0023】
リフトリンク機構Lは、等長の第1リンク3及び第2リンク4の中央部を相互に枢支連結5してなる、左右一対のクロスリンク6,6より構成されており、第1リンク3及び第2リンク4の前端は、車体フレームF及び前記昇降作業台Pmの前部に枢支連結7,8されている。また第1リンク3及び第2リンク4の後端には、転動ローラ9及び転動ローラ10がそれぞれ回転自在に軸支されており、これらの転動ローラ9及び転動ローラ10は、昇降作業台Pmおよび車体フレームFの後部にそれぞれ設けた、前後方向に延びる略水平な案内レール11及び案内レール12に転動自在に係合されている。また第1リンク3の前部と第2リンク4の中間部間には、リフトシリンダClが連結されており、このリフトシリンダClの伸縮作動により、前記リフトリンク機構Lを介して昇降作業台Pmを略水平に昇降作動するように構成されている。
【0024】
昇降作業台Pmは、図1、図3〜図6に示すように、左右一対の縦フレーム14,14と、縦フレーム14,14を横断する複数の横フレーム17…と、縦フレーム14,14と平行となるように横フレーム17…の左右両端部に固着されるサイドフレーム13,13とにより、枠組みされて方形状に形成されている。また、昇降作業台Pmは、これら縦フレーム14,14と横フレーム17…とサイドフレーム13,13上に、本体床部15を一体に敷設して構成されている。また、図2に示すように、昇降作業台Pmの4隅には、本体側支柱30が立設されている。また、昇降作業台Pmの前後それぞれにおいて、左右の本体側支柱30,30間には、手摺り35が設けられている。
【0025】
また、昇降作業台Pmの、前半部左右および後半部左右には、合計四つのスライド作業台Ps…がそれぞれ略水平方向に張出、格納可能に設けられている。各スライド作業台Ps…は何れも実質的に同一の構成を備えている。
【0026】
以下、その一つの構成について図2〜6を参照して詳細に説明すると、このスライド作業台Psは、昇降作業台Pmの外方へ引き出し自在なスライド体20と、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられる第1作業床部21と、スライド体20の外側端部に設けられる手摺り37と、手摺り37の長手方向端部に回動自在(図2の矢印A方向)に取り付けられる補助手摺り38と、昇降作業台Pmの側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部26と、を有している。
【0027】
スライド体20は、昇降作業台Pmのサイドフレーム13と平行で細長状の平行フレーム22に、複数の細長状の挿入体23…の基端を一体に結合して櫛状に形成されている。
挿入体23…は、昇降作業台Pmの縦フレーム14とサイドフレーム13とに架設された筒状のガイド筒18…にスライド自在に嵌挿されている。
挿入体23の上面には、図5に示すように、長手方向に所定の間隔をもって複数のピン挿入孔23a…が形成されている。
【0028】
挿入体23の下面側の平行フレーム22近傍位置には、当て部材41が下方突出状に設けられている。この当て部材41は、スライド体20の収納状態において、昇降作業台Pmのサイドフレーム13下端部に設けられたストッパ部40と当接されるようになっている。当て部材41とストッパ部40との当接状態では、スライド体20の平行フレーム22はサイドフレーム13よりも若干外方に離間した位置にある。
【0029】
また、昇降作業台Pmの内方側となる挿入体23の先端部には、図4に示すように、引き出しストッパ34が設けられている。引き出しストッパ34は、スライド体20を最大に引き出した際にガイド筒18の端部と当接してスライド体20がそれ以上引き出されるのを規制する。また、挿入体23の先端部は、図6に示すように、スライド体20の収納状態で、ガイド筒18を支持する縦フレーム14とは反対側の縦フレーム14に設けられた開口部53に遊嵌状に挿入されるようになっている。
【0030】
ガイド筒18について詳しく説明すると、ガイド筒18は、図3〜図5に示すように、縦フレーム14の長手方向に所定間隔をもって開口された孔部14aと、サイドフレーム13の長手方向に所定間隔をもって開口された孔部13aとに挿入固着されることにより、その両端部が支持されている。
【0031】
ガイド筒18の外方側端部下面側には、スライド体20の挿入体23を下から支持するガイドローラ42が取り付けられている。また、ガイド筒18の内方側端部上面側には、挿入体23を上から支持するガイドローラ43が取り付けられている。これらガイドローラ42及びガイドローラ43によって、挿入体23をガイド筒18内でスムーズにスライドさせるようになっている。
【0032】
また、図5に示すように、ガイド筒18の上面側の所定箇所には、ピン挿入孔18aが設けられている。このピン挿入孔18aを包囲するガイド筒18の上面と昇降作業台Pmの本体床部15との間の空間には、収納部48が設けられている。収納部48には、本体床部15に設けられた蓋部49から手が入ることができるようになっている。そして、収納部48には、固定ピン19が収納されるようになっている(図5の矢印方向E参照)。スライド作業台Psの格納状態と第1張出状態と第2張出状態との3つの状態において、固定ピン19はピン挿入孔18aを通じてスライド体20の挿入体23に設けられたピン挿入孔23aに挿入され、スライド体20を、所定量引き出した状態で昇降作業台Pmに対して固定できるようになっている。また、スライド体20の引き出しと収納を行う際には、固定ピン19は蓋部49を開けて一旦引き抜かれるようになっている。
【0033】
次に、第1作業床部21は、図2〜図5に示すように、スライド体20の平行フレーム22とほぼ同じ全長を有する平面視長方形状に形成され、平行フレーム22の上面に蝶番36によって回動可能にその基端が取り付けられている。
【0034】
第1作業床部21の下面側先端部には、挿入体23と対応する位置にパッド部32が設けられている。パッド部32は樹脂製の板部材であり、このパッド部32により、第1作業床部21が伏倒状態になったときに第1作業床部21がスライド体20の挿入体23上に略水平状態に保持されるようになっている(図9参照)。また、この伏倒状態では、第1作業床部21の床面21aが昇降作業台Pmの床面15aと略同一高さとなるように挿入体23に保持される。
【0035】
ここで、図2及び図3に示すように、第1作業床部21の上面側先端部には、昇降作業台Pmに対するスライド体20の引き出しまたは収納を行う際の把持部24が、長手方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
把持部24は、略コの字状の棒部材を取付金具により第1作業床部21に起伏自在に取り付けたものである。
【0036】
手摺り37は、図2〜図4に示すように、スライド体20の平行フレーム22に立設される支柱部27と、支柱部27に昇降自在に取り付けられた昇降部44とを有している。支柱部27は、昇降作業台Pmの長手方向端部に位置する端部支柱27aを除き、スライド作業台Psの横断面視で平行フレーム22の横幅と略同一幅に形成されている。この支柱部27は、起立状態における前述の第1作業床部21が昇降作業台Pmの外方へ回動するのを規制する第1規制部45の役割も兼ねている。
【0037】
また、端部支柱27aは、支柱部27の他の部位よりも昇降作業台Pmの内方側に突出した横幅に形成されている。この端部支柱27aの内方端27bには、前述の補助手摺り38がヒンジ部33により、鉛直軸心まわりに回動自在に取り付けられている。
また、端部支柱27aの外方端27cには、図3に示すように、被係止部材28が手摺り37の長手方向に突出状に固着されている。
【0038】
被係止部材28は、スライド体20の収納状態において、昇降作業台Pmの本体側支柱30に設けられた係止機構部31と係合されるようになっている。つまり、スライド体20の収納状態(スライド作業台Psの格納状態)において、スライド作業台Psが昇降作業台Pmに固定できるようになっている。これにより、手で容易に引き出し自在なスライド体20が、車両の移動中に車両の傾き・振動等によって不意に引き出されるのを防ぐことができる。また、スライド作業台Psを使用しない昇降作業台Pmのみでの作業時に、作業者が手摺り37に寄り掛かる等で誤ってスライド体20が引き出されるのを防ぐことができる。
【0039】
次に、第2作業床部26は、図2、図4及び図5に示すように、スライド体20の平行フレーム22とほぼ同じ全長を有する平面視長方形状に形成されている。また、第2作業床部26は、昇降作業台Pmの本体床部15に、蝶番39によって回動可能にその基端が取り付けられている。また、第2作業床部26は、第1作業床部21とほぼ同じ形状・大きさであり、第1作業床部21と対向する位置に取り付けられている。
第2作業床部26の上面側先端部には、第2作業床部26の起伏作業を容易に行うための把持部25が、長手方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
把持部25は、第1作業床部21の把持部24と同様、略コの字状の棒部材を取付金具により第2作業床部26に起伏自在に取り付けたものである。
ここで、第2作業床部26の下面側先端部には、第2作業床部26を保持すると共に第2作業床部26とスライド体20の挿入体23との間の摺動を補助する摺動部29が設けられている。
【0040】
摺動部29は、樹脂製の板部材であり、スライド体20の挿入体23と対応する位置に設けられている。この摺動部29により、第2作業床部26が伏倒状態になったときに第2作業床部26が挿入体23に略水平状態に保持され、かつ、第2作業床部26上に荷重がかかったとしてもスライド体20をスムーズにスライドさせることができるようになっている。
【0041】
また、第2作業床部26の伏倒状態では、床面26aが昇降作業台Pmの床面15aと略同一高さとなるように挿入体23に保持される。この場合、床面26aは、伏倒状態の前述の第1作業床部21の床面21aと略同一高さとなるようになっている。
また、第2作業床部26のみを伏倒させた第1張出状態(図4の状態)では、第2作業床部26の先端部は、スライド体20の平行フレーム22の側面に近接ないし当接されるようになっている。この状態では、第2作業床部26の先端部は、スライド体20の挿入体23と起立状態の第1作業床部21の基端部との間に挟持されている。
また、第2作業床部26及び第1作業床部21を伏倒させた第2張出状態では、図2に示すように、それぞれの先端縁が全長に渡って当接(または近接)する位置に配置される。
また、第2作業床部26は、起立状態で昇降作業台Pmへの回動が第2規制部46により規制されるようになっている。
【0042】
第2規制部46は、図5に示すように、略Z字状の板部材であり、一方の端片部46aには、を起立状態の第2作業床部26の先端部が、昇降作業台Pmの外方側から当接するようになっている。また、第2規制部46の他方の端片部46bは、手摺り37の支柱部27上端に立設された取付ブラケット50に水平軸心まわりに回動自在に取り付けられている。従って、第2規制部46は、回動させることにより起立状態の第2作業床部26の先端部が外方側から当接する規制状態と、規制を解除した規制解除状態とに選択可能となっている。
【0043】
また、第2規制部46の中片部46cは、第1作業床部21と第2作業床部26の裏面同士を合わせ面状にした場合に、表面同士(即ち、床面26aと床面21a)の距離よりも少し長い程度に形成されている。そして、第1作業床部21及び第2作業床部26を起立状態とし、スライド体20を収納させた状態では、第1規制部45と第2規制部46との間に、第1作業床部21及び第2作業床部26を、両者の裏面が合わせ面状となるように保持することができる。
【0044】
なお、第1作業床部21及び第2作業床部26の裏面同士を合わせた場合には、第1作業床部21側のパッド部32と第2作業床部26側の摺動部29が直接突き合わされないように、パッド部32と摺動部29は上下にずれて位置している。
【0045】
また、第1作業床部21及び第2作業床部26の裏面同士を合わせて両者起立状態とし、スライド体20を収納させた状態では、スライド作業台Psの横断面視において端部支柱27aの内方端27bが第2作業床部26の床面26aとほぼ同じ位置になるよう設定されている。これにより、スライド体20を収納させた状態では、端部支柱27aの内方端27bにヒンジ部33を介して取り付けられた補助手摺り38を回動させて、補助手摺り38と手摺り37との間に第1作業床部21及び第2作業床部26を抱え込ませるようにできる。従って、補助手摺り38を、第2作業床部26を昇降作業台Pmの内方に伏倒させないようにするための規制部材としても使用可能である。
【0046】
次に、図1〜図9を参照して、上述した本発明の第1の実施形態に係る高所作業車の動作について説明する。
まず、図1において、高所作業車が停車した待機状態では、リフトリンク機構Lが収縮され、昇降作業台Pmは図1の2点鎖線で示されるように車体フレームF上に設置された格納状態にある。ジャッキシリンダCj…を伸長作動してそれを地上に接地すれば、車体フレームFが地上に安定支持される。次にリフトシリンダClが伸長され、リフトリンク機構Lが伸長作動して昇降作業台Pmを略水平状態のまま上昇させてこれを作業位置に保持させることができ、昇降作業台Pm上での高所作業を行なうことができる。
【0047】
次に、図2に示すように、スライド作業台Psを、昇降作業台Pmの外側方にスライド移動して、これを作業位置に張出すことができる。これによりスライド作業台Ps上での高所作業を行なうことができる。特にトンネル内の上部に設けられる換気装置(ジェットファン)の点検、清掃作業のような、昇降作業台Pmでは、作業の困難な、狭隘で、より高所での作業を安全確実に行なうことができる。
また前述の操作と逆の操作を行なえば、高所作業車を元の非作業位置に戻すことができる。
【0048】
ここで、本発明に係るスライド作業台Psの張出作業をより具体的に説明する。
まず、スライド作業台Psの格納状態において、図3に示される係止機構部31を操作して被係止部材28との係合(ロック)を解除する。次に、図5に示すように、第2規制部46を矢印D方向に回動させて第2作業床部26の先端部の規制を解除する。さらに、固定ピン19を引き抜いてスライド体20の規制を解除する。
【0049】
次に、図6に示すように、作業者は、昇降作業台Pmの側端部に立ち、手摺り37を手で掴み、そのまま外側へ押し出す(図6の矢印C方向)。これにより、スライド体20は外方へ引き出される。なお、少しスライド体20を引き出した段階で、第2規制部46を再び回動させて、第1作業床部21の先端部の回動を、内方側へ伏倒しないように規制しておく。
【0050】
次に、図7に示すように、作業者がスライド体20を第2作業床部26の横幅より少し大きい程度外方へ引き出すと、把持部25を掴んで第2作業床部26を伏倒させ、挿入体23の上面に保持させる(図7の矢印H方向)。第2作業床部26を伏倒させるまでは、作業者の掴む手摺り37の下側の複数の挿入体23間は何もない空間であるが、起立状態の第2作業床部26によって、作業者が昇降作業台Pmの側端部から足を踏み外すのが防がれる。また、第2作業床部26一枚分の張出量は少ないので、作業者は手を昇降作業台Pmの側端部の外側へ大きく伸ばすことはない。従って作業者はバランスを崩すことなく安全である。また、一方で、第2作業床部26を伏倒させつつスライド体20を引き出すことも可能である。この場合には、第2作業床部26の先端が手摺り37に当接しながらスライド体20が引き出されることになり、作業者が挿入体23間から物を落下させるおそれがなくなる。
【0051】
次に、作業者は、一旦引き出されたスライド体20を引き寄せて、第2作業床部26の先端部をスライド体20の平行フレーム22の側面に近接ないし当接させる(図7の矢印G方向)。この際、作業者が足を第2作業床部26の上に乗せていたとしても、第2作業床部26の下面側の摺動部29が存在するため、作業者はスムーズにスライド体20を動かすことができる。また、第2作業床部26の先端部を平行フレーム22の側面に当接させることによって、下方の隙間をなくすことができ、隙間から物を落下させるおそれがなくなる。また、仮に高所作業中に風であおられる等で第2作業床部26を浮き上がらせようとする力がかかったとしても、第2作業床部26の先端部が挿入体23と第1作業床部21の基端との間で挟持されているので(図4参照)、第2作業床部26の浮き上がりが防止される。
【0052】
なお、スライド体20を第2作業床部26の横幅分引き出した後は、予め抜いておいた固定ピン19を用いてスライド体20の動きを規制しておく。こうして、第1張出状態が完成する。
【0053】
次に、第1張出状態からさらにスライド作業台Psを張り出させたいときは、まず、作業者は、固定ピン19を引き抜いてスライド体20の規制を解除する。そして、図8に示すように、昇降作業台Pmの側端部や伏倒状態の第2作業床部26の上に立ち、第2規制部46(図5参照)の第1作業床部21に対する規制を解除した後で、第1作業床部21の先端部を手で掴み僅かに回動させる。次いで、把持部24を掴んで、第1作業床部21を伏倒させつつ外側へ押し出すように力を加える。すると、スライド体20は外方へ引き出されていく(図8の矢印I方向)。作業者は、スライド体20の張出量が増大するに従って第1作業床部21を伏倒方向へもっていくことにより、第1作業床部21の先端部を第2作業床部26の側端部付近に位置させつつスライド体20の張出量を増大できるので、作業者は手摺り37に手を触れることなく、かつ、手を第2作業床部26の外側へ伸ばすことなく張出作業を行い得る。しかも、スライド体20の張出作業と第1作業床部21の伏倒作業を同時に行い得る。
【0054】
なお、スライド体20を第1作業床部21の横幅分引き出した後は、予め抜いておいた固定ピン19を用いてスライド体20の動きを規制しておく。こうして、図9に示すように、第2張出状態が完成する。
【0055】
また、上記第2張出状態からスライド作業台Psを格納したい場合には、上記と逆の動作をしていく。
即ち、図9の2点鎖線で示すように、伏倒状態となっている第1作業床部21の把持部24を掴み、起立方向へ持ち上げて行くと同時に第1作業床部21ごとスライド体20を引き寄せる。作業者は手摺り37に手を触れることなく、かつ、手を第2作業床部26の外側へ伸ばすことなく格納作業を行い得る。
【0056】
上述の把持部24を掴んで行うスライド作業台Psの張出・格納作業は、第1作業床部21の横幅の大小に影響されることがなく、特に、第1作業床部21の横幅が大きくなるほど効果的である。
【0057】
次に、図10〜図12は本発明の第2の実施形態を示している。
第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なり、昇降作業台Pmの側端部に起伏自在な作業床部が取り付けられていない場合を示している。また、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられる第1作業床部21には、蝶番を介して追加作業床部51及び追加作業床部52が連結されており、追加作業床部52の一端部が蝶番を介してスライド体20の平行フレーム22に取り付けられている。その他は、基本的に上記第1の実施形態と同様の構造である。
【0058】
この第2の実施形態では、スライド作業台Psの格納状態において、第1作業床部21、追加作業床部51及び追加作業床部52は、手摺り37に沿って起立状態とされている。起立状態では、第1作業床部21と追加作業床部51とを連結している蝶番は下端側に位置し、追加作業床部51と追加作業床部52とを連結している蝶番は上端側に位置するようになっている。
【0059】
この状態からスライド作業台Psの張出作業を行うには、まず、作業者は、昇降作業台Pmの側端部に立ち、第1作業床部21の先端部を手で掴み僅かに回動させる。次いで、図11に示すように、把持部24を掴んで、第1作業床部21を伏倒させつつ外側へ押し出すように力を加える。すると、スライド体20は外方へ引き出されていくことになる。この際、第1作業床部21の先端部をスライド作業台Psの側端部付近に位置させつつスライド体20の張出量を増大させることができる。
【0060】
第1作業床部21を伏倒させたら、次に、図12に示すように、追加作業床部51を外方へ押し倒すようにする。すると、山折れとなっている追加作業床部51と追加作業床部52が同時に伏倒されると共に、追加作業床部52の端部と連結されているスライド体20が外方へ引き出される。このようにして、スライド作業台Psの張出作業を行い得る。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
即ち、上記第1の実施形態では、第1作業床部21と第2作業床部26がそれぞれ平行フレーム22,本体床部15に蝶番36,蝶番39によって回動可能に取り付けられていたが、これを上方回動付勢部材(例えば捩じりコイルスプリング)入りのものとして、起伏時に第1作業床部21と第2作業床部26の自重を相殺するようにしてもよい。このようにすれば、第1作業床部21と第2作業床部26の起立・伏倒作業をより容易にできる。
【0062】
また、上記第1の実施形態では、第2作業床部26の下面側先端部に、第2作業床部26を保持しつつスライド体20をスライドさせるための摺動部29を設けたが、本発明はこれに限らず、摺動部29をスライド体20に設けてもよい。また、摺動部29は、第1の実施形態のような樹脂製の板部材に限らず、ローラその他の摺動部材であってもよい。
【0063】
また、上記第1の実施形態では、第2規制部46は、略Z字状の板部材により形成すると共に起立状態の第2作業床部26の先端部が昇降作業台Pmの外方側から当接するように構成したが、本発明はこれに限らず、図5に示すように、起立状態の第2作業床部26の基端部を規制するような第2規制部47としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、把持部24は、略コの字状の棒部材を取付金具により第1作業床部21に起伏自在に取り付けたものとしたが、本発明はこれに限らず、第1作業床部21の先端縁部を把持しやすい他の形状として把持部としてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0065】
15a 床面
20 スライド体
21 第1作業床部
21a 床面
24 把持部
26 第2作業床部
26a 床面
29 摺動部
F 車体フレーム
Pm 昇降作業台
Ps スライド作業台
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台を備えた高所作業車の作業台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、この昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた、高所作業車は知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1では、主としてトンネル内の換気装置(ジェットファン)の据付、点検、清掃等の作業に使用可能な高所作業車として、スライド作業台の外側両端部に立設された一対の支柱と、これらの支柱に昇降自在に設けられた昇降体と、この昇降体に支持された補助昇降作業台とを備えた高所作業車の作業台装置が開示されている。この作業台装置では、スライドシリンダによってスライド作業台を張出・格納自在にスライド駆動させると共に補助昇降作業台を昇降駆動させている。また、スライド作業台は、スライドフレームと、その外側縁に若干の間隙を存して片持状に支持されるスライドデッキとを備えており、スライドフレーム上のスライドデッキは、主昇降作業台のデッキ上をスライド可能に構成されている。
【0004】
また、特許文献2の作業台装置では、昇降作業台の側端部に回動自在に軸支される作業床と、昇降作業台の側方へ引き出した状態にして作業床を保持させるスライド体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−067493号公報
【特許文献2】実用新案登録第3077226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スライド作業台のスライドデッキが主昇降作業台のデッキ上をスライドする特許文献1のような従来の作業台装置では、スライド作業台の床面と主昇降作業台の床面とを略同一高さにすることはできず、作業者が作業中にその段差でつまずき転倒するおそれがあった。
【0007】
また、従来、特許文献1のようにスライドシリンダによって自動的にスライド作業台を張出・格納させるのではなく、作業者が手動でスライド作業台を張出させる作業台装置も存在する。この場合、作業者は昇降作業台に立ち、スライド作業台の外側端部に設けられた手摺りを持ってスライド作業台を外側へ押し出すようにしていた。逆に、スライド作業台を格納させるときには、作業者は手摺りを内側へ引き寄せるようにしていた。
【0008】
しかしながら、スライド作業台の張出量が多くなると作業者の手がスライド作業台の手摺りに届かなくなって張出・格納作業が困難になるという問題点があった。また、スライドシリンダによって自動的にスライド作業台を張出・格納させる作業台装置において、故障のため手動でスライド作業台を張出させる場合にも同様の問題点があった。
【0009】
また、特許文献2の作業台装置では、作業床とスライド体とを別体で構成したため、上記特許文献1の構成と異なり、スライド作業台の使用状態では作業床の床面と昇降作業台の床面とを略同一高さに設定することができる。
しかしながら、特許文献2の構成では、作業床は一定形状のため、使用状態でスライド作業台の張出量を複数段階に設定することができなかった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スライド作業台と昇降作業台の両床面を略同一高さに設定でき、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る高所作業車の作業台装置を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、スライド作業台と昇降作業台の両床面を略同一に設定できるものにおいて、スライド作業台の張出量を複数段階に設定し得る作業台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本請求項1記載の発明では、車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、前記昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた高所作業車の作業台装置において、前記スライド作業台は、前記昇降作業台の外方へ引き出し自在なスライド体と、前記スライド体の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持される第1作業床部とを有し、さらに、前記第1作業床部の先端部には把持部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
上記構成によると、作業者がスライド作業台を手動で張出させる作業を行う際、作業者は昇降作業台におけるスライド作業台側の側端部に立ち、スライド作業台のスライド体を第1作業床部の把持部を掴んで外側へ押し出すことができる。また、スライド体の張出量が増大するに従って第1作業床部を伏倒方向へ持っていくことにより、第1作業床部の先端部を昇降作業台の側端部付近に位置させつつスライド体の張出量を増大できるので、作業者は手を昇降作業台の外側へ大きく伸ばすことなく張出作業を行い得る。しかも、スライド体の張出作業と第1作業床部の伏倒作業を同時に行い得る。そして、第1作業床部を伏倒させると共にスライド体に保持させた際には、第1作業床部の床面と昇降作業台の床面が略同一高さとなる。一方、張出状態からスライド作業台を手動で格納する場合には、上記と逆の動作をすればよい。即ち、伏倒状態となっているスライド作業台の第1作業床部の把持部を掴み、起立方向へ持ち上げて行くと同時に第1作業床部ごとスライド体を引き寄せるようにしてスライド体を昇降作業台に収納させることができる。これにより、作業者は、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る。
【0013】
また、本請求項2記載の発明では、前記スライド作業台は、前記昇降作業台の側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部を有し、前記第2作業床部は、伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持されるように構成されている。
【0014】
上記構成によると、第2作業床部の厚み分(伏倒時の横幅分)だけスライド体を昇降作業台から引出した第1張出状態と、この第1張出状態からさらに第1作業床部の厚み分(伏倒時の横幅分)だけスライド体を引き出した第2張出状態との2種類に、スライド作業台の張出量を設定できる。また、第1作業床部と第2作業床部は別体で構成されているので、上記第1張出状態に設定する際、作業者は、第1作業床部を動かすことなく第2作業床部を伏倒させることができる。また、第1張出状態から第2張出状態に変更する際、作業者は、第2作業床部を伏倒させたまま第1作業床部を伏倒させればよい。そのため、作業者は、容易にスライド作業台の張出量を変更できる。
【0015】
また、本請求項3記載の発明では、前記第2作業床部または前記スライド体には、前記第2作業床部を保持すると共に前記第2作業床部と前記スライド体との間の摺動を補助する摺動部が設けられている。
【0016】
上記構成によると、上記第1張出状態(第2張出状態)から上記第2張出状態(第1張出状態)へと変更する際、作業者は、第2作業床部上に立ったまま、スライド体の引き出し(収納)をスムーズに行い得る。そのため、作業者は、容易にスライド作業台の張出量を変更できる。
【0017】
また、本請求項4記載の発明では、前記第1作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の外方への回動が第1規制部により規制され、前記第2作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の内方への回動が第2規制部により規制され、起立状態で前記第1作業床部と前記第2作業床部が合わせ面状となるように構成した。
【0018】
上記構成によると、スライド体を昇降作業台に全て収納したスライド作業台の格納状態では、第1作業床部の伏倒方向への回動が第2作業床部を介して第2規制部により規制される。また、第2作業床部の伏倒方向への回動が第1作業床部を介して第1規制部により規制される。これにより、簡単な構成にて、スライド作業台の格納状態での第1作業床部及び第2作業床部の起立状態を維持できる。また、スライド作業台の格納状態では、第1作業床部と第2作業床部とを密着させることができるので、コンパクトに格納できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、スライド作業台のスライド体に保持される第1作業床部を有し、この第1作業床部の先端部に、昇降作業台に対するスライド体の引き出しまたは収納を行う際の把持部を設けたことにより、作業者は、スライド作業台を手動で容易に張出・格納し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置を備えた高所作業車を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の要部拡大側面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る作業台装置の動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態に係る高所作業車を示している。
【0022】
図1及び図2において、高所作業車の車体フレームFは、メインフレーム1上にサブフレーム2を一体に結合して高剛性に構成され、その前部左右および後部左右には、それぞれジャッキシリンダCj,Cjが設けられ、高所作業車の作業時には、それらのジャッキシリンダCj…は、地上に接地するまで伸長されて車体フレームFを安定的に支持するようになっている。車体フレームF上には、リフトリンク機構Lを介して昇降作業台Pmが略水平に昇降可能に支持されている。
【0023】
リフトリンク機構Lは、等長の第1リンク3及び第2リンク4の中央部を相互に枢支連結5してなる、左右一対のクロスリンク6,6より構成されており、第1リンク3及び第2リンク4の前端は、車体フレームF及び前記昇降作業台Pmの前部に枢支連結7,8されている。また第1リンク3及び第2リンク4の後端には、転動ローラ9及び転動ローラ10がそれぞれ回転自在に軸支されており、これらの転動ローラ9及び転動ローラ10は、昇降作業台Pmおよび車体フレームFの後部にそれぞれ設けた、前後方向に延びる略水平な案内レール11及び案内レール12に転動自在に係合されている。また第1リンク3の前部と第2リンク4の中間部間には、リフトシリンダClが連結されており、このリフトシリンダClの伸縮作動により、前記リフトリンク機構Lを介して昇降作業台Pmを略水平に昇降作動するように構成されている。
【0024】
昇降作業台Pmは、図1、図3〜図6に示すように、左右一対の縦フレーム14,14と、縦フレーム14,14を横断する複数の横フレーム17…と、縦フレーム14,14と平行となるように横フレーム17…の左右両端部に固着されるサイドフレーム13,13とにより、枠組みされて方形状に形成されている。また、昇降作業台Pmは、これら縦フレーム14,14と横フレーム17…とサイドフレーム13,13上に、本体床部15を一体に敷設して構成されている。また、図2に示すように、昇降作業台Pmの4隅には、本体側支柱30が立設されている。また、昇降作業台Pmの前後それぞれにおいて、左右の本体側支柱30,30間には、手摺り35が設けられている。
【0025】
また、昇降作業台Pmの、前半部左右および後半部左右には、合計四つのスライド作業台Ps…がそれぞれ略水平方向に張出、格納可能に設けられている。各スライド作業台Ps…は何れも実質的に同一の構成を備えている。
【0026】
以下、その一つの構成について図2〜6を参照して詳細に説明すると、このスライド作業台Psは、昇降作業台Pmの外方へ引き出し自在なスライド体20と、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられる第1作業床部21と、スライド体20の外側端部に設けられる手摺り37と、手摺り37の長手方向端部に回動自在(図2の矢印A方向)に取り付けられる補助手摺り38と、昇降作業台Pmの側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部26と、を有している。
【0027】
スライド体20は、昇降作業台Pmのサイドフレーム13と平行で細長状の平行フレーム22に、複数の細長状の挿入体23…の基端を一体に結合して櫛状に形成されている。
挿入体23…は、昇降作業台Pmの縦フレーム14とサイドフレーム13とに架設された筒状のガイド筒18…にスライド自在に嵌挿されている。
挿入体23の上面には、図5に示すように、長手方向に所定の間隔をもって複数のピン挿入孔23a…が形成されている。
【0028】
挿入体23の下面側の平行フレーム22近傍位置には、当て部材41が下方突出状に設けられている。この当て部材41は、スライド体20の収納状態において、昇降作業台Pmのサイドフレーム13下端部に設けられたストッパ部40と当接されるようになっている。当て部材41とストッパ部40との当接状態では、スライド体20の平行フレーム22はサイドフレーム13よりも若干外方に離間した位置にある。
【0029】
また、昇降作業台Pmの内方側となる挿入体23の先端部には、図4に示すように、引き出しストッパ34が設けられている。引き出しストッパ34は、スライド体20を最大に引き出した際にガイド筒18の端部と当接してスライド体20がそれ以上引き出されるのを規制する。また、挿入体23の先端部は、図6に示すように、スライド体20の収納状態で、ガイド筒18を支持する縦フレーム14とは反対側の縦フレーム14に設けられた開口部53に遊嵌状に挿入されるようになっている。
【0030】
ガイド筒18について詳しく説明すると、ガイド筒18は、図3〜図5に示すように、縦フレーム14の長手方向に所定間隔をもって開口された孔部14aと、サイドフレーム13の長手方向に所定間隔をもって開口された孔部13aとに挿入固着されることにより、その両端部が支持されている。
【0031】
ガイド筒18の外方側端部下面側には、スライド体20の挿入体23を下から支持するガイドローラ42が取り付けられている。また、ガイド筒18の内方側端部上面側には、挿入体23を上から支持するガイドローラ43が取り付けられている。これらガイドローラ42及びガイドローラ43によって、挿入体23をガイド筒18内でスムーズにスライドさせるようになっている。
【0032】
また、図5に示すように、ガイド筒18の上面側の所定箇所には、ピン挿入孔18aが設けられている。このピン挿入孔18aを包囲するガイド筒18の上面と昇降作業台Pmの本体床部15との間の空間には、収納部48が設けられている。収納部48には、本体床部15に設けられた蓋部49から手が入ることができるようになっている。そして、収納部48には、固定ピン19が収納されるようになっている(図5の矢印方向E参照)。スライド作業台Psの格納状態と第1張出状態と第2張出状態との3つの状態において、固定ピン19はピン挿入孔18aを通じてスライド体20の挿入体23に設けられたピン挿入孔23aに挿入され、スライド体20を、所定量引き出した状態で昇降作業台Pmに対して固定できるようになっている。また、スライド体20の引き出しと収納を行う際には、固定ピン19は蓋部49を開けて一旦引き抜かれるようになっている。
【0033】
次に、第1作業床部21は、図2〜図5に示すように、スライド体20の平行フレーム22とほぼ同じ全長を有する平面視長方形状に形成され、平行フレーム22の上面に蝶番36によって回動可能にその基端が取り付けられている。
【0034】
第1作業床部21の下面側先端部には、挿入体23と対応する位置にパッド部32が設けられている。パッド部32は樹脂製の板部材であり、このパッド部32により、第1作業床部21が伏倒状態になったときに第1作業床部21がスライド体20の挿入体23上に略水平状態に保持されるようになっている(図9参照)。また、この伏倒状態では、第1作業床部21の床面21aが昇降作業台Pmの床面15aと略同一高さとなるように挿入体23に保持される。
【0035】
ここで、図2及び図3に示すように、第1作業床部21の上面側先端部には、昇降作業台Pmに対するスライド体20の引き出しまたは収納を行う際の把持部24が、長手方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
把持部24は、略コの字状の棒部材を取付金具により第1作業床部21に起伏自在に取り付けたものである。
【0036】
手摺り37は、図2〜図4に示すように、スライド体20の平行フレーム22に立設される支柱部27と、支柱部27に昇降自在に取り付けられた昇降部44とを有している。支柱部27は、昇降作業台Pmの長手方向端部に位置する端部支柱27aを除き、スライド作業台Psの横断面視で平行フレーム22の横幅と略同一幅に形成されている。この支柱部27は、起立状態における前述の第1作業床部21が昇降作業台Pmの外方へ回動するのを規制する第1規制部45の役割も兼ねている。
【0037】
また、端部支柱27aは、支柱部27の他の部位よりも昇降作業台Pmの内方側に突出した横幅に形成されている。この端部支柱27aの内方端27bには、前述の補助手摺り38がヒンジ部33により、鉛直軸心まわりに回動自在に取り付けられている。
また、端部支柱27aの外方端27cには、図3に示すように、被係止部材28が手摺り37の長手方向に突出状に固着されている。
【0038】
被係止部材28は、スライド体20の収納状態において、昇降作業台Pmの本体側支柱30に設けられた係止機構部31と係合されるようになっている。つまり、スライド体20の収納状態(スライド作業台Psの格納状態)において、スライド作業台Psが昇降作業台Pmに固定できるようになっている。これにより、手で容易に引き出し自在なスライド体20が、車両の移動中に車両の傾き・振動等によって不意に引き出されるのを防ぐことができる。また、スライド作業台Psを使用しない昇降作業台Pmのみでの作業時に、作業者が手摺り37に寄り掛かる等で誤ってスライド体20が引き出されるのを防ぐことができる。
【0039】
次に、第2作業床部26は、図2、図4及び図5に示すように、スライド体20の平行フレーム22とほぼ同じ全長を有する平面視長方形状に形成されている。また、第2作業床部26は、昇降作業台Pmの本体床部15に、蝶番39によって回動可能にその基端が取り付けられている。また、第2作業床部26は、第1作業床部21とほぼ同じ形状・大きさであり、第1作業床部21と対向する位置に取り付けられている。
第2作業床部26の上面側先端部には、第2作業床部26の起伏作業を容易に行うための把持部25が、長手方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
把持部25は、第1作業床部21の把持部24と同様、略コの字状の棒部材を取付金具により第2作業床部26に起伏自在に取り付けたものである。
ここで、第2作業床部26の下面側先端部には、第2作業床部26を保持すると共に第2作業床部26とスライド体20の挿入体23との間の摺動を補助する摺動部29が設けられている。
【0040】
摺動部29は、樹脂製の板部材であり、スライド体20の挿入体23と対応する位置に設けられている。この摺動部29により、第2作業床部26が伏倒状態になったときに第2作業床部26が挿入体23に略水平状態に保持され、かつ、第2作業床部26上に荷重がかかったとしてもスライド体20をスムーズにスライドさせることができるようになっている。
【0041】
また、第2作業床部26の伏倒状態では、床面26aが昇降作業台Pmの床面15aと略同一高さとなるように挿入体23に保持される。この場合、床面26aは、伏倒状態の前述の第1作業床部21の床面21aと略同一高さとなるようになっている。
また、第2作業床部26のみを伏倒させた第1張出状態(図4の状態)では、第2作業床部26の先端部は、スライド体20の平行フレーム22の側面に近接ないし当接されるようになっている。この状態では、第2作業床部26の先端部は、スライド体20の挿入体23と起立状態の第1作業床部21の基端部との間に挟持されている。
また、第2作業床部26及び第1作業床部21を伏倒させた第2張出状態では、図2に示すように、それぞれの先端縁が全長に渡って当接(または近接)する位置に配置される。
また、第2作業床部26は、起立状態で昇降作業台Pmへの回動が第2規制部46により規制されるようになっている。
【0042】
第2規制部46は、図5に示すように、略Z字状の板部材であり、一方の端片部46aには、を起立状態の第2作業床部26の先端部が、昇降作業台Pmの外方側から当接するようになっている。また、第2規制部46の他方の端片部46bは、手摺り37の支柱部27上端に立設された取付ブラケット50に水平軸心まわりに回動自在に取り付けられている。従って、第2規制部46は、回動させることにより起立状態の第2作業床部26の先端部が外方側から当接する規制状態と、規制を解除した規制解除状態とに選択可能となっている。
【0043】
また、第2規制部46の中片部46cは、第1作業床部21と第2作業床部26の裏面同士を合わせ面状にした場合に、表面同士(即ち、床面26aと床面21a)の距離よりも少し長い程度に形成されている。そして、第1作業床部21及び第2作業床部26を起立状態とし、スライド体20を収納させた状態では、第1規制部45と第2規制部46との間に、第1作業床部21及び第2作業床部26を、両者の裏面が合わせ面状となるように保持することができる。
【0044】
なお、第1作業床部21及び第2作業床部26の裏面同士を合わせた場合には、第1作業床部21側のパッド部32と第2作業床部26側の摺動部29が直接突き合わされないように、パッド部32と摺動部29は上下にずれて位置している。
【0045】
また、第1作業床部21及び第2作業床部26の裏面同士を合わせて両者起立状態とし、スライド体20を収納させた状態では、スライド作業台Psの横断面視において端部支柱27aの内方端27bが第2作業床部26の床面26aとほぼ同じ位置になるよう設定されている。これにより、スライド体20を収納させた状態では、端部支柱27aの内方端27bにヒンジ部33を介して取り付けられた補助手摺り38を回動させて、補助手摺り38と手摺り37との間に第1作業床部21及び第2作業床部26を抱え込ませるようにできる。従って、補助手摺り38を、第2作業床部26を昇降作業台Pmの内方に伏倒させないようにするための規制部材としても使用可能である。
【0046】
次に、図1〜図9を参照して、上述した本発明の第1の実施形態に係る高所作業車の動作について説明する。
まず、図1において、高所作業車が停車した待機状態では、リフトリンク機構Lが収縮され、昇降作業台Pmは図1の2点鎖線で示されるように車体フレームF上に設置された格納状態にある。ジャッキシリンダCj…を伸長作動してそれを地上に接地すれば、車体フレームFが地上に安定支持される。次にリフトシリンダClが伸長され、リフトリンク機構Lが伸長作動して昇降作業台Pmを略水平状態のまま上昇させてこれを作業位置に保持させることができ、昇降作業台Pm上での高所作業を行なうことができる。
【0047】
次に、図2に示すように、スライド作業台Psを、昇降作業台Pmの外側方にスライド移動して、これを作業位置に張出すことができる。これによりスライド作業台Ps上での高所作業を行なうことができる。特にトンネル内の上部に設けられる換気装置(ジェットファン)の点検、清掃作業のような、昇降作業台Pmでは、作業の困難な、狭隘で、より高所での作業を安全確実に行なうことができる。
また前述の操作と逆の操作を行なえば、高所作業車を元の非作業位置に戻すことができる。
【0048】
ここで、本発明に係るスライド作業台Psの張出作業をより具体的に説明する。
まず、スライド作業台Psの格納状態において、図3に示される係止機構部31を操作して被係止部材28との係合(ロック)を解除する。次に、図5に示すように、第2規制部46を矢印D方向に回動させて第2作業床部26の先端部の規制を解除する。さらに、固定ピン19を引き抜いてスライド体20の規制を解除する。
【0049】
次に、図6に示すように、作業者は、昇降作業台Pmの側端部に立ち、手摺り37を手で掴み、そのまま外側へ押し出す(図6の矢印C方向)。これにより、スライド体20は外方へ引き出される。なお、少しスライド体20を引き出した段階で、第2規制部46を再び回動させて、第1作業床部21の先端部の回動を、内方側へ伏倒しないように規制しておく。
【0050】
次に、図7に示すように、作業者がスライド体20を第2作業床部26の横幅より少し大きい程度外方へ引き出すと、把持部25を掴んで第2作業床部26を伏倒させ、挿入体23の上面に保持させる(図7の矢印H方向)。第2作業床部26を伏倒させるまでは、作業者の掴む手摺り37の下側の複数の挿入体23間は何もない空間であるが、起立状態の第2作業床部26によって、作業者が昇降作業台Pmの側端部から足を踏み外すのが防がれる。また、第2作業床部26一枚分の張出量は少ないので、作業者は手を昇降作業台Pmの側端部の外側へ大きく伸ばすことはない。従って作業者はバランスを崩すことなく安全である。また、一方で、第2作業床部26を伏倒させつつスライド体20を引き出すことも可能である。この場合には、第2作業床部26の先端が手摺り37に当接しながらスライド体20が引き出されることになり、作業者が挿入体23間から物を落下させるおそれがなくなる。
【0051】
次に、作業者は、一旦引き出されたスライド体20を引き寄せて、第2作業床部26の先端部をスライド体20の平行フレーム22の側面に近接ないし当接させる(図7の矢印G方向)。この際、作業者が足を第2作業床部26の上に乗せていたとしても、第2作業床部26の下面側の摺動部29が存在するため、作業者はスムーズにスライド体20を動かすことができる。また、第2作業床部26の先端部を平行フレーム22の側面に当接させることによって、下方の隙間をなくすことができ、隙間から物を落下させるおそれがなくなる。また、仮に高所作業中に風であおられる等で第2作業床部26を浮き上がらせようとする力がかかったとしても、第2作業床部26の先端部が挿入体23と第1作業床部21の基端との間で挟持されているので(図4参照)、第2作業床部26の浮き上がりが防止される。
【0052】
なお、スライド体20を第2作業床部26の横幅分引き出した後は、予め抜いておいた固定ピン19を用いてスライド体20の動きを規制しておく。こうして、第1張出状態が完成する。
【0053】
次に、第1張出状態からさらにスライド作業台Psを張り出させたいときは、まず、作業者は、固定ピン19を引き抜いてスライド体20の規制を解除する。そして、図8に示すように、昇降作業台Pmの側端部や伏倒状態の第2作業床部26の上に立ち、第2規制部46(図5参照)の第1作業床部21に対する規制を解除した後で、第1作業床部21の先端部を手で掴み僅かに回動させる。次いで、把持部24を掴んで、第1作業床部21を伏倒させつつ外側へ押し出すように力を加える。すると、スライド体20は外方へ引き出されていく(図8の矢印I方向)。作業者は、スライド体20の張出量が増大するに従って第1作業床部21を伏倒方向へもっていくことにより、第1作業床部21の先端部を第2作業床部26の側端部付近に位置させつつスライド体20の張出量を増大できるので、作業者は手摺り37に手を触れることなく、かつ、手を第2作業床部26の外側へ伸ばすことなく張出作業を行い得る。しかも、スライド体20の張出作業と第1作業床部21の伏倒作業を同時に行い得る。
【0054】
なお、スライド体20を第1作業床部21の横幅分引き出した後は、予め抜いておいた固定ピン19を用いてスライド体20の動きを規制しておく。こうして、図9に示すように、第2張出状態が完成する。
【0055】
また、上記第2張出状態からスライド作業台Psを格納したい場合には、上記と逆の動作をしていく。
即ち、図9の2点鎖線で示すように、伏倒状態となっている第1作業床部21の把持部24を掴み、起立方向へ持ち上げて行くと同時に第1作業床部21ごとスライド体20を引き寄せる。作業者は手摺り37に手を触れることなく、かつ、手を第2作業床部26の外側へ伸ばすことなく格納作業を行い得る。
【0056】
上述の把持部24を掴んで行うスライド作業台Psの張出・格納作業は、第1作業床部21の横幅の大小に影響されることがなく、特に、第1作業床部21の横幅が大きくなるほど効果的である。
【0057】
次に、図10〜図12は本発明の第2の実施形態を示している。
第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なり、昇降作業台Pmの側端部に起伏自在な作業床部が取り付けられていない場合を示している。また、スライド体20の外側端部に起伏自在に設けられる第1作業床部21には、蝶番を介して追加作業床部51及び追加作業床部52が連結されており、追加作業床部52の一端部が蝶番を介してスライド体20の平行フレーム22に取り付けられている。その他は、基本的に上記第1の実施形態と同様の構造である。
【0058】
この第2の実施形態では、スライド作業台Psの格納状態において、第1作業床部21、追加作業床部51及び追加作業床部52は、手摺り37に沿って起立状態とされている。起立状態では、第1作業床部21と追加作業床部51とを連結している蝶番は下端側に位置し、追加作業床部51と追加作業床部52とを連結している蝶番は上端側に位置するようになっている。
【0059】
この状態からスライド作業台Psの張出作業を行うには、まず、作業者は、昇降作業台Pmの側端部に立ち、第1作業床部21の先端部を手で掴み僅かに回動させる。次いで、図11に示すように、把持部24を掴んで、第1作業床部21を伏倒させつつ外側へ押し出すように力を加える。すると、スライド体20は外方へ引き出されていくことになる。この際、第1作業床部21の先端部をスライド作業台Psの側端部付近に位置させつつスライド体20の張出量を増大させることができる。
【0060】
第1作業床部21を伏倒させたら、次に、図12に示すように、追加作業床部51を外方へ押し倒すようにする。すると、山折れとなっている追加作業床部51と追加作業床部52が同時に伏倒されると共に、追加作業床部52の端部と連結されているスライド体20が外方へ引き出される。このようにして、スライド作業台Psの張出作業を行い得る。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
即ち、上記第1の実施形態では、第1作業床部21と第2作業床部26がそれぞれ平行フレーム22,本体床部15に蝶番36,蝶番39によって回動可能に取り付けられていたが、これを上方回動付勢部材(例えば捩じりコイルスプリング)入りのものとして、起伏時に第1作業床部21と第2作業床部26の自重を相殺するようにしてもよい。このようにすれば、第1作業床部21と第2作業床部26の起立・伏倒作業をより容易にできる。
【0062】
また、上記第1の実施形態では、第2作業床部26の下面側先端部に、第2作業床部26を保持しつつスライド体20をスライドさせるための摺動部29を設けたが、本発明はこれに限らず、摺動部29をスライド体20に設けてもよい。また、摺動部29は、第1の実施形態のような樹脂製の板部材に限らず、ローラその他の摺動部材であってもよい。
【0063】
また、上記第1の実施形態では、第2規制部46は、略Z字状の板部材により形成すると共に起立状態の第2作業床部26の先端部が昇降作業台Pmの外方側から当接するように構成したが、本発明はこれに限らず、図5に示すように、起立状態の第2作業床部26の基端部を規制するような第2規制部47としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、把持部24は、略コの字状の棒部材を取付金具により第1作業床部21に起伏自在に取り付けたものとしたが、本発明はこれに限らず、第1作業床部21の先端縁部を把持しやすい他の形状として把持部としてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0065】
15a 床面
20 スライド体
21 第1作業床部
21a 床面
24 把持部
26 第2作業床部
26a 床面
29 摺動部
F 車体フレーム
Pm 昇降作業台
Ps スライド作業台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、前記昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた高所作業車の作業台装置において、
前記スライド作業台は、前記昇降作業台の外方へ引き出し自在なスライド体と、前記スライド体の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持される第1作業床部とを有し、
さらに、前記第1作業床部の先端部には把持部が設けられていることを特徴とする高所作業車の作業台装置。
【請求項2】
前記スライド作業台は、前記昇降作業台の側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部を有し、前記第2作業床部は、伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持されるように構成されている請求項1に記載の高所作業車の作業台装置。
【請求項3】
前記第2作業床部または前記スライド体には、前記第2作業床部を保持すると共に前記第2作業床部と前記スライド体との間の摺動を補助する摺動部が設けられている請求項2に記載の高所作業車の作業台装置。
【請求項4】
前記第1作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の外方への回動が第1規制部により規制され、前記第2作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の内方への回動が第2規制部により規制され、起立状態で前記第1作業床部と前記第2作業床部が合わせ面状となるように構成した請求項2または3に記載の高所作業車の作業台装置。
【請求項1】
車体フレーム上に昇降可能に支持される昇降作業台と、前記昇降作業台に略水平方向に張出、格納可能に設けられたスライド作業台とを備えた高所作業車の作業台装置において、
前記スライド作業台は、前記昇降作業台の外方へ引き出し自在なスライド体と、前記スライド体の外側端部に起伏自在に設けられると共に伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持される第1作業床部とを有し、
さらに、前記第1作業床部の先端部には把持部が設けられていることを特徴とする高所作業車の作業台装置。
【請求項2】
前記スライド作業台は、前記昇降作業台の側端部に起伏自在に設けられる第2作業床部を有し、前記第2作業床部は、伏倒状態で床面が前記昇降作業台の床面と略同一高さとなるように前記スライド体に保持されるように構成されている請求項1に記載の高所作業車の作業台装置。
【請求項3】
前記第2作業床部または前記スライド体には、前記第2作業床部を保持すると共に前記第2作業床部と前記スライド体との間の摺動を補助する摺動部が設けられている請求項2に記載の高所作業車の作業台装置。
【請求項4】
前記第1作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の外方への回動が第1規制部により規制され、前記第2作業床部は、起立状態で前記昇降作業台の内方への回動が第2規制部により規制され、起立状態で前記第1作業床部と前記第2作業床部が合わせ面状となるように構成した請求項2または3に記載の高所作業車の作業台装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−111312(P2011−111312A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271396(P2009−271396)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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